JP4205391B2 - 平版印刷版の作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版の作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版を製版する際、その最終工程でいわゆるガム液が塗布される。ガム液塗布の目的は非画像領域の親水性を保護するのみならず、画像領域の加筆又は消去等の画像修正、製版後印刷するまでの期間の保存又は再使用までの保存、印刷機に取付ける際や取扱い中の指紋、油脂、塵埃等の付着によって引き起こされる汚れの防止及び傷の発生等からの保護であり、更に酸化汚れの発生を抑えることである。
従来、平版印刷用のガム液としては、一般的にアラビアガム、セルロースガム又は分子中にカルボキシル基を有する水溶性高分子物質の水溶液が使用されていた。しかし、これらのガム液は下記の様な問題点を持っていた。即ち、通常印刷版の最終の仕上げ工程で版上にガム液を注ぎ、これをスポンジ、または綿タンポン等で版面全体に拡げ、更に拭布で版面が乾燥するまで擦るが、この際、画像領域(インキを受容する領域)に水溶性高分子物質が部分的に厚塗りになる。自動製版機で版上にガム液を塗布した場合も類似の現象が起こる。厚塗りされた部分の画像部は、印刷する過程でインキに対する着肉性が悪く、所望のインキ濃度の印刷物を得るまでには相当数の刷り枚数を必要としていた。
またネガ型の感光性平版印刷版を現像した後ガム液を塗布する場合は、ガム液には上記の役割に加え、耐刷性を向上させる効果がある。すなわち、ガム液の種類により不感脂化効果が不十分であると場合には、画像部に残存する現像液成分が悪影響を及ぼして平版印刷版の耐刷性が低下する。一方、十分な不感脂化効果が得られるガム液を使用した場合には、画像部への現像液の影響が無く、良好な耐刷性を得ることができる。
製版後の平版印刷版を印刷する過程でインキに対して良好な着肉性を発揮し、更に耐刷性を向上させる版面保護剤を得るため種々工夫が提案されているが、その効果としてはまだ十分なものではなかった(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−314054号公報
【特許文献2】
特許第3004378号公報
【特許文献3】
特開2001−174979号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ネガ型の感光性平版印刷版を製版して得られる平版印刷版であって、印刷する過程でインキに対して良好な着肉性を発揮し、かつ向上した耐刷性を示す平版印刷版の作成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を含む平版印刷版用版面保護剤を用いてネガ型感光性平版印刷版より得られる平版印刷版を処理することにより上記目的が達成できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
従って本発明は、ネガ型感光性平版印刷版を露光、現像した後、下記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する乳化型の版面保護剤を塗布することを特徴とする、平版印刷版の作成方法である。
【化2】
(上記式中、R1〜R8はそれぞれ独立して炭素原子数8〜18のアルキル基を表し、M1〜M3は、それぞれ独立してCa又はMgを表す。)
【0006】
上記化合物を版面保護剤に含有させることにより画像部の着肉性・耐刷性に優れる平版印刷版を得ることができる。このような効果を奏する理由は明確でないが、この版面保護剤は水への溶解性が良好であるため、印刷時湿し水に対して容易に溶解して優れた着肉性を示し、また版面保護剤の画像部に対する濡れ性が良いため、現像液成分の残存を防止して優れた耐刷性を示すと推定している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において用いられるネガ型感光性平版印刷版とは、ネガ型感光層を支持体上に有するものである。
[支持体]
支持体としては紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板、プラスチックフィルム、金属ががラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックが用いられるが、好ましくは金属板であり、特に好ましいのはアルミニウム板である。
【0008】
[表面処理]
上記の支持体は表面処理されたものが好適に用いられる。表面処理としては、まず上記支持体に対し、機械的粗面化および/または電気化学的粗面化を行う。
機械的粗面化の方法としては、ブラシ研磨法、ボール研磨法、ブラスト研磨法を挙げることができる。これらの中で好ましいのはブラシ研磨法であり、例えばパミストン−水懸濁液を表面に供給しながらナイロンブラシを擦りつける方法を挙げることができる。
また電気化学的粗面化の方法としては、アルミニウム板を電解液に浸漬し、そこに電気を流すことにより行われる。電解液としては、酸・アルカリ・無機塩の水溶液、あるいはこれらの水溶液に有機溶剤を添加した水性溶液があげられるが、これらのうちで好ましいのは、硝酸・塩酸の水溶液である。この電解液を通常10〜60℃にして電気を流すことで、電気化学的粗面化を行う。
【0009】
このように機械的粗面化および/または電気化学的粗面化処理をしたアルミニウム板は、通常エッチング処理を施す。このエッチングにより表面に付着したスマットの除去も行われる。処理液は通常アルミニウムを溶解するアルカリあるいは酸の水溶液より選ばれるが、アルカリ性物質の水溶液が好ましい。なおアルカリ性水溶液でエッチングした後は、洗浄のため硝酸あるいは硫酸といった酸で中和することが好ましい。
支持体の粗面化処理を行った後には陽極酸化処理を行う。好ましい電解液としては硫酸、リン酸があげられ、硫酸とリン酸の混酸も使用することができる。この中でも好ましいのは硫酸である。
硫酸で陽極酸化する場合、硫酸濃度5〜30質量%の液を20〜60℃にして、電流密度1〜20A/dm2で5〜250秒間電解処理を行うことで、表面に1〜10g/m2の酸化皮膜が設けられる。陽極酸化処理を行った後、熱水や無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬、あるいは水蒸気浴などにより封孔処理を行っても良い。
【0010】
支持体の粗面化処理、陽極酸化処理を行った後に親水化処理を行う。親水化処理としては、ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)処理、ホスホン酸処理、ポリビニルホスホン酸処理、特開昭58−16893号や特開昭58−18291号の各公報に記載されている親水性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、特開昭58−18291号の公報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合体の下塗りによる親水化処理などをあげることができ、2種以上の処理を組み合わせて実施しても良い。この中で好ましいのは、ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸の少なくとも1種の化合物による処理である。
ケイ酸塩、ホスホン酸、ポリビニルホスホン酸のうち少なくとも1種の化合物による処理方法としては化合物を水溶液にして、水溶液に支持体を浸漬する、水溶液を支持体に塗布する、水溶液スプレー等で吹き付ける、といった方法が挙げられる。
【0011】
[下塗り]
本発明で用いる感光性平版印刷版は、感光層を塗布する前に下塗りを施しても良い。下塗りとしては、公知の水溶性の樹脂、後述するジアゾ樹脂などを挙げることができる。また特開2000-305257号公報、特開2001-290260号公報に記載されているような機能性の層を下塗りとして設けても良い。
【0012】
[感光層]
上述したように、本発明で用いるネガ型感光性平版印刷版は上記支持体上にネガ型感光層を設けたものである。ネガ型感光層としては、(1)ジアゾ樹脂と有機高分子重合体の組み合わせを用いた感光層、(2)光重合開始剤と重合性モノマーの組み合わせを用いた感光層、(3)光架橋性化合物を用いた感光層、をあげることができる。
なおいずれの感光層の場合もジアゾ樹脂を含有することが好ましい。(1)の場合、ジアゾ樹脂は結合剤としての機能と、密着剤としての機能を有し、(2)および(3)の場合、ジアゾ樹脂は主として密着剤としての機能を有する。
【0013】
ジアゾ樹脂としては従来公知のものが適宜使用できるが、芳香族ジアゾニウム塩と例えば活性カルボニル含有化合物、特にホルムアルデヒドとの縮合物で代表されるジアゾ樹脂をあげることができ、例えばp−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドの縮合物と、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩との反応生成物であるジアゾ樹脂無機塩、また前記縮合物とスルホン酸類、例えばパラトルエンスルホン酸又はその塩、ホスフィン酸類、例えばベンゼンホスフィン酸又はその塩、ヒドロキシル基含有化合物、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸又はその塩等の反応生成物であるジアゾ樹脂有機酸塩等が挙げられる。
【0014】
また、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、スルフィン酸基、スルフィン酸塩基よりなる群から選択した基を少なくとも1個有する芳香族化合物と、芳香族ジアゾニウム化合物とを構成単位として含む共縮合ジアゾ樹脂を用いることもできる。芳香族化合物は、例えばべンゼン環又はナフタリン環に、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、スルホン塩基、スルフィン酸基、スルフィン酸塩基よりなる群から選択した置換基を少なくとも1個有するものであり、各置換基は芳香族環に直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。芳香族ジアゾニウム化合物の具体例としては4−ジアゾ-4−メトキシジフェニルアミン塩、4−ジアゾ−4−エトキシジフェニルアミン塩及び4−ゾアゾ−3−メトキシジフェニルアミン塩、4−ジアゾ−ジフェニルアミン塩が挙げられる。この場合、芳香族ジアゾ化合物と芳香族化合物の仕込みモル比は1:0.1〜0.1:1、好ましくは、0.5:1〜1:0.2である。この場合、前記芳香族ジアゾ化合物、芳香族化合物の合計とアルデヒド類又はケトン類とをモル比で通常0.6〜1.5:1、好ましくは0.7〜1.4:1で仕込み、低温で短時間、例えば3時間程度反応させることによりジアゾ樹脂が得られる。
【0015】
本発明に使用するジアゾ樹脂は、各単量体のモル比及び縮合条件を種々変えることにより、その分子量は任意の値として得ることができるが、本発明の目的とする使途に有効に供するためには分子量が約400〜100,000のもの、好ましくは、約800〜5,000のものが適当である。
またジアゾ樹脂の含有量としては、その機能によっても異なるが、感光層中に0.01〜70質量%、好ましくは0.05〜50質量%含有される。
ジアゾ樹脂以外の成分について以下に述べる。
【0016】
(1)ジアゾ樹脂と有機高分子重合体の組み合わせを用いた感光層の場合、有機高分子重合体としては例えば、米国特許第4123276号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸及び必要に応じて更に他の共重合しうるモノマーとの3次元または4次元共重合体、特開昭53−120903号公報に記載されているような、末端がヒドロキシ基でありかつジカルボン酸エステル残基を含む形でエステル化された(メタ)アクリル酸を用いた共重合体、特開昭53−98614号公報に記載されているような芳香族水酸基を末端に有する単量体(例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド)を用いた共重合体、などをあげることができる。また酸性ポリビニルアルコール誘導体、酸性セルロース誘導体も有効である。更には、特開昭60-182437号公報、特開昭61-281236号公報、特開昭62-58242号公報に記載されているようなブチラール樹脂、特開昭62-123452号公報、特公平7-120038号公報、特開平5-281718号公報に記載されているようなポリウレタン樹脂も有用である。
【0017】
(2)光重合開始剤と重合性モノマーの組み合わせを用いた感光層としては、例えば特公平3-63740号公報、特開昭62-11851号公報、特開平4-274429号公報に記載されている感光層があげられる。
【0018】
(3)光架橋性化合物を用いた感光層としては、光二量化型のマレイミド基を側鎖に有するポリマーを用いた感光層が好適に使用され、例えば特公平5-2227号公報、特開平3-240061号公報、特開平7-295212号公報に記載されている感光層があげられる。またケイ皮酸エステルを主鎖または側鎖に有するポリマーを用いた感光層も使用できる。
【0019】
この感光層中には、着色を目的として、染料もしくは顔料、例えばジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサントン系染料、アントラキノン系染料、イミノナフトキノン系染料、アゾメチン系染料、アゾ系染料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等を加えることが好ましい。更に焼き出し剤として例えば、トリハロメチル基含有化合物、ジアゾ単量体、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった光酸発生剤や光酸化剤とpH指示薬、ロイコ染料の組み合わせを感光層中に加えることもできる。
【0020】
少なくとも上述の成分を有する感光層は、上記成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に添付する。ここで使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル等があり、これらの溶媒を単独であるいは混合して使用することができる。また、これらの溶媒や混合溶媒に少量の水を添加してもよい。尚、上記成分の溶媒中の濃度(固形分)は、1〜50質量%である。塗布の際は界面活性剤、特にフッ素系の界面活性剤を加えることが好ましい。
【0021】
これらの溶媒に溶解させた塗布液を塗布し、乾燥させる場合50℃〜200℃で乾燥させることが望ましい。乾燥方法は始め温度を低くして予備乾燥した後高温で乾燥させてもよいが、適当な溶媒と濃度を選ぶことによって直接高温で乾燥させてもよい。
このようにして、0.1〜7g/m2、好ましくは0.2〜5g/m2の被覆量で感光層を支持体上に設ける。
【0022】
[マット層]
上記のようにして設けられた感光層の表面は、真空焼枠を用いた密着露光の際に真空引きの時間を短縮し、かつ焼きボケを防ぐ為、マット化することが好ましい。具体的には、特開昭50−125805号、同58−182636号、特公昭57−6582号の各公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法などがあげられる。
【0023】
[露光・現像]
感光性平版印刷版はメタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯などのような紫外線に富んだ光源を用いて画像露光したあと、現像液で処理して感光層の未露光部を除去する。
この際使用する現像液としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤の水溶液及びモノ、ジ又はトリエタノールアミン等の有機アミン化合物の水溶液が適当であり、それらの濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
【0024】
また、該アルカリ性水溶液には、必要に応じ界面活性剤やアルコールなどのような有機溶媒を加えることもできる。有機溶媒として好ましいものは、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノール、n−プロピルアルコール等挙げられる。界面活性剤としてはアルキルナフタレンスルホン酸塩、ラウリルサルフェートナトリウム塩等のアニオン界面活性剤などが挙げられる。この他、ジアゾ溶解剤、例えば、亜硫酸塩、メチルレゾルシン、ピラゾロン化合物等の還元性物質を入れることも好ましい。また、米国特許第3,475,171号及び同第3,615480号の明細書に記載されているものを挙げることができる。更に、特開昭50−26601号、特公昭56−39464号及び同56−42860号の各公報に記載されている現像液も本発明において使用し得る感光性平板印刷版の現像液として優れている。
【0025】
しかし、有機溶媒等を含有すると、作業時の毒性、臭気等の衛生上の問題、火炎、ガス爆発等の安全性の問題、泡の発生等作業性の問題、廃液による公害等の問題、コストの問題等が発生するため、実質上有機溶媒を含まない物が好ましい。なお「実質上有機溶媒を含まない」とは、前述の環境衛生、安全性、作業性等の点からみて不都合を生じる程度までは有機溶媒を含有しない、の意であり、本発明においては該物質の組成物中に占める割合が2質量%以下である事を言い、好ましくは1質量%以下である。このような実質上有機溶媒を含まない水性アルカリ現像液として例えば特開昭59−84241号及び特開昭57−192952号公報等に記載されている、ポジ型平版印刷版を画後露光後、現像する際に用いられる現像液組成物を使用することができる。
【0026】
[版面保護剤]
本発明の方法において、版面保護剤による処理は、現像処理工程の後無水洗で直ちに行うこともできるし、現像処理後水洗工程(流水循環水洗あるいは少量の塗りつけ水洗を含む)の後で実施しても良い。また界面活性剤を含有するリンス液で処理した後に行うこともできる。
本明細書で触れる各種成分の含有量、添加量は、特に記載しない限りは、用時の即ち使用時の濃度をさす。
【0027】
本発明における版面保護剤は、下記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する乳化型の版面保護剤である。
【化3】
【0028】
上記一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物はスルホン酸であっていずれもアニオン界面活性剤に分類される。式中R1〜R8の炭素原子数8〜18のアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、好ましくは直鎖である。これらの化合物の中から、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。M1〜M3は、それぞれ独立してCa又はMgを表す。
中でも、一般式(II)で示されるドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩及びマグネシウム塩、一般式(III)で示されるジオクチルスルホコハク酸のカルシウム塩及びマグネシウム塩を好ましく使用することができる。これらの化合物を使用することにより版面への濡れ性と印刷時の溶解性のバランスが優れた版面保護剤を得ることができ、また、安価にそのような版面保護剤を得ることができるからである。
版面保護剤中における上記化合物の含有量は0.1〜5.0質量%が適当であり、好ましくは0.5〜3.0質量%である。添加量が少なすぎる場合には本発明の効果を十分に得ることができず、また添加量が多すぎる場合には印刷版の表面を溶解する場合があり好ましくない。
【0029】
本発明における平版印刷版用版面保護剤には、上記以外の界面活性剤を含有させてもよく、塗布面質、インキ着肉性などをより良化することができる。
そのような界面面活性剤として、例えばアニオン界面活性剤及び/又はノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアドニナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキスエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0030】
またイオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミン類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル等が好ましく用いられる。
【0031】
また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系のアニオン、ノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
これら界面活性剤は2種以上併用することもできる。例えば、互いに異なる2種以上のアニオン界面活性剤の併用やアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の併用が好ましい。これらの化合物は環境面への影響を考慮して適宜選択して使用することが好ましい。
上記の界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、好ましくは版面保護剤の全質量の0.01〜20質量%である。
【0032】
版面保護剤の水相には、次のような成分を含ませることができる。
(a)水溶性高分子化合物
(b)pH調整剤
(c)湿潤剤
(d)防腐剤
(e)必要に応じて▲1▼硝酸塩・硫酸塩、▲2▼キレート化合物、▲3▼消泡剤
【0033】
(a)水溶性高分子化合物としては例えばアラビアガム、トラガントガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストリン、澱粉及びその誘導体、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等の合成水溶性高分子、大豆多糖類等の水溶性多糖類などが挙げられる。中でもアラビアガム、テキストリン(焙焼デキストリン、酵素分解デキストリンなど)、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類などが好ましく使用できる。
【0034】
版面保護剤中には、上記水溶性高分子化合物を1種以上組合わせて使用することもできる。これら化合物の含有量は、版面保護剤の全質量に基づいて3〜30質量%が適当であり、より好ましくは4〜25質量%である。
本発明の方法において版面保護剤は、酸性領域pH2.5〜6.5の範囲で使用するのが一般に有利である。pH2.5〜6.5に調節するために、(b)pH調整剤として、無機酸、有機酸又はそれらの塩類を添加することが適当である。中でも、鉱酸、有機酸又は無機塩を使用する。その添加量は、版面保護剤の全質量に基づいて一般的に0.01〜3質量%が適当である。例えば、鉱酸としては硝酸、硫酸、リン酸、メタリン酸等が挙げられる。有機酸としてはクエン酸、酢酸、修酸、マロン酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機塩としては第1リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの鉱酸、有機酸又は無機塩等を1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0035】
(c)湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般に、上記湿潤剤は版面保護剤の全質量に基づいて1〜5質量%の量で使用される。
【0036】
(d)防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の版面保護剤に対しで0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0037】
成分(e)▲1▼の硝酸塩・硫酸塩としては硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケル等が挙げられる。これらの塩類の含有量は版面保護剤の全質量に基づいて、0.1〜5質量%程度である。
通常版面保護剤は経済的な理由で濃縮液として市販され、使用時に水道水、井戸水等を加えて希釈使用され、この希釈に使用する水道水、井戸水等に存在するカルシウムイオンが印刷に悪影響を与え、印刷物の汚れを引き起こすことがある。よって、この不都合を防ぐために、キレート化合物(成分(e)▲2▼)を添加しておくことができる。好ましいキレート化合物としては例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。
【0038】
上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。これらキレート剤は版面楳護剤組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時の版面保護剤に対して0.001〜1.0質量%が適当である。
成分(e)▲3▼の消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤の中でHLBが5以下の化合物を使用することができる。消泡剤の含有量は、好ましくは使用時の版面保護剤に対して0.001〜1.0質量%の範囲が最適である。
【0039】
本発明における版面保護剤には、上記成分の他、油相成分として以下のような有機製剤を使用する。例えば水難溶性で沸点160℃以上の有機溶剤を使用する。その好ましい化合物としては、例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸ジエステル剤、例えばジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオメチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、例えばエポキシ化大豆油などのエポキシ化トリグリセリド類、例えばトリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリスクロルエチルホスフェートなどの燐酸エステル類、例えば、安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル類などの凝固点が15℃以下で、1気圧下で沸点が300℃以上の可塗剤が含まれる。
【0040】
その他アルコール系としては、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
グリコール系としてはエチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテルエチレングリコールヘキシルエーテル、オクチレングリコール等が挙げられる。
炭化水素系としては沸点160℃以上の石油留分の芳香族、脂肪族化合物、スクワラン等が挙げられる。
【0041】
上記化合物を選択する時の条件としてはその環境安全性、特に臭気が挙げられる。これらの溶剤の使用量は戚面保護剤の全質量に基づいて、0.1〜5質量%が適当で、より好ましくは0.3〜3.0質量%である。これらの溶剤は1種もしくは2種以上併用することもできる。
本発明において使用される版面保護剤の残余は水である。水の使用量は、版面保護剤全体に対して一般に46〜90質量%となる。
【0042】
乳化型の版面保護剤は、常法に従って調製することができる。乳化型版面保護剤は先ず乳化型濃縮液として調製するのが一般的である。その濃縮度は、版面保護剤の各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。例えば、乳化分散は、水相を温度40℃±5℃に調製し、高速撹拌し、水相の中に調製した油相をゆっくり滴下し充分攪拌後、圧力式のホモジナイザーを通して乳化剤を作成する。
このように乳化型濃縮液を作成した後、用時に水にて希釈する。希釈する際には水道水や工業用水を用いるのが通常である。希釈の程度はその仕様により異なるが、1.5〜5倍程度が一般的である。また後述する自動製版機を使用する場合、希釈の程度を自動製版機で設定を行うが、処理の際水が持ち込まれたり、あるいは水が蒸発することにより、希釈の程度が変化することがある。また現像液が混入することもある。
【0043】
本発明の方法において版面保護剤の塗布はスポンジ等を用いて行っても良いが、自動ガム盛り機等を使用して均一に塗布することが好ましい。また現像処理の後に、水洗してから不感脂化処理、またはそのまま不感脂化処理、または必要に応じて水洗後酸を含む水溶液で処理してから不感脂化処理、これら現像処理から不感脂化処理までの工程を、自動製版機を用いて一貫して実施するのも好ましい。
また版面楳護剤を塗布した後画像部の強度を高めることを目的として、後露光や、バーニング処理等を行う事も出来る。
【0044】
【実施例】
以下実施例をもって詳しく説明するが本願の内容はこれに限定されない。
[感光性平版印刷版作成例1]
99.5%アルミニウムに銅を0.02%、チタンを0.03%、鉄を0.3%、ケイ素を0.07%含有するJIS A1050アルミニウム材を厚さ0.30mmに圧延したアルミニウム板を、まず8号回転ナイロンブラシと400メッシュのパミストンの20%水性懸濁液とを用いてその表面を砂自立て(機械的粗面化)した後、よく水で洗浄した。これを65℃にしたアルミニウムを5%含有する15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、アルミニウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングしたあと流水で水洗し、更に10%硝酸で中和洗浄し水洗した。続いて、アルミニウムを0.5%含有する1%硝酸水溶液中で、陽極時電圧10.5V、陰極時電圧9.3Vの正弦波交番波形電流(電流比r=0.90、特公昭58-5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い、170クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。これを水洗後、35℃にした15%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してアルミニウムの溶解量が0.5g/m2になるようにエッチングし、流水で水洗したあと引き続き30%硝酸水溶液に浸漬し55℃で2分間デスマットしたあと、再度水洗した。更にアルミニウムを0.8%含有する10%硫酸水溶液中を35℃にした液中で、直流電流を用いて電流密度13A/dm2で電解を行い、陽極酸化被覆量が2.3g/m2になるように多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。その後水洗し、70℃のケイ酸ナトリウム3%水溶液に1分間浸漬処理したあと、再度水洗し、140℃で30秒間乾燥した。このようにして表面を親水化処理したアルミニウム板を得た。
【0045】
このアルミニウム板に、まずバーコーターを用いて次の下塗り液(1)を塗布したあと80℃で20秒間乾燥した。乾燥後の下塗り塗布重量は0.005g/m2であった。
下塗り液(1)
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム=75/10/15(モル比)の共重合体(重量平均分子量60000) 0.1g
・純水 10.0g
・メタノール 90.0g
この上に下記組成の感光液(1)をバーコーターを用いて塗布したあと、120℃で50秒乾燥した。乾燥後の感光層塗布重量は1.5g/m2であった。
【0046】
感光液(1)
・メタクリル酸/エチルメタクリレート/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15/20/40/25(モル比)の共重合体(重量平均分子量10.0万) 5.0g
・4−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物(ジアゾ樹脂)のドデシルベンゼンスルホン酸塩 1.5g
・スチレン/マレイン酸モノ−4−メチル−2−ペンチルエステル=50/50(モル比)の共重合体/重量平均分手量10.0万) 0.3g
・トリクレジルホスフェート 0.5g
・ジピコリン酸 0.02g
・酒石酸 0.01g
・ビクトリアピュアブルー、BOH(保土ヶ谷化学製)の対アニオンをナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.15g
・メガファックF-176(尖日本インキ化学(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3g
・メチルエチルケトン 35.0g
・乳酸メチル 8.0g
・メタノール 35.0g
・純水 2.0g
【0047】
更にこの上に、回転霧化静電塗装機を用いて下記に示すマット液を霧状塗布し、蒸気を吹き付けた後、60℃の温風を吹き付けて乾燥させ、マット層を得た。マット層の塗布量は150mg/m2であり、付着したマットの数は70〜150個/mm2、高さは3〜8μm、直径は30〜180μmであった。
【0048】
マット液
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−アクリルアミド−2−メタルプロパンスルホン酸ナトリウム=70/15/15(モル比)の共重合体(重量平均分子量20000) 15.0g
・純水 85.0g
・タートラゾン 0.1g
このようにして得られた感光性平版印刷版を、感光性平版印刷版[A]とする。
【0049】
[感光性平版印刷版作成例2]
作成例1において、電解粗面化を、アルミニウムを0.5%含有する1%塩酸水溶液を用いて実施し、電解粗面化した後の水酸化ナトリウム水溶液によるエッチング量をアルミニウムの溶解量で0.8g/m2になるようにし、更に、使用する感光液を感光液(1)の代わりに下記の感光液(2)を使用した。それ以外は作成例1と同様にし、感光性平版印刷版[B]を得た。
【0050】
感光液(2)
・メタクリル酸/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド=15/20/35/25/5(モル比)の共重合体(重量平均分子量10.0万) 5.0g
・4−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物(ジアゾ樹脂)のドデシルベンゼンスルホン酸塩 1.5g
・スチレン/マレイン酸モノ−4−メチル−2−ペンチルエステル=50/50(モル比)の共重合体(重量平均分子量10.0万) 0.3g
・トリクレジルホスフェート 0.5g
・4−スルホフタル酸 0.1g
・85%リン酸 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製)の対アニオンをナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.15g
・メガファックF-176(大日本インキ化学(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3g
・メチルエチルケトン 35.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・乳酸メチル 8.0g
・純水 2.0g
【0051】
[感光性平版印刷版作成例3]
作成例1において、機械的粗面化で使用する8号回転ナイロンブラシの代わりに3号回転ナイロンブラシを使用し、使用する感光液を感光液(1)の代わりに下記の感光液(3)を使用した以外は作成例1と同様にし、感光性平版印刷版[C]を得た。
感光液(3)
・4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸/テトラエチレングリコール:80/20/60/40(モル比)ポリウレタン樹脂(重量平均分子量10.0万) 5.0g
・4−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合体(ジアゾ樹脂)のドデシルベンゼンスルホン酸塩 1.2g
・スチレン/マレイン酸−4−メチル−ペンチルエステル=50/50(モル比)の共重合体/重量平均分子量10.0万) 0.3g
・トリクレジルホスフェート 0.5g
・4−スルホフタル酸 0.1g
・85%リン酸 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製)の対アニオンをナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.15g
・メガファックF−176(大日本インキ化学(株)製フッ素系界面活性剤)0.3g
・メチルエチルケトン 20.0g
・プロプレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・乳酸メチル 8.0g
・メタノール 35.0g
・純水 2.0g
【0052】
[感光版印刷版作成例4]
作成例3において、感光性平版印刷版を厚さ0.30mm、幅840mmのコイル状で作成し、特開2001−174429号公報の実施例1に記載したのと同様の方法で、スリッターを用い裁断面に切り欠け部ができるように裁断した。このようにして感光性平版印刷版[D]を得た
【0053】
[感光版印刷版作成例5]
作成例4において、電解粗面化した後の水酸化ナトリウム水溶液によるエッチング量をアルミニウムの溶解量で1.5g/m2になるようにした以外は作成例1と同様にし、感光性平版印刷版[E]を得た。
【0054】
[感光版印刷版作成例6]
作成例1において、下塗りを設けず、使用する感光液を感光液(1)の代わりに下記の感光液(6)を使用した以外に作成例1と同様にし、感光性平版印刷版[F]を得た。
感光液(6)
・N−〔6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシル〕−2,3−ジメチルマレイミド/メタクリル酸=60/40(モル)の共重合体(重量平均分子量4万) 5.0g
・下記構造の増感剤 0.3g
・4−ジアゾジフェニルアミンのドデシルベンゼンスルホン酸塩/フェノキシ酢酸=5/5(モル比)の共縮合ジアゾ樹脂 0.3g
・4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミンのヘキサフルオロリン酸塩0.2g
・フェニルホスホン酸 0.03g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製) 0.1g
・メガファックF-176(大日本インキ化学(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3g
・プロピレングリコールモノエチルエーテル 35.0g
・乳酸メチル 8.0g
・メタノール 35.0g
・純水 2.0g
増感剤
【化4】
【0055】
[感光性平版印刷版作成例7]
作成例1において、使用する感光液を感光液(1)の代わりに下記の感光液(7)を使用した以外は作成例1と同様にし、感光性平版印刷版[G]を得た。
感光液(7)
・アリルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸=50/20/30(モル比)、の共重合体(重量平均分子量12万) 5.0g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.0g
・トリメチロールプロパントリアクリレート 2.0g
・下記光重合開始剤 0.3g
・4−ジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物(ジアゾ樹脂)のドデシルベンゼンスルホン酸塩 0.3g
・ベヘン酸 0.10g
・ベヘン酸アミド 0.05g
・リンゴ酸 0.01g
・ジピコリン酸 0.01g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製)の対アニオンをナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.08g
・メガファックF-176(大日本インキ化学(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3g
・メチルエチルケトン 35.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0g
・乳酸メチル 8.0g
・メタノール 35.0g
・純水 2.0g
光重合開始剤
【化5】
【0056】
[版面保護剤の作成例]
版面保護剤例1〜5は乳化タイプの版面保護剤である。版面保護剤比較例1、2は乳化タイプの版面保護剤であり、版面保護剤比較例3は溶液タイプの版面保護剤である。
(水相の調製)
純水の中に水溶性高分子化合物を溶解する。溶解後、順次、水相に添加成分を加えて溶解し、すべて溶解後、40℃±5℃に温度を調節した。
(油相の調製)
難溶性高沸点溶媒、各界面活性剤(乳化剤)を混合し均一の溶液になるよう撹拌した。
(乳化分散)
水相を40℃±5℃に調整し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)で撹拌速度500〜600rpmとした中に油相をゆっくり滴下し、滴下終了後、純水を用いて全量1000mlとして更に10分撹絆する。その後、圧力式ホモジナイサーを用いて乳化し、版面保護剤濃縮液を作製した。
【0057】
表1にこれら濃縮液の組成を示す。単位はg(グラム)である。
このように調製した液を水で1:1(容積比)に希釈して使用時の版面保護剤とした。これらにより作成した版面保護剤を版面保護剤(ア)〜(ク)とする。
【0058】
【0059】
【0060】
【化6】
化合物A(Rは炭素数12〜16の直鎖飽和炭化水素の混合物)
【化7】
化合物B
【化8】
化合物C
【0061】
[実施例1]
作成例により得られた感光性平版印刷版の上に網点ネガフィルムを重ね、米国ヌアーク社製プリンターFT2-6V2UPNS(光源;2KWメタルハライドランプ)で200カウント露光した。その後富士写真フイルム(株)製自動現像機STABLON900NBを用いて現像処理と不感脂化処理を同結に行い製版した。その際現像液としては富士写真フイルム(株)製現像液DN-6Kを用い、自動現像液で定められた割合で水道水で希釈し使用した。また作成した(ア)〜(ク)の界面保護剤をガム液として用い不感脂化処理した。
製版を終了した平版印刷版を室温(20〜25℃)で24時間保管したのち、小森印刷機(株)製印刷機リスロンに取り付け、市販のインキと湿し水を用いて上質紙に印刷した。このとき、刷り出しにおいて良好な印刷物が得られるまでの損紙の枚数を確認した(以下この評価を「着肉性」とする)。またそのまま印刷を続け、画像部の摩擦等で良好な印刷物を得られなくなるまでの枚数を確認した(以下この評価を「耐刷性」とする)。
これらの着肉性の評価結果を表2に、耐刷性の評価結果を表3にそれぞれ示す。着肉性の数値は良好な印刷物がえられるまでの枚数を示す。従って数値が小さいほど着肉性能に優れる。また耐刷性の数値は良好な印刷物が得られなくなるまでの枚数を示す。従って、数値が大きいほど耐刷性能に優れていることを表している。
【0062】
【0063】
【0064】
以上の試験の結果から、版面保護剤(ア)〜(オ)をネガ型感光性平版印刷版に対して用いることにより、得られた平版印刷版ではインキ着肉性が良好になりまた優れた耐刷性を得ることができた。一方、比較例の版面保護剤(カ)〜(ク)を用いた場合、着肉性や耐刷性において劣る結果であった。
【0065】
[実施例2]
実施例1で、製版後の平版印刷版を室温(20〜25℃)ではなく、温度35℃湿度85%の条件下に24時間保管したのち印刷した以外は実施例1と同様の実験を行った。このときの着肉性の結果を表4に示す。実施例1と同様、版面保護剤(ア)〜(オ)を用いた本発明の方法により得られた平版印刷版では良好であったが、比較例の版面保護剤(カ)〜(ク)を用いた場合には、着肉性において劣る結果であった。
【0066】
表4
単位:枚
【0067】
[実施例3]
実施例1で、感光性平版印刷版[A]〜[E]に対し、basysPrint社製「UV-setter」を用いて露光した以外は実施例1と同様に実施し、着肉性についての実験を行った。basysPrint社製「UV-setter」は、超高圧水銀ランプから出る光を特殊な機構を用いて集光したのち、変調素子を用いて単位面積ごとに版面に像様の集光した光をあて、露光画像を得る装置である。このときの着肉性の結果は実施例1と同じか1枚違う程度であり、実施例1と同様、本発明の方法により版面保護剤(ア)〜(オ)を用いて得られた平版印刷版では良好になるが、比較例の版面保護剤(カ)〜(ク)を用いた場合には、着肉性に劣る結果であった。
【0068】
[実施例4]
感光性平破印刷版[D][E]を実施例1と同様に製版したのち、すぐに新聞印刷機に取り付け、市販の新聞インキと新聞用湿し水を用いて、新聞印刷の要領で更紙に印刷した。このときの版の端部に相当する部分の汚れの状態について評価した。結果を表5に示す。新聞印刷では版より紙の方が大きいため、版の端部に相当する部分が汚れになる場合がある。本発明の方法により版面保護剤(ア)〜(オ)を用いた場合には端部に相当する部分での汚れは発生しなかったが、比較例の方法により版面保護剤(カ)〜(ク)を用いた場合にはうっすら汚れが発生した。このように本発明の方法により、新聞印刷で好適に用いられる平版印刷版を得ることができた。
【0069】
表5
【0070】
【発明の効果】
ネガ型感光性平版印刷版を一般式(I)、(II)又は(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する乳化型の版面保護剤で処理する本発明の方法により、上記化合物を版面保護剤に含有させることにより画像部の着肉性・耐刷性に優れる平版印刷版を得ることができる。
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