JP4207454B2 - マツエバクターキトサナーゼの製造方法 - Google Patents

マツエバクターキトサナーゼの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子組換え技術を用いたマツエバクターキトサナーゼの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、遺伝子組換え技術による異種タンパク質の製造は、目的とする異種タンパク質をコードする遺伝子をベクターに組込み、得られた組換えベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を作製し、これを培養して培養液中に異種タンパク質を産生させることによって行っている。このような異種タンパク質を発現させる宿主として、従来より、動物細胞、大腸菌(Escherichia coli)、酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が汎用されてきた。
【0003】
ところで、世界最大の未利用のバイオマスとして注目されているキトサンは、様々な生理活性を示し、さらに厚生省がキトサンの抗コレステロール活性を認めて特定保健用食品として認可したことで、いくつかの機能性食品が開発されている。しかしキチン質からキトサンを生産する際、従来の方法では有害な廃液が排出されてしまうため、微生物の機能を利用してキトサンを生産する研究が進められてきた。このためキチン・キトサン代謝の中心的酵素であるキチナーゼ、キトサナーゼ、N−アセチルグルコサミニダーゼ等の機能解析が進められている。
【0004】
なかでもマツエバクター由来のキトサナーゼはキトサンオリゴ糖の製造に必要とされるので、遺伝子組換え技術を用いて効率的に、しかも大量に生産する技術の開発が行われてきた。マツエバクターキトサナーゼを発現させる宿主としては、大腸菌(E. coli)が既に試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
遺伝子組換え技術を用いて目的とするキトサナーゼタンパク質を効率よく製造するためには、宿主細胞の増殖が速く、キトサナーゼの発現効率が優れていることが好ましく、さらにキトサナーゼが効率よく分泌されることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の発現系では、発現効率が良くないためにキトサナーゼタンパク質の収量が少ない、さらには比活性がマツエバクター自身のものと比べ著しく低い、熱安定性が悪い等の問題があった。また、キトサナーゼタンパク質を菌体外に分泌させることができず、タンパク質の回収や精製が煩雑であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような現状に鑑み、マツエバクターキトサナーゼの製造効率を高めるために、キトサナーゼの発現効率が優れていることとともに、さらにキトサナーゼが効率よく分泌されるキトサナーゼ発現系を開発する必要があると考え、各種発現系を比較検討した。その結果、分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)[以下、S. pombeともいう]を宿主とすることにより、キトサナーゼの発現量が多く、さらに発現したタンパク質の比活性が高く、熱安定性に優れることを見出した。また、S. pombeの分泌シグナル遺伝子を有する発現ベクターを使用することにより、菌体外への分泌効率が高い形質転換体が得られることを見出した。本発明はこの知見に基づく下記発明である。
【0008】
マツエバクターキトサナーゼをコードする構造遺伝子領域と分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)の分泌シグナル遺伝子領域を含有し、該マツエバクターキトサナーゼをコードする構造遺伝子領域が該分泌シグナル遺伝子領域の下流に位置する発現ベクターで分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を形質転換し、得られた形質転換体を培養してマツエバクターキトサナーゼを産生させ、該形質転換体を培養した培養液からマツエバクターキトサナーゼを回収することを特徴とする、マツエバクターキトサナーゼの製造方法。
【0009】
上記発現ベクターがプラスミドpL2P3M5−choAである、上記マツエバクターキトサナーゼの製造方法。
【0010】
宿主細胞としてS. pombeを用いることにより、酵素活性や熱安定性を高め、製造効率を大幅に向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0012】
本発明に用いられるキトサナーゼをコードする構造遺伝子としては、マツエバクターキトサノタビダス3001由来のキトサナーゼA(Park, J. K. et al.,“J. Bacteriol.”, vol. 181, pp. 6642-6649 (1999))等を好適に用いることができる。
【0013】
ここで、用いる宿主細胞としては、望ましくは培養方法が容易で、低コストで培養できる微生物がよく、本発明では、遺伝学的並びに分子生物学的に動物細胞に近い性質を持つとされ、より天然体に近い遺伝子産物が得られることが期待されるS. pombeを用いる。S. pombeは分裂酵母シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)に属する酵母であり、酵母類のなかでは動物細胞に近い性質を示すことが知られており、例えばその膜脂質組成については動物細胞のものと類似していることが報告されている(Y. Giga-Hama et al., “Foreign Gene Expression in Fission Yeast Schizosaccharomyces pombe”(1997))。このS. pombeの菌株としては、例えば寄託番号ATCC38399(leu1−32 h)やATCC38436(ura4−294 h)等としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託されているものが挙げられ、入手可能である。
【0014】
次に、マツエバクターキトサナーゼをコードする構造遺伝子をベクターに組込んで発現ベクターを作製する。用いるベクターは特に限定されるものではないが、宿主細胞内で自律的に複製可能であって、上記遺伝子(外来遺伝子)を組込み得る挿入部位をもち、さらにこの組込んだ遺伝子を宿主細胞内で発現せしめることを可能とする領域を有する必要がある。このようなベクターとして、例えばS. pombeを宿主とする外来遺伝子発現用のマルチクローニングベクターがある(特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報等参照)。また、分泌シグナル遺伝子を組み込んだマルチクローニングベクターとしては、マルチクローニングベクターpSL2P3M1(WO96/23890参照)等を有利に用いることができる。これらのベクターに上記遺伝子を組み込み発現ベクターを得ることができる。
【0015】
なお、外来遺伝子発現用のマルチクローニングベクターpSL2P3M1はS. pombeの分泌シグナル遺伝子(P3 signal)を有するマルチクローニングベクターであり、導入される外来遺伝子は分泌シグナル遺伝子の下流域に組み込まれる。得られた発現ベクターで形質転換された形質転換体では分泌シグナルが結合した異種タンパク質がまず菌体内で産生され、次いで菌体内でこの分泌シグナルが除去され、その後分泌シグナルのない異種タンパク質が菌体外に分泌される。分泌された異種タンパク質は培養液から回収できることより、菌体内に蓄積された異種タンパク質を回収する場合よりも回収が容易となる。
【0016】
次いで、上記発現ベクターを宿主細胞内に導入し、形質転換体を得る。発現ベクターの宿主細胞内への導入法は、従来慣用的に用いられている方法により行うことができ、コンピテント細胞法、プロトプラスト法、リン酸カルシウム共沈法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポソーム融合法、パーティクル・ガン法等、種々のものが挙げられる。特に、S. pombeを宿主とする場合は、酢酸リチウム法(K. Okazaki et al., “Nucleic Acids Res.”, vol. 18, pp. 6485-6489 (1990) )によって効率よく形質転換体を得ることができる。
【0017】
このようにして得られた形質転換体を培養することにより、培養物中にマツエバクターキトサナーゼタンパク質が産生される。産生されたマツエバクターキトサナーゼは、培養液中に分泌される。したがって、形質転換体を培養後、菌体を遠心分離で除去することにより、マツエバクターキトサナーゼ含有培養液を容易に得ることができる。
【0018】
形質転換体を得るための培養液は公知であり、YPD培地などの栄養培地(M. D. Rose et al., “Methods In Yeast Genetics”, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1990))や、MB培地などの最少培地(K. Okazaki et al., “Nucleic Acid Res.”, vol. 18, pp. 6485-6489 (1990))等を用いることができる。形質転換体の培養は、通常16〜42℃、好ましくは25〜37℃で、8〜168時間、好ましくは24〜72時間行う。振盪培養と静置培養のいずれでもよく、必要に応じて撹拌や通気を加えてもよい。
【0019】
マツエバクターキトサナーゼを培養液から単離し精製する方法としては、公知の方法で行うことができる。例えば、塩析または溶媒沈殿法等の溶解度の差を利用する方法、透析、限外ろ過またはゲル電気泳動法等の分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー等の荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー等の特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動等の等電点を利用する方法等が挙げられる。
【0020】
産生されたタンパク質の確認方法としては、公知のウェスタンブロッティング法や活性測定法等が挙げられる。また、精製されたタンパク質は、アミノ酸分析、アミノ酸末端(N末端)分析、一次構造解析などによりその構造を明らかにすることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその技術範囲がなんら限定されるものでない。
【0022】
[例1]発現ベクタ−pSL2P3M5−choAの作製
すでに知られているマツエバクターキトサナーゼ(Park, J. K. et al., “J. Bacteriol.”, vol. 181, pp. 6642-6649 (1999))の遺伝子配列を、ベクターに組込むためのタグAflII、HindIIIをそれぞれ持つ2本のプライマーを用いてPCR法により増幅し、得られた産物を制限酵素AflII、HindIIIで切断した。
【0023】
一方、これとは別に、公知のベクターpSL2P3M1(WO96/23890参照)を制限酵素AflIIおよびHindIIIで切断し、アルカリフォスファターゼ処理した。この処理後のベクターpSL2P3M1と、PCRにより得られた上記キトサナーゼ遺伝子断片とをライゲーションした後、大腸菌DH5株(東洋紡(株)製)に導入して形質転換した。得られた形質転換体よりベクターを調製し、目的とする発現ベクターpSL2P3M5−choA(図1)を持った形質転換体をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的とするベクターであることを確認した。
【0024】
図1は発現ベクターpSL2P3M5−choAのベクター構成図であり、各略号は以下とおりである。
NmR:抗生物質ネオマイシン耐性遺伝子
SV40:simian virus 40
AmpR:抗生物質アンピシリン耐性遺伝子
hCMV:human cytomegalovirus
LPI:human lipocortin I
ori:複製開始点
P3 signal:分泌シグナル(ペプチド配列;MKITAVIALLFSLAAASPIPVADPGVVSVSLKKR)遺伝子
choA:マツエバクターキトサナーゼ構造遺伝子。
【0025】
[例2]形質転換体の作製
宿主としてS. pombeのロイシン要求株、leu−32 h(ATCC38399)をロイシン含有最少培地で0.6×10細胞数/mlになるまで生育させた。集菌、洗浄後1.0×10細胞数/mlになるように0.1M酢酸リチウム(pH5.0)に懸濁し、30℃、60分間インキュベートした。
【0026】
その後、上記懸濁液100μlに、公知の酵母ベクターpAL7を制限酵素PstIで切断したもの1μg、例1で得た発現ベクターpSL2P3M5−choAを3μg、TE(トリスEDTA)15μlを加え、さらに50%(w/v)ポリエチレングリコール(PEG4000)水溶液を290μl加えてよく撹拌した後、30℃で60分間、43℃で15分間、室温で10分間の順にインキュベートした。遠心によりPEGを除去した後、1/2YEL−Leu培養液(0.25%イーストエキス、1.5%グルコースおよび0.003%ロイシンを含有)1mlに懸濁した。
【0027】
その懸濁液を100μl分取し、さらに900μlの1/2YEL−Leu培養液で希釈して32℃で60分間インキュベートした後、0.3mlを最少寒天培地に塗布した。2日後、形質転換体(マツエバクターキトサナーゼ発現株)が得られた。
【0028】
[例3]形質転換体の培養と菌体の破砕
例2で得られたキトサナーゼ発現株を2%グルコース、0.3%フタル酸、0.22%リン酸水素二ナトリウム、0.5%塩化アンモニウム、0.21%無機塩、0.002%ビタミン、0.0003%微量元素、7.5%アデニン、3.75%ウラシル、100μg/mlのG418を含む培地にて30℃で24時間培養した。この培養液を遠心分離し培養上清と菌体を得た。さらに得られた菌体をLバッファー(50mMトリス緩衝液(pH8.0)、150mM NaCl、1% Nonident-P40、5mM EDTA、10%グリセロール、プロテアーゼインヒビター入り)に懸濁し、ガラスビーズ法を用いて細胞を破砕し、細胞破砕液を得た。この細胞破砕液を遠心し遠心上清画分を得た。
【0029】
[例4]ウェスタンブロッティングによるマツエバクターキトサナーゼの確認例3で得られた培養上清、および細胞破砕液上清を用いてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)後、マツエバクターキトサナーゼを認識する抗体を用いてウェスタンブロット免疫染色したところ、培養上清では分子量34Kのタンパク質のバンドが、細胞破砕液では34Kと37Kのタンパク質のバンドが染色された(図2)。対照としてキトサナーゼ遺伝子を含まないベクタ−pSL2P3M5を持つS. pombeの培養上清および細胞破砕液を染色したが、マツエバクターキトサナーゼを認識する抗体により染色されるバンドは認められなかった。
【0030】
図2はpSL2P3M5−choAにおけるSDS−PAGEおよびウェスタンブロット観察図(写真)であり、略号は以下のとおり。
A:SDS-PAGE
B:ウェスタンブロッティング
レーンM、Dr、W:分子量マーカー
レーン1:マツエバクターキトサナーゼ(精製品)
レーン2:Endo H
レーン3:マツエバクターキトサナーゼ発現株の培養上清
レーン4: マツエバクターキトサナーゼ発現株の培養上清をEndo H (25 mU/ml)で処理したもの。
【0031】
[例5]ハローアッセイによるキトサナーゼ活性の確認
例2で得られた組換え株(マツエバクターキトサナーゼ発現株)を含む培養液15μlを、キトサンプレート上に滴下し30℃で2日間培養したところ、組換え株で透明なハローが形成された(図3B)。このことから組換え株が活性型のキトサナーゼを分泌発現していることが確認された。対照としてキトサナーゼ遺伝子を含まないベクタ−pSL2Mを持つS. pombeをキトサンプレート上で培養したが、キトサナーゼ活性は認められなかった(図3A)。
【0032】
図3はキトサナーゼ活性測定したハローアッセイの観察図(写真)であり、略号は以下のとおり。
A:ネガティブコントロール(pSL2P3M5で形質転換したS. pombe)
B:キトサナーゼ発現株(pSL2P3M5-choAで形質転換したS. pombe)。
【0033】
[例6]キトサナーゼ活性の測定
例3で得られた培養上清、および細胞破砕液上清を用いてスカーレス変法(Imoto, T. et al., “Agri. Biol. Chem.”, vol. 35, pp 1154-1156 (1971))によりキチンキトサンを基質としてキトサナーゼ活性を測定したところ、比活性は培養上清で102.36 U/mg protein、細胞破砕液上清で0.87 U/mg proteinであった。
【0034】
さらに例3で得られた培養上清、および細胞破砕液上清を、グルコサミン5量体、N−アセチルグルコサミン5量体溶液にそれぞれ加え、40℃で30分間培養した後、煮沸して反応を停止した。生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で観察したところ、培養上清は本来の酵素と同様に、グルコサミン5量体を2量体と3量体に分解し、N−アセチルグルコサミン5量体は分解しなかった。また細胞破砕液上清はグルコサミン5量体、N-アセチルグルコサミン5量体のいずれも分解しなかった(図4)。
【0035】
図4はHPLCのクロマトグラムであり、略号は以下のとおり。
GST-ChiA: キチナーゼ発現株
ChoA: キトサナーゼ発現株
A:N−アセチルグルコサミン5量体をベクター(コントロール)、GST-ChiAおよびChoAでそれぞれ処理したもの
B:グルコサミン5量体をベクター(コントロール)、GST-ChiAおよびChoAでそれぞれ処理したもの。
【0036】
[例7]至適pHおよびpH安定性の測定
至適pHは、キチンキトサンを基質として、予め希釈した酵素液をスカーレス変法により測定した。酵素反応は40℃で30分間行い、酵素失活には煮沸を15分間行った。pH安定性は、キチンキトサンを基質として、予め希釈した酵素液を各pH緩衝液中で1時間保持した後、スカーレス変法により測定した。酵素反応は40℃で30分間行い、酵素失活には煮沸を15分間行った。その結果、大腸菌で発現させたマツエバクターキトサナーゼ(His-Cho A)に比べ、S. pombeで発現させたマツエバクターキトサナーゼ(Cho A (yeast))は、pH安定性が若干高いことが確認された(図5)。
【0037】
図5は至適pHとpH安定性を示すグラフであり、略号は以下のとおり。
A):pHに対する活性
B):pHに対する安定性
His-ChoA:大腸菌で発現させたマツエバクターキトサナーゼ
ChoA (yeast):S. pombeで発現させたマツエバクターキトサナーゼ。
【0038】
[例8]至適温度および熱安定性の測定
至適温度は、キチンキトサンを基質として、予め希釈した酵素液をスカーレス変法により測定した。酵素反応は各温度で30分間行い、酵素失活には煮沸を15分間行った。熱安定性は、キチンキトサンを基質として、予め希釈した酵素液を各温度で1時間保持した後、スカーレス変法により測定した。酵素反応は40℃で30分間行い、酵素失活には煮沸を15分間行った。その結果、大腸菌で発現させたマツエバクターキトサナーゼ(His-Cho A)に比べ、S. pombeで発現させたマツエバクターキトサナーゼ(Cho A (yeast))は、熱安定性が極めて高いことが確認された(図6)。
【0039】
図6は至適温度と熱安定性を示すグラフであり、略号は以下のとおり。
A):温度に対する活性
B):温度に対する熱安定性
His-ChoA:大腸菌で発現させたマツエバクターキトサナーゼ
ChoA (yeast):S. pombeで発現させたマツエバクターキトサナーゼ。
【0040】
[例9]細胞形態の観察
キトサナーゼ発現株の形態を顕微鏡で観察したところ、通常の細胞と違い膨れた形状が観察された(図7)。
【0041】
マツエバクターキトサナーゼ発現株の形態の顕微鏡観察図(写真)であり、倍率は1000倍、略号は以下のとおり。
GST-ChiA:キチナーゼ発現株
ChoA:キトサナーゼ発現株
GST-ChiA + ChoA:キチナーゼとキトサナーゼの同時発現株。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、活性のあるマツエバクターキトサナーゼを含む菌体培養上清を得ることができたので、本発明により、活性型のマツエバクターキトサナーゼを容易にかつ大量に製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】発現ベクターpSL2P3M5−choAのベクター構成図。
【図2】pSL2P3M5−choAにおけるSDS-PAGEおよびウェスタンブロットの観察図(写真)。
【図3】キトサナーゼ活性測定の観察図(写真)。
【図4】HPLCのクロマトグラム。
【図5】至適pHとpH安定性を示すグラフ。
【図6】至適温度と熱安定性を示すグラフ。
【図7】マツエバクターキトサナーゼ発現株の形態の顕微鏡観察図(写真)。

Claims (2)

  1. マツエバクターキトサナーゼをコードする構造遺伝子領域と分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)の分泌シグナル遺伝子領域を含有し、該マツエバクターキトサナーゼをコードする構造遺伝子領域が該分泌シグナル遺伝子領域の下流に位置する発現ベクターで分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を形質転換し、得られた形質転換体を培養してマツエバクターキトサナーゼを産生させ、該形質転換体を培養した培養液からマツエバクターキトサナーゼを回収することを特徴とする、マツエバクターキトサナーゼの製造方法。
  2. 発現ベクターがプラスミドpL2P3M5−choAである、請求項1に記載のマツエバクターキトサナーゼの製造方法。
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