JP4206810B2 - 中空糸分離膜モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧の混合ガスを供給して混合ガス中の少なくとも一つのガス成分を選択的に分離回収するために好適に用いることができる改良された耐圧性及び耐久性を有する中空糸ガス分離膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
中空糸ガス分離膜モジュールは、ガス選択透過性を有する中空糸膜を数百本から数十万本集束した中空糸束と前記中空糸束の少なくとも一方の端部で中空糸膜を開口状態で保持するようにして埋め込んで固着した樹脂製の管板とを含んで構成された中空糸分離膜エレメントを、少なくとも混合ガス供給口、非透過ガス排出口及び透過ガス排出口を備える容器内に、中空糸膜の内側に通じる空間と中空糸膜の外側へ通じる空間とが隔絶されるように装着されて構成されている。
【0003】
中空糸ガス分離膜モジュールを用いてガス分離を行うとき、しばしば混合ガスが加圧されて中空糸ガス分離膜モジュールへ供給される。図12は、中空糸ガス分離膜モジュールの形態の一例を示す模式図(断面図)である。使用時に加圧された混合ガスが供給されると、容器21と管板24とで囲まれ混合ガス供給口25に面した空間と、中空糸膜の内側と、容器21と管板24’とで囲まれ非透過ガス排出口26に面した空間とが高圧側になり、一方、容器21と2つの管板24、24’とで囲まれ透過ガス排出口27に面した中空糸膜の外側の空間が低圧側になるから、高圧側の空間に面した管板表面がより高い圧力を受圧する。
また、図13は、中空糸ガス分離膜モジュールの形態の別の一例を示す模式図(断面図)であるが、使用時に加圧された混合ガスが供給されると、容器21と2つの管板24、24’とで囲まれ混合ガス供給口25及び非透過ガス排出口26に面した中空糸膜の外側の空間が高圧側になり、一方、中空糸膜の内側と、容器21と管板24、24’とで囲まれ透過物排出口27、27’に面した2つの空間とが低圧側になるから、高圧側の空間に面した管板表面がより高い圧力を受圧する。
【0004】
管板は通常樹脂で形成される。特に高圧の混合ガスが供給される用途ではエポキシ樹脂のような機械的強度が優れた硬化性樹脂を用いて耐圧性を有する管板が形成されている。また、管板は、容器の管板との接触面に形成されて受圧や抜け防止や回り止めの役割を持った受圧面や抜け防止面や回り止め面などからなる凹凸形状部分に沿って成形又は注型され、前記凹凸形状部分に嵌合することによって容器に堅固且つ位置ずれを起こさないように取り付けられている。そして、使用時に管板に加えられた圧力を前記凹凸形状部分の受圧面によって容器が受け止めて管板が保持されるように形成されている。
【0005】
しかしながら、中空糸分離膜モジュールがより高い圧力の混合ガスが供給されて用いられる場合や高温や低温が繰返されるなど厳しい温度条件下で用いられる場合あるいは長期間連続的又は間欠的に高圧の混合ガスが供給される場合などでは、エポキシ樹脂のような機械的強度が優れた硬化性樹脂からなる管板を用いたときでも、容器と管板との接触面に形成した凹凸形状部分近傍において管板に亀裂が発生して中空糸ガス分離膜モジュールの分離性能が低下したり使用不能になるなどの問題が生じることがあった。このため、管板の耐圧性及び耐久性がより改良された中空糸分離膜モジュールが求められていた。
この問題を解決するために管板を厚くして管板強度を増すことが考えられる。しかしながら、単に管板を厚くしても必ずしも亀裂の発生を抑制できなかった。しかも、管板を厚くするとその分だけ中空糸分離膜の端部が管板に包埋されて分離機能を果たせなくなるから中空糸分離膜モジュール内の有効膜面積が小さくなり、分離効率が低下したり中空糸分離膜モジュールが大型化して重くなるなどの問題が生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、管板の耐圧性能及び耐久性能をより高めた、改良された中空糸分離膜モジュールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、多本数の中空糸分離膜からなる中空糸束と、前記中空糸束を包埋し固着している管板と、それらを収納している容器とを含んで構成され、管板と容器とが接触している部分に受圧面と抜け防止面とを設けた中空糸分離膜モジュールにおいて、(1)受圧面が、使用時に管板に加わる圧力方向に垂直な面であり、使用時に受圧する管板表面から15mm以上隔てて設けられている(2)受圧面の角部が面取り加工されている(3)抜け防止面が、使用時に受圧する管板表面と受圧面との間に設けられ、抜け防止面と受圧面との間の面に対して90°〜150°の傾きを持っていること、または、抜け防止面が、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられることを特徴とする中空糸分離膜モジュールに関する。
また、本発明は、管板の回り止め面が、管板と容器とが接触している部分であって、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられること、管板が、管板内に包埋した中空糸束の外周に、2mm以上の厚さの中空糸束が包埋されていない外周部を有すること、管板が硬化樹脂からなることを特徴とする前記中空糸分離膜モジュールに関する。
更に、本発明は、窒素富化空気、酸素富化空気、乾燥空気、二酸化炭素ガス、水素ガス、または、有機蒸気のいずれかを分離回収することを特徴とする前記中空糸分離膜モジュールに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
中空糸ガス分離膜はポリイミドやポリスルホンやポリカーボネートなどの樹脂で形成されている。これらの中空糸ガス分離膜は膜厚が薄い中空構造であるから糸としての機械的強度は小さい。管板はこのような機械的強度が小さな中空糸の束を包埋している。このため、管板をエポキシ樹脂のような機械的強度が優れた樹脂で形成しても、管板の中空糸束を包埋している部分は剛性が小さくて変形し易い。
中空糸分離膜モジュールに高圧の混合ガスが供給されると、管板の高圧側の表面は受圧し、その圧力を管板と容器とが接触している部分の凹凸形状部分の受圧面が支える。そうすると、管板はこの受圧面を支点としてたわむから、受圧面近傍に応力が集中し易い。この結果受圧面の近傍で亀裂が発生し易くなる。
更に、管板には、樹脂特に硬化性樹脂で形成される時に収縮特に硬化収縮によって生じる応力が残留応力として残っている。この残留応力もしばしば管板と容器とが接触している部分の凹凸形状部分近傍に集中する。そして、残留応力が受圧面近傍に集中するとこの部分で亀裂が発生し易くなる。
【0009】
本発明の中空糸ガス分離膜モジュールは、前述のような知見に基づいてなされたものであり、具体的には、▲1▼使用時の管板のたわみを抑制することができる、▲2▼使用時の管板のたわみによって生じる応力集中特に受圧面近傍への応力集中を抑制することができる、▲3▼管板形成時の樹脂の収縮による残留応力特に受圧面近傍の残留応力を抑制することができる、ような容器及び管板の形状及び形態について種々検討した結果なされたものである。
【0010】
本発明において、使用時に管板に加わる圧力方向とは、使用時に管板を挟んで形成された高圧側空間及び低圧側空間のうち高圧側空間のガスが管板に対して加える圧力方向のことである。通常は高圧側空間に面した管板表面に対して略垂直な方向である。また、使用時に受圧する管板表面とは、使用時に管板を挟んで形成された高圧側空間及び低圧側空間のうち高圧側空間のガスから圧力を受圧する高圧側空間に面した管板の表面のことである。
本発明において、受圧面とは、中空糸分離膜モジュールへ高圧の混合ガスが供給されたとき受圧した管板を受け止めて容器内の所定位置に保持するために備えられるものであって、使用時に管板表面が受圧した圧力を管板を介して容器で受け止める面である。受圧面は管板と容器とが接触している部分に容器と管板とが嵌合するように設けられており、供給された混合ガスによって管板が受圧する圧力の方向に対して垂直な面又は垂直な面成分を有する傾斜面で構成される。受圧面は容器と管板とが接触する面に沿って周状に設けられることが均一な受圧が可能になるので好ましいが、必ずしも周状であることに限定されるものではない。受圧面を周状に設けると、受圧面が形成された部分で管板の外径は小さくなる。受圧面は周方向や使用時に管板に加わる圧力方向に沿って複数設けられても構わない。複数の受圧面を設けるときは混合ガスが供給されたときに管板が受ける圧力を適当に分散して受圧するように形成されねばならない。たとえ圧力を受け止めるような形状の面であっても実際に受圧しない面は受圧面とはいえない。
本発明において、受圧面の角部とは、受圧面の端部に形成される角部であって容器が凸で管板が凹となる部分である。
本発明において、抜け防止面とは、管板が供給された高圧の混合ガスによって受圧する方向とは逆の方向にずれたり移動しないようにするためのものであって、供給された高圧の混合ガスによって管板が受圧する圧力の方向に対して垂直な面又は垂直な面成分を有する傾斜面で構成されるが、受圧面とは反対の方向を向いて構成される。
本発明において、回り止め面とは、特に円筒状の容器内に管板が配置されているときに円柱状に形成された管板が円筒容器内で回転するのを防止するために設けられる。回り止め面は、右回り及び左回りの両方向に回転するのを防止するから通常はそれぞれの方向への回転を防止するように構成される。
【0011】
本発明の中空糸ガス分離膜モジュールの特徴は、容器と管板とが接触している部分の形状及び形態に関するものである。以下に本発明の好ましい実施態様について個々に列挙しながら説明する。尚、本発明は、管板の使用時に受圧する表面の直径(円形でない場合は、同じ面積を有する円として算出した時の直径)が20mm〜300mm程度特に50mm〜280mm程度であって、供給される混合ガスの圧力が0.05〜2.0MPaG(ゲージ圧、以下同じ。)、特に0.2〜1.4MPaG更に0.5〜1.4MPaGである中空糸分離膜モジュールに特に好適に適用することができる。
【0012】
1)受圧面が、使用時に管板に加わる圧力方向に垂直な面であり、使用時に受圧する管板表面から15mm以上隔てられている。
受圧面は、使用時に管板に加わる圧力方向に対して垂直な面であることが、管板が受ける圧力を受圧して管板を堅固に保持することができるので好適である。ここで、垂直とは略垂直であってよく、好ましくは管板に加わる圧力方向に対して75°〜105°特に85°〜95°程度の面である。また、受圧面は全面が略垂直である必要はない。面取りなどの加工がなされて一部が別の角度をもった面や曲面を形成していても構わない。面取りなどの加工がなされたときでも受圧面の50%以上の面積が略垂直であることが好ましい。
また、管板は中空糸束が包埋された部分と中空糸束が包埋されていない部分とを持ち、通常中空糸束が包埋されていない部分が管板の外周部に位置している。そして、中空糸束が包埋されていない部分は中空糸束が包埋された部分に比べて剛性が大きいので変形し難い。使用時に受圧した管板は受圧面を支点としてたわむ。受圧面が使用時に受圧する管板表面のより近くに配置されると、受圧する管板表面とたわみの支点となる受圧面との間の剛性が大きくてたわみを抑制できる部位(中空糸束が包埋されていない樹脂部分)がより薄く小さくなって、管板のたわみが大きくなる。一方、受圧面を使用時に受圧する管板表面から15mm以上、好ましくは15〜150mm特に20〜50mm隔てて設けると、受圧する管板表面とたわみの支点になる受圧面との間の剛性が大きくてたわみを抑制する部位(中空糸束が包埋されていない樹脂部分)がより厚く大きくなるから、この部分によって管板のたわみが抑制される。たわみが抑制された結果、管板内に生じる応力が小さくなって亀裂を抑制できる。
受圧面を使用時に受圧する管板表面から15mm未満のところに設けると、エポキシ樹脂のような機械的強度が優れた樹脂材料で管板を形成した場合でも、管板のたわみを十分抑制できなくなり亀裂が発生し易くなるから好適ではない。また、受圧面を使用時に受圧する管板表面から150mmを超えたところに設けると、管板が厚くなって管板内に包埋される中空糸分離膜の面積が大きくなるから、中空糸分離膜モジュール内の中空糸分離膜の有効膜面積が小さくなって分離効率が低下したり、中空糸分離膜モジュールが大型化したり重くなるから好適ではない。
【0013】
2)受圧面の角部が面取り加工されている。
受圧面を形成すると、受圧面と使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方の容器内面との両面によって管板が凹で容器が凸の角部が形成される。管板は使用時に管板が加圧されたとき受圧面を支点にしてたわむから、この受圧部の角部の近傍は最も集中応力が発生し易い。受圧面が使用時に管板に加わる圧力方向に対して垂直な面で構成され且つ使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方の容器内面が圧力方向と平行な面で構成された場合、受圧面の角部は90°の角度を持って構成されることになるが、このように90°の角度を持った角部近傍に応力が集中すると容易に亀裂が発生する。
このため受圧面の角部は少なくとも90°以上の角度で構成されるように面取り加工されることが好適である。例えば90°の角度で構成された受圧面の角部を二等辺三角形状に面取り加工して二つの135°の角度で構成することによって、使用時の管板のたわみによって生じる応力集中と亀裂の発生を抑制することができる。更に、受圧面の角部を面取り加工して1.0mm〜10mm好ましくは1.0〜5.0mm特に1.3〜2.0mmの曲率半径を持った曲面に加工することが、使用時の管板のたわみによって生じる応力集中を抑制してより広い範囲に分散させることが可能になるので好適である。曲面加工しても1.0mm未満の曲率半径では応力がこの角部の近傍に集中して亀裂を発生し易くなるので好ましくない。また、曲率半径が10mmを越えると、受圧面を大きくしないと管板を容器に堅固に且つ位置ずれを起こさないように取り付けるのが難しくなるから好適ではない。
【0014】
3)抜け防止面が、使用時に受圧する管板表面と受圧面との間に設けられ、抜け防止面と受圧面との間の面に対して90°〜150°の傾きを持っている。
抜け防止面は、管板が使用時に受圧する方向とは逆方向へ位置ずれしたり抜け出すのを防止するために設けられるものである。即ち、管板は受圧面と抜け防止面とによって前後方向への動かないように固定されている。
この抜け防止面が使用時に受圧する管板表面と受圧面との間に設けられる場合には、抜け防止面と受圧面との間の面に対して90°〜150°特に120°〜150°の傾きを持つように形成されることが好適である。この形態で管板を固定して、位置ずれしたり抜け出すのを防止する役割が十分果たせる。また、受圧面と抜け防止面とをこのような形態にすれば、容器が凹になり管板には受圧面と抜け防止面などからなる凸部分が形成され、その角部はいずれも直角又は鈍角によって形成される。このため、樹脂でこのような管板を成形又は注型する時に樹脂は自由に収縮できて残留応力が小さくなるので好適である。
抜け防止面が、使用時に受圧する管板表面と受圧面との間に、抜け防止面と受圧面との間の面に対して90°未満の傾きを持って設けられると、管板を固定するには効果的であるが、管板に鋭角の角部ができて、そこが管板を形成する時の樹脂の収縮時にアンカーとして作用して、樹脂の収縮に伴う残留応力が発生し易くなるので好ましくない。また、抜け防止面が抜け防止面と受圧面との間の面に対して150°を超えると、管板を固定する作用が十分に果たせなくなるから好ましくない。
【0015】
4)または、抜け防止面が、使用時に管板に加わる圧力方向で見て、受圧面よりも後方に設けられる。
抜け防止面は、前記3)と異なる好ましい態様として、使用時に管板に加わる圧力方向で見て、受圧面よりも後方に設けられることが好適である。抜け防止面をこの位置に設けると使用時に管板が受圧した時の圧力は受圧面によって受圧されて、抜け防止面を形成する凹凸形状部分はほとんど受圧しないか受圧しても僅かである。即ち、この位置に設けた抜け防止面の近傍に生じるは応力は小さくなって容易に亀裂が発生しなくなるから好適である。
この位置に設けられた抜け防止面は、管板が鋭角の角度を持った角部を持たなければ、容器が凹で管板が凸になる形状又は容器が凸で管板が凹になる形状で構成されてもよい。また、凹凸形状ではなく単純な面として構成されてもよい。凹凸形状で構成されたときには管板に鋭角の角部ができないように形成されることが好ましく、また、単純な面として構成された抜け防止面は、使用時に管板に加わる圧力の方向で見て抜け防止面より後方の容器内面と90°〜150°の角度ができるように形成されることが好ましい。
【0016】
5)管板の回り止め面が、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられる。
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、管板は、受圧面と抜け防止面によって使用時に管板に加わる圧力方向の前後方向は固定されている。しかし、中空糸分離膜モジュールの容器が円筒状であるときには、管板は円板状をしており、管板が円筒容器内で回転する恐れがある。管板が回転すると中空糸束をねじって中空糸膜を破損したり破断して分離膜モジュールが使用できなくなる。このため、中空糸分離膜モジュールの容器が円筒状であるときには、管板が容易に回転しないように回り止め面を施す必要がある。管板の回り止め面は、管板と円筒状容器とが接触している円周上に単数又は複数個の凹凸形状部分として容易に形成することができる。
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、管板の回り止め面は管板と円筒状容器とが接触している円周上に単数又は複数個の凹凸形状部分として形成されて構わないが、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられることが好適である。使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けることによって、使用時に管板が受圧した時の圧力はまず受圧面によって受圧されて、直接にこの管板の回り止めで受圧することがない。この結果、この管板の回り止めの近傍では容易に亀裂が発生し難くなるから好適である。
また、本発明において、回り止め面は平面で構成された凹凸でもよいが、曲面で構成された例えば半円柱状の凹凸であるのが亀裂の発生を抑制するので好適である。
更に、管板の回り止め面は、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に位置し、容器が凹で管板が凸になる形状で、管板と容器とが接触している部分から管板と容器とが接触していないところまで容器内表面を溝状に延びて設けられることが、容器の加工や樹脂による管板の成形や注型が容易であるので好適である。
【0017】
6)管板が、管板内に包埋した中空糸束の外周に、2mm以上の厚さの中空糸束が包埋されていない外周部を有する。
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、管板の外周部に2mm以上、特に2mm〜30mm更に3mm〜10mmの厚さの中空糸束が包埋されていない樹脂成分だけからなる外周部を有することが好適である。前述のように、中空糸束が包埋されていない部分は中空糸束が包埋された部分に比べて剛性が大きいので変形し難い。管板の外周部は、受圧面に接触している部分であって管板がたわむのを抑制するうえで重要な役割を果たす。従って、受圧面に対応した外周部全体に剛直な2mm以上の厚さの樹脂成分だけから構成された剛直な層が形成されれば管板のたわみを効果的に抑制できる。
管板の外周部に30mmを超える厚さの中空糸束が包埋されていない樹脂成分だけからなる外周部を設けるのは、管板のたわみは効果的に抑制できるが、分離膜モジュール内に収納する中空糸分離膜本数が限定されて分離膜の有効膜面積が小さくなって分離効率が低下したり、分離膜モジュールが小型軽量ではなくなってしまうから好適ではない。
【0018】
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、容器は少なくとも混合ガス供給口、透過ガス排出口及び非透過ガス排出口を備え、中空糸束と管板からなる中空糸分離膜エレメントをその内部に収納して、中空糸の内部へ通じる空間と中空糸の外部へ通じる空間とが隔絶するように固定することができるものであれば、特に限定されるものではない。両端が開口した筒状物とその両端の開口部を蓋うキャップから構成されていてもよく、箱状物とその開口部を蓋うキャップから構成されていてもよい。特に大型のモジュールでは、容器は両端部が開口した円筒容器とその両端開口部を蓋うキャップからなることが容器の耐圧性を考慮すると好適である。また、容器は、中空糸分離膜エレメントを装着する内套と、その中空糸エレメントを装着した内套を収納する外套との二重構造であっても構わない。外套と内套との二重構造の場合は、内套の内側に凹凸形状部分が設けられ、その凹凸形状部分に装着する中空糸エレメントの管板が嵌合されるから、本発明を構成する特徴は、内套の内側の面と管板とが接触している部分に構成される。
【0019】
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、中空糸分離膜は、分離回収するガス混合物や分離条件に適合した材料で形成されたものを好適に用いることができる。例えば、ポリオレフィン、ポリブタジエン、シリコーン樹脂、セルロース系高分子、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリアリレート、ポリカーボネートなどのエラストマー材料やガラス状ポリマー材料でもよく、ゼオライトなどのセラミック材料、炭素材料、ポリマーを部分炭素化した材料でもよく、更に前記材料を含む複合材料でもよい。また、本発明の中空糸分離膜は、均質性のものでも複合膜や非対称膜などの不均質性のものでもよく、多孔性のものでも非多孔性のものでもよい。中空糸分離膜は外径が50〜2000μmで膜厚が10〜500μmのものを好適に挙げることができる。
【0020】
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、管板は、ポリオレフィンやポリアミドなどの熱可塑性樹脂およびウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの硬化性樹脂を用いて好適に形成される。エポキシ樹脂は機械的強度や耐熱性が優れているから特に好適である。管板は特に限定されることがなく従来の方法で形成される。硬化性樹脂を用いた場合には、例えば、内面の管板と接触する部分に所定の凹凸形状を有する容器内に中空糸束を仮留めして装着し、管板となる部分に硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を注入し次いで加熱などの方法によってエポキシ樹脂を硬化させて容易に得ることができる。エポキシ樹脂が硬化したあとで端部表面を切削加工して中空糸膜の端部を開口させてもよい。
【0021】
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、中空糸束の形態や中空糸束と管板とからなる中空糸膜エレメントの形態には特に限定はなく周知の形態のものを用いることができる。中空糸束は中空糸分離膜が好ましくは略平行に束ねられるが、綾織、平織、あるいは畳織のように織られて集束されていてもよい。また、中空糸束は長手方向に直線状で収納されるものであっても例えばU字状のように折り曲げて収納されるものであっても構わない。更に、束の略中央部に芯管を配置したり、糸状物質や膜物質を束の周囲に巻き付けてあっても構わない。
【0022】
中空糸分離膜モジュールに高圧の混合ガスが供給される用途では、管板内に生じる応力が極めて大きくなるので、管板の耐圧性を改良した本発明の中空糸分離膜モジュールは極めて有用である。例えば、中空糸分離膜モジュールの混合ガス供給口に空気を供給して非透過ガス排出口から窒素富化空気及び/又は透過ガス排出口から酸素富化空気を得たり、混合ガス供給口に空気を供給し水蒸気を選択的に透過させて非透過ガス排出口から乾燥空気を得たりする場合には、空気を0.05〜2.0MPaG、特に0.2〜1.4MPaG更に0.5〜1.4MPaGの高圧にして供給する。更に、二酸化炭素ガスや水素ガスを含有する混合ガスから二酸化炭素ガスや水素ガスを分離回収するときも、混合ガスは同様な高圧で供給される。このような高圧の混合ガスを供給される場合には、本発明の中空糸分離膜モジュールは極めて好適である。
また、含水の有機溶剤を高温に加熱して得られる水蒸気と有機蒸気との混合ガスを供給して非透過ガス排出口から脱水された有機蒸気を回収する場合には、供給ガスを高圧及び高温状態で供給する。この場合には、圧力によって発生した応力に加えて、温度による膨張や収縮によって発生する応力が加わるので、管板に大きな応力が発生し易い。管板の耐圧性および耐久性を改良した本発明の中空糸分離膜モジュールは、このような場合にも好適に用いることができる。
以上説明したような用途で好適に用いられる本発明の中空糸分離膜モジュールでは、分離するガスの分離係数が高く且つ耐圧性や耐熱性に優れたポリイミドからなる非対称性中空糸膜を特に好適に用いることができる。
【0023】
本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、モジュールのタイプは特に限定されるものではない。図12で示した中空フィードタイプでも図13で示したシェルフィードタイプでもよく、キャリアーガスを用いるタイプでもキャリアーガスを用いないタイプでもよい。キャリアーガスを用いるタイプでは、容器にキャリアーガス導入口が配置されたり、エレメントにキャリアーガス導入管が配置される。キャリアーガス導入管は管板及び中空糸束の略中心部に配置される芯管であってもよい。
【0024】
更に、本発明の中空糸分離膜モジュールは円筒状や箱型などの形態に限定されるものではない。いずれにせよ、モジュール内では中空糸分離膜の内外に通じるそれぞれの空間はお互いに隔絶されており、混合ガスが混合ガス供給口から供給され、中空糸膜の内側か外側のどちらか一方の側へ導入され、中空糸膜の表面に接しながら流れてモジュール外へ非透過ガス排出口から排出され、その間に中空糸膜を選択的に透過した成分は中空糸膜の反対側(透過側)の空間に通じている透過ガス排出口からモジュール外へ排出されるように構成されていればよい。
また、本発明の中空糸分離膜モジュールにおいて、容器などの構成部品は機械的強度、気密性、耐熱性及び耐圧性などが所定の特性を備えていれば特に限定はなく、通常はステンレスなどの金属材料、プラスチック材料、繊維強化プラスチック材料、または、セラミックス材料等により形成できる。また、必要に応じて、接着剤やボルトナットやパッキン類等を用いて構成される。
【0025】
以下、図によって更に詳しく説明する。尚、図は管板に包埋された中空糸束の長手方向に沿って切断した時の断面図であり、管板と容器とが接触している部分を局部的に示したものである。
図6は、従来の中空糸分離膜モジュールの一つの形態について説明するもので、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。使用時に管板に加わる圧力方向を図中に矢印で示してある。
図6の従来の形態においては、使用時に受圧する管板表面6と受圧面4との間に、容器が凸で管板が凹の凹凸形状部分が形成されている。この凹凸形状部分はその一面が抜け防止面7を形成するためのものであるが、同時に使用時に受圧する管板表面の近くに位置した受圧面4’を形成している。この形態では、管板を樹脂で形成する時の収縮時に前記凹凸形状部分がアンカーとして作用して残留応力が発生し易い。しかも、使用時に管板が受圧した時、この凹凸形状部分に形成された受圧面4’は圧力方向で見て前方に位置するから比較的大きな圧力を受けることになり、後方に位置する受圧面4は比較的少ない圧力を受けるようになる。このため受圧面4’を支点にして管板がたわむことになるが、受圧面4’は受圧する管板表面に近接しているため、たわみを抑制することができなくてより大きな応力が発生する。これらのために受圧面4’と抜け防止面7とを形成する凹凸形状部分近傍に亀裂が発生し易い。
【0026】
図1は、本発明の中空糸分離膜モジュールの一つの実施態様について説明するもので、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。使用時に管板に加わる圧力方向を図中に矢印で示してある。
図1の実施態様において、管板2と容器1とが接触している部分に受圧面4と抜け防止面7とが設けられている。受圧面4は使用時に管板に加わる圧力方向に略垂直な面になっている。また、受圧面4は使用時に受圧する管板表面6から15mm以上隔てて設けられて、管板が受圧した時の管板のたわみが抑えられて発生する応力を抑制している。
また、受圧面の角部5は、面取り加工がされて1.0mm以上の曲率半径を持った曲面で構成され、受圧面の角部5の近傍に応力が集中することを抑制している。
更に、抜け防止面7が、使用時に受圧する管板表面6と受圧面4との間に設けられ、抜け防止面7と受圧面4との間の面8に対して90°〜150°の傾きを持って構成されている。即ち、容器が凹になり且つ管板が凸になって嵌合する部分の角度が90°〜150°である。このことによって、管板が樹脂で形成されるときに管板は自由な収縮が可能になり、収縮による残留応力は極めて小さくなっている。
【0027】
図2及び図3は、本発明の中空糸分離膜モジュールの別の一つの実施態様について説明するもので、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。使用時に管板に加わる圧力方向を図中に矢印で示してある。
図2及び図3の実施態様において、管板2と容器1とが接触している部分に受圧面4と抜け防止面7とが設けられていること、受圧面4は使用時に管板に加わる圧力方向に略垂直な面になっていること、受圧面4は使用時に受圧する管板表面6から15mm以上隔てて設けられていること、及び、受圧面の角部5は面取り加工されて1.0mm以上の曲率半径を持った曲面に形成されていることは、図1の実施態様と同様である。
図2の実施態様では、抜け防止面7が使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面4よりも後方に設けられている。抜け防止面7を使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面4よりも後方に設けることによって、使用時に管板が受圧した時の圧力はまず受圧面によって受圧されて、この抜け防止面近傍ではほとんど受圧しないか受圧しても僅かになり、抜け防止面が図2のように容器が凹で管板が凸の形状によって形成されても応力の発生が少なく亀裂の発生が抑制される。尚、この場合の抜け防止面は、容器が凸で管板が凹の形状よって形成されても構わない。
【0028】
図3の実施態様では、抜け防止面7が図2の実施例と同様に使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられている。更に、その形態は図2の実施態様のような凹凸形状によって形成されたものではなく、単純な面で構成されている。
【0029】
図4は、本発明の中空糸分離膜モジュールの別の一つの実施態様について説明するもので、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。使用時に管板に加わる圧力方向を図中に矢印で示してある。
図4の実施態様では、図1で示した実施態様に加えて、回り止め面9が、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面4よりも後方に設けられている。この回り止め面9は、容器が凹で管板が凸の形状で管板と容器とが接触している部分から管板がないところまで容器が凹の溝状になって延びている。この回り止め面9は、容器内面と管板が接触する部分に2ケ所設けられている。図5はその形態を示すために図4の実施態様において2ケ所の回り止め面9、9’を含み容器及び管板を輪切りにした断面の概略図である。回り止め面は円筒状の容器の内面に沿った円周上の2ケ所に半円状の溝状構造として形成されている。また、その溝状構造には管板が嵌合された部分と樹脂が注型されないで溝状構造のままになっている部分とがある。尚、この回り止め面を形成するための溝状構造の端部は抜け防止面7’を形成している。図5では管板内に包埋されている中空糸分離膜の断面は記載していない。
【0030】
また、図1〜図5の本発明の実施態様のいずれの場合にも、管板の外周部に少なくとも2mm以上の厚さの中空糸束が包埋されていない樹脂成分だけからなる外周部を有するように構成されている。
【0031】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
(耐圧性の評価方法)
中空糸分離膜モジュールを図10のように配置し接続した。即ち、高圧空気源が電磁式ストップバルブ11を介して中空糸分離膜モジュール10の混合ガス供給口と配管で接続され、その配管の途中には枝分かれの配管があり電磁式ストップバルブ12を介して大気へ開放されている。更に、中空糸分離膜モジュール10の非透過ガス排出口にはストップバルブ14が接続されて全閉となっており、中空糸分離膜モジュール10の透過ガス排出口は大気に開放されている。
電磁式ストップバルブ12を閉じ同時に電磁式ストップバルブ11を開いて、温度25℃で圧力が1.8MPaGに調製された空気を中空糸分離膜モジュール10へ供給して加圧状態を5秒間保持する。次いで、電磁式ストップバルブ11を閉じ同時に電磁式ストップバルブ12を開いて中空糸分離膜を常圧にする。この切替は2秒間でおこない、常圧で5秒間保持する。次いで、電磁式ストップバルブ12を閉じ同時に電磁式ストップバルブ11を開いて中空糸分離膜モジュール10を加圧にする。この切替は2秒間でおこない、加圧で5秒間保持する。このような加圧と常圧のサイクルを10000回繰返す。
加圧常圧サイクルが終了後、中空糸分離膜モジュールを試験装置から取外し、更に容器端部を形成しているキャップ部等を外して、管板を目視で観察し亀裂の有無を調べた。
【0033】
実施例1
透過ガス排出口を備える円筒の容器内に両端に管板が形成された中空糸分離膜8000本からなる中空糸分離膜エレメントを装着し、円筒容器の両端部が混合ガス供給口を備えるキャップと非透過ガス排出口を備えるキャップとによって閉塞されてなる、容器と管板とが接触している部分の形状及び形態が図1に示したものであって、その主要な寸法が図7(但し、寸法の単位はmm、距離(A)は21mm、距離(B)は13mmである。)に示したものである中空糸分離膜モジュールを製作した。
また、中空糸束の中空糸膜充填率(中空糸束の断面積に占める中空糸膜の断面積の総和の百分率)は35%とした。
管板は、ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂エピコート154 90重量部、BFGoodrich社製CTBN1300 10重量部、日立化成工業社製の無水メチルハイミック酸(MHAC−P) 80重量部及び四国化成工業社製の2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI) 1重量部からなる樹脂組成物を注型し100℃で2時間加熱硬化し、端部を切削加工して形成した。尚、管板では、管板内に包埋した中空糸束の外周に、6mmの厚さの中空糸束が包埋されていない樹脂のみで形成された部分を配置した。図7では管板に包埋されている中空糸分離膜は記載していないが、中空糸分離膜が包埋された領域と樹脂成分だけの領域との境界を破線で示してある。
この中空糸分離膜モジュールについて耐圧性の評価をしたところ、20個すべてにおいて全く亀裂は見られなかった。
【0034】
実施例2
容器と管板とが接触している部分の形状及び形態が図2に示したものであって、その主要な寸法が図8(但し、寸法の単位はmmである。)であること以外は実施例1と同様な中空糸分離膜モジュールについて耐圧性の評価を行ったところ、20個すべてにおいて全く亀裂は見られなかった。
【0035】
比較例1
容器と管板とが接触している部分の形状及び形態が図6に示したものであって、その主要な寸法が図9(但し、寸法の単位はmmである。)であること以外は実施例1と同様な中空糸分離膜モジュールについて耐圧性の評価を行ったところ、5個中の2個において亀裂が発生していた。
【0036】
比較例2
管板が、管板内に包埋された中空糸束の外周に、1mmの厚さの中空糸束が包埋されていない樹脂成分のみからなる外周部を有するようにしたこと以外は、実施例1と同様な中空糸分離膜モジュールについて耐圧性の評価を行ったところ、5個中の3個において亀裂が発生していた。
【0037】
実施例3
実施例1と同様の形態を有する中空糸分離膜モジュール(寸法は、図7のとおり。)について、管板表面と受圧面との距離(A)を変えたときに発生する最大応力を有限要素法構造解析プログラムを用いたシミュレーションによって算出した。シミュレーションは、管板の樹脂成分だけから構成された部分の弾性率を3000MPa、管板の中空糸束が包埋された部分の弾性率を1500MPa、両者のポアソン比をいずれも0.35とし、管板の表面に1.4MPaの均一な圧力が加えられたものとして行った。尚、実際的な管板形状を考慮して距離(A)の変化と共に距離(B)も変化させた。
最大応力はいずれの場合も受圧面の角部近傍に生じた。結果を表1及び図11に示す。
【表1】
管板表面と受圧面との距離(A)が21mmのとき(No.4)が実施例1に相当する。このとき発生する最大応力は0.97Kg/mm2である。使用時に管板が受圧して管板内に生じる最大応力に対する管板の機械的強度(例えば引張強度)の比を安全率として考えると、管板が通常のエポキシ樹脂で形成されているこのモジュールは、1.4MPaの加圧に対して少なくとも5倍以上の安全率を持っている。
一方、管板表面と受圧面との距離(A)が小さくなると発生する最大応力は急激に増大する。管板表面と受圧面との距離(A)が10mmのとき(No.1)では、最大応力は2.28Kg/mm2まで増大して安全率は5倍以下になり、長期間に亘って加圧を繰返したり加温されたりする厳しい条件下で使用される用途では亀裂の発生が免れ得なくなると考えられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下のような効果を奏する。即ち、本発明は、改良された耐圧性および耐久性を有するので、高い圧力の混合ガスが供給されて用いられる場合や高温と低温とが繰返されるなどの厳しい温度条件下で用いられる場合あるいは長期間連続的又は間欠的に高圧の混合ガスが供給される場合などでも、長期間安定して使用することができる中空糸分離膜モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸分離膜モジュールの一つの形態の、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図。
【図2】本発明の中空糸分離膜モジュールの別の一つの実施形態の、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図3】本発明の中空糸分離膜モジュールの別の一つの実施形態の、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図4】本発明の中空糸分離膜モジュールの別の一つの実施形態の、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図5】図4で示した本発明の中空糸分離膜モジュールの一つの実施形態の、回り止め面を含み容器及び管板を輪切りにした概略の断面図である。
【図6】従来の中空糸分離膜モジュールの一つの形態の、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図7】実施例1及び実施例3の中空糸分離膜モジュールについて、その寸法を説明するための、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図8】実施例2の中空糸分離膜モジュールについて、その寸法を説明するための、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図9】比較例1の中空糸分離膜モジュールについて、その寸法を説明するための、管板と容器とが接触している部分を局部的に示した概略の断面図である。
【図10】本発明における、耐圧性の評価方法について説明するための、概略図である。
【図11】実施例3で算出された、管板表面と受圧面との距離と発生する最大応力との関係を示すグラフである。
【図12】中空糸分離膜モジュールの形態の一例を示す模式図(断面図)である。
【図13】中空糸分離膜モジュールの形態の別の一例を示す模式図(断面図)である。
【符号の説明】
1:容器
2:管板
3:中空糸分離膜(中空糸束)
4、4’:受圧面
5:受圧面の角部
6:使用時に受圧する管板表面
7:抜け防止面
8:抜け防止面と受圧面との間の面
9、9’:回り止め面
10:中空糸分離膜モジュール
11:電磁式ストップバルブ
12:電磁式ストップバルブ
13:圧力計
14:ストップバルブ
21:容器
22:中空糸分離膜
23:中空糸束
24,24’:管板
25:混合ガス供給口
26:非透過ガス排出口
27、27’:透過ガス排出口
Claims (6)
- 少なくとも、多本数の中空糸分離膜からなる中空糸束と、前記中空糸束を包埋し固着している管板と、それらを収納している容器とを含んで構成され、管板と容器とが接触している部分に受圧面と抜け防止面とを設けた中空糸分離膜モジュールにおいて、
(1)受圧面が、使用時に管板に加わる圧力方向に垂直な面であり、使用時に受圧する管板表面から15mm以上隔てて設けられている
(2)受圧面の角部が面取り加工されている
(3)抜け防止面が、使用時に受圧する管板表面と受圧面との間に設けられ、抜け防止面と受圧面との間の面に対して90°〜150°の傾きを持っている
ことを特徴とする中空糸分離膜モジュール。 - 少なくとも、多本数の中空糸分離膜からなる中空糸束と、前記中空糸束を包埋し固着している管板と、それらを収納している容器とを含んで構成され、管板と容器とが接触している部分に受圧面と抜け防止面とを設けた中空糸分離膜モジュールにおいて、
(1)受圧面が、使用時に管板に加わる圧力方向に垂直な面であり、使用時に受圧する管板の受圧表面から15mm以上隔てて設けられている
(2)受圧面の角部が面取り加工されている
(3)抜け防止面が、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられる
ことを特徴とする中空糸分離膜モジュール。 - 管板の回り止め面が、管板と容器とが接触している部分であって、使用時に管板に加わる圧力方向で見て受圧面よりも後方に設けられることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の中空糸分離膜モジュール。
- 管板が、管板内に包埋した中空糸束の外周に、2mm以上の厚さの中空糸束が包埋されていない外周部を有することを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸分離膜モジュール。
- 管板が硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸分離膜モジュール。
- 窒素富化空気、酸素富化空気、乾燥空気、二酸化炭素ガス、水素ガス、または、有機蒸気のいずれかを分離回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸分離膜モジュール。
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