JP4206539B2 - 帯電防止性ポリマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電記録紙、電子写真、印画紙などの紙、繊維、木材、高分子材料などの帯電を防止するための帯電防止剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびABS樹脂などはそれぞれ優れた特性を有しているため、自動車、家電製品部品、電子部品、基盤部品、繊維、フィルム、シート等の成形材料として広く用いられている。
しかし、これら成形用熱可塑性樹脂のほとんどは疎水性であるため、帯電防止性の要求される分野での使用は制限されることもある。例えば、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維では、衣類として着用中に、パチパチという放電音や不快感をもたらすことや、汚れやすかったり、または、製糸時や加工時に種々のトラブルを発生しやすい問題がある。また、ABS樹脂が用いられているOA、電子部品においては、複写機、プリンターの紙送り不調等、静電気による電撃、ほこりの付着等の問題がある。一方、ポリエステルフィルム等高分子フィルムは磁気テープ、一般電子材料、カード等に使用されているが、製造過程において、フィルムの巻き取り時に静電気によるフィルム同士の付着、ほこりの付着等が起こり問題となる。
このような問題を解決するために、疎水性の樹脂等に親水性を付与して、制電性を発現させようという試みがおこなわれてきており、これまでに数多くの提案がなされている。
【0003】
このような方法としては、例えば、イオン性帯電防止剤あるいはイオン性帯電防止剤と各種エマルジョンのブレンド物を樹脂あるいは紙表面にコーティングすることが知られている。しかしながら、その効果は、いまだ十分とはいえないばかりか、経時的あるいは、水などとの接触により、その効果が消滅する場合もある。また、イオン性帯電防止剤を各種エマルジョンとブレンドしてコーティングする場合に、お互いの相溶性の悪さから、表面状態が悪くなったり、コーティングした帯電防止膜の透明性が失われる場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記種々の問題点を解決すべく、使用量が少なくて済み、表面状態に優れ、かつ、良好な耐水性を有する帯電防止剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、親水性ブロックおよび疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物であって、1)親水性ブロックの構成モノマー単位数に対するスルホン酸(塩)基を有する構成モノマー単位数の割合が50%以上であり、かつ、2)ブロック共重合体に占める親水性ブロックの割合が50重量%以下である帯電防止剤の存在下で、他のモノマーを乳化重合したものである帯電防止性ポリマー組成物(ただし、該帯電防止性ポリマー組成物は、上記帯電防止剤、および、上記他のモノマーを乳化重合してなるポリマーの水性乳化物を主成分として含有するものである。)であって、上記ブロック共重合体が、ジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットとを有するブロック共重合体あるいはその水添物であって、該ブロック共重合体あるいはその水添物を構成する上記の2種の重合体ユニットのいずれか一方の重合体ユニットを、スルホン化したブロック共重合体である、ことを特徴とする帯電防止性ポリマー組成物を提供するものである。さらに本発明は、上記の帯電防止性ポリマー組成物を含有してなる基材を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる親水性ブロックおよび疎水性ブロックを有するブロック共重合体(以下、「親水基含有ブロック共重合体」ともいう。)において、疎水性ブロックとしては、炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットが挙げられる。その炭化水素系の単量体を主成分とする重合体もしくは共重合体のユニットとしては、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットが好ましいものとして挙げられる。
【0007】
また、本発明に用いられる上記親水基含有ブロック共重合体において、親水性ブロックは、上記の疎水性ポリマーユニットに親水基であるスルホン酸基を含有させたものである。親水性ブロックの例としては、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体、あるいはこれらを水素添加した(共)重合体のユニットなどの炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットに、スルホン酸基を含有させたものが挙げられる。炭化水素系単量体を主成分とする(共)重合体のユニットにスルホン酸基を含有させる方法としては、例えば、これら(共)重合体のユニットをスルホン化する方法、スルホン酸基を含有する単量体を共重合する方法などが挙げられる。好ましい方法は、ジエン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とする(共)重合体ユニットとを含有するブロック共重合体(以下、「ベースポリマー」ともいう。)、あるいはこれらを水素添加したブロック共重合体に親水基であるスルホン酸基を導入する方法である。
【0008】
上記ジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットに使用されるジエン系単量体としては、炭素数4〜12のジエン系化合物が好ましく、さらに好ましくは炭素数4〜8、特に好ましくは炭素数4〜6のジエン系化合物である。これらジエン系化合物の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。これらのうち特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0009】
また、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットは、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットである。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。また、オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。これらモノマーは1種単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。これらのうちで好ましいのは、芳香族ビニル化合物であり、特に好ましくはスチレンである。
【0010】
また、前記ジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニット、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニット、あるいはこれらを水素添加した(共)重合体ユニットを構成するためのモノマーとして、前記単量体以外に、他の単量体を併用することもできる。
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和化合物が挙げられる。これら他の単量体は、1種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
【0011】
ジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記芳香族ビニル化合物やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、芳香族ビニル化合物を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記ジエン系単量体やオレフィンを劣位量共重合してもよい。また、オレフィンを主体とするモノマーの(共)重合体ユニットには、他の単量体として前記ジエン系単量体や芳香族ビニル化合物を劣位量共重合してもよい。これら他の単量体を併用する場合には、その単量体の使用量は、各(共)重合体ユニット中、通常60重量%以下であり、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
【0012】
ブロック共重合体(ベースポリマー)、すなわちジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物やオレフィンなどのオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットとを含有するブロック共重合体は、それぞれの単量体を重合開始剤を用い、必要に応じて溶剤を用いて共重合することにより製造することができる。かかる重合開始剤としては、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤が挙げられる。また、重合温度は、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃である。重合方式としては、ブロック共重合体を得るという意味から、特に、アニオン重合が好ましく用いられる。
【0013】
また、上記ブロック共重合体(ベースポリマー)は、ジエン系単量体に基づく残存二重結合の一部あるいは全部を水素添加(水添)して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5−222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーである上記ブロック共重合体を水添後、後述する方法で親水基を導入することもできるが、該共重合体に親水基を導入したのち、水添してもよい。
【0014】
本発明に使用されるベースポリマーは、好ましくは、ジエン系単量体を含有するポリマーユニットAと、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBを含有するブロック共重合体である。そのブロック共重合体の好ましい構造は、AB型あるいはA(BA)n型あるいはB(AB)n型あるいは(AB)n型(ただし、nは好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1)である。
【0015】
これらのうちで好ましいのは、AB型、ABA型、およびBAB型のブロック共重合体である。具体的に好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレンブロック共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエン−スチレン−ブタジエンブロック共重合体が挙げられる。また、ジエンモノマーユニットのブロック鎖中に、前記芳香族モノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていても良く、また、芳香族モノマーユニットのブロック鎖中に前記ジエンモノマーあるいは他のモノマーが一部共重合されていても良い。
【0016】
これらベースポリマーあるいはその水添物のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは1,000〜1,000,000、さらに好ましくは2,000〜500,000、特に好ましくは5,000〜200,000である。Mwが1,000未満であると、本発明の帯電防止性を有するポリマー乳化物の帯電防止性が経時的に低下する場合があり、一方、1,000,000を超えると、極性基(親水基)を導入する際にゲル化する等の問題が生じる場合がある。
【0017】
ブロック共重合体において、ジエン系単量体を含有するポリマーユニットAと芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を含有するポリマーユニットBの割合A/B(重量比)は、水素添加してないブロック共重合体の場合は、好ましくは1〜80/99〜20であり、さらに好ましくは2〜70/98〜30、特に好ましくは5〜50/95〜50である。また、水素添加したブロック共重合体の場合は、好ましくは20〜99/80〜1であり、さらに好ましくは30〜98/70〜2、特に好ましくは50〜95/50〜5である。
【0018】
各ポリマーユニットAおよびBの重合度は、水素添加してないブロック共重合体の場合は、好ましくはAが10以上、Bが20以上であり、さらに好ましくはAが50以上、Bが100以上であり、特に好ましくはAが100以上、Bが200以上である。
また、水素添加したブロック共重合体の場合は、好ましくはAが20以上、Bが10以上であり、さらに好ましくはAが100以上、Bが50以上であり、特に好ましくはAが200以上、Bが100以上である。
【0019】
本発明の親水基含有ブロック共重合体は、上記ブロック共重合体からなるベースポリマーに親水基を含有する単量体(モノマー)を共重合する方法や、親水基を付加などの方法により含有させることにより製造することができる。親水基を付加などの方法により含有させる方法としては、公知の方法が使用できる。例えばスルホン酸(塩)基を導入する場合、例えば日本化学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)あるいは、特開平2−227403号公報などに記載されたスルホン化の方法を用いることができる。
【0020】
すなわち、ブロック共重合体をスルホン化することにより本発明の親水基含有ブロック共重合体を製造する場合、上記ベースポリマーを、該ポリマー中のジエン系単量体に基づく二重結合部分あるいは芳香族部分のどちらか一方を、スルホン化剤を用いて、優先的にスルホン化することより製造することができる。なお、スルホン化する場合は次の方法が好ましい。
(1)水素添加していないベースポリマー、あるいはジエンユニットが部分的に水素添加されたベースポリマーを使用する場合には、ジエンユニットを優先的にスルホン化することが好ましく、一方、(2)ジエンユニットが水素添加されたベースポリマーでは、芳香族ユニットを優先的にスルホン化することが好ましい。上記(1)のように、ジエンユニットを優先的にスルホン化する場合には、スルホン化剤としては、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体あるいは亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)などを使用することが好ましい。また、(2)のように、芳香族ユニットを優先的にスルホン化するためには、スルホン化剤として、前記錯体の他、無水硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、濃硫酸、アセチル硫酸などを使用することが好ましい。
【0021】
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0022】
上記(1)のように、水素添加していないベースポリマー、あるいは部分的に水素添加されたベースポリマーを使用する場合には、スルホン化剤の量は、ベースポリマー中のジエンユニット1モルに対して、0.5モル以上1.2モル以下、好ましくは、0.8モル以上1.1モル以下であり、0.5モル未満では十分な親水性が得られない場合があり、また1.2モルを超えると、未反応スルホン化剤が不純物として残るので好ましくない。また、上記(2)のように、水素添加したベースポリマーを使用する場合には、通常、スルホン化剤の量は、ベースポリマー中の芳香族ユニット1モルに対して、0.5モル以上1.2モル以下、好ましくは、0.8モル以上1.1モル以下であり、0.5モル未満では十分な親水性が得られない場合があり、また1.2モルを超えると、未反応スルホン化剤が不純物として残る。
【0023】
このスルホン化の際には、無水硫酸、硫酸などのスルホン化剤に不活性な溶媒を使用することもでき、この溶媒としては例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;水などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化あるいは不溶化する場合がある。
【0024】
本発明に使用されるブロック共重合体のスルホン化物は、このスルホン化生成物に水または塩基性化合物を作用させたものが好ましい。この塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、アニリン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0025】
塩基性化合物の使用量は、使用したスルホン化剤1モルに対して、好ましくは1.5モル以下、さらに好ましくは1.2モル以下であり、2モルを超えると、未反応アルカリが多く、製品の純度が低下する。
この反応の際には、上記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、上記各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0026】
塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%程度である。
また、この反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは+50〜100℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下のいずれでも実施することができる。さらに、反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。
また、スルホン酸基以外の親水基を導入する場合は、例えばカルボキシル化、リン酸エステル化、アミン化、アミド化、ヒドロキシル化等の方法を適宜行うことにより製造することができる。
【0027】
また、親水基を含有する単量体をモノマーの一部として用いて共重合して、本発明の親水基含有ブロック共重合体を製造する場合には、例えばスルホン酸基を含有する単量体や、カルボン酸基(カルボキシル基)、アミノ基、アミド基、リン酸基や水酸基などを含有する単量体を適宜、モノマーの一部として共重合することにより製造することができる。スルホン酸基を有する単量体としては、前記ジエン系単量体、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体にスルホン酸(塩)基が付加したものが好ましい例として挙げられる。これらの具体例としては、スルホン酸(塩)基含有ブタジエン、スルホン酸(塩)基含有イソプレン、スルホン酸(塩)基含有スチレン、スルホン酸(塩)基含有エチレン、スルホン酸(塩)基含有プロピレンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは、スルホン酸(塩)基含有イソプレン、スルホン酸(塩)基含有スチレンである。また、スルホン酸(塩)基以外の親水基を有する単量体としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリルホフェート、アミノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0028】
以上のような親水基を導入したブロック共重合体において、通常、親水基を含有したモノマー単位数の、親水性ブロック中の構成モノマー単位数に対する割合は、50%以上が好ましく、さらに好ましくは70%以上である。50%以上にすることにより、十分な帯電防止性が得られる。なお、疎水性ブロック中に親水基を含有していてもよいが、親水基を含有したモノマー単位の数が疎水性ブロック中の構成モノマー単位数の10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5%以下である。また、親水基を導入したブロック共重合体中の親水基の含量は、好ましくは0.1〜5mmol/g、より好ましくは0.2〜3mmol/g、さらに好ましくは0.3〜2.5mmol/g、特に好ましくは0.5〜2mmol/gである。0.1mmol/g未満では、帯電防止性が発現しにくく、また多すぎると耐水性が問題になる場合がある。
【0029】
本発明の帯電防止剤は、通常、前記親水基含有ブロック共重合体を水などの媒体中に乳化分散した状態で使用する。乳化分散する方法に特に制限はないが、好ましくは、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去する方法が挙げられる。上記乳化工程の際に、予め親水基含有ブロック共重合体を有機溶剤溶液とするために使用される有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが使用される。これら溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。この乳化工程は、一般的な方法が採用でき、親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液中に攪拌しながら水を添加する方法、攪拌しながら親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を水中に添加する方法、水と親水基含有ブロック共重合体の有機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法などが可能である。
【0030】
上記乳化工程の際に用いられる上記有機溶剤の使用量は、親水基含有ブロック共重合体100重量部に対し、好ましくは10〜5,000重量部、さらに好ましくは20〜2,000重量部である。10重量部未満では、安定な乳化物が得られ難く、一方、5,000重量部を超えると、経済性が低下する。
また、乳化工程の際に用いられる水の使用量は、親水基含有ブロック共重合体100重量部に対し、好ましくは30〜10,000重量部、さらに好ましくは100〜5,000重量部である。
【0031】
なお、乳化工程に際しては、界面活性剤を併用することもできる。この界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテルなどの非イオン系界面活性剤;オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。上記界面活性剤は、親水基含有ブロック共重合体あるいは他の各種ポリマー(後で詳述する、親水基含有ブロック共重合体と併用可能なポリマー)中に溶解あるいは分散させて使用しても、水中に溶解あるいは分散させて使用してもかまわない。上記界面活性剤の使用量は、各種ポリマーおよび親水基含有ブロック共重合体の合計量100重量部に対し、通常、10重量部以下、好ましくは6重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下である。
【0032】
また、系内のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、塩酸、硫酸などの無機酸を添加することもできる。また、少量であれば、水以外の有機溶剤などを併用することもできる。さらに、消泡剤なども添加することができる。
【0033】
このようにして得られる本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物粒子の粒径は、通常、1〜500nm、好ましくは1〜300nm、さらに好ましくは1〜150nmである。また、得られるポリマー乳化物の固形分濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、これは、使用条件、保存条件などにより、適宜選択することができる。
【0034】
また、本発明の親水基含有ブロック共重合体は、単独で用いてもよいが、他のポリマーと併用することも可能である。すなわち、本発明の親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマー組成物としたものを、繊維状物質や通常の重合体等の基材の帯電防止剤として使用することができる。本発明の親水基含有ブロック共重合体を他のポリマーと併用して、帯電防止性ポリマー組成物を製造する方法としては、(イ)本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物と他のポリマーの乳化物をブレンドして、帯電防止性ポリマー組成物を得る方法、(ロ)本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマー組成物を得る方法、が挙げられる。
【0035】
上記(イ)の他のポリマーの乳化物としては特に制限はなく、公知のポリマーの乳化物が使用される。好ましい乳化物としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリスチレンエマルジョンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。
上記(ロ)の本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物を乳化剤として使用して、公知の各種ポリマーを乳化させることにより帯電防止性ポリマー組成物を得る方法としては、特に制限はないが、以下の2つの方法が好ましい。
(ロ−1)本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物を乳化剤として使用し、各種ポリマーを乳化することにより、該ポリマーの乳化物を得る方法(ポリマーの再乳化方法と称する)。
(ロ−2)本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物、水および場合によっては溶剤の存在下に、公知のモノマーを乳化させた後、ラジカル重合開始剤等により該モノマーを重合するなど、公知の乳化重合法などによりポリマーの乳化物を得る方法(乳化重合方法と称する)。
【0036】
上記の(ロ−1)の再乳化方法について説明する。上記本発明の親水基含有ブロック共重合体乳化物および後述する他の少なくとも1種の各種ポリマーの有機溶剤溶液を、水と混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより行うことができる。有機溶剤および、乳化方法等は、前記親水基含有ブロック共重合体の乳化のところで述べたものが同様に使用できる。また、親水基含有ブロック共重合体の乳化物と併用して帯電防止性ポリマー組成物の乳化物を得るのに使用される各種ポリマーとしては特に制限はなく、公知のポリマーが使用される。好ましいポリマーとしては、ウレタンポリマー、アクリルポリマー、エポキシポリマー、ポリエステル、ジエン系ポリマーあるいはその水添物、エチレン−プロピレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリオレフィンなどが挙げられ、これらは、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもかまわない。
【0037】
次に、上記の(ロ−2)の乳化重合方法について述べる。上記本発明の親水基含有ブロック共重合体乳化物の存在下に、水、重合開始剤およびモノマー、場合によってはさらに他の乳化剤、有機溶剤等を混合し、該モノマーの乳化重合をおこない、帯電防止性ポリマー組成物の乳化物を得ることができる。使用できるモノマーとしては特に制限はなく、前記したジエン系モノマー、芳香族モノマー、アクリルモノマー、他の単量体などが挙げられ、それぞれ単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。また重合開始剤としては、公知の重合開始剤が使用でき、好ましくはラジカル重合開始剤である。また、乳化剤としては、前記に挙げた界面活性剤の他、公知の乳化剤が使用できる。
【0038】
本発明の親水基含有ブロック共重合体中の親水性ブロックの含有割合は、固形分換算で、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。50重量%を超えると帯電防止性ポリマーの乳化物の静置安定性が悪化する場合がある。
【0039】
本発明の帯電防止性のブロック共重合体および帯電防止性ポリマーは、基材表面などに対してコーティングして用いられる他、基材の成型時に練り込むなどして基材内部に含有させて使用しても良い。また、水に乳化分散した乳化物の状態で使用することが好ましいが、固形物として使用してもよいし、この固形物を公知の溶剤に溶解させて使用してもよい。
【0040】
本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物、あるいは帯電防止性ポリマー組成物、もしくはこれらの併用系が使用できる基材としては特に制限はないが、紙、織物、不織布などの繊維製品、PETなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、アクリル系樹脂、およびこれらのブレンド樹脂、さらにこれらの成型品等が挙げられる。
【0041】
本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物等を上記基材にコーティングする方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、ディップコート法、スプレーコート法などの公知の方法が可能である。
また、コーティングに際して、塗布性能を向上させるなどのため、アルコール、エーテル、ケトン等の有機溶剤あるいは公知の界面活性剤を併用してもよい。
【0042】
本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物、あるいは帯電防止性ポリマー組成物、もしくはこれらの併用系等は、熱可塑性樹脂とブレンドして使用することも可能である。なかでも、押し出し機を用いて溶融混練りした後、常法に従って、各種成形部品、繊維、フィルム、シート等を製造することが、好ましい。この場合、本発明の乳化物から水を除去した固形物の状態で使用しても良いし、水分を含んだ乳化物と熱可塑性樹脂を溶融、混練りする際に水を蒸発等の操作で除去して使用してもよい。
【0043】
本発明の帯電防止剤は、他の帯電防止剤と併用して用いても良い。かかる他の帯電防止剤としては特に制限はないが、好ましいものとしては、ポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレン骨格を有するノニオン系化合物、4級窒素構造を有するカチオン系化合物、その他、スルホン酸基、カルボン酸基やリン酸基などのアニオン系官能基を有するアニオン系化合物などが挙げられる。
また、本発明の親水基含有ブロック共重合体乳化物等には、必要に応じて潤滑剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混ぜて使用することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り、重量基準である。また、実施例における各種の評価および測定は、下記方法により実施した。
【0045】
(1) スルホン酸基の総含量および親水基数の割合
合成したスルホン化物を80℃で一晩真空乾燥した。乾燥物をトルエン/イソプロピルアルコール(95/5重量比)溶液に溶解した。溶解後、硫酸塩、水酸化物などの不溶物をフィルターで除去したのち、溶剤を除去してスルホン酸含量測定サンプルを得た。サンプル中のイオウ含量を元素分析から求め、共重合体中のスルホン酸基の量を算出した。
また、この値を用いて、親水性ブロックの構成モノマー単位数に対する親水基含有モノマー単位数の割合を算出した。
【0046】
(2) 乳化物の粒径
大塚電子(株)製、LPA−3100 LASER PARTICLE ANALYZERを用いて、乳化物の平均粒径を測定した。
(3) 重量平均分子量(Mw)
ベースポリマーの重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した。
【0047】
(4)フィルムの調製および帯電防止性
本発明の親水基含有ブロック共重合体の乳化物とアクリルエマルジョン(AE175、JSR(株)製)のブレンド物(固形分重量比で1/3あるいは1/4)あるいは、本発明の帯電防止性ポリマー組成物の乳化物を、固形分濃度が7%になるように水で希釈して得た後、PETの表面にバーコーターを用いて塗布した。塗布後、105℃で15分間乾燥し、親水基含有ブロック共重合体/アクリルエマルジョンがコーティングされたPETフィルムを得た。このフィルムを、23℃、湿度50%の雰囲気下で一晩放置した。ヒューレットパッカード社の同心円型電極である16008A、および同社の高抵抗計である4329Aを用い、23℃、湿度50%の雰囲気下で、100Vの電圧を印加して、このフィルムの表面固有抵抗を測定した。
【0048】
(5)耐水性
上記の(4)で調製したフィルムを、10分間水中に浸漬した後、105℃で15分間乾燥した。乾燥後、このフィルムを、23℃、湿度50%の雰囲気下で一晩放置した。その後、上記の(4)と同様な操作で、表面固有抵抗を測定した。
(6)コーティング面の表面状態およびコーティングフィルムの透明性
上記の(4)で調製したフィルムの表面を目視で観察した。表面状態が良好である場合を○、悪い場合を×とした。またフィルムの透明性の尺度としてHaze(曇価)を測定した。
【0049】
(参考例1)
(1)ガラス製反応容器にジオキサン500gを入れ、これに無水硫酸50gを内温を25℃に保ちながら添加し、2時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
(2)別のガラス製反応容器に、イソプレン−スチレンAB型ブロック共重合体(スチレン/イソプレン=80/20(重量比)、重量平均分子量2万)212.5gをテトラヒドロフラン400gに溶解させた。この中に上記(1)で得られた錯体全量を、内温を25℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。別のフラスコに、水500g、アニオン/ノニオン系界面活性剤〔三洋化成(株)製、サンデットEN〕1g、水酸化ナトリウム27.5gを入れた。この溶液に、上記でスルホン化した溶液全量を、攪拌しながら、内温を50℃に保ちつつ添加した。添加後1時間攪拌した後、1000gの水を加え、全溶剤および水の一部を共沸により除去することにより、再乳化された乳化物(再乳化物)を得た。この乳化物の固形分濃度は、20%であった。この乳化物を乳化物X1と称する。
【0050】
(参考例2)
(1)ガラス製反応容器に1,2−ジクロロエタン500gを入れ、これに無水硫酸50gを内温を25℃に保ちながら添加した。
(2)別のガラス製反応容器に、ブタジエン−スチレンAB型ブロック共重合体の水添物(ブタジエン/スチレン=90/10(重量比)、重量平均分子量10万、ブタジエンユニットの水添率:99%)425gを1,2−ジクロロエタン800gに溶解させた。この中に上記(1)で得られた錯体全量を、内温を25℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。撹拌後、水酸化ナトリウム27.5gを200ccの水の溶解した溶液および、メタノール300gを添加し、80℃で還流下、4時間撹拌した。撹拌後、減圧下で溶剤を除去して、主としてスチレン部分がスルホン化されたブロック共重合体を得た。
【0051】
このポリマー100gをテトラヒドロフラン/イソプロピルアルコール(90/10重量比)1000gに溶解した。別のフラスコに、水500g、アニオン/ノニオン系界面活性剤〔三洋化成(株)製、サンデットEN〕1g、水酸化ナトリウム27.5gを入れた。この溶液に、上記で調整した溶液全量を、攪拌しながら、内温を50℃に保ちつつ添加した。添加後1時間攪拌した後、1000gの水を加え、全溶剤および水の一部を共沸により除去することにより、再乳化された乳化物(再乳化物)を得た。この乳化物の固形分濃度は、20%であった。この乳化物を乳化物Y1と称する。これら、親水基含有ブロック共重合体乳化物の特性を表1に示す。
【0052】
【表1】
*1 親水性ブロックの構成モノマー単位数に対する親水基を有する構成モノマー単位数の割合
【0053】
(参考例3)
乳化物X1−20g、スチレン40g、2−エチルヘキシルアクリレート40g、水200g、過硫酸カリウム1g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3gを500ccのセパラブルフラスコに仕込み、2000rpmの攪拌スピードで1分間攪拌した。その後300rpmの攪拌を行いながら、内温を90℃に上げ、6時間かけて乳化重合を行い、帯電防止性をもつ乳化ポリマーを合成した。このポリマーをA−1と称する。
【0054】
(参考例4)
乳化物X1−25g、スチレン35g、2−エチルヘキシルアクリレート40g、水200g、過硫酸カリウム1g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3gとして、参考例3と同様に実施した。このポリマーをA−2と称する。
(参考例5)
参考例3において乳化物X1−20gを乳化物Y1−20gに代えて、参考例3と同様に実施した。このポリマーをB−1と称する。
(参考例6)
参考例4において乳化物X1−25gを乳化物Y1−25gに代えて、参考例4と同様に実施した。このポリマーをB−2と称する。
【0055】
(参考例1〜4)
乳化物X1あるいはY1とアクリルエマルジョン(AE175、JSR(株)製)を表2に示す固形分重量比でブレンドし、固形分濃度が7%になるように水で希釈して帯電防止性ポリマー組成物を得た。該帯電性ポリマー組成物を、PET表面にバーコーターを用いて塗布した後、105℃で15分間乾燥し、親水基含有ブロック共重合体/アクリルエマルジョンがコーティングされたPETフィルムを得た。帯電防止性(表面固有抵抗値)、耐水性(水浸漬後の表面固有抵抗値)、表面状態、Haze(曇価)を上記の方法で評価した結果を表2に示す。
(実施例1〜4)
帯電防止性ポリマー組成物としてそれぞれ、上記乳化ポリマーA−1、A−2、B−1、B−2を用い、参考例1〜4と同様に実験した。結果を表2に示す。
(比較例1及び2)
親水基含有ブロック共重合体の代わりに、PSS:ポリスチレンスルホン酸Na(東ソー(株)製PS−1)を用いた以外は、参考例1及び2と同様に実験した。結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明のスルホン酸基含有ブロック共重合体は、従来帯電防止剤として使用されているPSSに比べ、少ない使用量で帯電防止性を発揮する上、耐水性、透明性に優れていることが判る。
【0056】
【表2】
*1 PSS:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー(株)製 PS−1)
【0057】
【発明の効果】
本発明の帯電防止剤および帯電防止性ポリマーは、帯電防止性、耐水性が優れており、また、他の各種ポリマーの乳化物とブレンドした場合でも透明性を失わず、優れたポリマーである。
Claims (5)
- 親水性ブロックおよび疎水性ブロックを有するブロック共重合体の乳化物であって、1)親水性ブロックの構成モノマー単位数に対するスルホン酸(塩)基を有する構成モノマー単位数の割合が50%以上であり、かつ、2)ブロック共重合体に占める親水性ブロックの割合が50重量%以下である帯電防止剤の存在下で、他のモノマーを乳化重合したものである帯電防止性ポリマー組成物(ただし、該帯電防止性ポリマー組成物は、上記帯電防止剤、および、上記他のモノマーを乳化重合してなるポリマーの水性乳化物を主成分として含有するものである。)であって、
上記ブロック共重合体が、ジエン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットと、芳香族ビニル化合物またはオレフィン系単量体を主体とするモノマーの(共)重合体ユニットとを有するブロック共重合体あるいはその水添物であって、該ブロック共重合体あるいはその水添物を構成する上記の2種の重合体ユニットのいずれか一方の重合体ユニットを、スルホン化したブロック共重合体である、ことを特徴とする帯電防止性ポリマー組成物。 - 上記ブロック共重合体において、スルホン酸(塩)基の含量が0.1〜5mmol/gである請求項1に記載の帯電防止性ポリマー組成物。
- 上記ブロック共重合体の乳化物粒子の粒径が1〜500nmである請求項1又は2に記載の帯電防止性ポリマー組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性ポリマー組成物を含有してなる基材。
- 上記基材が繊維もしくは成形体である請求項4に記載の基材。
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