以下、本発明に係る洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機について図面に基づき説明する。なお、左右の方向は正面視によるものとする。
図1は、本実施形態の全自動洗濯機の構成を示す側面断面図である。この洗濯機の筐体1の内部には、有底円筒形状の外槽2が前吊棒3および後吊棒4(図では各1本ずつが見えているが実際には各2本ずつ存在する)により前方に向けて傾斜するように吊支されている。この外槽2の上部前方への突出に対応して、筐体1の前面上部も張り出している。なお、筐体1の前面は大きく開口しており、この開口部16は着脱可能に前面パネル17によって覆われている。このため、前面パネル17の上部が外槽2の上部の張り出しに対応して張り出すことになる。
外槽2の内部には、周壁に多数の脱水孔を有する洗濯兼脱水槽5が脱水槽軸6を中心に回転自在に軸支されている。外槽2および洗濯兼脱水槽5は本発明の洗濯槽(洗浄槽)を構成している。洗濯兼脱水槽5の底部には、外槽2内に水流を発生させ洗濯物を撹拌するためのパルセータ7(本発明の洗濯手段、洗浄手段に相当)が配置されている。外槽2の底部には、パルセータ7および洗濯兼脱水槽5を駆動する駆動機構10が設けられている。この駆動機構10は、脱水槽軸6、脱水槽軸6に内装された、パルセータ7の回転軸である翼軸9、脱水槽軸6および翼軸9と同軸的に設けられたモータ8、モータ8の動力を翼軸9のみに伝えるか、翼軸9と脱水槽軸6の両方に伝えるかを切り換えるクラッチを備える。そして、この駆動機構10により、主として洗い運転や濯ぎ運転時にはパルセータ7のみを一方向または両方向に回転させ、脱水運転時には洗濯兼脱水槽5とパルセータ7とを一体に一方向(これを正転方向とする)に回転させる。なお、洗濯兼脱水槽5は、モータ8が1回転することにより1回転する。一方、翼軸9の途中には減速機構(図示せず)が備えられているので、パルセータ7は、減速機構による減速比に従って回転する。
外槽2の上部後方には、内部に収容した洗剤等を投入するための洗剤容器12を備えた注水口11が設けられている。前記洗剤容器12は、洗剤を収容する洗剤収容部12aと柔軟仕上剤を収容する仕上剤収容部12bとに区画されている。
図5に示すように、注水口11の右側には水道水を供給するための2連の給水バルブ13が設けられている。この給水バルブ13の第1バルブ13a(本発明の給水手段、水道水供給手段に相当)は洗剤収容部12aにつながっており、第2バルブ13bは仕上剤収容部12bにつながっている。第1バルブ13aが開放されると、外部の給水栓等から洗剤収容部12aに水道水が流れ込み、下方の洗濯兼脱水槽5内に向けて水道水が吐き出される。このとき、洗剤収容部12aに洗剤が入れられていれば、水道水とともに洗剤が洗濯兼脱水槽5内に投入される。一方、第2バルブ13bが開放されると、外部の給水栓等から仕上剤収容部12bに水道水が流れ込み、下方の洗濯兼脱水槽5内に向けて水道水が吐き出される。このとき、仕上剤収容部12bに柔軟仕上剤が入れられていれば、水道水とともに柔軟仕上剤が洗濯兼脱水槽5内に投入される。
注水口11の左側には風呂水ポンプ59(本発明の給水手段、風呂水供給手段に相当)が設けられている。この風呂水ポンプ59は、第1バルブ13aと同様、洗剤収容部12aにつながっている。風呂水ポンプ59が駆動されると、洗剤収容部12aに風呂水が流れ込み、下方の洗濯兼脱水槽5内に向けて風呂水が吐き出される。
外槽2の底部の前端部、つまり最底部には排水管14の一端が接続されており、この排水管14は排水バルブ15により開閉されるようになっている。排水管14の他端は、図示しないが、起立自在な排水ホースを介して外部の排水溝に連なっている。排水バルブ15の開閉動作は上述したクラッチの切り換え動作と関連しており、付設されたトルクモータ26(図7参照)が動作していないときには排水バルブ15は閉鎖した状態で、パルセータ7は洗濯兼脱水槽5と切り離されて単独で回転可能となっており、トルクモータ26を作動させてワイヤを途中まで牽引すると、排水バルブ15が閉鎖した状態でパルセータ7と洗濯兼脱水槽5とが連結され、ワイヤをさらに牽引すると、パルセータ7と洗濯兼脱水槽5とが連結されたまま排水バルブ15が開放する。
上述のように本実施形態の洗濯機では、外槽2および洗濯兼脱水槽5を前方に傾斜させることによって、その上面開口が鉛直上方よりも前方を向いている。すなわち、外槽2の中心軸線CLは鉛直線VLに対して、予め定める傾斜角度αだけ傾くように配置されている。そのため、この洗濯機の前方に立った使用者が洗濯兼脱水槽5の底部を視認しやすく、また洗濯物を取り出しやすくすることができる。ここで、傾斜角度αを5〜20度程度の範囲とすれば、十分に洗濯物を取り出しやすくできるとともに、筐体1の突出をあまり大きくせずにすむ。本実施例ではこの傾斜角度αを約10度に設定している。
さて、外槽2の外周壁下部には、電解装置31(本発明の電解手段に相当)が備えられている。この電解装置31はユニット化されており、外槽2とは別体に作られ、ネジなどにより外槽2に取り付けられている。この電解装置31は、外槽2の前側に備えられており、前面パネル17を取り外すだけで、電解装置31が表われる。このような構成により、電解装置31の修理、交換などが容易に行える。
この電解装置31は、外槽2とは別室として設けられた電解槽32と、この電解槽32内に配置された一対の電極33と、電解槽32の上部69と外槽2とをつなぐ上部通水路34と、電解槽32の下部と外槽2とをつなぐ下部通水路35とを有している。
電解装置31は、外槽2内に溜められた水の水位が洗濯水位になったときに、一対の電極33の少なくとも一部が水没するような高さ位置に取り付けられている。
一対の電極33は第1電極33aと第2電極33bとからなり、第1電極33aおよび第2電極33bはともに方形の薄型板状をしている。電解槽32は、外槽2の周壁面に対する奥行寸法(D1参照)が小さくなるような薄型箱状に形成されている。そして、第1電極33aおよび第2電極33bは、それぞれの電極表面が外槽周壁に対面するような方向で、所定間隔をおいて並んで電解槽32内に配置されている。このような構成により、外槽2から外側への電解装置31の張り出し量を抑えることができるので、脱水において、外槽2が振動した時に電解装置31が筐体1に衝突するのを防止できる。よって、筐体1の大型化を抑えることができる。
ところで、電解装置31の電解槽32を外槽2に一体に形成し、電極33を外槽2の内部に取り付けることも考えられる。このような場合、狭い外槽2の内部では、電極33を組み付け難く、また、電極33をメンテナンスやリサイクルする際に取り外し難い。そこで、本実施の形態の電解装置31は、外槽2の外側に取り付けられている水処理ユニット60を有している。
水処理ユニット60は、組立時に一体的に扱えるようにされ、例えば、単独で上述の電解装置31を構成するように、電解槽32と、電解槽32内に配置された一対の電極33と、電解槽32から延び出した一対の通水路34,35とを有する。電解槽32と一対の通水路34,35とは、合成樹脂により一体に形成されている。
水処理ユニット60は、図2に示すように、外槽2の前側の下部に、正面視で右寄りに取り付けられ、筐体1内の隅部と外槽2との間の空きスペースを利用して配置されている。また、水処理ユニット60には通電回路30(図7参照)が電気的に接続されている。通電回路30は、トランス61等を有している。トランス61は、通常、大重量であるが、正面視で右寄りとなる、筐体1のコーナをなして高強度の前面部62に安定して固定される。また、トランス61を外槽2の底部64に取り付けてもよく、この場合、トランス61の大重量を利用して、外槽2の振動を抑制するのに好ましい。
水処理ユニット60およびトランス61は、筐体1のサービス用開口部16の近傍にあり、サービス用開口部16を通して、組立作業、修理や交換等のメンテナンス作業、リサイクルのための分解作業等が容易になる。また、水処理ユニット60およびトランス61は互いに接近しているので、相互の電気的接続も容易である。さらに、水処理ユニット60およびトランス61は、ビス締めにより着脱可能に固定されるので、上述の作業にとって好ましい。
また、水処理ユニット60およびトランス61は、モータ回転制御用電装部品、例えば、モータ8に内蔵されたモータ用回転センサ24(図7参照)、筐体1の左側の前面部63に取り付けられたインバータ駆動部23(図7参照)を含む制御用回路基板65、これらを接続する配線部品(図示せず)等から離れた位置に固定されている。これにより、トランス61等から電解時に生じるノイズがモータ8の回転制御に及ぼす悪影響を抑制できる。
電極33は、図3に示すように、薄型箱状の電解槽32の最大面、例えば、前面部71と平行に配置され、この前面部71に対応した大きさの平板状をなしている。このような電極33は大面積にでき、所要の表面積を少数の電極33で実現できる。電極33は、ベース材の表面に酸化触媒となる薄膜部材をコーティングしてなり、互いに対向して配置されている。ベース材は、例えばチタン製であり、薄膜部材としては、例えば白金が用いられている。薄膜部材としては、他に、金、パラジューム、白金イリジューム、酸化チタンなどがある。各平板状電極33は、これの板面に沿う方向の両側となる対向端部で保持されて、所定の電極間ピッチに保たれている。一対の電極33に、互いに逆の極性とされる電圧が印加されて水を電解する。
なお、電極33は、互いに逆の極性とされる一対に限定されない。例えば、3枚の電極33を、その板面同士を対向させて並べて配置してもよい。また、5枚の電極33を、その板面同士を対向させて並べて配置してもよい。これらの場合には、互いに隣接する2つの電極33が互いに逆極性となるように、電極33の極性を交互に入れ換えて配置すればよい。要は、少なくとも一対の電極33があればよく、以下、一対の電極33が設けられる場合を説明する。
電極33は、その上下両端部を電解槽32により保持される。電極33の上端部が、電解槽32の内部に形成された凹部77内に保持される。この凹部77は、電解槽32の上面部75に内部側へ向けて立設された一対のリブ間に区画されている。また、電極33の下端部が、端子カバー85を介して電解槽32の下面部76に保持される。端子カバー85は、糸屑が溜まらないように、電極33の下端部を覆いつつ、電解槽32の下面部76と電極33の下端部との間を封止する。なお、電極33は、左右の両側で保持されてもよい。
電極間ピッチ(D2参照)、より具体的には電極33同士の間隔(D3参照)は、例えば、2ミリ以上且つ5ミリ以下の寸法とするのが好ましい。間隔が2ミリ未満の場合には、糸屑が電極33同士の間に入ると付着し易くなり、電解効率が低下し易くなることがあるからであり、また、耐久性も低下することがある。また、間隔が5ミリを超えると、電解効率を高く維持するために高い電圧を印加する必要があり、実用的に構成することが困難になる。間隔は2ミリ以上且つ5ミリ以下であれば、高い耐久性と高い電解効率とを、実用的に実現することができる。
電解槽32は、外槽2と異なる材質とすることが考えられる。その一方で、電解槽32を、外槽2と同種の材質とすることも考えられる。この場合、リサイクル時の電解槽32の扱いが容易になる。例えば、電解槽32の材料は、オレフィン樹脂、例えば、ポリプロピレン(PP)を含む。この樹脂は、外槽2にも利用され、洗剤や漂白剤等の薬剤を含む水に対して耐薬品性を高くできる。また、電解槽32の材料は、ガラス繊維等の補強材を含むのが、水温上昇時の強度低下を抑制できて好ましい。
電解槽32は、図3および図4に示すように、下面部76と、この下面部76の周囲から立ち上がる前面部71、後面部72、右側面部73および左側面部74と、上面部75とを有している。これら各面部71〜76により囲まれる内部に電極33が配置され、水が溜められるようになっている。電解槽32は、前面部71および後面部72が対向する方向に沿って、薄くなるように形成されている。電極33は、前面部71に略平行に配置されている。電解槽32は、上下に分割可能な一対の分割体78,79(図2参照)により構成されている。
電解槽32の上部69は、傾斜がついていて、一方の側方が高くなっていて、電解槽32の上面部75が正面視で右上がりに傾斜している。その高くなった位置に対応する後面部72から上部通水路34が延び出している。電解槽32の下端位置となる後面部72から下部通水路35が延び出している。
一対の通水路34,35は、互いに略平行に、上下方向に沿って並んでいる。通水路34,35は断面円形の管からなり、電解槽32の後面部72と一体に形成されている。なお、一対の通水路34,35は、電解槽32内と外槽2内とを連通し、水を通すことのできる空間を区画する部材であればよく、形状は管に限定されないし、電解槽32と別体に形成されることや、外槽2と一体に形成されることも考えられる。
下部通水路35を通って水は外槽2内から電解槽32へ流入し、下部通水路35は流入路として機能する。また、上部通水路34を通って電解槽32で処理された水が外槽2へ流出するようになっている。上部通水路34は流出路として機能する。このような流れは、例えば、パルセータ7の回転による外槽2内の水流により生じさせることができる。
なお、一対の通水路34,35での水の流れ方は、特に限定されず、上述の流れ方向と逆となっていることも考えられる。また、流入と流出とに対応する一対の通水路34,35があればよく、これらのうちの少なくとも一方の通水路を、複数の通水路により構成して、例えば、3つ以上の通水路を設けることも考えられる。また、一対の通水路を一体に形成することも考えられる。また、単一の通水路を設けることも考えられる。例えば、単一の通水路内に、流入と流出とのための一対の水路を区画せずに設け、通水路を流入と流出とで兼用することも考えられる。以下では、上述のように下部通水路35を流入路とし、上部通水路34を流出路とする場合を説明する。
また、一対の通水路34,35は、図3に示すように、パッキン81を介して外槽2に連結されている。パッキン81は両通水路34,35について同様であり、通水路34について説明する。
パッキン81は、筒状のゴム等の弾性部材からなる。通水路34の外周面に、パッキン81の内周が嵌め入れられている。パッキン81の外周が、外槽2の外側面66(周壁面)にある接続孔67に、外槽2の外側から嵌め入れられている。パッキン81は、管状の通水路34と接続孔67との間で長い封止距離を確保する。パッキン81は、その筒の径方向に所定量圧縮された状態で取り付けられ、接続孔67の内周と通水路34の外周との間を封止する。パッキン81は、その筒の径方向、および軸方向に沿って弾性変形できる。これにより、パッキン81は、対応する接続孔67および通水路34のそれぞれの寸法誤差を吸収できる。また、パッキン81は、一対の通水路34,35同士のピッチと、一対の接続孔67同士のピッチとの間の寸法誤差を吸収できる。パッキン81は、外槽2に温水を溜めたときに生じる熱変形を吸収し、破損や漏水を防止することができる。なお、パッキン81として、上述の筒状のものの他、Oリングやシート状のもの等を利用することもできる。
また、電解槽32には、一対の通水路34,35の近傍に、外槽2にビス締めするための複数、例えば、4つの取付部80が形成されている。取付部80の挿通孔を通るビス86が、外槽2の外側面66に立設されたボス68に外側からねじ込まれている。
電極33の端子84は、図4に示すように、電解槽32の下面部76を通して外部へ導出されている。これにより、仮に結露や洗濯槽からの溢水により、水滴が電解槽32の外壁に付着するとしても、このような水滴が一対の電極33の端子84同士を短絡することが生じ難くされる。これにより、端子84間の絶縁を確保することができる。また、一対の電極33の端子84同士の間を仕切る仕切板87が設けられている。仕切板87は、上述の水滴の移動を阻止し、絶縁性を確保できる。仕切板87は、電解槽32に一体に形成された取付部80と兼用され、部品点数を削減できる。
水処理ユニット60の組み立ては、以下のようになされる。電解槽32の分割体78,79を分離させた状態で、一方の分割体78に電極33を組み込む。一対の分割体78,79を合わせ、その合わせ目を封止し、水処理ユニット60の組立が完了する。箱状の電解槽32を有する水処理ユニット60では、外槽2への組み付け前にそれ単体で、例えば、封止性能や電解性能を試験することができる。そして、一対の通水路34,35を、パッキン81を介して、外槽2の接続孔67に外側から嵌め入れる。電解槽32の取付部80を外槽2のボス68にビス締め固定する。電極33の端子84と通電回路30とを電気的に接続する。また、逆の操作により、水処理ユニット60を外槽2から取り外すことができる。メンテナンス作業やリサイクルのための分解作業が容易である。
このように水処理ユニット60は、外槽2の外側に取り付けられているので、水処理ユニット60の外槽2への組み付け作業、水処理ユニット60に対するメンテナンス作業、リサイクルのための分解作業等を、外槽2の外側から容易に行なうことができる。また、外槽2と洗濯兼脱水槽5との間に電極33を配置する場合には、外槽2内のスペースやそこに溜める水が余分に必要となるが、これに対して、水処理ユニット60を外槽2の外側に取り付ける場合には、上述のスペースや水が余分に必要となることを防止することができる。
ここで、上述のような作業し易い水処理ユニット60としては、外槽2と別体で形成されて一体的に扱うことができるものであればよい。例えば、水処理ユニット60は、一対の電極33と、外槽2に取り付けるための取付部80とを含み、単体または外槽2と協働して、洗濯に使用する水を電気分解することにより、洗剤を混入することなく水に洗浄性能を持たせる機能を有するものであればよい。
また、水処理ユニット60を外槽2から着脱可能にすることにより、取り外しの作業性をより高めることができる。特に、貴金属を含む電極33の場合には、リサイクルし易くて好ましい。
さらに、水処理ユニット60が電解槽32と一対の電極33とを含むことにより、水処理ユニット60を組立やメンテナンスの際に単体で扱うことができ、作業がより一層容易になる。
また、箱状の電解槽32内に電極33を両持ちで保持することにより、水処理ユニット60を扱う際に厳重な注意をせずに済む。従って、組立、メンテナンス、分解等の作業をより一層し易くできる。また、洗濯兼脱水槽5が外槽2内に収容されていて脱水時に振動するような場合であっても、電極33は両持ちで強固に保持される。これにより、電極33が電解槽32内で脱落することを、生じ難くできる。
水処理ユニット60と外槽2との間に介在するパッキン81を設けることにより、水処理ユニット60を外槽2に組み付ける際に、パッキン81の弾性変形により、外槽2とこれに対応する水処理ユニット60の部分との間の寸法誤差を吸収できて、容易に組み付けることができ、しかも、水処理ユニット60と外槽2との間の封止も達成できる。従って、封止のための接着を省略することもできるので、組立の手間を軽減でき、また、取り外しや分解も容易にできる。
また、一対の通水路34,35を設けることにより、電解槽32と外槽2との間の水の流入と流出とを分担でき、水を電解槽32と外槽2との間で効率よく流すことができるので、処理された水を無駄なく外槽2内に供給して洗濯に有効利用でき、洗浄力、抗菌力を高めることができる。また、外槽2からの水を電解槽32内で流動させて、効率よく電解することができる。
一対の通水路34,35を互いに離間させることにより、例えば、処理された水が電解槽32から出て後にすぐに電解槽32に戻ることを抑制できる。
外槽2の外側面66に設けた薄型箱状の電解槽32に、高さ位置の異なる一対の通水路34,35を設けることにより、水の淀みや空気溜まりの発生を抑制でき、水を上下に流して効率良く電解できる(図3の矢印参照)。
また、電解槽32内で水が上に向けて流れる場合には、傾斜状に高くなった電解槽32の上部69に上部通水路34を設けることにより、電解槽32内を上方へ向けて流れる水を傾斜に沿わせて上部通水路34へ案内でき、速やかに流出させて、水を流動させ易くできる。また、電解槽32の下端の下部通水路35は、電解槽32内の水の淀みの発生を抑制できる。これにより、電解槽32内の水を流動させ易くすることができて、好ましい。
このように、電極33は、水が流れる場所に設置されるのが好ましく、効率よく電解できる。特に、電極33は、水が外槽2内に対して循環できる場所に設置されるのがより好ましく、電解された水の利用効率を高めることができる。例えば、外槽2内の水を入口から吸い込み出口から出すことにより強制的に循環させる循環機構を設け、この循環機構に電極33を配置することが考えられる。循環機構は、外槽2の下部と上部とをつなぐ通水可能な管からなる水路と、この水路に水を流す電動ポンプとにより構成できる。このような循環機構の構成は、本願出願人の他の出願である特願2000−196894等に開示されたものである。なお、この他、水を循環させる公知の構成を利用することもできる。
また、電解槽32が外槽2の外面に対する奥行き寸法が小さい薄型箱状とされることにより、外槽2の外面からの水処理ユニット60の出っ張りを少なくできる。例えば、外槽2の外面としての外側面66に沿うような薄型の電解槽32の場合には、上述のように脱水時の水処理ユニット60と筐体1との衝突を防止するための筐体1の大型化を抑制でき、省スペースを図ることができる。また、外槽2の外面としての底部64に沿うような薄型の電解槽32の場合には、使用後に電解槽32から排水するための配管等の構造を簡素化でき、省スペースを図ることができる。
また、電解槽32を外槽2の下部、例えば、底部64および外側面66の下部に設けることにより、外槽2内に低い水位で溜まった水をも利用できる。例えば、外槽2への給水の途中から電解処理し、電解のための時間を短縮することができる。また、低水位で水を電解して利用するコースを実現することができる。
また、電解槽32を外槽2の外側面66に設け、且つ通水路35を電解槽32の下端に設けることにより、外槽2からの排水時に、電解槽32の内部の水を通水路35を通して外槽2へ流出させることができる。
なお、電解槽32の少なくとも一部を、外槽2と一体に形成することも考えることができる。このような場合、電解槽32は、外槽2の外面に外側へ突出するように、または、外槽2の内面に窪みをなすように、設けられることが好ましい。これにより、外槽2の内形を概ね維持できるので、外槽2内のスペース効率が低下することや、必要以上に水を消費することを防止できる。また、電解槽32の内面と外槽2の内面とが連続する場合には、内面同士を傾斜させて、水が外槽2内と電解槽32内との間で流れ易くするのが好ましい。
ところで、外槽2からの水には、糸屑が混ざっていることがある。このような糸屑が電極33に付着すると、電極33の耐久性を低下させたり、電解効率を低下させることが懸念される。このため、以下のようにして、糸屑が水処理ユニット60に入っても問題ないようにしている。
電極33のコーナ部82には丸み83(図4に一部のみ図示)が付けられている。これにより、電極33にエッジが生じることを防止できるので、糸屑が電極33のコーナ部82に引っかかり難く、且つ離脱し易くなる。従って、仮に糸屑が引っかかるとしても、水流によりコーナ部82から自律的に離脱することができる。
丸み83としては、電極33の板面に直交する方向から見たときに見える丸みの他、板面に沿う方向から見たときに見える丸みも含む。丸みは、少なくとも一部のコーナ部にあればよいが、より多くのコーナ部、特に、水中にある全てのコーナ部に設けるのが好ましい。
電極33同士の間隔(D3)は、糸屑が付着しない距離にされている。この距離としては、例えば、2ミリ以上が好ましい。2ミリ未満の距離では糸屑が詰まり易いからである。また、電極33と電解槽32との間隔(D4)は、上述の距離としてもよいし、または0、すなわち、電極33と電解槽32との間に隙間を開けないようにしてもよい。
これにより、糸屑の付着による水の流動性の低下を防止できる。また、水の電極33への接触が糸屑により妨げられることも防止できる。その結果、糸屑に起因する電解効率の低下を防止でき、電解効率を高く維持することができる。また、糸屑が水処理ユニット60内に入ることを許容できるので、糸屑用のフィルタを設けずに済み、糸屑に対するメンテナンスも不要にできる。
ところで、洗濯機には、図2に示すように、洗浄力を高めるために、外槽2の底部64から気泡を発生させる気泡発生装置88が設けられているものがある。この気泡発生装置88と水処理ユニット60とを組み合わせる場合には、より一層効率よく電解することができる。
気泡発生装置88は、エアポンプ89と、このエアポンプ89の空気吐出口に接続されて空気(エア)を送るためのエアホース90と、エアホース90の端部が接続されて外槽2内に空気を吹き出すためのノズル(図示せず)とを有している。洗濯時に気泡発生装置88を動作させると、ノズルから空気が吹き出し、洗濯兼脱水槽5の孔を通りその内部に入り、パルセータ7の下方に気泡が発生する。この気泡は、回転するパルセータ7により攪拌されて、多数の微細な気泡に砕かれる。この微細な気泡が洗濯物に接触して破裂する際に、超音波を発生する。このときに超音波領域の衝撃波が生じ、これにより、洗濯物に付着している汚れ成分の剥離が促進されるので、気泡を加えない場合に比べて洗浄能力を高めることができる。
気泡発生装置88は、洗浄力を高めるもともとの機能に加えて、電解槽32の下部70から電解槽32内にエアを供給するためのエア供給手段としての機能を有する。エア供給手段は、水処理ユニット60の電解槽32内での水を上方へ向けて流れるように促すことにより水流を発生させる。上述のエアホース90は、途中で分岐していて、一方の端部がノズルに至り、他方の端部が電解槽32につながっている。
電解槽32の下部70には、図4に示すように、エアホース90からのエアが供給される単一のエア供給口91が形成されている。エア供給口91は複数でもよい。電解処理時に、エアポンプ89は動作される。エア供給口91から電解槽32内へ供給されるエアは、気泡Eとなり、電解槽32内を浮き上がり、上部通水路34を通って外槽2へと流れる(図4の一点鎖線の矢印参照)。これに伴い、エアの流れによって電解槽32内に溜まった水が流動されるようになる(図4の破線矢印参照)。特に、電解槽32の上部69が傾斜してその高い位置に通水路34がある場合には、気泡が電解槽32から速やかに流出するので、水もより一層流れ易くなる。気泡が電極33の間に溜まることもない。その結果、電解効率を高めることができる。従って、所定の電解能力を得るために必要な電圧を低くすることができ、トランス61等の電装部品を小型化したり、低コストなものを利用することができ、また、その消費電力量を削減することもできる。
また、エア供給口91は、平面視で電極33と重ならないようにして配置され、また、電極33に向かわないようにして配置されている。これにより、エアは、電極33に触れないように供給される。従って、エアに起因する電解効率の低下を抑制できる。また、エア供給口91は、電解槽32の下面部76の隅に、電極33の端から水平方向に所定距離離れているのが好ましい。この所定距離は、エアが電極33に通常触れない距離、例えば、10ミリとされている。
また、エア供給口91と上部通水路34とは、正面視で対角線上になるように配置されている。これにより、エアが電解槽32内を流れる距離が長くなるので、水を動かし易くできる。エア供給口91と下部通水路35とは、正面視で左右に分かれて配置されている。これにより、下部通水路35から遠くにある流れ難い水をエアにより流れ易くできる。
このように、電解槽32内の水を流れ易くできて、効率よく電解することができる。しかも、このためのエアは外槽2内に導かれて、洗浄力の向上にも寄与することができる。なお、上述のエアポンプ89は、電解槽32にだけエアを供給するものとしても構わない。以下では、気泡発生装置88を省略した場合を説明する。図1に戻って説明する。
筐体1の上面は、上面板18で構成されている。この上面板18の中央には洗濯物の投入口18aが設けられており、この投入口18aは上蓋19にて開閉自在に覆われている。上面板18の前部には操作パネル48が設けられている。
図6は操作パネル48の平面図である。操作パネル48には操作部21および表示部28が備えられている。操作部21としては、本体に電源を投入するための電源キー49、洗濯運転を開始するためのスタートキー36、洗濯コースを選択するためコースキー群37、除菌プラスキー42、風呂水キー43などが設けられている。
コースキー群37は、標準コースを設定するための標準コースキー38、自分流コースを設定するための自分流コースキー39、洗剤ゼロコースを設定するための洗剤ゼロコースキー40、おいそぎコース、がんこ汚れコース、毛布コース、弱洗いコース、ドライコースの中から希望するコースを選択するための選択キー41からなる。スタートキー36は、洗濯運転を一時停止するための一時停止キーの機能を兼ねる。
標準コースは標準的な洗濯運転を行う洗濯コースである。自分流コースは使用者が設定した内容で洗濯運転を行う洗濯コースである。おいそぎコースは洗濯運転の時間が短い洗濯コースである。がんこ汚れコースは高濃度の洗剤液を用いて洗濯を行う洗濯コースである。毛布コースは毛布や掛けふとんなどの大物を洗う洗濯コースである。弱洗いコースはランジェリーなどの傷みやすい衣類を洗う洗濯コースである。ドライコースはドライ洗剤を用いてドライマーク衣類を洗うための洗濯コースである。これらの洗濯コースは、洗剤を使用するコースであり、洗剤が混入された水道水や風呂水(洗剤液)を外槽2内に溜め、洗剤液を用いパルセータ7の回転によって水流を発生させて洗濯物を洗う。
洗剤ゼロコースは、洗剤を使用しないコースであり、外槽2内に溜めた水道水や風呂水を電解装置31によって電気分解して電解水を生成し、この電解水を用いパルセータ7の回転によって水流を発生させて洗濯物を洗う。
除菌プラスキー42は、標準コース、自分流コース、おいそぎコース、がんこ汚れコース、毛布コース、弱洗いコースにおいて、洗剤で洗った洗濯物の除菌を行いたい場合に操作するキーである。
風呂水キー43は、風呂水を使用して洗濯を行いたい場合に操作するキーである。使用者はこの風呂水キー43を操作して、洗い行程(洗い)から最後のすすぎ行程(すすぎ2)までの行程のうちどの行程まで風呂水を使用するかを選択することができる。ただし、後述するように、除菌プラスキー42により除菌設定がなされたとき、および、洗剤ゼロコースキー40により洗剤ゼロコースが設定されたときには、風呂水の使用が制限される。
表示部28としては、各コースキー38,39,40で設定された洗濯コースや選択キー41で選択された洗濯コースを表示するコース表示LED45、除菌プラスキー42により除菌設定がなされていることを示す除菌表示LED46、風呂水キー43により風呂水の使用が設定された行程を示す風呂水表示部47、洗剤ゼロコースや除菌設定時において、電解・除菌の進行具合を示す電解進行表示部50、洗濯物の負荷量に応じた洗剤量を表示するための洗剤量表示部44、運転の残り時間や異常表示などをセグメント表示するセグメント表示部52などが設けられている。洗剤量表示部44では、洗剤カップの絵柄内に複数個のLEDが備えられ、洗剤量に対応した個数のLEDが点灯することにより洗剤量を表示する。
図7は本実施形態の全自動洗濯機の電気系構成図である。制御の中心には、CPU、RAM、ROM、タイマ等を含んで構成される制御部20(本発明の制御手段に相当)が据えられている。この制御部20はマイクロコンピュータで構成される。制御部20には、操作部21から操作信号が入力され、外槽2の内部に貯留された水の水位を検出するための水位センサ22から水位検出信号が入力される。制御部20には、上蓋19の開閉状態を検知する開閉検知スイッチ57が接続されている。上蓋19が開いていると、この状態を制御部20はスイッチ57の内部回路のオンオフにより検知することができる。さらに、制御部20には、洗濯兼脱水槽5内の洗濯物のアンバランスが原因で脱水時に外槽2が異常振動するとこれを検知するアンバランス検知スイッチ58からアンバランス検知信号が入力される。制御部20は、インバータ駆動部23を介してモータ8の回転を制御するとともに、負荷駆動部25を介してトルクモータ26、給水バルブ13、及び風呂水ポンプ59の動作を制御する。トルクモータ26は前述したようにクラッチ27と排水バルブ15の動作を制御する。また、制御部20は、表示部28、および運転の終了や異常を知らせるブザー29の動作を制御する。モータ8には、その回転に応じたパルス信号を出力する回転センサ24が設けられており、そのパルス信号は制御部20に入力されている。この回転センサ24は、モータ8すなわち、洗濯兼脱水槽5の回転速度を検出するために設けられたものである。
一対の電極33は、トランス61などからなる通電回路30を介して制御部20の出力側に接続されている。制御部20から通電を指示する信号が出力されると、通電回路30が動作して一対の電極33に通電される。通電回路30には、電流検出回路51(本発明の電流検知手段、洗剤検知手段、入浴剤検知手段に相当)が接続されている。この電流検出回路51は、電極33へ通電される通電電流の大きさを検出し、検出した電流値を制御部20へ出力する。
制御部20のROM20a内には、上記の各洗濯コースのシーケンスが記憶されている。コースキー群37の操作によって洗濯コースが選ばれると、この洗濯コースに対応したシーケンスがROM20a内から読み出される。そして、制御部20は、このシーケンスに従ってモータ8等の各種負荷を制御し、選ばれた洗濯コースの洗濯運転を実行する。
さて、本実施形態の全自動洗濯機は、電解装置31を備えた上記構成により、標準コースなど洗剤を用いて洗う洗濯運転コースにおいて、洗濯物のすすぎと同時に洗濯物の除菌を行うことができるようにしたことを第1の特徴点としている。以下、この第1の特徴点について標準コースを例にとって説明する。
図8のフローチャートは、標準コースの洗濯運転動作を示すものである。使用者により標準コースが設定され、スタートキー36が押されると、標準コースの洗濯運転が開始される。
まず、洗濯兼脱水槽5内に給水されない状態において、洗濯兼脱水槽5に投入された洗濯物の量つまり負荷量を検知する(ステップS1)。具体的には、パルセータ7を短時間回転させ、それによる惰性回転が継続する時間(回転センサ24からのパルス信号の総数)に応じて負荷量を決定している。もちろん、負荷量検知はこの方法に限らず、いかなる方法を用いてもよい。
本実施形態の全自動洗濯機では、標準コースにおける定格負荷量(一度に洗濯が可能な洗濯物の負荷量)を8kgとしている。そして、この定格負荷量にあわせて、洗濯兼脱水槽5の大きさ(容積)やモータ8の性能(出力)などを、予め実験などを行うことにより設定している。
ステップS1で負荷量が検知されると、図9に示す標準コースにおける負荷量と水位(水量)との関係のテーブルに基づいて、検知された負荷量に応じた洗濯水位を設定する(ステップS2)。なお、定格負荷量は8kgとしているので、最高水位は6〜8kgに対応した水位、59l(リットル)としている。次に、検知した負荷量に応じた洗剤量を洗剤量表示部44に表示する(ステップS3)。使用者は、この洗剤表示部44の表示を見て、適量の洗剤を洗濯兼脱水槽5内に投入する。こうして、負荷量に応じた水位の設定および洗剤量の表示が終わると、本格的な洗濯運転へと移る。
まず、洗い行程を実行する。制御部20は、給水バルブ13の第1バルブ13aを開放し、設定した洗濯水位まで給水する(ステップS4)。これにより、水道水に洗剤が溶解してできた洗剤液が外槽2内に溜まる。洗濯水位まで給水すると第1バルブ13aを閉鎖する。
次に、制御部20は、パルセータ7を所定速度で左右両方向に反転回転することによって外槽2内で水流を発生させ、洗濯物の洗いを行う(ステップS5)。洗濯物に付着した汚れは、洗剤の効果、および水流(パルセータ7の機械力)の効果によって落とされる。また、洗剤の効果により、落ちた汚れの洗濯物への再付着が防止される。そして、所定の洗い時間(例えば10分)が経過すると、パルセータ7は停止して、洗いを終了する。制御部20は、排水バルブ15を開放し、外槽2内からの洗濯液を排水する(ステップS6)。
こうして、洗い行程が終了すると、中間脱水を行う(ステップS7)。制御部20は、洗濯兼脱水槽5を一方向へ高速回転することにより、洗濯物の脱水を行う。
中間脱水が終了すると、制御部20は、今回の標準コースの洗濯運転で、除菌の設定がなされているか否かを判定する(ステップS8)。使用者は、標準コースにおいてすすぎと同時に洗濯物の除菌を行いたい場合、洗濯運転を開始する前に、除菌プラスキー42を押して除菌の設定をする。
ステップS8において、除菌の設定がなされていないと判定した場合には、通常のすすぎを行う。標準コースでは、すすぎ行程を2回実行する。まず、1回目のすすぎ行程として、脱水すすぎを行う(ステップS9)。即ち、制御部20は、洗濯兼脱水槽5を、例えば30rpm程度にゆっくりと回転させながら、第1バルブ13aを開放して給水する。これにより、中間脱水によって洗濯兼脱水槽5の内壁にへばり付いた洗濯物に満遍なく水を含ませる。次に、制御部20は、洗濯兼脱水槽5を、例えば1000rpm程度に高速回転させ、洗濯物を脱水する。これにより、洗濯物に含まれた洗剤分を水とともに吹き飛ばして除去する。なお、脱水すすぎは、給水と同時に洗濯兼脱水槽5を高速回転させて脱水する形態のものとしても良い。
こうして、1回目のすすぎ行程が終了すると、最後のすすぎ行程を実行する。まず、制御部20は、第1バルブ13aを開放して、設定した洗濯水位まで給水する(ステップS10)。この給水の間、ある程度の水位まで水が溜められると、制御部20は、第2バルブ13bをオン/オフ制御し、仕上剤収容部12bに予め収容された柔軟仕上剤を洗濯兼脱水槽5内に投入する。
洗濯水位まで給水されると、制御部20は、第1バルブ13aを閉鎖する。そして、給水を止めた状態でパルセータ7を左右に反転回転して洗濯物を攪拌し、洗濯物のためすすぎを行う(ステップS11)。これにより、洗濯物がすすがれる。パルセータ7を回転させてすすぎを開始してから所定のすすぎ時間(例えば2分30秒)が経過すると、パルセータ7を停止して、ためすすぎを終了する。制御部20は、排水バルブ15を開放し、外槽2内からのすすぎ液を排水する(ステップS12)。なお、この最後のすすぎ行程は、洗濯水位に達しても給水を継続する注水すすぎとしてもよい。
こうして、最後のすすぎ洗い行程が終了すると、最終脱水を行う(ステップS13)。この最終脱水では中間脱水よりも脱水時間を長くとり、洗濯物を十分に脱水する。そして、この最終脱水が終わると、標準コースの洗濯運転を終了する。
一方、ステップS8において、除菌の設定がなされていると判定した場合には、すすぎと同時に洗濯物を除菌するすすぎを行う。上述の通常のすすぎと同様、すすぎ行程は2回実行する。まず、1回目のすすぎ行程を実行する。この1回目のすすぎ行程では、脱水すすぎではなく、ためすすぎを行う。即ち、設定された洗濯水位まで給水後、給水を止めた状態で洗濯物を攪拌し、洗濯物をすすぐ(ステップS14、S15)。そして、パルセータ7を動作させてから所定のすすぎ時間(例えば、4分)が経過すると、ためすすぎを終了して排水を行う(S16)。ためすすぎは、脱水すすぎに比べて、使用する水の量は多くなるが、その分すすぎ能力は高くなる。したがって、通常のすすぎの場合の脱水すすぎ(1回目のすすぎ行程)終了後に比べ、洗濯物の中の洗剤分はより希釈される。なお、この1回目のすすぎ行程は注水すすぎとしてもよい。
1回目のすすぎ行程を終了すると、2回目の中間脱水を実行した後(ステップS17)、最後のすすぎ行程へ移行する。この最後のすすぎ行程では、まず、洗濯兼脱水槽5内への給水を開始する(ステップS18)。制御部20は、洗濯兼脱水槽5内の水位が洗濯水位に達すると給水を停止するが、この給水中、洗濯水位よりも低い所定水位(例えば、図9のテーブルにおいて2ランク下の水位)まで達すると、すすぎと同時に洗濯物を除菌する電解すすぎを開始する(ステップS19)。勿論、この所定水位においては、電解装置31の一対の電極33は水没している。
この電解すすぎは、電気分解によって発生した次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの効果により洗濯物の除菌を行うものであるが、出願人が行った実験などの結果、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水を一気に洗濯物に作用させた方が、濃度の低い電解水を徐々に作用させるよりも、洗濯物の除菌効果が高くなることが判明した。したがって、この電解すすぎでは、まず、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水を生成するつけおき行程を実行し、続いて、この濃度が高くなった電解水を一気に外槽2内に広げて洗濯物に作用させる除菌すすぎ行程を実行するようにしている。以下、この電解すすぎの動作を図10のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
電解すすぎが開始されると、まず、つけおき行程を実行する。即ち、制御部20はパルセータ7を停止したまま、電解装置31を動作させて電気分解を開始する(ステップU1)。
水道水には、鉄、カルシウム、マグネシウム、塩素などの含有物が微量に含まれており、電気分解によって電解槽32内で生成された電解水中には活性酸素が発生しているとともに、次亜塩素酸(HClO)および次亜塩素酸イオン(HClO−)が発生している。このとき、パルセータ7は停止しているので、外槽2内および電解槽32内の水は停留する。よって、電解槽32内や外槽2内の電解槽32の近傍箇所には、徐々に次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水が生成されてくる。
電気分解を開始してから1分が経過したと判断すると(ステップU2)、制御部20は、つけおき行程の実行時間であるつけおき時間を決定する。また、除菌すすぎ行程の実行時間、即ちパルセータ7により攪拌動作を行う時間である攪拌時間を決定する。さらに、電解装置31を動作させる時間である電解動作時間を決定する(ステップU3)。
水道水の導電率は、塩素などの含有量が異なることなどにより地域によって異なってくる。このため、本実施形態の全自動洗濯機では、通電回路30の過電流に対する保護の点から、後述する通電制御によって電極33への通電電流の大きさ(以後、通電電流値という)が目標電流値4A(アンペア)を越える場合には、通電電流値に応じた間欠通電により平均的な電流値が4A程度となるように制御する。一方、4A以下である場合には連続通電することになる。この場合、水道水の導電率が低くければ通電電流値が小さくなるので、電解能力が小さくなる。よって、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンが発生しにくくなり、所定の濃度になるまでに時間が長くかかってしまう。また、外槽2内の水量が多くなるほど、外槽2内に拡がったときに電解水はより希釈されるので、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度をより高くしておく必要がある。さらに、洗濯物の負荷量が多くなるほど、電解水を洗濯物全体に作用させるのに時間が必要となる。
そこで、図11に示すようなテーブルが用意されている。制御部20は、このテーブルを用いて、1分経過時に電流検出回路51によって検知された通電電流値、および設定された洗濯水位(水量)に基づいてつけおき時間を決定する。即ち、通電電流値が小さいほど、また、洗濯水位が高いほど、つけおき時間を長くする。また、このつけおき時間に対応するように電解動作時間を決定する。即ち、つけおき時間が長くなるほど、電解動作時間を長くする。さらに、洗濯水位、つまり洗濯物の負荷量に基づいて攪拌時間を決定する。即ち、負荷量が多いために洗濯水位が高いほど、攪拌時間を長くする。
こうして、決められたつけおき時間が経過するまでつけおき行程が実行され、
電解槽32内や外槽2内の電解槽32の近傍箇所には、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水が蓄積される。
つけおき時間が経過するとつけおき行程を終了し、次に除菌すすぎ行程を実行する。即ち、つけおき時間が経過したと判断すると(ステップU4)、制御部20は、パルセータ7を左右に反転回転させる。また、エアポンプ89が設けられている場合には、エアポンプ89を動作させてエアを電解槽32内に供給する。これにより、外槽2内と電解槽32内との間で水が循環し始め、電解槽32内や外槽2内の電解槽32の近傍箇所に蓄積された次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水が一気に外槽2内に拡がる。そして、濃度の高い電解水が一気に洗濯物に作用し、洗濯物が除菌される。
電解動作時間はつけおき時間より長く設定しており、このため、除菌すすぎ行程が開始されても電気分解が継続される。よって、電解水は生成され続け、つけおき行程で蓄積した次亜塩素酸のみならず、新しく発生した次亜塩素酸も洗濯物に作用する。ただし、長時間の通電による電極33の消耗を抑制するため、電解動作時間は、つけおき時間と攪拌時間とを合わせた電解すすぎ時間よりも短く設定している。このため、除菌すすぎ行程の途中に電解動作時間が経過する。
電解動作時間が経過したと判断すると(ステップU6)、制御部20は、電解装置31の動作を停止する(ステップU7)。この後は、パルセータ7の動作のみによって除菌すすぎ行程が継続される。この間も既に生成された電解水中で洗濯物が攪拌されるため、洗濯物がさらに除菌される。
攪拌時間が終了する2分前、即ち電解すすぎが終了する2分前になったと判断すると(ステップU8)、制御部20は、第2バルブ13bをオン/オフ制御し、仕上剤収容部12bに給水して柔軟仕上剤を洗濯兼脱水槽5内に投入する(ステップU9)。このとき、同時に第1バルブ13aも開放して給水することにより、柔軟仕上剤を薄めるようにしている。この柔軟仕上剤の投入により、除菌された洗濯物はさらにやわらかく仕上られる。こうして、攪拌時間が経過したと判断すると(ステップU10)、制御部20は、パルセータ7を停止して、電解すすぎを終了する(ステップU11)。
このようにして、電解すすぎが終了すると、排水を行い(ステップS20)、最後のすすぎ行程を終了する。そして、最終脱水を実行して(ステップS13)、洗濯運転を終了する。
さて、制御部20は、電解すすぎにおいて電解装置31を動作している間、一対の電極33に流れる電流の通電制御を行っており、この通電制御の処理について、以下、図12のフローチャートに従って説明する。
電解装置31の動作が開始されると、まず、電極31に通電する(ステップK1)。次に、電流検出回路51によって通電電流値を検知する。(ステップK2)。検知した通電電流値が保護電流値12Aを超えていれば、直ちに通電を停止し、通電制御を中止する(ステップK3、K4)。保護電流値は、通電回路30を構成するトランジスタを保護するために設定されている。保護電流値を超えると直ちに通電を停止することにより、過電流によるトランジスタの破壊が防止される。
通電時間4秒が経過するまで、ステップK2、K3の動作を繰り返す。そして、通電時間が経過すると、直前に検知した通電電流値が目標電流値4Aを超えているか否かを判定する(ステップK6)。目標電流値以下であれば、この通電電流値が下限電流値0.3Aより小さい否かを判定し(ステップK7)、下限電流値よりも小さくなければ、あるいは、小さくてもそれが所定の回数(例えば3回)に達していなければ(ステップK8でNO)、ステップK1に戻る。即ち、通電は停止されることなく、電極33へは連続通電されることになる。
一方、ステップK6で目標電流値を超えていると判定すると、通電を停止するとともに(ステップK10)、通電電流値に応じて通電停止時間を決定する(ステップK11)。即ち、通電時間と通電停止時間の1サイクルにおける通電電流の平均値が目標電流値となるようにする。例えば、計算式などを用いて演算する。本実施形態では、目標電流値を4A、通電時間を4秒に設定しているので、例えば、通電電流が6Aであれば通電停止時間は2秒となり、通電電流が8Aであれば通電停止時間は4秒となる。
そして、通電電流値が上限電流値8Aを超えているか否かを判定し(ステップK12)、上限電流値を超えていなければ、あるいは、超えていてもそれが所定の回数(例えば3回)に達していなければ(ステップK13でNO)、ステップK11で決めた通電停止時間が経過すると(ステップK14でYES)、ステップK1に戻る。このように、目標電流値を超えるような通電電流が流れる場合には、電極33へ間欠通電が行われて、通電電流の平均値が目標電流値となるように制御される。
なお、通電停止期間中にも、通電電流値の検知を行う(ステップK16)。そして、この検知の結果、電流が流れていると判定すると、通電回路30の通電・停止を切り替えるスイッチング素子が故障していると判断して、通電制御を中止する。このような場合には、通電回路30においてスイッチング素子への通電を断つようにする。
こうして、電解装置31の動作が終了し、ステップK9やステップK15でこれが判断されると、通電制御を終了する。
なお、目標電流値、上限電流値、下限電流値と比較する通電電流値を、通電時間経過直前に検知した通電電流値としている(比較する通電電流値を通電開始から所定時間後に検知している)のは、通電初期には突入電流が流れ電流値が高くなるため、突入電流の影響がない正確な通電電流値を用いるためである。
さて、電解すすぎにおいては、すすぎ水中の洗剤濃度が高くなる場合がある。例えば、洗い行程で洗剤が多く用いられ、この洗剤を十分にすすぐことができずに洗濯物中に多く残った状態で最後のすすぎに電解すすぎが行われる場合などである。このように洗剤濃度が高い状態で電気分解が行われた場合には、洗剤中の成分の影響により、通常の水(水道水)とは違って所望の電気分解が行われない虞がある。また、その洗剤の成分によって非常に導電率が良くなる場合が多く、この場合、過電流が流れ、このまま動作を続けていると電解装置31の通電回路30が破損する虞がある。そこで、本実施形態の全自動洗濯機においては、過電流を判断するためであって洗剤濃度が高いことを判断するための上限電流値を設定している。
また、電極33にコーティングされた薄膜材料は、電解装置31を動作させるたびに消耗していくので、長年使用していくうちに、やがては完全になくなってしまう。そして、このように薄膜材料がなくなった状態で電気分解がなされた場合には、ベース材が溶け出してしまい、これが洗濯中の衣類に付着して洗濯物が汚れてしまう虞がある。薄膜材料が消耗してなくなってしまい、ベース材だけになってしまった場合には、正常時と同じように電圧を加えても、電極33には極端に電流が流れなくなる。そこで、本実施形態の全自動洗濯機においては、さらに、電極33にコーティングされた薄膜材料がなくなったと判断するための下限電流値を設定している。
例えば、すすぎ水中の洗剤濃度が高くなることによってすすぎ水の導電率が非常に良くなり、通電電流値が8Aを超えると、上述の通電制御におけるステップK12で上限電流値を超えている判定し、且つ、ステップK13で所定回数になったと判定することになる。こうなると、既に電極33の極性を反転させた(電流の通電方向を反転させた)か否かを判定し(ステップK19)、極性を反転させていなければ反転させて(ステップK20)、ステップK1に戻り、再度、通電制御を開始する。一方、既に極性の反転を行っていれば、即ち、極性を反転させても上限電流値を超えるという状況が変らなければ、通電制御を中止する。
また、例えば、電極33の薄膜材料が完全になくなってしまうことにより、電極33に非常に電流が流れにくくなって、通電電流値が0.3Aより小さくなると、ステップK7で下限電流値よりも小さいと判定し、且つ、ステップK8で所定回数になったと判定することになる。こうなると、電極33への通電を停止し(ステップK18)、上述の上限電流値を超えた場合と同様に、ステップK19で既に極性の反転を行っていると判定すれば、通電制御を中止する。
なお、電解すすぎの途中で電極33への通電制御が中止され、電解装置31の動作を中止しても、すすぎ自身は続行する。これにより、少なくともすすぎ性能は確保するようにしている。ただし、つけおき行程は、すすぎ性能にはあまり寄与しないので、電解装置31の動作を中止した場合には、つけおき行程を中止して除菌すすぎ行程(このときは単にすすぎになる)に移るようにしても良い。また、通電制御が中止された場合には、水を入れ替えて再度電解すすぎを行っても良い。
このように、本実施形態の全自動洗濯機では、すすぎ水を電気分解し、生成した電解水を洗濯物に作用させる電解すすぎを行うようにしているので、すすぎと同時に洗濯物の除菌を行うことができる。さらに、電解すすぎを最後のすすぎ行程で行うようにしているので、洗い行程で使用した洗剤が十分に希釈した状態で電気分解を行うことができ、不所望な電気分解や過電流の発生を防止できる。よって、十分に洗濯物の除菌を行うことができる。
また、除菌プラスキー42を設け、使用者がすすぎと同時に洗濯物の除菌を行うか否かを選択できるようにしたので、必要なときのみ除菌が行え、消費電力を抑えることができる。さらに、除菌プラスキー42により除菌の設定がなされていないときには、一回目のすすぎ行程で脱水すすぎを行うようにしたので、節水が図れるとともに、除菌の設定がなされているときには、一回目のすすぎ行程でためすすぎ(除菌設定がされてないときの一回目のすすぎ行程よりもすすぎ能力が高いすすぎ)を行うようにしたので、最後のすすぎ行程で行われる電解すすぎの前に、洗濯物の洗剤を十分に希釈でき、電解すすぎにおいて、不所望な電気分解や過電流の発生を防止できる。
また、電解すすぎを、つけおき行程と除菌すすぎ行程とで構成し、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度が高い電解水を一気に洗濯物に作用させるようにしているので、洗濯物の除菌効果を高めることができる。さらに、つけおき行程のつけおき時間を、電極33への通電電流が小さいほど長くするようにしたので、つけおき行程で、十分に次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンの濃度の高い電解水を生成することができる。さらに、つけおき時間を、洗濯水位が高いほど、即ち使用する水量が多いほど長くし、つけおき行程によってより濃度が高い電解水を生成するようにしたので、除菌すすぎ行程において、水量が多くて希釈度合いが高くなっても、適切な濃度の電解水を洗濯物に作用させることができる。
さらに、電解すすぎにおいて電解装置31を動作させる電解動作時間を、電極33への通電電流が小さいほど長くするようにしたので、電流が流れにくいすすぎ水であっても、十分に電解水を生成することができる。さらに、電解動作時間を、洗濯水位が高いほど長くするようにしたので、水量に対応した十分な電解水を生成することができる。さらに、除菌すすぎ行程の実行時間、即ち攪拌時間を、洗濯物の負荷量が多いほど長くするようにしているので、洗濯物が多い場合であっても、洗濯物全体に電解水を作用させることができ、ムラなく洗濯物を除菌できる。さらに、電解すすぎ時間を(特に、攪拌時間に限ったとしても)、除菌設定されていない場合に最終すすぎ行程で行うためすすぎのすすぎ時間、および除菌設定された場合に1回目のすすぎ行程で行うためすすぎのすすぎ時間よりも長くしているので、洗濯物に十分に電解水を作用させることができ、洗濯物の除菌効果を高めることができる。
また、電解すすぎを、洗濯水位まで給水すると給水を止めてすすぎを行うためすすぎとしているので、電気分解で生成した電解水が余計に希釈されたり、排水されたりすることがなく、十分に洗濯物の除菌を行うことができる。
また、電解すすぎを行う最終すすぎに行程で柔軟仕上剤を投入する場合は、電気分解により電解水を十分に生成し、電気分解を終了した後に投入するようにしているので、柔軟仕上剤の成分の影響により、不所望な電気分解が行われたり過電流が発生したりするのを防止することができる。
また、電極33への通電電流の上限電流値を設定し、通電電流値が上限電流値を超えるときには、電気分解を中止するようにしたので、過電流に対する通電回路30の保護が図れるとともに、洗剤濃度が高い状態で電気分解が行われるのを防止でき、不所望な電気分解が行われるのを防止できる。さらに、電極33の薄膜材料がなくなったことを検知するための下限電流値を設定し、通電電流が下限電流値よりも小さくなったときには、電気分解を中止するようにしたので、電極33のベース材が溶け出して洗濯物に付着するのを防止することができる。
さて次に、本実施形態の全自動洗濯機は、洗濯コースとして洗剤ゼロコースを備えたことを第2の特徴点としている。以下、洗剤ゼロコースの洗濯運転動作について、図13〜図15のフローチャートに従い説明する。
この洗剤ゼロコースは、皮脂汚れや汗汚れを中心とした比較的軽い汚れの衣類を洗濯するのに適するコースであり、電気分解による電解水で洗濯することにより洗剤を使用しないコースである。洗剤を使用しないため、肌の敏感な赤ちゃんの衣類の洗濯に最適である。なお、洗剤ゼロコースは、言い換えれば電解洗濯コースであり、本実施形態では、洗剤を使用しないので洗剤ゼロコースと称している。
使用者により洗剤ゼロコースが設定され、スタートキー36が押されると、制御部20の制御のもと、洗剤ゼロコースの洗濯運転が開始される。
まず、負荷量検知・水位設定処理を行う(ステップF1)。この負荷量検知・水位設定処理の動作は、図14に示す通りである。即ち、まず、洗濯兼脱水槽5内に給水されない状態において、洗濯兼脱水槽5に投入された洗濯物の負荷量を検知する(ステップF101)。本実施形態の全自動洗濯機では、洗剤ゼロコースにおける定格負荷量を4.5kgとしている。そして、この定格負荷量にあわせて、電解装置31の性能(出力)などを、予め実験などを行うことにより設定している。なお、電解装置31は、上述の標準コースのように洗濯物の除菌を行うだけであれば、標準コースの定格負荷量である8kgの洗濯物に対しても十分除菌を行えるような性能を有している。
ステップF101で負荷量が検知されると、検知した負荷量が定格負荷量4.5kgを超えているか否かを判定する(ステップF102)。定格負荷量を超えていなければ、図9に示す、洗剤ゼロコースにおける負荷量と水位(水量)との関係のテーブルに基づいて、検知された負荷量に応じた洗濯水位を設定する(ステップF103)。なお、定格負荷量は4.5kgとしているので、最高水位は3〜4.5kgに対応した水位、43l(リットル)としている。なお、この洗剤ゼロコースでは、洗剤を使用しないため洗剤量表示は行わない。
一方、ステップF102で、定格負荷量を超えていると判定すると、洗濯物を入れ過ぎていることを知らせるための入れ過ぎサインを出力する(ステップF104)。即ち、ブザー29を間欠動作して、「ピィ、ピィ、ピィ、ピィ」というブザー音を鳴らすとともに、例えば「U8」というようなユーザエラー(使用者の操作ミスで起こるエラー)の表示をセグメント表示部52に出す。ブザー音は停止するが、スタートキー36が押されたと判定するまで、ユーザエラー表示は継続する。なお、入れ過ぎサインのブザー音は、ブザーのオンオフ時間を変えるなどすることにより、他の故障異常やユーザエラーを知らせる異常音とは異なるようにしている。
使用者が入れ過ぎサインに気付き、スタートキー36を押すと、ステップF105でこれを判定し、入れ過ぎサインの出力、即ちユーザエラー表示を停止するとともに、洗濯運転を中断する(ステップF106)。そして、使用者によって入れ過ぎた洗濯物が取り除かれ、スタートキー36が再び押されると、ステップF107でこれを判定し、洗濯運転を再び開始する。
さて、洗濯水位が設定されて、負荷量検知・水位設定処理が終了すると、次に、予洗い行程を実行する。まず、第1バルブ13aを開放して洗濯兼脱水槽5内への給水を開始する(ステップF2)。洗濯兼脱水槽5内の水位が洗濯水位に達すると第1バルブ13aを閉鎖し給水を停止するが、この給水中、洗濯水位よりも低い所定水位(例えば、図9のテーブルにおいて2ランク下の水位)まで達すると、電解予洗いを開始する(ステップF3)。勿論、この所定水位においては、電解装置31の電極33は水没している。
まず、パルセータ7を左右反転回転することによって外槽2内で水流を発生させる。同時に、電解装置31を動作する。また、エアポンプ89が設けられている場合には、エアポンプ89を動作させてエアを電解槽32内に供給する。
上述したように、電気分解を行うことによって、電解水中には、次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンは勿論のこと、電極33の近傍においては活性酸素が発生している。また、この電解水は弱アルカリ性の性質を有する。パルセータ7の攪拌動作やエアポンプ89のエアー供給により水が電解槽32内と外槽2内との間で行き来し、外槽2内は徐々に電解水で満たされることになる。洗濯物に付着した汚れは、アルカリ水の効果および水流(パルセータ7の機械力)の効果により落とされる。洗濯物から落とされた汚れは、電解槽32内で活性酸素が作用して分解され、汚れが洗濯物に再度付着することが防止される。なお、次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンは、大半が汚れ中の雑菌に作用してしまうため、ここでの洗濯物の除菌効果はあまり期待できない。
そして、電解予洗いを開始してから所定の予洗い時間(例えば3分)が経過すると、電解装置31の動作を停止するとともにパルセータ7を停止し、外槽2内から排水を行って、予洗い行程を終了する(ステップF4)。こうして、この予洗い行程により、洗濯物の汚れが大まかに取り除かれる。
この電解予洗い行程においても、電解すすぎ行程と同様、電極33への通電制御がなされる。このため、この洗剤ゼロコースにおいて、使用者により誤って洗剤が投入され、予洗いの水の洗剤濃度が高くなったなどの原因により、通電電流値が非常に大きくなった場合には、電解予洗いの途中で電解装置31の動作が中止される。しかし、パルセータ7の動作は続けられ、予洗い自身は続けられる。このとき、洗剤が原因であれば、洗剤の効果により電解水が作用しない分の汚れ落ちが補われる。また、洗剤が原因でない場合でも、多少汚れ落ちは悪くなるが、予洗いとしての効果を果たすことができる。
なお、本格的な洗いを行う前に洗濯物の汚れを大まかに落とすという予洗いの目的から考えれば、この予洗い行程では、電解装置31の寿命や消費電力等を考慮し、電解装置31を動作せず電気分解を行わない構成としても良い。
予洗い行程が終了すると、中間脱水を実行する(F5)。この中間脱水の動作は、図15に示す通りである。即ち、洗濯兼脱水槽5を起動し、一方向に高速回転させる(ステップF501)。これにより、洗濯兼脱水槽5内の洗濯物が脱水される。そして、所定の脱水時間が経過すると、洗濯兼脱水槽5を停止して中間脱水を終了する(ステップF502、F503)。
さて、脱水動作中はアンバランス検知スイッチ58によって洗濯兼脱水槽5内の洗濯物のアンバランス即ち、このアンバランスが原因で起こる外槽2の異常な揺れを検知している。そして、アンバランス検知スイッチ58によって外槽2の異常な揺れを検知すると、ステップF504で洗濯物がアンバランス状態であると判定し、洗濯兼脱水槽5を停止して脱水を中断する(ステップF505)。そして、洗濯兼脱水槽5内の洗濯物のアンバランスを解消すべく、アンバランス修正動作(ほぐし動作)を行う(ステップF506)。
アンバランス修正動作では、まず、第1バルブ13aを開放して給水を開始する(ステップF561)。次に、設定された洗濯水位がこの洗剤ゼロコースにおける最高水位か否かを判定する(ステップF562)。最高水位でない場合には、設定された洗濯水位まで給水すると、第1バルブ13aを閉鎖して給水を停止する(ステップF563、F565)。
一方、ステップF562で設定された洗濯水位が最高水位であると判定した場合には、最高水位よりも高いほぐし水位を設定する。そして、このほぐし水位まで給水して第1バルブ13aを閉鎖する(ステップF564、F565)。このほぐし水位は、例えば、標準コースにおける洗剤ゼロコースの最高水位よりも2ランク上の51l(リットル)の水位とする。このように、設定された洗濯水位が最高水位である場合、ほぐし水位を最高水位よりも高くするのは、次のような理由による。即ち、定格負荷量よりも少々多くの洗濯物が入れられた場合には、種々の要因により、負荷量検知において誤って定格負荷量以内であると検知されることがある。このような場合には、洗濯水位は定格負荷量に応じた水位、即ち、洗剤ゼロコースでの最高水位となるが、この状態では負荷量に対して水量が不足になってしまい、洗濯物が団子状態になりやすく、洗濯槽内で洗濯物がアンバランスになりやすい。よって、最高水位が設定された情況下でアンバランスが検知された場合には、上述のように少し定格負荷量よりも多くなっていることが予想される。この場合、最高水位の水量では、実際の負荷量に対して水不足になり、十分にほぐすことができない虞があるからである。
次に、給水が終了すると、パルセータ7を起動して反転回転することにより洗濯物を攪拌する(ステップF566)。これによって洗濯物がほぐれ、洗濯兼脱水槽5内の洗濯物のアンバランスが解消される。こうして、所定のほぐし時間が経過すると、パルセータ7を停止し、排水を行った後、アンバランス修正動作を終了する(ステップF567〜F569)。アンバランスが解消されると、再び脱水動作を再開する。
このように、洗濯水位が最高水位に設定されている場合に、アンバランス検知なされると、最高水位より高いほぐし水位まで給水し、この水位で洗濯物を攪拌するようにしているので、洗濯物が少し定格負荷量より多い状態であっても確実にほぐすことができる。
さて、中間脱水を終了すると、電解洗い行程を実行する(ステップF6〜F8)。電解洗い行程での動作は上述した電解予洗い行程での動作と同じであるが、電解装置31およびパルセータ7を動作させる電解洗い時間を予洗い時間よりも長く設定している。例えば、予洗い時間3分に対して電解洗い時間は10分に設定している。こうして、この電解洗い行程により、洗濯物の汚れが十分に取り除かれる。
この電解洗い行程においても、電極33への通電制御がなされる。このため、上述したように、使用者によって誤って洗剤が投入され、洗濯物に洗剤分が多く残ったまま電解洗いが行われ、洗い水の電解濃度が高くなるなどの原因により、通電電流値が非常に大きくなった場合には、電解洗いの途中で電解装置31の動作が中止される。このとき、パルセータ7の動作は継続され、洗い自身は続けられる。この電解洗い行程では、予洗い行程の場合とは違って、洗濯物の汚れを十分に落とす必要がある。このため、洗剤の投入が原因であれば、洗剤の効果によって洗浄性能が確保できるかもしれないが、その洗剤量が十分ではない場合や洗剤の投入が原因ではない場合(後述する入浴剤など他の導電率を良くする物質の投入が原因である)には、電解装置31を止めてしまっては十分な洗浄性能を確保できない虞がある。したがって、通電電流が大きくなり、電解洗い行程の途中で電解装置31の動作を中止した場合には、後述する追加電解洗い行程が実行される。
電解洗い行程が終了すると、2回目の中間脱水が実行される(ステップF9)。この2回目の中間脱水の動作は、最初の中間脱水の動作と同じである。
2回目の中間脱水が終了すると、通電電流値が上限電流値を超えることによって電解洗い行程の途中で電解装置31の動作が中止されたか否かを判定する(ステップF10)。中止されていなければ、電解すすぎ行程へと移行する。一方、電解洗い行程の途中で電解装置31の動作が中止されたと判定した場合には、追加電解洗い行程を実行する(ステップF11〜F13)。この追加電解洗い行程の動作は、予洗い行程や電解洗い行程と同じであるが、電解装置31およびパルセータ7を動作させる追加洗い時間を予洗い時間よりも長く電解洗い時間よりも短く設定している。本実施形態では、例えば、追加洗い時間を5分に設定している。これは、電解洗い行程によって多少は洗われているので電解洗い時間ほどの時間は必要なく、しかし、予洗い行程よりは十分に洗う必要があるためである。
この追加電解洗い行程が行われた場合には、さらに3回目の中間脱水を行った後(ステップF14)、電解すすぎ行程を実行する(ステップF15〜F17)。
この電解すすぎ行程の動作は、標準コースにおいて除菌の設定がなされ、最終すすぎ行程で電解すすぎを行う場合の動作と同様である。つけおき時間、攪拌時間、電解動作時間は図11に示す通りであるが、標準コースに比べて定格負荷量(最高水位)が少ないため、つけおき時間および電解動作時間は通電電流値のみに基づくものとし、攪拌時間は一定としている。また、攪拌時間は、標準コースにおける同じ水位や通電電流値に対応する攪拌時間より長くしている。
こうして、電解すすぎ行程が終了すると、中間脱水よりも脱水時間の長い最終脱水を行う(ステップF18)。この最終脱水の脱水動作も、脱水時間が長いだけで、中間脱水の動作と同様である。そして、最終脱水が終了すると、洗剤ゼロコースの洗浄運転を終了する。
なお、電解予洗いの実行時間(電解装置31の動作時間)、および電解洗いの実行時間を通電電流の大きさに応じて変更するようにしても良い。この場合、通電電流値が小さいほど実行時間を長くする。また、電解予洗いの実行時間(電解装置31の動作時間)、および電解洗いの実行時間を洗濯物の負荷量、水量(水位)に応じて変更するようにしても良い。この場合、負荷量や水量が多いほど実行時間を長くする。このようにすると、洗浄性能をより確実に確保できる。
このように、本実施形態の全自動洗濯機では、電解装置31を備え、洗剤ゼロコースにおいて、電気分解で生成した電解水を用いた電解洗いおよび電解すすぎを行うことにより、洗濯物の汚れを落とし、洗濯物の除菌をするようにしているので、洗剤の使用量を大幅に削減することができる。
また、電解洗い行程に先立って予洗い行程を実行するよう構成し、予洗いによって洗濯物の大まかな汚れを落とした上で、本格的な電解洗いを行うようにしたので、電解洗いを効率よく行うことができる。よって、電解装置31の性能を必要以上に高くせずにすみ、電解装置31が大型化しない。さらに、この予洗い行程においても電気分解を行うようにしたので、予洗いの洗浄性能が良くなる。
また、洗剤ゼロコースの定格負荷量を標準コースの定格負荷量よりも小さくしているので、電解装置31が大きくならず、コストの上昇を抑えるとともに、洗濯機本体が大型化するのを防止できる。さらに、洗剤ゼロコースにおいて、定格負荷量を超える洗濯物が投入された場合には、入れ過ぎサインを出力して使用者に報知するようにしているので、洗濯物を入れ過ぎた状態で洗剤ゼロコースの洗濯運転が行われるのを防止でき、洗浄性能を確保することができる。さらに、入れ過ぎを判定するための負荷量検知を、運転開始後直ちに、即ち給水を開始する前に行い、給水前に入れ過ぎの報知を行なうようにしたので、入れ過ぎた洗濯物を濡らさずに取り出すことができる。
また、電極33への通電電流値が大きくて電解洗い行程の途中に電気分解が中止された場合には、追加電解洗い行程、即ち、水を入れ替えて再度電解洗いを行うようにしているので、電解洗い行程において電気分解が中止された場合でも洗浄性能を確保することができる。
ところで、本実施形態の全自動洗濯機では、使用者が風呂水キー43を用いて設定することにより、風呂水を使用して洗濯運転を行うことができる。通常の洗濯コース(標準コースなど)の場合は、洗い行程から最後のすすぎ行程まで、すべての行程において風呂水を使用することができる。しかし、標準コースなどで除菌プラスキー42により除菌設定がなされた場合には、最終のすすぎ行程で行われる電解すすぎには風呂水の使用を禁止するようにしている。同じく洗剤ゼロコースの電解すすぎ行程で行われる電解すすぎにも風呂水の使用を禁止するようにしている。これは、電解すすぎに風呂水が使用されると、風呂水中の雑菌に電解水が作用してしまい、洗濯物の除菌効果が低下してしまうからである。以下、この風呂水使用の設定動作について図16〜図18に基づいて詳細に説明する。
風呂水キー43によるキー入力があると、図16に示す風呂水設定処理が実行される。即ち、現在の設定状態が風呂水の使用「なし」の設定であれば、風呂水の使用を「洗い」に設定する(ステップG1、G2)。現在の設定状態が「洗い」であれば、洗剤ゼロコースが設定されているか否かを判定する(ステップG3、G4)。そして、洗剤ゼロコースが設定されていなければ、風呂水の使用を「すすぎ1」に設定し(ステップG5)、設定されていれば、風呂水の使用を「なし」に設定する(ステップG6)。現在の設定状態が「すすぎ1」であれば、除菌の設定がなされているか否かを判定する(ステップG7、G8)。そして、除菌の設定がされていなければ、風呂水の使用を「すすぎ2」に設定し(ステップG9)、除菌の設定がされていれば、風呂水の使用を「なし」に設定する(ステップG6)。現在の設定状態が「すすぎ2」であれば、風呂水の使用を「すっきりシャワー」に設定する(ステップG10、G11)。ステップG10で「すすぎ2」でないと判定すれば、即ち現在の設定が「すっきりシャワー」であれば、ステップG6で風呂水の使用を「なし」に設定する。
使用者は、通常、コースキー群37の操作により洗濯コースを設定し、また、必要であれば除菌プラスキー42の操作により除菌の設定をした後に、風呂水キー43の操作により風呂水使用の設定を行う。しかし、コース変更をするなど、場合によっては風呂水使用の設定の後に洗濯コースの設定や除菌の設定がなされる場合も出てくる。この場合の風呂水使用の設定処理について説明する。
まず、各コースキーによるキー入力があると、図17に示す風呂水設定処理を実行する。洗剤ゼロコースが設定されたか否かを判定し(ステップG101)、洗剤ゼロコースが設定されたのでなければ、現在の設定を維持する(ステップG102)。一方、洗剤ゼロコースが設定されたのであれば、現在の設定が「すすぎ1」以上、即ち、「すすぎ1」、「すすぎ2」、または「すっきりシャワー」であるか否かを判定し(ステップG103)、「すすぎ1」以上であれば、風呂水の使用を「洗い」に変更する(ステップG104)。設定が「なし」、または「洗い」であれば、その設定を維持する(ステップG102)。
次に、除菌プラスキー42によるキー入力があると、図18に示す風呂水設定処理を実行する。現在の設定が「すすぎ2」以上、即ち、「すすぎ2」または「すっきりシャワー」であるか否かを判定し(ステップG201)、「すすぎ2」以上であれば、風呂水の使用を「すすぎ1」に変更する(ステップG202)。設定が「なし」、「洗い」、または「すすぎ1」であれば、その設定を維持する(ステップG203)。
このようにして、風呂水の使用が「洗い」に設定されると、風呂水表示部47の「洗い」のLEDが点灯する。この状態で、洗濯運転が開始されると、標準コースにおいては、洗い行程の給水時に風呂水ポンプ59が動作し、風呂水が供給される。また、洗剤ゼロコースにおいては、予洗い行程および電解洗い行程の給水時に風呂水が供給される。
さらに、風呂水の使用が「すすぎ1」に設定されると、風呂水表示部47の「洗い」および「すすぎ1」のLEDが点灯し、標準コースにおいては、洗い行程および1回目のすすぎ行程に風呂水が供給される。また、「すすぎ2」が設定されると、「すすぎ2」までのLEDが点灯し、洗い行程から最後のすすぎ行程までの給水時に風呂水が供給される。なお、「すっきりシャワー」が設定された場合には、「シャワー」までのLEDが点灯し、最後のすすぎ行程まで風呂水が供給されるとともに、最後のすすぎ行程が終了した後、仕上すすぎ行程を実行する。仕上すすぎ行程では、洗濯兼脱水槽5がゆっくりと回転するとともに、水道水が供給され、洗濯物に掛けられる。
ここで、標準コースにおいて、除菌の設定がなされた場合には、上記図16の風呂水設定処理で説明したように、風呂水キー43の操作により「すすぎ1」までしか設定できなくなる。また、上記図18の風呂水設定処理で説明したように、「すすぎ2」以上に設定されていても「すすぎ1」の設定に変更される。したがって、最後のすすぎ行程よりも以前の行程では、風呂水が使用できるので節水が図れるとともに、最後のすすぎ行程では水道水が供給され、電解すすぎには水道水が使用されることになるので、電解水中の次亜塩素酸などが風呂水の雑菌に費やされるようなことがなく、洗濯物に十分に作用して、洗濯物を十分に除菌することができる。
また、洗剤ゼロコースが設定された場合には、上記図16の風呂水設定処理で説明したように、風呂水キー43の操作により「洗い」までしか設定できなくなる。また、上記図17の風呂水設定処理で説明したように、「すすぎ1」以上に設定されていても「洗い」の設定に変更される。したがって、電解すすぎ行程よりも以前の行程(電解洗い行程や予洗い行程)では、風呂水が使用できるので節水が図れるとともに、電解すすぎ行程では水道水が供給され、電解すすぎには水道水が使用されることになるので、洗濯物を十分に除菌することができきる。
ところで、上述したように、洗剤ゼロコースにおいては、予洗い行程および電解洗い行程に風呂水を使用できるようにしている。この場合、入浴剤が入った風呂水が電気分解を行う予洗いや電解洗いに使用される場合が出てくる。そして、入浴剤が入った風呂水を電気分解した場合、その濃度が高いと、入浴剤の成分の影響により、洗剤の場合と同様、所望の電気分解が行われなかったり、過電流が流れたりする虞がある。
これに対し、入浴剤入りの風呂水が使用され、その濃度によって通電電流が大きくなると、上述した予洗いや電解洗い中に行われる電極33の通電制御のステップK12においてこれを検知し、電解装置31の動作を中止するようにする。したがって、入浴剤入りの風呂水が使用されたとしても、入浴剤の影響によって、不所望な電気分解が行われたり、過電流が流れたりするのを防止できる。
また、図13のフローチャートには示していないが、風呂水の使用が「洗い」に設定されていた場合、予洗い行程の途中で電気分解が中止されたか否かを判定し、中止された場合には、電解洗い行程の給水時に水道水を供給するようにする。これにより、予洗い行程において入浴剤入りの風呂水が原因で電気分解が中止されたような場合に、再びこのような風呂水が使用されることがなく、電解洗い行程において電気分解を確実に行うことができる。
さらに、電解洗い行程の途中で電気分解が中止されたことにより実行する追加電解洗い行程には、電解洗い行程で風呂水が使用されたとしても、必ず水道水を供給するようにしている。これにより、電解洗い行程において入浴剤入りの風呂水が原因で電気分解が中止されたような場合にも、追加電解洗い行程において電気分解を確実に行うことができる。
以上、本発明の洗濯機の一実施形態について説明したが、本発明は、例えば、以下に示すように、上記の実施形態に限定されるものではない。
本発明の洗濯機は、全自動洗濯機に限定されない。外槽と外槽内に設けられた横軸型のドラムとで洗濯槽を構成する、いわゆるドラム式洗濯機でもよい。また、洗濯槽を一槽とし脱水槽を別に設けた、いわゆる二槽式洗濯機でもよい。
本発明の洗濯手段は、パルセータ7に限られるものではない。例えば、全自動洗濯機において、洗濯兼脱水槽の回転で生じる水流を利用して洗濯物を洗濯する場合は洗濯兼脱水槽が洗濯手段となる。ドラム式洗濯機においては、ドラムやドラムに設けられた洗濯物攪拌用のバッフルが洗濯手段となる。要は、機械力により洗濯物を洗濯する手段であればよい。
本発明の電解手段は、本実施形態のように洗濯槽とは別に設けるものではなく、洗濯槽内に設けるものでもよい。また、洗濯運転によって洗濯槽内の水が循環される場所に設けるものでもよい。要は、洗濯槽内に溜めた水を電気分解するものであればよい。
本発明の電解すすぎは、電解洗い同様、つけおき行程を有さず、電気分解しながら機械力によるすすぎを行う除菌すすぎ行程だけからなるものでもよい。
本発明は、水道水のみを電気分解するものに限られない。水道水の電気分解を促進するため、食塩や炭酸水素ナトリウムを水道水に加えて電解溶液とし、これを電気分解するようにしてもよい。
本発明は、洗剤を用いる洗い行程での使用量よりも大幅に少なく、過電流が発生せず、電気分解に洗剤分の影響が出ない程度であれば、電解洗いに行程に洗剤を投入するものであってもよい。
その他、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更や修正を行える。