JP2002508180A - ヒトrad1核酸、ポリペプチド、検定、治療方法および手段 - Google Patents

ヒトrad1核酸、ポリペプチド、検定、治療方法および手段

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JP2002508180A
JP2002508180A JP2000539134A JP2000539134A JP2002508180A JP 2002508180 A JP2002508180 A JP 2002508180A JP 2000539134 A JP2000539134 A JP 2000539134A JP 2000539134 A JP2000539134 A JP 2000539134A JP 2002508180 A JP2002508180 A JP 2002508180A
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Abstract

(57)【要約】 S. pombeおよびビール酵母菌(S. cerevisiae) Rad17のヒトおよびマウス相同体のクローニング。細胞増殖の制御のための分子を同定し且つ生成するのに、そして放射線療法に対する細胞の感作に特に有用なHRAD1 。hrad1 の増殖細胞核抗原(PCNA)との相互作用は、治療効力を有する作用物質に関する検定のための基礎を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、スクリーニング方法、ペプチド、模倣物、ならびにシゾサッカロミ
セス属の (Shizosaccaromyces) pombe Rad1 、サッカロミセス属のビール酵母菌
(Saccharomyces cerevisiae) Rad 17p および黒穂菌属のトウモロコシ黒穂菌(
Ustilago maydis) Rec1 の相同体をコードする新規クローン化ヒト遺伝子(「HR
AD1 」)およびHrad1 およびPCNA(増殖細胞核抗原)間の相互作用の予期せぬ発
見および特徴を基礎にした使用方法に関する。本発明の種々の局面は、新規クロ
ーン化遺伝子、例えばコード化ポリペプチドの産生におけるその使用、ならびに
DNA修復、細胞周期制御およびその他の細胞工程におけるこれらのタンパク質
の役割に基づいて、治療的可能性を有するhRad1 およびPCNA間の相互反応を妨げ
る分子に関する検定を含む。
【0002】 運動失調−毛細管拡張症(A-T )は、一般的集団中で100,000 人に約1人の発
生率で存在するヒト常染色体劣性障害である。A-T は、進行性細胞変性、眼皮膚
性毛細管拡張症、成長遅滞、免疫欠損および早発性老化のある種の特徴を含めた
多数の消耗性症状を特徴とする(Jackson (1995). Current Biology 5, 1210-
1212; Meyn(1995). Cancer Res. 55, 5991-6001; Shiloh (1995).Eur. J. H
um. Genet. 3, 116-138 )。A-T 患者は、約100 倍の癌の発生率を示し、患者は
リンパ系起源の悪性疾患に特に罹りやすい。さらに、集団の約1%を構成するA-
T ヘテロ接合体は、乳癌の発生率がより高いことが報告されている(Easton(19
94). International Journal of Radiation Biology 66, S177-S182; Meyn(19
95). Cancer Res. 55, 5991-6001 )が、しかしこれは依然として論争中である
(Fitzgerald et al.,(1997). Nature Genetics 15, 307-310; Bishop and Ho
pper(1997). Nature Genetics 15, 226 )。
【0003】 細胞レベルでは、A-T は高度の染色体不安定性、放射線耐性DNA合成、なら
びに電離放射線(IR)および放射線様作用性薬に対する過敏症を特徴とする。さ
らに、A-T 細胞は、DNA複製または有糸分裂の前にゲノムの修復を可能にする
ためにDNA損傷に応答して細胞周期を停止すると考えられる放射線誘導性G1-S
、S およびG2-M細胞周期チェックポイントに欠損がある(Beamish et al., (19
94). Radiat. Res. 138, S130-133; Beamish and Lavin (1994). Int. J. Ra
diat. Biol. 65, 175-184; Khanna et al., (1995). Oncogene 11, 609-618;
Barlow et al.,(1996). Cell 86, 159-171; Xu and Baltimore(1996). Gene
& Dev. 10, 2401-2410 )。これは、A-T 細胞が、IRに応答して腫瘍サプレッサ
ータンパク質p53 の欠損または重度遅延誘導を示すという事実を一部は反映し得
る(Kastan et al.,(1992). Cell 71, 587-597; Khanna and Lavin(1993).
Oncogene 8,3307-3312; Lu and Lane (1993). Cell 75, 765-778; Xu and Bal
timore(1996). Genes & Dev. 10, 2401-2410)。実際、p21/WAF1/CIP1 および
Gadd45のp53 介在性転写的活性化、ならびにその後のG1サイクリン依存性キナー
ゼの抑制も、IR曝露後のA-T 細胞に欠けている(Artuso et al.,(1995). Onco
gene 11, 1427-1435; Khanna et al.,(1995). Oncogene 11, 609-618)。した
がって、A-T に欠けている遺伝子生成物は、IR誘導性DNA損傷信号化経路にお
いてp53 の上流として作用する。
【0004】 ATM (A-T 突然変異誘発化)と呼ばれるA-T 患者において突然変異を誘発され
た遺伝子はマッピングされ、そのcDNAはクローン化されている(Savitsky e
t al.,(1995a ). Science 268, 1749-1753; Savitsky et al.,(1995b ). Hu
m. Mol. Genet. 4, 2025-2032 )。配列分析は、ATM 遺伝子がそのカルボキシル
末端領域における推定キナーゼドメインによってタンパク質のホスファチジルイ
ノシトール(PI)3−キナーゼ族の一成員である約350 kDa ポリペプチドをコー
ドする、ということを明示する。古典的PI3−キナーゼ、例えばPI 3−キナー
ゼそれ自体は、信号伝達に関与し、そして細胞内二次メッセンジャーとして作用
するイノシトール脂質をリン酸化する(Kapeller and Cantley(1994). Bioess
ays 16, 565-576 に論評されている)。
【0005】 しかしながら、ATM は、細胞周期制御におよび/またはDNA損傷の検出およ
び信号化にATM と同様に関与するタンパク質を包含するPI3−キナーゼタンパク
質族の小集団とのほとんどの配列類似性を有する(再検討のためには、Hunter(
1995). Cell 83, 1-4; Keith and Schreiber (1995). Science 270, 50-51;
Zakian(1995). Cell 82, 685-687; Jackson (1996). Cancer Surveys 28, 2
61-279参照)。この亜群に含まれるのは、DNA依存性プロテインキナーゼ(DN
A-PK)触媒性サブユニット(DNA-PKCS)であり、この欠乏は、IR過敏症および特
定部位のV (D )J 組換えの実施不能をもたらす(Jackson and Jeggo (1995)
. Trends Biochem. Sci. 20, 412-415; Jackson (1996). Cancer Survey 28,
261-279 に論評)。
【0006】 しかしながら、ATM に関するほとんどが、ビール酵母菌Tel1p およびMec1p を
シゾサッカロミセス属 (Schizosaccharomyces) pombe(rad3)、キイロショウジ
ョウバエDrosophila melanogaster (mei-41 )およびヒトのMec1p 相同体ととも
に包含するタンパク質の組である(ATR-FRP1; Keith and Schreiber, 1995; Zak
ian, 1995; Jackson, 1996)。ATM の場合と同様に、これらのタンパク質の欠損
は、ゲノム不安定性、減数分裂的組換えの欠損、DNA損傷剤に対する過敏性お
よびDNA損傷誘導性細胞周期チェックポイントコントロールの欠損を引き起こ
す。
【0007】 特に、遺伝子的証拠によれば、ATM およびATR は重複機能を有する。したがっ
て、本発明によれば、ATR 介在性細胞工程、経路および作用は、状況が許す限り
、ATM への参照がATR を含むことも考慮すべきであるよう調節し得る。 遺伝子データはDNA損傷認識およびその修復におけるATM 様タンパク質の関
与を示すが、しかし、これらのタンパク質が機能するメカニズムは分かっていな
い。それにもかかわらず、酵母菌での研究は、種々のその他の遺伝子がMEC1/RAD
3 またはTEL1に対して同一または重複経路で機能するということが確定されてい
る。例えば、S.pombe 遺伝子RAD1は、RAD3と同様に、DNA損傷の信号化および
複製遅延の二者選択に際して決定的役割を演じると考えられる(Sunnerhagen et
al., (1990). Mol. And Cell. Biol. 10, 3750-3760; Rowley et al.,(1992
). EMBO J. 11, 1335-1342; Long et al., (1994)Gene 148, 155-159; Kante
r-Smoler et al.,(1995). Mol. Biol. Of the Cell 6, 1793-1805;再検討のた
めには、Sheldrink and Carr(1995). BioEssays 15, 775-782 参照)。配列が
Rad1と関連するビール酵母菌S. cerevisiae Rad17p も、Mec1p 依存性信号化工
程に関与する(例えば、Weinert et al., (1994). Genes. Dev. 8, 652-665;
Lydall and Weinert(1995). Science 270, 1488-1419; Siede et al., (1996
). Nucleic Acids Res. 24, 1669-1675)。
【0008】 しかしながら、これらのその他の酵母菌遺伝子の生成物が分子レベルで如何に
作用するかは不明である。さらに、DNA修復およびシグナル化経路およびそれ
らの関連因子が進化を通してどの程度保存されているかは、そして、例えばこれ
らのすべての因子のヒト相同体が存在するか否かは未だ分からない。例えば、S.
serevisiae RAD9およびS. pombe CHK1 のヒト相同体は同定されている(Lieber
man et al., (1996). Proc. Nactl. Acad. Sci. USA. 93, 13890-13895; Sanc
hez et al., (1997). Science 277, 1497-1501)のに、その他の多数の酵母菌
因子のヒト相同体は検出されておらず、そして一般的に、ヒトp53 またはDNA
−PKCSの相同体はS. cerevisiae 中に存在しないと受けとめられているようであ
る(Oliver(1996). Trends Genet., 12, 241-242; Goffeau et al.l,(1996)
Science, 274, 546 )。
【0009】 DNA修復の、そしてDNA損傷誘導性およびDNA複製停止誘導性細胞内信
号化が重要であれば、これらの工程がヒトおよびその他の複雑な生物体中で作用
するメカニズムを確定することが重要である。このような見解は、不妊症、老化
、癌疾病素質、癌療法、その他の高増殖性疾患の治療および変性疾患症状を含め
た領域におけるヒトのヘルスケアに大きい適用性を有する。前記に関しては、D
NA修復において、ならびにDNA損傷誘導性およびDNA複製停止誘導性信号
化経路において機能する遺伝子およびそれらのコード化タンパク質が、考え得る
およびそれらの機能が特性化される場合に同定されることは、これがこれらの工
程を増強しまたは抑制する新規診断具のおよび新規治療薬の開発の基礎を提供す
るために、重要である。
【0010】 本発明は、ヒトまたはその他の動物におけるDNA複製停止誘導性およびDN
A損傷誘導性信号化経路の新規の構成成分の同定に関する。構成成分は、本明細
書中では「hRad1 」とよばれ、「HRAD1 」遺伝子によりコードされる。それはS.
pombe RAD1 の相同体である。マウス相同体(「MRAD1 」によりコードされる「
mRad1 」)もクローン化されている。治療的および診断的情況において、hRad1
は一般に、本発明で用いるのに好ましい。しかしながら、「hRad1 」および「HR
AD1 」への参照は、情況が許す限り、それぞれのマウス相同体の使用の可能性を
含むと解釈されるべきである。マウス相同体は、例えば適切な動物モデルの生成
に用い得る。
【0011】 種々の局面において、本発明はコード化核酸、組換えベクターおよび宿主細胞
、コード化hRad1 ポリペプチド、コード化核酸からの発現によるポリペプチドの
製造方法等を提供する。さらに、本開示は、本タンパク質が如何に機能し、この
タンパク質の機能の損失に関連し得る癌、不妊症および変性疾患症状のような疾
患のための新規の診断的、予防的および治療的薬剤の開発のための手段、検定お
よび方法を提供するかを示す。
【0012】 Hrad1 も、PCNAと相互作用することが、本発明者により示されている(下記の
実験参照)。 PCNAは、種々のその他のタンパク質と相互作用するタンパク質であり、そして
種々の工程、例えばDNA複製、細胞周期制御、ヌクレオチド除去修復、複製後
不適正塩基対の修復、塩基除去修復およびアポトーシスに関係がある(再検討に
関しては、Jonsson and Hubscher(1997). BioEssays 19, 967-975 参照)。PC
NAは、いくつかのその他のタンパク質、例えばDNAポリメラーゼδ、DNAポ
リメラーゼε、複製因子C (RFC )、ヌクレアーゼFen1、細胞周期進行を制御す
るサイクリン/サイクリン依存性プロテインキナーゼ複合体と相互作用すること
が示されている。さらに、PCNAは、G1相細胞周期停止およびタンパク質Gadd45の
強力な誘導物質であり、そして増殖停止およびDNA損傷に応答して誘導される
p21/Waf1/Cip1 と相互作用する。PCNAが相互作用する別のタンパク質は、Gadd45
に関連し、そして終末分化およびアポトーシス応答において誘導されるタンパク
質であるMyD118である(PCNAとのこれらの種々の相互作用の再検討に関しては、
Jonsson and Hubscher(1997). BioEssays 19, 967-975 参照)。
【0013】 したがって、hRad1 (またはmRad1 )とPCNAとの間の相互作用は、その他のタ
ンパク質と相互作用するPCNAの能力による細胞工程の多様性を調節し得る。 hRa
d1とPCNAとの間の相互作用は、DNA損傷信号化におけるhRad1 の予測される役
割とともに、特にDNA損傷に応答して、hRad1 が直接または間接的にPCNAを標
的にし、したがって細胞周期停止を引き起こす、という指標を提供する。別の可
能性は、hRad1 がPCNAを活性化し得るし、DNA損傷はこのような活性化を抑制
する、ということである。
【0014】 この、そしてその他の下記の研究を基礎にして、本発明は種々の局面において
、hRad1 機能の、および/またはhRad1 とPCNAおよび/またはその他の細胞構成
成分との間の相互作用の調節を提供する。 本発明の種々の局面は、hRad1 機能および/またはhRad1 とPCNAとの間の相互
作用を調節する薬剤に関するスクリーニング方法および検定におけるhRad1 また
はhRad1 およびPCNAの使用を提供する。
【0015】 このような分子は、種々の手段により同定し得る。例えば、hRad1 および/ま
たはPCNA、および/またはいずれかのペプチド断片のアラニン走査および欠失分
析を用いたhRad1 /PCNA相互作用に関して重要な残基についての情報が得ること
ができる。鍵となる残基が同定されると、コンピューター配列データベースを、
適切な場合には、配列の保存的変化を説明する残基の同一または類似のパターン
を含めて、タンパク質に関して走査し得る。次に、候補分子を、hRad1 との相互
作用に関する1つ又はそれ以上の検定に用い得る。
【0016】 hRad1/PCNA相互作用の知識は、以下でさらに考察されるような相互作用を調節
する、特に抑制するペプチドおよび非ペプチジル薬の設計にも用い得る。 hRad1 機能および/またはhRad1 とPCNAとの間の相互作用を調節し得る薬剤を
得る方法としては、被験物質の存在下または不存在下で相互作用を査定するため
の適切な決定点が用いられる方法が挙げられる。検定系を用いて、hRad1 依存性
経路の活性を確定し得る。検定系は、ATM/ATR 信号化経路およびエフェクター、
例えばp53 経路の活性を確定するために用い得る。
【0017】 Hrad1 は、S. pombe Rad1 およびビール酵母菌 (S. cerevisiae) Rad17p のヒ
ト相同体である(下記の酵母菌相補性実験により確証されるように)。これら2
つの後者の因子は、S. pombe ATM相同体Rad3およびビール酵母菌 (S. cerevisia
e) ATM相同体Mec1p およびTel1p と共同して作用する。したがって、hRad1 はAT
M およびATR と直接または間接的に相互作用すると思われる(ATR はATM および
酵母菌Mec1p 、Tel1p およびRad3因子と関連するヒトタンパク質である(前記参
照))。遺伝子的証拠によれば、ATM およびATR は重複機能を有し、そこでhRad
1 の操作が用いられて、ATM およびATR 依存性工程の両方を操作し得る。さらに
、ATM はP53 (Hawley and Friend (1996). Genes. Dev. 10, 2383-2388; Kas
tan et al., (1992). Cell 71, 587-597; Khanna and Lavin(1993). Oncoge
ne 8, 3307-3312; Lu and Lane(1993). Cell 75, 765-778; Xu and Baltimore
(1996). Gene & Dev. 10, 2401-2410; Banin et al.,(1998). Science 281,
1674-1677; Canman et al., (1998). Science 281, 1677-1679)、ならびにp5
3 の下流標的(例えば、Artuso et al.,(1995). Oncogene 11, 1427-1435; Kh
anna et al.,(1995). Oncogene 11, 609-618)、ならびに癌原遺伝子生成物c-
Ab1 (Baskaran et al.,(1997). Nature 387, 516-519; Shafman et al.,(19
97). Nature 387, 520-523 )に信号を送ることが示されている。
【0018】 したがって、Rad1機能の調節は、p53 および c-Ab1経路に影響を及ぼす場合に
用い得る。さらに、ATM は、NFkBおよびIkB に信号を送ることが報告されており
(Jung et al.,(1995). Science 268, 1619-1621; Jung et al.,(1997). Ca
ncer Res. 57,24-27)、hRad1 機能の調節がこれらの因子により制御される工程
の多様性に影響し得る。
【0019】 さらに、Rad1はPCNAと直接または間接的に相互作用し得る。PCNAはその名称が
意味するように、増殖細胞と関係がある。このような相互作用(Rad1/PCNA 、直
接または他の因子を介して)は、したがって、例えば2ハイブリッドスクリーン
、in vitroでの直接タンパク質−タンパク質相互作用、in vitroでのペプチド−
タンパク質相互作用等を介して、治療的標的を提供する。この反応の模倣は、細
胞増殖を制止するのに用い得る。逆に、この相互作用の抑制または攪乱を用いて
、DNA損傷またはDNA複製停止の二者択一に適した方法で細胞が機能するの
を防止し得る。したがって、相互作用の抑制、またはそうでない場合にはhRad1
機能の抑制は、癌放射線療法および化学療法における放射線およびDNA損傷薬
の殺害作用を増強するために、腫瘍およびその他の細胞を放射線感作するのに用
い得る。
【0020】 本発明に基づいて本明細書中に報告された結果および理論的説明である場合、
Hrad1 活性の活性剤および阻害剤を同定し得るし、そして種々の目的のいずれか
のために適切な薬剤が得られ、設計され、ならびに用い得る: A-T 療法。 ATM 機能を活性化するためのhRad1 の調節、またはATM/ATR 依存
性信号化経路の標的化は、A-T を有するヒトを調節する場合に用い得る。
【0021】 免疫系機能の調節。 A-T 患者は免疫不全を示し、ATM は全機能的免疫系の生
成に必要である。ATM 経路に影響を及ぼすhRad1 のモジュレーターは、したがっ
て、免疫系機能の調節に用い得る。 AIDS療法。 AIDSの最終段階に入っているヒトのリンパ球は、短縮化テロメア
を有し、これはそれらがもはや免疫系を補充し得ないことに関与し得る、という
ことが示されている。A-T 患者の細胞は、正常個体より急速にそれらのテロメア
を損失し、このことはATM がテロメア長ホメオスタシスにおいて正の役割を演じ
ることを明示する。したがって、ATM 機能に作用を及ぼすhRad1 の活性剤は、こ
れらの個体における老いてゆくリンパ球のテロメアを延長し、したがって免疫系
の補充を可能にすることによるAIDS個体の治療に用途を見出し得る。
【0022】 p53 療法。 ATM はp53 を調節するよう作用し、そこでhRad1 機能の調節はp5
3 を調節し、そして細胞周期に関与する1つ又はそれ以上のその他の構成成分、
例えばMdm-2 (Kussi et al., (1996). Science 274, 948-953; Picksley et
al.,(1994). Oncogene 9, 2523-2529; Momand et al., (1992). Cell 69, 1
237-1245; Chen et al.,(1993). Mol. And Cell Biol. 13(7 ), 4107-4114
およびそれらの参考文献)、CBP (Gu et al.,(1997). Nature 387, 819-822;
Lill et al., (1997). Nature 387, 823-827 )、重要な役割を演じる残基Le
u-22およびTrp-23を有する(Lin et al., (1994). Genes and Development 8,
1235-1246)を有するp53 のアミノ末端123 アミノ酸内に結合するアデノウイル
スE1B タンパク質(Kao et al., (1990). Virology 179, 806-814 )、転写因
子XPD (Rad3)およびXPB ならびに鎖特異的DNA修復に関与するCSB (Wang e
t al.,(1995). Nature Genetics 10, 188-195 )、TFIIH (Xiao et al.,(19
94). Mol. And Cell. Biol. 14 (10), 7013-7024 )、E2F1およびDP1 (O'Co
nnor et al.,(1995). The EMBO J. 14(24), 6184-6192 )、細胞複製プロテ
インA (Li and Botchan(1993). Cell 73, 1207-1221)、複製因子RPA (Dutt
a et al., (1993). Nature 79-82)、WT1 (Maheswaren et al.,(1993). PN
AS USA 90, 5100-5104)、TATA結合タンパク質(Seto et al.,(1992). PNAS U
SA 89, 12028-12032; Truant et al.,(1993). J. Biol. Chem. 268(4 ), 22
84; Martin et al.,(1992). J. Biol. Chem. 268(18), 13062-13067 )、な
らびにTAF (II)40およびTAF (II)60(Thut et al.,(1995). Science 267,
(5194)100-104 )とのその相互作用に影響を及ぼし得る。
【0023】 下記でさらに考察されるような本発明の検定は、これらの相互作用のいずれか
に関するhRad1 の役割を確定し得るし、このような相互作用を調節し得ることが
判明している薬剤を用いて、例えば治療的情況においてこれらの相互作用のいず
れかを中断または促進し得る。 テロメア長の調節。 A-T 細胞は、短縮中のテロメアの速度加速を示す(Metc
alfe et al.,(1996). Nature Genetics 13, 350-353 )。したがって、ATM 活
性に及ぼす作用を有するhRad1 のレギュレーターを用いてテロメア長を制御し得
る。ATM は、テロメラーゼ酵素それ自体の一部であるとは思われない(Metcalfe
等は、テロメラーゼレベルがA-T 細胞中では正常であることを示す。さらに、A-
T 細胞は多少短縮化されたテロメアを有するが、しかしテロメラーゼのレベル抑
制を示さないということを示すデータもある)。したがって、ATM はテロメラー
ゼの一部としては働かないが、しかしテロメア長ホメオスタシスメカニズムの一
部として作用する。したがって、抗hRad1 薬は抗テロメラーゼ薬と相乗的に作用
しないと思われる。
【0024】 老化。 A-T 患者は老化の速度増強を示し、加齢に関連した多数の症状(神経
学的変性、癌、免疫学的欠損症等)を示し、そしてそれらの細胞は培養中での寿
命短縮を示す。したがって、hRad1 活性を調節し、そしてATM 活性に及ぼす作用
を有する薬剤を用いて、早発性および正常老化に関連した疾患状態を治療/予防
し得る。
【0025】 腫瘍/癌療法。 これを以下で考察する。 hRad1 作用を調節する薬剤を用いて、A-T 患者を治療し;癌を治療し−細胞テ
ロメアを短縮することにより細胞の増殖能力に作用することによる;免疫系を操
作し−A-T 患者は多少免疫不全である;癌を治療する−腫瘍等の放射線感作(下
記参照)。さらに、hRad1 モジュレーターを用いて、テロメア長等に作用するこ
とにより、細胞増殖能力を制限し得る。p53 との連結はp53 療法を可能にして、
癌細胞中のp53 を活性化し、これは、アポトーシスまたは別の経路による細胞増
殖停止および/または細胞死を引き起こし得る。
【0026】 hRad1 活性剤は、例えば細胞損傷の非存在下で細胞中期チェックポイント停止
を活性化することにより細胞増殖を抑制するために用いられ、これは腫瘍、癌、
乾癬、アテローム硬化症およびその他の高増殖性障害の治療に用い得る。活性剤
は、細胞を損傷することなく細胞中のp53 を活性化するために用い得る。患者の
細胞は、正常細胞(p53 +)は増殖を中止し、したがって、細胞分裂またはDN
A複製の妨害を介して細胞を殺害する薬剤の投与による殺害に不応性であるが、
一方、腫瘍細胞(そのほとんどがp53 陰性である)は停止せず、前記の薬剤によ
り引き続き選択的に殺害されるように、治療し得る。
【0027】 癌の放射線療法および化学療法は、本発明の薬剤を用いて増大し得る。電離放
射線(IR)および放射線様作用薬は、癌を治療し、DNA損傷を負わせることに
より主に癌細胞を殺害するために一般的に用いられる。ATM を欠く細胞は、電離
放射線および放射線様物質に過敏性である。したがって、ATM 経路を阻害するhR
ad1 のモジュレーターは、電離放射線および化学療法の殺害作用に対して細胞を
過敏化する。S.pombe Rad1およびビール酵母菌 (S. cervisiae) Rad17 突然変異
体は、IRおよびその他の薬剤に対して過敏性である。このような活性分子は、し
たがって、癌放射線療法および化学療法におけるアジュバントとして用い得る。
【0028】 細胞増殖能力は、例えば癌、老化およびAIDSの治療において調節し得る。ATM
はテロメア染色体末端の長さの制御に決定的役割を演じる、ということが確定さ
れている(Metcalfe et al.,(1996). Nature Genetics 13, 350-353 )。大半
の正常種類の細胞におけるテロメア末端は各細胞分裂時に短縮し、過剰短縮化テ
ロメアを有する細胞は分裂できない。実際、AT細胞はin vitroで限定増殖能力を
有する( Metcalfe et al., (1996). Nature Genetics 13, 350-353; Barlow
et al., (1996). Cell 86, 159-171; Xu and Baltimore(1996). Gene & Dev
. 10, 2401-2410 )。したがって、テロメアは、大半の正常哺乳類細胞の増殖能
力を限定する「分裂計数装置」として機能すると考えられる。
【0029】 したがって、ATM 機能を抑制するhRAad1機能のモジュレーターは、癌細胞また
は前癌細胞の増殖能力を限定することにより癌の進行を阻止するのに効用を有す
る。ATM を活性化するhRad1 機能のモジュレーターは、老衰細胞を増殖停止から
開放するために用いられ得るし、したがって老化個体の治療に効用を有し得る。
さらに、AIDSの最終段階に入っているヒトのリンパ球は、短縮化テロメアを有し
、これは、これらの細胞がもはや増殖し、免疫系を補充し得ないことに関与し得
る、ということが近年示された。ATM を活性化するhRad1 機能のモジュレーター
は、したがって、このような細胞のテロメアの延長化を、そしてそれらの増殖能
力の回復をもたらし得る。
【0030】 hRad1 およびPCNAまたはその他の構成成分との間の相互作用は、関連タンパク
質の産生の抑制により阻害し得る。例えば、1つ又はそれ以上のこれらの構成成
分の産生は、アンチセンス調節により発現に影響を及ぼすために適切な核酸を用
いることにより抑制し得る。遺伝子発現を下向き調節するためのアンチセンス遺
伝子または部分遺伝子配列の使用は、目下、十分確立されている。二本鎖DNA
は、DNAの「アンチセンス」鎖の転写が標的遺伝子の「センス」鎖から転写さ
れた正常mRNAと相補的であるRNAを産生するよう、「逆配向」でプロモー
ターの制御下に置かれる。相補的アンチセンスRNA配列は、次にmRNAと結
合して二重鎖を形成し、標的遺伝子からタンパク質への内在性mRNAの翻訳を
阻害する、と考えられる。これが実際の作用様式であるか否かは不明である。し
かしながら、それは、技術が作用するという確立された事実である。
【0031】 別の可能性は、転写において、特定部位で核酸を切断し得るリボザイムを産生
し、したがって遺伝子発現に影響を及ぼすのに有用でもある核酸が用いられるこ
とである。リボザイムのためのバックグラウンド参考文献としては、Kashani-Sa
bet and Scanlon (1995). Cancer Gene Therapy, 2, (3 )213-223 およびMe
rcola and Cohen (1995). Cancer Gene Therapy 2,(1 )47-59 が挙げられる
【0032】 したがって、hRad1 機能を調節(抑制または増強)し、および/またはhRad1
およびPCNAの相互作用を抑制または増強する種々の方法ならびにモジュレーター
の使用は、本発明のさらなる局面として提供される。 hRad1およびPCNAの間の相
互作用による中断、妨害、またはその調節の目的は、前記のそしてさらに以下で
考察するようなこのような相互作用により媒介される任意の活性を調節すること
であり得る。
【0033】 hRad1 (およびmRad1 )は、PCNAの他に、1つ又はそれ以上の付加的ペプチド
またはポリペプチドとともに機能し得る。本発明は、例えば、本明細書中で提供
されたような抗体(または等価物、あるいはタンパク質の異なる部分に対する抗
血清または抗体またはモノクローナル抗体)を使用して、これらを検出するため
の検定を提供する。抗体または当業界で利用可能なその他の手段を用いて、哺乳
類細胞抽出物からhRad1 (mRad1 )の精製を試験し得る。これは、部分または完
全純度に精製または部分精製し、タンパク質マイクロシーケンシング等を用いて
クローン化し得る関連因子を探すことを包含し得る。相互作用分子は、例えば2
ハイブリッドスクリーンを用いて同定され得る。このようなその他の因子および
/またはそれらのh/mRad1 との相互作用を用いて、 h/mRad1依存性信号化経路の
付加的阻害剤/活性剤を得ることができる。
【0034】 本発明の検定は、例えばATM および/またはp53 活性を刺激するタンパク質分
画に関して検定することにより、このような付加的ポリペプチドの同定に用い得
る。本発明は、このような因子の同定および/または獲得におけるhRad1 の使用
も提供する。 例えば、ATM および/またはp53 活性を増強するhRad1 のタンパク質またはそ
の他の補助因子は、この阻害剤の設計に用いられて、当該活性を調節するための
別の経路を提供し得る。これは、例えばATM および/またはp53 経路に影響を及
ぼすために、hRad1 を活性化する薬剤を得るための経路を提供するために、同様
に用い得る。
【0035】 本発明の第一の局面によれば、hRad1 に関して配列番号2で示されたアミノ酸
配列をコードする核酸が提供される。 「HRAD1 遺伝子」または「HRAD1 対立遺伝子」という用語は、HRAD1 遺伝子の
正常対立遺伝子を、そして以下で説明するような障害に対する疾病素質と連鎖す
る1つ又はそれ以上の変異を保有する対立遺伝子も含む。このような突然変異を
含む対立遺伝子は、感受性対立遺伝子としても当業界で知られている。
【0036】 本発明の「HRAD1 核酸」は、配列番号2で示されたアミノ酸配列を含むポリペ
プチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。 コード配列は、配列番号1で示されたものであり得るし、あるいはその突然変
異体、変異体、誘導体または対立遺伝子であり得る。配列は、示された配列の1
つ又はそれ以上のヌクレオチドの1つ又はそれ以上の付加、挿入、欠失および置
換である変化により示されるものとは異なり得る。ヌクレオチド配列に対する変
化は、遺伝子暗号により確定した場合に、タンパク質レベルでアミノ酸変化を引
き起こすことも、そうでないこともあり得る。したがって、本発明の核酸は配列
番号1に示した配列とは異なる配列を含み、同一アミノ酸配列を有するポリペプ
チドをさらにコードする。配列番号2で示した完全hRad1 ポリペプチドのアミノ
酸配列は、282 残基から成る。
【0037】 他方で、コード化ポリペプチドは、配列番号2で示したアミノ酸配列と1つ又
はそれ以上のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を包含し得る。配列番号2で示
した配列のアミノ酸配列突然変異体、変異体、誘導体または対立遺伝子であるポ
リペプチドをコードする核酸が、本発明によりさらに提供される。このようなポ
リペプチドを以下で考察する。
【0038】 本明細書中で提供される特定配列の突然変異体、対立遺伝子、変異体および誘
導体は、本発明の異なる検定およびその他の方法でのペプチドまたはポリペプチ
ドの使用に関連して、下記の項のいずれかにおいて特定配列との相同性を有し得
る。 コード核酸からのポリペプチドまたはペプチドの産生方法、適切な宿主細胞の
産生および使用、ならびに核酸のその他の操作も以下でさらに考察する。
【0039】 前記のように、マウス相同体(「mRad1 」。「MRAD1 」によりコードされる)
もクローン化した。したがって、「hRad1 」および「HRAD1 」に委ね得る用途に
ついての本発明の開示(配列番号2および配列番号1)における考察は、情況が
許す限り、「mRad1 」(配列番号4)および「MRAD1 」(配列番号3)と関連し
て、それぞれのマウス相同体の使用の可能性を含むものと解釈すべきである。
【0040】 本発明は、種々の局面において、適切な薬剤を用いて、hRad1 活性および/ま
たはhRad1 のPCNAとの相互作用の調節、妨害または中断、増大または増強も提供
する。 PCNAに関するアミノ酸および核酸配列は、Jonsson and Hubscher(1997).Bio
Essays 19, 967-975による論評およびその中に引用された参考文献によって提供
される。
【0041】 本発明に有用な薬剤は、試験下で薬剤がhRad1 と結合または相互作用するか、
および/またはhRad1 タンパク質またはその適切な断片のPCNAまたはその断片、
あるいはその適切な類似体、断片または変異体との相互作用を抑制または中断す
るか否かを確定することを包含するスクリーニング技術により同定し得る。 hRad1 またはPCNAの適切な断片としては、片割れタンパク質と相互作用する残
基を含むものが挙げられる。小断片、ならびにこの断片の類似体および変異体は
、例えば欠失分析またはアラニン走査のような技術を用いて同定した場合、同様
に用い得る。
【0042】 したがって、本発明は、PCNAと相互作用し得るおよび/またはhRad1 とPCNAと
の間の相互作用を抑制するhRad1 のペプチド断片を提供し、ならびにhRad1 と相
互作用し得るおよび/またはPCNAとhRad1 との間の相互作用を抑制するPCNAのペ
プチド断片を提供し、このようなペプチド断片は、配列中に適切な突然変異を作
り、あるタンパク質の突然変異化断片を他のタンパク質またはその断片と一緒に
させて、相互作用を確定する、関連タンパク質の欠失分析および/またはアラニ
ン走査により得られる。好ましい実施態様では、ペプチドは、下記で考察するよ
うに短く、そして関連片割れタンパク質と相互作用しおよび/または関連相互作
用を抑制し得る最小部分であり得る。
【0043】 スクリーニング方法および検定を、以下でさらに詳細に考察する。 hRad1 活性に作用しおよび/またはhRad1 およびPCNAの相互作用を中断するた
めに用い得るある種類の薬剤は、片割れPCNAまたはhRad1 と相互作用するhRad1
またはPCNAの配列モチーフを基礎にしたペプチドである(既に上記したように)
。このようなペプチドは短い傾向があり、そして約40アミノ酸長またはそれ未満
、好ましくは約35アミノ酸長またはそれ未満、さらに好ましくは30アミノ酸長ま
たはそれ未満、さらに好ましくは約25アミノ酸長またはそれ未満、さらに好まし
くは約20アミノ酸長またはそれ未満、さらに好ましくは約15アミノ酸長またはそ
れ未満、さらに好ましくは約10アミノ酸長またはそれ未満、あるいは9 、8 、7
、6 、5 またはそれ未満の長さであり得る。本発明は、野生型hRad1 またはPCNA
配列の配列変異体または誘導体であるが、しかし(それぞれ、その場合に応じて
)、PCNAまたはhRad1 と相互作用する能力および/またはhRad1 およびPCNA間の
相互作用を調節する能力を保持するペプチドも包含する。
【0044】 野生型hRad1 または野生型hRad1 および/またはPCNA断片を用いる代わりに、
ペプチドまたはポリペプチドは、1つ又はそれ以上のアミノ酸の1つ又はそれ以
上の付加、挿入、欠失および置換により野生型アミノ酸配列と1つ又はそれ以上
のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を含み得る。したがって、変異体、誘導体
、対立遺伝子および突然変異体が含まれる。
【0045】 好ましくは、アミノ酸配列は、関連hRad1 またはPCNA断片配列の断片と、好ま
しくは少なくとも約30%、または40%、または50%、または60%、または70%、
または75%、または80%、または85%、または90%または95%、相同性を共有す
る。したがって、 hRad1またはPCNAのペプチド断片は、1 、2 、3 、4 、5 、5
より大きい、または10より大きいアミノ酸変化、例えば野生型配列に関する置換
を含み得る。
【0046】 特定配列が本明細書中に開示されているペプチドの誘導体は、一実施態様にお
いて、特定配列と同一長であるかまたはそれより短い。別の実施態様では、ペプ
チド配列またはその変異体は、前記のように、hRad1 またはPCNAの付加的部分を
含むこともあるより大きいペプチドに含まれることがある。hRad1 またはPCNA中
の関連特定ペプチド断片に隣接する1 、2 、3 、4 または5 あるいはそれ以上の
付加的アミノ酸、あるいはそれらの異型体を、ペプチドの一端または両端に含み
得る。
【0047】 よく理解されているように、アミノ酸レベルでの相同性は一般に、アミノ酸類
似性または同一性に関してである。類似性は、「保存的変異」、即ちある疎水性
残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンを別のものの代
わりに用いる置換、あるいはある極性残基を別のものの代わりに用いる、例えば
アルギニンをリシンの代わりに、グルタミン酸をアスパラギン酸の代わりに、あ
るいはグルタミンをアスパラギンの代わりに用いる置換を可能にする。
【0048】 類似性は、当業界で標準的に用いられているAltschul et al.,(1990).J. Mo
l. Biol. 215, 403-10のTBLASTN またはその他のBLAST プログラムにより定義さ
れ、確定されたようなものであって、これは、Wisconsin Package, Version 8,
September 1994(Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wis
consin, USA, Wisconsin 53711)の一部である標準プログラムBestFit およびGA
P のいずれかであるのが好ましい。BestFit は、2つの配列間の類似性の最良セ
グメントの最適整列を作る。最適整列は、Smith とWaterman(Advances in Appl
ied Mathematics (1981)2, pp. 482-489)の局所的相同算法を用いて適正塩基
対の数を最大にするためにギャップを挿入することにより見出される。GAP は、
Needleman およびWunsch算法を用いて、適正塩基対の数を最大にし、ギャップの
数を最小限にする2つの完全配列を並べる。一般に、デフォルトパラメーターが
用いられ、ギャップ生成ペナルティー=12でありそしてギャップ延長ペナルティ
ー=4である。
【0049】 相同性は、関連ペプチドの全長全体、あるいは野生型アミノ酸配列と比較して
約5 、10、15、20、25、30、35、50、75、100 またはそれ以上のアミノ酸の連続
配列に及び得る。 言及したように、変異体ペプチド配列、ならびにペプチド及び非ペプチド類似
体及び模倣体を用い得るが、これを下記でさらに考察する。
【0050】 本発明の種々の局面は、単一分子、あるいは2つ又はそれ以上の構成成分を含
む組成物である物質を提供する。それらの例としては、 hRad1のペプチド断片、
本質的にこのような配列から成るペプチド、変異体、誘導体または類似体配列を
含むペプチド、あるいは直接的にまたは1つ又はそれ以上の因子を介して間接的
に、hRad1 活性を調節するか、および/またはhRad1 またはPCNAと相互作用する
か、および/またはhRad1 及びPCNA間の相互作用を調節し、中断し、または妨害
する能力を有する非ペプチド類似体または模倣体を含むペプチドが挙げられる。
【0051】 変異体は、当業界で理解され、そして前記されているように、密接に関連した
その他のアミノ酸により個々のアミノ酸を置換し得るペプチドを含む。 ペプチドの非ペプチド模倣体を、以下でさらに考察する。 言及したように、本発明の、そして本発明の種々の局面に用いるためのペプチ
ドは、開示されているように、hRad1 またはPCNAの断片を含むか、または本質的
にそれらから成る。1つ又はそれ以上の付加的アミノ酸が含まれる場合、このよ
うなアミノ酸はhRad1 またはPCNAからであり得るか、あるいはhRad1 またはPCNA
に対して異種または外来であり得る。ペプチドは、特にペプチドが非hRad1 また
はPCNA(即ち異種または外来)配列、例えばポリペプチドまたはタンパク質ドメ
インと融合されるより大型の融合タンパク質内にも含まれることがある。
【0052】 本発明はさらに、ペプチドの誘導体、例えば結合相手と連結したペプチド、例
えばエフェクター分子、標識、薬剤、毒素および/または担体または輸送分子、
および/または標的分子、例えば抗体またはその結合断片、あるいはその他の配
位子を含む。本発明のペプチドをペプチジル及び非ペプチジル結合相手の両方と
結合するための技術は、当業界で周知である。一実施態様では、担体分子は、末
端Cys 残基を介してペプチドに結合され得るAntennapedia(例えば「ペネトラチ
ン」の名称で販売されている)のホメオドメインから得られる16aaペプチド配列
である。「ペネトラチン」分子及びその特性は、WO91/18981に記載されている。
【0053】 ペプチドは、化学合成により、全体的にまたは部分的に合成し得る。本発明の
化合物は、その一般的説明が広範に利用可能である、十分確立された標準液体ま
たは好ましくは固相ペプチド合成法により容易に調製し得る(例えば、J.M. Ste
wart and J.D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2 nd edition, Pierce
Chemical Company, Rockford, Illinois (1984); M. Bondanzsky and A. Bon
danzsky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer Verlag, New York (
1984); およびApplied Biosystems 430A Users Manual, ABI Inc., Foster Cit
y, California 参照)か、あるいはそれらは、液相法により、または固相、液相
および溶液化学の任意の組合せにより、例えば先ずそれぞれのペプチド部分を完
成し、次に、所望により、そして適切な場合には、存在する任意の保護基の除去
後に、それぞれの炭酸またはスルホン酸あるいはそれらの反応性誘導体の反応に
より残基X を導入することにより、溶液中で調製し得る。
【0054】 本発明のペプチジル分子(ペプチドまたはポリペプチド)を生成する別の便利
な方法は、発現系中で核酸を用いることにより、それをコードする核酸を発現す
ることである。 したがって、本発明は、種々の局面において、本発明のペプチドをコードする
核酸も提供するが、これはコード化ペプチドの産生に用い得る。
【0055】 一般に、本発明のポリペプチド(例えばhRad1 )をコードしようが、ペプチド
をコードしようが、核酸は、単離体として、単離および/または精製形態で提供
されるか、あるいはそれが天然では関連しない物質を含有せずに、または実質的
に含有せずに、例えば、発現のための考え得る1つ又はそれ以上の調節配列(単
数または複数)を除いて、ヒトゲノム中の遺伝子にフランキングする核酸を含有
しないかまたは実質的に含有しない。核酸は、全体的または部分的合成性であり
、そしてゲノムDNA、cDNAまたはRNAを含み得る。本発明の核酸がRN
Aを含む場合、示された配列への参照は、Tの代わりにUを置換したRNA等価
物への参照を包含すると解釈すべきである。
【0056】 本発明のポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列は、核酸配列およ
び利用可能なクローンが示されれば、本明細書中に含入された情報および参考文
献を、そして当業界で既知の技術(例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis,
"Molecular Cloning, A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory
Press (1989)およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biolog
y, John Wiley and Sons, (1992)参照)を用いて当業者が容易に調製し得る。
【0057】 これらの技術は、(I )例えば、ゲノム供給源からのこのような核酸の試料を
増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR )、(ii)化学合成、あるいは(ii
i )cDNA配列の調製を含む。hRad1 またはPCNA断片をコードするDNAは、
当業者に既知の任意の適切な方法で、例えばコードDNAを取り、発現される部
分のいずれかの側で適切な制限酵素認識部位を同定し、そして前記の部分をDN
Aから切り離すことにより、生成させ、用い得る。その部分は次に、標準市販発
現系中で適切なプロモーターと操作可能的に連結させ得る。別の組換えアプロー
チは、適切なプライマーを用いてDNAの関連部分を増幅することである。関連
配列への修飾は、例えば特定部位の突然変異誘発を用いて、修飾化ペプチドの発
現を生じさせるか、または核酸を発現するために用いられる宿主細胞中でのコド
ン採択を考慮させ得る。
【0058】 核酸配列の発現を得るために、配列は、その発現を制御するために核酸に操作
可能的に連結された1つ又はそれ以上の制御配列を有するベクター中に組み入れ
得る。ベクターは、その他の配列、例えばプロモーターまたはエンハンサーを含
んで、挿入核酸、ポリペプチドまたはペプチドが融合体として産生されるような
核酸配列、および/または宿主細胞中で産生されたポリペプチドが細胞から分泌
されるような分泌信号をコードする核酸の発現を駆動し得る。ポリペプチドは次
に、ベクターが機能的である宿主細胞中でベクターを形質転換し、ポリペプチド
が産生されるように宿主細胞を培養し、そして宿主細胞または周囲培地からポリ
ペプチドを回収することにより得られる。原核生物および真核生物細胞、例えば
大腸菌、酵母菌の菌株、および真核生物細胞、例えばCOS またはCHO 細胞が、当
業界ではこの目的のために用いられる。
【0059】 したがって、本発明は、ポリペプチドまたはペプチド(開示されているような
)の製造方法であって、ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸(一般的
には本発明の核酸)からの発現を含めた方法も包含する。これは、ポリペプチド
の発現を引き起こすかまたは可能にする適切な条件下で、このようなベクターを
含有する培養中で宿主細胞を増殖させることにより成し遂げることができると便
利である。ポリペプチドおよびペプチドは、in vitro系、例えば網状赤血球溶解
物中でも発現し得る。
【0060】 種々の異なる宿主細胞中でのポリペプチドのクローニングおよび発現のための
系は、周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、真核生物細胞、例えば哺乳
類および酵母菌、ならびにバキュウロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチ
ドの発現のための当業界で利用可能な哺乳類細胞株としては、チャイニーズハム
スター卵巣細胞、HeLa細胞、ハムスター乳仔腎細胞、COS 細胞およびその他多数
が挙げられる。一般的な好ましい細菌宿主は、大腸菌である。
【0061】 適切な調節配列を含有し、プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデ
ニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および適切な場合にはその他の
配列を含む適切なベクターを選択し、または構築し得る。ベクターは、プラスミ
ド、ウイルス性、例えば「ファージ」または適切な場合にはファージミドであり
得る。さらなる詳細に関しては、例えば、Molecular Cloning : a Laboratory M
anual: 2nd edition, Sambrook et al., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory
Press参照。例えば核酸構築物の調製、突然変異誘発、シーケンシング、細胞中
へのDNAの導入および遺伝子発現における核酸の操作のための多数の既知の技
術およびプロトコールが、Molecular Biology, Ausubel et al. Eds., John Wil
ey & Sons, 1992 の最新プロトコールに詳細に記載されている。
【0062】 したがって、本発明のさらなる局面は、本明細書中に開示したような異種核酸
を含有する宿主細胞を提供する。 本発明の核酸を、宿主細胞のゲノム(例えば染色体)中に組み込み得る。組込
みは、標準技法にしたがって、ゲノムに関する組換えを促す配列の含入により促
進し得る。核酸は、細胞内の染色体外ベクター上に存在するか、またはそうでな
ければ細胞に対して同定可能的に異種または外来であり得る。
【0063】 さらに別の局面は、宿主細胞中に核酸を導入することを含む方法を提供する。
一般的に、(特にin vitro導入に関しては)「形質転換」と呼ぶ(が、限定はさ
れない)導入は、任意の利用可能な技術を用い得る。真核生物細胞に関しては、
適切な技術としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキスト
ラン、エレクトロポレーション、リポソーム媒介性トランスフェクションおよび
レトロウイルスまたはその他のウイルス、例えばワクシニア、または昆虫細胞に
関してはバキュウロウイルスを用いる形質導入を挙げることができる。細菌細胞
に関しては、適切な技術としては、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレー
ションおよびバクテリオファージを用いたトランスフェクションが挙げられる。
代替物として、核酸の直接注入を用い得る。
【0064】 当業界で周知のように、当該核酸を含有するクローンを同定する場合に、マー
カー遺伝子、例えば抗生物質耐性または感受性遺伝子を用い得る。 導入はその後、例えば、コード化ポリペプチド(またはペプチド)が産生され
るように、遺伝子の発現のための条件下で宿主細胞(その細胞は形質転換化細胞
の子孫であると考えられるが、実際に形質転換された細胞を含み得る)を培養す
ることにより、核酸からの発現を引き起こすかまたは可能にし得る。適切なシグ
ナルリーダーペプチドと結合したポリペプチドが発現されると、それは細胞から
培地中に分泌し得る。発現による産生後、ポリペプチドまたはペプチドは、それ
ぞれの場合に応じて、宿主細胞および/または培地から単離および/または精製
され、そしてその後、所望により、例えば1つ又はそれ以上の付加的構成成分を
含み得る組成物、例えば1つ又はそれ以上の製薬上許容可能な賦形剤、ビヒクル
または担体を含む製剤組成物の処方物中に用い得る(例えば下記参照)。
【0065】 本発明のペプチジル分子をコードする核酸の導入は、遺伝子療法によりin viv
o で起こり、hRad1 機能、例えばhRad1 とPCNAとの間の相互作用に影響し、それ
を中断しまたは妨害し得る。 したがって、例えば細胞中へのまたは細胞の先祖中への核酸の導入の、および
/または細胞または先祖に対して内在性の配列の遺伝子的変化(導入または変化
はin vivo またはex vivo で起こる)の結果として本発明の核酸を含有する宿主
細胞は、動物、特に哺乳類、ヒトまたは非ヒト、例えばウサギ、モルモット、ラ
ット、マウスまたはその他の齧歯類、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、畜牛ま
たはウマであり得るか、あるいはトリ、例えばニワトリである生物内に包含され
得る(例えば体細胞中)。このような細胞を包含する遺伝的修飾化またはトラン
スジェニック動物またはトリは、本発明のさらなる局面としても提供される。
【0066】 これは、治療目的を有し得る(遺伝子療法を下記で考察する)。さらに、生物
の細胞内の突然変異体、対立遺伝子、誘導体または変異体配列の存在は、特に相
同性内在配列の代わりである場合、in vitroでのコード化ポリペプチドの活性を
調節するか、あるいはそうでなければ治療的効用を有することが示されている物
質を検査および/または研究する場合のモデルとしてその生物を用いられるよう
にし得る。例えば、ノックアウトマウスは、放射線感受性、癌疾病素質増強、ゲ
ノム不安定性、p53 誘導損傷、不妊症、免疫系不全および/または神経変性特徴
に関して検査するために用いられ得る(Barlow et al.,(1996). Cell 86, 159
-171; Xu and Baltimore(1996). Genes & Dev. 10, 2401-2410)。しかしなが
ら、このような物質に関する少なくとも予備検定は、in vitroで、即ち宿主細胞
内で、または無細胞系で実施できるのが便利である。被験化合物の作用がin vit
roで細胞で確定されている場合、同一または類似の型の単数または複数の細胞を
in vivo 検査のために適切な宿主動物中に移植し得る。
【0067】 例えば、hRad1 機能または活性は、例えば活性hRad1 に頼って、異種移植を包
含する腫瘍モデルのような動物系で測定し得る。動物に放射線療法または化学療
法を施し、そして被験物質を投与し得る。放射線療法または化学療法に対する動
物内の反応の増大は、適切な作用の指標であり得る。hRad1 機能は、ATM および
/またはP53 経路活性の考察により、間接的に検定し得る。
【0068】 適切なスクリーニング方法は、当業界で慣用的である。それらの例としては、
ラジオイムノアッセイ、シンチレーション近接(proximetry)検定およびELISA
法のような技術が挙げられる。例えばタンパク質間の相互作用を調節し得る物質
に関して検定する場合、関連タンパク質または断片、あるいはその類似体、誘導
体、変異体または機能的模倣体のうちの1つは、試験中の薬剤の存在下で他のも
のが適用された場合、固定化される。シンチレーション近接(proximetry)検定
では、ビオチニル化タンパク質断片をストレプトアビジン被覆シンチラント浸漬
ビーズ(Amersham製)に結合し得る。その場合、放射性ペプチドは固定化断片と
結合するので、放射能標識化ペプチドの結合は放射能誘導性シンチレーションの
確定により測定される。これを遮断する薬剤は、したがって、相互作用の阻害剤
である。
【0069】 一般的一局面において、本発明は、hRad1 とPCNAとの間の相互作用を調節する
、例えば中断または妨害する能力を有する物質に関する検定方法を提供する。そ
の方法は、以下の: (a)hRad1 のペプチド断片、あるいは開示されているようなその誘導体、変
異体または類似体を含めた本発明の物質、PCNAの関連断片、あるいはその変異体
、誘導体または類似体を含めた物質を接触させる ことを含む。
【0070】 したがって、前記の物質(例えば、いずれかのタンパク質の断片を含む)間の
相互作用を中断し、低減し、妨害し、あるいは全体的または部分的になくし、そ
してhRad1 および/またはPCNA活性を調節し得る被験化合物を同定し得る。 2つの物質間の相互作用を増大または強化する薬剤は、陽性検定剤の不存在下
で、相互作用する物質を阻止する条件を用いて同定し得る。
【0071】 本発明の別の一般的局面は、場合に応じて、hRad1 またはPCNAの関連領域と相
互作用し得る物質に関する検定方法を提供する。その方法は、以下の工程を含む
: (a)開示したようにPCNAと相互作用するhRad1 のペプチド断片を含み、ある
いは開示したように、このようなペプチド断片の変異体、誘導体または類似体と
相互作用するペプチド断片を含む物質、および被験化合物を接触させ、そして (b)前記の物質と被験化合物との間の相互作用を確定する。
【0072】 hRad1 の関連部分と相互作用することが見出された被験物質を、 hRad1のPCNA
との相互作用を調節する、例えば中断または妨害する能力、および/またはp53
および/またはATM 活性、あるいは前記ですでに考察されたようなhRad1 により
媒介されるその他の活性に作用する能力に関して検定し得る。 同様に、PCNAの関連部分と相互作用することが見出された被験物質を、hRad1
活性および/またはhRad1 のPCNAとの相互作用を調節する、例えば中断または妨
害する能力、および/またはATM および/またはp53 活性、あるいは本明細書中
の別の箇所で考察されたようなhRad1 および/またはPCNAにより媒介されるその
他の活性に作用する能力に関して検定し得る。
【0073】 本発明の別の一般的局面は、hRad1 活性に影響を及ぼし得る物質に関する検定
方法を提供する。その方法は、以下の工程を含む: (a)hRad1 および被験物質を接触させ、そして (b)hRad1 活性を確定する。 hRad1 活性は、開示したように、hRad1 およびPCNA間の相互作用に及ぼす効力
に被験化合物の効力を関与させるために、PCNAの存在下または不存在下で確定し
得る。
【0074】 前記のように、hRad1 はPCNAと間接的に相互作用するか、および/または、D
NA修復および/または細胞周期制御へのATM および/またはp53 経路またはそ
の他の当該経路において当該1つ又はそれ以上のその他の構成成分と相互作用し
、したがって本発明の検定およびその他の局面に関するPCNAに対する参照は、等
しく、1つ又はそれ以上のこのようなその他の構成成分を指すと解釈し得る。
【0075】 確定し得るp53 活性は、p21 (Waf1/Cip1 )のようなタンパク質の発現の誘導
、電離放射線に対する細胞感受性、p53 誘導性アポトーシス活性、p53 誘導性抗
増殖活性、細胞のp53 誘導性老衰を含む。 in vitroでの予備検定は、その後にin vivo 検定を伴うか、またはそれと平行
して実行し得る。
【0076】 もちろん、当業者は、検査検定で得られた結果を比較するために任意の適切な
対照実験を意図する。 本発明の検定方法の実行は、hRad1 活性を調節するおよび/またはhRad1 のPC
NAとの間の相互作用を調節する、および/またはATM またはp53 活性、あるいは
任意のhRad1 −、ATM −および/またはp53 媒介性活性を調節する能力に関して
陽性であると検定する化合物、物質または分子の単離および/または製造および
/または使用を派生する。
【0077】 本発明の検定の正確なフォーマットは、ルーチン技術および知識を用いて、当
業者により変更し得る。例えば、物質間の相互作用は、検出可能標識である物質
を標識し、それを固体支持体上に固定化された他の物質と接触させることにより
、in vitroで試験し得る。特にペプチジル物質のための適切な検出可能標識とし
ては、組換え的に産生されたペプチドおよびポリペプチドに組み入れ得る35S −
メチオニンが挙げられる。組換え的産生ペプチドおよびポリペプチドはさらに、
抗体で標識され得るエピトープを含有する融合タンパク質として発現し得る。
【0078】 固体支持体上に固定化されるタンパク質は、固体支持体に結合されるそのタン
パク質に対する抗体を用いて、またはそれ自体既知のその他の技術により、固定
化し得る。好ましいin vitro相互作用は、融合タンパク質、例えばグルタチオン
−S −トランスフェラーゼ(GST )を用い得る。これはグルタチオンアガロース
ビーズ上に固定化し得る。前記の種類のin vitro検定フォーマットでは、被験化
合物は、固定化GST 融合ポリペプチドと結合する標識化ペプチドまたはポリペプ
チドの量を減らすその能力を確定することにより検定し得る。これは、SDS −ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動によりグルタチオンアガロースビーズを分別する
ことにより確定し得る。あるいは、ビーズは洗浄されて、非結合タンパク質を除
去され、結合していたタンパク質の量は、例えば適切なシンチレーション計数器
で存在する標識の量を計数することにより確定し得る。
【0079】 本発明の検定は、in vivo 検定の形態も採り得る。in vivo 検定は、関連ポリ
ペプチドまたはペプチドが細胞中に導入された1つ又はそれ以上のベクターから
発現される酵母菌株または哺乳類細胞株のような細胞株中で実行し得る。 hRad1 と別のタンパク質、例えばPCNAとの間の相互作用を調節する被験化合物
の能力は、2ハイブリッド検定を用いて確定し得る。
【0080】 例えば、場合に応じてhRad1 またはPCNAの断片を含有するポリペプチドまたは
ペプチド、あるいはペプチジル類似体または開示されたようなその変異体は、酵
母菌転写因子GAL4の場合のようなDNA結合ドメインに融合し得る。GAL4転写因
子は、2つの機能性ドメインを含む。これらのドメインは、DNA結合ドメイン
(GAL4DBD )およびGAL4転写活性化ドメイン(GAL4TAD )である。あるポリペプ
チドまたはペプチドをそれらのドメインの1つと、そして別のポリペプチドまた
はペプチドをそれぞれの対部分と融合することにより、機能性GAL4転写因子は、
2つの当該ポリペプチドまたはペプチドが相互作用する場合のみ回復される。し
たがって、ポリペプチドまたはペプチドの相互作用は、前記のレポーター遺伝子
の転写を活性化し得るGAL4DNA結合部位におそらくは連結されるレポーター遺
伝子の使用により測定し得る。この検定フォーマットは、Fields and Song, 198
9, Nature 340; 245-246により記載されている。この種類の検定フォーマットは
、哺乳類細胞および酵母菌の両方に用い得る。DNA結合ドメインと転写活性化
ドメインのその他の組合せは当業界で利用可能であり、そして、例えばLexADN
A結合ドメインとVP60転写活性化ドメインが好ましい。
【0081】 hRad1 ポリペプチドまたはペプチドと別のポリペプチドまたはペプチド(例え
ばPCNA)との間の相互作用を妨害するペプチドまたはその他の物質を探す場合、
hRad1 またはPCNAポリペプチドまたはペプチドは、(例えば)LexADNA結合ド
メインとの融合体として、ならびに対部分(例えば)PCNAまたはhRad1 ポリペプ
チドまたはペプチドは、(例えば)VP60との融合体として用いられ、そしてペプ
チドあるいは多様なおよび/または無作為の配列のペプチドのライブラリーを発
現し得る別々の発現ベクター上に存在し得る第三の発現カセットを包含する。レ
ポーター遺伝子発現の低減(例えば、β−ガラクトシダーゼの場合、青色の弱小
化)は、その相互作用がβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の転写的活性化を必要とす
るhRad1 /PCNA(例えば)相互作用を中断するペプチドの存在に起因する。被験
物質がペプチジルでなく、そして前記の第三発現カセット内でコード核酸から発
現されない場合、同様の系が用いられ、被験物質は外生的に供給される。
【0082】 2つのポリペプチドまたはペプチド間の相互作用を妨害する物質を探すための
2ハイブリッド検定を実行する場合は、酵母菌細胞の代わりに哺乳類細胞を用い
るのが好ましい。同一原理が適用され、適切な方法は当業者には周知である。 本発明の検定に付加し得る被験物質または化合物の量は、通常は、用いられる
化合物の種類によって、試行錯誤で確定される。典型的には、約0.001nM 〜1mM
またはそれ以上、例えば0.01nM〜100 μM 、例えば0.1 〜50μM 、例えば約10μ
M の濃度の推定阻害剤化合物が用いられる。ペプチドが被験物質である場合には
、より高い濃度を用い得る。作用の弱い分子でも、さらなる研究および開発のた
めには有用な先導化合物であり得る。
【0083】 用い得る化合物は、薬剤スクリーニングプログラムに用いられる天然または合
成化学化合物であり得る。いくつかの特性化または非特性化構成成分を含有する
植物の抽出物も用い得る。 組合せライブラリー技術は、ポリペプチドとの相互作用および/またはポリペ
プチドの活性を調節する能力に関して潜在的に莫大な量の異なる物質を検査する
有効な方法を提供する。このようなライブラリーおよびそれらの使用は、天然物
質、小分子およびペプチド等のすべての様式に関して、当業界で知られている。
ペプチドライブラリーの使用は、ある環境では好ましい。
【0084】 hRad1 上の一部位に向けられる抗体は、さらに別の種類の推定上の阻害剤化合
物を構成し、これは、hRad1 と相互作用する別のポリペプチドまたはペプチド(
例えばPCNA)上の一部位に対する抗体も含む。候補阻害剤抗体が特性化され、そ
れらの結合領域が確定されて、相互作用の中断に関与する一本鎖抗体およびその
断片を提供し得る。
【0085】 抗体は、当業界で標準である技術を用いて得られる。抗体産生方法は、タンパ
ク質またはその断片で哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、
ヒツジまたはサル)を免疫感作することを含む。抗体は、当業界で既知の種々の
方法のいずれかを用いて免疫感作動物から得られ、好ましくは抗体の当該抗原と
の結合を用いてスクリーニングし得る。例えば、ウエスタンブロティング技法ま
たは免疫沈降を用い得る(Armitage et al.,(1992) Nature 357, 80-82)。動
物からの抗体および/または抗体産生細胞の単離は、動物を屠殺する工程を伴い
得る。
【0086】 ペプチドで哺乳類を免疫感作する方法に代わるものとして、またはそれを補う
ものとして、例えばその表面に機能性イムノグロブリン結合ドメインを示すλバ
クテリオファージまたは糸状バクテリオファージを用いて、発現化イムノグロブ
リン可変ドメインの組換え的産生ライブラリーから、タンパク質に特異的な抗体
が得られる(例えば、WO92/01047)。ライブラリーは本来のものであり、即ち任
意のタンパク質(または断片)で免疫感作されていない生物体から得られる配列
から構築されるか、または当該抗体に曝露された生物体から得られる配列を用い
て構築されたものであり得る。
【0087】 本発明の抗体は、多数の方法で修飾し得る。実際、「抗体」という用語は、必
要な特異性を有する結合ドメインを有する任意の結合物質を網羅するように構築
されるべきである。したがって、本発明は、抗体断片、誘導体、機能的等価物お
よび抗体の相同体、例えば合成分子およびその形状が抗原またはエピトープを結
合させ得る抗体の形状を模倣する分子を網羅する。
【0088】 抗原またはその他の結合相手を結合し得る抗体断片の例は、VL、VH、C1および
CH1 ドメインから成るFab 断片;VHおよびCH1 ドメインから成るFd断片;抗体の
一本腕のVLおよびVHドメインから成るFv断片;VHドメインから成るdab 断片;単
離CDR 領域およびF (ab' )2 断片、ヒンジ部でジスルフィド架橋により連結さ
れる2つのFab 断片を含めた二価断片である。一本鎖Fv断片も含まれる。
【0089】 本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、遺伝子突然変異ま
たはその他の変化を施し得る。モノクローナル抗体が、元の抗体の特異性を保持
するその他の抗体またはキメラ分子を産生するために組換えDNA法の技術を施
し得る、ということも当業者には理解される。このような技術は、イムノグロブ
リン可変部、あるいは異なるイムノグロブリンの定常部または定常部+フレーム
ワーク領域に対する抗体の相補性決定領域(CDR )をコードするDNAの導入を
包含し得る(例えば、EP184187A 、GB2188638AまたはEP-A-0239400参照)。キメ
ラ抗体のクローニングおよび発現は、EP-A-0120694およびEP-A-0125023に記載さ
れている。
【0090】 所望の結合特徴を有する抗体を産生し得るハイブリドーマは、本発明の範囲内
であり、それらは抗体(抗体断片を含む)をコードする核酸を含有し、それらの
発現を可能にする真核生物または原核生物の宿主細胞である。本発明は、抗体が
産生される、好ましくは分泌される条件下で抗体を産生し得る細胞を増殖させる
ことを包含する抗体の産生方法も提供する。
【0091】 試料上での抗体の反応性は、任意の適切な手段により確定し得る。個々のレポ
ーター分子を用いたタッギングは一可能性である。レポーター分子は、検出可能
な、好ましくは測定可能な信号を、直接または間接的に発生し得る。レポーター
分子の連結は直接的であるか、あるいは間接的、例えばペプチド結合により共有
的、または非共有的であり得る。ペプチド結合による連結は、抗体およびレポー
ター分子をコードする遺伝子融合体の組換え発現の結果としてであり得る。結合
の確定様式は本発明の特徴ではなく、当業者は彼等の好みおよび一般的知識にし
たがって適切な様式を選択し得る。
【0092】 抗体は、例えば、そのためのコード核酸からの発現によるポリペプチドまたは
ペプチドの産生後に、本発明のポリペプチドまたはペプチドを精製および/また
は単離するのにも用い得る。抗体は、それらの活性を抑制する目的でhRad1/PCNA
相互作用を中断するために治療的情況(予防を含み得る)で有用であり得る。抗
体は、例えば、細胞中に、例えば腫瘍部位にマイクロ注入され、放射線療法およ
び/または化学療法を施すことができる(既述の通り)。抗体は、本明細書中の
別の箇所で考察されるその他の治療的および非治療的目的のために、本発明にし
たがって用い得る。
【0093】 その他の候補阻害剤化合物は、ポリペプチドまたはペプチド断片の三次元構造
に合わせ、そして特定の分子形状、サイズおよび電荷特徴を有する潜在的阻害剤
化合物を提供するための合理的薬剤設計を用いることを基礎にし得る。 例えばPCNAとの相互作用により、および/またはATM および/またはP53 活性
によりhRad1 活性に影響を及ぼす能力を有することが判明した化合物は、考察さ
れているような多数の情況で治療できおよびその他の可能性を有する。治療的処
置のために、このような化合物は任意のその他の活性物質と組合せて、例えば抗
腫瘍療法に関しては、別の抗腫瘍化合物または療法、例えば放射線療法または化
学療法と組合せて用い得る。このような場合、本発明の検定は、in vivo で行な
われる場合には、例えばhRad1 とPCNA(またはその適切な断片、変異体または誘
導体)との間の相互作用の調節の、あるいは試験されている化合物により引き起
こされるATM および/またはp53 活性の調節の程度を測定する必要はない。DN
A修復に及ぼす作用の代わりに、相同的組換え、細胞生存可能性、細胞殺害(例
えば放射線療法および/または化学療法の存在下および不存在下で)等を測定し
得る。任意のこのような作用が、前記の阻害剤化合物により引き起こされるhRad
1 機能の調節、例えばhRad1 とPCNAとの間の相互作用に抑制の結果としてであっ
て、単に一般的毒性作用ではないということを確証するために、このような修飾
検定は、本発明の主検定と平行して、またはその後に実行される。
【0094】 したがって、 hRad1および/またはPCNAと相互作用する、および/またはhRad
1 の活性、例えばATM および/またはp53 活性を調節する能力を有する場合に1
つ又はそれ以上の第一スクリーンを用いて(例えば無細胞系で)同定される薬剤
は、さらに1つ又はそれ以上の第二スクリーンを用いて査定し得る。第二スクリ
ーンは、細胞放射線感作および/または放射性様薬剤に対する感作、染色体テロ
メア長に及ぼす作用、その生存がRadi機能によっている細胞の直接殺害、放射線
照射またはその他の細胞傷害後の細胞周期停止の誘導または防止、電離放射線ま
たはその他の細胞傷害後のp53 誘導の作用、あるいはp21 またはその他のp53 下
流標的の誘導に関する検査を包含し得る。
【0095】 hRad1 活性を調節するかまたはそれに影響を及ぼす物質または薬剤の同定後、
物質または薬剤をさらに調査し得る。さらに、それは製造され、および/または
調製物に、即ち医薬品のような組成物、製剤組成物または薬剤の製造または処方
に用い得る。これらは、例えば本明細書中の他の箇所で考察される目的のいずれ
かのために、個体に投与し得る。
【0096】 前記のように、作用物質はペプチジル、例えば前記に引用したような配列を含
むペプチドであり得るし、あるいはこのようなペプチドの機能的類似体であり得
る。 本明細書中で用いる場合、「機能的類似体」という表現は、問題のペプチドと
同一機能活性を有し、hRad1 と別の細胞構成成分、例えばPCNAとの間の相互作用
を妨害するペプチド変異体または有機化合物に関する。このような類似体の例と
しては、接触領域における関連ドメインの三次元構造、特にタンパク質中にそれ
らが現れる場合に鍵となるアミノ酸残基の整列が似るようモデル化される化学化
合物が挙げられる。
【0097】 さらに別の局面において、本発明は、前記の物質の模倣物に関する設計または
スクリーニングの方法におけるその物質の使用を提供する。 したがって、本発明は、hRad1 の、hRad1 またはPCNA結合または抑制の生物学
的活性、hRad1 のアロステリック抑制の活性、および/またはhRad1 の別の細胞
構成成分、例えばPCNAとの相互作用を調節する、例えば抑制する活性を有するhR
ad1 の模倣物の設計方法であって、以下の: (i)ファルマコフォアを限定する活性に不可欠且つ重要なアミノ酸残基を確
定する生物学的活性を有する物質を分析し;そして (ii)生物学的活性を有する候補模倣物を設計および/またはスクリーニング
するためにファルマコフォアをモデルにする 工程を包含する方法を提供する。
【0098】 適切なモデル化技法は、当業界で知られている。これは、蛍光原性オリゴヌク
レオチドとその分子の機能的相互作用の研究を包含するいわゆる「模倣物」の設
計、ならびにそれらがその相互作用を再生し得る様な方法で整列された機能性基
を含有する化合物の設計を含む。 既知の製薬的活性化合物に対する模倣物の設計は、「先導」化合物を基礎にし
た薬の開発への既知のアプローチである。これは、活性化合物が合成するのが難
しいかまたは経費がかかる場合、あるいは特定の投与方法が適切でない場合、例
えばペプチドが、それらは消化管中のプロテアーゼにより迅速に分解される傾向
があるので、経口組成物のための活性作用物質として十分適していない場合に、
望ましい。模倣物の設計、合成および検査は、標的特性に関して多数の分子を無
作為スクリーニングするのを避けるために用い得る。
【0099】 所定の標的特性を有する化合物からの模倣物の設計に一般的に必要ないくつか
の工程がある。第一に、標的特性を確定するのに決定的および/または重要な化
合物の特定の部分が確定される。ペプチドの場合、これはペプチド中のアミノ酸
残基を体系的に変化させることにより、例えば各残基を順に置換することにより
成すことができる。化合物の活性領域を構成するこれらの部分および残基は、そ
の「ファルマコフォア」として知られている。
【0100】 ファルマコフォアが見出されれば、その構造は、一連の供給源、例えば分光分
析技術、X 線回析データおよびNMR からのデータを用いて、その物理的特性、例
えば立体化学的配置、結合、サイズおよび/または電荷にしたがってモデル化さ
れる。コンピューター分析、類似性マッピング(原子間の結合よりむしろファル
マコフォアの電荷および/または容積をモデルにする)、ならびにその他の技術
は、このモデリング工程に用い得る。このアプローチの変法では、配位子および
その結合相手の三次元構造がモデル化される。これは、配位子および/または結
合相手が結合時に配座を変えて、そのモデルがこれを考慮に入れて模倣物を設計
するのを可能にする場合に、特に有用であり得る。
【0101】 次に、ファルマコフォアを模倣する化学基をその上にグラフトし得る鋳型分子
が選択される。鋳型分子およびその上にグラフトされる化学基は、模倣物が容易
に合成され、薬理学的に許容可能で、そしてin vivo で分解しない一方で、先導
化合物の生物学的活性を保持するように選択されると便利である。このアプロー
チにより見出された単数または複数の模倣物は次に、それらが標的特性を有する
か否かを、またはそれらがそれを示す程度を見るために、スクリーニングし得る
。次に、さらなる最適化または修飾が実行されて、in vivo または臨床的検査の
ための1つ又はそれ以上の最終模倣物に到達し得る。
【0102】 このアプローチにより見出された単数または複数の模倣物は次に、それらが標
的特性を有するか否かを、またはそれらがそれを示す程度を見るために、スクリ
ーニングされ得る。次に、さらなる最適化または修飾が実行されて、in vivo ま
たは臨床的検査のための1つ又はそれ以上の最終模倣物に到達し得る。 この種類の模倣物は、治療におけるそれらの使用とともに、本発明のさらなる
局面を構成する。
【0103】 本発明はさらに、hRad1 またはPCNAと相互作用し得るか、および/またはhRad
1 および別の細胞構成成分、例えばPCNAとの間の相互作用を調節する、例えば抑
制する、および/またはhRad1 および/またはhRad1 と相互作用するその他の細
胞構成成分、例えばPCNAと相互作用し得る物質に関してスクリーニングする場合
に、hRad1 活性、例えばATM および/またはp53 活性を調節する、例えば抑制す
る、および/またはhRad1 およびこのようなその他の細胞構成成分との間の相互
作用を調節する、例えば抑制する、および/またはhRad1 活性を抑制し得る、開
示したような配列を含むペプチド、あるいはその誘導体、活性部分、類似体、変
異体または模倣物の使用をさらに提供する。
【0104】 一般に、本発明のこのような物質、例えば阻害剤は、単離および/または精製
形態で、即ち実質的に純粋に提供される。これは、少なくとも約90%の活性成分
、さらに好ましくは少なくとも約95%、さらに好ましくは少なくとも約98%の活
性成分を示して、組成物中に含まれる。しかしながら、このような組成物は、不
活性担体物質またはその他の製薬上および生理学的に許容可能な賦形剤を含み得
る。以下で言及するように、本発明の組成物は、開示したような阻害剤化合物の
他に、治療的用途の1つ又はそれ以上のその他の分子、例えば抗腫瘍薬を含み得
る。
【0105】 本発明は、hRad1 およびPCNA相互作用、および/またはhRad1 媒介性活性、特
性または経路、例えば本明細書中に開示されたものにしたがって、ATM またはp5
3 を介して媒介される活性、特性または経路のモジュレーターとして同定される
物質だけでなく、製剤組成物、医薬品、薬剤またはこのような物質を包含するそ
の他の組成物、例えば予防的処置を含み得る本明細書中の別の箇所で考察される
目的のために患者にこのような組成物を投与することを包含する方法、例えば本
明細書中の別の箇所で考察される目的のための投与のための組成物の製造におけ
るこのような物質の使用、ならびにこのような物質を製薬上許容可能な賦形剤、
ビヒクルまたは担体、および任意にその他の成分と混和することを包含する製剤
組成物の製造方法にも及ぶ。
【0106】 hRad1 およびPCNA相互作用の阻害剤のような本発明の物質は、細胞中、例えば
腫瘍細胞中のhRad1 媒介性活性に影響を及ぼす療法によりヒトまたは動物体の治
療方法における使用のために提供し得る。本発明の物質を用いる治療方法のその
他の目的は、本明細書中の別の箇所で考察される。 したがって、本発明は、hRad1 と別の細胞構成成分、例えばPCNAとの相互作用
を調節し、抑制し、または遮断する作用物質を投与することを包含する、例えば
本明細書の別の箇所で考察される目的のために、ATM および/またはp53 経路を
介して媒介されるようなhRad1 活性の調節方法であって、このような調節、抑制
または遮断が望ましい治療に有用な方法、あるいはこれが望ましい治療に有用な
、hRad1 のこのような細胞構成成分との相互作用を増大、増強または強化する作
用物質をさらに提供する。
【0107】 本発明はさらに、hRad1 および別の細胞構成成分、例えばPCNAの相互作用を妨
害する作用物質を患者に投与することを含む治療方法を提供する。このような治
療の目的の実例は、本明細書中の別の箇所で考察される。 個体に投与されるものが、ポリペプチドであれ、抗体、ペプチド、核酸分子、
小分子、模倣物、またはその他の薬理学的に有用な本発明の化合物であれ、投与
は、好ましくは、場合に応じて「予防的有効量」または「治療的有効量」であっ
て(しかし予防は治療と考え得る)、これは個体に有益であることを示すのに十
分である。投与される実際量、ならびに投与の速度および時間経過は、治療され
るものの性質および重症度によっている。治療の処方箋、例えば投与量の決定等
は、一般開業医およびその他の医者の責務内である。
【0108】 組成物は、治療される症状によって、単独で、またはその他の治療と組合せて
、同時にまたは連続的に投与し得る。 本発明の、そして本発明にしたがって用いるための製剤組成物は、活性成分の
他に、製薬上許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業界で周知のそ
の他の物質を含み得る。このような物質は、非毒性である必要があり、そして活
性成分の効力を妨害すべきでない。担体またはその他の物質の厳密な性質は、投
与経路によっており、これは経口的であり得るし、または注射、例えば皮膚、皮
下または静脈内注射による。
【0109】 経口投与用の製剤組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体形態であり得る
。錠剤は、固体担体、例えばゼラチンまたはアジュバントを含み得る。液体製剤
組成物は、一般に液体担体、例えば水、石油、動物または植物油、鉱油あるいは
合成油を含む。生理的食塩溶液、デキストロースまたはその他の糖溶液あるいは
グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチ
レングリコールを含み得る。
【0110】 静脈内、皮膚または皮下注射、あるいは苦痛部位での注射のためには、活性成
分は、発熱物質を含有せず、そして適切なpH、等張性および安定性を有する非
経口的に許容可能な水性溶液の形態である。関連当業者は、例えば塩化ナトリウ
ム注射液、リンガー液、乳酸化リンガー液のような等張ビヒクルを用いて、適切
な溶液を調製し得る。防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/またはその
他の添加剤を、必要に応じて含み得る。
【0111】 リポソーム、特に陽イオン性リポソームを、担体処方物中に用い得る。 前記の技術およびプロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Science
, 16th edition, Osol, A.(ed), 1980に見出し得る。 作用物質は、限局性方式で腫瘍部位またはその他の所望の部位に投与し得るか
、あるいはそれが腫瘍またはその他の細胞を標的にする方法で送達し得る。
【0112】 ターゲティング療法は、抗体または細胞特異的配位子のようなターゲティング
系の使用により、ある種類の細胞により特異的に活性作用物質を送達するために
用い得る。ターゲティングは、例えば作用物質が許容不可能に有毒である場合、
またはそれがそうでなければ非常に高用量を要する場合、またはそうでなければ
標的細胞に入り得ない場合には、種々の理由のために望ましい。
【0113】 これらの作用物質を直接投与する代わりに、それらを細胞中、例えばウイルス
ベクター中に導入されるコード遺伝子からの発現により、標的細胞中で産生させ
得る(VDEPT 技法の変法−下記参照)。ベクターは、処置される特異的細胞を標
的にし得るか、またはそれは、標的細胞により多かれ少なかれ選択的にスイッチ
オンされる調節素子を含有し得る。
【0114】 作用物質(例えば、小分子、模倣物)は、処置される細胞中で産生されるかま
たはそれを標的にする活性化剤による活性形態への変換のために、前駆体形態で
投与し得る。この種類のアプローチは、時としてはADEPT またはVDEPT として知
られており、前者は細胞特異的抗体との接合により細胞に対して活性剤が標的化
することを包含するが、一方後者は、ウイルスベクター中でのコードDNAから
の発現によるベクター中での活性剤、例えば酵素の産生を包含する(例えば、EP
-A-415731 およびWO90/07936参照)。
【0115】 作用物質は、不活性であるが、しかし身体中で活性形態に転化される形態で投
与し得る。例えば、作用物質は、身体中で活性形態の作用物質を提供するために
切断されているリン酸塩でリン酸化し得る(例えば溶解度を改良するために)。 組成物は、治療される症状、例えば癌、ウイルス感染またはhRad1 媒介性作用
が望ましい任意のその他の症状によって、単独で、またはその他の治療と組合せ
て、同時にまたは連続的に投与し得る。
【0116】 hRad1 を調節し得る、例えば妨害し得る、および/またはその他のhRad1 媒介
性細胞経路または機能の活性を誘導するかまたは調節し得るポリペプチドまたは
ペプチドをコードする本発明の核酸は、例えば障害を防止または治癒する(全体
的にまたは部分的に)目的で、あるいは本明細書中の別の箇所で考察するような
別の目的のために、遺伝子療法の方法に、例えば個体の治療に用い得る。
【0117】 ベクター、例えばウイルスベクターは、広範囲の異なる標的細胞中に核酸を導
入するために、先行技術に用いられてきた。典型的には、ベクターは、所望のポ
リペプチドの発現から有用な治療的または予防的効果を提供するのに十分な割合
の細胞中でトランスフェクションが起こり得るように、標的細胞に曝露される。
トランスフェクト化核酸は、各々の標的細胞のゲノム中に恒久的に組み入れられ
て、長期残存性作用を提供し得るか、あるいは治療は定期的に反復されねばなら
ない。
【0118】 ウイルスベクターおよびプラスミドベクターの両方の種々のベクターが当業界
で知られている(米国特許第5,25,479号およびWO93/07282参照)。特に、多数の
ウイルスが遺伝子移入ベクターとして用いられてきた。その例としては、パポバ
ウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ならびにHSV
およびEBV 、そしてレトロウイルスが挙げられる。先行技術における多数の遺伝
子療法プロトコールが無能化ネズミレトロウイルスを用いてきた。
【0119】 ウイルスベクターの使用に代わるものとして、細胞中に核酸を導入するその他
の既知の方法には、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム同時沈降、機械
的技法、例えばマイクロインジェクション、リポソームにより媒介される移入、
ならびに直接DNA取込みおよび受容体媒介性DNA移入が含まれる。 核酸がポリリシンを介してタンパク質配位子に連結され、配位子は標的細胞の
表面に存在する受容体に特異的である受容体媒介性遺伝子移入は、特定細胞に核
酸を特異的に標的化するための技術の一例である。
【0120】 本明細書中に開示されているような関連ポリペプチド、ペプチドまたはその他
の物質の相互作用を調節または妨害し得るポリペプチド、ペプチドまたはその他
の物質、あるいはこのようなペプチジル分子をコードする核酸分子は、例えば外
部環境からその内容物を保護する適切な容器中に密封されたキット中に提供し得
る。このようなキットは、使用のための使用説明書を含み得る。
【0121】 さらなる局面において、本発明は、精製hRad1 の貯えを提供する。精製hRad1
、例えば純度約10%、さらに好ましくは純度約20%、さらに好ましくは純度約30
%、さらに好ましくは純度約40%、さらに好ましくは純度約50%、さらに好まし
くは純度約60%、さらに好ましくは純度約70%、さらに好ましくは純度約80%、
さらに好ましくは純度約90%、さらに好ましくは純度約95%、または実質的に純
粋なhRad1 が、例えば本明細書中に提供されるような抗体を用いて得られる。
【0122】 HRAD1に欠損を有する個体は、癌の危険性の増大、神経変性疾患およびその他
の変性疾患の危険性の増加を示し得るし、および/または種々のDNA損傷作因
に対して過敏であり得る。実際、特異的ヒト染色体領域を含有するGENEBRIDGE細
胞ハイブリッドパネル(Gyapay et al.,(1996). Hum. Mol. Genet. 5, 339-34
6 )を用いる試験により、第三染色体P13 領域付近のゲノムマーカーに対してHR
AD1 を本発明者はマッピングできた(下記参照)。この限局化は、癌の生成に関
与するhRad1 の損失と一致する、肺癌および膀胱癌における高頻度欠失の部位と
して知られている(Weiland and Bohm(1994). Cancer Res. 54, 1772-1774; W
eiland et al.,(1996). Oncogene 12, 97-102; Bohm et al., (1997). Int.
J. Cancer 74, 291-295)位置付近にHRAD1 を置く。したがって、HRAD1 遺伝子
は診断的および予後的情況に用いられ、例えばそれらが癌に罹りやすいか否かを
見るために個体を検査する、またはそれらの疾患がHRAD1 および/またはhRad1
機能不全を伴うか否かを見るために癌患者を検査し得る。患者は、送達される放
射線の量を最適化するために、または放射線療法が適切なものでないか否かを決
定するために、放射線を送達する前に検査し得る。
【0123】 任意の特定の疾患、例えば1つ又はそれ以上の前記の疾患に罹りやすくするHR
AD1 対立遺伝子を個体が保有しているか否かを確定するために個体からの生物学
的試料を分析するための多数の方法が、当業界で知られている。このような分析
の目的は診断または予後のために用いられ、そして既存の癌またはその他の疾患
の存在を検出し、疾患の種類を同定するのを助け、疾患の重症度または考えられ
る経過を確定する場合に医者を手助けし、および/またはそれの治療を最適化す
るのに役立つ。あるいは、本方法は、将来、癌のような疾患に対する感受性と統
計的に関係があるHRAD1 対立遺伝子を検出し、定期的スクリーニングから利益を
受ける個体を同定して、早期診断を提供するために用い得る。
【0124】 本明細書中の開示は、変異体形態の遺伝子、特に癌のような疾患に特異的に関
連する対立遺伝子または変異体の被験試料中の存在または不存在を確定するため
の、前記に開示し且つ考察されたような物質および方法の使用を提供するための
本発明の局面を可能にする。これは、障害または疾患に対する個体の疾病素因を
診断するためのものである。それは、HRAD1 突然変異に関連しているような疾患
を有する患者を診断するためのものである。野生型あるいは特定の対立遺伝子ま
たは変異体配列の存在または不存在の確定は、薬理ゲノム的情況で用いられ、1
つ又はそれ以上の利用可能な治療に対する患者または患者集団の感受性を査定し
得る。
【0125】 概括的にいえば、本方法は、核酸配列の存在に関するスクリーニングと、ポリ
ペプチドの存在または不存在を検出することに頼っている方法とに分かれる。本
方法は、核酸配列またはポリペプチドを含有し得るかまたは含有すると推測され
る個体からの生物学的試料を用いる。生物学的試料の例としては、血液、血漿、
血清、組織試料、腫瘍試料、唾液および尿が挙げられる。
【0126】 核酸またはポリペプチドを検出するためのアプローチの例を以下に挙げる: (a)試料中の核酸の配列をHRAD1 核酸配列と比較して、患者からの試料が突
然変異を含有するか否かを確定し、あるいは (b)HRAD1 遺伝子によりコードされたポリペプチドの患者からの試料中の存
在を確定し、そして存在する場合には、ポリペプチドが全長であるか、および/
または突然変異化されているか、および/または正常レベルで発現されているか
否かを確定し、あるいは (c)DNAフィンガープリンティングを用いて、患者からの核酸の試料を制
限酵素が切断した場合に生成される制限パターンを、正常HRAD1 遺伝子から、ま
たはその既知の突然変異から得られた制限パターンと比較し、あるいは (d)HRAD1 核酸配列(正常配列または既知の突然変異化配列)と結合し得る
特異的結合成員を用い、特異的結合成員はHRAD1 配列とハイブリダイズ可能な核
酸、あるいは本来のまたは突然変異化HRAD1 核酸配列またはそれによりコード化
されるポリペプチドに対する特異性を有する抗体ドメインを包含する物質を包含
し、特異的結合成員は、特異的結合成員とその結合相手との結合が検出可能であ
るよう標識され、あるいは (e)正常または突然変異化HRAD1 遺伝子配列を基礎にした1つ又はそれ以上
のプライマーを包含するPCRを用いて、患者からの試料中の正常または突然変
異化HRAD1 遺伝子に関してスクリーニングする。
【0127】 感受性対立遺伝子に関してスクリーニングするためのほとんどの実施態様にお
いて、試料中のHRAD1 核酸は、試料中に存在するその他の配列と比較した場合、
例えばPCRを用いて最初に増幅されて、分析体の量を増大する。これは、試料
中にそれらが存在する場合には、高度の感受性で標的配列を検出させる。 検査は、ゲノムDNA、cDNAおよび/またはmDNAを含有する調製物に
関して実行し得る。cDNAまたはmRNAの検査は、イントロン配列の不存在
により核酸の複雑性が低減されるという利点を有するが、しかし調製物の製造に
は余分の時間と努力を要するという欠点も考えられる。RNAは、RNアーゼの
広範な発生のために、DNAより操作が難しい。
【0128】 被験試料中の核酸はシーケンシングされ、配列は、配列番号1で示された配列
と比較されて、差が存在するか否かを確定される。その場合、差は既知の感受性
対立遺伝子と比較されて、被験核酸が示された1つ又はそれ以上の変異を含有す
るか否かが確定され、あるいは差は、癌のような特定の疾患との関連について調
査し得る。
【0129】 被験試料中の全核酸または全HRAD1 遺伝子をさえシーケンシングすることは一
般に時間−または労働効果を生じないため、プライマーの1つ又はそれ以上の対
を用いたPCR のような特異的増幅反応を用いて、疾患感受性と関連した突然変異
が起こる特定領域である核酸中の当該領域を増幅し得る。増幅化核酸は次に、前
記のようにシーケンシングされ、および/または任意のその他の方法で検査され
て、特定の特徴の存在または不存在を確定される。検査用の核酸は、制限酵素消
化および電気泳動のような種々のその他の技法を用いて、細胞から除去されたま
たはライブラリー中の核酸から調製し得る。
【0130】 核酸は、変異体または対立遺伝子特異的プローブを用いてスクリーニングし得
る。このようなプローブは、配列中で、疾患感受性と関連があることが知られて
いる配列変化を含有するHRAD1 遺伝子またはその補体の一領域に対応する。適切
緊縮条件下では、このようなプローブの被験核酸との特異的ハイブリダイゼーシ
ョンは、被験核酸中の配列変化の存在を示す。有効なスクリーニング目的のため
に、1つより多いプローブが同一被験試料に関して用い得る。
【0131】 対立遺伝子−または変異体特異的オリゴヌクレオチドは、同様にPCR に用いら
れて、被験試料中に存在する場合には、特定配列を特異的に増幅し得る。PCR バ
ンドが遺伝子変異体を含有するか否かの査定は、当業者によく知られた多数の方
法で実行し得る。PCR 生成物は、例えば変性ポリアクリルアミドDNAシーケン
シングゲル上に突然変異または多型性を人が示し得る方法で処理され、遺伝子変
異体と連鎖する特異的バンドが選択される。
【0132】 被験試料中の変異体配列の存在を探すことに代わるものまたは補うものは、例
えば適切特異的オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを用いて、正常配
列の存在を探すことである。 プローブと被験核酸との間のハイブリダイゼーションと、その後の不適正塩基
対の検出によるアプローチを用い得る。アプローチ条件(温度、pH等)下で、
オリゴヌクレオチドプローブは、完全に相補的というのではない配列とハイブリ
ダイズする。2つの分子間の塩基の対合の程度は、不適正塩基対にもかかわらず
それらがアニーリングするのに十分である。2つのアニーリング核酸分子間の不
適正塩基対の存在を検出するための種々のアプローチが、当業界では周知である
【0133】 例えば、RNアーゼAは、不適正塩基対の部位で開裂する。開裂は、関連プロ
ーブまたはプローブがアニーリングされた被験核酸を電気泳動処理して、全長プ
ローブ/被験ハイブリッドより小さい分子(即ち、より高度の電気泳動移動度を
有する分子)を探すことにより、検出し得る。その他のアプローチは、リゾルブ
アーゼまたはエンドヌクレアーゼのような酵素の使用によっている。
【0134】 したがって、疾患感受性に関連した突然変異が起こることが知られている正常
HRAD1 遺伝子(センスまたはアンチセンス鎖)の一領域の配列を有するオリゴヌ
クレオチドプローブが、被験核酸とアニーリングされて、不適正塩基対の存在ま
たは不存在が確定される。不適正塩基対の存在の検出は、疾患感受性に関連した
突然変異の被験核酸中での存在を示し得る。他方で、疾患感受性に関連する突然
変異を含むHRAD1 遺伝子の一領域の配列を有するオリゴヌクレオチドプローブは
、被験核酸とアニーリングされて、不適正塩基対の存在または不存在が確定され
得る。不適正塩基対の存在は、被験試料中の核酸が正常配列を有することを示し
得る。各場合に、遺伝子の異なる領域に対して1組のプローブを用い得る。
【0135】 核酸分子の配列の差の存在は、例えば核酸の試料を切断するために1つ又はそ
れ以上の制限酵素が用いられた場合に産生される制限パターンが、正常遺伝子ま
たは変異体または対立遺伝子を含有する試料が同一の単数または複数の酵素で消
化された場合に得られるパターンと比較されるDNAフィンガープリンティング
の方法において、制限酵素消化の手段により検出し得る。
【0136】 配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはアミノ酸配列突然変異体、変異体
またはその対立遺伝子を有するポリペプチドのような特定のポリペプチドの被験
試料中での存在または不存在を確定するための種々の方法がある。 試料は、配列番号2で示されたポリペプチドの1つ又はそれ以上の特定の変異
体に特異的な、抗体(または抗体の混合物)のような特異的結合成員に対する結
合相手の存在に関して検査し得る。
【0137】 試料は、配列番号2で示されたポリペプチドに特異的な、抗体(または抗体の
混合物)のような特異的結合成員に対する結合相手の存在に関して検査し得る。 このような場合、試料を、例えば適切なレポーター系を用いて、結合が確定さ
れる前に、特異的結合に適した条件下で抗体のような特異的結合成員と接触させ
ることにより、検査し得る。抗体のパネルが用いられる場合、各々の結合が確定
され得るように、各抗体に対して異なるレポーティング標識が用い得る。
【0138】 抗体のような特異的結合成員を用いて、その結合相手を被験試料から単離およ
び/または精製して、ポリペプチドの配列および/または生化学的分析が、その
配列が配列番号2で示されたポリペプチドの配列および/または特性をそれが有
するか否かを、あるいはそれが突然変異体形態であるかまたは変異体形態である
かを確定し得るようにする。自動シーケンシング機を用いたアミノ酸配列決定は
、当業界ではルーチンである。
【0139】 本発明の核酸、例えば全長コード配列またはオリゴヌクレオチドプローブまた
はプライマーは、例えば内容物が外部環境から保護されるバイアルのような適切
な容器中で、キットの一部として提供し得る。キットは、例えばPCR および/ま
たは被験試料中の問題の核酸の存在を確定するための方法における核酸の使用の
ための使用説明書を含み得る。核酸がPCR で用いるよう意図されたキットは、反
応に必要な1つ又はそれ以上のその他の試薬、例えばポリメラーゼ、ヌクレオシ
ド、緩衝液等を含み得る。核酸を、標識し得る。問題の核酸の存在または不存在
を確定する場合に用いるためのキットは、方法の実行のための1つ又はそれ以上
の物品および/または試薬、例えば被験試料それ自体を提供するための手段、例
えば口腔から細胞を取り出すためのスワブ、または血液試料を採取するための注
射器(このような構成成分は一般的に滅菌されている)を含み得る。さらなる局
面において、本発明は、HRAD1 核酸をスクリーニングするための装置、本明細書
中で呈示したような核酸配列を含む保存手段を包含する装置を提供し、保存配列
は、被験核酸の配列を比較して突然変異の存在を確定するために用いられる。
【0140】 本発明の種々のさらなる局面および実施態様は、本発明の開示にかんがみて、
当業者には明らかである。本発明のある種の局面および実施態様を、前記ですで
に考察した配列を参照しながら、実施例によりここで説明する。 HRAD1 のクローニング S. pombe Rad1 の哺乳類相同体が存在し得るという本発明への最初の示唆は、
EST (発現配列タッグ)データベース中のヒト子宮cDNAライブラリーからの
48塩基対の配列(GeneBank寄託番号AA029300)の存在であったが、その予測タン
パク質生成物は、 S. pombe Rad1タンパク質のカルボキシル末端部分の87アミノ
酸残基の領域との弱いがしかし有意の相同性(同一性30%、類似性58%−探索は
BLAST 算法を用いて実施)を示す。
【0141】 これがRad1の真正ヒト相同体に対応するか否かを確定するためのアプローチと
して、ヒトcDNAライブラリーのスクリーニングにより残りのcDNAをクロ
ーン化することを我々は試みた。これは明らかに推定上のRad1相同体に関して全
長cDNAを単離するための選択方法であったが、しかしこのアプローチはうま
く行かなかった。
【0142】 次に我々は、プラスミドcDNAライブラリーを用いたポリメラーゼ連鎖反応
(PCR )ベースの方法を用いたが、この場合、我々は、ベクターおよびヒトcD
NAからの内部プライマーの配列を含有するプライマーを用いて、残りの遺伝子
を増幅することを試みた。この方法に関して、そしてあるヒトB細胞cDNAラ
イブラリーに関して、いくつかのライブラリーが検査され、PCR 生成物が生成さ
れた。種々の生成物のクローニングおよびシーケンシングは、すべてではなくい
くつかが同一cDNAの重複クローンを含有することを明示した。この部分的c
DNAの推定生成物の分析は、それが、EST と最初に同定された配列の外側でS.
pombe Rad1 との相同を示す、ということを示した。最後に、遺伝子の5’およ
び3’末端に対応するよう設計されていたプライマーを用いたPCR により、全長
cDNAクローンが得られた。この生成物(配列番号1)のシーケンシングは、
その翻訳生成物(配列番号2)が S. pombe Rad1の見掛けの全長相同体と事実上
対応することを立証した(以後、ヒト遺伝子およびその生成物は、それぞれHRAD
1 およびhRad1 と呼ばれる)。この全長cDNAはその後種々のライブラリーか
らクローン化され、DNAシーケンシングは、すべてが同一であることを明示し
た。
【0143】 マウスからの対応するcDNAをクローン化してみることを、我々は決定した
。この目的のために、ヒトcDNAの種々の領域に対応する10個の異なるオリゴ
ヌクレオチドを、我々は設計した−このような領域は、それらがヒトからS. pom
beによく保存され、相対的に低レベルのコドン縮重を有する領域に対応すること
を基礎にして選択された。次に、鋳型としてマウスcDNAライブラリーを用い
るPCR において、多数の異なる対方式組合せが用いられた。
【0144】 意外なことに、オリゴヌクレオチドの一組合せは、PCR で作動した。このPCR
断片を我々はクローン化し、シーケンシングして、DNAシーケンシングとその
後のシーケンシング分析により、それがS. pombe Rad1 のマウス相同体(マウス
Rad1; mRad1 )をコードすることを発見した。 全長cDNAクローンを得るために、マウスcDNAを認識する一組のオリゴ
ヌクレオチドを我々は設計し、hRad1 cDNAに関して説明したのと同一PCR ア
プローチを用いてマウスcDNAの5’および3’末端をクローン化した(以後
、マウス遺伝子およびその生成物は、それぞれMRAD1 およびmRad1 と呼ばれる)
。MRAD1 cDNA配列は配列番号3で示され、そしてそのタンパク質生成物mRad
1 の配列は配列番号4で示される。
【0145】 hRad1 、mRad1 、S. pombe Rad1 、Ustilago maydis Rec1およびビール酵母菌
(S. cerevisiae) Rad17に関するアミノ酸配列の列が調製されたが、その例はFr
eire et al.,(1998). Genes Dev. 12, 2560-2573に挙げられている。灰色の隈
取りはアミノ酸類似性を示し、一方配列同一性は逆隈取りにより示される。 hRa
d1およびmRad1 は、ビール酵母菌 (S. cerevisiae)のRad17p(Lydall and Weine
rt(1995). Science 270, 1488-1419; Siede et al., (1996). Nucleic Acid
s Res. 24, 1669-1675)、ならびにU. maydis のRec1(Onel et al.,(1995).
Mol. And Cell. Biol. 15, 5329-5338; Thelen et al.,(1994). J. Biol. Che
m. 269, 747-754; Onel et al., (1996). Genetics 143, 165-174 )にも強力
に関連しており、このことは、これらのタンパク質が互いに相同であることを示
唆する。それにもかかわらず、そして意外なことに、 hRad1およびmRad1 はそれ
らが他の2つのタンパク質に対してよりも、S. pombe Rad1 に有意により類似す
る。
【0146】 hRad1 に対する抗体の喚起 hRad1 を認識する抗血清を喚起するために、免疫感作実験で抗原賭して用いる
ためのタンパク質の組換え誘導体を、我々は生成した。ある場合に、 hRad1タン
パク質のアミノ酸残基166 〜282 に対応するヌクレオチドを細菌発現ベクター中
で我々はクローン化したが、しかしタンパク質の発現を誘導した場合、その有意
量を我々は観察しなかったが、これは免疫感作試験においてこれを用いることが
できなかったことを意味する。
【0147】 これに対比して、アミノ酸残基1 〜165 に対応するhRad1 cDNAの領域を我
々はクローン化し、これを大腸菌中でヘキサヒスチジンタッグ化タンパク質とし
て発現させた場合、免疫感作に十分な物質を得た。次に、Ni2 + キレートアフィ
ニティークロマトグラフィーによりこのタンパク質を精製し(Sambrook et al.,
(同上);Ausubel et al., (同上); Lakin et al.,(1996). Oncogene 13,
2707-2716)、一組のウサギを免疫感作するために用いた。しかしながら、反復
的に免疫感作されたにもかかわらず、ウサギはどれも、ウエスタンイムノブロッ
ティングの方法(前記と同様に実施)によりヒト細胞の抽出物中でhRad1 タンパ
ク質を検出し得る血清を産生しなかった(Lankin et al.,(1996). Oncogene 1
3, 2707-2716)。
【0148】 最後に、大腸菌中でヘキサヒスチジンタッグ化融合体としてアミノ酸残基1 〜
282 を包含するhRad1 cDNAの領域を、我々は発現させた。 Ni2+ キレートア
フィニティークロマトグラフィーによりこのタンパク質を精製し、次にこれを用
いてウサギ中にポリクローナル抗血清を生じさせた。その結果生じた血清をウエ
スタンイムノブロット検定で用いると、2つの抗血清が組換えhRad1 タンパク質
を認識し、高特異性および選択性を示し得る(1ng未満のタンパク質が容易に検
出可能であった)ということが明示された。さらに、これら2つの反応性抗血清
は、粗製ヒトまたはマウス細胞抽出物中の約30kDa のタンパク質を検出し得るこ
とが判明した。さらに、組換えhRad1 による抗血清の予備遮断は、約30kDa タン
パク質を認識するそれらの能力を妨害した。この内因性タンパク質はhRad1 (ま
たはmRad1 )cDNAから予測されたおよそのサイズであるため、そしてそれが
組換えhRad1 タンパク質(約1kDa タッグを含有する)より小さい1〜3kDa で
あるそれと一致する方式で移動するために、抗血清はヒトまたはマウス細胞の抽
出物中の哺乳類Rad1を事実上認識し得る、と我々は結論する。
【0149】 HRAD1 mRNAのならびにhRad1 およびmRad1 の発現プロフィール HRAD1 mRNAの発現パターンを分析するために、種々のヒト組織源由来のm
RNA試料を含有するノーザンブロットを、 HRAD1cRNAに対応する放射能標
識化プローブを用いてプローブ処理した。 これらの試験結果は、約1.4kb のHRAD1 mRNAが実験した全組織中で発現さ
れることを明示したが、しかしmRNA発現のレベルは、ある組織源と別のもの
とではかなり変動する。したがって、我々は検査で非常に高レベルの発現を観察
したが、これはRAD1発現が減数分裂的組換えのような精子形成に関与する制御工
程で機能することを示唆する。
【0150】 種々の組織中のmRad1 タンパク質レベルを調べるために、我々は、ウエスタン
イムノブロット検定において抗Rad1抗血清を用いた。異なる組織中で異なるレベ
ルを我々は観察したが、しかしmRad1 タンパク質は実験したすべての組織中で観
察された。脳および心臓中での発現は相対的に低い一方、卵巣、子宮、肺、膀胱
および胃においては、非常に高いレベルが見出される。したがって、RAD1タンパ
ク質レベルと組織の増殖状態との間には意外な相関が認められ、これは、RAD1発
現が細胞増殖の制御に重要な役割を演じることを示唆する。
【0151】 要するに、これらの試験結果は、Rad1タンパク質は試験した全種類の組織およ
び細胞中で発現されるが、しかし最高レベルの発現は減数分裂的組換えを受けて
いる組織中で、そして高増殖能力を有する細胞中で観察される。 HRAD1 は酵母菌中で機能する HRAD1 がS. pombe RAD1 の機能的相同体であり、DNA損傷の信号化における
役割を演じ、そして複製複合体を動けなくするという確証は、ヒト遺伝子が放射
線感受性とsprad1突然変異株の細胞周期チェックポイント表現型の両方を実質的
に補足するという実証により得られた(Freire et al.,(1998). Genes Dev. 1
2, 2560-2573)。
【0152】 HRAD1 はsprad1における突然変異を補足する S. pombe rad1 突然変異株は、少なくとも一部が、DNAが損傷された場合に
細胞周期全体の進行を遅延し得ないため、DNA損傷作因、例えばUV線およびγ
線に感受性である。HRAD1 が酵母菌遺伝子と類似の機能を実行するか否かを調べ
るために、S. pombe rad1 突然変異株および親野生型(WT)株中でHRAD1 cDN
Aを発現させた。これを行うために、HRAD1 がチアミン抑制可能nmt プロモータ
ーの制御下にあるS. pombe発現ベクター中で、HRAD1 を発現させた(Maundrell
(1990). J. Biol. Chem. 265, 10857-10864 )。hRad1 タンパク質の発現は、
hRad1 特異的ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングにより立証
した。空ベクターおよびsprad1+ 遺伝子を含有するベクターもsprad1突然変異株
中に導入された。UV線に対する感受性を用いて、ヒト遺伝子がsprad1突然変異性
欠損を補足するか否かを調べた。
【0153】 特に、低下された場合、HRADはsprad1突然変異体細胞のUV感受性を再生可能的
に奪回し、より高いUV用量では、HRAD1 を発現する株の生存能力はsprad1欠損株
の場合の約15倍以上であった。しかしながら、sprad1突然変異株の電離放射線感
受性の相補性は、約3倍に過ぎなかった。DNA損傷チェックポイントで機能す
ることに加えて、sprad1は、非複製化DNAが存在する場合にS 相での細胞周期
停止を引き起こすS-M 相チェックポイントにも関与する。この関与は、デオキシ
リボヌクレオチドのde novo 合成を抑制することによりDNA複製を遮断するヒ
ドロキシ尿素に対するsprad1突然変異体の過敏性により実証される。UV感受性相
補性に対比して、sprad1突然変異株中でのHRAD1 の発現は、ヒドロキシ尿素過敏
性表現型を補足しない。合わせて考えると、これらのデータは、HRAD1 がS. pom
be rad1 突然変異株の表現型のいくつかを補足し得ることを示し、そしてhRad1
が事実上spRad1の機能的相同体であることを示す。
【0154】 hRad1 は酵母菌細胞周期チェックポイント制御において機能し得る HRAD1 によるsprad1欠損株のUV感受性の相補性が、UV誘導性DNA損傷後の細
胞周期チェックポイントの補正と相関したか否かを確定するために、HRAD1 また
はsprad1+ を過剰発現するWTおよびrad1突然変異株におけるDNA損傷後のG2-M
相チェックポイント遅延を実験した。UV曝露後の種々の時間での酵母菌培養の分
離指数を測定したが、これは有糸分裂を完了したばかりの細胞の割合を反映し、
そして細胞周期進行をモニタリングするための有効な方法である。WT株が50J/m2
UV 照射に応答してチェックポイント遅延を示す一方、rad1突然変異株には同様
の遅延は現れない。特に、HRAD1 を発現するsprad1株は、生存能力検定における
有意の相補性がさらに観察された用量であるこの用量のUVに応答して非常に正常
な細胞周期チェックポイントを有した。
【0155】 照射後のG2-M相チェックポイントへの出入りは、WT株およびsprad1を過剰発現
するrad1突然変異株において同様の動力学に従った。しかしながらHRAD1 を発現
するrad1突然変異株では、チェックポイントへの進入は正常に見えたが、一方退
出は約90分で進行した。この作用は、HRAD1 がWT株中で過剰発現された場合にも
起きたので、優性である。合わせて考えると、これらのデータは、HRAD1 がS. p
ombe rad1 の機能的相同体であるというさらなる証拠を提供し、そしてHRAD1 が
機能的チェックポイントタンパク質をコードすることを示す。
【0156】 hRad1 は主に核性であり、DNA損傷作因により誘導されない hRad1 の非細胞性分布を確定するために、アフィニティー精製抗hRad1 抗体を
免疫蛍光顕微鏡検査に用いた。これは、任意の明白な核局在化配列の非存在にも
かかわらず、内在性hRad1 タンパク質は主にHeLa細胞の核中に局在されるが、し
かし核小体から排除されるように見えることを明示した。しかしながら、低いが
有意の信号も細胞質中に検出され、これは小比率のhRad1 が細胞質性であり得る
ことを示唆する。他のヒト細胞を分析した場合に、抗Rad1抗体と同様の染色も得
られた。これらの結果と一致して、核および細胞質分画のウエスタンブロッティ
ングは、hRad1 が主に核タンパク質であることを確証した。
【0157】 細胞周期チェックポイント制御に関与するいくつかのタンパク質のレベルは、
遺伝子毒性傷害に応答しておよび/または細胞周期を通して調節され、そしてこ
れはhRad1 に関して検査される。hRad1 レベルにおける顕著な変動は、UVまたは
電離放射線に細胞を曝露後の種々の時間に観察されなかった。対照してみると、
これらの作因により十分特性化された誘導は、いかにも明白であった。同様に、
hRad1 タンパク質レベルの、またはSDS-ポリアクリルアミドゲル上でのhRad1 電
気泳動移動度の有意の変動は検出されなかった。これらの結果は、hRad1 の核局
在化とともに、DNA損傷信号化経路の誘導可能性下流エフェクターとしてより
むしろ、DNA損傷検出機の一部として機能するhRad1 と一致する。
【0158】 HRAD1 遺伝子の染色体局在化 HRAD1 遺伝子の染色体局在化をマッピングするために、HGMP resource centre
(Hinxton Hall, Cambridge, UK.)により提供されたモノクロモソーム体細胞ハ
イブリッド(Kelsall et al., (1995). Ann. Hum. Genet. 59, 233-241)なら
びにGENEBRIDGE 4放射線ハイブリッドDNAパネル(Gyapay et al.,(1996).
Human Molecular Genetics 5, 339-346 )を用いるPCR アプローチを我々は選択
選択する。我々は2つのプライマーを設計して、最後の277 塩基対のcDNA配
列を増幅した。
【0159】 予期せぬことに、ヒトゲノムDNAを用いてPCR を実施した場合、我々は約55
0 塩基対の断片を増幅した。これは、これが非論理的生成物であるか、あるいは
、ゲノム間隔のサイズがcDNAの場合より増大されるように、HRAD1 遺伝子が
この領域にイントロン(単数または複数)を含有した、ということを示唆した。 これら2つの代替物が正確であることを確定するために、我々は生成されたPC
R 断片断片をクローン化し、シーケンシングした。配列分析は、それがイントロ
ンを含有する真正のHRAD1 遺伝子に対応することを明示した。モノ染色体体細胞
ハイブリッドパネル(Kelsall et al., (1995). Ann. Hum. Genet. 59, 233-2
41)を用いて、HRAD1 遺伝子は染色体5p に位置するということを我々は見出し
た。さらに、GENEBRIDGE 4パネル(Gyapay et al.,(1996). Human Molecular
Genetics 5, 339-346 )上でPCR を実行した場合、遺伝子はインターバル5p13に
局在された。
【0160】 hRad1 は固有のヌクレアーゼ活性を保有するとは思われない 近年の報告は、U. maydis タンパク質Rec1が3’〜5’エキソヌクレアーゼで
あることを示した(Thelen et al.,(1994). J. Biol. Chem. 269, 747-754 )
。hRad1 およびmRad1 は配列がRec1に関連し、そして明らかにこのタンパク質の
相同体であるため、これは、hRad1 およびmRad1 もエキソヌクレアーゼであり得
るという何らかの示唆を我々に提供した。
【0161】 これが事実であるか否かを見るために、大腸菌中でhRad1 タンパク質の種々の
誘導体を発現させ、それらを精製し、次にそれらに種々のヌクレアーゼ検定を施
した。意外なことに、ヌクレアーゼ活性はこれらのタンパク質の部分的精製調製
物中で検出されたが、しかしこのようなヌクレアーゼ活性は、親発現ベクター単
独を含有する大腸菌細胞(即ち哺乳類Rad1を合成しない)由来の等価の対照タン
パク質分画中でも検出された。さらに、部分的精製hRad1 またはmRad1 調製物中
で検出されたヌクレアーゼ活性は、これらのタンパク質をさらに精製した場合に
失われた。
【0162】 したがって、少なくとも用いられた精製および検定条件下では、哺乳類Rad1タ
ンパク質は固有のヌクレアーゼ活性を示さない、と我々は結論する。 hRad1 は減数分裂的組換えの部位に局在化される hRad1 およびmRad1 が検査中に非常に高度に発現されるという意外な知見は、
減数分裂的組換えの工程における哺乳類Rad1タンパク質の関与の可能性を示唆し
た。これが事実であるか否かを調べるために、減数分裂的組換えを施されている
細胞中のRad1タンパク質局在化を、我々は分析した。
【0163】 これらの試験は、Rad1が対合化相同染色体に関して非常に特異的に局在化され
、そしてこれらの染色体対間の対合素子に特異的に局在化される、ということを
明示した。したがって、これは、Rad1が染色体対合および減数分裂的組換えの関
連工程に決定的に関与するという概念を補強する。特に、哺乳類Rad1発現プロフ
ィール(空間的および時間的)は、ヒトATM およびATM 関連タンパク質( ATRと
呼ばれる)の場合とは異なり(Keegan et al.,(1996). Genes & Dev. 10, 242
3-2437; Hawley and Friend (1996). Genes & Dev. 10, 2383-2388)、このこ
とは、減数分裂的組換えおよび関連事象におけるhRad1 の機能がATM およびATR
の場合とは異なることを示す。
【0164】 hRad1 レベルは精子形成中に調節される 前記のように、哺乳類Rad1の発現は増殖組織では高く、そして精巣においては
転写的に上向き調節される。さらに、Rad1タンパク質は、減数分裂前期I 進行中
のマウス精母細胞の染色体上の別々のフォーカスに関連し、このことは哺乳類Ra
d1が減数分裂進行を調節するのに重要な役割を演じ、そしてこのタンパク質の欠
損は配偶子形成の欠損を、それゆえ不妊症を引き起こすことを示す。
【0165】 発生中のラット精母細胞を、遠心分離的溶離の使用により、サイズによって分
別した。これは、減数分裂前期I の種々の段階の細胞を含有する5つの分画を生
じ、次にそれをウエスタンブロッティングにより分析した。hRad1 は、主に後期
接合糸期および初期太糸期細胞に対応する、前期I の初期に相対的に大量に見出
されたが、一方、そのレベルは前期I のその後の段階で、後期太糸期および初期
複糸期細胞を含有した分画5中にそれがほとんど検出されなくなるまで減少した
。これは、Rad1が減数分裂進行に決定的役割を実行し得たことを示唆した。
【0166】 哺乳類Rad1が前期I 染色体にも局在化されるか否かを調べた。顕著に、アフィ
ニティー精製抗hRad1 抗血清で標識したラットおよびマウス精母細胞の免疫蛍光
顕微鏡検査は、減数分裂前期核から染色体の軸に沿って明るいフォーカスを明示
した。この小斑点パターンは、抗Rad1抗体を組換え体hRad1 タンパク質で予備吸
着した場合にも、種々の前免疫血清を用いた場合でも、斑点は観察されなかった
ため、Rad1に特異的であった。抗Rad1およびFITC標識化二次抗体を、軸素子、染
色体コア抗原の構造的構成成分に対する抗体(Cori; Dobson et al.,(1994).
J. Cell Sci. 107,2749-2760)およびローダミン標識化二次抗体と一緒に用いる
二重標識化免疫蛍光顕微鏡検査は、Rad1フォーカスが染色体コアおよび/または
対合複合体と関連することを示した。
【0167】 hRad1 はPCNAと相互反応する hRad1 の考え得る相互作用相手を同定するために、酵母菌2ハイブリッドスク
リーンを用いた。 全長hRad1 を、lexAのDNA結合ドメインとの融合体として、ビール酵母菌(
S. cerevisiae)中で発現させ、この酵母菌株を用いて、次に、GAL4の転写的活性
化ドメインでタッグ化したヒトB 細胞cDNAライブラリーをスクリーニングし
た。いくつかの重複クローンを、ヒトタンパク質PCNA(増殖中細胞核抗原;Jons
son ND Hubscher (1997)BioEssays 19, 967-975 により再検討)に関して単離
した。
【0168】 本文中のあらゆる箇所で言及した文献はすべて、参照により本明細書中に含ま
れる。
【0169】
【化1】
【0170】
【化2】
【0171】
【化3】
【0172】
【化4】
【配列表】
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12Q 1/68 A 4H045 C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 P G01N 33/15 Z 33/50 33/566 C07K 16/18 33/566 C12N 15/00 ZNAA // C07K 16/18 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 フレイル,レイモンド イギリス国,ケンブリッジ シービー2 1エーエー,リージェント テラス 2, フラット 1 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB10 CB01 DA13 DA36 FA16 FB02 FB03 FB12 4B024 AA01 AA12 BA31 BA80 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA12 HA15 HA17 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ02 QQ08 QQ30 QQ42 QQ53 QR48 QR55 QR59 QR62 QR69 QR76 QR77 QR80 QS24 QS25 QS34 4B064 AG01 CA02 CA19 CC24 DA05 DA14 4B065 AA26X AA72Y AA80Y AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA15 CA40 DA76 DA86 EA28 EA51 FA74

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の: (i)アミノ酸配列が配列番号2で示されるヒトポリペプチド(hRad1 ); (ii)アミノ酸配列が配列番号4で示されるマウスポリペプチド(mRad1 )
    ;および (iii )(i)または(ii)の対立遺伝子 から選択される単離哺乳類Rad1ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のヒトポリペプチドを含む単離ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2で示されるアミノ酸配列から成る請求項2の単離
    ポリペプチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を共有す
    るアミノ酸配列を有する単離ポリペプチド。
  5. 【請求項5】 断片が少なくとも5アミノ酸長である請求項3のポリペプチ
    ドの単離断片。
  6. 【請求項6】 約40未満のアミノ酸長である請求項5の単離断片。
  7. 【請求項7】 PCNAと相互作用し得るかおよび/またはhRad1 およびPCNA間
    の相互作用を抑制し得る請求項5または請求項6の単離断片。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかのポリペプチドまたは断片と相互作
    用し得る作用物質を得るための検定方法であって、以下の: (a)前記ポリペプチドまたは断片を含む物質、および被験化合物を接触させ
    ;そして (b)前記物質と被験化合物との間の相互作用を確定する 工程を含む方法。
  9. 【請求項9】 hRad1 とPCNAとの間の相互作用を調節する能力を有する作用
    物質を得るための検定方法であって、以下の: (a)請求項1〜3のいずれかのポリペプチド、PCNAと相互作用し得る請求項
    4のポリペプチド、または請求項7の断片を含む物質、前記ポリペプチドまたは
    断片と相互作用し得るPCNAまたはその一部を含む物質、ならびに被験化合物を接
    触させ;そして (b)前記物質間の相互作用を確定する 工程を含む方法。
  10. 【請求項10】 請求項8または請求項9の検定方法であって、hRad1 活性
    に影響を及ぼす被験化合物または検定で得られた作用物質の能力を確定すること
    をさらに含む方法。
  11. 【請求項11】 hRad1 活性に影響を及ぼし得る作用物質を得るための検定
    方法であって、以下の: (a)請求項1〜3のいずれかのポリペプチドを含む物質、および被験化合物
    を接触させ;そして (b)Rad1活性を確定する 工程を含む方法。
  12. 【請求項12】 以下の: (a)請求項8〜11のいずれかの検定方法を実行して前記作用物質を生成し
    ;そして (b)1つ又はそれ以上の付加的構成成分を含む組成物中に前記作用物質を処
    方する 工程を包含する方法。
  13. 【請求項13】 請求項8〜11のいずれかの方法により得られる作用物質
  14. 【請求項14】 hRad1 またはPCNAのペプチド断片である請求項13の作用
    物質。
  15. 【請求項15】 前記ポリペプチドまたは断片と相互作用する物質を同定す
    るための請求項1〜7のいずれかのポリペプチドまたは断片の使用。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドに特異的な抗体の抗原結合ドメイ
    ンを包含する単離特異的結合成員。
  17. 【請求項17】 請求項1〜4のいずれかのポリペプチドをコードする単離
    ポリヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 前記ポリペプチドをコードする配列が配列番号1で示され
    る請求項17の単離ポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 前記ポリペプチドをコードする配列が配列番号3で示され
    る請求項17の単離ポリヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 請求項5〜7のいずれかの断片をコードする単離ポリヌク
    レオチド。
  21. 【請求項21】 前記ポリペプチドまたは断片の発現のために調節配列に操
    作可能的に連結される請求項18〜20のいずれかのポリヌクレオチドを包含す
    る発現ベクター。
  22. 【請求項22】 請求項21の発現ベクターで形質転換される宿主細胞。
  23. 【請求項23】 ポリペプチドの製造方法であって、前記ポリペプチドまた
    は断片の発現のための条件下で請求項22の宿主細胞を培養し、そして前記ポリ
    ペプチドまたは断片を単離または精製することを含む方法。
  24. 【請求項24】 単離または精製ポリペプチドが1つ又はそれ以上の付加的
    構成成分を包含する組成物中に処方される請求項23の方法。
  25. 【請求項25】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリペプチドをコードす
    る核酸の存在または不存在を試料中で確定することを包含する方法。
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