JP4204583B2 - フォトマスクブランクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、フォトマスクブランクの製造方法に関し、より詳細には、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液晶表示素子)用カラーフィルタ、及び磁気ヘッド等の微細加工に用いられるフォトマスクの素材としてのフォトマスクブランクの製造技術に関する。
高集積化が進む半導体集積回路製造等に使用されるリソグラフィ技術は、解像度の向上を目的として光露光装置で用いられる露光光の短波長化が進み、2004年にアップデートされたITRS(国際半導体技術)のリソグラフィに関するロードマップによれば、紫外線光源であるg線(波長λ=436nm)やi線(λ=365nm)から遠紫外線光源であるKrF線(λ=248nm)やArF線(λ=193nm)へと短波長化が進行し、さらに、2007年にはハーフピッチが65nmのhp65でArF液浸へ、そして2010年にはハーフピッチが45nmのhp45でF2あるいはArF液浸と解像度向上技術(RET:resolution enhancement technology)の組み合わせへとシフトしようとしている。
このように、最先端技術分野でのフォトマスク(およびその素材としてのフォトマスクブランク)の需要は少なくとも2010年までは確実に保たれるものと考えており、2013年頃と予想されるハーフピッチ32nmのhp32および2016年頃と予想されるハーフピッチ22nmのhp22においても、フォトマスクを用いたリソグラフィが使用される可能性も指摘されている。
ところで、解像性能の評価量としてのRayleighの式によれば、解像線幅RPと焦点深度DOFはそれぞれ、k1およびk2を比例定数として次式で与えられる。
Figure 0004204583
Figure 0004204583
従って、リソグラフィ技術における微細化のためには、上述した短波長化に加え、開口数(NA)を高くする必要がある。
この高NA化の技術として最近注目されている「液浸技術」は、露光対象であるウエハとこのウエハに最も近く設けられるレンズとの間を、露光環境の雰囲気(気体)よりも高い屈折率(n)の液体で満たし、これにより、NA値をその液体の屈折率倍(n倍)にして、高い開口数を得ようとするものである。
すなわち、NAは、露光対象であるウエハ上の1点に結像する光束の広がりを±θとした場合には、n0をウエハ側の屈折率として、NA=n0・sinθで与えられるが、通常はウエハ側は空気(n0=1)であるためにNA=sinθとなる。したがって、露光対象ウエハとレンズとの間を屈折率nの液体で満たすと、NA=n・sinθとなって、開口数NAを大きくすることができ、解像線幅RPを小さくすることが可能となるのである。
小さな解像線幅RPを得るためには、上式(1)から分かるように、k1ファクタを低くすることも有効な方法であり、このためのRETとしては、有効光源の形状を単純な円形から変形させる「変形照明」によるものや、同一マスクでウエハを投影光学系の光軸方向に動かして露光するFLEXなどの「多重露光」によるものなどがある。
一方、上式(2)から分かるように、露光波長の短波長化は解像線幅RPの低減には有効である反面、焦点深度DOFの低下を招く結果となり、製造歩留まりに悪影響を及ぼすという問題を生じる。つまり、露光波長の短波長化は、kファクタを小さくして微細な構造を転写することには有利である反面、焦点深度DOFが低下するため、フォトマスクの平坦度が充分ではない場合には、フォーカスエラーを起こして製品歩留まりを低下させてしまうという問題がある。
これを改善する方法のひとつとして位相シフト法がある。位相シフト法では、位相シフトマスクを用い、相互に隣接するパターンの位相が概ね180°異なる用にパターン形成が行われる。すなわち、位相シフトマスクに設けられた位相シフト膜により露光光の位相が180°変換されるため、位相シフト膜パターンが形成された領域を通過した光と位相シフト膜が存在しない領域を通過した光とは、領域の境界部分で光強度0となり、当該領域において急峻な変化を示す光強度分布が得られる。その結果、高いDOFを得ることができ、像コントラストが向上することとなる。なお、位相シフトマスクにはレベンソン型やハーフトーン型などがあり、特に、ハーフトーン型位相シフトマスクを用いることにより大幅なDOFの改善が可能となる。
ハーフトーン型位相シフトマスクとしては、その構造が比較的単純な単層型マスクが提案されており、このような単層型位相シフトマスクとしては、モリブテンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブテンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)からなる位相シフト膜を有するものなどが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このような位相シフトマスクの製造方法としては、位相シフトマスクブランクをリソグラフィ法によりパターン形成する方法が用いられる。このリソグラフィ法は、位相シフトマスクブランク上にレジストを塗布し、電子線又は紫外線により所望の部分を感光させた後、これを現像して、感光部分の位相シフト膜表面を露出させる。そして、パターニングされたレジスト膜をマスクとして用い、露出している位相シフト膜をエッチングにより除去して基板面を露出させ、その後、レジスト膜を剥離することで、位相シフトマスクを得るというものである。
ところで、デバイスの複層構造を形成するために複数枚のフォトマスクを用いる場合には、高い重ね合わせ精度が必要になる。そして、その重ね合わせ精度は、パターンの微細化に伴ってより高いものとならざるを得ない。
しかし、フォトマスクブランクの状態で既に、基板上に形成された薄膜に応力が蓄えられている場合には、このブランクが、レジスト塗布、露光、現像、エッチィング、レジスト剥離の各工程を経てパターン描写を行う際に、膜中に蓄積されている応力が部分的に開放され、最終的に得られるフォトマスクに「歪み」(ディストーション)を生じさせる。このようなディストーションがあると、フォトマスクの重ね合わせ精度は低下して、描写される回路パターンの欠陥原因となる。
このような「歪み」のレベルは、描写されるべきパターンと膜中に蓄えられた応力の大きさとに依存し、これをフォトマスクの製造プロセス中に制御したり開放したりすることは極めて困難である。
尤も、各薄膜の応力が概ねゼロとなるような条件で薄膜形成すればこのような問題が生じることはないが、光学膜としての薄膜が備えるべき諸特性を確保するための成膜条件が、同時に、低応力の薄膜を形成するための条件でもあるという製造プロセス条件を見出すことは極めて難しく、事実上不可能である。このため、薄膜の諸特性が確保可能な条件で成膜する工程と、薄膜の低応力化を図る工程とを、独立した別個の工程とする必要がある。
一般に、フォトマスクブランクにおいては、位相シフト膜等の薄膜はスパッタリング法により成膜されるが、その成膜プロセスの過程で膜中に応力が生じ、この応力によって基板そのものが歪み、フォトマスクブランクには反りが発生するが、この問題の解決方法として、位相シフト膜等の光吸収性の薄膜に閃光ランプからの光を所定のエネルギ密度で照射して膜応力を制御し、これによりフォトマスクブランクの反りを低減するという技術が提唱されている(特許文献2)。
特開平7−140635号公報 特開2004−199035号公報
薄膜の応力緩和のための外部からのエネルギ付与手段としては、ホットプレート、ヒータ、ハロゲンランプ、赤外ランプ、ファーネス、RTA(Rapid Thermal Anneal)等も考えられるが、これらの手法によると、過剰なエネルギ付与による基板温度の上昇によって基板自体に損傷を与えたり、処理時間が長くなってしまうために生産性が低下したりという問題が生じるため、特許文献2にあるような閃光ランプによる光照射が優れている。
特許文献2に記載されている技術によれば、フォトマスクブランクに設けられた薄膜に閃光ランプ光を適正なエネルギ量で照射することにより、フォトマスクブランク(特にハーフトーン型位相シフトマスク)の膜応力をその反り量で0.2μm以下(条件をより適正化することで0.1μm以下)にすることが可能となり、ハーフトーン位相シフト膜の光学特性も面内での位相差分布で0.63°、透過率分布で0.13%が達成されている。
しかしながら、特許文献2に記載されているような閃光ランプ処理を施すこととした場合には、後述するようなメカニズムにより閃光照射によってチャンバ内でパーティクルが発生し、このパーティクルが基板に付着してその後の洗浄でも除去しきれないために、フォトマスクブランクのパーティクル起因の欠陥が増大するという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、パーティクル起因の欠陥を低減させたフォトマスクブランク及びフォトマスク並びにそれらを製造する方法を提供することにある。
本発明はこのような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、透明基板上に設けられた光学膜に閃光を照射するステップを備えたフォトマスクブランクの製造方法であって、前記照射は、前記透明基板を、前記閃光に対して不透明なガラス材料からなる基板保持部材に載置させて実行され、前記基板保持部材は、光透過性材料からなる層をn層(nは2以上の自然数)積層させた構造を有し、該n層のうちの少なくとも1層は前記閃光に対する不透明度が他の層とは異なる層であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記積層構造は、前記閃光に対して透明な層と不透明な層とを積層させたものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記ガラス材料は、不透明石英ガラスであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記不透明な層は、泡入りガラスからなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記基板保持部材の前記閃光に対する不透明度は、300〜600nmの波長領域での全波長領域において、積分球を用いて求まる反射率が10%以上であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記基板保持部材の最大表面粗さ(Rmax)が15μm以下であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記光学膜は位相シフト膜であることを特徴とする。
本発明によれば、透明基板上に設けられた光学膜に閃光を照射するに際して、透明基板を閃光に対して不透明なガラス材料からなる基板保持部材に載置させて実行することとしたので、基板保持部材中での閃光の透過率が低くなるため、基板表面に設けられた薄膜の応力制御に寄与する閃光成分が高められることとなる結果、薄膜の応力制御に寄与する光エネルギを有効に利用可能となるから照射する光エネルギを低く設定することが可能となり、チャンバ内表面からのパーティクル発生確率も低く抑えられることとなる。また、閃光照射のエネルギを低く抑えることは、薄膜が備える光学的特性の均一な面内分布を確保することにも有効に作用するという利点もある。
以下に図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明者らは、閃光照射によってチャンバ内でパーティクルが発生し、このパーティクルが基板に付着してその後の洗浄でも除去しきれないために、フォトマスクブランクのパーティクル起因の欠陥が増大するという問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
すなわち、第1にチャンバ内(すなわち、チャンバ内壁およびチャンバ内で使用される治具の)表面がパーティクルの発生源のひとつとなっていること、第2に閃光ランプ光の基板載置用サセプタからの反射光を抑制することがパーティクルの発生を抑制することに有効であること、第3にフォトマスクブランク用の基板の清浄度の管理基準と当該基準に適合させるための洗浄条件の検討が必要であること、である。
チャンバ内でのフォトマスクブランク用基板へのパーティクルの付着要因としては、基板によるチャンバ内へのパーティクルの持ち込み、閃光照射によるチャンバ内でのパーティクル発生、およびチャンバ内でのパーティクルの蓄積、などが考えられる。
閃光ランプ光照射により膜中の応力を緩和させる上記手法によれば、合成石英ガラスやフッ化カルシウム等の透明な基板上に、閃光ランプから照射される光を吸収可能な膜(例えば、位相シフト膜)を成膜した後、この膜にその光エネルギが制御された光量で閃光ランプからの光が照射されて膜中の応力が制御される。そして、必要に応じて、当該光吸収膜上に他の膜が成膜されてフォトマスクブランクとされる。
なお、上記の光吸収膜としては、フォトマスクブランクに形成される位相シフト膜、遮光膜、反射防止膜などが挙げられるが、この方法は、位相シフト膜(特にハーフトーン位相シフト膜)を備える位相シフトマスクブランクに好適である。上記の光吸収膜がハーフトーン位相シフト膜である場合には、その閃光照射の後に、遮光膜や反射防止膜等が成膜されてハーフトーン型位相シフトマスクブランクが得られる。
閃光ランプは、発光時間が短く、高照度で連続した幅広の波長領域をもつ光源で、例えばキセノンフラッシュランプがこれにあたる。このため、レーザ光源を用いる場合とは異なり、光吸収膜が特定波長の光に対して大きな吸収を示す膜である必要はない。従って、閃光照射の手法による応力制御が可能な膜組成などの制約は極めて緩やかであり応用範囲は広い。また、基板上で照射光を走査させる必要もなく、基板全面に短時間で光照射(エネルギ付与)することができる。さらに、広い波長領域にわたるスペクトルをもつために、種々の波長の光の照射効果を同時に得ることもできる。
このような閃光がハーフトーン位相シフト膜などの光吸収膜に照射されると、その照射光の吸収や急激な温度変化等によって膜組成や原子の結合状態等が変化して応力緩和が生じると考えられるが、この照射光は基板にのみ照射されるわけではなく、チャンバの内壁面やチャンバ内に設けられる治具の表面(これらを単に「チャンバ内表面」という)にも照射される。そして、チャンバ内表面にこのような瞬間的な光エネルギが照射・吸収されると、例えば治具の急激な膨張・収縮などにより当該表面の状態が変化して局所的な破壊が生じてパーティクルが発生する。そして、これらのパーティクルはチャンバ内に蓄積され、チャンバ内を浮遊し、基板上に付着したり基板表面を損傷させたりしてフォトマスクブランクの欠陥原因となるのである。
従って、パーティクル起因の欠陥発生を抑制するためには、第1にパーティクルが発生し難いチャンバ内表面とすること、第2にパーティクルが発生し難いように閃光照射条件を適正化すること、第3にチャンバ内での閃光ランプ光の反射光(特に、サセプタからの反射光)を抑制すること、および、第4に基板によるチャンバ内へのパーティクルの持込を抑制すること、などが有効である。
以下では、これらの知見に基づいてなされた本発明を、実施例により説明する。
(チャンバ内表面のラフネス低減)
本実施例は、チャンバ内表面のラフネスを低減させることで閃光処理工程でのパーティクルの発生を抑制する技術に関するものである。本発明者らの検討によれば、チャンバの内壁面やチャンバ内に設けられる治具の表面に閃光が照射されると、その表面の凹凸(ラフネス)のレベルに応じた多重反射等が生じ、この反射光が当該チャンバ内表面の凹凸部に破壊をもたらして微小なパーティクルを発生させることが明らかとなった。なお、チャンバ内材質の膨張・収縮に起因する材料の部分的破壊現象の抑制には、その材質を石英ガラスとすることが有効である。したがって、以下では、チャンバおよびチャンバ内に収容されて用いられるサセプタなどの治具は、特に断らない限り石英ガラスからなるものとする。なお、詳細は後述するが、石英ガラスは閃光の透過率制御が容易であるために、基板に付与される光エネルギ量の調整が容易であるという利点もある。
図1は、チャンバ内表面の凹凸部による閃光の多重反射の様子を説明するための概念図で、ここでは、チャンバ内で用いられる治具であるサセプタ、すなわち、閃光処理時に基板を載置させておくホルダの表面で閃光が多重反射を起こす様子が図示されている。この図において、符号10はフォトマスクブランク用の基板であり、符号11はこの基板10を載置するためのサセプタである。また、図1(a)には従来の表面凹凸レベルを有するサセプタが、図1(b)には表面凹凸レベルを低減させた滑らかな表面を有する本発明のサセプタが図示されている。なお、図1(a)に示したような従来のサセプタは、サセプタ素材である石英を研削した後にフッ酸処理を施したもので、その平均表面凹凸(Ra)が3μm程度、最大表面凹凸(Rmax)が20μm程度である。
表1は、本実施例で表面凹凸レベルと基板の欠陥発生量との相関を調査するために用いたサセプタの平均表面凹凸(Ra)と最大表面凹凸(Rmax)の値を纏めたもので、従来品の平均表面凹凸(Ra)は2.85μm、最大表面凹凸(Rmax)は17.24μmである。一方、本発明にかかるサセプタのRaおよびRmaxはそれぞれ、2.11μmと0.22μmおよび12.06μmと1.69μmである。
Figure 0004204583
このような表面凹凸のサセプタに、一辺が6インチの角型石英基板上にMoSiターゲットを用いてMoSiONからなるハーフトーン位相シフト膜を反応性DCスパッタリング成膜したものを載置し、この基板を温度80℃に加熱した後、キセノン閃光ランプから発光する光をエネルギ密度16J/cm2で照射した。
図2は、このような閃光照射後に認められた基板上での欠陥増加数を、サセプタの平均表面凹凸(Ra)および最大表面凹凸(Rmax)を横軸としてプロットした図である。また、表2はその結果を纏めたものである。なお、欠陥測定に用いた検査装置は、日立電子エンジニアリング株式会社製GM−1000である。
Figure 0004204583
これらの結果から明らかなように、平均表面凹凸Ra2.85μm、最大表面凹凸Rmax17.24μmの従来品では、閃光照射により1800個を超える欠陥数の増大が認められる。これは、従来品の表面粗さがRmaxで17.24μmと極めて大きいために、この大きな凹凸により、図1(a)に示したように、閃光が表面凹凸部で多重反射を起こし、その結果、閃光が凹凸部に高エネルギ密度で吸収されてサセプタ表面が部分的に破壊され、これがパーティクルとなって基板上に飛来して欠陥原因となることによるものと解釈される。
これに対して、Raが2.11μmと0.22μm、Rmaxが15μm以下である12.06μmと1.69μmの、本発明に係るサセプタを用いて閃光処理したものでは、図1(b)に示したように、サセプタ11の表面に照射された閃光は図1(a)に図示されたような当該表面での多重反射を生じることがないため、凹凸部における閃光エネルギ吸収に起因したサセプタ表面での部分的破壊が生じることがない。その結果、閃光処理後の欠陥増加数は僅かに10〜20個程度であり、従来品を用いた場合の100分の1以下の値にまで減少することとなるのである。
つまり、フォトマスクブランクに設けられた薄膜に閃光ランプ光を適正なエネルギ量で照射してその膜の歪を制御(開放)するに際しては、チャンバ内表面の凹凸(表面粗さ)を最大表面凹凸(Rmax)で15μm以下とすることによって、内材質から発生するパーティクルを大幅に抑制することが可能となる。
なお、図1では、サセプタの表面の凹凸のみが例示されているが、本発明においては、サセプタに限らず、閃光による照射を受け得るチャンバそのものの内表面およびチャンバ内に設けられる治具の表面が平滑化され、その最大表面凹凸Rmaxが15μm以下の滑らかなものとされる。なお、表面を滑らかにするための手法に特別な制約はないが、例えば、表面をファイヤーポリッシュしたり、或いは機械的研磨処理を行うなどの手法を採り得る。
このような滑らかな表面をもつチャンバおよび治具を用いた閃光照射は、微細パターン形成のために低欠陥性が求められるフォトマスクの素材としてのフォトマスクブランクの製造に特に有効である。そのようなフォトマスクブランクとしては、例えば、ハーフトーン位相シフトマスクブランクがあり、その場合には、石英などの透明基板上に半透明膜(ハーフトーンの位相シフト膜)を成膜させ、この位相シフト膜に所定量以下の光エネルギの閃光を照射する。ここで、光エネルギを所定量以下とするのは、位相シフト膜の膜中に蓄積された歪量(応力量)を制御し易くするためである。
この照射光エネルギ量の所定量は、作製されるフォトマスクブランクに求められる光学特性に依存し、位相シフトマスクの場合には、閃光照射を受ける位相シフト膜の組成や膜厚等に依存することとなる。これは、照射光エネルギが高すぎると膜質改善が損なわれることに加え、過剰照射による膜の破壊の恐れがあるためである。
このようなフォトマスクブランクが備える位相シフト膜としては、例えばアモルファスシリコン膜、酸素、窒素、炭素等を含有する金属化合物膜等があり、特に、ケイ素と、ケイ素以外の金属と、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種又は2種以上とを含有する層を単層又は多層で含む位相シフト膜はその光学特性制御性に優れる膜である。なお、位相シフト膜中に含有されるケイ素以外の金属としては、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr又はNi等が挙げられるが、閃光照射後の反りの低減や耐薬品性向上という観点からは、Moをベースにしたものが好ましい。そのような組成の位相シフト膜としては、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)又はモリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)などがあり、このようなモリブデンシリサイド系の位相シフト膜は、ターゲットとしてMoSi等を用いた反応性スパッタリング法により成膜することができる。
閃光照射される位相シフト膜が上述のようなモリブデンシリサイド系の膜である場合には、膜仕様としてKrF、ArF、F2レーザ露光用があり得るが、その透過率は200〜1100nmの波長範囲において、KrF、ArF、F2の順に高くなる。つまり、膜質により光の吸収効率が異なるため、閃光ランプによる照射も各々適正領域があり、KrF、ArF、F2の順に高くすることが必要となる。
具体的には、KrFレーザの波長(248nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギはカロリーメータの測定値で21.5J/cm2以下の所定量とされる。また、ArFレーザの波長(193nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギは32.5J/cm2以下の所定量とされる。さらに、F2レーザの波長(157nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギは41.5J/cm2以下の所定量とされる。ノマルスキー顕微鏡による観察によれば、位相シフト膜に上記の値よりも高い光エネルギで閃光照射すると、基板表面の位相シフト膜の一部が破壊されていることが確認されている。
なお、本発明における閃光ランプの単位発光時間(一回の発光に要する時間)は、100μsec〜1secの範囲である。閃光ランプの照射時間が短いと、エネルギ密度が低くなり、照射波長は短波長側へシフトする。閃光ランプの照射時間が長いと、エネルギ密度は大きくなり照射波長は長波長側へシフトする。本実施例では、エネルギ密度と、照射波長領域を鑑み1msec程度の照射時間を用いた。
(チャンバ内圧力の検討)
本実施例は、閃光照射処理を行う際のチャンバ内圧力がパーティクル発生に及ぼす効果に関するものである。本発明者らの検討によれば、閃光照射を行うチャンバ内の圧力を低くすることがパーティクル発生の抑制に有効であることが明らかとなった。
従来、閃光照射を行う際には、一旦チャンバ内を真空とし、例えば0.1μm径のパーティクルを除去可能なフィルタを透過させた窒素ガスでチャンバ内を置換し、清浄な窒素ガスを流しながら大気圧中で閃光照射を行っていた。しかし、このような大気圧下で閃光照射処理を実行すると、ある確率(頻度)で大量の欠陥が発生することが実験的に確認された。発明者らは、この現象を以下のように解釈した。
図3は、閃光照射処理を施す際の、サセプタに基板を載置させた状態を説明するための図で、図3(a)は上面図、図3(b)はサセプタ11に収容された基板10の端部の様子を示す断面図の一部である。図3(a)に示すように、石英ガラスなどの透明材料からなる基板10は、同じく石英ガラスなどの部材からなるサセプタ11に設けられた基板保持部12にその裏面のエッジ部が保持されてサセプタ11の掘込部に収容されている。このような基板保持部12を設けるのは、閃光照射処理中に基板10の裏面が傷つけられることがないように、基板10を僅かにサセプタ11内で浮かせるためである。このため、基板10の裏面とサセプタ11との間には僅かな間隙13が存在することとなる。
図4は、大気中での閃光照射の前後での基板表面上のパーティクルの空間的分布を求めた結果を示す基板上面図で、図4(a)は閃光照射前のパーティクル分布、図4(b)は閃光照射後のパーティクル分布を示している。この図から明らかなように、チャンバ内圧力を大気圧として閃光照射処理を施すと、基板表面上のパーティクルが大幅に増加する。これは、閃光ランプからの照射光をサセプタ11と基板10裏面との間の間隙13に存在する気体が吸収して急激に膨張する結果、サセプタ11内での基板10の位置ずれが生じたり、基板10とサセプタ11の衝突部分からパーティクルが発生し、さらに、閃光の吸収によって膨張した気体は、基板10の裏面から表面に至る流れを形成してこの気体の流れが欠陥発生原因としてのパーティクルを基板10の表面に運ぶことによるものと考えられる。
図5は、真空中(減圧状態)での閃光照射処理前後での基板表面上のパーティクルの空間的分布を求めた結果を示す図で、図5(a)は閃光照射前のパーティクル分布、図5(b)は閃光照射後のパーティクル分布を示している。この図から明らかなように、チャンバ内圧力を真空(減圧)状態にしたまま閃光照射処理を施すと、基板表面上でのパーティクルの増加はほとんど認められない。これは、チャンバ内を真空(減圧)状態とすることで、サセプタ11と基板10裏面との間の間隙13には最早、閃光ランプからの照射光を吸収する気体が存在せず、パーティクルの発生原因となる基板10とサセプタ11の衝突が生じなくなること、およびチャンバ内に残存しているパーティクルを基板表面に運ぶ気体の流れが生じなくなることなどによるものと解される。なお、図4および図5に示した結果は、レーザーテック株式会社製M1320で測定したものである。
ところで、基板10表面に運ばれてきたパーティクルは、基板10表面に衝突して損傷を与えたり固着したりする。機械的な傷がその後の洗浄によって取れることがないことは云うまでもないが、基板10表面に固着したパーティクルも洗浄により完全に除去することは困難である。
表3は、閃光照射後およびそれに続く基板洗浄後の基板表面上でのパーティクルレベルを説明するための図で、試料A−1およびA−2は従来同様に大気中での閃光照射処理を施した場合、試料B−1およびB−2は真空(減圧)中での閃光照射処理を施した場合を示している。この表には、閃光照射後の試料の基板表面上のパーティクル数と閃光照射後に洗浄を施した試料のパーティクル数を纏めてある。なお、これらの試料の欠陥測定(パーティクル測定)には、レーザーテック製Magics1320を用いた。
Figure 0004204583
この結果から明らかなように、閃光照射処理工程で付着したパーティクルはその後の洗浄で除去される傾向は認められるものの、その完全な除去は困難である。したがって、閃光照射により付着するパーティクル数を極力抑えることが、低欠陥フォトマスクブランクの製造にとって極めて重要であり、それを実現するためのひとつの手法として、チャンバ内を真空(減圧)状態にして閃光照射することが有効であることがわかる。
(サセプタ構造:その1)
本実施例は、閃光照射処理を行う際に基板を載置するサセプタの構成に関するもので、閃光ランプ光の照射量をなるべく低く抑えることで、閃光照射処理中に発生するパーティクルの低減を図るものである。
図6は、サセプタに載置された基板に垂直に入射した閃光ランプからの光の基板透過後の振舞いを、サセプタの構造例ごとに説明するための図で、図6(a)は透明石英の材料のみで構成されたサセプタ、図6(b)は不透明石英材料のみで構成されたサセプタを図示している。なお、本明細書中において「サセプタ」とは、基板を保持(載置)させるための部材を広く意味する用語として用いている。したがって、図面中に例示された形状等に限定されるものではない。また、その構成材料とされる石英ガラスは単なる例示であり、石英以外のガラス材料を用いてサセプタを作製することも可能である。
図6(a)に図示したように、照射される閃光の波長の光に対して透明な材料からなるサセプタ11aを用いた場合には、基板10に垂直に照射された閃光は基板10を透過した後に、基板10の裏面に対向するサセプタ11aの表面での反射を起こすよりも寧ろそのままサセプタ11の厚み方向に透過してしまう。このため、基板10を透過した閃光のエネルギの殆どはサセプタ11aを厚み方向に透過してしまう。その結果、基板10裏面に対向するサセプタ11a表面で反射されて再度基板10に入射し当該基板10の(図中上側の)表面に設けられた薄膜の応力制御に寄与する閃光成分は極めて低いものとならざるを得ない。
このような状況で薄膜の応力制御に要する光エネルギを薄膜に付与しようとすると、入射光のエネルギを高めることが必要とされるが、高エネルギの閃光を照射させると、既に説明したように、チャンバ内表面からのパーティクルの発生確率も高くなってしまうという結果を招いてしまう。
一方、図6(b)に示したように、サセプタ11bを閃光に対して不透明な材料(ここでは、「泡入りガラス」などの不透明石英)で構成すると、サセプタ11b中の閃光の透過率が低く(反射率が高く)なるため、結果として、基板10に垂直に照射された閃光が基板10の裏面に対向するサセプタ11bの表面で反射することにより、再度基板10へと閃光が入射して当該基板10の上側表面に設けられた薄膜の応力制御に寄与する閃光成分が高められることとなる。その結果、薄膜の応力制御に寄与する光エネルギを有効に利用可能となるから照射する光エネルギを低く設定することが可能となり、チャンバ内表面からのパーティクル発生確率も低く抑えられることとなる。また、閃光照射のエネルギを低く抑えることは、薄膜が備える光学的特性の均一な面内分布を確保することにも有効に作用するという利点もある。なお、既に説明したように、サセプタ表面のラフネス(最大表面粗さ)が15μm以下となるように平滑化しておけば、基板10に垂直に照射された閃光が基板10の裏面に対向するサセプタ11bの表面で反射する際のパーティクル発生抑制に更に有効である。
ここで、サセプタの「不透明度」は、300〜600nmの波長領域での全波長領域において、積分球(例えば、島津紫外可視分光光度計UV-2400PC)を用いて求まる反射率が10%以上(より好ましくは20%以上)とされる。このような「不透明度」の制御方法としては、透明基板の表面をHF処理により適当な粗さとしたり、或いは、「泡入りガラス」の基板の泡の大きさや密度を調整したり、更には、透明ガラスと泡入りガラスを積層させた際の泡入りガラスの層厚を調整する、などが考えられる。
図7は、不透明材料を用いたサセプタの形状や構造例を説明するための図で、ここで図示されているもの以外にも種々のものが有り得るが、図7(a)は基板10を載置する土台のみのサセプタ11(タイプ1)であり、図7(b)および(c)はサセプタ11の掘込部が土台とされているもの(タイプ2)である。なお、これらの図で符号11aで示した白抜きのものは透明石英部であり、符号11bで示したものは(泡入り石英ガラス等からなる)不透明石英部である。
先ず、最も基本的な構造である図7(a)に図示されたサセプタ11について説明すると、このサセプタ11は、第1の透明石英部と第2の透明石英部との間に不透明石英部11bを挟み込んだ3層構造を有している。上述したが、不透明石英部11bは例えば「泡入り石英」などの素材が用いられる。また、閃光に対する不透明度は、基板10上に設けられた薄膜の組成や膜厚、ならびに閃光処理する際の照射光エネルギなどの諸条件との関係を考慮して、適当な範囲の値となるように不透明石英部11bの材料選択や厚み設定により決定される。
図7(b)および図7(c)に示した構成、すなわち、サセプタの掘込部を基板載置のための土台とした構成のサセプタにおいても同様に、閃光照射エネルギの低減効果が得られる。この構成の場合も、不透明石英部11bの閃光に対する不透明度は、基板10上に設けられた薄膜の組成や膜厚、ならびに閃光処理する際の照射光エネルギなどの諸条件との関係を考慮して、適当な範囲の値となるように決定される。なお、掘込部を基板載置のための土台とした構成のサセプタは閃光照射エネルギの低減効果以外の有利な効果も奏するが、それについては実施例4で詳細に説明する。
また、図7には、便宜上、透明石英部11aと不透明石英部11bの積層構造のみを図示したが、透明石英部を用いることなく、互いに不透明度が異なる不透明石英部を複数積層させるようにしてもよい。さらに、透明石英部と不透明石英部の積層数または不透明石英部同士の積層数は、2層以上であればよく、3層である必要はない。つまり、本実施例で示したサセプタとは、光透過性材料からなる層をn層(nは2以上の自然数)積層させた構造を有し、これらn層のうちの少なくとも1層は、その閃光に対する不透明度が他の層とは異なる構造のものである。
表4は、本発明に係るタイプ1(図7(a))およびタイプ2(図7(b))のサセプタを用いてハーフトーン膜に閃光処理した場合の、最適照射電圧、照射後の薄膜の反り量、および基板の位相シフト膜成膜領域での閃光処理前後での光学特性(位相差および透過率)の面内分布を纏めたものである。なお、比較のため、従来の透明サセプタ(図1(a)参照)を用いた場合の結果も同時に表記した。
Figure 0004204583
ここでの閃光照射条件は以下のとおりである。先ず、一辺6インチの角型石英基板上にMoSiONからなるハーフトーン位相シフト膜を膜厚700Åで反応性DCスパッタリングした。なお、この位相シフト膜は、ArFエキシマレーザ(193nm)の露光光に対する位相差が180°で、且つ、その透過率はベア基板の概ね6%である。そして、この基板(すなわち位相シフト膜)を温度80℃に加熱した後、キセノン閃光ランプからの光を照射した。
表4に纏めた結果によれば、本発明に係るサセプタを用いることにより閃光処理時の照射光エネルギに対応する最適照射電圧は、従来品に比較して大幅に低下する。また、閃光照射によるハーフトーン位相シフト膜の光学特性分布の低下レベルも大幅に改善されるという事実を確認することができる。
(サセプタ構造:その2)
本実施例も、実施例3と同様に、閃光照射処理を行う際に基板を載置するサセプタの構成に関するもので、閃光ランプ光のサセプタからの反射光を抑制することで閃光照射時のパーティクル発生の低減を図るものであるが、かかる利点に加え、光学膜の基板周辺領域での光学特性異常を抑制するという効果を得ることができる。
図8(a)は閃光照射を受ける基板10の端部近傍での閃光の振る舞いを説明するための断面図、図8(b)は図8(a)に図示した閃光の入射・反射が生じた場合に基板10の主面に形成された位相シフト膜の光学特性が異常となる領域を示す平面図、そして図8(c)は図8(b)に図示した基板周辺部の位相シフト膜の光学特性分布をマッピングした図である。
図8(a)に示すように、一般的な基板10の端部はフォトマスクブランクの製造工程(およびフォトマスクの使用時)においてクラック等が生じないように、テーパ状に面取りされている。閃光照射時には、図6に示したような垂直照射光だけではなく、図中に示したような斜め方向から基板に入射する照射光も存在することとなるが、基板10の端部のテーパ部に入射する閃光は、基板10の裏面で反射を生じてこの反射光が基板10の主面に形成された薄膜(ここでは位相シフト膜14)に裏面から照射されることとなる。また、このような基板10のテーパ部から斜め入射した閃光に限らず、透明石英のみからなるサセプタ11に斜め入射した閃光がサセプタ11の掘込部表面で反射してこれが位相シフト膜14に照射される現象も生じる。つまり、このような基板10の周辺近傍領域は、その他の領域よりも多くの閃光照射を受けることとなるのである。
光照射によるエネルギを他領域よりも多く付与された領域では位相シフト膜の光学特性が異常となり易く、例えば図8(b)に示すように、基板10の四辺に沿って形成されている面取り部の近傍に、基板の辺と平行に延在するバンド状の光学特性の異常領域14aを生じさせることとなる。
これに対して、図7(b)や図7(c)に図示したような、掘込部を基板載置のための土台とした構成の本発明のサセプタを用いた場合には、図9に(hνで)示すように、斜め方向から入射してきた閃光は、サセプタ11の掘込部の周囲の側壁部の不透明石英部11bによって乱反射される。このため、基板10端部のテーパ状面取り部に直接入射した閃光が基板10の裏面で反射されたり、サセプタ11の側壁部に斜め入射した閃光がサセプタ11の掘込部表面に直接入射して基板へと反射したりする現象が抑制される。このため、これらの光が基板10主面に設けられた薄膜に裏面から入射して過剰な光エネルギを付与する程度が軽減されることとなる。
このような効果は、図9(b)に図示したように、基板10を収容するサセプタ11の側壁の掘込部からの高さを基板10厚みよりも高く設定することとすると、より顕著となる。これは、上述した不透明石英部11bでの閃光の乱反射が基板10上面よりも高い位置で生じることとになるためである。なお、閃光乱反射体としての不透明石英部11bを設けるサセプタ11内での位置や厚みは、上述した効果がより高められるように、適宜設定されることは云うまでもない。例えば、図9(c)に示すように、側壁部全体を不透明石英ガラスで形成するようにしてもよい。
図10(a)および図10(b)はそれぞれ、従来の透明サセプタ(図1(a)参照)および本発明に係るタイプ2(図9(a)参照)のサセプタを用いて閃光照射した場合の照射後の位相シフト膜の光学特性(位相差および透過率)の面内プロファイルを説明するための図である。この図に示された結果から、本発明のサセプタを用いることにより、基板10の周辺領域に現れる光学特性の異常レベルが軽減されていることが分かる。
なお、上述したように、閃光照射処理を行う基板をチャンバ内に持ち込む際に、その洗浄化を図ることでチャンバ内でのパーティクルの蓄積を回避することは極めて有効である。従来より、精密基板表面上の有機物や金属などの異物除去には、硫酸過水、アンモニア過水、酸性界面活性剤などが洗浄液として用いられてきたが、基板の品質劣化を避けるという観点からは、オゾン水を使用した洗浄が有効である。したがって、洗浄液に紫外線(UV)を照射してオゾンを発生させるいわゆる「UV/オゾン洗浄」を行うことが好ましい。
例えば、誘電体バリア放電エキシマランプによる172nmを中心波長とする、VUV/O3洗浄により、基板表面に付着した有機物を分解、次いでスクラブにより大きな汚れを物理的に洗浄した後、機能水を付加した超純水に高周波を加え、より細かいサブミクロンの汚れを落とし、最後に超純水リンスして、最終的にスピン乾燥させる。
以上、実施例により本発明のフォトマスクブランクの製造に関する技術について説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明のサセプタは光透過性材料の複数層を積層させた多層構造を有するが、この場合の「多層」とは、図11(a)、(b)に例示して図示したように、相対的に光透過性の低い層(11b)の表面を相対的に光透過性の高い層(11a)でコートしたり、あるいは、単一の層の表面を熱改質するなどにより表面の不透明度を変えて実質的に「多層」としたものをも包含し得る。これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
本発明は、パーティクル起因の欠陥を低減させたフォトマスクブランクを製造する方法を提供する。
チャンバ内表面の凹凸部による閃光の多重反射の様子を説明するための概念図である。 閃光照射後に認められた基板上での欠陥増加数を、サセプタの平均表面凹凸(Ra)および最大表面凹凸(Rmax)を横軸としてプロットした図である。 閃光照射処理を施す際の、サセプタに基板を載置させた状態を説明するための図で、(a)は上面図、(b)はサセプタに収容された基板の端部の様子を示す断面図の一部である。 大気中での閃光照射の前後での基板表面上のパーティクルの空間的分布を求めた結果を示す図で、(a)は閃光照射前のパーティクル分布、(b)は閃光照射後のパーティクル分布を示している。 真空中での閃光照射処理前後での基板表面上のパーティクルの空間的分布を求めた結果を示す図で、(a)は閃光照射前のパーティクル分布、(b)は閃光照射後のパーティクル分布を示している。 サセプタに載置された基板に垂直に入射した閃光ランプからの光の基板透過後の振舞いを、サセプタの構造例ごとに説明するための図で、(a)は透明石英の材料のみで構成されたサセプタ、(b)は不透明石英材料のみで構成されたサセプタを図示している。 不透明材料を用いたサセプタの形状や構造例を説明するための図で、(a)は基板を載置する土台のみのサセプタ(タイプ1)であり、(b)および(c)はサセプタの掘込部が土台とされているもの(タイプ2)である。 (a)は閃光照射を受ける基板10の端部近傍での閃光の振る舞いを説明するための断面図、(b)は(a)に図示した閃光の入射・反射が生じた場合に基板の主面に形成された位相シフト膜の光学特性が異常となる領域を示す平面図、そして(c)は(b)に図示した基板周辺部の位相シフト膜の光学特性分布をマッピングした図である。 掘込部を基板載置のための土台とした構成の本発明のサセプタを用いた場合の、斜め方向から入射してきた閃光の乱反射の様子を説明するための図である。 (a)および(b)はそれぞれ、従来の透明サセプタ(図1(a)参照)および本発明に係るタイプ2(図9(a)参照)のサセプタを用いて閃光照射した場合の照射後の位相シフト膜の光学特性(位相差および透過率)の面内プロファイルを説明するための図である。 (a)および(b)はそれぞれ、相対的に光透過性の低い層の表面を相対的に光透過性の高い層でコートして「多層」化したサセプタ構造を説明するための図である。
符号の説明
10 基板
11 サセプタ
12 基板保持部
13 間隙
14 位相シフト膜

Claims (7)

  1. 透明基板上に設けられた光学膜に閃光を照射するステップを備えたフォトマスクブランクの製造方法であって、
    前記照射は、前記透明基板を、前記閃光に対して不透明なガラス材料からなる基板保持部材に載置させて実行され、
    前記基板保持部材は、光透過性材料からなる層をn層(nは2以上の自然数)積層させた構造を有し、該n層のうちの少なくとも1層は前記閃光に対する不透明度が他の層とは異なる層であることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  2. 前記積層構造は、前記閃光に対して透明な層と不透明な層とを積層させたものであることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  3. 前記ガラス材料は、不透明石英ガラスであることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  4. 前記不透明な層は、泡入りガラスからなることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  5. 前記基板保持部材の前記閃光に対する不透明度は、300〜600nmの波長領域での全波長領域において、積分球を用いて求まる反射率が10%以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  6. 前記基板保持部材の最大表面粗さ(Rmax)が15μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  7. 前記光学膜は位相シフト膜であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。

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