JP4205334B2 - 茶に由来する薬理組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶抽出物の新たな用途、特に癌の増殖や転移、リウマチなど炎症性疾患、糖尿病性網膜症等血管新生を主因とする疾病の治療・予防などの分野における新たな用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑茶は、チャ(Camellia sinensis)の葉を摘採後、緑色を保つために、速やかに蒸すか、妙るかすることにより葉中に含まれる酵素を失活させ、揉捻の操作を加えた後、乾燥して得られる加工品及びその浸出液を指し、古くから嗜好飲料として人々に愛飲されてきた。
【0003】
緑茶の可溶性主要成分は、緑茶ポリフェノ−ルのうちフラバン−3−オ−ル骨格を有するカテキン類で、(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)、(−)−エピカテキンガレ−ト(ECg)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−ガロカテキンガレ−ト(GCg)、(−)−カテキンガレ−ト(Cg)、(±)−ガロカテキン(GC)、(±)−カテキン(C)の8種のカテキンの存在が知られている。これらカテキン類の含有量は、原料のチャの品種、栽培条件、緑茶への加工法によって異なるが、大体5重量%〜18重量%である(日本食品科学工業学会誌、46巻、第3号、頁138〜147)。
【0004】
緑茶は、抗菌作用、血中コレステロ−ル低下作用、抗アレルギ−作用等様々な薬理活性を持つことが報告されており、最近では、癌予防効果をもつという疫学調査及び動物実験の結果が発表されて注目を浴びている。
【0005】
緑茶の薬理活性のほとんどは、緑茶ポリフェノ−ル、特に、茶カテキン類に由来すると考えられており、茶カテキン類を有効成分とした、「コレステロ−ル上昇抑制剤(特開昭60−156614号公報)」、「抗腫瘍剤(特開昭60−190719号公報)」、「抗う蝕及び抗歯周病組成物(特開昭64−009922号公報)」、「下痢症ウイルス感染阻害剤(特開平01−265023号公報)」、「う蝕予防剤(特開平02−025413号公報)」、「血小板凝集抑制剤(特開平02−184626号公報)」、「インフルエンザウイルス感染予防剤(特開平03−101623号公報)」、「マイコプラズマ感染予防剤(特開平03−106820号公報)」、「α−アミラ−ゼ活性阻害剤(特開平03−133928号公報)」、「血糖上昇抑制剤(特開平04−253918号公報)」、「大腸癌予防用組成物(特開平04−264027号公報)」、「胃炎、胃または十二指腸潰瘍防止組成物(特開05−139972号公報)」、「抗動脈硬化剤(特開平06−056686号公報)」、「抗変異原活性並びにス−パ−オキシドジムスタ−ゼ様活性を有する茶カテキン類(特開平06−128168号公報)」、「解毒剤(特開平09−059154号公報)」、「抗ガン剤の効力増強方法(特開平10−036260号公報)」、「活性酸素発生抑制剤及び活性酸素起因疾患予防剤(特開平10−175858号公報)」、「テロメレ−ス阻害剤(特開平11−246402号公報)」、「ガストリン分泌抑制剤及び胃酸分泌抑制剤(特開平11−193239号公報)」等が開示されている。また米国においては、「Inhibition of lung tumorigenesis by administration of a polypheno1(USP5391568)」及び「Method for treating hyperplasia(USP5968973)」等が開示されている。
【0006】
カテキン以外の緑茶成分を有効成分とした医薬品組成物としては、テアフラビンを有効成分とする「抗アレルギ−剤(特開平07−017865号公報)」、クロロホルム可溶成分を有効成分とする「抗う蝕剤(特開平08−034743号公報)」、テアニンを有効成分とする「神経成長因子合成促進剤(特開平07−173059号公報)」、「テアニン含有組成物(特開平09−012454号公報)」、「グルタミン酸拮抗剤及び神経細胞死予防剤(特開平09−286727号公報)」、茶葉抽出物からクロロホルム可溶成分と酢酸エチル可溶成分を除去したものを有効成分とする「抗腫瘍剤(特開昭63−267726号公報)」が開示されている。
【0007】
また、茶葉抽出物そのものを有効成分とする医薬品組成物としては、「口腔用組成物(特開平04−273814号公報)」、「活性酸素フリ−ラジカル消去剤(特開平05−139987号公報)」、「体内アルコ−ル、その代謝物の低下促進剤及び口中清涼剤(特開平06−263648号公報)」、「抗血栓剤及びその製造方法(特開平07−258103号公報)」、「茶葉抽出物のTNF産生抑制剤(特開平10−072361号公報)」、「アレルギ−性皮膚炎治療用外用薬(特開平10−218784号公報)」が開示されている。しかしこれらの発明では、茶葉抽出物の組成や製造法については特に特定されていない。
【0008】
茶抽出物の製造法としては、「ビフィズス菌増殖促進剤及びその製造法(特開平05−276937号公報)」、「茶抽出物の製造方法(特開平07−303450号公報)」、「カテキン類を含有する茶抽出物の製造方法(特開平09−322710号公報)」、「テアフラビンを豊富に含む茶抽出物の製造方法(特開平11−225672号公報)」、「カフェイン高含有エキス及びその製造方法、並びにカフェイン含有飲食物(特開2000−041577号公報)」が開示されている。また米国においても、「Process for making green tea so1ids(USP4935256)」、「Process for making a stable green tea extract and product(USP5427806)」、「Method of producing an instantly so1uble tea powder(USP5538750)」、「Process for producing cold water soluble tea extract(USP5827560)」が開示されている。
【0009】
しかし、これら茶抽出物の製造法の発明は、茶葉中の特定成分の含有量を高めるか、或いは嗜好飲料としての緑茶の味、色調、清澄度の改善を目的としたもので、「ビフィズス菌増殖促進剤及びその製造法」を除いて、特定の薬理活性をもたせることを目的としてはいない。さらにこれらの製造法で得られる緑茶エキスの成分については特定されていない。
【0010】
一方、癌予防または治療剤の有効成分の開発には、癌細胞の発生、増殖及び維持等に関連していると考えられる各種の生理活性物質や酵素に作用する各種物質、あるいは癌細胞自体に対して攻撃を行なう各種物質に着目し、それらの薬理効果を評価して有効成分としての利用を検討する方法もとられている。このような手法において着目されている物質としては、シクロオキシゲナ−ゼ、腫瘍壊死因子−α、フィブロネクチン、血管新生促進因子、血管内皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子等が知られている。
【0011】
シクロオキシゲナ−ゼは、アラキドン酸からプロスタグランジンの生成を触媒する酵素で、I型とII型のアイソザイムが存在する。I型は血小板をはじめ様々な組織で発現されているが、II型は炎症性サイトカインなどの刺激を受けて発現する。また癌組織でII型のシクロオキシゲナ−ゼ−2のレベルが上昇していることが知られており、本酵素は腫瘍の増殖に関与していると考えられている(Ann. Clin. Lab. Sci. 2000, 30, p.3−21, 2000)。シクロオキシゲナ−ゼ−2の特異的阻害剤は、家族性大腸ポリ−プ症の大腸癌発症の予防に効果をあげており、このような阻害剤として、「シクロオキシゲナ−ゼ−2阻害剤としてのフェニルヘテロ環(特開2000−038375号公報)」、「ベンゾイミダソ−ルシクロオキシグナ−ゼ−2阻害剤(特開平11−263788号公報)」などが開示されている。
【0012】
緑茶抽出物またはその成分に関しては、(+)−カテキン及び(+)−ガロカテキンがシクロオキシゲナ−ゼ−2を抑制することが報告されており(Planta Med., 1998 Aug, 64 (6),p.520−524)、またTPAの塗布により誘導される皮膚のシクロオキシゲナ−ゼ活性は、緑茶のポリフェノ−ル画分を予め塗布しておくと抑制されることも報告されている(Cancer Res., Vol. 52, No. 24, p.6890−6897, 1992)。
【0013】
インタ−フェロン−γは、ウイルス感染等の刺激により、T細胞より分泌されるサイトカインで、感染防御や免疫調節に重要な役割を担っている。C型肝炎に対しては、事実上唯一の治療薬である。一方、喘息、アトピ−性皮膚炎等のアレルギ−性疾患や、慢性関節リュ−マチ等の自己免疫疾患は、免疫機能の異常が原因であり、T細胞の免疫応答の亢進が関与していると言われる。従って、T細胞からのインタ−フェロン−γ分泌を抑制する薬剤は、アレルギ−疾患や自己免疫疾患の治療及び予防剤として有用である。このような知見を背景として、「縮合チアジン誘導体、その製造法及び用途(特開平09−301980号公報)」が開示されている。
【0014】
腫瘍壊死因子−αは、グラム陰性菌やウイルスなどの刺激により、活性化されたマクロファ−ジやナチュラルキラ−細胞により産生される炎症性サイトカインの一種で、またある種の腫瘍細胞からも産生される。腫瘍壊死因子−αは、生体防御機構において重要な役割を果たしている一方、その過剰な産生は、生体にとって不利益な炎症をもたらし、慢性気管支炎、関節リュ−マチなど炎症性疾患の増悪に関与していると考えられている(Ann. Rheum. Dis., 1999 Nov., 58 Supp1. 1, p.I32−I39)。さらに、内因性プロモ−タ−として腫瘍の増殖にも関与していると報告されている(Biochem. Biophys. Res. Commun., 1997 Oct. 9, 239
(1), p.334−339)。
【0015】
このような知見を背景として、「1H−イミダゾピリジン誘導体(特開2000−119271号公報)」、「含窒素芳香族複素環を有する新規ウレア誘導体(特開2000−119249号公報)」、「5−アミノイソキサソ−ル誘導体(特開2000−086657号公報)」及び「TNF−α産生抑制剤(特開2000−072679号公報)」など数々の抗腫瘍壊死因子−α剤が開示されている。
【0016】
緑茶抽出物及びその成分に関しては、上述の「茶葉抽出物のTNF産生抑制剤(特開平10−072361号公報)」が開示されており、またEGCgが腫瘍壊死因子−αの産生を抑制することが報告されている(J. Nutr., 1998 Dec., 128 (12), p.2334−2340)。
【0017】
フィブロネクチンは、細胞外マトリックスを構成する糖蛋白質の1つである。細胞−細胞外マトリックス結合は、細胞−細胞間結合と共に、多細胞生物の組織の形成、維持に重要な役割を果たしている。また癌の転移において、原発巣から血管内に移動した癌細胞は、転移臓器における血管内皮細胞に接触し、その下の基底膜を構成する細胞外マトリックスに強固に結合し、転移が成立すると考えられている。また炎症反応においても、白血球が炎症部位に浸潤する際に、血管内皮細胞及び細胞外マトリックスヘの接着が関与している(Ann. N. Y. Acad. Sci., 1998 Oct. 23, 857, p.119−129)。
【0018】
癌の転移や炎症を抑制することを目的としたものとして、「ベンゾチアゾリン誘導体(特開平07−010854号公報)」、「モノクロ−ナル抗体、それを産生するハイブリド−マ及び該抗体の製造方法(特開平06−303990号公報)」、「機能性ポリペプチド(特開平05−271291号公報)」及び「ペプチド誘導体及びその用途(特開平05−163300号公報)」といった細胞接着阻害剤が開示されている。
【0019】
緑茶抽出物及びその成分に関しては、5種のカテキンの内、EGCgとECgが、肺癌細胞及びメラノ−マ細胞のフィブロネクチンヘの接着を強く抑制することが報告されている(Planta Med., 1995 Oct., 61 (5), p.472−474)。
【0020】
血管新生は、腫瘍の増殖や癌の転移に必須とされる他、慢性関節リュ−マチの進展や、糖尿病性網膜症の発症にも関与している。血管新生は促進または抑制する因子のバランスによって制御されており、通常は負に制御されているが、上記の血管新生病では、促進因子が優位となっていると考えられている。血管新生を促進する因子として、サイトカインであるVEGF、FGF、EGF、TGF−α、IL−4、IL−8が知られている(Nat. Med., 1995 Jan., 1 (1), p.27−31)。
【0021】
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は血管内皮細胞の増殖を促進する因子として見いだされたサイトカインで、現在までにグリオ−マ、乳癌、胃癌、大腸癌における血管新生に深く関与していることが報告されている。VEGF阻害剤として、「角膜血管新生阻害剤(特開平11−080024号公報)」「抗癌剤(特開平11−049701号公報)」「慢性関節リウマチ治療薬(特開平10−218791号公報)」「VEGF結合性ポリペプチド(特開平09−255700号公報)」などが開示されている。緑茶抽出物及びその成分に関しては、VEGFで血管新生を促進させたマウスにおいて、緑茶を飲用させると血管新生が抑制されることが報告されている(Nature, 398, p.381, 1999)。
【0022】
更に、緑茶及びその成分は、様々な癌細胞に対し、増殖抑制効果をもつことが報告されている(J. Nutr., 2000 Feb., 130 (2S Supp1.), p.472S−478S)。乳癌細胞MCF−7に対しては、緑茶エキスとEGCgは同程度の増殖抑制効果を示し(Jpn. J. Clin. Oncol., Vol. 23, No. 3, p.186−190, 1993)、カテキン類の中では、EGCgの効果が最も高い(Anticancer Drugs, Vol. 7, No. 4, p.461−468, 1996)ことが報告されている。
【0023】
一方、乳癌の治療に関しては、DNAと結合してRNAポリメラ−ゼを阻害し、癌細胞の核酸合成を阻害することによって抗腫瘍効果を発揮するドキソルビシン(アドリアマイシン)が、化学療法の第一次選択剤として臨床で使用されている。また最近承認されたパクリタキセル(タキソ−ル)は、微小管蛋白重合を促進することにより、細胞分裂を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する制癌剤で、乳癌や卵巣癌で、臨床で高い頻度で使用され、標準療法となりつつある。
【0024】
しかし乳癌に関しては、これら制癌剤は、進行乳癌や再発乳癌に対して延命効果を期待して投与されるのが通常であり、その副作用のために完全な治癒効果はほとんど期待できない。またその延命効果も十分とは言えない。
【0025】
さらに、ドキソルビシンについては、副作用として、骨髄抑制、脱毛、心臓毒性がみられ、特に心筋障害、心不全が現れることがあるので、心臓疾患の既往症のある患者への適用は禁忌である。また臓器への蓄積性が高いので、総投与量が500mg/m2を越えると心筋障害を起こすことがある。
【0026】
また、パクリタキセルは、好中球減少、過敏反応、末梢神経障害といった重篤な副作用を引き起こすことが知られており、脱毛はほぼ全例でみられ、その他吐き気、嘔吐といった消化器症状や、血管外へ漏出した時の疝痛、浮腫なども報告されている。
【0027】
従って、これらの制癌剤が十分な延命効果及び治癒効果をあげるために、副作用を増強することなく制癌効果を増強するか、あるいは用量又は投与期間の減少によって副作用の軽減かつ制癌効果が発揮される治療剤や治療法が求められている。
【0028】
このような要求を満たす発明として、「癌細胞に対する感受性増強制及びその製造方法(特開平05−025168号公報)」、「制癌活性増強剤(特開平06−024975号公報)」等のドキソルビシンの抗癌活性増強剤が開示されている。
【0029】
緑茶成分による抗腫瘍剤の作用増強効果については、特開平07−330599号公報「抗癌剤耐性抑制剤」には、アドリアマイシン耐性マウス白血病細胞p388/ADRに対し、(+)−カテキンが、アドリアマイシン(ドキソルビシン)の細胞増殖抑制作用を増強した発明の効果が示されている。しかし、効果を示す(+)−カテキン濃度が比較的高濃度(290.3μg/mL)であるのに対し、その増強効果は軽度である。また、対象する癌細胞が、ドキソルビシン(アドリアマイシン)に対して耐性を確立したマウスの白血病細胞であって、ヒトの乳癌細胞で、かつドキソルビシンの耐性を獲得しない癌細胞への効果は不明である。
【0030】
上述の「抗ガン剤の効力増強方法(特開平10−036260号公報)」は、茶カテキンが、シタラビン、メトトレキサ−トといった代謝拮抗型抗癌剤に対し、その効力を増強する効果が示されているが、ドキソルビシンやパクリタキセルに対する増強効果は不明である。
【0031】
一方、(−)−エピガロカテキンガレ−トと(−)−エピガロカテキンを前処理することにより、ドキソルビシン抵抗性である齧歯類肉腫細胞S180−doxとヒト結腸癌細胞SW620−doxに対するドキソルビシンの効果が増強されたが、ドキソルビシンと同時に処理した場合は逆に効果が低減したことが報告されている(Anticancer Drugs, Vol. 8, No. 3, p.265−268, 1997)。
また、テアニンあるいはカフェインは、Ehrlich腹水腫及びドキソルビシン抵抗性のM5076卵巣細胞腫において、ドキソルビシンと併用すると、腫瘍細胞中のドキソルビシン濃度を増加させ、マウスに移植した腫瘍の増殖を抑制することが報告されている。また、緑茶粉末は、テアニンの10倍用量で、テアニンと同等の腫瘍増殖抑制効果が見いだされている(Cancer Lett., Vol. 105, No. 2, p.203−209, 1996、Clin. Cancer Res., Vol. 4, No. 1, p.153−156, 1998、Cancer Lett., Vol. 133, No. 1, p.19−26, 1998)。しかし、いずれもドキソルビシンに対する抵抗性あるいは耐性を獲得していない乳癌細胞への効果は不明である。
【0032】
制癌剤に対する抵抗性あるいは耐性は、多回にわたり投与した後に無効となる(自然耐性)、または一時的に効果が低下または消失する(獲得耐性)現象である。上記文献に開示されている発明品の効果は、耐性を獲得した細胞に対するもので、従って、制癌剤を投与した後、効果が低下あるいは無効になった時点で、投与されるものである(第二次選択剤)。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、茶から抽出される温水抽出物、ポリフェノ−ル、カテキン類、EGCgなど、抽出後各精製段階で得られる成分について様々な薬理作用を検討し、その結果得られた知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0034】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明者は、原料及び抽出操作を適正化した特定条件下で茶を抽出して得られた茶抽出物の薬理作用について次のような結果を得ることができた。
・ 所定操作及び条件で茶を温水抽出して得られる「茶温水抽出物」は、特定の薬理作用に関しては、そのカテキン含有量から推定される薬理活性をはるかに上回る活性を備えている。
・ カテキン類を約30重量%以上含有する場合に特にその薬理活性が高い。
・ 所定操作及び条件で茶を温水抽出して得られる「茶温水抽出物」に含まれるカテキン類以外の成分(「温水抽出非カテキン成分」)は、カテキンと相乗的に若しくは相加的に作用し、カテキンの薬理活性を増強する作用を備えている。
【0035】
上述の如く、茶抽出物には様々な薬理活性が認められているが、そのほとんどはカテキン類、中でもその主要構成成分であるEGCgに由来するものであり、茶抽出物自体の薬理活性は総カテキン及びEGCgよりも劣るものであった(特開昭60−190719号、特開昭63−267726号、特開昭63−277628号、特開平4−264027号、特開平7−330599号、特開平10−36260号、特開平10−72361号、特開平10−120587号、特開平11−246402号、特開2001−114687号、特開2001−226276号など参照)。
これに対し、本発明者は、特定の薬理作用に関しては、茶を温水抽出して得られる「茶温水抽出物」の方がカテキン類を上回る薬理活性を備えていることを見出したのである。このことは、「茶温水抽出物」中のカテキン以外の成分(「温水抽出非カテキン成分」)に、特定の薬理作用に関して特に優れた薬理活性を備えた成分が存在するか、或いは、「温水抽出非カテキン成分」中にカテキン類の薬理活性を増強する成分が存在するか、の可能性を示唆するものであるが、本発明者は更に、「温水抽出非カテキン成分」にはカテキンの薬理活性を増強する作用があることを確認したのである。このような点からすると、「温水抽出非カテキン成分」中にカテキン類と相乗的に作用する特定成分の存在が考えられるが、現在のところ当該特定成分の特定まではできていない。
【0036】
このような知見に基づき、本発明のカテキン薬理活性増強剤、薬理組成物、更には癌予防または治療剤等を完成したものである。
【0037】
本発明は、茶を、約10〜20倍量(重量/重量)、約60〜70℃の温水で約15〜30分抽出して得られた「茶温水抽出物」のうちのカテキン類を除いた「温水抽出非カテキン成分」を有効成分として含有するカテキン薬理活性増強剤を提案する。
なお、「約10〜20倍量(重量/重量)の温水で」とは、「原料とする茶に対して約10〜20倍量(重量/重量)の温水で抽出する」の意であり、「カテキン薬理活性増強剤」とはカテキン類が備えている薬理活性と相乗的に作用して当該薬理活性を増強する作用を備えた組成物の意である。
【0038】
この際、増強されるカテキンの薬理活性としては、少なくとも、シクロオキシゲナ−ゼ−2活性阻害作用、インタ−フェロン−γ産生抑制作用、腫瘍壊死因子−α産生抑制作用、フィブロネクチン介在細胞接着抑制作用、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)による血管内皮細胞増殖抑制作用、及び乳癌細胞増殖抑制作用を挙げることができる。
したがって、本発明のカテキン薬理活性増強剤をカテキン類と共に摂取すれば、カテキン類と相乗的若しくは相加的に作用してカテキン類が備えている薬理活性を増強することができ、特に上記に掲げた薬理作用について優れた薬理効果を得ることができる。
【0039】
本発明はまた、上記の「温水抽出非カテキン成分」とカテキン類とを含む「混合物X」を有効成分として含有し、好ましくは当該「混合物X」中に、(−)−エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)、(−)−エピカテキンガレ−ト(ECg)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−ガロカテキンガレ−ト(GCg)、(−)−カテキンガレ−ト(Cg)、(±)−ガロカテキン.(GC)及び(±)−カテキン(C)の総量(以下、この総量を「カテキン総量」と呼び、これら8種のカテキンを「総カテキン」と呼ぶ。)としてカテキン類を約30重量%以上、例えば約30〜40重量%含有してなる薬理組成物を提案する。
【0040】
上記薬理組成物の有効成分としての「混合物X」は、例えば、「温水抽出非カテキン成分」とカテキン類とをそれぞれ別途配合量を調整して混合することにより得ることもできるが、「温水抽出非カテキン成分」とカテキン類とを含む混合物に所定量の「温水抽出非カテキン成分」或いはカテキン類を添加して調製することもできる。また、例えば、茶を、約10〜20倍量(重量/重量)、約60〜70℃の温水で約15〜30分抽出し、必要に応じて濃縮過程で滅菌後、必要に応じて凍結乾燥もしくは噴霧乾燥させて「茶エキス」として得ることも可能である。
【0041】
「温水抽出非カテキン成分」とカテキン類とを共に摂取すれば、カテキン類の薬理活性を増強し、特定の薬理作用、例えばシクロオキシゲナ−ゼ−2活性阻害作用、インタ−フェロン−γ産生抑制作用、腫瘍壊死因子−α産生抑制作用、フィブロネクチン介在細胞接着抑制作用、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)による血管内皮細胞増殖抑制作用、乳癌細胞増殖抑制作用、更にはドキソルビシン及びパクリタキセルなどの乳癌用制癌剤の制癌作用増強作用などについて優れた薬理効果を得ることができる。
この際、特にカテキン類を約30重量%以上含有、具体的には約30〜40重量%含有すれば、より一層優れた薬理効果を得ることができる。
したがって、当該薬理組成物の有効成分である「混合物X」を有効成分とすれば、上記に掲げた薬理作用に基づく疾病の予防及び治療剤、例えば、癌予防・治療剤、炎症性疾患予防・治療剤、糖尿病性網膜症等血管新生を主因とする疾病予防・治療剤などとして提供することができる。
【0042】
特に乳癌の治療及び予防に関しては、ドキソルビシンやパクリタキセルなどの乳癌用制癌剤と併用することにより、これらの制癌作用を増強することができ、副作用を高めることなく制癌作用を増強できるから、副作用のために為し得なかった治療効果を期待することができる。この際、第一次選択剤として制癌剤の投与開始時から併用するのが好ましい。
【0043】
当該薬理組成物の有効成分である「混合物X」は、好ましくは前記カテキン類をカテキン総量として約30重量%以上例えば約30〜40重量%、カフェインを6〜8重量%含有してなる混合物を、食品や飲料中にその組成を維持して含有させることで薬理効果を備えた食品及び飲料として提供することができる。
この際、当該「混合物X」を含めて本発明の有効成分は、古くから日常的に愛飲され、誰でも安心して摂取できる茶に由来する成分であるから、長期間無理なくかつ安心して摂取することができる。したがって、例えば慢性的疾病の根本治療や予防のために長期的な服用に特に有効であり、健康食品や健康飲料として好適に提供することができる。
【0044】
なお、上記本発明において原料とする「茶」は、チャ(Camellia sinensis)の葉或いは葉及び茎を蒸熱或いは焙焼等によって酵素失活させたいわゆる荒茶はもちろん、生葉、生葉及び生茎、或いはこれらの乾燥品なども包含する意である。荒茶と生葉或いはこれの乾燥品との間に抽出成分、特に非カテキン成分に大差はない。但し、原料とする茶は、カテキン類をカテキン総量として約14〜18重量%及びカフェインを約2〜4重量%含有する茶であるのが好ましく、中でも、上記の如くカテキン類を約30%以上含有させるように抽出するには、カテキン総量としてカテキン類を約14%以上含む茶を原料に用いるのが好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明のカテキン薬理活性増強剤、薬理組成物、更には癌予防または治療剤等の製造方法について具体的に説明する。
【0046】
抽出原料としての「茶」としては、特定条件での抽出によって所定のカテキン類及びカフェイン含量の茶エキスが得られるものを利用することができる。例えば、少なくともカテキン類を、カテキン総量として14〜18重量%及びカフェインを2〜4重量%含有した緑茶であれば、所定のカテキン類及びカフェイン含量の「緑茶エキス」を得ることができる。
抽出原料として用いられる緑茶の部位としては、葉、茎などを挙げることができ、生の状態ものや所望の程度まで乾燥させたもの、さらには蒸し或いは炒りによって酵素失活させた荒茶などを利用することができる。葉や茎は、必要に応じて適当な大きさに裁断して抽出に供すればよい。
【0047】
緑茶の抽出は、抽出用の温水に所定時間浸漬すればよい。この際、抽出用の温水は、原料緑茶に対して約10〜20倍量(重量/重量)で用い、約60〜70℃の範囲に温度制御して抽出操作を行ない、抽出時間は約15〜30分とするのが好ましい。
得られた抽出液(「茶温水抽出物」)は、必要に応じて凍結乾燥もしくは噴霧乾燥することにより乾燥品として固体状の「緑茶エキス(「茶温水抽出物」)」とし、凍結乾燥及び噴霧乾燥は常法により行なうことができる。但し、必ずしも乾燥品としなくてもよい。
【0048】
得られた「緑茶エキス(「茶温水抽出物」)」は、所望の用途に適用する際のいずれかの段階で滅菌処理することができる。医薬の有効成分として利用する場合、特に免疫機能の低下した患者に投与されることが想定される場合には、一般生菌や特定微生物を既定値以下にすることが好ましい。例えば、上記の抽出操作により得られた抽出液に通常の滅菌操作を加えた後、乾燥工程に入ることが好ましい。滅菌条件としては、例えば80℃で60分間加熱、あるいは120℃で3分間加熱して噴霧乾燥することにより、一般生菌は300個以下/g、大腸菌群、カビ、酵母は陰性となる。
【0049】
こうして得られた「緑茶エキス」は、カテキン類をカテキン総量として30重量%以上、具体的には30〜40重量%、カフェインを6〜8重量%含有する組成物としての形態を有するものとなる。本発明にかかる緑茶成分におけるカテキン類及びカフェイン以外の成分の含有量は、64〜52重量%の範囲にあり、カテキン以外の成分(「温水抽出非カテキン成分」)がカテキンに対し相加的ないしは相乗的に作用するものである。
したがって、上記の「緑茶エキス」からカテキン類(総カテキン)を除去することにより、本発明の「カテキン薬理活性増強剤」或いは「カテキンと相乗作用的に薬理効果を発揮する活性剤」の有効成分を得ることができる。
【0050】
なお、「緑茶エキス」からカテキン類(総カテキン)を除去する方法としては、現在公知のあらゆる手段を採用することができる。例えば、不溶性ポリビニルピロリドン或いは合成吸着剤によりカテキン類を吸着除去する方法や、有機溶媒でカテキン類を抽出除去する方法などを挙げることができる。
更に具体的に説明するならば、不溶性ポリビニルピロリドン(PVPP)を使用してカテキン類を吸着除去する方法としては、特開平1−218550号に開示されているように、茶葉を温水等にて抽出し、濾過した抽出液に、茶葉に対して5〜30重量の不溶性ポリビニルピロリドン(PVPP:ポリビニルポリピロリドン)を添加し、その後濾過して不溶性ポリビニルピロリドンを分離することにより、除カテキン茶液を得ることができる。
また、合成吸着剤を用いる方法としては、特開平1−175978号に開示されているように、茶葉から温水乃至熱水を用いて水溶性化合物を溶出(抽出)し、この水溶性化合物をハイドロキシルプロピル化デキストランゲル又は親水性ビニルポリマーゲルを充填したカラムに注入し、メタノール、エタノール又はアセトン水溶液を用いてカラムを洗浄し、カテキンをカラムに吸着させたまま、カフェイン、アミノ酸、糖など非カテキン成分を溶出させ、これらの溶出液を集めて除カテキン茶液を得ることができる。
また、有機溶剤を用いてカテキンを抽出除去する方法としては、茶カテキン類が親水性であると共に糖やアミノ酸とは異なって疎水性有機溶媒とも親和力が強いことを利用し、これら両方の溶媒を用いて茶カテキン類を選択的に分離除去することができる。即ち、茶葉を温水等にて抽出して濾過した抽出液に、或いは常法に従って製造した茶抽出物を温水に溶解した液に、疎水性有機溶媒である酢酸エチル、メチルイソブチルケトンもしくはジエチルエーテルの一種、或いはこれらの混合物に転溶し、残りの除カテキン茶液を得ることができる(特開昭63−267726号参照。但し、クロロホルムでカフェインを除去する工程は不要。)。
なお、上記の除去方法はあくまで例示であって、不溶性ポリビニルピロリドン或いは合成吸着剤によりカテキン類を吸着除去する方法や、有機溶媒でカテキン類を抽出除去する方法などが上記の例に限定されるものではない。
【0051】
上記「緑茶エキス」は、シクロオキシゲナ−ゼ−2活性阻害、インタ−フェロン−γ産生抑制、腫瘍壊死因子−α産生抑制、フィブロネクチン介在細胞接着抑制、血管内皮細胞増殖因子による血管内皮細胞の増殖抑制、乳癌細胞MDA−435の増殖抑制作用を少なくとも有し、これらの作用はカテキン類で得られるよりも優位に高いレベルである。そして、これらの作用の少なくとも1つを介した薬理作用を用いた医薬の有効成分として、すなわち、そのまま本発明の薬理組成物の有効成分(上記「混合物X」に相当)として利用することができる。
医薬の具体例としては、癌予防及び/または治療剤、炎症性疾患あるいは糖尿病性網膜症等血管新生を主因とする疾病用の医薬、更には、制癌剤増強剤を挙げることができる。
【0052】
具体的には、シクロオキシゲナ−ゼ−2活性の抑制または阻害作用を利用した家族性大腸ポリ−プ症の大腸癌発症の予防、腫瘍壊死因子−α抑制または阻害作用を利用した慢性気管支炎、関節リュ−マチなど炎症性疾患の予防または治療剤、フィブロネクチン活性の抑制または阻害作用を利用した癌の転移や炎症の抑制用の医薬、VEGF、FGF、EGF、TGF−α、IL−4、IL−8等のサイトカイン阻害作用を利用したグリオ−マ、乳癌、胃癌、大腸癌等に対する癌予防または治療剤、慢性関節リウマチ治療薬、繊維芽細胞増殖因子FGF抑制または阻害作用を利用した癌予防または癌治療剤などを挙げることができる。
【0053】
また、制癌剤効果増強剤としては、特にドキソルビシン(アドリアマイシン)及びパクリタキセル(タキソ−ル)などを用いた乳癌に対する治療において好ましく用いることができる。具体的には、副作用の強いこれらの制癌剤と併用することにより、副作用を増強することなしに制癌効果を増強し、治療成績を上げるとともにその副作用を低減することができる。
【0054】
また、上記組成の「緑茶エキス」を各種食品や飲料に各成分の組成比を維持した状態で含有させることで、上記薬理効果を有する食品や飲料を得ることができる。このような食品や飲料としては、例えば、錠剤、硬カプセル、顆粒としてそのまま摂取する形態、水、温水あるいは熱水などに溶解して調製される各種温度に保持された液体の形態、これらの液体に香料、甘味料などを加えた清涼飲料としての形態などのものを挙げることができる。
具体的には、上記「緑茶エキス」に、必要に応じて炭酸、賦形剤(造粒剤含む)、希釈剤、或いは更に甘味剤、フレ−バ−、小麦粉、でんぷん、糖、油脂類等の各種タンパク質、糖質原料やビタミン、ミネラルなどから選ばれた一種或いは二種以上を混合し、例えばスポ−ツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、野菜ジュ−ス、乳性飲料、アルコ−ル飲料、ゼリ−、ゼリ−飲料、炭酸飲料、チュ−インガム、チョコレ−ト、キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚肉練り製品、畜肉製品、冷菓、乾燥食品、サプリメントなど様々な形態の飲食物に配合することにより、薬理効果を備えた健康食品・健康飲料・特定保健用食品・機能性食品として提供することができる。
【0055】
本発明にかかる医薬は、必要に応じて薬学的に許容できる担体または希釈剤を用いて製剤化することができる。有効成分としての緑茶エキスの薬剤中での含有量は、治療目的や薬剤の形態に応じて適宜選択されるが、緑茶エキスを、例えば60〜100重量%含むように製剤化することができる。
【0056】
医薬の形態として、例えば経口用としては、凍結または噴霧乾燥品としての緑茶エキスを粉末剤として利用することができ、更に、各種担体を用いて錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等の製剤として供給することができる。更に、坐薬、ゼリー剤などの貼剤として皮膚等への適用も可能である。
【0057】
【実施例】
表1に示す緑茶A、B、C(いずれも荒茶)を用い、以下の検討を行った。
【0058】
【表1】
Figure 0004205334
【0059】
なお、カテキン及びカフェインの定量は、HPLCにより下記の条件で行った。
【0060】
カラム:Wakosil−II 5C18 HG(3.0mm I.D.×150mm)
移動相:H2O−CH3OH−EtOAc−H3PO4(A:85:15:0:0.1;B:85:15:1:0.1)
検出:UV 280nm
カラム温度:40℃
サンプル温度:10℃
サンプル量:5μL
【0061】
【表2】
Figure 0004205334
【0062】
実施例1(緑茶エキス製造法の最適化−抽出温度の検討)
イオン交換水450mLを50、60、70、80及び90℃に加熱し、緑茶A 30gを投入して15分間抽出し、150メッシュのフィルタ−で抽出液と残渣とを分離した。残渣はイオン交換水60mLで洗浄し、抽出液を合わせた。抽出液を40℃で減圧濃縮し、3000rpm、5分間遠心分離して不溶物を除去した後、凍結乾燥して、粉末の乾燥緑茶エキスを得た。各温度につきn=3で検討した。抽出物の収率、個々のカテキンの抽出率及び抽出物中の個々のカテキンの含有量を図1〜図3に示す。
【0063】
図1〜図3から示されるように、収率及び各成分の抽出率は、70℃までは増加するが、それ以降はほぼ横這いに近くなった。抽出物中の(−)−EGCg、(−)−ECg及び(−)−GCgの含有量は温度上昇に伴い増加するが、(−)−EGC及び(−)−EC含有量は、逆に減少した。以上を総合すると、抽出温度は、60〜70℃が好ましいと判断された。
【0064】
実施例2(緑茶エキス製造法の最適化−抽出時間の検討)
イオン交換水450mLを60℃に加熱し、緑茶A 30gを投入して10、20、30及び40分間抽出し、150メッシュのフィルタ−で抽出液と残渣を分離した。残渣はイオン交換水60mLで洗浄し、抽出液を合わせた。抽出液を40℃で減圧濃縮し、3000rpm、5分間遠心分離して不溶物を除去した後、凍結乾燥して、粉末の乾燥緑茶エキスを得た。各時間につきn=3で検討した。緑茶及び乾燥緑茶エキス中の総ポリフェノ−ル(タンニン)及びカテキン及びカフェインの定量は、上記と同様に行った。抽出物の収率、個々のカテキンの抽出率及び抽出物中の個々のカテキンの含有量を図4〜図6に示す。
【0065】
図4から示されるように、収率及び各成分の抽出率は20分まで増加し、以後横這いになる。抽出物中の各成分の含量は、収率と同じく20分までは時間に連れて上昇するがそれ以降はあまり変動しなかった。以上を総合すると、実質抽出時間は、15〜30分間が好ましいと結論された。
【0066】
実施例3(緑茶エキス製造法の最適化−滅菌条件の検討)
本発明品は、癌患者など免疫機能の低下した患者に投与されることが想定されるため、一般生菌や特定微生物を規定値以下にすることが望ましい。そこで、抽出液の滅菌条件を検討した。
【0067】
即ち、イオン交換水7500mLを60℃に加熱し、緑茶A 500gを投入して15分間抽出し、80メッシュのフィルタ−で抽出液と残渣とを分離し、抽出液を得た。抽出液を80℃で30、60、120分間または90℃で3、6、12分間加熱し、成分の変化を調べた。加熱前に対する加熱後の各成分の変化を図7及び図8に示す。80℃で60分、90℃で6分までは軽微な変化にとどまったが、80℃で120分、90℃で12分では(−)−EGCgは10%以上減少した。
【0068】
次に、抽出液を80℃で60分間加熱、あるいは120℃で3分間加熱後、噴霧乾燥し、滅菌効果を比較した。両者とも、一般生菌は300個以下/g、大腸菌群、カビ、酵母は陰性であった。(−)−EGCg含有量の差はなかった。
【0069】
即ち、80℃で60分間加熱、あるいは120℃で3分間加熱いずれの滅菌条件でも、カテキン類の損失なく、所定の滅菌効果が得られた。
【0070】
実施例4(最適化した条件による緑茶エキスのスケ−ルアップ生産(1))
緑茶A 300kgを4500Lの熱水(60℃)に投入し、撹拌して15分間放置した。ネットで抽出液と残渣とを分離し、残渣は、600Lの熱水(60℃)で洗浄して、洗液を抽出液と合わせた。抽出液は、40℃の条件で450Lまで減圧濃縮し、さらに40℃の条件で240Lまで減圧濃縮した。濃縮濾液を、80℃で60分間加熱滅菌した後、噴霧乾燥し、乾燥緑茶エキスI 79kgを得た。そのカテキン、カフェイン及びテアニン含有量を表3に示す。
【0071】
実施例5(最適化した条件による緑茶エキスのスケ−ルアップ生産(2))
緑茶B 200kgを3000Lの熱水(60℃)に投入し、撹拌して15分間放置した。ネットで抽出液と残渣を分離し、残渣は、700Lの温水(40℃)で洗浄して、洗液を抽出液と合わせた。遠心濾過した後、濾液を40℃の条件で水分55重量%まで減圧濃縮した。濃縮減を120℃で3分間加熱滅菌した後、噴霧乾燥し、乾燥緑茶エキスII 58.5kgを得た。そのカテキン、カフェイン及びテアニン含有量を表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0004205334
【0073】
実施例6(緑茶エキスとカテキンとの薬理効果の比較)
下記の項目について、実施例4で製造した緑茶エキスIと緑茶の主要なカテキンである(−)−エピガロカテキンガレ−ト((−)−EGCg)の薬理活性を比較した。
【0074】
(1)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トのフィブロネクチン介在細胞接着阻害作用
実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCg(フナコシ(株)より購入)を改変MEM−HEPES緩衝液(pH7.4)に溶解して、フィブロネクチンでコ−トしたウェルに添加し、37℃で30分インキュベ−トした。ラット腎臓細胞(NRK2)を各ウエルに添加し(2×106/mL)、30分インキュベ−トした。さらに5μMのカルセインAMを添加してさらに2時間インキュベ−トし、ダルベッコPBSで6回洗浄した。フィブロネクチンコ−トプレ−トと結合した細胞とカルセインAMの相互作用による蛍光強度を、Cytofluor 2300プレ−トリ−ダ−(励起波長485nm、測定波長530nm)で測定した。緑茶エキスあるいは(−)−EGCg無添加の時の蛍光強度を100%とし、50%接着阻害濃度を求めた。
【0075】
表4に示すように、緑茶エキスIのフィブロネクチン介在細胞接着に対するIC50は0.712μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は0.823μg/m1であった。表3に示すように、緑茶エキスIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は2.45μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれよりはるかに低い濃度で細胞接着を阻害した。
【0076】
(2)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トによるインタ−フェロン−γ(INF−γ)分泌抑制作用
実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCgと共に、コンカナバリンA(Con A、10μg/mL)で刺激したヒト末梢血単核白血球(PBMNL)をRPMI−1640培地(pH7.4)中で37℃、一晩培養した。培地中へ分泌されたINF−γをELISAキットを用いて定量した。緑茶エキスあるいは(−)−EGCg無添加の時の分泌量を100%とし、50%分泌阻害濃度を求めた。表4に示すように、緑茶エキスIのINF−γ分泌に対するIC50は8.27μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は6.95μg/mLであった。
【0077】
表3に示すように、緑茶エキスIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は20.7μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれよりはるかに低い濃度でINF−γ分泌を阻害した。
【0078】
(3)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トのヒト乳癌細胞株に対する細胞増殖抑制効果
細胞増殖抑制効果は、軟寒天コロニ−形成法によって評価した。ヒト乳癌細胞株MDA−435を、0.3%の寒天含有RPMI−1640培地(10%ウシ胎児血清、2% gluta MAX添加)へ浮遊させ、さらに実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCgを所定の濃度になるよう添加した。次に35mmディッシュの寒天層の上に細胞浮遊液を重層した。37℃で14日間培養後、コロニ−数を計測した。緑茶エキス無添加のコロニ−形成率に対する緑茶エキス添加のコロニ−形成率の比より、コロニ−形成抑制率を算出した。濃度−反応曲線より、コロニ−形成を10%、25%、及び50%抑制する緑茶エキスの濃度IC10、IC25及びIC50を求めた。IC50についての結果を表4に示す。緑茶エキスのIC50は、24.4μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は、43.4μg/mLであった。
【0079】
表3に示すように、緑茶エキスIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は129.2μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれよりはるかに低い濃度でヒト乳癌細胞株MDA−435の増殖を阻害した。
【0080】
(4)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トのシクロオキシゲナ−ゼ(COX−2)阻害作用
ヒツジ胎盤由来のCOX−2を使用し、実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCgを80UのCOX−2、1mMの還元型グルタチオン、1mMのハイドロキノン、2.5μMウマヘモグロビン及び5mMのCaCl2・2H2Oとともに25℃で5分間前処理した。Tris−HCl緩衝液に基質として100μMのアラキドン酸を加えて反応を開始し、37℃で20分インキュベ−ションした。20%TCA/0.6N HClを加えて反応を停止し、遠心分離後した。上清と2−チオバルビツ−ル酸を混合し、100℃で15分間インキュベ−トした。530nmにおける吸光度を測定し、マロンジアルデヒドに変換した基質の量より、酵素活性を測定し、50%活性阻害濃度を求めた。
【0081】
表4に示すように、緑茶エキスIのCOX−2に対するIC50は45.0μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は18.5μg/mLであった。表3に示すように、緑茶エキスIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は55.1μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれより低い濃度でCOX−2活性を阻害した。
【0082】
(5)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トのVEGF(血管内皮増殖因子)誘導細胞増殖抑制作用
M199培地(pH7.4)中で15時間前培養(5%CO2、37℃)したヒト臍帯静脈内皮細胞(1×104)に、VEGF(0.1nM)と実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCgを加え、ヘパリン(10μg/mL)存在下で37℃、48時間インキュベ−トした。リン酸緩衝液で洗浄し、カルセインAM染色液(5μg/mL DMSO)を加え、30分間インキュベ−ションし、各ウェルの蛍光強度をCytofluor 2300プレ−トリ−ダ−で測定した。緑茶エキスあるいは(−)−EGCg無添加の時の蛍光強度を100%とし、50%内皮細胞増殖阻害濃度を求めた。
【0083】
表4に示すように、緑茶エキスIのVEGF誘導内皮細胞増殖に対するIC50は61.7μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は42.1μg/mLであった。表3に示すように、緑茶エキスIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は125.3μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれよりはるかに低い濃度でVEGF誘導内皮細胞増殖を阻害した。
【0084】
(6)緑茶エキスまたは(−)−エピガロカテキンガレ−トによる腫瘍壊死因子(TNF−α)分泌抑制作用
実施例4で製造した緑茶エキスIあるいは(−)−EGCgと共にリポポリサッカライド(LPS、25ng/mL)で刺激したヒト末梢血単核白血球(PBMNL)をRPMI−1640培地(pH7.4)中で37℃、一晩培養した。培地中へ分泌されたTNF−αをELISAキットを用いて定量した。緑茶エキスあるいは(−)−EGCg無添加の時の分泌量を100%とし、50%分泌阻害濃度を求めた。
【0085】
表4に示すように、緑茶エキスIのTNF−α分泌に対するIC50は152.0μg/mL、一方(−)−EGCgのIC50は54.4μg/mLであった。表5に示すように、緑茶エキスVIIの総カテキン含有量は33.6%であり、緑茶エキスの阻害作用がカテキン類に由来するのであれば、緑茶エキスのIC50は161.9μg/mLと計算される。しかし、本緑茶エキスはそれより低い濃度でTNF−α分泌を阻害した。
【0086】
【表4】
Figure 0004205334
【0087】
表4に示すように、すべての薬理活性において、緑茶エキスは、そのカテキン含有量から推定される活性よりも高い活性を示し、緑茶エキス中のカテキン以外の成分が相乗的もしくは相加的に作用していることが示唆された。
【0088】
実施例7(成分組成の異なる緑茶エキスの薬理活性の比較)
表1に示す緑茶Bまたは緑茶C各5gを用い、表5に示す抽出条件で、可溶成分を抽出し、40℃以下で減圧濃縮後、凍結乾燥し、成分組成の異なる緑茶エキス粉末III〜VIIを製造した。
また、緑茶Bを用い、文献(Cancer Res., 52, p.6657, 1992)記載の方法で、緑茶のカテキン分画である緑茶ポリフェノ−ルを製造した。これらの成分組成を表6に示す。
得られた緑茶エキス及び緑茶ポリフェノ−ルを用い、実施例6に記載の方法でフィブロネクチン介在細胞接着の阻害効果を比較した。その結果を表7に示す。
【0089】
表7に示されるように、細胞接着阻害作用は、緑茶エキスIV>V>VI>VII>IIIの順に高く、表5に示した成分組成より、カテキン含有量が高い方が効果は高かった。特に総カテキンを30%以上含有する緑茶エキスの効果が高かった。また、本発明品の緑茶エキスIIも、緑茶エキスIVと同様、高い活性を示した。
【0090】
一方、カテキン分画である緑茶ポリフェノ−ルにはほとんど活性がみられなかったことから、緑茶エキス中のカテキン以外の未知成分がカテキンと相乗的に作用していることが示された。
【0091】
また、総カテキンを30%以上含有する緑茶エキスを製造するには、原料茶として、総カテキンを14%以上含む緑茶を使用することが望ましく、緑茶Cのように総カテキンの含有量がそれに満たないものは不適当であることが示された。
【0092】
【表5】
Figure 0004205334
【0093】
【表6】
Figure 0004205334
【0094】
【表7】
Figure 0004205334
【0095】
実施例8(発明品の緑茶エキスの制癌剤作用増強効果)
ドキソルビシンあるいはパクリタキセルの制癌作用に対する本発明品の緑茶エキスIの増強作用を調ベた。
【0096】
実施例6の(3)項と同様に、ヒト乳癌細胞MCF−7MあるいはMDA−435を0.3%の寒天含有RPMI−1640培地へ浮遊させ、実施例4で製造した緑茶エキスIを、IC10、IC25及びIC50の濃度になるよう添加した。さらにドキソルビシンあるいはパクリタキセルを1μg/mLから倍々希釈でそれぞれに添加して細胞を培養し、コロニ−形成抑制率を算出して、ドキソルビシンあるいはパクリタキセルのIC50を求めた。またドキソルビシンあるいはパクリタキセル単独でのIC50も同様に求めた。Chou及びTalalyの方法(Trends Pharmaco1. Sci., Vo1. 4, p.450, 1983及びAdv. Enz. Regul., Vol. 22, p.27, 1984)によりCombination Indexを求め、表8に示した判定基準により、緑茶エキスとドキソルビシンあるいはパクリタキセルの相互作用を評価した。結果を表9〜表15に示す。
【0097】
これらの結果から示されるように、緑茶エキスの存在により、ドキソルビシンあるいはパクリタキセルのIC50は低下し、MCF−7乳癌細胞あるいはMDA−435乳癌細胞に対し、緑茶エキスはドキソルビシン及びパクリタキセルの増殖抑制作用を増強することが明らかにされた。
【0098】
【表8】
Figure 0004205334
【0099】
【表9】
Figure 0004205334
【0100】
【表10】
Figure 0004205334
【0101】
【表11】
Figure 0004205334
【0102】
【表12】
Figure 0004205334
【0103】
実施例9(非カテキン画分の増強効果)
実施例5で製造した緑茶エキスII5gを40℃の温水500mLに溶解し、さらにポリビニルポリピロリドン(商品名:ポリクラーSB-100、五協産業(株)製)15gを添加し、5分間攪拌した後、濾過して上澄み液を得た。さらに同量のポリビニルポリピロリドンを添加して同様の操作を繰り返した後、上澄み液を減圧濃縮し、凍結乾燥後、粉末状の緑茶エキスの非カテキン画分を得た。緑茶エキスIIとその非カテキン画分のカテキン組成を表13に示す。さらに、緑茶エキスIIと同様な比率になるように、EGC、EGCg、EC、ECgを7.6 : 13.9 : 1.9 : 2.6の割合で混合したカテキン混合物を調整した。実施例6に記載の方法でカテキン混合物単独および、非カテキン画分存在下でのフィブロネクチン介在細胞接着の阻害効果を比較した。その結果を表14と図9に示す。
【0104】
【表13】
Figure 0004205334
【0105】
【表14】
Figure 0004205334
【0106】
非カテキン画分自体は、阻害作用を示さなかったにもかかわらず、10μg/ml存在下で、カテキン混合物の阻害活性を、IC50=61.4μg/mlからIC50=23μg/mlへと大幅に増強した。
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、シクロオキシゲナーゼ−2活性、腫瘍壊死因子−α産生、フィブロネクチン介在細胞接着、血管内皮細胞増殖因子による血管内皮細胞の増殖、乳癌細胞MDA−435の増殖に対し、主要成分であるカテキン類から期待される効果より、高い効果を得られ、さらにドキソルビシンやパクリタキセルと併用することにより、これら制癌剤の効果を増強することができる。また、癌の増殖や転移、リウマチなど炎症性疾患あるいは糖尿病性網膜症等血管新生を主因とする疾病の治療及び予防に対し、単離精製したカテキンよりも低コストでより安全に、効果をもたらすことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は抽出温度と収率との関係を示す図、(b)は抽出温度と総ポリフェノ−ル含量との関係を示す図、(c)は抽出温度と(−)−EGC含有量との関係を示す図、(d)は抽出温度と(−)−EGCg含有量との関係を示す図である。
【図2】(a)は抽出温度と(−)−EC含有量との関係を示す図、(b)は抽出温度と(−)−ECg含有量との関係を示す図、(c)は抽出温度と(−)−GCg含有量との関係を示す図、(d)は抽出温度とカフェイン含有量との関係を示す図である。
【図3】抽出温度と緑茶エキス中の各成分の抽出率との関係を示す図である。
【図4】(a)は抽出時間と収率との関係を示す図、(b)は抽出時間と総ポリフェノ−ル含量との関係を示す図、(c)は抽出時間と(−)−EGC含有量との関係を示す図、(d)は抽出時間と(−)−EGCg含有量との関係を示す図である。
【図5】(a)は抽出時間と(−)−EC含有量との関係を示す図、(b)は抽出時間と(−)−ECg含有量との関係を示す図、(c)は抽出時間と(−)−GCg含有量との関係を示す図、(d)は抽出時間とカフェイン含有量との関係を示す図である。
【図6】抽出時間と緑茶エキス中の各成分の抽出率との関係を示す図である。
【図7】緑茶抽出液に対する加熱滅菌処理における温度の影響を示す図である。
【図8】緑茶抽出液に対する加熱滅菌処理における温度の影響を示す図である。
【図9】カテキン混合物単独のフィブロネクチン介在細胞接着の阻害効果と非カテキン画分存在下でのそれとを比較して示した図である。

Claims (1)

  1. 茶を、10〜20倍量(重量/重量)、60〜70℃の温水で15〜30分抽出して得られた茶温水抽出物のうちのカテキン類を除く温水抽出非カテキン成分を有効成分として含有する、カテキンのフィブロネクチン介在細胞接着抑制作用増強剤
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