JP4205848B2 - 摩擦フェーシング及び摩擦ディスク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦フェーシング及びそれが用いられた摩擦ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌のクラッチ装置に用いられるクラッチディスクは、フライホイールの摩擦面とプレッシャープレートの間に配置された円板状かつ環状の部材である。クラッチディスクは、主に、2枚の摩擦フェーシングと、その間に配置されたコアプレートとから構成されている。コアプレートは、例えば、外周側の装着部と、内周側のダンパー部に固定される固定部とからなる。装着部には、例えば、リベットを介して摩擦フェーシングが固定されている。各摩擦フェーシングには複数のリベット固定用孔が形成されている。これら孔は同一円上に並んで形成されている。また、摩擦フェーシングの主面(フライホイール又はプレッシャープレートに対向して摩擦面を形成する平面)には、複数の溝が形成されている。
【0003】
実公昭56−12に示す摩擦フェーシングの主面には、複数の凹溝が形勢されている。凹溝とは摩擦面よりわずかに凹んだ浅い溝をいう。凹溝の種類は、半径方向に延びる複数の放射状凹溝と、円周方向に延びる円周方向凹溝とからなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実公昭56−12に示す摩擦フェーシングの主面に形成された円周方向凹溝は、摩擦フェーシングのリベット固定用孔にかかって形成されている。
【0005】
このため、円周方向凹溝の固定用孔にかかる部分は強度が弱く、クラッチ動作等によって剥がれやすい。剥がれた部分は例えばフライホイールとクラッチディスクとの間に挟まり、クラッチディスクがフライホイールから離れる際の動作を阻害する(クラッチの切れ不良)等の問題を引き起こす。
【0006】
本発明の課題は、クラッチディスク等の摩擦ディスクに用いられる摩擦フェーシングの破損等の不具合を減らすことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の摩擦フェーシングは、回転部材にリベットにより固定され、他の回転部材に押し付けられて摩擦係合可能なものであり、摩擦面を構成する主面を有する環状板を備えている。環状板にはリベットが頭部を含めて収容される複数の固定用孔が形成され、主面には、円周方向に並ぶように配置され半径方向に延びる複数の径方向凹溝と、固定用孔を囲むように固定用孔の外周側に配置された複数の凹部と、が形成されている。複数の凹部は、隣り合う径方向凹溝の円周方向間に配置され隣り合う径方向凹溝を円周方向に直接つないでいる。
【0008】
この摩擦フェーシングでは、固定用孔は凹部に囲まれているため、凹溝等の縁部分がかかることはない。したがって、固定用孔部分での摩擦フェーシングの破損が生じにくい。
【0009】
請求項2に記載の摩擦フェーシングでは、請求項1において、主面には、円周方向凹溝が形成されている。円周方向凹溝の一部は、凹部に含まれている。ここでいう円周方向凹溝とは、少なくとも摩擦フェーシングの円周方向に延びる溝であり、環状の溝(真円、楕円等)や複数の弧状溝を含む。
【0010】
請求項3に記載の摩擦フェーシングは、請求項1または2において、複数の凹部が、円周方向に並んで配置される複数の第1凹部と、円周方向に並んで配置され各第1凹部の半径方向外側に配置された複数の第2凹部と、を含んでいる。第1および第2凹部のうち少なくとも一方は、隣り合う径方向凹溝を円周方向に直接つないでいる。請求項4に記載の摩擦フェーシングは、請求項3において、一部が第1凹部に含まれる環状の第1円周方向凹溝と、第1円周方向凹溝の外周側に配置され一部が第2凹部に含まれる環状の第2円周方向凹溝と、を円周方向凹溝が含んでいる。
【0011】
請求項5に記載のクラッチディスクは、請求項1から4のいずれかに記載の摩擦フェーシングと、2枚の摩擦フェーシング間に配置されたコアプレートと、摩擦フェーシングの固定用孔に配置され摩擦フェーシングとコアプレートを固定するための固定部材とを備えている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るクラッチディスク組立体2を含むクラッチ装置1を示している。このクラッチ装置1は、エンジン側のフライホイール90からトランスミッションの入力軸(図示せず)へとトルクを伝達及び遮断するための装置である。図1における軸O−Oが、クラッチ装置1の回転軸である。この回転軸O−Oは、フライホイール90の摩擦係合面90aと直交している。また、図2の矢印R1がクラッチ装置1の回転方向正側(駆動側)であり、矢印R2が回転方向負側である。
【0013】
フライホイール90には軸方向トランスミッション側を向く平坦かつ環状の摩擦係合面90aが形成されている。さらに、フライホイール90には摩耗粉を排出するために軸方向に貫通する孔90bが開けられている。
【0014】
<クラッチ装置の構成>
クラッチ装置1は、主として、クラッチディスク組立体2と、フライホイール90に固定されるクラッチカバー組立体3とから構成されている。
【0015】
クラッチディスク組立体2は、内周側のダンパー部2aと、外周側のクラッチディスク2bとから構成されている。ダンパー部2aの内周部には、トランスミッションの入力軸がスプライン係合する。このクラッチディスク組立体2については、後に詳述する。
【0016】
クラッチカバー組立体3は、クラッチディスク2bをフライホイール90に押圧し摩擦連結させる、又はその連結を解除する組立体である。このクラッチカバー組立体3は、主として、クラッチカバー31と、プレッシャープレート32と、プレッシャープレート移動機構33とから構成されている。
【0017】
クラッチカバー31は、環状の部材であり、外周部分がフライホイール90に固定される。
プレッシャープレート32は、図1に示すように、フライホイール90側の摩擦係合面がクラッチディスク2bを挟んでフライホイール90の摩擦係合面90aと対向するように配置されている。このプレッシャープレート32は、クラッチカバー31に相対回転不能にかつ軸方向移動可能に支持される。
【0018】
プレッシャープレート移動機構33は、主として、複数のコイルスプリング33aと、レリーズレバー33bとから構成されている。コイルスプリング33aは、回転軸O−O方向に延びており、一端がクラッチカバー31に当接し、他端がプレッシャープレート32に当接している。コイルスプリング33aは、プレッシャープレート32に対してフライホイール90側に押圧力を与える。レリーズレバー33bは、図示しないクラッチ操作機構の動きに連動して、プレッシャープレート32をフライホイール90と反対側に引き上げる部材である。レリーズレバー33bの内側端部に対してクラッチ操作機構のレリーズ装置(図示せず)がフライホイール90側に力を加えると、レリーズレバー33bの外側端部に連結されているプレッシャープレート32は、フライホイール90と反対側に移動する。
【0019】
<クラッチディスク組立体の詳細構成>
以下に、クラッチディスク組立体2の詳細について説明する。
(ダンパー部)
クラッチディスク組立体2の内周側のダンパー部2aは、トルク変動を吸収・減衰する役割を果たす構造体であり、主として、スプラインハブ21と、クラッチプレート22と、リティーニングプレート23と、トーションスプリング24とから構成されている。
【0020】
スプラインハブ21は、その中心部に、トランスミッションの入力軸のスプライン歯に噛み合うスプライン孔21aを有している。スプラインハブ21には、筒状の本体から外方に延びるフランジ21bが一体に形成されている。フランジ21bには窓孔が形成されており、その窓孔にトーションスプリング24が収容される。
【0021】
スプラインハブ21のフランジ21bを挟むように、クラッチプレート22及びリティーニングプレート23が配置されている。これらのプレート22,23は、1対となっており、ピンによって回転不能に連結されている。また、これらのプレート22,23にも、フランジ21bの窓孔に対応する窓孔22a,23aが形成されている。これらの窓孔22a,23aは、トーションスプリング24を外側から覆うように切り起こされており、その内部にトーションスプリング24が収納される。
【0022】
トーションスプリング24は、両端が両プレート22,23及びフランジ21bの窓孔の両端部に当接して、両プレート22,23とスプラインハブ21との間でトルクの伝達を行う。
【0023】
クラッチプレート22の内周部とフランジ21bの内周部との間には、フリクションワッシャー25が配置されている。フランジ21bの内周部とリティーニングプレート23の内周部との間には、フリクションワッシャー26、フリクションプレート27、及びコーンスプリング28が配置されている。これらのフリクションワッシャー25,26がフランジ21bと両プレート22,23との間で摺動することによって、トーションスプリング24の圧縮中にトルク変動(ねじり振動)を減衰させる所定の摩擦力(ヒステリシストルク)が生じる。
【0024】
また、クラッチプレート22の外周部22bは、クラッチディスク2bのコアプレート10の内周部10aが固定される部分となっており、円周方向に等間隔に複数の孔が開けられている。
【0025】
(クラッチディスク)
クラッチディスク組立体2の外周側に配置されるクラッチディスク2bは、主として、コアプレート10と、2種類の摩擦フェーシング11,12とから構成される。摩擦フェーシング11はプレッシャープレート32側に配置され、摩擦フェーシング12はフライホイール90側に配置されている。
【0026】
コアプレート10は、複数のものが円周方向に等間隔に配置される。各コアプレート10は、内周部10aと、内周部10aの外側に位置する装着部10bとから構成されている。内周部10aは、クラッチプレート22の外周部22bと重ねられる部分であって、この外周部22bにリベット40で固定される。装着部10bは、その両面に摩擦フェーシング11,12が装着される部分である。
【0027】
図2に示すように、装着部10bには複数の装着孔10cが形成されている。具体的には、各装着部10bには合計4つの装着孔10cが形成されている。装着孔10cは概ね正方形の各頂点を構成するように配置されている。各装着部10bにおいて回転方向片側(本実施形態では回転方向R1側)の2つの装着孔10cは摩擦フェーシング11に固定されるリベット41が装着され、回転方向反対側(本実施形態では回転方向R2側)の2つの装着孔10cは摩擦フェーシング12に固定されるリベット41が装着される。各装着部10bの内周側の2つの装着孔10cは円A上にすなわち同一半径方向位置に並んで配置されている。各装着部10bの外周側の2つの装着孔10cは円B上にすなわち同一半径方向位置に並んで配置されている。円A及び円Bは中心Oを中心とする真円であり、円Bは円Aより径が大きい。
【0028】
摩擦フェーシング11,12は環状の円板状部材である。摩擦フェーシング11,12は、複数のリベット41によって、コアプレート10の装着部10bの両面への装着が行われるものである。1枚のコアプレート10に対して、両面にそれぞれ摩擦フェーシング11,12が装着される。摩擦フェーシング11,12が装着された装着部10bは、摩擦フェーシング11,12とともに摩擦係合部となり、フライホイール90とプレッシャープレート32との間に挟持される対象となる。
(摩擦フェーシング)
摩擦フェーシング11,12には、コアプレート10の装着孔10cに対応する位置に孔11a,12aが形成されている。各装着部10bおいて、回転方向R1側の装着孔10cに配置されたリベット41は、摩擦フェーシング11の孔11aに固定されている。また、各装着部10bおいて、回転方向R1側の装着孔10cに配置されたリベット41は、摩擦フェーシング12の孔12aに固定されている。図4に示すように、各リベット41のコアプレート10側の頭部は、そのリベットによっては固定されていない側の摩擦フェーシングの孔内に配置されている。
【0029】
各摩擦フェーシング11,12の主面(コアプレート10と反対側の平面であり、摩擦フェーシング11ではプレッシャープレート32に面する平面であり、摩擦フェーシング12ではフライホイール90の摩擦係合面90aに面する平面)は摩擦面として機能する。
【0030】
摩擦フェーシング11,12の主面には、半径方向に延びる複数の放射状凹溝11b,12bが形成されている。放射状凹溝11b,12bは、主面の摩擦面部分より僅かに低くなっている浅い溝であり、環状の主面の半径方向内側縁から半径方向外側縁まで連通している。放射状凹溝11b,12bは各々合計36本形成されている。この結果、主面における摩擦面が少なくなり、負圧吸着効果を低減させることができる。
【0031】
さらに、摩擦フェーシング11,12の主面には、回転方向に延びる複数の円周方向凹溝(11c,12c〜11e,12e)が形成されている。円周方向凹溝(11c,12c〜11e,12e)は、放射状凹溝11b,12bと同様に、主面の摩擦面部分より僅かに低くなっている浅い溝である。円周方向凹溝(11c,12c〜11e,12e)は、内周側から順番に、第1円周方向凹溝11c,12c、第2円周方向凹溝11d,12d、第3円周方向凹溝11e,12eとなっている。第1円周方向凹溝11c,12cは前述の第1円Aとほぼ同じ半径方向位置に形成され、第2円周方向凹溝11d,12dは第1円Aと第2円Bの半径方向中間位置に形成され、第3円周方向凹溝11e,12eは第2円Bとほぼ同じ半径方向位置に形成されている。
【0032】
第1円周方向凹溝11c,12cと第3円周方向凹溝11e,12eは円周方向に連続して環状になっているが、第2円周方向凹溝11d,12dは複数の弧状凹溝から構成されている。言い換えると、複数の第2円周方向凹溝11d,12dは摩擦面ブロック11hによって互いに対して回転方向に遮られている。
【0033】
さらに、第1〜第3円周方向凹溝11c,12c〜11e,12eは楕円形状に形成されている。具体的には、第1〜第3円周方向凹溝11c,12c〜11e,12eに一致する楕円は、長軸が図3の上下方向に位置し、短軸が図3の左右方向に位置している。この結果、第1円周方向凹溝11c,12cに一致する楕円の長軸は第1円Aの直径より大きく、短軸は第1円Aの直径より小さい。また、第3円周方向凹溝11e,12eに一致する楕円の長軸は第1円Aの直径より大きく、短軸は第1円Aの直径より小さい。
【0034】
各摩擦フェーシング11,12の主面において孔11a,12aに対応する部分には凹部11f,12fが形成されている。図4に示すように、凹部11f,12fは、円周方向凹溝(11c,12c〜11e,12e)や放射状凹溝11b,12bと同様に、主面の摩擦面部分より僅かに低くなっている浅い溝である。ただし、凹部11f,12fは、円周方向凹溝(11c,12c〜11e,12e)や放射状凹溝11b,12bが平面視で細長く延びる形状であるのに対して、一定の円周方向幅及び半径方向幅を有するブロック状である。凹部11f,12fは孔11a,12aを完全に取り囲んでおり、凹部11fの縁部分が孔11a,12aにかかることはない。このため、凹部11fの縁部分の強度が低下することなく、破損等が生じにくい。すなわち、剥がれた部分によるクラッチの切れ不良が起こりにくい。
【0035】
各装着部10bにおいて回転方向に並ぶ2つの装着孔10cに対応する2つの凹部11fは、円周方向に連続して形成されている。
各装着部10bの内周側の2つの装着孔10cに対応する凹部11fは、第1円周方向凹溝11c,12cに連続している。言い換えると、内周側の凹部11fは第1円周方向凹溝11c,12cの一部を構成していると言える。つまり、第1円周方向凹溝11c,12cはリベット孔11a,12a部分において半径方向幅が広くなっており、縁が孔11a,12aにかからないようになっているとみなしてもよい。また、各装着部10bの外周側の2つの装着孔10cに対応する凹部11fは、第3円周方向凹溝11e,12eに連続している。言い換えると、外周側の凹部11fは第3円周方向凹溝11e,12eの一部を構成していると言える。つまり、第3円周方向凹溝11e,12eはリベット孔11a,12a部分において半径方向幅が広くなっており、縁が孔11a,12aにかからないようになっているとみなしてもよい。
【0036】
以上に説明した複数の放射状凹溝11b,12b、円周方向凹溝11c,12c〜11e,12e及び凹部11fによって、摩擦フェーシング11,12の主面は複数の小さな摩擦面ブロック11hに分割されている。
【0037】
クラッチディスク2bとダンパー部2aとの間には、フライホイール90側の空間SAとクラッチカバー組立体3側の空間SBとを連通させる開口42が設けられている。具体的には、開口42は各コアプレート10の内周側の回転方向間でかつクラッチプレート22と摩擦フェーシング11,12の半径方向間の隙間である。
【0038】
摩擦フェーシング11,12には位置決め用ノッチ11g,12gが形成されている。ノッチ11g,12gは、摩擦フェーシング11,12の外周縁において僅かに内周側に凹む切り欠き形状部分であり、円周方向に等間隔で複数(3箇所)に形成されている。このノッチ11g,12gをセンサで読みとることによって、孔11a,12aを凹部11f内に確実に形成することができる。以上をまとめると、摩擦フェーシング11,12では、孔11a,12aを所定位置に形成するために位置又は姿勢を検出するためのマーク部分を有していることになる。
【0039】
<クラッチ装置の動作>
次に、クラッチ装置1の動作について説明する。
まず、クラッチ連結状態からクラッチの連結を解除する動作について説明する。
【0040】
クラッチ操作に従い、クラッチ操作機構のレリーズ装置(図示せず)がレリーズレバー33bをフライホイール90側に押すと、プレッシャープレート32がフライホイール90と反対側に移動する。すると、クラッチ連結状態が解除され、クラッチディスク組立体2のクラッチディスク2bがフライホイール90及びプレッシャープレート32から離れた状態に移行する。これにより、フライホイール90からクラッチディスク2b及びダンパー部2aを介してトランスミッションの入力軸に伝達されていたトルクが、フライホイール90からクラッチディスク2bに伝わる部分で遮断されるようになる。
【0041】
次に、クラッチが解除されている状態からクラッチを連結させる動作について説明する。
クラッチ操作に従い、クラッチ操作機構のレリーズ装置(図示せず)がレリーズレバー33bをフライホイール90と反対側に戻すと、プレッシャープレート32がフライホイール90側に押圧されていく。これに従い、段々とクラッチディスク2bがフライホイール90とプレッシャープレート32との間に挟持されるようになり、フライホイール90からのトルクが、クラッチディスク2b及びダンパー部2aを介してトランスミッションの入力軸に伝達されるようになる。
【0042】
<負圧吸着現象の改善>
一般的に、フライホイール90の孔90bやクラッチディスク組立体2の開口42によって、クラッチディスク組立体2のフライホイール90側の空間SAの気圧がクラッチカバー組立体3側の空間SBの気圧より小さくなることがある。その場合はクラッチディスク組立体1が気圧差によってフライホイール90側に吸い寄せられる現象が生じ、クラッチ引きずりトルクが発生することがある。
【0043】
しかし、上記実施形態の構造では、以下の特徴によって、クラッチディスク組立体2が気圧差によってフライホイール90側に吸い寄せられる現象が抑えられ、クラッチの切れ不良の発生が起こり難くなる。
【0044】
a)円周方向凹溝が楕円形状であるため、摩擦熱による膨張時に円周方向凹溝を境として摩擦フェーシング11,12の内周部と外周部が折れ曲がり、フライホイール90等に対して平面密着を積極的に崩す。この結果クラッチの切れが向上する。
【0045】
b)放射状凹溝11bが多数形成されているため、摩擦面ブロック11hが円周方向に多数に分離して、負圧吸着性を減らしている。
c)上記実施形態において、3本以上の円周方向凹溝と多数の放射状凹溝との組合せで、クラッチ引きずりトルクが大幅に減少される。その内容を以下の実施例で詳細に説明する。
【0046】
【実施例】
本発明に係る摩擦フェーシングと従来の摩擦フェーシングでクラッチ引きずりトルクの測定を行った。
【0047】
図5に示す実験データにおいて、16〜18本程度の放射状凹溝のみの構造(第1従来技術)では回転数の変化が上下動し、16〜18本程度の放射状凹溝に2本の円周方向凹溝を設ける構造(第2従来技術)では回転数の変化は小さくなり200〜300rpmで安定している。それに対して、4本の円周方向凹溝に36本の放射状凹溝を設ける構造(本発明に係る実験例)では、回転数はほぼ0で推移する。すなわちクラッチ引きずりトルクがほぼゼロになる。
【0048】
以上より、放射状凹溝が20本以上さらに好ましくは30本以上40本以下であり円周方向凹溝が3本以上さらに好ましくは4本以上5本以下の組合せによって、クラッチ引きずりトルクを低減させる機能が飛躍的に向上していることが分かる。
〔他の実施形態〕
前記実施形態では、コアプレートは平板状であるが、軸方向にたわみ可能なクッショニング機能を有していても良い。また、コアプレートは円周方向に一体に形成された単一の部材から構成されていてもよい。
【0049】
摩擦フェーシングに形成された溝の数・形状・位置は前記実施形態に限定されない。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る摩擦フェーシング及び摩擦ディスクでは、固定用孔は凹部に囲まれているため、溝等の縁部分がかかることはない。したがって、固定用孔部分での摩擦フェーシングの破損が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクラッチディスク組立体を含むクラッチ装置の縦断面図。
【図2】クラッチディスク組立体の平面図。
【図3】摩擦フェーシングの平面図。
【図4】摩擦フェーシングの縦断面図。
【図5】クラッチ引きずりトルクの比較実験データを表す図。
【符号の説明】
1 クラッチ装置
2 クラッチディスク組立体
2b クラッチディスク
3 クラッチカバー組立体
10 コアプレート
11,12 摩擦フェーシング
11a,12a 孔(固定用孔)
11b,12b 放射状凹溝
11c,12c〜11e,12e 円周方向凹溝
11f,12f 凹部
41 リベット(固定部材)

Claims (5)

  1. 回転部材にリベットにより固定され、他の回転部材に押し付けられて摩擦係合可能な摩擦フェーシングであって、
    摩擦面を構成する主面を有する環状板を備え、
    前記環状板には前記リベットが頭部を含めて収容される複数の固定用孔が形成され、
    前記主面には、円周方向に並ぶように配置され半径方向に延びる複数の径方向凹溝と、前記固定用孔を囲むように前記固定用孔の外周側に配置された複数の凹部と、が形成されており、
    前記複数の凹部は、隣り合う前記径方向凹溝の円周方向間に配置され隣り合う前記径方向凹溝を円周方向に直接つないでいる、
    摩擦フェーシング。
  2. 前記主面には円周方向凹溝が形成され、
    前記円周方向凹溝の一部は、前記凹部に含まれている、
    請求項1に記載の摩擦フェーシング。
  3. 前記複数の凹部は、円周方向に並んで配置される複数の第1凹部と、円周方向に並んで配置され各前記第1凹部の半径方向外側に配置された複数の第2凹部と、を含んでおり、
    前記第1および第2凹部のうち少なくとも一方は、隣り合う前記径方向凹溝を円周方向に直接つないでいる、
    請求項1または2に記載の摩擦フェーシング。
  4. 前記円周方向凹溝は、一部が前記第1凹部に含まれる環状の第1円周方向凹溝と、前記第1円周方向凹溝の外周側に配置され一部が前記第2凹部に含まれる環状の第2円周方向凹溝と、を含んでいる、
    請求項3に記載の摩擦フェーシング。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の2枚の摩擦フェーシングと、
    前記2枚の摩擦フェーシング間に配置されたコアプレートと、
    前記摩擦フェーシングの前記固定用孔に配置され、前記2枚の摩擦フェーシングと前記コアプレートを固定するための固定部材と、
    を備えた摩擦ディスク。
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