JP4205785B2 - 車両用熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に用いられるインタークーラ、エバポレータ、コンデンサ、ラジエータ等の車両用熱交換器に関し、たとえば、過給機を有するエンジンシステムに用いられるインタークーラとして最適な車両用熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には各種の熱交換器が用いられている。たとえば、インタークーラに関して言えば、現在小中型乗用車の分野において主流になっているFF車の場合、エンジンルーム内においてエンジンは横置きになっているので、インタークーラはエンジンに対して上方もしくは車両後方側に配設されるようになっている。
【0003】
ところで、エンジンは駆動時においては、燃焼室内での混合気の燃焼等に起因して常に振動している。また、車両走行中には、走行による振動も加わる。したがって、インタークーラのタンク部と、該タンク部への流体の出入口部を形成する出入口パイプとの連結部および出入口パイプ自身には振動等に対する強度・耐久性が要求される。このため、上記パイプを肉厚にしたり、パイプとタンクとの接続部のろう付け強度を高める等の工夫がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インタークーラをエンジンに対して、たとえば上方もしくは車両後方側に配設し、接続部等に上記のような耐振動対策を講じると、車両が前方から衝突等した場合においても、タンクとパイプとの強固な接続が維持されるため、たとえばパイプ等以外のインタークーラ本体が運転室内へ進入するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、接続部等に要求される振動等に対する強度を確保しつつ、衝突時等における車両用熱交換器の運転室内への進入を確実に防止でき、運転者等の安全性を一層向上できる車両用熱交換器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の車両用熱交換器は、車両のエンジンルーム内に設置され、タンク部と、該タンク部に連結され該タンク部への流体の出入口部を形成する部材とを備えた車両用熱交換器において、前記出入口部形成部材が固定具を介して前記タンク部に固定されており、該固定具に、出入口部形成部材との間で局部的に衝撃力を伝達するエッジ部を設けて、前記出入口部形成部材を、タンク部との連結部において、衝撃により破壊可能な構造に構成したことを特徴とするものからなる。
【0007】
上記出入口部形成部材は、樹脂またはゴムにより形成されることが好ましい。上記樹脂またはゴムはとくに限定されるものではないが、たとえば、樹脂としてはポリアミド系樹脂(ナイロン)やポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。
【0008】
また、上記出入口部形成部材には、破壊の起点部を設けることが好ましい。該起点部を設けることにより、所望のタイミング、部位における出入口部形成部材の破壊を確実に誘発することができる。上記起点部は、たとえばノッチ(切り欠き)から構成することができる。
【0009】
上記出入口部形成部材の破壊を確実に誘発するためには、たとえばタンク部に、上記出入口部形成部材との間で局部的に衝撃を伝達するエッジ部を設けることができる。また、本発明では、上記出入口部形成部材が固定具を介してタンク部に固定されているので、上記タンク部側のエッジ部とともに、あるいは該エッジ部を省略して、上記固定具に、上記出入口部形成部材との間で局部的に衝撃を伝達するエッジ部を設ければよい。
【0010】
上記のような車両用熱交換器においては、たとえば、正面衝突等により車両前方側から衝撃が加わると、まず出入口部形成部材がタンク部との連結部において破壊され衝撃が効果的に吸収されるとともに、出入口部形成部材とタンク部との連結状態が損なわれる。したがって、車両用熱交換器の車両後方側(運転室側)への移動が防止、あるいは最小限に抑制されるので、車両用熱交換器の運転室内への進入を確実に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の車両用熱交換器の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施態様においては、車両用熱交換器がインタークーラの場合を示している。
図1は、本発明の第1実施態様に係るインタークーラを用いたエンジンシステムを自動車に適用した場合を示している。図1において、1はインタークーラを示している。インタークーラ1は、タンク部2、3と冷却用熱交換部4とを有している。
【0012】
タンク部3には、上記システム内のターボチャージャ(図示略)からの過給された吸気をインタークーラ1内へ導入する入口部形成部材(入口パイプ)5が連結されており、冷却用熱交換部4で冷却された吸気はタンク部2に連結された出口パイプ(出口部形成部材)6からエンジン8の吸入マニホールド9内へ流入し該エンジン8の各燃焼室(図示略)内へ供給されるようになっている。
【0013】
そして、本実施態様においては、インタークーラ1は、エンジン8に対して車両後方側、すなわち運転室側に配設されている。
【0014】
タンク部2には、樹脂製の出口部形成部材6が連結されている。本実施態様においては図2、図3に示すように、固定具7を介して出口部形成部材6がタンク部2に連結されている。より具体的には、固定具7はボルト13を介してタンク部2に固定され、固定具7とタンク部2の外面との間で出口部形成部材6の鍔部11を挾持固定することにより出口部形成部材6がタンク部2に強固に連結されるようになっている。
【0015】
また、タンク部2には溝10が設けられており、溝10には部材6の鍔11の底面に形成された凸部12が嵌合され、該部分の気密性が確保されるようになっている。つまり、従来のガスケットを省略した構造において、気密性の確保が可能になっている。
【0016】
固定具7には、出口部形成部材6に局部的に衝撃力を伝達するエッジ部14が設けられている。
【0017】
本実施態様においては、正面衝突等により車両の前方から衝撃が加わると、まず出口部形成部材6がタンク部2との連結部において破壊され衝撃が効果的に吸収されるとともに、その連結状態が損なわれるので、インタークーラ1の車両後方側への移動が防止あるいは最小限に抑制され、インタークーラ1の運転室内への進入を確実に防止できる。
【0018】
また、本実施態様においては、固定具7にはエッジ部14が設けられているので、上記衝撃力が部材6に局部的に伝達され、部材6の破壊が確実に誘発されるようになっている。また、図4に示すように、出口部形成部材6に破壊の起点となるノッチ(切り欠き)15を設けておけば、部材6を一層確実に破壊することができる。
【0019】
なお、本実施態様においては、出口部形成部材6を破壊しているが、入口部形成部材5を、あるいは双方の部材5、6を破壊するようにしてもよい。
【0020】
図5は、本発明の第2実施態様に係るインタークーラの部分拡大断面図を示している。なお、上記第1実施態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明を省略する。本実施態様においては、固定具16を介して出口部形成部材6がタンク部2に連結されているが、該固定具16には上記実施態様のようなエッジ部14は省略されており、出口部生計部材6にノッチ15が設けられている。本実施態様においても、衝突時等においては出口部形成部材6が確実に破壊されるので、インタークーラの運転室内への進入を確実に防止することができる。
【0021】
図6、図7は、本発明の第3実施態様に係るインタークーラを示している。本実施態様においてはタンク部17には、出口部形成部材18が連結されている。出口部形成部材18は、固定具19を介してタンク部17に連結されている。より具体的には、固定具19はボルト20を介してタンク部17に固定されている。そして、固定具19とタンク部17の外面との間に部材18の鍔部21を挾持することにより、部材18がタンク部17に強固に連結されるようになっている。
【0022】
タンク部17には溝22が設けられており、該溝22には部材18の鍔21の底面に設けられた凸部23が嵌合するようになっている。また、タンク部17には部材18に局部的に衝撃を伝達するエッジ部24が設けられている。
【0023】
本実施態様においても、衝突時等においては部材18の破壊が確実に誘発されるので、インタークーラ1の運転室内への進入を確実に防止することができる。この場合も、エッジ部24に対応する部材18の部位にノッチを設けておけば、部材18の確実な破壊を担保することができる。なお、本実施態様においては、出口部形成部材18を破壊しているが、入口部形成部材、あるいは双方の部材を破壊するようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両用熱交換器によるときは、衝突時等においては出入口部形成部材が確実に破壊されるので、熱交換器の運転室内への進入が確実に防止され、運転者等の安全性をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様に係る車両用熱交換器を用いたエンジンシステムの概略構成図である。
【図2】図1の車両用熱交換器の部分断面図である。
【図3】図2のA部の拡大図である。
【図4】図2とは別の態様の出入口部形成部材を用いた車両用熱交換器の部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施態様に係る車両用熱交換器の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施態様に係る車両用熱交換器の部分断面図である。
【図7】図6のB部の拡大図である。
【符号の説明】
1 インタークーラ
2、3、17 タンク部
4 冷却用熱交換部
5 入口部形成部材(入口パイプ)
6、18 出口部形成部材(出口パイプ)
7、16、19 固定具
8 エンジン
9 マニホールド
10 溝
11、21 鍔部
12、23 凸部
13、20 ボルト
14、24 エッジ部
15 ノッチ(切り欠き)

Claims (3)

  1. 車両のエンジンルーム内に設置され、タンク部と、該タンク部に連結され該タンク部への流体の出入口部を形成する部材とを備えた車両用熱交換器において、前記出入口部形成部材が固定具を介して前記タンク部に固定されており、該固定具に、出入口部形成部材との間で局部的に衝撃力を伝達するエッジ部を設けて、前記出入口部形成部材を、タンク部との連結部において、衝撃により破壊可能な構造に構成したことを特徴とする車両用熱交換器。
  2. 前記出入口部形成部材が樹脂またはゴムからなる、請求項1の車両用熱交換器。
  3. 前記タンク部に、前記出入口部形成部材との間で局部的に衝撃力を伝達するエッジ部が設けられている、請求項1または2の車両用熱交換器。
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