JP4204882B2 - ウレタン樹脂粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融性等の成形性に優れたウレタン樹脂粉体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、球状のウレタン樹脂粉体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりウレタン樹脂を粉体化し、加熱された型に接触させ成形するスラッシュ成形法が知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、該ウレタン樹脂粉体を得る方法として、多量の有機溶剤や水を使用しない方法として、溶融ウレタン樹脂を圧縮性流体に接触させた後、得られた混合物を減圧膨張させウレタン樹脂粉体を得る方法が知られている。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平06−116490
【0004】
【特許文献2】
米国特許出願公開第2002/0049298号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スラッシュ成形時の溶融性が充分によいスラッシュ成形材料は得られていないのが実情である。また、そのようなスラッシュ成形材料は、スラッシュ成形時に流動性が良いことが要求されるが、上記圧縮性流体を使用した方法により得られるウレタン樹脂粉体は、不定形であり流動性が良くなく、充分に外観の優れた成形体が得られない。
本発明の課題は、スラッシュ成形時の溶融性がよいウレタン樹脂、及びそのウレタン樹脂粉体を多量の有機溶剤や水を使用せずに製造し、かつ該粉体が粉体流動性に優れ、それ故に充分に外観の優れた成形体が得られるウレタン樹脂粉体の製造方法を見出すことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を2個又は2個以上有するポリアミンであって、該1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくとも1個が炭酸塩の形であるポリアミン(A)と、2官能又は2官能以上のウレタンプレポリマー(B)を必須成分としてなるウレタン樹脂形成用組成物に、圧縮性流体(C)を接触させた後、得られた混合物(D)を減圧膨張させることを特徴とするウレタン樹脂粉体(E)の製造方法である。以下本発明について詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における炭酸塩の形であるポリアミン(A)は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を2個又は2個以上有するポリアミン(A’)のうち、該1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくとも1個が炭酸塩の形であるポリアミンである。これらの中で、炭酸塩の形であるジアミンが好ましい。
【0008】
ポリアミン(A’)としては、下記に例示したポリアミン類の1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくとも1個が炭酸塩の形であるポリアミンが挙げられる。
▲1▼脂肪族ポリアミン類(C2 〜C18):脂肪族ポリアミン、たとえばC2 〜C6 アルキレンジアミン〔エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど〕、ポリアルキレン(C2〜C6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕、これらのアルキル(C1〜C4)またはヒドロキシアルキル(C2〜C4)置換体〔ジアルキル(C1〜C3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど〕;芳香環含有脂肪族アミン類(C8 〜C15)、たとえばキシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど;
▲2▼脂環式ポリアミン(C4 〜C15)、たとえば1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など;
▲3▼複素環式ポリアミン(C4 〜C15)たとえばピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど;
▲4▼芳香族ポリアミン類(C6 〜C20):非置換芳香族ポリアミン、たとえば1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン[ポリフェニルポリメチレンポリアミン]、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン;
▲5▼核置換アルキル基(たとえばメチル、エチル、n−およびi−プロピル、ブチルなどのC1〜C4アルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、これらの異性体の種々の割合の混合物;
▲6▼核置換電子吸引基(たとえばCl,Br,I,Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン、たとえばメチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン;
▲7▼2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン[上記芳香族ポリアミンの−NH2 の一部または全部が−NH−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルなどの低級アルキル基)で置き換ったもの]たとえば4,4´−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン;
▲8▼ポリアミドポリアミン[たとえばジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];
▲9▼ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物];
(10)シアノエチル化ポリアミン[たとえばアクリロニトリルとポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、たとえばビスシアノエチルジエチレントリアミンなど];
(11)ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジンなど)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッドなど)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジンなど);およびジシアンジアミドなど;
(12)およびこれら▲1▼〜(11)の2種以上の混合物が挙げられる。
これらのポリアミン類のうちで好ましいのは、脂肪族ポリアミン類及び脂環式ポリアミンであり、さらに好ましいものはヘキサメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、イソホロンジアミンである。
【0009】
前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンジ炭酸塩、ヘキサメチレンジアミンモノ炭酸塩、1,2−プロパンジアミンジ炭酸塩、1,2−プロパンジアミンモノ炭酸塩、イソホロンジアミンジ炭酸塩、イソホロンジアミンモノ炭酸塩等が挙げられる。
【0010】
前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)の1級アミノ基及び2級アミノ基の合計モル数に対する炭酸塩の形である該アミノ基のモル数の比率は、好ましくは0.05〜1、さらに好ましくは0.2〜0.9、さらに好ましくは0.3〜0.8である。炭酸塩の形であるアミノ基のモル数の比率が0.05以上であると、圧縮性流体による樹脂成分の可塑化効果が向上する。
【0011】
前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)における炭酸塩の形成方法は、例えば以下のような方法が挙げられる。
▲1▼上記炭酸塩の形であるポリアミン(A)そのものを出発物質とする方法;
▲2▼上記ポリアミン(A’)を出発物質とし、超臨界状態の二酸化炭素および水との接触時、炭酸塩とする方法;
ポリアミン(A’)のアミノ基は、大過剰の二酸化炭素中で、添加された水のモル数と当量の炭酸塩を形成する。添加する水のモル数の比率は,(A’)のアミン当量に対して、好ましくは0.05〜1、さらに好ましくは0.2〜0.9、特に好ましくは0.3〜0.9である。
【0012】
前記ウレタンプレポリマー(B)としては、特に限定されず、例えば、以下のようなウレタンプレポリマーを挙げることができる。
即ち、ジイソシアネート(b1)、高分子ジオール(b2)必要により低分子ジオール(b3)からなるウレタンプレポリマーが好ましい。
【0013】
前記ジイソシアネート(b1)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなジイソシアネートには、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートおよびこれらの2種以上の混合物が含まれる。上記ジイソシアネート中にポリイソシアネート(3官能以上)が1重量%以下含有されていてもよい。
【0014】
上記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0015】
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、などの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0016】
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0017】
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
【0018】
上記ジイソシアネートの変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI)、ウレタン変性TDIなどのが挙げられる。
上記ウレタン変性ジイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とジオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるジオールとしては、当量が30〜200のジオールたとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコールおよびこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。
上記変性ポリイソシアネートおよびプレポリマーの遊離イソシアネート基含量は通常1〜30%のものである。
【0019】
これらのうちで好ましいものは脂肪族、脂環族ジイソシアネートであり、とくに好ましいものはHDI、IPDI、水添MDIおよびこれらのジイソシアネート類より誘導されるウレタン基、カルボジイミド基を含有する変性ジイソシアネート類であり、最も好ましいのはHDI[たとえばデュラネート50M(旭化成工業(株)製)]、IPDI[たとえばデスモジュールI(住友バイエルウレタン(株)製)]、水添MDI[たとえばデスモジュールW(住友バイエルウレタン(株)製)]である。
【0020】
上記ポリイソシアネート(3官能以上)としては、例えば、ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物のポリアミンとの混合物のホスゲン化物、上記ジイソシアネートの変性物(アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基含有変性物、ウレタン変性物など)、ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
該ウレタン変性ポリイソシアネート[過剰のポリイソシアネート(TDI、MDIなど)とポリオールとを反応させて得られる遊離イソシアネート含有プレポリマー]の製造に用いるポリオールとしては、当量が30〜200のポリオールたとえばトリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの高官能ポリオール;およびこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド)付加物が挙げられる。上記変性ポリイソシアネートおよびプレポリマーの遊離イソシアネート基含量は通常1〜30%のものである。
【0021】
上記高分子ジオール(b2)としては、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0022】
上記ポリエステルジオールとしては、例えば、▲1▼ジオール(低分子ジオール(b3)及び/又はポリエーテルジオールとジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、酸ハライド等]との縮合重合によるもの等);▲2▼上記ジオールを開始剤としてラクトンモノマー、アルキレンカーボネート、又はジカルボン酸無水物及びアルキレンオキサイド(以下AOと略記)を開環重合したもの等;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0023】
上記低分子ジオール(b3)の具体例としては、例えば、炭素数2〜18の脂肪族ジオール類[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(1,4−BG)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオール等)等];炭素数3〜18の環状基を有するジオール類[例えば、特公昭45−1474号公報記載のもの;炭素数3〜30の脂肪族環状基含有ジオール(1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、水添ビスフェノールA等);炭素数6〜15の芳香族環状基含有ジオール((m−、及びp−)キシリレングリコール);ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF及びジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のAO付加物(付加モル数2〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート等]及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
上記AOとしては、例えば、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、1,3−、1,4及び2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフンオキサイド、エピクロルヒドリン及びこれらの2種以上の混合物(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。
【0025】
上記▲1▼におけるジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、例えば、炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸等]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸等]、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、酸ハライド(酸クロライド等)等]及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0026】
上記▲2▼におけるラクトンモノマーとしては、例えば、炭素数3〜18のラクトンモノマーが挙げられ、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレルラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記▲2▼におけるアルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
上記▲2▼におけるジカルボン酸無水物としては、例えば、無水コハク酸及び無水フタル酸が挙げられる。
上記AOとしては、例えば、上に挙げたものが挙げられる。
【0027】
上記ポリエーテルジオールとしては、例えば、2個の水酸基含有化合物(例えば上記低分子ジオール(b3)、2価のフェノール類等)にAO(上記のもの)が付加した構造の化合物及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
上記2価のフェノール類としては、例えば、ビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]、単環フェノール類[カテコール、ハイドロキノン等]等が挙げられる。
【0029】
これらのうち好ましいものは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)である。
【0030】
これら高分子ジオール(b2)のうちで好ましいものはポリエステルジオールであり、更に好ましくは低分子ジオール(b3)とジカルボン酸との重縮合物である。
【0031】
上記高分子ジオール(b2)中に高分子ポリオール(3官能以上)が1重量%以下含有されていてもよい。高分子ポリオール(3官能以上)の例としては、3官能以上の低分子ポリオール[例えば、3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4〜8価アルコール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロース等)]のAO及びラクトンモノマー付加物が挙げられる。具体的には、グリセリンPO付加物、グリセリンEO付加物、トリメチロールプロパンカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0032】
該(b2)の数平均分子量は好ましくは500〜10,000、さらに好ましくは800〜5,000、特に好ましくは900〜3,000である。(b2)の数平均分子量は、ソフト感が得られることから500以上が好ましく、充分な強度が発現することから10,000以下が好ましい。
なお、ここでいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、溶媒にはジメチルフォルムアミド(以下DMFと略記する)を用い、ポリスチレン等の分子量標準サンプルから得た検量線を基に算出できる。以下、数平均分子量は本方法で測定する。
【0033】
低分子ジオール(b3)としては、例えば、上記ポリエステルジオールの出発物質として例示した化合物が使用できる。
該低分子ジオール(b3)中に低分子ポリオール(3官能以上)が1重量%以下含有されていてもよい。低分子量ポリオール(3官能以上)は、例えば上記に記載したものである。
【0034】
上記ウレタンプレポリマー(B)の製造方法としては特に限定されず公知の方法により製造されるが、例えば以下の方法が例示できる。
▲1▼過剰のジイソシアネート(b1)、高分子ジオール(b2)、及び必要により低分子ジオール(b3)とから製造する。
▲2▼過剰のジイソシアネート(b1)、高分子ジオール(b2)とから製造する。
▲3▼ジイソシアネート(b1)、高分子ジオール(b2)、及び必要により低分子ジオール(b3)を一括して仕込み反応させる方法が挙げられる。
【0035】
上記(B)を形成する際の上記(b1)、上記(b2)及び上記(b3)のモル比は、(b1)1モルに対し、(b2)は好ましくは0.1〜0.9モル、さらに好ましくは0.2〜0.8モル、(b3)は好ましくは0〜0.2モル、さらに好ましくは0.05〜0.15モルである。
【0036】
上記(B)中に3官能以上のウレタンプレポリマーが1重量%以下含有されていてもよい。
【0037】
上記ウレタンプレポリマー(B)の数平均分子量は好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは2,000〜100,000、特に好ましくは3,000〜25,000である。
該(B)の分子量はイソシアネート基を過剰のモノアルコールで反応させた後、GPCにて測定できる。
【0038】
上記ウレタンプレポリマー(B)の融点は、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは40℃〜110℃である。(B)の融点が30℃〜120℃であると、炭酸塩の形であるポリアミン(A)および圧縮性流体との接触時の均一性が良好となる。
該(B)の融点は、例えば、イソシアネート基を過剰のモノアルコールで反応させた後、示差熱分析(DTA)、定量DTA(熱流速型DTA)等にて測定できる。
【0039】
上記ウレタンプレポリマー(B)のイソシアネート基1当量に対する炭酸塩の形であるポリアミン(A)の当量比は、通常0.7〜1.2当量、好ましくは0.8〜1.1当量、さらに好ましくは0.9〜1.05当量である。ここで、炭酸塩の形であるポリアミン(A)の当量とは、炭酸塩ではない該当するポリアミン(A’)の1級及び2級アミノ基のアミン当量を指すものとする。
【0040】
前記圧縮性流体(C)としては、例えば、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、水等で臨界点以上の温度及び圧力を有する流体が挙げられる。これらのうち好ましいのは二酸化炭素、及び二酸化炭素とメタンまたはエタンまたはプロパンまたはブタンとの混合物である。二酸化炭素の臨界温度は31℃と低く、取り扱い易いので好ましい。
【0041】
超臨界流体は物質に固有の気液臨界温度、圧力を超えた非凝縮性流体と定義される。臨界温度を超えているために分子の熱運動が激しく、かつ密度を理想気体に近い希薄な状態から液体に対応するような高密度な状態まで圧力を変えることによって連続的に変化させることができる。
【0042】
前記圧縮性流体(C)を接触させる際は、耐圧容器を使用する。該耐圧容器内の温度は、好ましくは80℃以上200℃以下、さらに好ましくは100℃以上190℃以下である。また、耐圧容器の圧力は、好ましくは、5MPa以上40MPa以下、さらに好ましくは7MPa以上20MPa以下である。
【0043】
上記(A)および(B)に圧縮性流体(C)を接触させる工程において、混合することが好ましい。混合手段としては、耐圧大型バッチ式混合機、静止型混合機等が挙げられるが、静止型混合機が好ましい。静止型混合機を使用し(A)および(B)と(C)を混合することが好ましい。静止型混合機は、具体的には内部に流体を分割、混合することができる数個から数十個のエレメントを持った管状構造のもので、例えば以下に示した方法で混合する。
▲1▼管の入り口から(A)および溶融した(B)と圧縮性流体(C)を注入する方法;
▲2▼管の入り口から(A)および溶融した(B)を注入し、途中のエレメント部分から圧縮性流体(C)を注入する方法;
▲3▼管の入り口から(A’)を注入し、第一のエレメント部分から圧縮性流体(C)および水を注入後、第二のエレメント部分から溶融した(B)を注入する方法;
▲4▼管の入り口から(A’)、圧縮性流体(C)および水を注入し、途中のエレメント部分からから溶融した(B)を注入する方法で混合する。
また、静止型混合機中の温度をコントロールするために、静止型混合機はジャケット付きのものが好ましい。なお、静止型混合機は、例えばノリタケ社製スタティックミキサーがあり、仕様については混合性を満たし、ポンプの最大吐出圧以内の圧損となる観点から管径とエレメント数が決定され、使用される。
【0044】
本発明において使用する超臨界流体(C)の量は、(C)が炭酸塩の形であるポリアミン(A)およびウレタンプレポリマー(B)を膨潤させる点から、(A)および(B)の合計重量に対して好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、製造コストの点から好ましくは100重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下である。
【0045】
耐圧容器内に存在する超臨界流体(C)、前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)およびウレタンプレポリマー(B)の混合物(D)を、容器に取付けたノズルを介して放出することで容器内外に大きな圧力差を作り出し、超臨界流体(C)を急激に膨張、気化させる。その際、ウレタン樹脂も急激に拡散し、樹脂粒子を形成することができる。
(A)および(B)の混合物は溶融状態では粘度が低いために、樹脂粒子を形成する際、球状の粒子を生成する。ここで得られる球状の粒子とは、長径と短径の比が好ましくは1.0〜1.5、さらに好ましくは1.0〜1.2、最も好ましくは1.0〜1.1のものである。長径/短径比率は光学顕微鏡を用いて粒子を観察し、Heywoodの定義により、粒子の平面図について輪郭に接する二つの平行線の最短距離を短径、それに直角方向の平行線の最大距離を長径とし、測定される値の長径と短径の比率を計算して求める。
得られる粒子の長径と短径の比が上記範囲であると、樹脂粉体(E)の流動性が向上し、スラッシュ成形時の溶融性がよく、充分に外観の優れた成形体が得られる。
【0046】
(D)および(C)が急激に膨張、気化されて上記樹脂粒子が形成する際、(A)の炭酸イオンが二酸化炭素として解離し、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基が生成する。該アミノ基はプレポリマー末端のイソシアネート基と速やかに反応し、高分子量化してウレタン樹脂粉体(E)を形成する。
高分子量化後のウレタン樹脂粉体(E)の数平均分子量は、好ましくは2,000〜800,000、さらに好ましくは3,000〜200,000、特に好ましくは5,000〜100,000である。
【0047】
上記(E)の形成反応において、ウレタンプレポリマー(B)のイソシアネート基1当量に対する前記ポリアミン(A)の当量比は、好ましくは0.8〜1.2当量、さらに好ましくは0.9〜1.1当量である。
【0048】
前記(A)とウレタンプレポリマー(B)との反応を促進するために、必要により触媒を含有させることができる。このような触媒としては、金属触媒たとえば錫系触媒[トリメチルチンラウレート,トリメチルチンヒドロキサイド,ジメチルチンジラウレート,ジブチルチンジアセテート,ジブチルチンジラウレート,スタナスオクトエート,ジブチルチンマレエートなど]、鉛系触媒[オレイン酸鉛,2−エチルヘキサン酸鉛,ナフテン酸鉛,オクテン酸鉛など]、その他の金属触媒[ナフテン酸コバルトなどのナフテン酸金属塩、フェニル水銀プロピオン酸塩など];およびアミン系触媒たとえばトリエチレンジアミン,テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルヘキシレンジアミン,ジアザビシクロアルケン類[1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU(サンアプロ製,登録商標)〕など];ジアルキルアミノアルキルアミン類[ジメチルアミノエチルアミン,ジメチルアミノプロピルアミン,ジエチルアミノプロピルアミン,ジブチルアミノエチルアミン,ジメチルアミノオクチルアミン,ジプロピルアミノプロピルアミンなど]または複素環式アミノアルキルアミン類[2−(1−アジリジニル)エチルアミン,4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミンなど]の炭酸塩および有機酸塩(ギ酸塩など)等;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等;およびこれらの2種以上の併用系が挙げられる。これらの触媒の添加量は、一般に前記ウレタン樹脂(E)の質量に基づいて、通常0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上3重量%以下である。
【0049】
本発明において、必要により可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤などの安定剤、殺菌剤、着色剤(染料、顔料)、難燃剤、反応遅延剤、内部離型剤、殺菌剤、充填剤などの各種添加剤を配合することができる。
可塑剤としては、エステル系可塑剤[ジブチルフタレート,ジオクチルフタレート,ジオクチルアジペート,ポリエチレングリコール(分子量:200)ジアジペート等];タール系可塑剤[タール,アスファルトなど];石油樹脂系可塑剤が挙げられる。可塑剤の配合量は前記ウレタン樹脂(E)の質量に基づいて、通常80重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤[イルガノックス1010(チバガイギー社製)など],ヒンダードアミン系酸化防止剤[サノールLS770(チバガイギー社製)など];紫外線吸収剤としては、トリアゾール系紫外線吸収剤[チヌビン320(チバガイギー社製)など],ベンゾフェノン系紫外線吸収剤[サイアソーブUV9(サイアナミド社製)など]が挙げられる。
これらの安定剤の配合量は前記ウレタン樹脂(E)の質量に基づいて通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0050】
充填剤としては、クレー,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,アルミナ,シリカ,カ―ボンブラック,酸化亜鉛,酸化カルシウム,二酸化鉛,酸化チタン,ケイソイ土,ガラス繊維およびその破砕物(カットガラス,ミルドガラス,ガラスフレ―クなど),タルク,マイカなどが挙げられる。充填剤の配合量は前記ウレタン樹脂(E)の質量に基づいて、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
【0051】
(D)および(C)が急激に膨脹、気化されて樹脂粒子が形成した後は(A)の炭酸イオンが二酸化炭素として解離するために、好ましくは0〜100℃、好ましくは20〜80℃で1時間以上、好ましくは2時間以上熟成することが必要である。また、必要により例えば0.01〜50kPaである減圧で二酸化炭素の解離を促進させることもできる。熟成終了はGPCにて目標の分子量になっていることで確認できる。
【0052】
生成するウレタン樹脂粉体(E)の粒径は、好ましくは1μm以上300μm以下、さらに好ましくは3μm以上200μm以下である。
【0053】
炭酸塩の形であるポリアミン(A)と、ウレタンプレポリマー(B)を必須成分としてなるウレタン樹脂形成用組成物は溶融状態では粘度が低いために、粒子を形成する際、球状の粒子を生成する。該球状の粒子がさらに重合反応を起こし、得られるウレタン樹脂粉体(E)は、長径と短径の比が好ましくは1.0〜1.5、さらに好ましくは1.0〜1.2、最も好ましくは1.0〜1.1のものである。
得られる粒子の長径と短径の比が上記範囲であると、粉体の流動性が向上し、スラッシュ成形時の溶融性がよく、充分に外観の優れた成形体が得られる。
【0054】
生成した樹脂粒子(E)のブロッキングを防止するためには、前記混合物(D)をブロッキング防止剤(G)の存在する雰囲気下に減圧膨張させることが好ましい。
ブロッキング防止剤としては例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、炭酸カルシウム等の無機微粒子ブロッキング防止剤やPMMA、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、セルロースパウダー等の有機微粒子ブロッキング防止剤があり、平均粒径は0.01〜10μmの範囲が好ましい。溶融した樹脂が減圧膨張され、粒子化される槽の中に該ブロッキング防止剤(G)を攪拌して浮遊させておく。
【0055】
混合物(D)を減圧膨張させた後、さらに形成された粉体を圧縮解除された圧縮性流体の流れから分離するには、適当な分離装置(例えばサイクロン、繊維フィルタ、スクラッバー、エレクトロフィルタなど)が用いられる。
【0056】
本発明の製造方法により得られる樹脂粒子は、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナー、ホットメルト接着剤、その他成形材料などの広範な用途に好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、製造例、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
なお実施例中での略記号の意味および評価試験方法は下記のとおりである。
(略記号)
PC:ポリカーボネートジオール[数平均分子量=1000、品名=ニッポランN−981、日本ポリウレタン工業(株)製]
PBA:ポリブチレンアジペート[数平均分子量=1000、品名=サンエスター4610、三洋化成工業(株)製]
PTMG:ポリオキシテトラメチレングリコール[数平均分子量=1000、品名=PTMG−1000、三洋化成工業(株)製]
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPA:1,2−プロパンジアミン
IPA−C:1,2−プロパンジアミンジ炭酸塩
HDA:1,6−ジアミノヘキサン
HDA−C:1,6−ジアミノヘキサンジ炭酸塩
IPDA:イソホロンジアミン
BD :1,4−ブタンジオール
【0058】
製造例1
4ッ口コルベンにPBA69.2部、IPDI24.6部を仕込み、120℃で5時間反応した後室温まで冷却し、NCO含量3.7%のウレタンプレポリマー(B−1)を得た。
【0059】
製造例2
PC76.1部、IPDI16.9部から、実施例1と同様にして、NCO含量3.7%のウレタンプレポリマー(B−2)を得た。
【0060】
製造例3
PTMG67.2部、MDI26.9部から、実施例1と同様にして、NCO含量3.6%のウレタンプレポリマー(B−3)を得た。
【0061】
比較製造例1
50℃で、ウレタンプレポリマー(B−1)93.8部にトルエン80部、イソプロピルアルコール20部を加え均一に溶解した。その溶液に、あらかじめIPDA6.7部、HDA0.5部をトルエン20部に溶解した溶液を攪拌下滴下し1時間反応した後、50℃、0.9kPaで減圧してトルエンおよびイソプロピルアルコールを留去することにより、数平均分子量34,000、熱軟化温度171℃のウレタン樹脂(F’−1)を得た。
【0062】
比較製造例2
50℃で、ウレタンプレポリマー(B−3)94.1部にトルエン80部、イソプロピルアルコール20部を加え均一に溶解した。その溶液に、あらかじめBD3.5部、HDA0.5部をトルエン20部に溶解した溶液を攪拌下滴下し1時間反応した後、50℃、0.9kPaで減圧してトルエンおよびイソプロピルアルコールを留去することにより、数平均分子量35,000、熱軟化温度170℃のウレタン樹脂(F’−2)を得た。
【0063】
実施例1
撹拌装置及び測温装置を有し、槽内圧力30MPa、槽内温度290℃まで設定可能な樹脂溶解槽500mlを150℃まで昇温後、上記で得られたウレタンプレポリマー(B−1)50g、及びIPA−C7gを投入して、IPA−Cを溶融したウレタンプレポリマー(B−1)中に分散した。次いで内径5mm100エレメントのスタティックミキサー中に、スタティックミキサー入り口からIPA−C分散溶融樹脂、液化二酸化炭素を流量比100:20で注入、注入スピードを調整することでスタティックミキサー内圧力を8.0MPaに設定した。スタティックミキサー先端部に装着した穴径0.5mmのノズルより二酸化炭素と樹脂の混合物を、ブロッキング防止剤として乾式シリカ(アエロジル200日本アエロジル(株)製)が1体積%浮遊する大気圧20℃の雰囲気下に排出した。その後13kPaの減圧下20℃で3時間熟成した。微粒子受器に放出された無色透明の平均粒径160μmの球状の樹脂粉体(E−1)45gが得られ、受け器の下部の取り出し口から排出させ、取り出した。粒子の長径/短径比は1.0であった。
【0064】
実施例2
撹拌装置及び測温装置を有し、槽内圧力30MPa、槽内温度290℃まで設定可能な樹脂溶解槽500mlを150℃まで昇温後、上記で得られたウレタンプレポリマー(B−2)50gを投入した。次いで内径5mm100エレメントのスタティックミキサー中に、スタティックミキサー入り口からIPA4g、液化二酸化炭素10g、、水1gの混合物を注入、その後、樹脂溶解槽中のウレタンプレポリマー(B−2)50gをスタティックミキサーの30エレメント目から注入、注入スピードを調整することでスタティックミキサー内圧力を8.0MPaに設定した。スタティックミキサー先端部に装着した穴径0.5mmのノズルより二酸化炭素と樹脂の混合物を、ブロッキング防止剤として乾式シリカ(アエロジル200日本アエロジル(株)製)が1体積%浮遊する大気圧、20℃の雰囲気下に排出した。その後13kPaの減圧下20℃で3時間熟成した。微粒子受器に放出された無色透明の平均粒径150μmの球状の樹脂粉体(E−2)44gが得られ、受け器の下部の取り出し口から排出させ、取り出した。粒子の長径/短径比は1.1であった。
【0065】
実施例3
ウレタンプレポリマー(B−1)50gの代わりにウレタンプレポリマー(B−3)50g、IPA−C7gの代わりにHDA−C8gを用いる他は実施例1と同様の方法により、無色透明の球状の樹脂粉体(E−3)45gが得られた。得られた(E−3)の長径/短径比は1.1、平均粒径は160μmであった。
【0066】
比較例1
実施例1と同様の樹脂溶解槽500mlを180℃まで昇温後、ウレタン樹脂(F’−1)50gを投入し、溶融させた。次いで内径5mm30エレメントのスタティックミキサー中に溶融樹脂と液化二酸化炭素10gを昇圧ポンプを使用して注入して、スタティックミキサー内圧力を8.0MPaに設定した。スタティックミキサー先端部に装着した穴径0.5mmのノズルより二酸化炭素と樹脂の混合物を、ブロッキング防止剤として乾式シリカ(アエロジル200日本アエロジル(株)製)が1体積%浮遊する大気圧、20℃の雰囲気下に排出することで樹脂粉体(E’−1)を得た。
得られた(E’−1)の長径/短径比は2.4、平均粒径は270μmであった。
【0067】
比較例2
比較例1において、ウレタン樹脂(F’−1)の代わりにウレタン樹脂(F’−2)を用いる他は同様にして、樹脂粉体(E’−2)を得た。
得られた(E’−2)の長径/短径比は3.1、平均粒径は360μmであった。
【0068】
上記方法で得られた樹脂粉体について、下記試験方法により評価を行ない、その結果を表1に示した。
【0069】
粒子評価方法
・粉体流動性:パウダーテスター(ホソカワミクロン製)を使用し、スパチュラ角を測定する。
粉体流動性が良い物(評価○):45°以下
粉体流動性が悪い物(評価×):45°以上
・樹脂粉体の粒径:レーザー回析式粒径測定機マイクロトラック(日機装(株)製)を使用し、水を溶媒として測定する。
・樹脂粉体の長径/短径比:デジタルHFマイクロスコープ(キーエンス社製)を使用して測定する。
・成形時溶融性:小型卓上型スラッシュ成形機(株式会社羽賀製)を使用して金型表面温度230℃で2回転成形した後の成形シート表面のピンホールとシート裏面の鏡面/ざらつき面の面積比で評価する。
溶融性が良い物(評価○):成形シート表面にピンホールが見られず、シート裏面の鏡面部面積が80%以上。
溶融性が悪い物(評価×):成形シート表面にピンホールが見られるか、シート裏面の鏡面部面積が80%以下。
・スパチュラ角測定方法:パウダーテスター(ホソカワミクロン製)に得られた樹脂粉体をセットし、自動でスパチュラ角を測定した。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例1〜3及び比較例1及び2から、本発明のウレタン樹脂粉体(E)の製造方法によると、粒子形成時に溶融粘度が低下するため、真球に近い粒子が得られる。そのため、得られる樹脂粉体は粉体流動性に優れる。従って、比較例に比べてスラッシュ成形時の成形性が良好でシート外観に優れる成型物が得られることが分かった。
【0072】
【発明の効果】
本発明のウレタン樹脂粉体(E)の製造方法で得られるウレタン樹脂粉体の形状は球状となるために流動性が高く、スラッシュ成形等での成形性が良好であり、充分に外観の優れた成形体が得られる。
ゆえに、スラッシュ成形用樹脂用途のほか、粉体塗料、液晶ディスプレイ等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナー、ホットメルト接着剤、その他成形材料等に有用である。
また、本発明の製造法によれば、多量の有機溶剤や水を使用せずに樹脂粉体を製造でき、粉体製造時に水を使用しないために造粒工程が簡略化できる。
Claims (10)
- 1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を2個又は2個以上有するポリアミンであって、該1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくとも1個が炭酸塩の形であるポリアミン(A)と、2官能又は2官能以上のウレタンプレポリマー(B)を必須成分としてなるウレタン樹脂形成用組成物に、圧縮性流体(C)を接触させた後、得られた混合物(D)を減圧膨張させることを特徴とするウレタン樹脂粉体(E)の製造方法。
- 前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)において、1級アミノ基及び2級アミノ基の合計モル数に対する炭酸塩の形である該アミノ基のモル数の比率が0.05〜1である請求項1記載の製造方法。
- 前記炭酸塩の形であるポリアミン(A)が1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を2個有する炭酸塩の形であるポリアミンであって、かつ前記(B)が2官能のウレタンプレポリマーである請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記ウレタンプレポリマー(B)の融点が30℃以上120℃以下である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
- 1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を2個又は2個以上有するポリアミン(A’)、圧縮性流体(C)及び水の混合物から形成される該ポリアミン(A’)の炭酸塩と、前記ウレタンプレポリマー(B)とを混合することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
- 前記混合物(D)を得るまでの任意の前記工程において、静止型混合機を使用することを特徴とする1〜5いずれか記載の製造方法。
- 圧縮性流体(C)が超臨界状態の二酸化炭素である1〜6いずれか記載の製造方法。
- 前記混合物(D)を減圧膨張させた後、さらに熟成工程を行う請求項1〜7いずれか記載の製造方法。
- 前記混合物(D)を減圧膨張させた後、さらに形成された粉体を圧縮解除された圧縮性流体の流れから分離する工程を行う請求項1〜8いずれか記載の製造方法。
- 前記ウレタン樹脂粉体(E)の長径と短径の比が1.0〜1.5である請求項1〜9いずれか記載のウレタン樹脂の粉体の製造方法。
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