JP4205165B2 - Cdk4活性の阻害のための方法と手段 - Google Patents
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Description
p53の腫瘍サプレッサー機能は、DNA損傷誘導的細胞周期チェックポイント経路とリンクしており(Kastan等,1991)、そこではp53は損傷細胞における増殖停止(Agarwal等,1995)またはアポトーシス(Clarke等,1993;Lowe等,1993;Merritt等,1994)のそれぞれを誘導しうる。腫瘍抑制及び増殖停止と最も強く関連するp53の生化学的活性には、配列特異的転写活性のイオン化放射線依存的活性化をが含まれる(kastan等,1991;Lu及びLane,1993;Pietenpol等,1994)。p53は、数多くの遺伝子の転写を誘導し、その遺伝子産物は増殖停止を介在する点において直接的な役割を演じる。これらの細胞増殖のp53誘導性ネガティブレギュレーターには以下のものが含まれる:サイクリン依存性キナーゼインヒビター(CKI)、p21WAF1(El-Deiry等,1993;Harper等,1993;Xiong等,1993;Gu等,1993);アポトーシス促進タンパク質、Bax(Miyashita及びReed,1995);インスリン増殖因子結合タンパク質、IGF-BP3(Buckbinder等,1995);及びGadd45(Kastan等,1992)、未だ明確ではない生化学的機能を持つ細胞増殖の潜在的なインヒビター(Kearsey等,1995)。
ヒト新形成の形成における一般的な現象は、p53によって調節されるDNA損傷誘導的細胞周期チェックポイント経路の不活性化である(Hollstein等,1991;Lane,1992;Agrawal等,1995)。様々な機構が、p53経路の機能的な不活性化に対して導かれ、以下のものが含まれる:p53遺伝子内のミスセンスミューテーション、またはp53遺伝子の欠失、ガン遺伝子性細胞タンパク質mdm-2との相互作用による野生型p53タンパク質機能の不活性化(Momand等,1992)、あるいはp21WAF1のような下流エフェクター分子の誘導不能(Deng等,1995;Waldman等,1995)。
哺乳動物細胞のトランスフォーメーションの根拠をなす分子機構の我々の得られつつある知見により、非制御的細胞増殖またはガンに対する必須の特異的な生化学的プロセスの理論的にデザインされたインヒビターを創作する機会が提供される。最近の発展により、あるヒト腫瘍におけるp53経路の再活性化が、以下のものによって理論的に達成されたことが示されている:(i)薬剤のデザインに対するリードとして小ペプチドを用いて、ミュータントp53タンパク質の生化学的機能を活性化すること(halazonetis及びKandil,1993;Hupp等,1993);(ii)複合体形成のペプチド模倣性インヒビターの使用を通じてガン遺伝子mdm-2と野生型p53の相互作用を破壊すること(Picksley等,1994);(iii)それ自身が増殖抑制を介在しうる下流エフェクター分子p21WAF1の機能を回復させるまたは模倣すること(El-Deiry等,1993;Eastham等,1995)。
p21WAF1は、G1サイクリン依存性タンパク質キナーゼ(CDK;それはG1からS期への進行を制御する)(Harper等,1995)及び増殖細胞核抗原(PCNA;必須のDNA複製因子)(Florez-Rozas等,1994;Waga等、1994)の両者のインヒビターである。それ故、CDKまたはPCNAのそれぞれの機能の阻害は、理論的にp21WAF1の活性に基づく薬剤発見プログラムの形成に対する2の別々の道を提供する。p21WAF1のPCNA結合機能は、p21WAF1のC末端ドメインから由来する20アミノ酸ペプチドによって模倣され得、このペプチドはSV40の複製をin vitroで部分的に阻害するのに十分である(Warbrick等,1995)。
そのPCNA結合の役割にも関わらず、増殖サプレッサーとしてのp21WAF1タンパク質の主要な機能は、G1サイクリン−CDK複合体の阻害にあるようである(Chen等,1995;Harper等,1995;Luo等,1995;Nakanishi等,1995b)。Luo等(1995)は、サイクリンE−Cdk2を阻害するin vitroでのCDKインヒビターをして機能する、残基1-75より成るp21のN末端ドメインを報告した。
本発明は、(i)p21WAF1によるサイクリンD1-Cdk4複合体阻害の分子機構の解明、及び(ii)p21WAF1のアミノ酸配列に基づく一連の合成ペプチドの結合及び阻害性質の試験を通じた、p21WAF1阻害活性のペプチド模倣体の同定に関する。我々の研究により、p21WAF1のN末端ドメインから由来する2のペプチドは、生化学的活性を持つことが見出された;ペプチド4(残基46-65)は、Cdk4と安定な複合体を形成するが、阻害活性は持たず、一方でペプチド2(残基16-35)はサイクリンD1に結合し、2μMのI0.5でCdk4活性を阻害する。
これらのデータはp21WAF1上のサイクリン結合部位を定義し、p21WAF1のCDK阻害機能に関与する一つのメカニズムが、CDKホロ酵素のサイクリンサブユニットに結合することを利用することを示唆する。これは我々に、p21WAF1は構造的なものを通じてアロステリックにCdk4活性を阻害しうる、または(ii)サイクリン−Cdk相互作用を妨げる、または(iii)サイクリンD1の構造におけるサイクリン−Cdk−基質相互作用変化を妨げるという提案を導く。さらに、p21WAF1のC末端配列に基づくペプチドは、サイクリンD1及びCdk4の両者と相互作用し、0.1μMのI0.5を持つ残基141-160より成るペプチド(ここでペプチド10という)を用いたCdk4活性の潜在的なインヒビターである。我々は、阻害ペプチドの両者がサイクリンD1及び/またはCdk4上の生理学的に相当する部位で結合し、それらはフルレングスp21WAF1のものを特異的に模倣することを示すことを明らかにする。重要なことに、C末端ペプチドの能力は、単一のアミノ酸置換(149位でD-A)を作製することによって改良される。我々はアラニンミューテーション分析を用いてこのペプチドの阻害構成要素をマップし、それがp21WAF1タンパク質のC末端領域にまた位置するPCNA相互作用ドメインからは離れていることを示す。
著しくは、丁度5アミノ酸の長さが、Cdk4阻害モチーフを含み、そして2の疎水性アミノ酸残基のそれぞれでの単一の保存的ミューテーションにより、該ペプチドの該阻害活性は完全になくされる。これらのデータは、p21WAF1タンパク質の機能のメカニズムに対する驚くべき関連を持ち、p53の腫瘍サプレッサー下流で機能する合成分子を産する目的の薬剤デザインプログラムに対する最初の時点を現す。
したがって、一面において、本発明はCdk4を阻害する性質を持つ物質を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)モチーフxyLzFより成るペプチド断片で、そこではyとzはいかなるアミノ酸をも示し、xは好ましくはRであり、または上記ペプチド断片の誘導体;あるいは、
(ii)上記ペプチド断片の機能的模倣体。
さらなる面として、本発明は医療的治療の方法における使用のための上記物質を提供する。
さらなる面として、本発明は、過剰増殖的疾患の治療のための医薬品の生産における、Cdk4を阻害する性質を持つ物質の使用を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)p21WAF1のC末端部分の断片、あるいはその活性部分または誘導体;あるいは、
(ii)モチーフxyLzFを含むペプチド断片で、そこではyとzはいかなるアミノ酸をも示し、xは好ましくはRであり、または上記ペプチド断片の誘導体;あるいは、
(iii)(i)または(ii)の機能的模倣体。
好ましい実施態様において、ペプチドモチーフKRRLIFSKより成るp21WAF1のC末端部分は、サイクリン−Cdk4活性を完全に阻害し、pRbのリン酸化を妨げることが見出された(図6参照)。
さらなる面として、本発明は、医療的治療の方法における使用のためのCdk4に結合する性質を持つ物質を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)p21WAF1アミノ酸配列の残基46-65より成るp21WAF1タンパク質の断片、あるいはその活性部分または誘導体;あるいは、
(ii)上記断片の機能的模倣体。
さらなる面として、本発明は、過剰増殖的疾患の治療のための医薬品の調製における、Cdk4を結合する性質を持つ物質の使用を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)p21WAF1アミノ酸配列の残基46-65より成るp21WAF1タンパク質の断片、あるいはその活性部分または誘導体;あるいは、
(ii)上記断片の機能的模倣体。
さらなる面として、本発明は、医療的治療の方法における使用のための、サイクリンDを結合する及び/またはCdk4を阻害する性質を持つ物質を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)p21WAF1アミノ酸配列の残基16-35より成るp21WAF1タンパク質の断片、あるいはその活性部分または誘導体;あるいは、
(ii)上記断片の機能的模倣体。
さらなる面として、本発明は過剰増殖的疾患の治療のための医薬品の調製における、サイクリンD1を結合する及び/またはCdk4を阻害する性質を持つ物質の使用を提供し、上記物質には以下のものが含まれる:
(i)p21WAF1アミノ酸配列の残基16-35より成るp21WAF1タンパク質の断片、あるいはその活性部分または誘導体;あるいは、
(ii)上記ペプチド断片の機能的模倣体。
ペプチド2(残基16-35)の結合に関与する残基、及びp27(p21に関連して)に対して入手可能な結晶構造を示す以下に含まれる実験的証拠に基づき、本発明の様々な面にしたがって有用であるペプチドに対する以下の一般式が提供される。
KxxRRyFzP
ここで、xはいかなるアミノ酸でもよく、yとzは疎水性アミノ酸であり、下線の残基のそれぞれは不存在または異なってもよい、即ちもう一つのアミノ酸でもよい。疎水性アミノ酸はアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンである。アミノ酸Rのそれぞれまたは両者は、他の塩基性残基、特にリシン(K)またはヒスチジン(H)で置換されうる。
本発明において、「活性部分」とは、p21WAF1アミノ酸配列の断片よりは小さいが、上記した関連する性質を維持するペプチドを意味する。
本発明において、「機能的な模倣体」とは、p21WAF1アミノ酸配列の活性部分を含まず、おそらく全くペプチドではないが、上記した関連する性質を持つ物質である。
本発明において、「誘導体」とは、そのアミノ酸酸列を変化することによって、例えば該ペプチドをコードする核酸の操作によって、またはペプチド自身の改変によって、修飾されたペプチドを意味する。天然のアミノ酸配列の上記誘導体には、該ペプチドの本質的な活性を基本的に変えることのない、一つ以上のアミノ酸の挿入、付加、欠失または置換が含まれる。誘導体の例としては、フルレングスタンパク質の149位でAがDに変えられたp21WAF1ミュータントがあり、このミュータントは増大されたサイクリンD1−Cdk4阻害活性を持つ。
本発明の特定の実施態様にしたがって好ましい物質は、PCNAに結合せず、及び/またはPCNAとのp21の相互作用または結合を妨げない。
細胞周期停止は、以下に実験的に示されるように、Rbネガティブ及び/またはRbポジティブ細胞において、本発明にしたがった様々な面によって誘導される。
さらなる面として、本発明は、製薬学的に許容可能なキャリアーと組み合わせた、一つ以上の上記物質を含む製薬学的組成物を提供する。
さらなる面として、本発明は、一つ以上の上記物質を含む組成物と、例えば食料保存剤としての、または植物の成長を促進するための試薬としての、真核細胞の成長を制御する場合におけるその使用に関する。
さらなる面として、本発明は、in vivoで細胞に輸送可能にするキャリアー分子に結合された、上記物質のいずれかを含む化合物を提供する。一つの実施態様として、キャリアー分子はAntennapediaのホメオドメインから由来する16aaペプチド配列(例えば”Penetratin”の名の下で販売されている)であり、それは末端Cys残基を介して上記物質の一つと結合しうる。代わりに、以下の実施例に示すように、ペプチド断片に直接付着するためのキャリアーペプチド(RQIKIWFQNRRMKWKK成る配列を持つ)を合成しうる。上記”Penetratin”分子及びその性質は、WO91/18981に記載されている。
それ故様々な面における本発明は、適切な試薬を用いたp21及びサイクリンD1及び/またはCdk4の間の相互作用を妨げるまたは妨害することを提供する。
上記試薬は、サイクリンD1及び/またはCdk4を結合するまたはそれらとの相互作用に関与する及び/または重要であると、ここで同定されたアミノ酸残基で位置する部位の間で結合をブロックしうるであろう。
p21タンパク質の全配列は解明されており、WO95/13375,WO93/12251及びWO95/06415に示されており、それらは参考としてここで取り込まれる。
上記試薬は、試験の下で試薬が、サイクリンD1及び/またはCdk4、またはその関連する断片、誘導体、類似体または機能的な模倣体との、p21タンパク質またはその適切な断片、誘導体、類似体または機能的な模倣体の結合を阻害するまたは破壊するかどうかを測定することを含むスクリーニング法によって同定されうる。
p21の適した断片には、ここに同定される残基を含むものが含まれる。より小さい分子、及びこの断片の誘導体、類似体及び機能的な模倣体、例えばアラニンスキャニングのような方法を用いて同定されたペプチドも同時に用い得る。
本発明のさらなる面として、ここに記載されるペプチドを用いたアッセイ及び該ペプチドの使用がサイクリンD1及び/またはCdk4とのp21の相互作用を調節するという内容で記載される一方で、これらのペプチドはまたp21と他のサイクリン−Cdk相互作用の相互作用、特にサイクリンE-Cdk2のようなG1複合体を阻害するためにp21模倣体として有用であろう。それ故サイクリンD1及び/またはCdk4に関してここで上記及び以下に記載される本発明の様々な実施態様は、それぞれこれらの他のサイクリン及び/またはCdkに対して必要な変更を加えて応用可能である。
スクリーニング法及びアッセイは、以下にさらに詳細に議論される。
p21及びサイクリンD1及び/またはCdk4の結合を破壊するために用いられ得る試薬の一つのクラスは、サイクリンD1及び/またはCdk4との相互作用をするp21の配列モチーフに基づくペプチドである。上記ペプチドは小分子でありがちであり、長さにおいて約40アミノ酸以下、好ましくは長さにおいて約35アミノ酸以下、より好ましくは長さにおいて約30アミノ酸以下、より好ましくは約25アミノ酸以下、より好ましくは約20アミノ酸以下、より好ましくは約15アミノ酸以下、より好ましくは約10アミノ酸以下、または長さにおいて9,8,7,6,5以下である。本発明はまた、野生型p21配列の配列変異体または誘導体であるペプチドを包含する。
好ましくは、アミノ酸配列は少なくとも約30%または40%または50%または60%または70%または75%または80%または85%または少なくとも約90%または95%のホモロジーを示す関連するp21断片配列の断片とホモロジーを共有する。それ故、p21のペプチド断片は、野生型配列に関して置換のような改変を1,2,3,4,5,5より大きい、または10より大きいアミノ酸で含む。
特異的配列がここで開示されているペプチドの誘導体は、特定の実施態様において特異的ペプチドと同じ長さまたはより短いものである。他の実施態様においては、該ペプチド配列またはその変異体は、上記議論されているようにより長いペプチドに含まれ、それはp21の付加的部分を含むかもしれないし含まないかもしれない。p21において関連する特異的なペプチド断片またはその異種に隣接する1,2,3,4,または5またはより付加的なアミノ酸は、該ペプチドの一末端または両末端で含まれる。
よく理解されていることだが、アミノ酸レベルのホモロジーは一般的にアミノ酸類似性または同一性なる語を意味する。類似性は、「保存的変異」、即ちイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンのような一つの疎水性の残基のもう一つでの置換、またはアルギニンをリシンに、グルタミン酸をアスパラギン酸にまたはグルタミンをアスパラギンに変えるような一つの極性の残基のもう一つでの置換を許容する。類似性は、Altschul等(1990)J.Mol.Biol.215:403-10,のTBLASTNプログラムによって定義され決定されるようなものであり、それは本分野で標準的なものである。ホモロジーは、関連する野生型アミノ酸配列と比較して、関連するペプチドのフルレングスに対して、または約5,10,15,20,25,30または35アミノ酸の連続的な配列に対してである。
注意すべきは、変異体ペプチド配列並びにペプチド及び非ペプチド類似体並びに模倣体は、以下にさらに議論されるように用いられ得る。
本発明の様々な面は、単一の分子または2以上の構成要素を含む組成物である物質を提供し、それらには、上記列挙された及び/またはここのいずれかで開示される配列を含むp21のペプチド断片、本質的に上記配列より成るペプチド、変異体、誘導体または類似体配列を含むペプチド、またはサイクリンD1及び/またはCdk4を結合する、及び/またはp21とサイクリンD1及び/またはCdk4との間の相互作用を破壊するまたは妨げる能力を持つ非ペプチド類似体または模倣体を含む。
変異体には、個々のアミノ酸が本分野で理解されており上記示されているものと緊密に関連する他のアミノ酸によって置換されうるペプチドが含まれる。
ペプチドの非ペプチド模倣体は以下にさらに議論される。
注意すべきことに、本発明にしたがった、及び本発明の様々な面における使用のためのペプチドは、その配列が上記与えられている断片のような、本質的に開示されているp21の断片を含むまたはそれより成る。一つ以上の付加的なアミノ酸が含まれる場合、上記アミノ酸はp21から由来するあるいはp21に対して異種または外来のものである。ペプチドはまた、特に該ペプチドがポリペプチドまたはタンパク質ドメインのような非p21(即ち異種または外来)配列に融合されている場合、より大きな融合タンパク質内に含まれる。
本発明はまた、例えばエフェクター分子、ラベル、薬剤、毒素及び/またはキャリーまたはトランスポート分子といった結合パートナーに結合されたペプチドを含む、該ペプチドの誘導体を含む。ペプチド性及び非ペプチド性結合パートナーの両者に対して本発明のペプチドを結合するための方法は、本分野でよく知られている。一つの実施態様として、該キャリアー分子は、Antennapediaのホメオドメインから由来する16aaペプチド配列(例えば”Penetratin”の名の下で販売されている)であり、それは末端Cys残基を介してペプチドに結合されうる。”Penetratin”分子及びその性質は、WO91/18981に記載されている。
ペプチドは化学的合成によって全体的にまたは部分的に生産される。本発明の化合物は、よく確立された標準的な液相または好ましくは固相ペプチド合成法に従って容易に調製され得、その一般的な記載は広く入手可能であり(例えば、J.M.Stewart及びJ.D.YoungにおけるSolid Phase Peptide Synthesis,第2版,Pierce Chemical Company,Rochford,Illinois(1984),M.Bodanzsky及びA.BodanzskyにおけるThe Practice of Peptide Synthesis,Springer Verlag,New York(1984);及びApplied Biosystems 430A Users Manual,ABI Inc.,Foster City,California)、あるいはそれらは液相法によってまたは固相、液相及び溶液化学のいかなる組み合わせによって溶液中で調製し得、例えば、最初にそれぞれのペプチド部分を完成し、必要で適切であれば、その後それぞれのカルボン酸またはスルホン酸またはその反応誘導体の反応によって、残基Xの導入により存在するいかなる保護基をも除去することによって調製される。
本発明の方法に従ったペプチド性分子(ペプチドまたはポリペプチド)を生産するもう一つの簡便な方法は、発現系での核酸の使用によって、それをコードする核酸を発現することである。
したがって、本発明はまた、本発明のポリペプチド及びペプチドをコードする核酸を様々な面において提供する。
一般的に、本発明にしたがった核酸は、存在しうる発現のための一つ以上の調節配列(類)を除いて、単離物、単離及び/または生成形態であり、ヒトゲノム内の核酸フランキング遺伝子からフリーまたは実質的にフリーであるように、天然で関連している物質から、フリーまたは実質的にフリーなものとして提供される。核酸はまた、全体的または部分的に合成され得、ゲノムDNA、cDNAまたはRNAを含む。本発明にしたがった核酸がRNAを含む場合、示される配列に挙げられるものは、Tに置換されたUを持つRNA同等物に対して参考として構築されるべきである。
本発明にしたがってポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸は、核酸配列及び入手可能なクローンを与えることによって、ここに含まれる情報及び参考文献並びに本分野で周知の方法を用いて当業者に容易に調製され得る(例えば、Sambrook,Fritsch及びManiatis,#Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989,及びAusubel等,Short Protocols In Molecular Biology,John Wiley及びSons,1992)。これらの方法には、(i)上記核酸、例えばゲノムソース由来の、サンプルを増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用、(ii)化学的合成、または(iii)cDNA配列の調製が含まれる。p21断片をコードするDNAは、当業者に周知のいかなる適した方法ででも生産され使用され、それらにはコードするDNAの入手、発現される部分のそれぞれの側の適切な制限酵素認識部位の同定、及び該DNAから上記産分の切り出しが含まれる。それから該部分を標準的な商業的に入手可能な発現系で適切なポロモーターに実施可能に結合する。もう一つの組換えアプローチは、適切なPCRプライマーを用いて該DNAの関連する部分を増幅することである。
p21配列の修飾は、例えば、修飾p21ペプチドの発現を導くために、または核酸を発現するために用いるホスト細胞においてコドンの嗜好性を注意するために、サイトディレクトミュータジェネシスを用いてなされうる。
核酸配列の発現を得るために、該配列をその発現をコントロールするために実施可能に結合した一つ以上のコントロール配列を持つベクターに取り込ませ得る。該ベクターには、挿入された核酸の発現を実施するためのプロモーターまたはエンハンサーのような他の配列、ポリペプチドまたはペプチドが融合物として生産されるための核酸配列、及び/またはホスト細胞において生産されるポリペプチドが該細胞から分泌されるための分泌シグナルをコードする核酸が含まれる。それからポリペプチドを、該ベクターが機能的であるホスト細胞内に該ベクターをトランスフォームし、該ポリペプチド生産されるようにホスト細胞を培養し、そして該ホスト細胞または周囲の培地から該プリペプチドを回収することによって得る。原核生物及び真核生物細胞が本分野でこの目的のために用いられ、それには大腸菌、酵母の株、及びCOSまたはCHO細胞のような真核細胞の株が含まれる。
それ故、本発明はまた、ポリペプチドまたはペプチド(開示されているような)を作成する方法を包含し、該方法には該ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸(一般的に本発明にしたがった核酸)からの発現が含まれる。これは、該ポリペプチドの発現を引き起こすまたは許容する適切な条件下で、上記ベクターを含む培地内のホスト細胞を成育することによって簡便に達成される。ポリペプチド及びペプチドはまた、網状赤血球溶解物のようなin vitro系でも発現される。
様々な異なるホスト細胞でのポリペプチドのクローニング及び発現のための系が周知である。適したホスト細胞には、細菌、哺乳動物及び酵母のような真核生物細胞、及びバキュウロウイルス系が含まれる。異種ポリペプチドの発現のための本分野で入手可能な哺乳動物細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎細胞、COS細胞及び多くの他のものが含まれる。一般的に好ましい細菌ホストは大腸菌である。
適したベクターは、プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び適切な他の配列を含む、適切な調節配列を含んで、選択され構築されうる。ベクターは適宜に、プラスミド、ウイルス、例えばファージまたはファージミドである。さらなる詳細は、例えばMolecular Cloning:a Laboratory Manual:第2版,Sambrook等,1989,Cold Spring Harbor laboratory Pressを参照。例えば、核酸構築物の調製におけるミュータジェネシス、シークエンシング、細胞内へのDNAの導入と遺伝子発現、及びタンパク質の分析といった、核酸の操作のための多くの周知の方法及びプロトコールがCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubel等,編,John Wiley & Sons,1992に詳細に記載されている。
それ故、本発明のさらなる面は、ここに開示される異種核酸を含むホスト細胞を提供する。
本発明の核酸は、ホスト細胞のゲノム(例えば染色体)内にインテグレートされる。インテグレーションは、標準的な方法に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列の包含によって促進される。該核酸は細胞内で染色体外ベクター上に存在し、またはさもなければ細胞に対して異種または外来であると同定される。
またさらなる面は、ホスト細胞内に該核酸を導入することを含む方法が提供される。「トランスフォーメーション」として制限することなく一般的にいわれる(特にin vitroの導入)該導入は、いかなる入手可能な方法をも用いる。真核動物細胞に対して、適切な方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-Dextran、エレクトロポレーション、リポソーム介在性トランスフェクション、及び例えば、レトロウイルスまたはワクシニア、または昆虫細胞に対してはバキュウロウイルスといった他のウイルスを用いたトランスダクションが含まれる。細菌細胞に対しては、適切な方法には、塩化カルシウムトランスフォーメーション、エレクトロポレーション及びバクテリオファージを用いたトランスフェクションが含まれる。代わりとしては、該核酸の直接的な注入が用いられ得る。
抗生物質耐性または感受性遺伝子のようなマーカー遺伝子が、興味ある核酸を含むクローンの同定において用いられ、それは本分野で周知である。
導入の後には、コードされたポリペプチド(またはペプチド)が生産されるように該遺伝子の発現のための条件下でのホスト細胞の培養(該細胞がトランスフォームされた細胞の子孫であろうようでなければ、現実にトランスフォームされた細胞を含むように)が引き続く。もし該ポリペプチドが適切なリーダーペプチドに結合されて発現されるのであれば、培養培地にそれは該細胞から分泌される。発現による生産に引き続き、ポリペプチドまたはペプチドは、ホスト細胞及び/または培地から単離及び/または精製され、例えば一つ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤、ビークルまたはキャリアー(例えば以下参照)を含む製薬学的な組成物のような、一つ以上の付加的な構成成分を含む組成物の形態で、後に望ましいように用いられる。
本発明にしたがって、ペプチド性分子をコードする核酸の導入は、p21及びサイクリンD1及び/またはcdk4の間の相互作用を破壊するまたは妨げるための、遺伝子治療の方法でin vivoで行われる。
それ故、本発明にしたがった核酸を含むホスト細胞、例えば該細胞内へのまたは該細胞の子孫内への該核酸の導入、及び/または該細胞または子孫に対して内因性の配列の遺伝学的改変の結果として生じたもの(その導入または改変はin vivoまたはex vivoで生じる)は、動物、特に哺乳動物、それはヒト、またはウサギ、ギニアピッグ、ラット、マウスまたは他のネズミ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシまたは馬、といった非ヒト、またはチキンといったトリである生物内に含まれる(例えば体細胞内に)。一般的に上記細胞を含む修飾されたまたはトランスジェニック動物またはトリはまた、本発明のさらなる面として提供される。
これは治療目的を持つ。(遺伝子治療は以下に議論される。)また、特に同種内因性の配列の代わりになる場合、生物の細胞内のミュータント、対立遺伝子、誘導体または変異体配列の存在は、in vitroでコードされたポリペプチドの活性を調節し、さもなければ治療上の可能性を持つことを示す物質を試験及び/または研究するモデルとして、該生物を用い得ることを許容する。しかしながら、簡便には、上記物質のアッセイは、ホスト細胞または細胞フリー系でin vitroで実施される。
適したスクリーニング法は、本分野で伝統的である。それらには、ラジオイムノアッセイ、シンチレーションプロキシメトリーアッセイ及びELISA法のような方法が含まれる。適宜に、p21タンパク質または断片あるいはサイクリンD1及び/またはCdk4または断片、あるいはそれらの類似体、誘導体、変異体または機能的模倣体のそれぞれが固定化され、そこにおいては他のものが試験の下で試薬の存在下で適用される。シンチレーションプロキシメトリーアッセイにおいては、ビオチン化タンパク質断片が、ソトレプタビジンコート化発光体−飽和ビーズ(Amershamによって提供される)に結合される。それからラジオラベルペプチドの結合を固定化断片に結合した放射性活性ペプチドとしてシンチレーションを誘導された放射性活性の測定によって測定する。それ故、これを妨げる試薬は相互作用のインヒビターである。
一つの一般的な面として、本発明はp21及びサイクリンD1及び/またはCdk4の間の相互作用または結合を妨害する能力を持つ物質に対するアッセイ法を提供し、該方法は以下のものを含む:
(a)開示されているp21のペプチド断片またはその誘導体、変異体または類似体を含む本発明にしたがった物質、サイクリンD1及び/またはCdk4またはその変異体、誘導体または類似体の関連する断片を含む物質、及び試験化合物を、上記物質の相互作用または結合のインヒビターである試験化合物の不存在かである条件の下で接触をもたらし、上記物質は相互作用または結合し;及び
(b)上記物質間の相互作用または結合を測定すること。
それ故、上記物質(例えばp21断片を含む、そしてサイクリンD1及び/またはCdk4断片を含む)間の結合または相互作用を破壊する、減少する、妨げるあるいは全体的にまたは部分的に損ない、Cdk4活性を調節する試験化合物は同定される。
本発明のもう一つの一般的な面は、該場合のようにp21の関連領域を結合しうる物質に対するアッセイ法を提供し、該方法には以下ものが含まれる:
(a)開示されるようなサイクリンD1及び/またはCdk4,または開示されるようなその変異体、誘導体または類似体、及び試験化合物との相互作用をするp21のペプチド断片を含む物質と接触をもたらし;及び
(b)上記物質と試験化合物の間の結合を測定すること。
p21の関連部分に結合することが見出された試験化合物は、サイクリンD1及び/またはCdk4とのp21の相互作用または結合を破壊する能力、及び/または既に上記議論されているp21によって介在されるCdk4活性または他の活性に影響する能力に対して試験される。
本発明にしたがったアッセイ法の実施の後には、p21とサイクリンD1及び/またはCdk4の間の相互作用を妨害し、及び/またはp21介在性Cdk4活性を阻害する能力に対してポジティブと試験される化合物、物質または分子の単離及び/または製造及び/または使用が引き続く。
本発明のアッセイの正確なフォーマットは、通常の技術及び知見を用いて当業者によって変化しうる。例えば、物質間の相互作用は、検出可能なラベルでのそのラベル化、及び固体の支持体に固定化された他のものとの接触により、in vitroで研究しうる。適した検出可能なラベル、特にペプチド性物質に対するものは、ペプチド及びポリペプチドを組換え的に生産する場合に取り込まれるであろう35S-メチオニンが含まれる。組換え的に生産されたペプチド及びポリペプチドはまた、抗体を用いてラベルしうるエピトープを含む融合タンパク質として発現されうる。
固体の支持体に固定化されたタンパク質は、固体の支持体に結合されたタンパク質に対する抗体を用いて、または本質的に周知である他の方法を介して固定化される。好ましいin vitro相互作用は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を含む融合タンパク質を利用する。これはグルタチオンアガロースビーズ上に固定化する。上記記載のタイプのin vitroアッセイフォーマットにおいては、試験化合物は、固定化されたGST融合ポリペプチドに結合するラベル化ペプチドまたはポリペプチドの量を減少する能力を測定することによってアッセイされる。これはSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によってグルタチオン−アガロースビーズを分画することによって測定される。代わりに、該ビーズを非結合タンパク質を除去するためにリンスし、そして結合したタンパク質の量を、例えば適切なシンチレーションカウンターにおいて存在するラベルの量をカウントすることによって測定しうる。
本発明にしたがったアッセイはまた、in vivoアッセイの形態でも実施し得る。in vivoアッセイは、関連するポリペプチドまたはペプチドが、細胞内に導入された一つ以上のベクターから発現された、酵母株または哺乳動物細胞系のような細胞系において実施し得る。
p21及びサイクリンD1及び/またはCdk4の間の相互作用または結合を破壊する試験化合物の能力は、トゥーハイブリッドアッセイと呼ばれるものを用いて測定されうる。
例えば、この場合のようにp21またはサイクリンD1/Cdk4の断片を含むポリペプチドまたはペプチド、あるいは開示されるようなそのペプチド性類似体または変異体を、酵母転写因子GAL4のもののようなDNA結合ドメインに融合しうる。GAL4転写因子には2の機能的なドメインが含まれる。これらのドメインは、DNA結合ドメイン(GAL4DBD)及びGAL4転写活性化ドメイン(GAL4TAD)である。一つのポリペプチドまたはペプチドをこれらのドメインの一つに融合し、もう一つのポリペプチドまたはペプチドをそれぞれのカウンターパートに融合することによって、機能的なGAL4転写因子が、2の興味あるポリペプチドまたはペプチドが相互作用する場合にのみ回復される。それ故、ポリペプチドまたはペプチドの相互作用を、上記レポーター遺伝子の転写を活性化することが可能なGAL4DNA結合部位にリンクできるレポーター遺伝子の使用によって測定しうる。このアッセイフォーマットは、Fields及びSong,1989,Nature 340;245-246に記載されている。このタイプのアッセイフォーマットを、哺乳動物及び酵母の両者で用い得る。LexA DNA結合ドメイン及びVP60転写活性化ドメインのような、DNA結合ドメイン及び転写活性化ドメインの他の組み合わせが本分野で入手可能であり、好ましい。
説明の目的で例示されるLex/VP60トゥーハイブリッドスクリーニングを実施するために、酵母及び哺乳動物細胞を、選択マーカータンパク質(例えば、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼをコードする)を発現するレポーター遺伝子構築物を用いてトランスフォームする。その遺伝子のプロモーターは、それがLexA DNA結合タンパク質に対する結合部位を含むようにデザインされる。そのプラスミドからの遺伝子発現は通常大変低い。2のさらなる発現ベクターを、選択可能マーカー発現プラスミドを含む酵母内にトランスフォームし、一つは複数のクローニング部位に結合したフルレングスLexA遺伝子に対するコード配列を含む。この複数のクローニング部位は、LexAコード領域に対してフレーム中で存在する興味ある遺伝子、即ち本発明にしたがってp21またはサイクリンD1/Cdk4ポリペプチドまたはペプチドをコードする遺伝子のクローン化のために用いる。それから第二の発現ベクターは、試験ペプチド配列、またはより好ましくは多様化した、例えばランダムな配列を持つペプチドをコードする配列のライブラリーに対して融合された単純ヘルペストランスアクチベーターVP16の活性化ドメインを含む。その2のプラスミドは、LexA融合構築物が、ペプチドライブラリーから由来するポリペプチドまたはペプチド配列と相互作用する場合にのみ、選択可能マーカーを含むレポーター構築物からの発現を容易にする。
p21ポリペプチドまたはペプチド及びサイクリンD1/Cdk4ポリペプチドまたはペプチドの間の相互作用を妨げるペプチドまたは他の物質を探索する場合のこの修飾は、LexA DNA結合ドメインとの融合物としてp21またはサイクリンD1/Cdk4ポリペプチドまたはペプチド、及びVP60との融合物としてカウンターパートサイクリンD1/Cdk4またはp21ポリペプチドまたはペプチドを用い、ペプチドまたは多様化した及び/またはランダムな配列のペプチドのライブラリーが発現される別々の発現ベクター上に存在する第三の発現カセットを含む。レポーター遺伝子発現の減少(例えば、β−ガラクトシダーゼの場合、青色の弱化)は、p21/サイクリンD1及び/またはCdk4相互作用を破壊するペプチドの存在から起因し、その相互作用はβ−ガラクロシダーゼ遺伝子の転写活性化に対して必要である。試験物質がペプチド性ではなく、上記第三の発現カセット内にコードする核酸から発現されない場合には、同様の系が外因的に供給される試験物質を用いて用いられる。
注意すべきことに、LexA及びVP60の代わりに、ともに機能的な転写アクチベーターを形成するタンパク質の他の同様な組み合わせを用い得、それはGAL4DNA結合ドメインとGAL4転写活性化ドメインのようなものである。
2のポリペプチドまたはペプチドの間の相互作用を妨げる物質を探索するためにトゥーハイブリッドアッセイを実施する場合、酵母細胞の代わりに哺乳動物細胞を用いることが好ましい。同じ原理が供給され、適切な方法が当業者に周知である。
本発明のアッセイに加えられる試験物質または化合物の量は、用いられる化合物のタイプに依存してトライアルとエラーによって通常決せられよう。典型的には、推定のインヒビター化合物の約0.01から100nMの濃度が用いられ、例えば0.1から10nMが用いられる。ペプチドが試験物質である場合には、より多い量を用い得る。
用いられる化合物は、薬剤スクリーニングプログラムで用いられる天然のまたは合成的化学的化合物である。いくつかの特性指摘されたまたは特性指摘されていない構成成分を含む植物の抽出物もまた用いられる。
各タンパク質での相互作用の部位に向けられた抗体が、推定のインヒビター化合物のさらなるクラスを形成する。候補となるインヒビター抗体が特性指摘され、その結合領域が、相互作用を破壊するのに用いられる単一鎖抗体及びその断片を提供するために決定される。
抗体は、本分野で標準的である方法を用いて得られる。抗体の生産法には、哺乳動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル)をタンパク質またはその断片を用いて免疫化することが含まれる。抗体は、本分野で周知の様々な方法の一つを用いて免疫化動物から得られ、好ましくは興味ある抗原に対する抗体の結合を用いてスクリーニングされる。例えば、ウエスタンブロット法または免疫沈降法が用いられ得る(Armitage等,1992,Nature 357:80-82)。動物からの抗体及び/または抗体生産細胞の単離は、動物を犠牲にする工程によって達成される。
ペプチドと共に動物を免疫化するための代わりのものまたはサプリメントとして、タンパク質に対する抗体の特異性が、例えばその表面に機能的なイムノグロブリン結合ドメインを展示するラムダバクテリオファージまたは繊維状バクテリオファージを用いて、発現されたイムノグロブリン可変ドメインの組換え生産ライブラリーから得られる;例えばWO92/01047参照。該ライブラリーは、いかなるタンパク質(または断片)を用いても免疫化されていない生物から得られた配列から構築される天然のものであり、または興味ある抗原にさらされている生物から得られた配列を用いて構築されたものである。
本発明にしたがった抗体は、数多くの方法で修飾される。実際「抗体」なる語は、必要とされる特異性を持つ結合ドメインを所有するいかなる結合物質をもカバーするものとして解釈されるべきである。それ故本発明は、抗体断片、誘導体、機能的同等物及び抗体のホモローダをカバーし、合成分子及びその形が抗原またはエピトープに結合可能である抗体のものにまねた分子をも含む。
抗原または他の結合パートナーを結合可能な例示的な抗体断片は、VL,VH.Cl及びCH1ドメインより成るFab断片;VH及びCH1ドメインより成るFd断片;抗体の単一の腕のVL及びVHドメインより成るFv断片;VHドメインより成るdAb断片;単離されたCDR領域、及びヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合された2のFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片である。単一鎖Fv断片もまた含まれる。
本発明にしたがってモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマは、遺伝学的ミューテーションまたは他の変化を受ける。モノクローナル抗体が、もともとの抗体の特異性を維持した他の抗体またはキメラ分子を生産するために組換えDNA法の技術を受けうることは、当業者にさらに理解されよう。上記方法には、異なるイムノグロブリンの定常領域、または定常領域プラスフレームワーク領域に対して、該抗体のイムノグロブリン可変領域、または相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを導入することが含まれる。例えば、EP184187A,GB2188638AまたはEP-A-0239400参照。キメラ抗体のクローニング及び発現は、EP-A-0120694及びEP-A-0125023に記載されている。
望ましい結合特性を持つ抗体を生産可能なハイブリドーマは、本発明の範囲にあり、それは抗体(抗体断片を含む)をコードする核酸を含み、その発現可能である真核生物または原核生物ホスト細胞である。本発明はまた、該抗体を生産する、及び好ましくは分泌する条件下で抗体を生産可能である細胞を成育することを含む、抗体の生産法を提供する。
サンプルとして抗体の反応性は、いかなる適切な方法によっても決定される。個々のレポーター分子を用いてタグすることが一つの可能な手段である。レポーター分子は、検出可能な、及び好ましくは測定可能なシグナルを直接または間接に産する。レポーター分子の結合は、例えばペプチド結合または非共有結合を介して、直接または間接に共有結合でなされる。ペプチド結合を介した結合は、抗体とレポーター分子をコードする遺伝子融合物の組換え発現の結果としてである。
一つの好ましい態様は、スペクトル的に単離された吸収または放出特性を持つ個々の蛍光色素、リン光体、レーザー色素と共に各抗体を共有結合によって結合することである。適切な蛍光色素には、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン及びテキサスレッドが含まれる。適切な色素には、ジアミノベンジジンが含まれる。
他のレポーターには、色を付けたまたは磁気的なまたは常磁性のラテックスビーズのような巨大分子コロイド状粒子または粒子物質、及び視覚的に観察される、電気的に検出される、またはさもなければ記録される検出可能なシグナルを直接または間接に引き起こしうる生物学的または化学的活性試薬が含まれる。これらの分子は例えば、色素の形成または変化、あるいは電気的性質の変化を引き起こす反応を触媒する酵素であろう。それらは、エネルギー状態の間の電気的遷移が、特徴的なスペクトルの吸収または放出を引き起こすような分子的な刺激が可能である。それらには、バイオセンサーと結びつけて用いられる化学的物が含まれる。ビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプタビジン及びアルカリホスファターゼ検出系が用いられる。
結合を測定する態様は、本発明の部分ではなく、当業者はその好み及び一般的知見にしたがって適切な態様を選びうる。
抗体はまた、本発明にしたがったポリペプチドまたはペプチドを精製及び/または単離するために用いられ、例えばそれらをコードする核酸からの発現によってポリペプチドまたはペプチドを生産した後になされる。抗体は、Cdk4活性を阻害し、そのため細胞増殖を阻害する観点でp21/サイクリンD1/Cdk4相互作用を破壊するために治療上の目的で(それは予防を含む)有用である。抗体は、例えば腫瘍細胞のような細胞内に、例えばマイクロインジェクションされうる。
他の候補のインヒビター化合物は、ポリペプチドまたはペプチド断片の3次元構造をモデル化すること、及び特定の分子型、サイズ及び電化特性を持つ潜在的なインヒビター化合物を提供するために理論上の薬剤デザインを用いることに基づく。
Cdk4活性に影響する能力を持つことが見出された化合物は、抗腫瘍治療における治療上の可能性を持ち、いかなる他の抗腫瘍化合物と組み合わせても用いられる。上記場合には、本発明のアッセイをin vivoで実施した場合、試験される化合物によって引き起こされるCdk4活性の結合または修飾の阻害の程度を測定する必要はない。代わりに、腫瘍形成性及び/または細胞生存能に対する効果が測定される。上記修飾されたアッセイは、腫瘍形成性または、及び/または細胞生存能に対するいかなる効果が、上記インヒビター化合物によって引き起こされるp21及びサイクリンD1/Cdk4の間の結合または相互作用の阻害の結果であり、一般的に毒性の効果だけではないことを確認するために、本発明の主要なアッセイと平行して、またはそれに引き続き実施される。
Cdk4活性を調節するまたは影響する物質または試薬の同定に引き続き、該物質または試薬はさらに調査される。さらに、それは調製物として製造され、及び/または用いられる、即ち医薬品、製薬学的組成物または薬剤のような組成物の処方の製品としてである。これらはヒトに投与される。
注意すべきことは、該試薬は、ペプチド性である、例えば上記列挙した配列を含むペプチドであり、上記ペプチドの機能的類似体である。
ここで用いられているように、「機能的類似体」成る表現は、問題のペプチドと同様な機能的活性を持つペプチド変異体または有機化合物に関し、該ペプチドはp21及びサイクリンD1/Cdk4の間の結合を妨げる。上記類似体の例として、接触部位、特にそれらがヒトp21に存在すると上記同定されたキーアミノ酸残基の配列におけるp21またはサイクリンD1/Cdk4ドメインの3次元構造を似せるためにモデル化される。
さらなる面として、本発明は、該物質の模倣体をデザインまたはスクリーニングする方法における上記物質の使用を提供する。
したがって、本発明は、Cdk4結合または阻害の生物学的活性、Cdk4の立体的阻害の活性、及び/またはサイクリンD1結合の活性を持つ、p21WAF1の模倣体をデザインする方法を提供し、上記方法に配下のものが含まれる:
(i)ファルマコフォアを定義する活性に対して必須及び重要なアミノ酸残基を決定する生物学的活性を持つ物質を分析し;及び
(ii)生物学的活性を持つ候補の模倣体をデザインする及び/またはスクリーニングするために該ファルマコフォアをモデル化する。
適切なモデル化の方法は本分野で周知である。これには「模倣体」と呼ばれるデザインが含まれ、、該デザインは分子の機能的な相互作用と、該模倣体がその相互作用を再生産しうる方法のように並んだ官能基を含む化合物のデザインの研究を含む。
周知の製薬学的活性化合物に対する模倣体のデザインは、「リード」化合物に基づく製薬の発展に対する周知にアプローチである。これは、該活性化合物が合成が困難であるまたは高価である場合、または投与のための特定の方法が望ましくない場合、例えばペプチドが消化管におけるプロテアーゼにより急速に分解される傾向があるといった経口投与に対する活性試薬としてあまり適していない場合に望ましい。模倣のデザイン、合成及び試験は、ターゲットの性質に対する非常に数多くの分子をランダムにスクリーニングすることを避けるために用いられる。
与えられたターゲットの性質を持つ化合物から模倣体をデザインする場合には共通になされるいくつかの工程が存在する。最初に、ターゲットの性質を決定するのに重要な及び/または大切な該化合物の特定の部分を決定する。ペプチドの場合には、これは、該ペプチドにおけるアミノ酸残基を系統的に変化させることによって、例えば順番に各残基を置換することによってなされうる。該化合物の活性領域を構成するこれらの部分または残基はその「ファルマコフォア」として知られている。
一度ファルマコフォアが見出されると、その構造が、分光学的方法、X線解析データ及びNMRといったソースの範囲由来のデータを用いて、例えば立体化学、バンディング、サイズ及び/または電荷といったその物理的性質にしたがってモデル化される。コンピューター分析、類似性マッピング(それは原子間の結合よりむしろファルマコフォアの電荷及び/または大きさをモデル化する)及び他の方法が、このモデル化工程で用いられ得る。
このアプローチの変種に、リガンドとその結合パートナーの3次元構造がモデル化される。これは該モデルが模倣体のデザインにおいてこれを利用することを許容するため、リガンド及び/または結合パートナーが結合において構造を変化する場合に特に有用であり得る。
それからテンプレート分子を、ファルマコフォアを模倣する化学的グループを得るように選択する。模倣体の合成が容易であるように簡便に選択され得るように得られたテンプレート分子及び化学的グループは、薬理学的に許容可能であり、in vivoでは得られず、一方でリード化合物の生物学的活性を維持している。それから、このアプローチによって見出された該模倣体は、それらがターゲットの性質を持つかどうか、またはいかなる範囲でそれを示すかを見るためにスクリーニングされうる。さらにそれから最適化または修飾が、in vivoまたは臨床試験のために一つ以上の最終模倣体に到達するために実施されうる。
治療におけるその使用と共にこのタイプの模倣体は、本発明のさらなる面を形成する。
本発明はさらに、Cdk4を結合する及び/またはCdk4活性を阻害することが可能な物質のスクリーニングを通じて、Cdk4を結合し及び/またはCdk4活性を阻害することが可能な、ここで開示される配列を含むペプチド、またはその誘導体、活性部分、類似体、変異体または模倣体の使用を提供する。
一般的に、本発明にしたがったインヒビターは、単離された及び/または精製された形態、即ち実質的にピュアで提供される。これは、組成物中でそれが少なくとも約90%の活性成分、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%を表すように存在することを含む。しかしながら上記組成物は、不活性なキャリアー物質または他の製薬学的及び薬理学的に許容される賦形剤を含む。以下に記載するように、本発明にしたがった組成物は、開示されているインヒビター化合物に加えて、抗腫瘍試薬のような治療上の使用の一つ以上の他の分子をも含む。
本発明は、p21及びサイクリンD1/Cdk4相互作用及び/またはCdk4介在性RBリン酸化のモジュレーターとして同定された物質、あるいはここに開示されるものにしたがってCdk4または他のp21介在性活性、性質または経路の他の物質だけではなく、製薬学的組成物、医薬品、薬剤または上記物質を含む他の組成物、予防的治療を含む、例えば抗腫瘍または他の抗増殖治療に対する患者に上記組成物の投与を含む方法、例えば抗腫瘍または他の抗増殖治療に対する投与ための組成物の製品における上記物質の使用、及び上記物質を製薬学的に許容される賦形剤、ビークルまたはキャリアー、そして適宜に他の成分と混ぜ合わせることを含む製薬学的組成物を作成する方法に対する様々な面に広がる。
p21及びサイクリンD1及び/またはCdk4相互作用または結合のインヒビターのような本発明にしたがった物質は、例えば腫瘍細胞といった細胞におけるCdk4活性または他のp21介在性活性に影響する治療により、ヒトまたは動物の体の治療の方法における使用に対して提供される。
それ故、本発明はさらに、細胞におけるCdk4活性または他のp21介在性活性を調節する方法を提供し、該方法にはサイクリンD1及び/またはCdk4タンパク質に対するp21の結合を阻害するまたはブロックする試薬を投与することが含まれ、上記方法は、ガンまたは他の疾患あるいは細胞成育及び/または増殖の阻害が望ましい悪性腫瘍を含む疾患の治療に有用である。
本発明はさらに、サイクリンD1及び/またはCdk4に対するp21の結合を妨げる試薬を患者に投与することを含む腫瘍を治療する方法が提供される。
患者に与えられるものが、本発明にしたがったポリペプチド、抗体、ペプチド、核酸分子、小分子、模倣体または他の製薬学的に有用な化合物であろうとなかろうと、患者に利益を示すことで十分である。投与される実際の量、投与の割合及びタイムコースは、治療されるものの性質及びひどさに依存するであろう。例えば投与量の決定等の治療の処方は、一般的な実施者及び他の医者の責任の範囲内にある。
組成物は単独で、または他の治療と組み合わせて、治療される病気に依存して同時にまたは連続的に投与される。
本発明にしたがった製薬学的組成物、及び本発明にしたがった使用のための製薬学的組成物は、活性成分に加えて、製薬学的に許容される賦形剤、キャリアー、バッファー、安定剤または当業者によく知られた他の物質を含む。上記物質は非毒性であるべきであり、活性成分の効力を妨げるべきではない。キャリーまたは他の物質の正確な性質は、投与経路に依存し、それは経口か、注射、例えば皮膚の、皮下のまたは静脈内のものによるであろう。
経口投与のための製薬学的組成物は、錠剤、カプセル、パウダーまたは液体形態である。錠剤には、ゼラチンまたはアジュバントのような固体のキャリアーが含まれる。液体製薬学的組成物は一般的に、水、油、動物または植物オイル、鉱油または合成油のような液体キャリアーを含む。生理食塩水、デキストロースまたは他の糖溶液あるいはエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが含まれる。
静脈内、皮膚または皮下の注射、または苦痛部位での注射に対しては、ピロゲンフリーであり、適切なpH、等張性及び安定性を持つ製薬学的に許容可能な水溶液の形態で存在するであろう。当業者は、例えばSodium Chloride Injection,Ringer’s Injection,Lactated Ringer’s Injectionのような等張性ビークルを用いて、適切な溶液を調製しうる。保存剤、安定剤、バッファー、抗酸化剤、及び/または他の添加物が必要とされるように含まれる。
上記記載の方法及びプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版、Osol,A.(編),1980に見出されうる。
試薬は、腫瘍部位または他の望ましい部位に局在する方法で投与され、それが腫瘍または他の細胞をターゲット化する方法で投与される。
ターゲッティング治療は、抗体または細胞特異性リガンドのようなターゲッティング系の使用により、特定のタイプの細胞により特異的に活性試薬を投与するように用いられる。ターゲッティングは、例えばもし該試薬が非許容可能な毒素であるならば、またはもしそれがさもなければあまりに高い投与量を必要とするならば、またはもしそれがさもなければターゲット細胞に入れないのであれば、様々な理由のために望ましい。
これらの試薬の直接的な投与の代わりに、それらは例えばウイルスベクターにおいて、該細胞内に導入されるコード遺伝子からの発現によってターゲット細胞において生産される(VDEPT法の変異型−以下参照)。該ベクターは治療される特異的な細胞に対してターゲット化され、またはそれはターゲット細胞によりより多くまたはより少なく選択的にスイッチをオンする調節エレメントを含む。
該試薬は、治療される細胞内で生産される、または該細胞に対してターゲット化される活性化試薬による活性形態への変換のため、前駆体型体で投与される。このタイプのアプローチは、場合によりADEPTまたはVDEPTとして周知であり、前者は細胞特異的抗体に対する接合によって該細胞に対して活性化試薬をターゲット化することを含み、一方で後者はウイルスベクターにおけるコードDNAからの発現によりベクター内で活性化試薬、例えば酵素を生産することを含む(例えばEP-A-415731及びWO 90/07936を参照)。
組成物は単独で、または他の治療と組み合わせて、ガン、ウイルス感染またはp21介在性効果が望ましいいかなる他の病気のような、治療される病気に依存して同時にまたは連続的に投与される。
本発明にしたがった核酸、p21及びサイクリンD1及び/またはCdk4相互作用または結合を妨げる、及び/またはCdk4活性または他のp21介在性細胞系路または機能を誘導することが可能なポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸は、遺伝子治療の方法で用いられ、例えばガンにおける腫瘍、または細胞周期及び/または細胞増殖の正しい調節が欠損していることを含む他の疾患、あるいは特異的な細胞死が望ましい特定のウイルス感染のような他の疾患を予防または治療する(全体的にまたは部分的に)目的を持って、例えばヒトの治療において用いられる。
ウイルスベクターのようなベクターは、異なるターゲット細胞の広い様々なもの内に核酸を導入するために、以前の分野で用いられている。典型的には、該ベクターは、望ましいポリペプチドの発現由来の有用な治療上のまたは予防上の効果を提供するために、トランスフェクションが該細胞の十分な集団で生じるようにターゲット細胞にさらされる。該トランスフェクトされた核酸は、長期継続する効果が必要な場合には、ターゲット腫瘍細胞のそれぞれのゲノム内に永久的に取り込まれ、または代わりに該治療は定期的に繰り返されなければならない。
様々なベクター、ウイルスベクター及びプラスミドベクターの両者が本分野で周知であり、米国特許第5,252,479号及びWO 93/07282を参照。特に、数多くのウイルスが遺伝しトランスファーベクターとして用いられ、それらにはSV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、HSV及びEBVを含むヘルペスウイルス、及びレトロウイルスが含まれる。本分野における多くの遺伝子治療プロトコールが、無力にしたネズミレトロウイルスを用いている。
ウイルスベクターの使用の代わりとして、細胞内に核酸を導入する他の周知の方法には、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈降、マイクロインジェクションのような機械的方法、リポソーム及び直接的なDNA取り込みによって介在されるトランスファー、及びリセプター介在性DNAトランスファーが含まれる。
リセプター介在遺伝子トランスファーは、ターゲット細胞の表面に存在するリセプターに対して特異的なリガンドを用いて、核酸がポリリシンを介してタンパク質リガンドに結合されているものであるが、特定の細胞に対して核酸を特異的にターゲット化するための方法の例である。
ここで開示される関連するポリペプチド、ペプチドまたは他の物質の相互作用を妨げることが可能なポリペプチド、ペプチドまたは他の物質、あるいは分子のようなペプチド性物質をコードする核酸分子は、例えば外的環境からその内容物が保護されている適切な容器に封入されたキットにおいて提供される。上記キットは使用のための説明書を含む。
本発明の様々なさらなる面及び実施態様は、本開示の観点から当業者に明白であろう。本発明の特定の面及び実施態様は、実施例及び以下の図面を参考としてここで説明されるであろう:
図1:Cdk4及びサイクリンD1と相互作用するp21WAF1由来のペプチドの能力。図1a:p21WAF1の配列に基づくペプチド1-11のリスト。図1b:p21WAF1ペプチドは、ストレプタビジン−アガロースビーズに結合され、[35S]メチオニンでラベルされたCdk4またはサイクリンD1のそれぞれを含む網状赤血球溶解物に加えられた。過度の洗浄の後、結合タンパク質をSDS-PAGEを用いて分析し、その後オートラジオグラフィーが引き続いた。バンドをBio-Imager及びWhole Band Analysis Software(Millipore)を用いて定量した。その結果が3回の上記実験を表す。”x”は、ペプチドなしのビーズを示す。
図2:サイクリンD1−Cdk4リン酸活性に対するp21WAF1ベースペプチドの添加。サイクリンD1−Cdk4アッセイをCdk4及びサイクリンD1バキュウロウイルス構築物及びGST-Rbを基質として用いた共感染に引き続き、Sf9昆虫細胞由来の溶解物を用いてin vitroで実施した。p21WAF1ペプチドを、17μMの濃度で該アッセイに加え、Cdk4活性に対する効果をSDS-PAGE及びオートラジオグラフィーによって評価した。該図は、バイオイメージングを用いたオートラジオグラフの定量を示し、相対的な結合がペプチドの不存在下でのCdk4活性の観点から表されている。”x”は、ペプチドの添加がないことを示す。
図3:ペプチド阻害の定量。
ペプチド4,8,2及び10を、0.01-34μMの間の様々な濃度でサイクリンD1−Cdk4アッセイに加えた。該図は、ペプチド濃度及び各ペプチドに対してI0.5に対するペプチドの不存在下で測定されたCdk4活性に対する相対的活性(%)のプロットを与える。該データは3回の実験の平均を表す。
図4:ペプチド2または10はサイクリンD1−Cdk4に対する基質ではない。該図は、ペプチド2,4及び10を用いたリン酸化アッセイの結果を示す。
図5:ペプチド10のサイズスキャン。
該図は最小阻害ドメインを見出すためにデザインされたペプチド10に基づく一連のペプチドの配列を示す。囲われた残基は、最小阻害ドメインを表す。該ペプチドをサイクリンD1−Cdk4アッセイに加え、SDS-PAGE及びオートラジオグラフィーによって分析した。
図6:ペプチド10のアラニンスキャンミュータジェネシス。
ペプチド10によるCdk4の阻害に対して必須である残基を正確に示すために、各残基がアラニンに対して連続的に変化される一連のポイントミューテーションを構築した。該ペプチドをサイクリンD1−Cdk4アッセイに加え、その結果をSDS-PAGE及びオートラジオグラフィーによって分析し、それからBio-Imagerを用いて定量した。その結果は、ペプチドの不存在下でのCdk4活性に相対的に表され、3回の実験を表す。必須の残基を同定するために、それから我々はR,L及びF(KRRLIFS)を含む非タグ化8アミノ酸ペプチドを合成し、このつないだペプチドの増大する濃度の存在下でサイクリンD1−Cdk4によるGST-Rbのリン酸化を測定した。
図7:フルレングスp21WAF1タンパク質を用いた阻害タンパク質の比較。
これは、SDS-PAGE、オートラジオグラフィー及びバイオイメージングによって分析され、各インヒビターのI0.5に対するサイクリンD1−Cdk4アッセイを用いて測定された、ペプチド10、DをAにミューテートしたペプチド10、p16INK由来ペプチド(Fahraeus等,1996)及びフルレングスhis-p21WAF1に対する濃度曲線を示す。該結果は3回の上記実験の平均である。
図8:p21WAF1の結合及び阻害ドメイン。
網掛けの残基は、この研究においてサイクリンD1及びCdk4結合、及びN末端ドメインでのCdk4阻害の両者において重要であると同定されたp21WAF1の領域、、同様にp21WAF1のC末端における新規な阻害ドメインを示す。PCNAとのp21WAF1の相互作用に対して重要であることが見出された残基(Warbrick等,1995)は、塗りつぶされて示されている。加えて、本研究の前に、in virtoでのCDK活性を阻害することが見出されたp21WAF1の最小部分が示されている。
図9:細胞内へのp21WAF1ベースペプチドの導入。
ペプチド10(図9aに示されるペプチドI、II及びIII)の配列に基づく一連の合成ペプチドを、キャリアーペプチド(塗られた配列)と共に合成した。ペプチド−I内の下線の残基は、PCNA結合を防ぐためにMからAにミューテートされたものである。該ペプチドを、DMEMプラス10% FCSで成育する増殖しているHaCaT細胞に加えた。該細胞を15μM BrdUを用いてパルスラベルの間24時間インキュベートし、固定し、それからFACSによって分析した。25μMでペプチド−Iを、50μMでペプチド−IIを、25μMでペプチド−IIIを、非治療細胞に対するG1期、S期、及びG2期を分類するために測定した。図9bはカウントした細胞の全体の数と比較した、各期における細胞の%で表したデータを示す。MCF7及びMRC5細胞を用いた同様の実験の結果が、図9cに示されており、それはペプチドIの不存在か及び存在下での細胞周期の各期における細胞のパーセンテージを示す。
別の実験において、DMEM+10% FCS単独または25μMペプチド−Iまたは50μMペプチド−IIのそれぞれを含むDMEM+10% FCSを、72時間絶食させられているHaCaT細胞に加えた。サンプルを、pRBに対して染色したSDS-PAGE/ウエスタンブロットによって示され、分析された時間で得た。pRbは過小リン酸化されたRbタンパク質を示し、pRb*は過剰リン酸化されたRbタンパク質をいう。全体のタンパク質の等量がレーン当たり流され、そして抗体はRbタンパク質のリン酸化形態を好んで認識するようであることを指摘しておくべくである。
図10:ペプチド2の誘導体を用いたサイクリン−Cdk4活性の阻害。
該図は、ペプチド2(該図の2)及び該ペプチドのアラニンスキャンミューテーション(各残基は連続的にアラニンにミューテートされている)による、基質としてpRbを用いたサイクリンD1−Cdk4活性の阻害の程度を示す。活性は非阻害活性に対して相対的に与えられる。(Noはペプチド添加なしの略である。)ペプチドは10μMの濃度で存在した。同様のパターンは、網状赤血球溶解物において発現されたサイクリンD1に対するペプチド2ミュータントの結合の場合にも見られる。
結合及び阻害に対して重要な残基は、2のアルギニン残基(R)及びフェニルアラニン(F)であり、リシン(K)及びプロリン(P)もまた貢献している。これは、サイクリンD1を用いたフルレングスタンパク質の相互作用に対して重要であると同定された残基とは異なるが、これらの研究は活性に対して最も重要であるLFGモチーフを探知するためである。
実験法
ペプチド
全てのペプチドは、Chiron Mimotopes,Peptide Systems(Clayton,Australia)によって合成された。各ペプチドは、C末端にビオチン−SGSGスペーサーを持ち、N末端は遊離していた。該ペプチドをおよそ5mg/mlでDMSOに溶解し、それから我々はアミノ酸分析によって正確にその濃度を測定した(Smythe等,1988)。加えて、ペプチドの純度をマススペクトロメトリーを用いて見積もった。ポジティブイオンエレクトロスプレーマススペクトロメトリーを、水/アセトニトリル/蟻酸(50/50/0.1)において三重−四重マススペクトロメーター(V.G.Quattro)で実施した。
タンパク質
サイクリン及びCDK:Cdk4及びサイクリンD1,Cdk2及びサイクリンE、並びにCdc2及びサイクリンBを、適切なバキュウロウイルス構築物を用いて感染したSf9昆虫細胞で共発現した。該細胞を感染の二日後低速度遠心分離によって回収し、該ペレットを10mM NaCl,1mM EDTA,及び0.1mMフェニルメタンスルフォニルフルオリド,2mM DTTを含む10mM Hepes,pH7.4の等量で溶解し、15分14000×gで遠心分離した。該上清を取りだし、分割し、液体窒素中で即座に凍結した。解凍した溶解物は一度だけ用い、決して再凍結しなかった。ラベル化Cdk4及びサイクリンD1を、ウサギ網状赤血球溶解物in vitro翻訳キット(Promega)を用いて[35S]メチオニンの存在下で翻訳することによって生産した。
His-タグ化p21WAF1:ヒトp21WAF1を、PET発現ベクターを用いて大腸菌で発現した。可溶性p21WAF1タンパク質画分を、製品の説明書にしたがってニッケルキレーティングカラムを用いて精製した(pharmacia)。溶出したタンパク質ピークを、0.1mM EDTA,1mMベンザミジン,0.01% Triton X-100,及び0.1mMフェニルメタンスルフォニルフルオリドを含む25mM Hepes,pH7.4に対して透析し、濃縮後、上記バッファーで平衡化したSuperosa 12ゲル濾過カラム(Pharmacia)に適用した。p21WAF1を含む画分を、p21WAF1特異的モノクローナル抗体Ab-1(Oncogene Sciences)を用いたウエスタンブロットにより検出し、200μg/mlに濃縮後、-70℃で貯蔵した。
GST-Rb:pRbの過剰リン酸化ドメイン(アミノ酸773-924)を含む大腸菌発現構築物を、製品の説明書にしたがってグルタチオン−Sepharoseカラムで精製した(Pharmacia)。
Cdk4及びサイクリンD1のペプチド沈降
p21WAF1の完全な配列(図1)を持つ20アミノ酸ペプチドライブラリーを、Cdk4/サイクリンD1相互作用ペプチドに対してスクリーニングした。ペプチド(1.5μg)を、100μlのPBSで希釈し、10μlのパックされたストレプタビジン−アガロースビーズ(Sigma)を用いて室温で1時間インキュベートした。非結合ペプチドを、PBSを用いた過剰な洗浄によって除去し、該ビーズ及び結合ペプチドを、[35S]メチオニンを用いてラベルしたCdk4またはサイクリンD1のそれぞれを含む網状赤血球溶解物を用いて4℃で1時間インキュベートした。該ビーズを、0.2% Triton X-100を含む1.25×PBSを用いて三度洗浄し、4%(w/v)SDS,20%(v/v)グリセロール及び200mM DTTを含む0.125M Tris-HCl,pH6.8の存在下でボイルした。結合タンパク質をSDS-PAGEによって分析し、引き続きアートラジオグラフィーを実施し、Bio-Imager及びWhole Band Analysis Software(Millipore)を用いて35Sラベルタンパク質の定量を実施した。
酵素アッセイ
GST-Rb−Cdk4活性のリン酸化を、上記記載した昆虫細胞溶解物を含むサイクリンD1−Cdk4を用いて測定した。抽出物(1μl)を、50mM Hepes,pH7.4,10mM NgCl2,2.5mM EGTA,1mM DTT,10mM β−グリセロホスフェート,1mM NaF,10mM PKI,[32P]ATP(1000cpm/pMol)を含む50μM ATP及び50μg GST-Rbを含む10μlの最終反応容量に加えた。該アッセイをGST-Rb基質の添加によって開始し、30℃で10分インキュベートし(GST-Rb内への32Pの取り込みは15-20分で直線的であった)、SDS-PAGEサンプルバッファーの添加によって終結し、95℃で4分熱した。該サンプルを12%ゲル上でSDS-PAGEによって分析し、オートラジオグラフィー及びBio-Imagerを用いた定量が引き続いた。
ペプチドリン酸化
ビオチン化ペプチド(1μg)を、50mM Hepes,pH7.4,10mM NgCl2,2.5mM EGTA,1mM DTT,10mM β−グリセロホスフェート,1mM NaF,10mM PKI,[32P]ATP(6000cpm/pMol)を含む50μM ATP、及び1μlのサイクリンD1−Cdk4昆虫細胞溶解物、1μlの非感染昆虫細胞溶解物、または0.5mM CaCl2,100mg/mlホスファチジルセリンそして20mg/mlジアシルグリセロールを加えた0.02mUのプロテインキナーゼCのそれぞれを含む20μlの最終容量で30℃で30分インキュベートした。該反応を60℃で5分熱することによって停止し、ストレプタビジンアガロースビーズを加え(3×PBSを用いて洗浄した10μlのパックされた細胞容量)、4℃で30分攪拌しながらインキュベートした。該ビーズを、3%(v/v)Tween-20を含むPBSを用いて過度に洗浄し、ペプチド内への放射性活性の取り込みをCerenkovカウンティングによって測定した。
細胞周期測定
キャリー結合ペプチドを増殖中のHaCat細胞内に導入するためにデザインした(図9参照)。細胞を30mmカルチャープレート上に接種し、10%(v/v)胎児ウシ血清(FCS)を補ったダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)上で50%の集合体に成育した。ペプチドを該培地に加え、該細胞を24時間インキュベートした。インキュベーションの最後の30分の間、該細胞を15μM BrdUの存在下でパルスラベルした。該細胞をトリプシン処理し、無水アルコール内で固定し、以前に記載されたように(Renzing等,1996)単一レーザーフローサイトメーター(Becton-Dickinson,FACScan)を用いてFACS分析のために調製した。
HaCat細胞におけるpRbリン酸化
HaCat細胞を、10% FCSを用いたDMEMに25%の集合体で30mmカルチャープレート上に接種した。該FCSを24時間後に除去し、該細胞を72時間絶食させた。この期間の終わりに、該内地に10% FCS及びキャリー結合ペプチドを補った。サンプルを24時間のタイムコースで得、該細胞をRIPAバッファー(150mM NaCl,1.0%(v/v)NP-40,0.5%(w/v)DOC,0.1(w/v)SDS,1mM PMSF,0.1mg/mlアプロチニン及び0.5mg/mlロイペプチンを含む20mM Tris-HCl,pH8.0)に4℃で30分溶解した。pRbのリン酸化状態を、該ブロットをpRbポリクローナル抗体(C-15,Santa Cruz)を用いてプローブすること以外は以前に記載されているように(Fahraeus等,1996)ウエスタンブロット分析によって測定した。
結果
サイクリンD1及びCdk4に対するペプチド結合アッセイ
p21WAF1の完全な配列(図1)を含む一連の合成ペプチドを用いて、我々はこれらのペプチドが、サイクリンD1またはCdk4のいずれかと安定な複合体を形成することによってフルレングスp21WAF1タンパク質を模倣しうるかどうかを測定した。もしp21WAF1タンパク質のペプチド結合模倣体が同定されたならば、それからこれはサイクリンD1−Cdk4ホロ酵素阻害に必要とされるp21WAF1タンパク質の最小結合モチーフを同定し、p21WAF1がサイクリンまたはキナーゼサブユニットをターゲット化するかどうかを同定する助けになろう。これはまた、p21WAF1タンパク質反応機能を研究し、模倣薬剤をデザインするための小ペプチドを用いる系を定義するであろう。
ペプチド結合アッセイは、ストレプタビジンコート化アガロースビーズ上に捕らえられたビオチン化ペプチドに特異的に結合する35Sラベル化サイクリンD1またはCdk4の量を定量することを含んだ。ペプチドコート化ビーズを、in vitroで翻訳された35Sラベル化サイクリンD1またはCdk4のそれぞれを含む抽出物に加え、該ビーズを非結合ペプチドを除去するために過度に洗浄し、そして結合サイクリンD1またはCdk4をSDS-PAGE、引き続きオートラジオグラフィー及びバイオイメージングによって定量した。これはペプチド沈降アッセイとして以下に記載され、PCNAに結合したp21WAF1の発展的保存を示すために以前に用いられている。
p21WAF1のN末端ドメインにおけるアミノ酸46-65由来の小ペプチドは、Cdk4に直接結合する。
ペプチド沈降アッセイを用いて、ペプチド4(p21WAF1のN末端ドメイン由来)はCdk4に特異的に結合するが、サイクリンD1には結合しなかった(図1)。この相互作用は、p21WAF1タンパク質のCDK相互作用ドメインが該分子のN末端ドメインに局在していることが提案されているため(Chen等,1995;Harper等,1995;Luo等,1995)、生理学的に重要である。より特異的には、アミノ酸45-71の領域における欠失(Nakanishi等,1995a)またはミューテーション(Goubin及びDucommun,1995)が、Cdk2と相互作用するフルレングスp21WAF1の能力を傷つける。p21WAF1結合機能のこの欠失は、(i)CDK結合に直接関与する残基のミューテーション/欠失、または(ii)CDKに対する安定な結合を妨げるp21WAF1における構造的改変を誘発するミューテーション/欠失のためであるかどうかは、示されていない。ここで我々は、残基46-65がp21WAF1の結合に直接関与し、サイクリンD1の不存在下でそれらだけがCdk4と安定な複合体を形成可能であることを明確に示す。それ故p21WAF1のN末端がキナーゼ結合ドメインを含むという直接的な証拠を提供する。
p21WAF1のN末端におけるアミノ酸16-35由来の小ペプチドはサイクリンD1に直接結合する。
我々はまた、p21WAF1タンパク質上の第二の別のN末端相互作用部位を定義することができた;この場合p21WAF1の領域はサイクリンD1を結合可能であるが、Cdk4は結合できなかった(図1)。ペプチド2はp21WAF1のアミノ酸16-35を含み、in vivoでのDNA合成阻害に必要なEminium領域内に存在し、その位置は残基17-71の間に位置する(Nakanishi等,1995a)。我々の結果は、CDK相互作用ドメインの外側に存在するp21WAF1タンパク質におけるN末端ミューテーションは、キナーゼに対する結合を妨げるのには不十分であるが、増殖中の細胞内にトランスフェクトされた場合、p21WAF1が増殖サプレッサーとして機能することを妨げるのには十分であるということを見出した、Nakanishi等(1995a)によって発見された見かけの矛盾を説明しうるであろう。特異的には、直接のペプチド結合データ(図1)は、我々にサイクリンD1結合を介在するp21WAF1タンパク質におけるN末端モチーフが、p21WAF1タンパク質が増殖サプレッサーとして機能する機構における必須の工程であり得ることを示唆するように導く。
p21WAF1タンパク質のC末端における新規なサイクリンD1−Cdk4結合モチーフ残基。
サイクリンD1またはCdk4のそれぞれに対する結合に必要であるp21WAF1タンパク質のドメインを定義するペプチド沈降アッセイの特異性は、p21WAF1及びサイクリン−CDK複合体の間の潜在的な相互作用を研究するためにペプチドを用いることが、大変有意義であることを明らかにすることを示した。しかしながら、ペプチド10はWarbrick等により、複製/修復タンパク質PCNAに結合するp21WAF1の領域を表すものとして記載されたp21PBPペプチドと同等であるが、我々はp21WAF1タンパク質のC末端由来のペプチド(ペプチド10及び11)が、Cdk4及びサイクリンD1の両者と安定な複合体を形成し得るという発見に興味をそそられた。我々は、網状赤血球溶解物に存在する内因性サイクリンまたはCDKが、ペプチドに対する架橋を形成するラベル化ヒトタンパク質に結合しうるという可能性を排除できない。しかしながら、ペプチド2及びペプチド4はそれぞれサイクリンD1またはCdk4のそれぞれを沈降するので、このことはありそうにない。これらの結果は、p21WAF1タンパク質が、同じ結合モチーフを通じてPCNA及びサイクリン−CDK複合体の両者と相互作用することを示唆する。しかしながらペプチド11は、Cdk4及びサイクリンD1の両者には結合するが、PCNAにはしない(図1)(Warbrick等,1995;Ball及びLane,1996);p21WAF1のC末端におけるサイクリン/CDK結合モチーフ由来のPCNA結合部位は連結していない。
我々がサイクリンD1及び/またはCdk4に対して特異的に結合するp21WAF1タンパク質由来の3の別々のモチーフを同定したと仮定すると、それから我々はそれらがキナーゼ活性を阻害することによってp21WAF1タンパク質を模倣するかどうかを説明する。
p21WAF1のN末端ドメイン由来のサイクリンD1結合ペプチドと、p21WAF1のC末端由来のサイクリン/CDK結合ペプチドは、Cdk4の活性を阻害する。
p21WAF1ペプチドのいずれがCdk4阻害活性を所有するかを測定するために、我々は独立に、in vitroでサイクリンD1−Cdk4アッセイの間pRbリン酸化を妨げるその能力を試験した(図2)。ペプチド2,8,10,及び11は、17μMで該アッセイに加えられた場合サイクリンD1−Cdk4活性を阻害するが、一方でバッファー単独及び残りのペプチドはCdk4活性に対する劇的な影響を持たなかった。サイクリンD1結合ペプチド(ペプチド2)はおよそ80%までキナーゼ活性を阻害し、Cdk4及びサイクリンD1の両者を結合するペプチド10及び11はこの濃度で酵素活性を完全に阻害した。それ故、該ペプチドのCdk4及び/またはサイクリンD1に結合する能力、並びにCdk4キナーゼ活性を阻害する能力の間には相関関係が存在する。
しかしながら、この相関関係はキナーゼ結合ペプチド4の場合には崩れる。このペプチドはCDK相互作用部位に位置づけられ(図8;Goubin及びDucommun,1995;Nakanishi等,1995a)、そしてCDKと相互作用可能なこのドメイン由来のペプチドは、フルレングスp21WAF1阻害活性を模倣し、それ故G1サイクリン−CDKを阻害することにより細胞周期進行を停止する新規な分子のデザインに対するモデルを提供するという理論が存在している。Cdk4に対する高アフィニティーにも関わらず、ペプチド4は35μMまでの濃度でサイクリンD1−Cdk4アッセイに加えられた場合阻害活性を持たなかった。それ故、p21WAF1−ペプチド結合データ及び阻害性質の両者由来の我々のデータは、小分子量模倣体に対する潜在的な候補としてのp21WAF1タンパク質の2の新規な小ドメインを探知する;アミノ酸16-35由来のN末端モチーフ(ペプチド2)及びアミノ酸141-160由来のC末端モチーフ(ペプチド10)である。
それ故、ペプチド4はp21結合をブロックし、インヒビターとしてその活性を妨げることが可能である。それ故ペプチド4を用いて処理された細胞は、通常細胞周期の停止またはアポトーシスを介在するであろう競合シグナルの存在下でさえ、増殖を継続することが期待されよう。これは細胞周期の制御に対する細胞の機構を調べるためのさらなるツールを提供し、AIDSまたはMSを含む変性疾患、痴呆、あるいはデュシェーヌMDを含む筋ジストロフィー(MD)のような筋変性疾患のような、細胞の欠損と関連する疾患における細胞欠損と戦うためにも有用であろう。
C末端p21WAF1ペプチドはN末端サイクリンD1結合ペプチドよりCdk4キナーゼ活性の優れたインヒビターである
我々は、ネガティブコントロールとしてペプチド4を用いて、ペプチド2,8,及び10に対するI0.5を測定するためにより詳細な研究を実施した(図3)。我々は、ペプチド10(及びペプチド11;データは示されていない)が、0.1μMのI0.5を持つCdk4活性の優れたインヒビターであり、ペプチド2もまた2μMのI0.5を持つ適したインヒビターであることを見出した。ペプチド8は弱い阻害しか与えず、ペプチドの比較的高濃度が50%阻害に近づけるために必要であった。これらのデータは、フルレングスp21WAF1タンパク質のCDK阻害活性を模倣するためにペプチド2またはペプチド10を用いる可能性を支持する。
p21WAF1タンパク質及び阻害ペプチドはCdk4キナーゼの同じ結合部位に対して競合する。
Cdk4阻害ペプチド2及び10がp21WAF1によってまた用いられるCdk4及びサイクリンD1上の部位で機能しているかどうかを測定する目的で、もしそれが結合のために該ペプチドと競合するかどうかを見出すためにフルレングス精製his-p21WAF1の存在下及び不存在下でペプチド沈降アッセイを実施した。
Cdk4及び/またはサイクリンD1に対して結合するペプチド2(A)及びペプチド10(B&C)を妨げるp21WAF1の能力を、p21WAF1の0,0.5,2μgの存在下で網状赤血球溶解物由来のペプチド沈降アッセイを実施することによって測定した。
該データは、サイクリンD1及びCdk4に対するp21WAF1タンパク質の結合が、ペプチド2及びペプチド10の両者の結合を妨げることを示唆する。これらのデータには2の説明の可能性が存在し、(i)該ペプチドはp21WAF1と同じ部位で結合し対して競合しうる、またはp21WAF1またはペプチドのそれぞれの結合は、さらなる結合を妨げるサイクリンまたはCDKの構造的変化を引き起こしうるというものである。これらの実験からでは、ペプチド2及び10が同じ部位(類)で機能しているかどうかは明らかではない。しかしながら、ペプチド沈降データにおける差異は、部位の少なくとも一つは独特であり、ペプチド10はCdk4とサイクリンD1の両者を沈降し得、一方でペプチド2はサイクリンD1のみを沈降しうることを示す。
キナーゼ阻害の間、同じ結合部位に対してペプチド10とp21WAF1は競合するという仮説を支持するためのデータは、その阻害活性の>60%を欠失しているが(以下参照)、その結合機能は維持しているペプチド10ミュータント(フルレングスタンパク質の残基155に等しいペプチド10の残基15でR-Aの変化を引き起こすポイントミューテーションを含む)の使用を用いる。
p21WAF1によるCdk4の阻害が、もはや有効なインヒビターではないが、未だ結合活性を提示するペプチド10ミュータント、RからAへのミュータント(ペプチド10の残基15)の添加によって軽減されるかどうかを測定するために、増大する濃度のペプチド(1,5,17&34μM)を、固定した濃度のp21WAF1(50μM)の存在下でサイクリンD1−Cdk4 GST-Rbリン酸化アッセイに加えた。
該実験は、ミュータントペプチド10の増大する濃度により、フルレングスp21WAF1の阻害活性をブロックし得ることを示し、ペプチド10がp21WAF1の後の結合をブロックする部位(類)で結合しており、それ故フルレングスタンパク質に対するのと同様の機構を通じて機能していることを示唆する。
阻害タンパク質はサイクリンD1−Cdk4基質ではない。
代わりの基質として機能することによってpRbをリン酸化するCdk4の能力を阻害するようであるp107タンパク質とは異なり(Zhu等,1995)、p21WAF1はサイクリンD1−Cdk4複合体に対する基質として機能することは報告されていない(そして我々はこれらの観察を確認する、図4)。しかしながら、フルレングスタンパク質の代わりに、p21WAF1ベースペプチドを用いることによって、我々は該タンパク質の表面に通常さらされていないであろうリン酸化部位を思いがけず生産した。それ故該ペプチドは、触媒活性のインヒビターとは反対に、競合的基質として機能し得た。ペプチド2及びペプチド10の両者は、数多くの潜在的なリン酸化部位を含み、我々はペプチド10が、コントロールキナーゼとして用いる(図4)プロテインキナーゼC(PKC)を含む数多くのタンパク質キナーゼに対する潜在的な基質であることを示すことができた(データは示されていない)。実際、ペプチド2及びペプチド10の両者は、2.4nMolの32PがGST-RbのnMol当たり取り込まれた条件下でサイクリンD1−Cdk4に対する基質ではなかった。しかしながら、同じ条件下で、ペプチド10はペプチドのnMol当たり取り込まれた0.82nMolの32Pと共にPKCに対する極端に適した基質であった(図4)。ペプチド2内にも低レベルの取り込みが存在したが、これは非感染昆虫細胞由来の溶解物を用いたアッセイにおいても存在するため、それは低レベルの内因性タンパク質キナーゼ(類)に対して貢献されているに違いない。それ故、ペプチドインヒビターは競合的な基質ではないが、p21WAF1と同様な機構において触媒活性をブロックするように機能していると思われる。
該ペプチドはサイクリンB-Cdc2キナーゼ活性の有効なインヒビターではない。
Harper等(1995)は、p21WAF1が普遍的なCDKインヒビターではないが、それはG1期及びS期のサイクリン−CDK複合体に対して選択性を提示することを示している。彼らはG2/M転換で機能するサイクリンB-Cdc2、及びD1期な間で機能するサイクリンD2-Cdk4を阻害するp21WAF1の能力を比較した場合、サイクリンB-Cdc2の阻害に対するI0.5は、精製組換えタンパク質を用いてサイクリンD2-Cdk4の阻害に対す留I0.5より600倍高いことを見出した。我々は20μMまでの濃度でサイクリンB-Cdc2及びCdk2−サイクリンEアッセイに対する我々の2のサイクリンD1−Cdk4阻害ペプチドを添加する効果を見、ペプチド2及びペプチド10の両者がCdc2−サイクリンBヒストンH1キナーゼ活性に対する有意な効果を持たないことを見出した。しかしながら、Cdk2−サイクリンEは、ペプチド10によって阻害され、ペプチド10が他のG1サイクリン−Cdk複合体を阻害しうることを示した。それ故、p21WAF1ベースペプチドインヒビターは、フルレングスタンパク質に対するのと同様の特異性を持つようである。
ペプチド2及び10がサイクリンB-Cdc2及びサイクリンE-Cdk2を阻害しうるかどうかを測定するために、キナーゼ活性アッセイを、ヒトサイクリンB及びCdc2を共発現しているSf9細胞溶解物を用いて実施した。ヒストンH1(0.5μg/アッセイ)をサイクリンB-Cdc2に対する基質として用いることを除いて、実験条件はサイクリンD1−Cdk4に対する実験方法において記載されたものと同一であった。サイクリンD1−Cdk4,サイクリンB-Cdc2及びサイクリンE-Cdk2を、増大する濃度のペプチド2(0.25,3,10及び40μM)及びペプチド10(0.1,0.5,5,20μM)の存在下でアッセイした。
ペプチド10のキナーゼ阻害モチーフはPCNA結合部位から離れている。
我々は、増殖停止に以前に関連する(Chen等,1995;Nakanishi等,1995a)p21WAF1の領域由来のペプチドであるペプチド2よりも、ペプチド10は20倍有効である0.1mMのI0.5を持つ、サイクリンD1−Cdk4活性の極端に強いインヒビターであることを示した。我々はまた、p21WAF1のCDK相互作用部位に広がるペプチド(ペプチド4)(Goubin及びDucommun,1995;Nakanishi等,1995a)は、安定な複合体を形成するためにCdk4に結合可能であるが、サイクリンD1−Cdk4インヒビターとしての検出可能な活性は持たないことも示した。それ故ペプチド10は高い効力を持つ小分子模倣体の開発に対する最高の候補のようである。ペプチド10はPCNAと特異的な高アフィニティー及び可逆的な相互作用を形成することが以前に示されており(Ball及びLane,1996)、そしてこのペプチドはおよそ7mMの濃度で50%の阻害を与えるSV40複製の間、PCNAの機能を得に阻害することに十分である(Warbrick等,1995)。p21WAF1のPCNA相互作用ドメインはマップされており、その重要な残基はアミノ酸144-151に存在することが見出されている(QTSMTDFY;Warbrick等,1995;Ball及びLane,1996)。極端のC末端ペプチド(ペプチド11)は、Cdk4に結合し及びそれを阻害するために重要なアミノ酸残基を持つが(図1及び2)、それはPCNAを結合できない(Warbrick等,1995;Ball及びLane,1996)。これらの結果は、p21WAF1のC末端に存在するキナーゼ阻害モチーフ及びPCNA結合モチーフが別々であるが、それはp21WAF1とPCNAまたはサイクリン/キナーゼの間の相互作用がある共通のアミノ酸を必要とするという可能性を除外するものではない。それ故、p21WAF1のC末端内に存在する正確な阻害モチーフを同定することが重要であり、それがPCNA相互作用ドメインとオーバーラップしているかまたはそれと離れているかを確立することが重要である。この疑問を調査するために、我々は2のアプローチを取った;我々は、(i)ペプチド10に沿った各方向で4のアミノ酸によってシフトされている一連のペプチド(サイズスキャン;図7)、及び(ii)各残基が連続的にアラニンにミューテートされているペプチド10に基づく一連のペプチド(アラニンスキャン;図6)を合成した。これら2のシリーズのそれぞれにおいて、in vitroでCdk4活性を阻害する該ペプチドの能力を測定した。サイズスキャンを用いて、我々はペプチド阻害活性がアミノ酸156-160を必要とし、一方でアミノ酸148-155は不要であることを見出した。これは、PCNA結合モチーフ由来のキナーゼ阻害モチーフと一致しない。
アラニンスキャンにより、ペプチド10の阻害活性を完全に消失する2の疎水性残基のそれぞれでの単一の保存的ポイントミューテーションを用いて、我々は丁度5アミノ酸の長さが活性に必須であることを示す阻害に対して重要な残基を定義した(図6)。必須のアミノ酸はRRLIF(アミノ酸155-166)であり、この場合太字は活性に必須であることを示し、下線の残基は阻害活性に有意に貢献することを示す。
ペプチド沈降アッセイにおいて試験した場合、このモチフのRをAに変えるミューテーション(フルレングスp21WAF1のアミノ酸155)は、Cdk4及びサイクリンD1の両者を結合するその能力を維持し、一方でLまたはFをAに変えるミューテーションは、Cdk4及びサイクリンD1に対するアフィニティーを減少し、そして第二のRまたはIのミューテーションは、結合に何の影響もなかった(データは示されていない)。これは、R-Aミュータントが競合的アッセイで用いられたためである。2の疎水性残基(LまたはF残基)のそれぞれに対する単一のポイントミューテーションは、阻害活性を完全に消失するという事実は、該阻害がキーとなる疎水性残基での特異的な相互作用のためであることを示唆した。マッピングデータはまた、ペプチド10とペプチド11の両者は、阻害モチーフを両方とも含むためにサイクリンD1−Cdk4活性の適したインヒビターである理由を説明する。それ故、ペプチド10の阻害部分は、共通のアミノ酸残基を持たないため、PCNA結合部位とはオーバーラップしていない。
ペプチド10における単一のアミノ酸置換は、それをさらに強力なインヒビターにし、それ故フルレングスp21WAF1タンパク質の特的活性に近づける。
アラニンスキャン実験を実施する一方で、我々はミュータントペプチドの一つ(ペプチド10の9位またはフルレングスタンパク質の149位ででD-A;図6)が、サイクリンD1−Cdk4活性のよりよいインヒビターであるペプチドを作製するようであることに気がついた。我々はこのペプチドのI0.5を測定し、それをペプチド10,フルレングス精製his-p21WAF1、及びin vitroでサイクリンD1−Cdk4活性を阻害し、細胞周期進行を妨げることが最近報告されている(Fahraeus等,1996)腫瘍サプレッサータンパク質p16 INK4由来のペプチドと比較した。
D-Aミューテーションは、I0.5を100mMから46nMに減少する(図7)。16.3μMのI0.5を持つ(図7)p16INKベースペプチドとこれを比較することで、我々はCdk4阻害化合物としておよそ350倍活性であるペプチドを生産した。実際、我々は昆虫細胞溶解物アッセイ(図7)において11nMのI0.5を持つp21WAF1の能力に近づき始めた。この値は、Harper等(1995)によるSf9細胞溶解物におけるサイクリンD1−Cdk4の阻害に対して得られたp21WAF1についての40nMのKiと同様の範囲である。フルレングスタンパク質と比較して、ミュータントペプチド10は粗抽出物においてキナーゼインヒビターとして3.5倍低い特異的活性しか持たない。活性に必須であることが示されたドメインの丁度外側に存在するこの位置でのD-AミューテーションがI0.5を減少する理由は未知である。このミュータントはCdk4またはサイクリンD1のそれぞれに対する該ペプチドのアフィニティーを増大するようには思われないので、その理由は阻害におけるこの残基に対する直接的な役割よりむしろ、阻害モチーフの展示に関与していると思われる。
該結果は、ペプチド10がp21WAF1の小ペプチド模倣体をベースとするモデルとして用い得ることを示し、活性残基のペプチド構造または展示における改変が、サイクリンD-Cdk4インヒビターとしてのフルレングスp21WAF1の能力に近づけるペプチドインヒビターの生産を導くという証拠を我々は提供する。
C末端ペプチド(ペプチド10)に対する結果
8のアミノ酸ペプチドがサイクリンD-Cdk4活性を阻害するために重要である。
ペプチド10によるサイクリンD1−Cdk4の阻害に重要であるようである残基を同定し、我々はこれらの残基が阻害に有意であるかどうか、またはそれらがより長いペプチドの内容物内に存在するかどうかを測定した。著しくは、8のアミノ酸ペプチド、KRRLIFSKがサイクリンD1−Cdk4活性を完全に阻害し、pRbのリン酸化を妨げる能力を維持した(図6)。しかしながら、切りつめられたペプチドに対するI0.5は、フルレングスペプチドのものよりおよそ1000倍高かった(切りつめられたペプチドに対するI0.5はおよそ100μMであった)。他の研究では生物学的に活性なペプチドの長さを減少することに依存して能力の欠損が示されているので、これは予期せぬ結果であった。しかしながら、心房ナトリウム利尿ペプチドを最小化する目的でなされたエレガントな一連の実験において、Lin等(1995)によって定義された方法で非必須残基を操作することによってペプチド阻害活性を改良することが可能である。
ペプチド10は細胞系で機能する。
ヒト脳、肺及び大腸ガン細胞系へのp21WAF1cDNAの導入は、細胞増殖の抑制を導く(El-Deiry等,1993)。加えて、ヒト繊維芽腫における放射線誘導G1停止の間、p21WAF1タンパク質濃度はp53依存性に方法で増大し、G1サイクリン−CDKの強力な阻害と細胞がS期に入らないようにすることを導く(Dulic等,1994;Harper等,1995)。ペプチド10が新規な抗増殖薬剤のデザインのための現実的なテンプレートとして機能するために、それは細胞バックグランドで増殖サプレッサーとしてp21WAF1のCKI活性を模倣可能でなければならない。我々及び他のものは、Antennapediaタンパク質のホメオドメイン由来の16のアミノ酸配列が、生物学的活性を持つペプチドに対するキャリアーとして機能し得、それらを細胞膜を通過して移動しそしてそれらをそのターゲット分子と相互作用することを最近示した(Fahraeus等,1996;Hall等,1996)。ペプチド10が組織カルチャー細胞内に導入された場合、その生物学的活性を維持するかどうかを測定するするために、我々はキャリアーペプチド上に直接それを合成し、増殖中の非同期ヒトケロチノサイト由来HaCat細胞のカルチャーにそれを加えた。結合したペプチド(ペプチド−Iと名付けられた;図9)は7位でMからAへのミューテーションを含み、それ故PCNA結合ペプチドとしてのその活性を失い(Warbrick等,1995;Ball及びLane,1996)、そして我々が通常細胞周期に対する該ペプチドのPCNA比依存性効果を研究することを許容した。
ペプチド−Iを、25μMの濃度でカルチャー培地に加え、該細胞を24時間後固定し、それから蛍光活性化細胞ソーター(FACS)によって分析した。非処理及びペプチド−I処理細胞のGi期、S期、及びG2期配置を、ブロモデオキシウラシル(BrdU)を用いてアッセイした。ペプチド−Iの存在下でS期に入った細胞の数は劇的に減少し、G1集団は付随して増大を示した。これはペプチド−IがG1細胞周期停止を誘導することによる増殖サプレッサーとして機能するフルレングスp21WAF1の能力を模倣することを示す。
ペプチド−Iがp21WAF1に対して類似した方法でpRbのリン酸化を妨げることによって増殖インヒビターとして機能するのかどうかを測定する目的で、我々はHaCat細胞の同期の集団を生産するために、血清飢餓を用いた。ペプチド−Iを血清飢餓から解放されたのと同時に該細胞に加え、処理及び非処理細胞由来のサンプルを24時間かけて採取した。pRbのリン酸化状態を、ゲル移動度シフトアッセイによってモニターした。血清が飢餓細胞に加えられた場合、pRbは12から15時間の間に過剰リン酸化されるが、ペプチド−Iの存在下では過小リン酸化されたままであった。それ故ペプチド−Iは、pRbのリン酸化を妨げることによってヒトHaCat細胞におけるG1停止を引き起こす。
我々はHaCat細胞内に、(i)生物学的な活性な切り詰められたペプチド10,及び(ii)CDK阻害のための必須の残基を欠失したコントロールペプチド10を導入する同一の実験アプローチを採った。我々はペプチド−IIがG1期停止を効率的に進行し、50μMで加えられた場合、pRbのリン酸化を全体的に妨げることを見出した(図9b)。しかしながら、ペプチド10の最後の4アミノ酸を欠いているペプチド−IIIは、S期に入るHaCat細胞の能力に対して検出可能な効果を持たなかった。キャリアーペプチドに結合され(ペプチド−II)、細胞内に導入された場合、切り詰められたペプチド10はペブチド−Iよりも増殖サプレッサーとして2倍少ない活性のみを持つことは興味深い(上記in vitroデータ参照)。キャリアーペプチドに切り詰められたペプチド10を結合することは、キャリアー結合の切り詰められたペプチド10に対するI0.5のようなより好ましい阻害構造を促進するであろう(in vitroでペプチド−IIは遊離ペプチド10のものよりおよそ50倍少ない(データは示されていない))。
ペプチド10をRbネガティブ細胞に加え、そしてその結果はフルレングスタンパク質の模倣度を支持する、即ちそれは細胞周期インヒビターとしてその生物学的活性を模倣しうる。ペプチド10はpRbポジティブ細胞と同様にpRbネガティブ細胞での細胞周期停止を引き起こすことが見出された。Soas2細胞を用いて、ペプチドI(ペネトラチンに結合され、PCNA結合を妨げるようにミューテートされたペプチド10)の導入は、G1期における細胞の集団の増大を導く。
議論
合成ペプチドまたはペプチド模倣体は、酵素及びタンパク質の生化学的調節を研究する場合において、またヒト腫瘍において増幅された酵素経路またはタンパク質活性化酵素経路に対してターゲット化された新規な抗増殖試薬のデザインのためのモデルを提供する場合において、有用であることが照明されている(Powis,1992;Gibbs及びOliff,1994)。細胞周期マシネリーの効率のよいターゲット化合物と示されているペプチドには以下のものが含まれる:Rasの活性化を妨げるファルネシルプロテイントランスフェラーゼを阻害するFTI(Gibbs等,1994);その生物学的機能を阻害しうるRasエフェクタードメインペプチド(Moodie及びWolfman,1994;Rodriguez-Viciana等,1994);理論的に活性化チロシンキナーゼと共に腫瘍の増殖を阻害するSH2/SH3ドメインを隠すポリペプチド(Pawson及びSchlessinger,1993;Yu等,1994)、及びサイクリンD-CDK複合体活性を阻害し、それによってpRb依存性細胞周期停止を活性化するp16INK4-由来ペプチド(Fahraeus等,1996)が含まれる。
腫瘍サプレッサータンパク質p53の不活性化は、ヒト神経性の発展に共通の事象である(Hollstein等,1991)。p53タンパク質はDNA損傷及びヌクレオチドプール混乱に応答して活性化する誘導化脳細胞周期チェックポイント経路におけるキープレイヤーである(Lane,1992;Agarwal等,1995)。それ故、この経路の反応性は、新規な抗増殖薬剤の発見に対する道を提供しうる。様々な機構がp53経路の機能的な不活性化に対して導かれ得、その中にはサイクリン−キナーゼインヒビターp21WAF1のようなp53の下流エフェクター分子の不活性化が含まれる(Deng等,1995;Waldman等,1995)。最近の発展では、あるヒト腫瘍におけるp53経路の反応性は、薬剤デザインに対するリードとしての小ペプチドをおそらく用いて、内因性ミュータントp53タンパク質の生化学手的機能を活性化することによって可能である(Halazonetis及びKandil,1993;Hupp等,1993)、またはアデノウイルスベクターを用いて野生型p53遺伝子を再導入することによって可能である(Eastham等,1995)ことが示されている。しかしながら一般的に、そのアミノ酸配列のミューテーションを通じてその通常の活性を損失したタンパク質の生化学的機能の製薬学的修復は、生化学的機能の阻害よりも困難である(Gibbs及びOliff,1994)。それ故、それ自体主にG1サイクリン−CDKとの相互作用を通じて増殖停止を介在しうる、下流エフェクター分子p21WAF1の阻害活性を模倣することのようなp53経路に対する活性を修復するための代わりのアプローチを採ることがより生産的であろう(El-Deiry等,1993;Eastham等,1995;Harper等,1995)。
CDk機能を阻害しうるp21WAF1の最小ドメインを決定すること、及び上記ドメインが高い効率で単独で機能しうるかどうかを決定することは、p21WAF1が抗増殖薬剤デザイン研究においての使用に対して現実のテンプレートとなり得るかどうかを決定するためになされなければならない2の重要な目的である。我々の研究の前に、in vitroでCDK機能を阻害することが示されたp21WAF1の最小配列半末端ドメイン(残基1-75)であった(Luo等,1995)。このN末端ドメインから由来するペプチドはサイクリンE-Cdk2複合体活性を阻害するp21WAF1の能力に対するアンタゴニストであることが最近示された一方で(Chen等,1996)、サイクリンまたはCDKのそれぞれと小ペプチドの直接的相互作用に対するデータは今まで存在しなかった。加えて、p21WAF1由来の小ペプチドがCDKインヒビターとして実際に生物学的に活性であることを示唆する証拠は存在しなかった。サイクリンD1−Cdk4複合体及び関連するアイソフォームは、G1期を通じた進行に対して必須であるので、我々は(i)Cdk4阻害ペプチド模倣体が存在するかどうか、及びそれらは高い効力を持つかどうかを測定するために、並びに(ii)p21WAF1タンパク質がサイクリンD1−Cdk4活性を阻害する機能を調べるために、p21WAF1の配列に基づく一連の小合成ペプチドを用いた。
p21WAF1によるサイクリンD1−Cdk4の阻害に対するモデル。
p21WAF1のN末端ドメイン由来の2の別々のペプチドは、安定な複合体を形成するためにCdk4またはサイクリンD1のそれぞれと相互作用した。一つのペプチドはCdk4と結合するが、その活性は阻害せず、一方で第二のものはサイクリンD1と特異的に結合し、サイクリンD1−Cdk4活性に対する強力な阻害効果を持った。Cdk4結合ペプチド4(残基46-65)は、p21WAF1欠失構築物(Nakanishi等,1995a)及びアラニンミューテーション分析(Goubin及びDucommun,1995)を用いて以前に定義されたp21WAF1の推定のCdk2結合ドメインと一致した。我々は、p21WAF1のこの領域が実際にCDK結合に直接関与するが、Cdk4阻害活性は持たないことを確立した(図2及び3)。これらのデータは、細胞増殖を効率的に阻害しないCDK結合部位を未だ含むN末端欠失p21WAF1構築物を含む理由を説明する(Nakanishi等,1995a)。
サイクリンD1に結合する第二のN末端ペプチドは、新規な機構を通じてサイクリンD1−Cdk4活性を強力に阻害した(以下参照)。サイクリン−CDK複合体のp21WAF1阻害の機構は、p21WAF1タンパク質がサイクリン及び/またはキナーゼサブユニット結合によって阻害するのかどうかが明らかではないので、乏しくしか理解されていない。Cdk2は、サイクリンの不存在下ではp21WAF1を大変弱く結合するのみであり、p21WAF1に対するG1−CDKのアフィニティーは、もしCDKがサイクリンと会合するのであれば著しく増大し(Harper等,1995)、このことはCDK活性のp21WAF1阻害における重要な役割をサイクリンが演じていることを示唆する。しかしながら、p21WAF1及びp27KIP1のようなCKIが、サイクリンと直接相互作用しうるかどうかは未解決である(Toyoshima及びHunter,1994;Harper等,1995)。しかしながら最近の研究によると、p21WAF1はCDKの不存在下で数多くのサイクリンと直接相互作用しうることが示唆されている(Foredar等,1996)。ここで我々は、残基16-35より成る小ペプチド(ペプチド2)が、サイクリンD1と安定な複合体を形成し、そしてこのペプチド単独で2mMのI0.5を持つCdk4活性の強力なインヒビターであることを示す。このペプチドはNakanishi等(1995a)に記載された増殖サプレッサー領域の範囲にある。これは、p21WAF1上の推定のサイクリン結合部位が同定され、このドメインを代表する小合成ペプチドがCDKインヒビターとしてフルレングスp21WAF1タンパク質を模倣するのに十分であることが示された最初のものである。
サイクリンD1−Cdk4活性がサイクリンサブユニット単独との相互作用によって阻害されうるという事実は、(i)サイクリンD1における構造上の変化がCdk4触媒活性の阻害を導きうること、(ii)ペプチド2がCdk4とのサイクリンD1の相互作用を妨害すること、または(iii)ペプチド2がその基質pRbとのサイクリンD1−Cdk4複合体の相互作用を妨害することのいずれかを示唆する。
p21WAF1の小分子模倣体のデザインに対する予測は、サイクリンD1結合ペプチド単独がキナーゼ機能を阻害しうると仮定した場合、より実行可能であり、キナーゼサブユニットに結合する一つのp21WAF1タンパク質の以前の存在が、キナーゼ機能の阻害に対して必要ではないことを示す。加えて、p21WAF1及びその緊密に関連するp27KIP1の間で保存されているアミノ酸残基(Polyak等,1994;Toyoshima及びHunter,1994)は、大多数の保存的アミノ酸を含むペプチド2(65%同一)及びペプチド4(50%同一)に相当する領域と共に、N末端ドメイン内でクラスターを形成する。これは、サイクリンD1サブユニットとの相互作用によるCdk4活性の阻害が、p21WAF1とp27KIP1の両者によって用いられる共通の機構であることを示唆する。
新規なp21WAF1C末端サイクリンD1−Cdk4阻害ドメイン。
我々の研究の過程の間、我々はまたp21WAF1のC末端ドメイン由来のペプチド(ペプチド10)が、in vitroでサイクリンD1−Cdk4活性の強力なインヒビターであることを見出した。該阻害モチーフが同定され、そしてそれはまたp21WAF1のC末端ドメインに存在するPCNA相互作用部位から離れていた(Chen等,1995;Luo等,1995;Warbrick等,1995;Ball及びLane,1996)。我々の結果は、各半分が別々に発現された場合、サイクリン−Cdk2阻害活性がp21WAF1のN末端ドメインに単独で制限されることを見出した以前の研究と対照的である(Chen等,1995;Luo等,1995)。この矛盾に対する理由は以下の通りである:(i)p21WAF1のC末端での局所的構造に影響しているp21WAF1構築物に対する発現ベクターにおいてC末端的なhisタグp21WAF1を使用したこと;(ii)p21WAF1のC末端半分のみを含む構築物をトランスフェクションしたことで、これは正確な天然の構造内のホールディングが新規な阻害ドメインの同定を不可能にするためである(Chen等,1995;Luo等,1995);(iii)C末端構築物またはフルレングスp21WAF1タンパク質よりむしろ、ペプチドを用いることによって、我々は天然のフルレングスp21WAF1タンパク質において溶媒にさらされない部位をさらしたこと;(iv)サイクリン−Cdk2複合体及びサイクリンD1−Cdk4を阻害するためにp21WAF1によって用いられる機構(類)におけるわずかな差異が存在する可能性があること。いずれにより、C末端阻害モチーフがp21WAF1上の新規な生理学的に関連する調節部位を定義するかは、現在議論されているところである。しかしながら、ペプチド10の能力(I0.5=0.1mM、これらのアッセイにおいてはフルレングスp21WAF1タンパク質より10倍低いのみである)及びサイクリンD1−Cdk4を完全に阻害する能力は、フルレングスp21WAF1のこの領域に対するさらなる研究が、非常に価値を持って追跡されることを我々に示唆する。
ペプチド10は、p16INK4の最近同定されたペプチド模倣体(Fahraeus等,1996)より150倍優れ、我々が記載したように、N末端阻害p21WAF1由来ペプチドより20倍優れた、データに開示されたCDK活性のかなりの最も強力なペプチドインヒビターであるために、薬剤デザインのための強力に興味あるリードを代表する。阻害活性に対して重要な残基は丁度5アミノ酸の長さに限定されるという事実は、単一の界面での接触がサイクリンD1−Cdk4活性の強く強力なインヒビターを生産するのに十分であることを示唆し、これをp21WAF1活性を模倣する小分子のデザインに対する現実的なテンプレートとすることを示唆する。
丁度8アミノ酸(KRRLIFSK)に減少した場合、ペプチド10は阻害活性を維持するという事実は、理論上の薬剤デザインに対するテンプレートとしてその魅力を改良する。一般的にタンパク質−タンパク質界面は、各界面における10-30接触側鎖の間の参加に比較的大きく依存しており、接触の各領域は、しばしば一次アミノ酸配列を通じて拡散されている残基より成る(Davies等,1990;de Vos等,1992)。しかしながら、ある場合にはこれらの側鎖の小サブユニットのみが効率的な結合が生じるために構築されることが必要とされるという証拠が存在する(Kelly及びO’connel,1993,Cunningham及びWells,1994;Clackson及びWells,1995)。単一の8アミノ酸ペプチドが単独で、組織カルチャー細胞系におけるpRbリン酸化を妨げ、G1細胞周期停止を生産する、必須のG1−サイクリン−CDKの活性を阻害するのに十分であるという発見は、接触側鎖の小サブユニットのみでの相互作用が、G1−S期の境界でのサイクリンD1−Cdk4活性の強力な阻害に対して必要であることを示唆する。これはサイクリン−Cdk4を、抗増殖試薬として機能することが可能な小合成化合物のデザインに対する現実的で魅力あるターゲットにする。
参考文献
この書面のいかなる場所かで言及された全ての参考文献は、ここで参考として取り込まれる。
Claims (22)
- p21とサイクリンD1及び/またはcdk4との間の相互作用または結合を調節し、及び/またはcdk4活性に対するp21介在性効果を調節することが可能である化合物の請求項1または2にしたがった同定に引き続き、該化合物と少なくとも一つのさらなる構成成分を含む組成物を処方することを含む方法。
- cdk4活性によって介在される疾患の治療の方法における使用のための、またはcdk4を阻害することによる過剰増殖性疾患の治療のための、ペプチドKRRLIFSK。
- 前記物質が、p21の40アミノ酸以下の前記ペプチド断片、またはその活性部分もしくは誘導体からなる、請求項15記載の阻害剤。
- 前記ペプチド断片が、p21WAF1アミノ酸配列の残基16〜35、またはその活性部分もしくは誘導体からなる、請求項15記載の阻害剤。
- 前記物質が、非p21ペプチド配列と結合した前記ペプチド断片またはその誘導体である、請求項15記載の阻害剤。
- 前記非p21ペプチド配列が、配列RQIKIWFQNRRMKWKKを有する、請求項18記載の阻害剤。
- 前記cdk活性が、Rbリン酸化を含む、請求項15記載の阻害剤。
- 細胞周期停止が誘導される、請求項15記載の阻害剤。
- 前記物質が、非ペプチド性結合パートナーと結合した前記ペプチド断片またはその誘導体である、請求項15記載の阻害剤。
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