JP4202038B2 - タービンノズル及びシュラウドを選択的に配置する方法及びガスタービン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タービンの高温ガス流路内のガスタービンノズル及びシュラウドに関し、ノズル及びシュラウドは、該ノズル及びシュラウドへの入口状態、すなわちノズル入口平面及びシュラウド入口平面を通って流れる高温燃焼ガスの既知の円周方向の流れ特性に基づき、円周配列の燃焼器に対応して選択的に配置される。
【0002】
【発明の背景】
産業用途、例えば発電用に設計された従来のガスタービンでは、燃焼装置は、一般的に円周方向に間隔を置いて配置された燃焼器の環状配列からなっている。各燃焼器は、関連する遷移部品を通して高温燃焼ガスを供給し、所定のスパンの第1段ノズル及び第1段タービンバケットに対向する所定のスパンの第1段シュラウド上を流し、次に後段のノズルを通りシュラウドを通り過ぎて流す。ノズルに関しては、各ノズルは、円周方向に間隔を置いて配置された1対の隣接するノズル羽根とノズルを通る高温燃焼ガスのための流路を形成する内側壁及び外側壁とからなっている。燃焼器の設計においては、円周方向の流れ特性に変動があることが知られており、このことが各ノズルが異なる入口状態を示す原因となる。例えば、第1段ノズルの入口平面または遷移部品のほぼ出口平面において、1つのノズルが、同じ燃焼器及び遷移部品から高温燃焼ガスを受けている隣接するノズルとはかなり異なる熱伝達率及び/又は温度を示す場合がある。さらに、単一の燃焼器から高温燃焼ガスを受ける組のノズルのうちの1つのノズルが、ノズル入口に沿う、異なる位置で異なる流れの状態を示す場合がある。例えば、14個の燃焼器及び42個の第1段ノズルを有するガスタービン燃焼装置では、燃焼器/ノズルの時計配列により1つの燃焼器から高温燃焼ガスを受ける3つのノズルが設けられることが分かるであろう。流れ特性の変動のために、ノズルのうちの1つが示す入口状態は、他の2つのノズルが示す入口状態とはかなり異なる。より具体的には、燃焼器内の燃料の流れの旋回作用のために、3つのノズルのうちの第1のノズルは、2つの隣接するノズルより高い温度上昇となるだけでなく、ノズルの外径に沿いかつ外側隅部に隣接する位置でより高い温度となる可能性がある。1つの燃焼器から高温燃焼ガスを受ける組のノズルのうちの他の2つのノズルは、各ノズル入口にわたってほぼ一様に同じ入口温度となっている。従って、各燃焼器と組み合わされる各組のノズルのうちの第1段ノズル中にホットスポットが生じて、そのホットスポットは、その組の残りのノズルに比較して華氏500度ほども温度が違う場合がある。異なる流れ特性はまた、圧力における変動も引き起こす。
【0003】
ノズルの入口平面における円周方向の流れ特性及び温度特性のこれら認められる変動のために、ノズル構成部品は、最も有害な燃焼器状態に適合するように、通常は一様に設計されている。その結果、各々のノズルの組の1つ又はそれ以上のノズルは、過剰設計されることになり、そのことがエンジン性能及び費用にマイナスの影響を与える。例えば、産業用ガスタービンの第1段ノズルは、一般的に空冷にされるかまたは蒸気冷却される。ある段の全てのノズルを同じにしかも最悪の場合のシナリオに合わせて設計することで、第1のノズルは、同じ燃焼器から燃焼ガスを受ける組のノズルのうちの2つの隣接するノズルより高い温度の入口状態を示し、そのような状態に適した冷却をされることになる。しかしながら、その組の他のノズルは、有用な圧縮機吐出空気または蒸気を用いて過剰冷却されることになり、また有用な圧縮機吐出空気または蒸気を用いることはエンジン性能にマイナスの影響をもたらす。その上に、産業用ガスタービンのノズルは、一般的にノズルセグメントで形成され、ノズルセグメントの円周配列に固定されて、第1段及び第2段ノズルを形成する。厳しい生産管理にもかかわらず、各ノズルセグメントは品質が異なる場合がある。例えば、ノズルセグメント上の溶接部が異なったり、あるいは断熱被膜の量がわずかに異なる場合がある。従って、セグメントの構造特性は、僅かなばらつきを有することがあり、このばらつきがセグメントがガスタービン内で使うのに結果として受けられるか受けられないかということにつながる。それ故、各ノズルセグメントの構造特性は、「ホットスポット」においてノズルを形成するためには受け入れられないが、それほど厳しい条件にさらされない同じ組の中の異なる位置におけるノズルには完全に受け入れられる可能性がある。
【0004】
同じことが、様々なタービン段のバケットを取り囲むシュラウドの場合にも当てはまる。つまり、様々な段のシュラウドは、シュラウド入口平面に沿う円周方向の流れ特性の変動を同様に示す。従って、シュラウドは、上流のノズル段から高温燃焼ガスを受ける隣接するシュラウドとはかなり異なる熱伝達率及び/又は温度を示す。ノズルと同様に、シュラウドも最も有害な流路状態に適合するように、通常一様に設計されており、過剰設計されたシュラウドが前述のノズルと同様にエンジン性能及び費用に同様なマイナスの影響を及ぼす。
【0005】
一般的に、ノズルと同数の内側シュラウドがある。若しくは、ノズルとは異なる数のシュラウド、例えば、各ノズル当り2つのシュラウドがあってもよい。いずれにしても、高温ガス流路の周りの様々なシュラウドは、上述のように異なる入口状態を示すであろう。
【0006】
【発明の概要】
本発明の好ましい実施形態によると、各関連する燃焼器に対するノズル及びシュラウドの各組のうちのノズル及びシュラウドは、それぞれのノズル及びシュラウドの入口状態に従って選択的に配置される。例えば、またノズルに関して、関連する燃焼器から高温燃焼ガスを受ける各組のノズルへの入口状態においてホットスポットが認められる場所では、その円周方向位置におけるノズルは、その上昇した温度状態に合わせた設計にすることができる。従って、そのノズルは、増強された冷却を施され、例えば、ノズルを通しての空気または蒸気の流量を増し、ノズルをさらに冷却してホットスポットを吸収することができる。逆に、同じ燃焼器から燃焼ガスを受ける組のノズルのうちの残りの1つまたは複数のノズルは、最悪の場合のシナリオに合わせて設計される必要はなく、例えば、空気または蒸気の冷却流量を減少させて供給するように設計することができる。このようにして、後に挙げた方のノズルの過剰設計が避けられる。また、1つの燃焼器から燃焼ガスを受ける組のノズルを形成するノズルの品質を、異ならせることができる。例えば、高温燃焼ガスのより低温の流れを受けるノズルの構造品質は、同じ燃焼器からより高温の流れを受けるその組のノズルと同じ構造品質を有する必要はない。従って、壁厚さまたは断熱被膜のようなコーティング、あるいはその両方ともを、より低温の燃焼ガスの流れが認められるそれらのノズルについては、より高温の燃焼ガスを受けるその組のノズルの壁厚さ及び/又はコーティングと比べて減少させることができる。各燃焼器からの入口状態に応じてその各組のノズルを選択的に設計し、それらのノズルを配置することにより、エンジン性能の向上及びノズルの全体寿命を延ばすことができる。上記のことは、第1段及び第2段両方のノズルに適用可能であることが分かるであろう。
【0007】
ノズルの場合と同様に、高温ガス流路に沿って入口平面を越えてロータ段の環状配列のシュラウドまで流れる高温のガスの状態に従って、シュラウドは選択的に配置される。例えば、ノズルの下流のシュラウドへの入口状態においてホットスポットが認められる場所では、その位置のシュラウドは上昇した温度に適わせて設計することができる。例えば、冷却を増強して供給してもよい。逆に、上流のノズルを通るにもかかわらず、同じ燃焼器から燃焼ガスを受ける組の残りのシュラウドのうちのシュラウドは、最悪のシナリオに合わせて設計する必要はなく、冷却を減少させまたは構造品質を低下させて設計することができる。その上に、厚さまたはコーティングは、ガスの低下した温度に適応するように変更することができる。従って、ノズルと同様に、シュラウドも、シュラウドを越えて流れる高温燃焼ガスの状態に応じて選択的に設計し、エンジンの性能を向上させまたシュラウドの全体寿命を延ばすことができる。上記のことは、各タービン段のシュラウドに適用可能であることもまた分かるであろう。
【0008】
本発明による好ましい実施形態においては、タービンを通る高温ガス流路を少なくとも一部形成する円周配列の構成部品とそれぞれの組の構成部品を通して高温燃焼ガスを流すための複数の燃焼器とを有し、各組の構成部品のうちの第1の構成部品及び第2の構成部品が、関連する燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされるガスタービンにおける、構成部品及び燃焼器を互いに対応させて配置する方法が提供され、該方法は、構成部品への異なる入口状態に基づき、関連する燃焼器に対応する円周方向位置において、各組の構成部品のうちで第1の構成部品を第2の構成部品に対して選択的に配置する段階を含む。
【0009】
本発明による別の好ましい実施形態においては、円周配列のノズルとそれぞれの組の隣接するノズルを通して高温燃焼ガスを流すための複数の燃焼器とを有し、各組のノズルのうちの第1のノズル及び第2のノズルが、関連する燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされるガスタービンにおける、ノズル及び燃焼器を互いに対応させて配置する方法が提供され、該方法は、ノズルへの異なる入口状態に基づき、関連する燃焼器に対する円周方向位置において、各組のノズルのうちで第1のノズルを第2のノズルに対して選択的に配置する段階を含む。
【0010】
本発明によるさらに別の好ましい実施形態においては、タービンを通る高温ガス流路を少なくとも部分的に形成する円周配列の構成部品とそれぞれの組の構成部品を通して高温燃焼ガスを流すための複数の燃焼器とを有し、各組の構成部品のうちの第1の構成部品及び第2の構成部品が、関連する燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされるガスタービンにおける、構成部品及び燃焼器を互いに対応させて配置する方法が提供され、該方法は、異なる入口状態に基づき、関連する燃焼器に対応する円周方向位置において、各組の構成部品のうちで第1の構成部品を第2の構成部品に対して選択的に配置することにより、タービン性能を増大させる段階を含む。
【0011】
本発明によるさらに別の好ましい実施形態においては、タービンを通る高温ガス流路を少なくとも部分的に形成する円周配列の構成部品とそれぞれの組の構成部品を通して高温燃焼ガスを流すための複数の燃焼器とを有し、各組の構成部品のうちの第1の構成部品及び第2の構成部品が、関連する燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされるガスタービンにおける、構成部品及び燃焼器を互いに対応させて配置する方法が提供され、該方法は、異なる入口状態に基づき、関連する燃焼器に対応する円周方向位置において、各組の構成部品のうちで第1の構成部品を第2の構成部品に対して選択的に配置することにより、構成部品の部品寿命を延ばす段階を含む。
【0012】
本発明によるさらに別の好ましい実施形態においては、タービンを通る高温ガス流路を少なくとも一部形成する円周配列の構成部品と、それぞれの組の隣接する構成部品を通して高温ガス流路に沿って高温燃焼ガスを流すための円周配列の燃焼器とを含んでおり、その組の隣接する構成部品のうちの第1の構成部品及び第2の構成部品が、それらと関連するそれぞれの燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされており、その各組の第1の構成部品が、異なる入口状態に基づき、その各組の第2の構成部品及び関連する燃焼器に対応する円周方向位置に配置され、かつ第2の構成部品と比べて品質的差異を有するガスタービンが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
ここで図面、特に図1を参照すると、それぞれ全体を符号6及び符号8で表わすガスタービン用の第1及び第2段のノズルが示されている。第1段ノズルは、複数の構成部品、すなわちノズルNを含み、該ノズルNの各々は、それぞれ1対の隣接する羽根11と内側壁12及び外側壁14とにより形成され、第1段ノズルを通る高温ガス流路を部分的に形成する。すなわち、燃焼器15(図3及び図4)からの高温燃焼ガスは、遷移部品16を通して軸方向に第1段のノズルNまで、特に各円周方向に隣接するノズル羽根11と内側壁12及び外側壁14の間を流れる。高温ガス流路に沿ってノズルNを通過する高温燃焼ガスは、もちろん、第1段のタービンバケット18を駆動する。第2段ノズル8もまた、複数のノズルNを含み、該ノズルNの各々は、それぞれ1対の隣接する羽根17と内側壁21及び外側壁23とにより形成され、第2段ノズル8を通る高温ガス流路を一部形成する。第2段のバケットは符号26で示す。
【0014】
また、図1に示されるのは、それぞれタービンバケット18及び26に対向する第1段及び第2段の内側シュラウド及び外側シュラウドである。具体的には、第1段の内側シュラウド28及び外側シュラウド30と第2段の内側シュラウド32及び外側シュラウド34とを示している。
【0015】
図2を参照して第1段ノズルの選択的な配置を先ず説明すれば、ノズル羽根11は、その円周配列で配置され、タービンの軸線20の周りに時計配列されている。図3では、複数の燃焼器15が、軸線20の周りにその円周配列で配置されて、高温燃焼ガスを遷移部品16を介してノズル10に供給することが分かるであろう。各個々の燃焼器15は、図示されていないが、複数の燃料ノズルを含み、該燃料ノズルが、燃料に、つまり燃焼器15から遷移部品16を通してノズル中に流れる高温燃焼ガスに、旋回を与えることが分かるであろう。この高温燃焼ガスの旋回パターンが、燃焼器15から遷移部品16を通してノズルN中へ流れる高温燃焼ガスの流れ特性に変動を生じさせることが分かった。これらの変動には、ノズルNの入口平面19に沿う温度及び圧力変動が含まれる。
【0016】
ここで図4を参照すれば、この図は、燃焼器15、遷移部品16及びノズルNの互いに対する配列を示す典型的な燃焼器/ノズルの複合した時計配列を示している。図4では、特にノズルN1、N2、及びN3の3つのノズルが示されていて、それらのノズルは関連する燃焼器15から関連する遷移部品16を介して高温燃焼ガスのほぼ全体を受ける。各燃焼器に対して3つのノズルを示しているが、各燃焼器当りのノズルNの数は、3対1の比率とは異なるようにすることも可能であり、より高いかまたはより低い比率とすることができることが分かるであろう。従って、1つの燃焼器に対して3つのノズルNを配置するのは、例示しただけのものであって限定的なものではない。本説明及び例示は、特に第1段ノズルについて進めるが、本発明は第2段ノズルにも同様に適用できることも分かるであろう。第2段ノズルは、ここに述べるのと同様の理由で燃焼器に対応してロータ軸線の回りに時計配列され、このノズルも当然内側壁及び外側壁を含む。
【0017】
先に述べたように、各燃焼器15からその関連する遷移部品16を介して関連するノズルN1、N2、及びN3中へ流れる高温燃焼ガスの流れ特性は異なる。例えば、ノズルN1に入る高温燃焼ガスの、特にその外径に沿う温度特性は、例えばコンピュータモデリングにより、ノズルN1の残りの部分とノズルN2及びN3とを通過するガスより高温であるとして認められた。このような温度変動は、華氏500度にもなり得る。従って、遷移部品16とそれぞれ内側壁12及び外側壁14との間の間隙22及び24(図1)を通じて高温ガス流路中に流れ込むパージ用空気は、例えば、ノズルN2及びN3を通って流れるガスの温度と比較してノズルN1を通って流れるガスの温度上昇に適応するようにしなければならないということが分かるであろう。さらに、ノズルを通しての空気または蒸気の冷却流れはまた、このより高温の温度に適応するように調整することが可能である。冷却媒体がそれを通して流れる第1段ノズルの代表的な例については、米国特許第6,079,943号を参照されたく、その開示内容は参考文献として本明細書に組み込まれる。ノズルN1の品質は、同様にこの温度変動に適応しなければならない。先に述べたように、ノズルは最悪のシナリオに適合するように一律の基準に合わせて従来は設計されていた。従って、ノズルN2及びN3は、ノズルN1に比して品質及び冷却の観点からすれば過剰設計されている。品質とは、ノズルを形成する部品の壁厚さ、溶接の強固さ、及び/又は全体としての部品の予想寿命あるいは堅牢さを意味する。
【0018】
本発明によると、ノズルNは、その関連する燃焼器及び遷移部品に対応して各ノズルが示す入口状態に従って、ノズルの環状配列で選択的に配置することができる。例えば、ノズルN2及びN3が示す温度より高い温度の入口状態を示すノズルN1は、ノズルN2及びN3に与えられる冷却と比較して増強された冷却を施されることが可能である。スロット22及び24を通じて供給されるパージ用空気を増加させてもよい。逆に、ノズルN2及びN3は、ノズルN1の冷却流量または冷却温度と比較して、冷却流量、例えば温度を減少させる必要がある。従って、全てのノズルが最悪のシナリオに適合するように、すなわちノズルN1を通る燃焼ガス流のより高い温度に適応するように、全く同じに設計されるとした場合に必要な冷却からノズルN2及びN3にとって必要とされる冷却に減少させることによって、エンジン性能の増大を達成することができる。その上、関連する燃焼器のより低い温度にさらされるノズル、すなわちノズルN2、N3の品質を、低下させることができる。品質の低下とは、ノズルN1が燃焼ガスのより高い温度部分に適応するのに必要なその構造上及びコーティングの要件と比較して、ノズルN2及びN3が、構造上の要件を低下させ及び/又はコーティングを減少させることができることを意味する。例えば、ノズルセグメント、すなわち外側壁12及び内側壁14とノズルセグメントを形成する各羽根は、一定の公差内で製造される。それらの公差内のセグメントの製造上のばらつきにより、他のセグメントより堅牢なセグメントが、特定されて選択的に配置され、すなわち燃焼器と向かい合って時計配列され、ノズル入口流れの既知の変動に適応することができる。ノズルへの入口流れ状態における既知のかなりの不均衡のために、一部のノズルは、より不利な条件に適応させるために、構造上の堅牢さ、例えば材料の寸法を増大させて製造し配置することができ、一方、残りのノズルは、それほど有害ではない入口状態に適応するように、構造上の堅牢さをより少なくなくして製造し配置することができる。同様に、段のノズル内のその位置に応じて、異なる断熱被膜(TBC)、例えば厚さまたは材料を、ノズルNに施すことができる。また、段のノズルに沿うその予定された位置に応じて、異なる冷却要件及びこれらの異なる冷却要件に適応させるための構造を、様々なノズルに与えることができる。例えば、より少ない熱負荷(もしそれが流れに誘発された熱伝達率の上昇であれまたは円周方向の温度分布の関数であれ)となることが知られている関連する燃焼器及び遷移部品と向き合った部分に配置されるノズルには、減少した冷却流れを供給するようにすることができる。従って、各ノズルは、段の他のノズルとは異なる構造上の要件または冷却要件を有することができ、このようにして、ノズル段の周りの様々な既知の入口状態に応じてノズル段の中に選択的に配置される。
【0019】
ノズルに適用するものとしてなされた上記の説明は、また他のタービン構成部品、例えばタービンの第1段及び他の段のシュラウドにも適用可能である。高温のガスがノズルを通して流れるときの燃焼器からの高温燃焼ガスの旋回パターンも、タービン段のバケットの周りに配列されたシュラウド、例えばシュラウド28及び32に沿って、それらの高温ガスの流れ特性に変動を生じる。例えば、関連する段の各ノズルの下流に内側シュラウドがあると仮定すれば、流れのパターンは関連するノズルへの入口におけると同様な変動を持つことが分かるであろう。例えば、また図5を参照すれば、シュラウドS1がノズルN1から受ける流れの温度特性は、シュラウド52及び53がノズルN2及びN3から受けるガスより高温であるだろう。ノズルから最も高温のガスを受けるシュラウドは、最も高温のガスを受けるノズルN1とは異なる円周方向位置にあるが、影響は同様であろう。従って、最も高温のガスを受けるシュラウドS1は、より低温のガスを受けるシュラウド52及び53とは異なる設計にすることができる。シュラウドには、追加の冷却を施すことができるし、あるいは異なる品質または厚さのコーティングを施すことができる。シュラウドは、より低温のガスを受ける隣接するシュラウドより構造的に堅牢にしてもよい。その結果、様々な段のシュラウドは、シュラウドの入口平面中に流れ込む高温ガスの異なる状態に基づいて、タービン軸線の周りに互いに対して選択的に配置されることができることになる。
【0020】
本発明を、現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な変形形態及び均等構成を保護しようとするものであることを理解されたい。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高温ガス流路を示すタービンの第1段及び第2段の概略部分断面図。
【図2】 ノズル段の時計配列の概略図。
【図3】 燃焼器ノズル段の時計配列の概略図。
【図4】 第1段ノズルの燃焼器の後方からノズル入口に向かって見た燃焼器/ノズルの複合した時計配列の概略図。
【図5】 シュラウド、ノズル及び燃焼器の互いに対する複合した時計配列を示す図4と同様の概略図。
【符号の説明】
6 第1段ノズル
8 第2段ノズル
11 第1段のノズル羽根
12 第1段の内側壁
14 第1段の外側壁
16 遷移部品
17 第2段のノズル羽根
18 第1段のタービンバケット
19 ノズルNの入口平面
21 第2段の内側壁
22、24 遷移部品とシュラウドの間の間隙
23 第2段の外側壁
26 第2段のタービンバケット
28 第1段の内側シュラウド
32 第2段の内側シュラウド

Claims (4)

  1. タービンを通る高温ガス流路を少なくとも一部形成する円周配列のノズル及びシュラウド(N、S)とそれぞれの組のノズル及びシュラウドを通して高温燃焼ガスを流すための複数の燃焼器とを有し、各組のノズル及びシュラウドのうちの第1のノズル及びシュラウド(N1、S1)及び第2のノズル及びシュラウド(N2、S2)が、関連する燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされるガスタービンにおける、前記ノズル及びシュラウドと燃焼器とを互いに対応させて配置する方法であって、
    前記ノズル及びシュラウドへの前記異なる入口状態に基づき、前記関連する燃焼器に対応する円周方向位置において、各組のノズル及びシュラウドのうちで前記第1のノズル及びシュラウド(N1、S1)を前記第2のノズル及びシュラウド(N2、S2)に対して選択的に配置する段階、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. タービンを通る高温ガス流路を少なくとも一部形成する円周配列のノズル及びシュラウド(N、S)と、
    それぞれの組の隣接するノズル及びシュラウドを通して前記高温ガス流路に沿って高温燃焼ガスを流すための円周配列の燃焼器(15)と、を含んでおり、
    前記組の隣接するノズル及びシュラウドのうちの第1のノズル及びシュラウド(N1、S1)及び第2のノズル及びシュラウド(N2、S2)が、それらと関連するそれぞれの燃焼器からの高温燃焼ガスの異なる入口状態にさらされており、
    その各組の前記第1のノズル及びシュラウド(N1、S1)が、前記異なる入口状態に基づき、その各組の前記第2のノズル及びシュラウド(N2、S2)及び前記関連する燃焼器に対応する円周方向位置に配置され、かつ前記第2のノズル及びシュラウドと比べて品質的差異を有する、
    ことを特徴とするガスタービン。
  3. 前記第1のノズル及びシュラウド(N1、S1)の各々は、前記第2のノズル及びシュラウドに比較して増強された冷却能力を有することを特徴とする、請求項2に記載のタービン。
  4. 前記品質的差異が、ノズル及びシュラウドを形成する部品の壁厚さ、溶接の強固さ、及び/又は全体としての部品の予想寿命もしくは堅牢さの差異を含むことを特徴とする、請求項2に記載のタービン。
JP2002090116A 2001-03-29 2002-03-28 タービンノズル及びシュラウドを選択的に配置する方法及びガスタービン Expired - Fee Related JP4202038B2 (ja)

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