JP2004169001A - 導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物、並びに該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物及び導電性非発泡ロール - Google Patents

導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物、並びに該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物及び導電性非発泡ロール Download PDF

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Abstract

【課題】 極めて優れた導電性を持続的に保持し、環境依存性が極めて低く、歪みなどの機械強度に優れた導電性非発泡ポリウレタン成形物並びに導電性非発泡ロール、及びこれらを製造するための組成物を提供する。
【解決手段】 (A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、及び(c−1)及び(c−2)を必須成分として含有する(C)添加剤から成る導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物、並びにこれからなる導電性非発泡ポリウレタン成形物及び導電性非発泡ロールである。
(c−1):リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン
(c−2):カーボンブラック
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性、環境依存性、耐久性などに優れた導電性非発泡ポリウレタン成形物並びに導電性非発泡ロール、及びこれらを製造するための組成物に関する。
近年、例えば電子写真用途において高画質及び高速処理が要求される等の観点から、樹脂に導電性能を付与することが重要になってきている。これを達成するために、従来より、界面活性剤等の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布したり、帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法が知られている。しかし、前者の方法では、導電性能に湿度依存性があったり、長期間経過すると導電性能が著しく低下することから、長期間一定の導電性能を持続させる導電性樹脂としては、その実用性について問題となる点があった。また、後者の方法では、練り込んだ帯電防止剤が成形品の表面から脱落したり、耐熱性が低いために黄色から褐色に着色したり、また、前者の方法に比して導電性能が低いなどの問題点があった。
ここで、ポリウレタンはその構造上、他の樹脂に比べ電気絶縁性が低いが、それでも実用上その程度が不十分であるため、樹脂としてポリウレタンを用い、このポリウレタンに帯電防止性能を付与する方法が行われている。従来、その方法としては、カーボンブラック、導電性フィラー等の添加、界面活性剤の塗布、添加や過塩素酸、チオシアン酸又は硝酸等のアルカリ金属塩を添加する方法(例えば、特許文献1参照) や特殊な第4級アンモニウム塩を添加する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、通常の界面活性剤を使用した場合には、十分な導電性を付与することが出来ず、長期間経過すると導電性が著しく低下したり、更に、湿度依存性があるため、実用上の制約がある。また、カーボンブラックや導電性フィラーを添加した場合には、ポリウレタン原料に添加する際に飛散したり、原料の増粘を伴って成形性に問題を生じる。更に、過塩素酸のアルカリ金属塩を添加する場合には、ポリオールへの溶解性が不十分であったり、溶解時に発熱があるため、工業的製造には問題を生じている。加えて、第4級アンモニウム塩は加熱により着色することがあるため、所望の色に着色する場合に制限がある。
これらの一連の課題を解決する方法として、ポリウレタン中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、優れた導電性を保持しつつ、熱的に安定で、環境依存性がなく、且つ、ブリード・アウトなどの障害を防止し、容易に着色することができる導電性のポリウレタン、及びこの導電性ポリウレタンの製造用添加剤、並びに導電性ポリウレタンの製造方法を提供することができる旨記載されている。
しかし、この方法により得られる導電性ポリウレタンの試験片の表面固有抵抗値は、該公報の実施例に記載されているように、5×106 〜7×108 (Ω/sq)であり、例えば1×105 〜9×107 (Ω/sq)程度の導電性能を有する必要がある電子写真用途の分野に供されるものとしては、まだ不十分なものであった。
また、この電子写真用途の分野に供されるものとしては、前述のような優れた導電性能を有する必要性がある他、例えば高温且つ高湿、又は低温且つ低湿のような条件下で使用されるうえで、その導電性能の変化が極めて小さい、即ち環境依存度が極めて低いことが近年特に要求されており、この要求に適応できるような導電性ポリウレタンが待望されていた。
さらに、電子写真用途の分野に供されるものとしては同時に、長期間にわたり繰り返し使用しても変形などの不具合が起きないという優れた機械強度、とりわけ、長期間の使用による歪みが少ないことも要求される。
特開昭63−43951号公報(第2頁左上〜右上) 特開平4−298518号公報(第2〜5頁) 特開2002−146178号公報(第2〜3頁)
本発明の目的は、前記課題を解決するべく、極めて優れた導電性を持続的に保持し、同時に、環境依存性が極めて低く、且つ、歪みなどの機械強度に優れた導電性非発泡ポリウレタン成形物並びに導電性非発泡ロール、及びこれらを製造するための組成物を提供することにある。
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、(C)特定の添加剤から構成される導電性ポリウレタン樹脂製造用組成物により、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[9]に示されるものである。
[1] (A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物及び(C)添加剤から成る導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物であって、(C)添加剤が(c−1)及び(c−2)を必須成分として含有すること、を特徴とする前記導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
(c−1):下記(1)式で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又は下記(2)式で表されるリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン
Figure 2004169001
(c−2):カーボンブラック
[2] (A)イソシアネート基含有化合物がイソシアネート基末端プレポリマーである、前記[1]の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
[3] (c−1):(c−2)=99:1〜3:97(質量比)である、前記[1]又は[2]の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
[4] (A)と(B)の総和に対する(C)の使用割合が0.2〜8.0質量%である、前記[1]〜[3]のいずれかの導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかの導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を反応させて得られる、JIS K6300に準拠して測定される25℃における密度が800〜1300kg/m3の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[6] JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%における表面抵抗値が500Vの電圧で1×104 〜1×107Ωである、前記[5]の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[7] JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜55°である、前記[5]又は[6]の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[8] JIS K6301に準拠して70℃×22時間にて測定される圧縮永久歪みが1.2%未満である、前記[5]〜[7]のいずれかの導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[9] JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下である、前記[5]〜[8]のいずれかの導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[10] 前記[5]〜[9]のいずれかの導電性非発泡ポリウレタン成形物からなること、を特徴とする導電性非発泡ロール。
本発明の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物により、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%における表面抵抗値が500Vの電圧で1×104 〜1×107Ωという優れた導電性能を有する導電性非発泡ポリウレタン成形物を得ることができる。
本発明の導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述の優れた導電性を持続的に保持し、環境の違いによる導電性の変化が低い、即ち環境依存性が低いという、極めて優れた性能を有する。また、本発明の導電性非発泡ポリウレタン成形物は同時に、圧縮永久歪みや耐摩耗性等といった機械物性にも極めて優れ、長期間の使用に耐えうるという格段に優れた効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の導電性ポリウレタン樹脂製造用組成物について説明する。
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物としては、1分子中にイソシアネート基を1以上含有するものであればよいが、イソシアネート基を2以上含有するものが好ましい。
(A)イソシアネート基含有化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記)、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等、また、これらのイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものが挙げられる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
本発明においては、得られる成形物の耐久性を向上させる等の観点から、この(A)イソシアネート基含有化合物については、MDI、TDI、HDIのいずれかを単独又は複数選択するのが好ましい。
本発明においてはまた、成形物製造時における反応熱の低減、成形時における樹脂の混合性の向上、本発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得ること等との観点から、(A)イソシアネート基含有化合物として、前述の(A)イソシアネート基含有化合物と、後述する(B)活性水素含有化合物の一部を成形物製造前に予め反応させて得られる、イソシアネート基末端プレポリマーを使用することが好ましい。
この場合、(A)イソシアネート基含有化合物に予め反応させる(B)活性水素含有化合物としては、得られる成形物における圧縮永久歪み、硬度、耐摩耗性等について、より本発明の意図する性能が得られるという観点から、ポリエーテルポリオールを選択することが好ましく、中でも、他樹脂との相溶性や、液性を堅持できる等、成形時の作業性に更に優れたイソシアネート基末端プレポリマーを得られるという観点から、好適には数平均分子量が500〜10000、更に800〜8000、特に1000〜4000のポリエーテルポリオールを選択するのが好ましい。
なお、該イソシアネート基末端プレポリマーの1分子当たりのイソシアネート基含有量は、2〜30質量%、更に4〜15質量%、特に6〜10質量%であることが好ましい。1分子当たりのイソシアネート基含有量が2質量%未満の場合、得られるプレポリマーが高粘度で成形時における混合性が悪化する等の不具合が生じるので好ましくない。また、1分子当たりのイソシアネート基含有量が30質量%を超える場合、成形物製造時における反応熱が増大し、泡の巻き込みが多くなる等、本発明の意図する用途に不適切な成形物となる不具合が生じるので好ましくない。
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物の平均官能基数は、本発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じやすいので好ましくない。また、平均官能基数が4.0を超える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物はまた、本発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得るとの観点から、75℃における粘度が20〜4000mPa・sであることが好ましく、50〜3000mPa・sであることが特に好ましい。粘度が4000mPa・sを超える場合、成形物製造時において混合不良を起こすという不具合が生じやすいので好ましくない。
本発明における(B)活性水素含有化合物としては、1分子中に活性水素を含有する官能基を1以上含有するものであればよいが、活性水素を含有する官能基を2以上含有するものが好ましい。
(B)活性水素含有化合物としては、例えば、分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール、数平均分子量500以上の高分子ポリオール等が挙げられる。これらは、単独又は二種以上を混合して使用することができる。
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、ジグリセリン等が挙げられる。
低分子ポリアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
低分子アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等が挙げられる。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、水酸基含有アミン系ポリエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、アジピン酸、無水フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン等のグリコールやトリオールとの脱水縮合反応により得られる各種ポリエステルポリオール、ε−カプロラクタム等の環状エステルモノマーの開環重合により得られるラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等のフェノール系ポリオール、更にはポリオール中でアクリロニトリル、スチレン等のビニル系モノマーをラジカル重合させたいわゆるポリマーポリオール等が挙げられる。これらのうち、ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
本発明においては、上記に列挙した活性水素含有化合物のいずれも使用することが可能であるが、前述の通り、成形物製造時における反応熱の低減や、成形時における樹脂の混合性の向上等の観点から、これらの(B)活性水素含有化合物については、(A)イソシアネート基含有化合物と成形物製造前に予め反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーの製造に供し、さらに、成形物製造時において該プレポリマーと反応させる形態で用いるのが好ましい。
本発明における(B)活性水素含有化合物の平均官能基数は、本発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたしやすいという不具合が生じるので好ましくない。また、平均官能基数が4.0を超える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
また、本発明における(B)活性水素含有化合物の数平均分子量は、得られる成形物の硬度を本発明の意図する用途にかなうものとするとの観点から、500〜10000、更に800〜8000、特に1000〜5000であることが好ましい。数平均分子量が500未満の場合、得られる成形物の硬度が不必要に高くなり、本発明の意図する用途に対し不適切なものになりやすいという不具合が生じるので好ましくない。また、数平均分子量が10000を超える場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたしやすいという不具合が生じるので好ましくない。
本発明における(C)添加剤は、少なくとも下記の(c−1)及び(c−2)を必ず含む。
(c−1):下記(1)式で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又は下記(2)式で表されるリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン
Figure 2004169001
(c−2):カーボンブラック
本発明の最大の特徴は、(C)添加剤として、少なくとも前記(c−1)と(c−2)の両方を併用する点にある。(C)添加剤として(c−1)だけを含み、(c−2)を含まない場合、得られる成形物において、本発明が所望する抵抗値や硬度が得られない。また、(C)添加剤として(c−2)だけを含み、(c−1)を含まない場合、高温高湿下において抵抗値が下がったり低温低湿下において抵抗値が上がるという環境依存性が顕著になり、また、得られる成形物の機械物性、とりわけ圧縮永久歪みや耐摩耗性が著しく劣ってしまう等の不具合を生じる。
上記(1)式で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドや、上記(2)式で表されるリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンは、例えば三光化学工業(株)製の「サンコノール」シリーズとして入手することが可能である。
本発明において、(c−1)と(c−2)を併用する際の比率は、99:1〜3:97(質量比)の範囲であることが好ましく、90:10〜50:50(質量比)の範囲であることが特に好ましい。この範囲で併用することにより、本発明が所望する、環境依存性の低い、且つ、安定した抵抗値を得ることができる。
本発明においては、(A)イソシアネート基含有化合物と(B)活性水素含有化合物との総和に対する(C)添加剤の導入量が0.2〜8.0質量%の範囲であることが好ましく、0.3〜5.0質量%の範囲であることが特に好ましい。該総和に対する(C)添加剤の導入量が0.2〜8.0質量%の範囲を外れてしまうと、所望される抵抗値や機械物性が得られにくい等の点から好ましくない。
本発明においては、前記の(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、並びに、(C)添加剤として前に記載した化合物の他に、公知のウレタン化触媒、発泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、分散性染料、潤滑剤、界面活性剤等を併用することが可能である。
次に、本発明における組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物について、詳細に説明する。
本発明においては、(c−1)前記(1)式で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又は前記(2)式で表されるリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを、予め(B)活性水素含有化合物に公知の方法により混合・分散させておく方法により導入するのが好ましい。
本発明における導電性非発泡ポリウレタン成形物は、(A)イソシアネート基含有化合物、前記の(B)と(c−1)混合分散物、並びに(c−2)カーボンブラックを、公知の混合及び/又は注入方法により各々必要量を配合して型に注入し、さらに、公知の方法により脱泡処理を行い、例えば好適には60〜130℃の温度範囲にて30〜300分間、型内にて反応硬化させて得ることができる。
本発明においては、この反応硬化を行う際、イソシアネート基:活性水素基=0.60〜1.20:1.00(質量比)の割合で配合するのが好ましく、イソシアネート基:活性水素基=0.70〜1.10:1.00(質量比)の割合で配合するのがさらに好ましい。
このようにして得られる成形物としては、JIS K6300に準拠して測定される25℃における密度が800〜1300kg/m3 の非発泡状のものが好適である。
本発明において得られる成形物としては、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%における表面抵抗値が500Vの電圧で1×104 〜1×107Ωのものが好適である。さらに、本発明において得られる成形物の表面抵抗値は、後述する実施例に示すように、低温低湿や高温高湿などの環境の変化に伴う表面抵抗値の変化が極めて小さいという優れた特徴をも有する。
本発明において得られる成形物としては、機械的物性面でも、JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜55°という、高密度ながら弾力性を有するものが好適である。
本発明において得られる成形物としてはまた、JIS K6301に準拠して70℃×22時間において測定される圧縮永久歪みが1.2%未満のものが好適である。
本発明において得られる成形物としてはさらに、JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下という、優れた摩耗特性を有するものが好適である。
本発明における導電性非発泡ポリウレタン成形物は、このように、環境の変化に左右されない優れた導電性能を有しつつ、硬度・圧縮永久歪み・耐摩耗性等の機械的物性面でも高耐久性能をも有するという優れた成形物である。これらの有する優れた性能から、本発明における導電性非発泡ポリウレタン成形物の用途としては、電子写真用品において導電性を必要とする部位、特に長期間連続使用に耐えることが必要な部位に好適に使用することができる。中でも、電子写真、静電プリンターにおけるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等、被接触物を電気的にコントロールする導電性非発泡ロールとして特に好適に使用することができる。
以下、本発明における導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、及び導電性非発泡ロールの諸物性等について、実施例を挙げて更に詳細に説明する。なお、本発明は勿論、かかる実施例のみに限定して解釈されるものではない。
〔イソシアネート基末端プレポリマーの合成〕
合成例
撹拌機、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、表1に示す配合比で仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で60℃にて3時間反応させた。
原料組成と得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量(NCO含量)を表1に示す。
Figure 2004169001
表1の補足説明
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「ミリオネートMT」)
TDI:トルエンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「T−80」)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製)
GP−3000:ポリエーテルポリオール
(三洋化成工業(株)製、数平均分子量3000、水酸基価56mgKOH/g)
PTG−3000TF:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量300
0、水酸基価56mgKOH/g)
実施例1〜14、比較例1、2
表2〜4に示すポリオールと添加剤(但し、カーボンブラックを除く)を混ぜ合わせて、混合分散物とした。次に、該混合分散物、合成例で得たイソシアネート基末端プレポリマー、並びにカーボンブラックを、表2〜4に示す配合比に基づき混合した。該混合物が完全に均一になるまで充分に撹拌した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度で発泡が収まるまで脱泡処理を行った。その後、該混合物を型枠に注入し、80℃にて30分間硬化反応させた後に脱型して、板状の導電性非発泡ポリウレタン成形物を得た。脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、各々の成形物について、成形物の密度、(最終)硬度、(表面)抵抗値、圧縮永久歪み、及び耐摩耗性を測定した。
結果を表2〜4に示す。
Figure 2004169001
Figure 2004169001
Figure 2004169001
表2〜4の補足説明
PTG−1000SN:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量1000、水酸基価112mgKOH/g)
G−1500:ポリエーテルポリオール
(旭電化工業(株)製、数平均分子量3000、水酸基価112mgKOH/g)
EXCENOL5030:ポリエーテルポリオール
(旭硝子(株)製、数平均分子量5000、水酸基価33mgKOH/g)
GP−3000:ポリエーテルポリオール
(三洋化成工業(株)製、数平均分子量3000、水酸基価56mgKOH/g)
添加剤A:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド系化合物とポリエーテルポリオールの混合物(三光化学工業(株)製)
添加剤B:リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン系化合物とポリエーテルポリオールの混合物(三光化学工業(株)製)
成形物の密度、最終硬度、抵抗値、圧縮永久歪み、及び耐摩耗性についての測定方法は、以下の通り。
密度 :JIS K6300に準拠し、25℃における密度を測定した。
最終硬度 :脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、さらに120℃のオーブンに1時間入れ、アフターキュアを行った後、室温25℃、湿度60%の部屋にて7日間エージングを行い、JIS K7312に準拠し、JIS A硬度計を用いて硬度測定を行った。
抵抗値 :各表に示す各雰囲気条件下で、JIS K6911に準拠し、ADVANTEST社製R8340Aデジタル超高抵抗/微少電流計を用いて測定した。
なお、測定時における電圧は500Vに設定した。
圧縮永久歪み:JIS K6301に準拠した方法で、70℃×22時間にて評価した。
耐摩耗性 :JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定した。なお、測定時に使用された砥石は「H−22」、荷重1kg重、1000回回転時における摩耗減量を測定した。
実施例15
実施例1の組成により、市販のレーザービームプリンターで用いられているものと同様の導電性非発泡ロールを作成した。このロールを該レーザービームプリンターで定電流制御で用いられている転写ロールとしてセットし評価したところ、良好な画像が得られた。
本発明の導電性非発泡ポリウレタン成形物は、特に、電子写真、静電プリンターにおけるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等の、電気的に被接触物をコントロールする導電性ロールとして、好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. (A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物及び(C)添加剤から成る導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物であって、(C)添加剤が(c−1)及び(c−2)を必須成分として含有すること、を特徴とする前記導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
    (c−1):下記(1)式で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又は下記(2)式で表されるリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン
    Figure 2004169001
    (c−2):カーボンブラック
  2. (A)イソシアネート基含有化合物がイソシアネート基末端プレポリマーである、請求項1に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
  3. (c−1):(c−2)=99:1〜3:97(質量比)である、請求項1又は2に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
  4. (A)と(B)の総和に対する(C)の使用割合が0.2〜8.0質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂製造用組成物を反応させて得られる、JIS K6300に準拠して測定される25℃における密度が800〜1300kg/m3の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
  6. JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%における表面抵抗値が500Vの電圧で1×104 〜1×107Ωである、請求項5に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
  7. JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜55°である、請求項5又は6に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
  8. JIS K6301に準拠して70℃×22時間にて測定される圧縮永久歪みが1.2%未満である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
  9. JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
  10. 請求項5〜9のいずれか一項に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物からなること、を特徴とする導電性非発泡ロール。
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