JP4603983B2 - フォトマスクブランクおよびフォトマスクブランクの製造方法 - Google Patents

フォトマスクブランクおよびフォトマスクブランクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フォトマスクブランクおよびその製造方法に関し、より詳細には、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液晶表示素子)用カラーフィルタ、及び磁気ヘッド等の微細加工に用いられるフォトマスクの素材としてのフォトマスクブランクの製造技術に関する。
高集積化が進む半導体集積回路製造等に使用されるリソグラフィ技術は、解像度の向上を目的として光露光装置で用いられる露光光の短波長化が進み、2004年にアップデートされたITRS(国際半導体技術)のリソグラフィに関するロードマップによれば、紫外線光源であるg線(波長λ=436nm)やi線(λ=365nm)から遠紫外線光源であるKrF線(λ=248nm)やArF線(λ=193nm)へと短波長化が進行し、さらに、2007年にはハーフピッチが65nmのhp65でArF液浸へ、そして2010年にはハーフピッチが45nmのhp45でF2あるいはArF液浸と解像度向上技術(RET:resolution enhancement technology)の組み合わせへとシフトしようとしている。
このように、最先端技術分野でのフォトマスク(およびその素材としてのフォトマスクブランク)の需要は少なくとも2010年までは確実に保たれるものと考えており、2013年頃と予想されるハーフピッチ32nmのhp32および2016年頃と予想されるハーフピッチ22nmのhp22においても、フォトマスクを用いたリソグラフィが使用される可能性も指摘されている。
ところで、解像性能の評価量としてのレイリーの式によれば、解像線幅RPと焦点深度DOFはそれぞれ、k1およびk2を比例定数として次式で与えられる。
Figure 0004603983
Figure 0004603983
従って、リソグラフィ技術における微細化のためには、上述した短波長化に加え、開口数(NA)を高くする必要がある。
この高NA化の技術として最近注目されている「液浸技術」は、露光対象であるウエハとこのウエハに最も近く設けられるレンズとの間を、露光環境の雰囲気(気体)よりも高い屈折率(n)の液体で満たし、これにより、NA値をその液体の屈折率倍(n倍)にして、高い開口数を得ようとするものである。
すなわち、NAは、露光対象であるウエハ上の1点に結像する光束の広がりを±θとした場合には、n0をウエハ側の屈折率として、NA=n0・sinθで与えられるが、通常はウエハ側は空気(n0=1)であるためにNA=sinθとなる。したがって、露光対象ウエハとレンズとの間を屈折率nの液体で満たすと、NA=n・sinθとなって、開口数NAを大きくすることができ、解像線幅RPを小さくすることが可能となるのである。
小さな解像線幅RPを得るためには、上式(1)から分かるように、k1ファクタを低くすることも有効な方法であり、このためのRETとしては、有効光源の形状を単純な円形から変形させる「変形照明」によるものや、同一マスクでウエハを投影光学系の光軸方向に動かして露光するFLEXなどの「多重露光」によるものなどがある。
一方、上式(2)から分かるように、露光波長の短波長化は解像線幅RPの低減には有効である反面、焦点深度DOFの低下を招く結果となり、製造歩留まりに悪影響を及ぼすという問題を生じる。つまり、露光波長の短波長化は、kファクタを小さくして微細な構造を転写することには有利である反面、焦点深度DOFが低下するため、フォトマスクの平坦度が充分ではない場合には、フォーカスエラーを起こして製品歩留まりを低下させてしまうという問題がある。
これを改善する方法のひとつとして位相シフト法がある。位相シフト法では、位相シフトマスクを用い、相互に隣接するパターンの位相が概ね180°異なる用にパターン形成が行われる。すなわち、位相シフトマスクに設けられた位相シフト膜により露光光の位相が180°変換されるため、位相シフト膜パターンが形成された領域を通過した光と位相シフト膜が存在しない領域を通過した光とは、領域の境界部分で光強度0となり、当該領域において急峻な変化を示す光強度分布が得られる。その結果、高いDOFを得ることができ、像コントラストが向上することとなる。なお、位相シフトマスクにはレベンソン型やハーフトーン型などがあり、特に、ハーフトーン型位相シフトマスクを用いることにより大幅なDOFの改善が可能となる。
ハーフトーン型位相シフトマスクとしては、その構造が比較的単純な単層型マスクが提案されており、このような単層型位相シフトマスクとしては、モリブテンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブテンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)からなる位相シフト膜を有するものなどが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
このような位相シフトマスクの製造方法としては、位相シフトマスクブランクをリソグラフィ法によりパターン形成する方法が用いられる。このリソグラフィ法は、位相シフトマスクブランク上にレジストを塗布し、電子線又は紫外線により所望の部分を感光させた後、これを現像して、感光部分の位相シフト膜表面を露出させる。そして、パターニングされたレジスト膜をマスクとして用い、露出している位相シフト膜をエッチングにより除去して基板面を露出させ、その後、レジスト膜を剥離することで、位相シフトマスクを得るというものである。
ところで、デバイスの複層構造を形成するために複数枚のフォトマスクを用いる場合には、高い重ね合わせ精度が必要になる。そして、その重ね合わせ精度は、パターンの微細化に伴ってより高いものとならざるを得ない。
しかし、フォトマスクブランクの状態で既に、基板上に形成された薄膜に応力が蓄えられている場合には、このブランクが、レジスト塗布、露光、現像、エッチィング、レジスト剥離の各工程を経てパターン描写を行う際に、膜中に蓄積されている応力が部分的に開放され、最終的に得られるフォトマスクに「歪み」(ディストーション)を生じさせる。このようなディストーションがあると、フォトマスクの重ね合わせ精度は低下して、描写される回路パターンの欠陥原因となる。
このような「歪み」のレベルは、描写されるべきパターンと膜中に蓄えられた応力の大きさとに依存し、これをフォトマスクの製造プロセス中に制御したり開放したりすることは極めて困難である。
尤も、各薄膜の応力が概ねゼロとなるような条件で薄膜形成すればこのような問題が生じることはないが、光学膜としての薄膜が備えるべき諸特性を確保するための成膜条件が、同時に、低応力の薄膜を形成するための条件でもあるという製造プロセス条件を見出すことは極めて難しく、事実上不可能である。このため、薄膜の諸特性が確保可能な条件で成膜する工程と、薄膜の低応力化を図る工程とを、独立した別個の工程とする必要がある。
一般に、フォトマスクブランクにおいては、位相シフト膜等の薄膜はスパッタリング法により成膜されるが、その成膜プロセスの過程で膜中に応力が生じ、この応力によって基板そのものが歪み、フォトマスクブランクには反りが発生するが、この問題の解決方法として、位相シフト膜等の光吸収性の薄膜に閃光ランプからの光を所定のエネルギ密度で照射して膜応力を制御し、これによりフォトマスクブランクの反りを低減するという技術が提唱されている(特許文献2)。
特開平7−140635号公報 特開2004−0223号公報 特開平5−304128号公報
薄膜の応力緩和のための外部からのエネルギ付与手段としては、ホットプレート、ヒータ、ハロゲンランプ、赤外ランプ、ファーネス、RTA(Rapid Thermal Anneal)等も考えられるが、これらの手法によると、過剰なエネルギ付与による基板温度の上昇によって基板自体に損傷を与えたり、処理時間が長くなってしまうために生産性が低下したりという問題が生じるため、特許文献2にあるような閃光ランプによる光照射が優れている。
特許文献2に記載されている技術によれば、フォトマスクブランクに設けられた薄膜に閃光ランプ光を適正なエネルギ量で照射することにより、フォトマスクブランク(特にハーフトーン型位相シフトマスク)の膜応力をその反り量で0.2μm以下(条件をより適正化することで0.1μm以下)にすることが可能となり、ハーフトーン位相シフト膜の光学特性も面内での位相差分布で0.63°、透過率分布で0.13%が達成されている。
しかしながら、特許文献2に記載されているような閃光ランプ処理を施すこととした場合には、閃光照射後の基板に膜剥がれや欠陥が発生し易いという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、閃光照射に起因する膜剥がれや欠陥を低減させたフォトマスクブランクを製造する方法を提供することにある。
本発明はこのような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、フォトマスクブランクの製造方法であって、主面上に光学膜を有する透明基板に洗浄処理を施した後に前記光学膜に閃光を照射して該光学膜の応力を緩和させるステップを備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記洗浄処理は、前記透明基板の端面および基板主面の周辺領域に施されるものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記洗浄処理後の前記光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数は50個以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記洗浄処理後の前記光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数は10個以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記閃光の照射は、減圧下のチャンバ内で実行されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記閃光の照射時間は、0.1msec乃至100msecであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記洗浄処理はメガソニック洗浄であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記光学膜は位相シフト膜であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記光学膜はKrFレーザの波長(248nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは21.5J/cm2以下であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記光学膜はArFレーザの波長(193nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは32.5J/cm2以下であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記光学膜はF2レーザの波長(157nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは41.5J/cm2以下であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記位相シフト膜は、珪素と珪素以外の少なくとも1種の金属を含む層を少なくとも1層備えていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記珪素以外の少なくとも1種の金属は、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr又はNiの何れかであることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のフォトマスクブランクの製造方法において、前記位相シフト膜は、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)又はモリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)の層を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、透明基板上に形成された光学膜に閃光照射に起因する膜剥がれや欠陥の低減のために、閃光照射に先立ってパーティクルや汚れを充分に除去するためのメガソニック洗浄を施すようにしたので、閃光照射に起因する膜剥がれや欠陥を低減させたフォトマスクブランクを提供することが可能となる。この洗浄は、基板の端面および基板主面の周辺領域(端面近傍)で充分なパーティクル・汚れ除去がなされるように施されることが効果的である。この洗浄により光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数を50個以下とすると、閃光照射後のパーティクル増加数は顕著に抑制され、パーティクル数を10個以下となるように洗浄を施すと、パーティクル増加数はさらに抑制される。また、チャンバ内圧力を真空(減圧)状態にしたまま閃光照射処理を施すと、基板表面上でのパーティクルの増加は顕著に抑制される。
以下に図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。キセノンランプ等を用いたUV閃光照射は、これによりオゾン発生等をさせて基板等をドライクリーニングするために採用されている手法である(例えば、特許文献3を参照)。このため、フォトマスクブランクの製造プロセスに閃光照射を採用する場合においても、当該照射により基板(および基板上に設けられた光学膜)の清浄度が高められることはあっても、照射により基板が汚染されたり基板上のパーティクルが増大するとは考えられていなかった。したがって、閃光照射に先立って予め基板の清浄度を高めるための洗浄を施すことが、その後のフォトマスクブランクの光学膜の膜質を高めることとなるという着想はなかった。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、基板端面や基板上に形成された光学膜の上にパーティクルが残存した状態で閃光照射を行うと、閃光照射後に膜剥がれや欠陥が発生し易いという現象が明らかとなった。そして、発明者らは、この現象のメカニズムを以下のようなものと解釈した。
閃光ランプは、発光時間が短く、高照度で連続した幅広の波長領域をもつ光源で、例えばキセノンフラッシュランプがこれにあたる。このため、レーザ光源を用いる場合とは異なり、光吸収膜が特定波長の光に対して大きな吸収を示す膜である必要はない。従って、閃光照射の手法による応力制御が可能な膜組成などの制約は極めて緩やかであり応用範囲は広い。また、基板上で照射光を走査させる必要もなく、基板全面に短時間で光照射(エネルギ付与)することができる。さらに、広い波長領域にわたるスペクトルをもつために、種々の波長の光の照射効果を同時に得ることもできる。
このような閃光がハーフトーン位相シフト膜などの光吸収膜に照射されると、その照射光の吸収や急激な温度変化等によって膜組成や原子の結合状態等が変化して応力緩和が生じると考えられるが、この照射光は基板に付着したパーティクルや汚れにも照射されるから、そのパーティクル等の表面形状、閃光に対する反射率、およびその材質特性などに応じた照射光吸収が起こる。
このような瞬間的な光エネルギがパーティクル等に吸収されて光吸収量が所定の値を超えると、その急激な膨張・収縮などにより当該表面の状態が変化して局所的な破壊が生じて微小なパーティクルが多数発生し、チャンバ内に蓄積され、チャンバ内を浮遊し、基板上に付着したり基板表面を損傷させたりしてフォトマスクブランクの欠陥原因となる。また、パーティクルや汚れ部の温度上昇が光学膜を局所的に過熱させて膜剥がれを誘引したりする。
本件発明以前は、閃光照射は基板の清浄度を高めるものとの先入観があったために、従来のプロセスでは、透明基板上に光学膜を形成した後に、特別な洗浄を施すことなく、光学膜の熱的な歪を緩和させるための閃光照射が実行されることとされ、洗浄工程はこの閃光照射後に設けられるプロセスとされていたが、閃光照射に起因する膜剥がれや欠陥の低減のためには、閃光照射に先立ってパーティクルや汚れを充分に除去しておくことが極めて有効である。
以下では、これらの知見に基づいてなされた本発明を、実施例により説明する。
(光学膜の成膜):透明基板である一辺が6インチの角型石英基板上にMoSiターゲットを用いて、光学膜としてのハーフトーン位相シフト膜を反応性DCスパッタリング成膜する。本実施例では、MoSiONからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。なお、MoSiON膜は位相シフト膜の一例であり、これ以外のも種々の組成のものがあり得る。
フォトマスクブランクに設ける位相シフト膜としては、例えば、アモルファスシリコン膜、酸素、窒素、炭素等を含有する金属化合物膜等があり、特に、ケイ素と、ケイ素以外の金属と、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種又は2種以上とを含有する層を単層又は多層で含む位相シフト膜はその光学特性制御性に優れる膜である。
位相シフト膜中に含有されるケイ素以外の金属としては、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr又はNi等が挙げられるが、閃光照射後の反りの低減や耐薬品性向上という観点からは、Moをベースにしたものが好ましい。そのような組成の位相シフト膜としては、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)又はモリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)などがあり、このようなモリブデンシリサイド系の位相シフト膜は、ターゲットとしてMoSi等を用いた反応性スパッタリング法により成膜することができる。
(洗浄処理):閃光照射前の洗浄処理は、物理的にパーティクル・汚れを除去する機械的洗浄や純水中に基板を浸漬させた状態で高い周波数の振動を付与するメガソニック洗浄などで行うが、本実施例ではメガソニック洗浄を施した。なお、この洗浄は、基板の端面および基板主面の周辺領域(端面近傍)で充分なパーティクル・汚れ除去がなされるように施されることが効果的である。これは、基板の端面と端面近傍に最もパーティクルおよび汚れが残存し易いためである。
(閃光照射):石英を研削した後にフッ酸処理を施したサセプタに、上記の洗浄を施した基板を温度80℃に加熱した後、キセノン閃光ランプから発光する光をエネルギ密度16J/cm2で照射した。
ここで、閃光光の照射時間は、0.1msec〜100msecの範囲とされる。閃光ランプの照射時間が短いと、エネルギ密度が低くなり、照射波長は短波長側へシフトする。閃光ランプの照射時間が長いと、エネルギ密度は大きくなり照射波長は長波長側へシフトする。本実施例では、エネルギ密度と、照射波長領域を鑑み1msec程度の照射時間を用いた。
なお、照射光エネルギ量の所定量は、作製されるフォトマスクブランクに求められる光学特性に依存し、位相シフトマスクの場合には、閃光照射を受ける位相シフト膜の組成や膜厚等に依存することとなる。これは、照射光エネルギが高すぎると膜質改善が損なわれることに加え、過剰照射による膜の破壊の恐れがあるためである。
閃光照射される位相シフト膜が上述のようなモリブデンシリサイド系の膜である場合には、膜仕様としてKrF、ArF、F2レーザ露光用があり得るが、その透過率は200〜1100nmの波長範囲において、KrF、ArF、F2の順に高くなる。つまり、膜質により光の吸収効率が異なるため、閃光ランプによる照射も各々適正領域があり、KrF、ArF、F2の順に高くすることが必要となる。
具体的には、KrFレーザの波長(248nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギはカロリーメータの測定値で21.5J/cm2以下の所定量とされる。また、ArFレーザの波長(193nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギは32.5J/cm2以下の所定量とされる。さらに、F2レーザの波長(157nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜に対しては、閃光照射エネルギは41.5J/cm2以下の所定量とされる。ノマルスキー顕微鏡による観察によれば、位相シフト膜に上記の値よりも高い光エネルギで閃光照射すると、基板表面の位相シフト膜の一部が破壊されていることが確認されている。
このような閃光照射は、減圧下で実行することが好ましい。これは、閃光照射処理を行う際のチャンバ内圧力が冶具等からの新たなパーティクル発生に影響を及ぼすことによる。本発明者らの検討によれば、閃光照射を行うチャンバ内の圧力を低くすることがパーティクル発生の抑制に有効であることが明らかとなった。
従来、閃光照射を行う際には、一旦チャンバ内を真空とし、例えば0.1μm径のパーティクルを除去可能なフィルタを透過させた窒素ガスでチャンバ内を置換し、清浄な窒素ガスを流しながら大気圧中で閃光照射を行っていた。しかし、このような大気圧下で閃光照射処理を実行すると、ある確率(頻度)で大量の欠陥が発生することが実験的に確認された。発明者らは、この現象を以下のように解釈した。
石英ガラスなどの透明材料からなる基板は、同じく石英ガラスなどの部材からなるサセプタに設けられた基板保持部にその裏面のエッジ部が保持されてサセプタの掘込部に収容されるが、このとき、基板の裏面とサセプタとの間には僅かな間隙が存在することとなる。チャンバ内圧力を大気圧として閃光照射処理を施すと、閃光ランプからの照射光をサセプタと基板裏面との間の間隙に存在する気体が吸収して急激に膨張する結果、サセプタ内での基板の位置ずれが生じたり、基板とサセプタの衝突部分からパーティクルが発生し、さらに、閃光の吸収によって膨張した気体は、基板の裏面から表面に至る流れを形成してこの気体の流れが欠陥発生原因としてのパーティクルを基板の表面に運んで、基板表面上のパーティクルを増加させる。
これに対して、チャンバ内圧力を真空(減圧)状態にしたまま閃光照射処理を施すと、サセプタと基板裏面との間の間隙には最早、閃光ランプからの照射光を吸収する気体が存在せず、パーティクルの発生原因となる基板とサセプタの衝突が生じなくなること、およびチャンバ内に残存しているパーティクルを基板表面に運ぶ気体の流れが生じなくなることなどにより、基板表面上でのパーティクルの増加は顕著に抑制される。
(欠陥レベル):図1は、閃光照射前に施した洗浄処理後の基板上のパーティクル数と閃光照射後のパーティクル増加量の相関を説明するためのグラフである。なお、欠陥測定に用いた検査装置は、直径0.1μm以上のパーティクルを検出可能なレーザテック製Magic M1320である。
図1に示された結果によれば、光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数が50個以下となるように洗浄を施すと、閃光照射後のパーティクル増加数は顕著に抑制される。このパーティクル数を10個以下となるように洗浄を施すと、パーティクル増加数はさらに抑制される。
以上、実施例により本発明のフォトマスクブランクの製造に関する技術について説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。上述の実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは自明である。
本発明は、閃光照射に起因する膜剥がれや欠陥を低減させたフォトマスクブランクを製造する方法を提供する。
閃光照射前の基板上のパーティクル数と閃光照射後のパーティクル増加量の相関を説明するためのグラフである。

Claims (15)

  1. 主面上に光学膜を有する透明基板に洗浄処理を施した後に前記光学膜に閃光を照射して該光学膜の応力を緩和させるステップを備えていることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  2. 前記洗浄処理は、前記透明基板の端面および基板主面の周辺領域に施されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  3. 前記洗浄処理後の前記光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数は50個以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  4. 前記洗浄処理後の前記光学膜上の直径0.1μm以上のパーティクル数は10個以下であることを特徴とする請求項3に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  5. 前記閃光の照射は、減圧下のチャンバ内で実行されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  6. 前記閃光の照射時間は、0.1msec乃至100msecであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  7. 前記洗浄処理はメガソニック洗浄であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  8. 前記光学膜は位相シフト膜であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  9. 前記光学膜はKrFレーザの波長(248nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは21.5J/cm2以下であることを特徴とする請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  10. 前記光学膜はArFレーザの波長(193nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは32.5J/cm2以下であることを特徴とする請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  11. 前記光学膜はF2レーザの波長(157nm)の光に対して5〜7%の透過率を有する位相シフト膜であり、前記閃光の照射エネルギは41.5J/cm2以下であることを特徴とする請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  12. 前記位相シフト膜は、珪素と珪素以外の少なくとも1種の金属を含む層を少なくとも1層備えていることを特徴とする請求項8に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  13. 前記珪素以外の少なくとも1種の金属は、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr又はNiの何れかであることを特徴とする請求項12に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  14. 前記位相シフト膜は、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)又はモリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)の層を備えていることを特徴とする請求項13に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法で製造されたフォトマスクブランク。

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