JP4201515B2 - 成形機の固定金型支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形機の固定金型支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内においてスクリュを前進させ、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようにしている。
【0003】
そのために、前記金型装置は、固定金型が取り付けられた固定プラテン、可動金型が取り付けられた可動プラテン、及び、該可動プラテンを進退させるためのトグル機構を備え、該トグル機構を作動させ、前記可動プラテンを進退させることによって、金型装置の型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。
【0004】
そして、金型装置の型締が行われる時に、射出装置が前進させられ、加熱シリンダのノズルが、前記固定プラテンに形成されたノズル通過孔を通って、固定金型の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けられ、密着させられる。続いて、溶融させられた樹脂が高圧で前記ノズルから射出され、スプルーブッシュ及びスプルーを通って、固定金型と可動金型との合わせ面に形成されたキャビティ空間内に充填されるようになっている。
【0005】
ここで、高品質の成形品を成形するためには、充填時の樹脂の流動性、キャビティ空間内における樹脂の冷却速度等を適切に制御することが要求される。そのため、金型装置においては、例えば、スプルーブッシュ及びスプルーを加熱したり、キャビティを冷却したりするために、熱媒や冷媒の複雑な通路を形成したり、ヒータを配設したりしている。これにより、金型装置の各部の温度を厳密に調節して、樹脂の流動性、冷却速度等を適切に制御し、高品質の成形品を成形するようになっている。したがって、射出成形機の作動時、すなわち、金型温調時の金型装置の温度は、射出成形機の停止時、すなわち、金型冷間時の温度よりも相当高く、例えば、熱硬化性樹脂の射出成形の場合、160〜200〔℃〕程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、金型温調時の金型装置の温度が高いために、固定金型が取り付けられた固定プラテンの温度も上昇し、該固定プラテンが熱変形によって、ノズル側に傾斜してしまうことがある。
【0007】
通常、高圧で射出される樹脂が固定金型と可動金型との合わせ面から漏れ出すことがないように、前記固定金型と可動金型とは強い力で型締されるようになっている。そのため、前記固定金型を支持する固定プラテンは、高い変形強度が要求されるために、肉厚になっている、すなわち、金型取付面とノズル側面との間が長くなっている。
【0008】
また、金型温調時に前記金型取付面は固定金型の熱を受けて温度が上昇して高温になり、ノズル側面の温度の上昇は少なく、低温のままである。要するに、金型取付面の金型周辺部の温度が特に高くなる。更に、ノズル通過孔が形成されているので、ノズル側と金型取付面側とで表面積が異なり熱膨張に差が生じてしまう。したがって、前記金型取付面の熱膨張が多くなる。この場合、前記固定プラテンは、通常、その下端部がボルトによってフレームに固定されているので、前記金型取付面だけが熱膨張によって上方に伸び、固定プラテン全体がノズル側に傾斜してしまう。
【0009】
図2は従来の金型冷間時における固定プラテンの側面図、図3は従来の金型温調時における固定プラテンの下端部が固定されていない場合の側面図、図4は従来の金型温調時における固定プラテンの下端部が固定されている場合の側面図、図5は従来の金型冷間時における固定プラテンをあらかじめ傾斜させた場合の側面図である。
【0010】
図2において、101は下端部が図示されないボルトによってフレーム104の上面に固定された固定プラテンであり、固定金型105が取り付けられる金型取付面102及びその反対側のノズル側面103を備え、概略矩(く)形の厚板状の形状を有する。また、前記固定プラテン101には、加熱シリンダのノズル107が通る図示されないノズル通過孔、及び、図示されないタイバーが挿入される複数、例えば、4つの図示されないタイバー挿入孔が形成される。なお、106は図示されない可動金型と接触する固定金型105の合わせ面(パ−ティング面)である。
【0011】
また、108はノズル107の中心軸線であり、固定プラテン101及び固定金型105の中心軸線109ともほぼ一致する。前記ノズル107は前記中心軸線108上を図2における右方から左方へ移動させられ、金型取付面102に取り付けられた固定金型105に押し付けられる。そして、前記中心軸線108及び中心軸線109はフレーム104の上面と平行、かつ、水平である。
【0012】
ここで、金型冷間時において、固定プラテン101は、図2に示されるように、フレーム104の上面に垂直に取り付けられ、前記金型取付面102及びノズル側面103はフレーム104に対して垂直になっている。また、前記金型取付面102に取り付けられた固定金型105の合わせ面106も同様にフレーム104に対して垂直である。
【0013】
そして、金型温調時になると、固定金型105の温度が上昇して高くなり、固定プラテン101の金型取付面102も前記固定金型105の熱を受けて温度が上昇する。この場合、前記固定プラテン101が肉厚であるため、ノズル側面103の温度は、金型取付面102の温度ほどには上昇せず、低温のままである。
【0014】
しかも、ノズル通過孔が形成されているため肉厚に差が生じて前記金型取付面102の熱膨張量がノズル側面103の熱膨張量よりも大きくなり、固定プラテン101の下端部がフレーム104に固定されていない場合を想定すると、固定プラテン101は、図3に示されるように、中心軸線108に対して対称に変形する。
【0015】
ここで、前記固定金型105においては、前記固定プラテン101に熱が逃げるので、固定プラテン101側の面、すなわち、背面の温度が、合わせ面106の温度よりも低下する。そのため、前記合わせ面106の温度が固定プラテン101側の面の温度よりも高いので、前記合わせ面106の熱膨張量が背面の熱膨張量よりも大きくなる。そのため、固定金型105も、図3に示されるように、中心軸線108に対して対称に変形する。なお、前記固定金型105の背面の温度は金型取付面102の温度とほぼ等しく、固定金型105の材質の熱膨張率も固定プラテン101の材質の熱膨張率とほぼ等しいので、前記固定金型105の背面の熱膨張量は前記固定プラテン101の金型取付面102の熱膨張量とほぼ等しい。
【0016】
この場合、ノズル107の中心軸線108は、固定プラテン101及び固定金型105の中心軸線109ともほぼ一致し、また、固定金型105の合わせ面106は傾いておらず、変形もわずかなので、金型装置の型閉、型締及び型開を行うことができ、しかも、ノズル107を固定金型105の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることができる。
【0017】
しかし、実際には、固定プラテン101の下端部がフレーム104に固定されているので、前記固定プラテン101は、図4に示されるように、固定プラテン101全体がノズル107側に傾斜してしまう。この場合、該ノズル107の中心軸線108が、固定プラテン101及び固定金型105の中心軸線109とずれ、また、固定金型105の合わせ面106が傾いてしまう。そのため、金型装置の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができず、キャビティ空間内に充填された樹脂が合わせ面106から漏れ出したり、金型装置が破損したりしてしまう。また、ノズル107を固定金型105の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできなくなってしまう。なお、図3及び4においては、説明の都合上、熱膨張による部材の変形が誇張されて示されている。
【0018】
そのため、従来は、固定金型105と固定プラテン101との間に断熱材を配設して、前記固定金型105の熱が固定プラテン101に伝達されにくくしたり、図5に示されるように、前記固定プラテン101をノズル107の反対側にあらかじめ傾斜させてフレーム104に取り付けたりしていた。
【0019】
しかし、固定金型105と固定プラテン101との間に断熱材を配設すると、前記固定金型105の取付が傾いてしまい、合わせ面106と図示されない可動金型の合わせ面との平行度が狂ってしまう。
【0020】
また、図5に示されるように、固定プラテン101をノズル107の反対側にあらかじめ傾斜させてフレーム104に取り付けた場合、金型装置を付け替えて金型温調時の温度が変化した場合に対応することができなくなってしまう。例えば、金型温調時の温度が想定した温度であれば、図2に示される状態となるが、金型温調時の温度が想定した温度以下であると、ノズル107の反対側に傾斜したままであり、金型温調時の温度が想定した温度以上になると、図4に示されるように、ノズル107側に傾斜してしまう。
【0021】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、固定プラテンの金型取付面の傾斜を検出して、冷媒を制御することにより、金型温調時においても前記金型取付面が傾くことがない成形機の固定金型支持装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の成形機の固定金型支持装置においては、固定金型が取り付けられる金型取付面、及び、冷媒が流れる冷媒流路を備える固定金型支持部材と、前記金型取付面の傾斜を検出する傾斜検出装置と、前記金型取付面の傾斜に基づいて、前記冷媒を制御して、前記金型取付面を垂直にする制御装置とを有する。
【0023】
本発明の他の成形機の固定金型支持装置においては、さらに、前記傾斜検出装置は、前記固定金型支持部材の変形を検出する。
【0024】
本発明の更に他の成形機の固定金型支持装置においては、さらに、前記傾斜検出装置は、前記固定金型支持部材の側面に取り付けられた歪(ひず)みゲージである。
【0025】
本発明の更に他の成形機の固定金型支持装置においては、さらに、前記冷媒は、流量又は温度を制御されて、冷媒供給装置から前記冷媒流路に供給される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の固定金型支持装置は、各種の装置や用途に適用することができるものであるが、本実施の形態においては、説明の都合上、射出成形機に適用した場合について説明する。
【0027】
図6は本発明の実施の形態における射出成形機の概略を示す側面図である。
【0028】
図において、10は成形機としての射出成形機、50は射出装置、30は該射出装置50と対向して配設された型締装置、34は前記射出装置50及び型締装置30を支持する成形機フレーム、70は該成形機フレーム34によって支持されるとともに、射出装置50を支持する射出装置フレーム、63は該射出装置フレーム70の長手方向に配設されたガイド、39は固定金型36及び可動金型35から成る金型装置である。
【0029】
そして、前記射出装置フレーム70によってボールねじ軸65が回転自在に支持され、該ボールねじ軸65の一端がモータ64に連結される。また、前記ボールねじ軸65とボールねじナット66とが螺(ら)合させられ、該ボールねじナット66と射出装置50とがスプリング67及びブラケット68を介して連結される。したがって、前記モータ64を正方向及び逆方向に駆動すると、該モータ64の回転運動は、ボールねじ軸65とボールねじナット66との組合せ、すなわち、ボールねじ機構71によって直線運動に変換され、該直線運動がブラケット68に伝達される。そして、該ブラケット68が前記ガイド63に沿って図における左右方向に移動させられ、射出装置50が進退させられる。
【0030】
また、前記ブラケット68には、前方(図における左方)に向けて加熱シリンダ51が固定され、該加熱シリンダ51の前端(図における左端)に射出ノズル54が配設される。そして、前記加熱シリンダ51にホッパ53が配設されるとともに、加熱シリンダ51の内部にはスクリュ52が進退(図における左右方向に移動)自在に、かつ、回転自在に配設され、スクリュ52の後端(図における右端)が支持部材55によって支持される。
【0031】
該支持部材55には第1サーボモータ56が取り付けられ、該第1サーボモータ56を駆動することによって発生させられた回転がタイミングベルト72を介して前記スクリュ52に伝達されるようになっている。
【0032】
また、前記射出装置フレーム70には、スクリュ52と平行にボールねじ軸58が回転自在に支持されるとともに、該ボールねじ軸58と第2サーボモータ61とがタイミングベルト62を介して連結される。そして、前記ボールねじ軸58の前端は、支持部材55に固定されたボールねじナット59と螺合させられる。したがって、前記第2サーボモータ61を駆動すると、該第2サーボモータ61の回転運動は、ボールねじ軸58とボールねじナット59との組合せ、すなわち、ボールねじ機構73によって直線運動に変換され、該直線運動が支持部材55に伝達される。
【0033】
次に、前記構成の射出装置50の動作について説明する。
【0034】
まず、計量工程においては、第1サーボモータ56を駆動し、タイミングベルト72を介してスクリュ52を回転させ、該スクリュ52を所定の位置まで後退(図における右方に移動)させる。このとき、ホッパ53から供給された樹脂は、加熱シリンダ51内において加熱され、溶融させられて、スクリュ52の後退に伴って該スクリュ52の前方に溜(た)められる。
【0035】
次に、射出工程においては、前記射出ノズル54を固定金型36に押し付け、第2サーボモータ61を駆動し、タイミングベルト62を介してボールねじ軸58を回転させる。このとき、支持部材55は前記ボールねじ軸58の回転に伴って移動させられ、前記スクリュ52を前進(図における左方に移動)させるので、スクリュ52の前方に溜められた樹脂は射出ノズル54から射出され、固定金型36と可動金型35との間に形成されたキャビティ空間38に充填される。
【0036】
次に、前記型締装置30について説明する。
【0037】
該型締装置30は、固定金型支持部材としての固定プラテン11、トグルサポート46、前記固定プラテン11とトグルサポート46との間に架設されたタイバー33、前記固定プラテン11と対向して配設され、前記タイバー33に沿って進退自在に配設された可動プラテン31、及び、該可動プラテン31と前記トグルサポート46との間に配設されたトグル機構40を備える。ここで、前記固定プラテン11は、下端に取付部15を備え、該取付部15が取付ボルト21によって、成形機フレーム34の上面に取り付けられる。そして、前記固定プラテン11及び可動プラテン31に、互いに対向して前記固定金型36及び可動金型35がそれぞれ取り付けられる。
【0038】
前記トグル機構40は、図示されないサーボモータによってクロスヘッド45をトグルサポート46と可動プラテン31との間で進退させることによって、前記可動プラテン31をタイバー33に沿って進退させ、可動金型35を固定金型36に対して接離させて、型閉、型締及型開を行うようになっている。
【0039】
そのために、前記トグル機構40は、前記クロスヘッド45に対して揺動自在に支持されたトグルレバー49、前記トグルサポート46に対して揺動自在に支持されたトグルレバー44、前記可動プラテン31に対して揺動自在に支持されたトグルアーム43から成り、前記トグルレバー44とトグルレバー49との間、及び、トグルレバー44とトグルアーム43との間がそれぞれリンク結合される。
【0040】
また、ボールねじ軸47が前記トグルサポート46に対して回転自在に支持され、前記ボールねじ軸47と、前記クロスヘッド45に固定されたボールねじナット48とが螺合させられる。そして、前記ボールねじ軸47を回転させるために、前記トグルサポート46の側面に図示されない前記サーボモータが取り付けられる。
【0041】
したがって、該サーボモータを駆動すると、サーボモータの回転運動が、ボールねじ軸47とボールねじナット48との組合せ、すなわち、ボールねじ機構75によって直線運動に変換され、該直線運動がクロスヘッド45に伝達され、該クロスヘッド45は図における左右方向に進退させられる。すなわち、前記クロスヘッド45を前進 (図における右方に移動)させると、トグル機構40が伸展して可動プラテン31が前進させられ、型閉及び型締が行われ、前記クロスヘッド45を後退 (図における左方に移動)させると、トグル機構40が屈曲して可動プラテン31が後退させられ、型開が行われる。
【0042】
また、該可動プラテン31の背面にはエジェクタ装置76が配設され、該エジェクタ装置76は、前記可動金型35を貫通して延び、前端 (図における右端)をキャビティ空間38に臨ませる図示されないエジェクタピン、該エジェクタピンの後方 (図における左方) に配設された図示されないエジェクタロッド、該エジェクタロッドの後方に配設され、図示されないサーボモータによって回転させられるボールねじ軸42、及び、該ボールねじ軸42と螺合させられるボールねじナット41を有する。
【0043】
したがって、前記サーボモータを駆動すると、該サーボモータの回転運動が、ボールねじ軸42とボールねじナット41との組合せ、すなわち、ボールねじ機構77によって直線運動に変換され、該直線運動が前記エジェクタロッドに伝達され、該エジェクタロッド及びエジェクタピンが図における左右方向に進退させられる。
【0044】
次に、本実施の形態における固定金型支持部材について詳細に説明する。
【0045】
図1は本発明の実施の形態における固定プラテンのノズル側の正面図、図7は本発明の実施の形態における温度が制御された状態の固定プラテンの側面図、図8は本発明の実施の形態における冷間時の固定プラテンの側面図、図9は本発明の実施の形態における温度が高すぎる状態の固定プラテンの側面図である。
【0046】
固定金型支持部材としての固定プラテン11は、固定金型36が取り付けられる金型取付面12、及び、射出装置50のノズル54側に面したノズル側面13を備え、概略矩形の厚板状の形状を有する。そして、前記固定プラテン11には、加熱シリンダ51の先端部分及びノズル54が通るノズル通過孔17が中心付近に形成される。なお、該ノズル通過孔17は、ノズル側面13と金型取付面12とを連通するもので、ノズル側面13側が大径で金型取付面12側が小径のテーパ状に形成される。また、前記固定プラテン11には、タイバー33が挿入される複数、例えば、4つのタイバー挿入孔16が形成される。
【0047】
そして、前記固定プラテン11の内部には、図1に示されるように、冷媒が流れる冷媒流路18が形成される。ここで、該冷媒流路18は、固定プラテン11の側面からドリルによって孔を穿(せん)設し、前記側面における開口を閉止部材20によって閉止することにより形成される。なお、前記冷媒流路18のパターンは適宜変更することができる。
【0048】
また、前記冷媒流路18の両端にはジョイント19が取り付けられ、図示されない冷媒導入管及び冷媒排出管が接続されるようになっている。そして、前記冷媒導入管は、図示されない冷媒供給装置に接続され、該冷媒供給装置から、冷媒導入管を介して、前記冷媒流路18に冷媒が供給される。ここで、冷媒は、例えば、油、水等であるが、いかなる流体であってもよい。また、前記冷媒供給装置は、例えば、ポンプのような冷媒供給源、バルブのような冷媒流量制御手段、ヒータのような冷媒温度制御手段等を備えるものであるが、冷媒が水道水である場合、上水道の蛇口であってもよい。なお、前記冷媒排出管は、冷媒が水道水のように廃棄可能なものである場合、排水溝、排水タンク等に接続され、冷媒が回収すべきものである場合、回収タンク等に接続される。
【0049】
そして、前記固定プラテン11の側面には、図7に示されるように、傾斜検出装置14が取り付けられる。該傾斜検出装置14は、例えば、通常の歪みゲージであり、電気抵抗を備える薄膜フィルムを被検物に貼(てん)付し、被検物である固定プラテン11の変形に伴う前記電気抵抗の抵抗値の変化を検出することによって、固定プラテン11の変形量を検出するものである。この場合、前記固定プラテン11の変形量によって、金型取付面12の傾斜を検出することができる。なお、前記傾斜検出装置14は、図示されない制御装置に接続され、該制御装置によって、抵抗値の変化を検出する。
【0050】
また、前記制御装置は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、キーボード等の入力手段、通信インターフェイス等を備え、前記傾斜検出装置14としての歪みゲージの抵抗値の変化に基づいて、固定プラテン11の変形量を算出し、金型取付面12の傾斜を算出する。そして、前記冷媒供給装置に指令を出して、冷媒の流量、温度等を制御する。なお、前記制御装置は、単独のものであってもよいし、射出成形機10の全体の動作を制御する制御装置の一部であってもよい。
【0051】
さらに、前記傾斜検出装置14は、歪みゲージ以外のもの、例えば、光学的に金型取付面12の傾斜を測定するものであってもよい。この場合、前記傾斜検出装置14は、固定プラテン11から離れた場所に配設され、金型取付面12の傾斜の変化を検出して、変形量を検出することができる。
【0052】
そして、本実施の形態において、前記固定プラテン11は、図8に示されるように、ノズル54の反対側にあらかじめ傾斜させてフレーム34に固定されている。この場合、ノズル54の中心軸線81が、固定プラテン11及び固定金型36の中心軸線82とずれ、また、固定プラテン11の金型取付面12及びノズル側面13、並びに、固定金型36の合わせ面37が図において左方へ傾いている。なお、図8においては、説明の都合上、金型取付面12等の傾斜が誇張されて示されている。
【0053】
そして、金型温調時になると、固定金型36の温度が上昇して高くなり、固定プラテン11の金型取付面12も前記固定金型36の熱を受けて温度が上昇する。この場合、前記固定プラテン11が肉厚であるため、ノズル側面13の温度は、金型取付面12の温度ほどには上昇せず、低温のままである。
【0054】
そのため、前記金型取付面12の熱膨張量がノズル側面13の熱膨張量よりも大きくなる。なお、前記固定金型36の背面の温度は金型取付面12の温度とほぼ等しく、固定金型36の材質の熱膨張率も固定プラテン11の材質の熱膨張率とほぼ等しいので、前記固定金型36の背面の熱膨張量は前記固定プラテン11の金型取付面12の熱膨張量とほぼ等しい。
【0055】
そして、固定プラテン11の下端部がフレーム34に固定されているので、前記固定プラテン11は、図における右方へ傾斜していき、図7に示されるように、垂直な状態に近づいていく。ここで、固定プラテン11の熱膨張量は温度変化量に比例するので、金型温調時における固定プラテン11の温度が適切であれば、前記固定プラテン11は、図7に示されるように、垂直な状態になる。
【0056】
しかし、金型温調時における固定プラテン11の温度が高すぎると、図9に示されるように、固定プラテン11がノズル54側に傾斜してしまう。この場合、ノズル54の中心軸線81が、固定プラテン11及び固定金型36の中心軸線82とずれ、また、固定金型36の合わせ面37が傾いてしまう。そのため、金型装置の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができず、キャビティ空間38に充填された樹脂が漏れ出したり、金型装置39が破損したりしてしまう。また、ノズル54を固定金型36の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできなくなってしまう。なお、図9においては、説明の都合上、金型取付面12等の傾斜が誇張されて示されている。
【0057】
一方、金型温調時における固定プラテン11の温度が低すぎると、図8に示されるように、固定プラテン11がノズル54の反対側に傾斜したままである。この場合も、固定プラテン11がノズル54側に傾斜した場合と同様に、金型装置39の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができず、キャビティ空間38に充填された樹脂が漏れ出したり、金型装置39が破損したりしてしまう。また、ノズル54を固定金型36の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできなくなってしまう。
【0058】
そこで、本実施の形態においては、前記制御装置が、傾斜検出装置14の検出した固定プラテン11の変形量に基づいて、前記冷媒供給装置に指令を出して、冷媒の流量、温度等を制御し、金型温調時における固定プラテン11の温度が適切な温度範囲になるように維持する。
【0059】
前記傾斜検出装置14が歪みゲージである場合、固定プラテン11の側面において前記傾斜検出装置14が取り付けられている箇所の歪み、すなわち、固定プラテン11の変形量は、図7〜9に示される状態において、それぞれ相違する。そのため、前記制御装置は、傾斜検出装置14の検出した固定プラテン11の変形量に基づいて、金型取付面12の傾斜の方向及び大きさを判断する。そして、金型取付面12がノズル54の反対側に傾斜していると判断した場合は、冷媒流路18を流れる冷媒の温度を上げるか又は量を減少させて、固定プラテン11の温度を上昇させる。一方、金型取付面12がノズル54側に傾斜していると判断した場合は、冷媒流路18を流れる冷媒の温度を下げるか又は量を増加させて、固定プラテン11の温度を下降させる。
【0060】
このため、金型温調時における固定プラテン11の温度は適切な温度範囲に維持され、図7に示されるように、金型取付面12が垂直な状態となる。これにより、金型温調時において、ノズル54の中心軸線81が固定プラテン11及び固定金型36の中心軸線82と一致し、また、固定金型36の合わせ面37が垂直に維持される。この結果、金型装置39の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができ、キャビティ空間38に充填された樹脂が漏れ出すことがなく、金型装置39が破損することもない。また、ノズル54を固定金型36の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできる。
【0061】
このように、本実施の形態においては、金型取付面12の傾斜を傾斜検出装置14によって検出し、冷媒流路18を流れる冷媒の流量又は温度を制御して、金型取付面12が垂直な状態となるようにする。
【0062】
したがって、金型温調時においても固定プラテン11の金型取付面12が傾くことがないので、金型装置39の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができ、キャビティ38空間に充填された樹脂が漏れ出すことがなく、金型装置39が破損することもない。また、ノズル54を固定金型36の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできる。
【0063】
以上のように、本実施の形態においては、固定金型支持装置を射出成形機に適用した例について説明したが、前記固定金型支持装置は、射出成形機だけでなく、ダイキャストマシーン、IC等の半導体封止用のトランスファー成形装置等にも適用することができるものである。また、可動プラテンを傾斜させずに固定してもよい。
【0064】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、成形機の固定金型支持装置においては、固定金型が取り付けられる金型取付面、及び、冷媒が流れる冷媒流路を備える固定金型支持部材と、前記金型取付面の傾斜を検出する傾斜検出装置と、前記金型取付面の傾斜に基づいて、前記冷媒を制御して、前記金型取付面を垂直にする制御装置とを有する。
【0066】
この場合、金型温調時においても固定金型支持部材の金型取付面が傾くことがないので、金型装置の型閉、型締及び型開をスムーズに行うことができ、キャビティ空間に充填された樹脂が漏れ出すことがなく、金型装置が破損することもない。また、ノズルを固定金型の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けて密着させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における固定プラテンのノズル側の正面図である。
【図2】従来の金型冷間時における固定プラテンの側面図である。
【図3】 従来の金型温調時における固定プラテンの下端部が固定されていない場合の側面図である。
【図4】従来の金型温調時における固定プラテンの下端部が固定されている場合の側面図である。
【図5】従来の金型冷間時における固定プラテンをあらかじめ傾斜させた場合の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における射出成形機の概略を示す側面図である。
【図7】本発明の実施の形態における温度が制御された状態の固定プラテンの側面図である。
【図8】本発明の実施の形態における冷間時の固定プラテンの側面図である。
【図9】本発明の実施の形態における温度が高すぎる状態の固定プラテンの側面図である。
【符号の説明】
10 射出成形機
11 固定プラテン
12 金型取付面
14 傾斜検出装置
18 冷媒流路
36 固定金型

Claims (4)

  1. (a)固定金型が取り付けられる金型取付面、及び、冷媒が流れる冷媒流路を備える固定金型支持部材と、
    (b)前記金型取付面の傾斜を検出する傾斜検出装置と、
    (c)前記金型取付面の傾斜に基づいて、前記冷媒を制御して、前記金型取付面を垂直にする制御装置とを有することを特徴とする成形機の固定金型支持装置。
  2. 前記傾斜検出装置は、前記固定金型支持部材の変形を検出する請求項1に記載の成形機の固定金型支持装置。
  3. 前記傾斜検出装置は、前記固定金型支持部材の側面に取り付けられた歪みゲージである請求項2に記載の成形機の固定金型支持装置。
  4. 前記冷媒は、流量又は温度を制御されて、冷媒供給装置から前記冷媒流路に供給される請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形機の固定金型支持装置。
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