JP3636978B2 - ディスク成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形品としてのディスク基板を成形するためのディスク成形装置は、射出装置を備え、該射出装置は、前端に射出ノズルを備えた加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリュー、及び該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての射出シリンダを備える。そして、射出工程において、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズルから射出し、金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、冷却工程において、前記キャビティ空間内の樹脂を冷却し、固化させることによってディスク基板を成形するようにしている。前記金型装置は、固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を固定金型に対して接離させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0003】
前記ディスク基板を成形する場合、キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流す必要がある。そのためには、コールドランナ式の1個取りの金型装置を使用するのが好ましいが、1個取りの金型装置を使用すると、生産効率が低くなるだけでなく、ディスク基板のコストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、ホットランナ式の多数個取り(2個取り又は4個取り)の金型装置が提供されている。該ホットランナ式の多数個取りの金型装置においては、金型装置に複数のキャビティ空間が形成され、各キャビティ空間に樹脂を供給するためのマニホルド、ホットチップ等にヒータが配設され、該ヒータによってマニホルド、ホットチップ等に形成されたランナ、チップランナ等内の樹脂が加熱される。この場合、ランナ、チップランナ等内の樹脂を溶融状態に保つことができるので、各キャビティ空間内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができる。
【0005】
ところで、樹脂は前記各ランナ、チップランナ等を通った後、ゲートを介して各キャビティ空間内に進入するようになっているが、各ゲートにおける樹脂の圧力、すなわち、ゲート圧にばらつきが生じると、各キャビティ空間ごとのディスク基板の厚さ、複屈折、機械特性等の品質にばらつきが生じ、ディスク基板の品質が低下してしまう。そこで、前記ヒータによる加熱温度又は加熱時間を互いに異ならせてゲートバランスを調整し、各ゲート圧にばらつきが生じるのを防止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のディスク成形装置においては、加熱温度又は加熱時間を異ならせると、各ゲートの周辺における樹脂の粘度に影響を与えてしまう。
【0007】
例えば、加熱温度が低すぎたり、加熱時間が短すぎたりする場合、ゲートに樹脂が詰まって充填を行うことができなくなり、また、加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりする場合、充填が終了して樹脂の冷却が開始された後、ゲートの周辺における樹脂が固化するのに時間がかかり、型開きを行ったときに糸引きが発生してしまう。したがって、加熱温度又は加熱時間を極めて狭い調整範囲内で異ならせる必要があるので、作業が煩わしく、ディスク基板のコストが高くなってしまう。また、各ゲート圧にばらつきが生じるのを確実に防止することができない。
【0008】
本発明は、前記従来のディスク成形装置の問題点を解決して、成形品の品質を向上させることができ、成形品のコストを低くすることができるディスク成形装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のディスク成形装置においては、固定側の金型ユニットと、該固定側の金型ユニットに対して移動自在に配設された可動側の金型ユニットと、該可動側の金型ユニットに進退自在に配設された複数のカットパンチと、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数のゲートのゲート圧を検出するゲート圧検出手段と、検出された各ゲート圧に対応するカットパンチの初期位置を算出する初期位置算出処理手段と、射出工程が完了した後において、前記初期位置算出処理手段によって算出された初期位置に従って各カットパンチを移動させ、各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスを調整するゲートバランス調整処理手段とを有する。
そして、前記ゲート圧検出手段は、前記固定側の金型ユニットにおける第1の部材と可動側の金型ユニットにおける第2の部材との間の距離を検出することによって前記ゲート圧を検出する。
本発明の他のディスク成形装置においては、固定側の金型ユニットと、該固定側の金型ユニットに対して移動自在に配設された可動側の金型ユニットと、該可動側の金型ユニットに進退自在に配設された複数のカットパンチと、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数のゲートのゲート圧を検出するゲート圧検出手段と、検出された各ゲート圧に対応するカットパンチの初期位置を算出する初期位置算出処理手段と、射出工程が完了した後において、前記初期位置算出処理手段によって算出された初期位置に従って各カットパンチを移動させ、各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスを調整するゲートバランス調整処理手段とを有する。
そして、前記ゲート圧検出手段は、射出ノズルから射出された樹脂を各キャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系に配設された樹脂圧センサである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の概略図、図2は本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の要部を示す断面図である。
【0015】
図において、11は固定側の金型ユニット、12は可動側の金型ユニット、13は固定プラテン、14は第1の部材としての固定金型、15は該固定金型14を前記固定プラテン13に取り付けるための金型取付板、83は前記固定プラテン13に対して進退(図1における左右方向に移動)自在に配設された可動プラテン、19は前記固定金型14と対向させられ、可動プラテン83の進退に伴って固定金型14と接離させられる第2の部材としての可動金型、85は該可動金型19を前記可動プラテン83に取り付けるための金型取付板である。前記固定金型14は、マニホルドプレート16、中間プレート17及び型板18を備え、前記可動金型19は受け板21及び型板22を備える。そして、前記型板22の2箇所に、型板18と対向させて凹部23が形成される。前記固定金型14及び可動金型19によって金型装置が構成される。
【0016】
前記可動プラテン83より後方(図1における左方)には図示されない型締装置が配設され、該型締装置を作動させることによって、前記可動プラテン83を進退させると、可動金型19が、同様に進退させられ、固定金型14に対して接離させられて、前記金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。そして、型締めに伴って、前記凹部23によってディスク形状を有するキャビティ空間C1、C2が形成される。
【0017】
また、前記固定プラテン13の後方(図1における右方)には、射出装置86が配設される。該射出装置86は、前端(図1における左端)に射出ノズル26を備えた加熱シリンダ87、該加熱シリンダ87内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された図示されないスクリュー、及び該スクリューを回転させたり、進退させたりする駆動部としての図示されない射出シリンダを備える。そして、前記スクリューを前進させ、加熱シリンダ87内において加熱され溶融させられた樹脂を前記射出ノズル26から射出し、前記キャビティ空間C1、C2に充填し、該キャビティ空間C1、C2内において樹脂を冷却し、固化させることによって、成形品としてのディスク基板を成形するようにしている。
【0018】
そのために、前記固定プラテン13における射出装置86と対向する面の中央に、円錐(すい)形の形状を有する凹部24が形成され、該凹部24に、固定プラテン13に対して固定金型14を位置決めするためのロケートリング25が配設される。また、前記マニホルドプレート16内にマニホルド室27が形成され、該マニホルド室27にマニホルド28が断熱状態で配設される。そのために、前記金型取付板15とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ31、32が、中間プレート17とマニホルド28との間に断熱材から成るスペーサ33が配設され、マニホルド28の周囲に断熱空間が形成される。また、前記マニホルド28の中央に、後方(図2における右方)に向けて突出させてブシュ34が形成され、該ブシュ34の後端面(図2における右端面)と射出ノズル26とが対向させられる。そして、前記マニホルド28内には、前記ブシュ34の後端面に開口させてスプルー35が形成され、該スプルー35と接続させて、かつ、スプルー35から離れる方向(図2における上下方向)に延在させてランナ36、37が形成される。該ランナ36、37の先端は、「L」字状に折り曲げられ、マニホルド28の両端において可動金型19側に向けて開口させられる。なお、前記キャビティ空間C1、C2は、前記スプルー35から等しい距離だけ離れた位置に形成される。
【0019】
前記マニホルド28の両端には、ホットチップ41、42が取り付けられ、該ホットチップ41、42より前方(図2における左方)にスプルーブッシュ51、52が配設される。そして、前記ホットチップ41、42の前端(図2における左端)にノズル部43、44が形成される。前記スプルーブッシュ51、52は、それぞれ外筒61、62及び内筒45、46から成り、前記ノズル部43、44の前端と前記内筒45、46の後端(図2における右端)とが対向させられる。また、前記ホットチップ41、42内にチップランナ47、48が、内筒45、46内にコールドスプルー49、50が形成され、前記ランナ36、チップランナ47及びコールドスプルー49が連通させられるとともに、前記ランナ37、チップランナ48及びコールドスプルー50が連通させられる。なお、前記マニホルド28、ホットチップ41、42及びスプルーブッシュ51、52によって、射出ノズル26から射出された樹脂を各キャビティ空間C1、C2に充填するための樹脂供給系が構成される。
【0020】
そして、前記スプルーブッシュ51、52の前端はキャビティ空間C1、C2に臨ませて配設され、前端面(図2における左端面)に開口させてダイ53、54が形成されるとともに、各ダイ53、54とコールドスプルー49、50との間にゲートg1、g2が形成される。さらに、前記スプルーブッシュ51、52の前端部(図2における左端部)を包囲して、インナスタンパホルダ55、56が配設され、該インナスタンパホルダ55、56は、中間プレート17及び型板18と螺(ら)合させられ、スタンパ81、82を型板18に取り付ける。
【0021】
前記ランナ36、37を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記マニホルド28の外周面には第1の加熱手段としてのヒータH1が配設される。また、チップランナ47、48を通過する樹脂を加熱して溶融状態を保つために、前記ホットチップ41に第2の加熱手段としてのヒータH2が、ホットチップ42に第3の加熱手段としてのヒータH3が埋設される。
【0022】
一方、前記可動金型19側において、前記ダイ53、54と対向する部分に、筒状のカットパンチ73、74が進退自在に配設され、該カットパンチ73、74内にスプルーロッド57、58が、前記カットパンチ73、74より径方向外方にエジェクタスリーブ59、60がそれぞれ進退自在に配設される。そして、カットパンチ73、74を進退させるために穴開加工用の駆動手段としてのモータ88、89が、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60を進退させるために突出し用の駆動手段としての図示されない突出し用モータが配設される。
【0023】
次に、ディスク基板を成形する際のディスク成形装置の動作について説明する。
【0024】
前記型締装置が駆動され、金型装置において型閉じ及び型締めが行われ、キャビティ空間C1、C2が形成される。続いて、射出装置86において射出工程が開始され、射出ノズル26から溶融させられた樹脂が射出されると、樹脂は、スプルー35を通過した後、ランナ36とランナ37とに分岐させられる。そして、ランナ36を通過した樹脂は、チップランナ47及びコールドスプルー49を通過した後、ゲートg1を介して一方のキャビティ空間C1に充填され、また、ランナ37を通過した樹脂は、チップランナ48及びコールドスプルー50を通過した後、ゲートg2を介して他方のキャビティ空間C2に充填される。この場合、樹脂は、ランナ36、37及びチップランナ47、48を通過する間加熱されるので、溶融状態が保たれる。したがって、各キャビティ空間C1、C2内において樹脂を中心から径方向外方に向けて均等に流すことができるので、ディスク基板の品質を向上させることができる。
【0025】
次に、射出装置86において保圧工程が開始され、射出シリンダが駆動されてキャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力が所定の値に保たれる。続いて、金型装置において冷却工程が開始され、キャビティ空間C1、C2内の樹脂が冷却され、固化される。そして、前記保圧工程又は冷却工程において、前記モータ88、89が駆動され、カットパンチ73、74が前進(図2における右方に移動)させられると、カットパンチ73、74の前端(図2における右端)がダイ53、54に嵌(かん)入され、ゲートカットが行われてキャビティ空間C1、C2内の樹脂に穴開加工が施される。このようにしてディスク基板が成形される。
【0026】
その後、金型装置の型開きが行われるのに伴って、前記突出し用モータが駆動され、スプルーロッド57、58及びエジェクタスリーブ59、60が前進させられると、ディスク基板が突き出され、離型させられる。
【0027】
続いて、射出装置86において計量工程が開始され、加熱シリンダ87内のスクリューが回転させられ、スクリューヘッドの前方に溶融させられた樹脂が蓄えられる。これに伴って、前記スクリューは後退させられる。
【0028】
ところで、前記各ゲートg1、g2におけるゲート圧P1、P2にばらつきが生じると、各キャビティ空間C1、C2ごとのディスク基板の厚さ、複屈折、機械特性等の品質にばらつきが生じてしまう。そこで、固定金型14に、各キャビティ空間C1、C2に対応させて、距離検出手段としての距離センサ91、92を配設し、各キャビティ空間C1、C2の近傍における固定金型14と可動金型19との間の距離を検出することによって、各ゲート圧P1、P2を間接的に検出し、検出結果に基づいて、カットパンチ73、74の位置を調整するようにしている。なお、前記距離センサ91、92によって各ゲート圧P1、P2を間接的に検出することができるので、前記距離センサ91、92によってゲート圧検出手段が構成される。
【0029】
そのために、前記固定金型14に、それぞれ距離センサ91、92を取り付けるためのブラケット93、95が固定され、可動金型19に、距離センサ91、92と相対的に移動させられる被検出部94、96が固定される。なお、本実施の形態においては、距離センサ91、92を固定金型14に配設するようになっているが、可動金型19に配設することもできる。また、距離センサを固定プラテン13又は可動プラテン83に配設し、距離センサによって固定プラテン13と可動プラテン83との間の距離を検出することもできる。この場合、固定プラテン13によって第1の部材が、可動プラテン83によって第2の部材が構成される。
【0030】
そして、前記スプルーブッシュ51、52に、コールドスプルー49、50に臨ませて樹脂圧センサ71、72が配設され、該樹脂圧センサ71、72によってコールドスプルー49、50内の樹脂の圧力が検出されるようになっている。この場合、前記樹脂圧センサ71、72をゲート圧検出手段として使用して、コールドスプルー49、50内の樹脂の圧力を各ゲート圧P1、P2として検出することができる。
【0031】
また、型板18又は型板22に、キャビティ空間C1、C2に臨ませて樹脂圧センサをゲート圧検出手段として配設し、樹脂圧センサによってキャビティ空間C1、C2内の樹脂の圧力をゲート圧P1、P2として検出したり、ホットチップ41、42に、チップランナ47、48に臨ませて樹脂圧センサをゲート圧検出手段として配設し、樹脂圧センサによってチップランナ47、48内の樹脂の圧力をゲート圧P1、P2として検出したり、マニホルド28に、ランナ36、37に臨ませて樹脂圧センサをゲート圧検出手段として配設し、樹脂圧センサによってランナ36、37内の樹脂の圧力をゲート圧P1、P2として検出したりすることもできる。
【0032】
次に、前記構成のディスク成形装置の制御回路について説明する。
【0033】
図3は本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の制御回路を示すブロック図である。
【0034】
図において、88、89はモータ、91、92は距離センサ、101はCPUから成る制御部、102は表示部、103は記録手段としてのメモリである。
【0035】
この場合、射出装置86(図1)において射出工程が完了すると、前記制御部101の図示されないゲート圧算出処理手段は、前記距離センサ91、92によって検出された距離を読み込み、前記メモリ103内の図示されないゲート圧テーブルを参照して、前記距離に対応するゲート圧P1、P2を算出する。続いて、前記制御部101の図示されない初期位置算出処理手段は、前記メモリ103内の図示されない初期位置テーブルを参照して、ゲート圧P1、P2に対応するカットパンチ73(図2)、74の初期位置を算出する。続いて、前記制御部101の図示されないゲートバランス調整処理手段及び位置調整処理手段は、モータ88、89を駆動して前記カットパンチ73、74を移動させ、該カットパンチ73、74の初期位置を変更することによって各ゲートg1、g2のゲートバランスを調整する。また、前記制御部101の図示されない良否判定処理手段は、前記距離に基づいて、ディスク基板の品質の良否を判定し、判定結果を表示部102に表示することができる。なお、必要に応じて、カットパンチ73、74の位置を検出するために、金型ユニット12の所定の箇所に位置検出手段としての位置センサを配設し、該位置センサによって検出された位置に基づいて、フィードバック制御を行い、前記カットパンチ73、74を移動させて該カットパンチ73、74の初期位置を変更することもできる。
【0036】
続いて、射出装置86において保圧工程が開始され、その後、金型装置において冷却工程が開始されるが、前記制御部101の図示されない穴開加工処理手段は、保圧工程又は冷却工程、本実施の形態においては保圧工程が開始された後の所定のタイミングでモータ88、89を駆動し、カットパンチ73、74を前進させる。そして、カットパンチ73、74の前端がダイ53、54に嵌入され、ゲートカットが行われてキャビティ空間C1、C2内の樹脂に穴開加工が施される。
【0037】
この場合、前記距離センサ91、92によって検出された距離が長いほど、ゲート圧P1、P2が高く、ゲートカットを行うのが困難になるので、カットパンチ73、74を前方に移動させることによって初期位置を変更(ゲートカット位置を大きく)する。その結果、ゲートg1、g2の厚さ、すなわち、ゲート厚が小さくされる。一方、距離が短いほど、ゲート圧P1、P2が低く、ゲートカットを行うのが容易になるので、カットパンチ73、74を後方に移動させることによって初期位置を変更(ゲートカット位置を小さく)する。その結果、ゲート厚が大きくされる。
【0038】
このように、カットパンチ73、74の初期位置をゲート圧P1、P2に対応させて変更することによって、ゲートカットが行われる際のカットパンチ73、74が前進させられる量が変更されるので、ゲートバランスを容易に調整し、各ゲート圧P1、P2にばらつきが生じるのを防止することができる。したがって、各キャビティ空間C1、C2ごとのディスク基板の厚さ、複屈折、機械特性等の品質にばらつきが生じることがなくなる。
【0039】
その結果、前記ヒータH1〜H3による加熱温度又は加熱時間を互いに異ならせてゲートバランスを調整する必要がなくなるので、前記各ゲートg1、g2の周辺における樹脂の粘度に影響を与えることがなくなり、ゲートg1、g2に樹脂が詰まって充填を行うことができなくなったり、型開きを行ったときに糸引きが発生したりすることがない。
【0040】
そして、加熱温度又は加熱時間を互いに異ならせる必要がなくなるので、ゲートバランスを調整するための作業を簡素化することができる。したがって、ゲートバランスを確実に調整することができ、ディスク基板のコストを低くすることができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、各射出工程が行われるたびに前記距離が検出され、各保圧工程が行われるたびにゲートバランスが調整されるようになっているが、複数回射出工程が行われるたびに前記距離を検出し、複数回保圧工程が行われるたびにゲートバランスを調整することもできる。
【0042】
本実施の形態においては、ホットランナ式の金型装置に適用した例について説明しているが、コールドランナ式の金型装置に適用することもできる。また、本実施の形態においては、成形品としてディスク基板を成形するようになっているが、ディスク基板以外のものを成形することもできる。
【0043】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ディスク成形装置においては、固定側の金型ユニットと、該固定側の金型ユニットに対して移動自在に配設された可動側の金型ユニットと、該可動側の金型ユニットに進退自在に配設された複数のカットパンチと、射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数のゲートのゲート圧を検出するゲート圧検出手段と、検出された各ゲート圧に対応するカットパンチの初期位置を算出する初期位置算出処理手段と、射出工程が完了した後において、前記初期位置算出処理手段によって算出された初期位置に従って各カットパンチを移動させ、各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスを調整するゲートバランス調整処理手段とを有する。
そして、前記ゲート圧検出手段は、前記固定側の金型ユニットにおける第1の部材と可動側の金型ユニットにおける第2の部材との間の距離を検出することによって前記ゲート圧を検出する。
【0045】
この場合、射出ノズルから射出された樹脂を各キャビティ空間に充填するための各ゲートのゲート圧が検出され、射出工程が完了した後において、検出された各ゲート圧に対応させて各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスが調整される。したがって、ゲートバランスを容易に調整することができるので、各ゲート圧にばらつきが生じるの防止することができる。その結果、各キャビティ空間ごとの成形品の厚さ、複屈折、機械特性等の品質にばらつきが生じることがなくなり、成形品の品質を向上させることができる。
【0046】
また、加熱手段による加熱温度又は加熱時間を互いに異ならせてゲートバランスを調整する必要がなくなるので、前記各ゲートの周辺における樹脂の粘度に影響を与えることがなくなり、ゲートに樹脂が詰まって充填を行うことができなくなったり、型開きを行ったときに糸引きが発生したりすることがない。
【0047】
そして、加熱温度又は加熱時間を互いに異ならせる必要がなくなるので、ゲートバランスを調整するための作業を簡素化することができる。したがって、ゲートバランスを確実に調整することができ、成形品のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるディスク成形装置の制御回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
11、12 金型ユニット
14 固定金型
19 可動金型
26 射出ノズル
28 マニホルド
41、42 ホットチップ
51、52 スプルーブッシュ
71、72 樹脂圧センサ
73、74 カットパンチ
91、92 距離センサ
101 制御部
C1、C2 キャビティ空間
g1、g2 ゲート

Claims (2)

  1. (a)固定側の金型ユニットと、
    (b)該固定側の金型ユニットに対して移動自在に配設された可動側の金型ユニットと、
    (c)該可動側の金型ユニットに進退自在に配設された複数のカットパンチと、
    (d)射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数のゲートのゲート圧を検出するゲート圧検出手段と、
    (e)検出された各ゲート圧に対応するカットパンチの初期位置を算出する初期位置算出処理手段と、
    (f)射出工程が完了した後において、前記初期位置算出処理手段によって算出された初期位置に従って各カットパンチを移動させ、各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスを調整するゲートバランス調整処理手段とを有するとともに、
    (g)前記ゲート圧検出手段は、前記固定側の金型ユニットにおける第1の部材と可動側の金型ユニットにおける第2の部材との間の距離を検出することによって前記ゲート圧を検出することを特徴とするディスク成形装置。
  2. (a)固定側の金型ユニットと、
    (b)該固定側の金型ユニットに対して移動自在に配設された可動側の金型ユニットと、
    (c)該可動側の金型ユニットに進退自在に配設された複数のカットパンチと、
    (d)射出ノズルから射出された樹脂を複数のキャビティ空間に充填するための複数のゲートのゲート圧を検出するゲート圧検出手段と、
    (e)検出された各ゲート圧に対応するカットパンチの初期位置を算出する初期位置算出処理手段と、
    (f)射出工程が完了した後において、前記初期位置算出処理手段によって算出された初期位置に従って各カットパンチを移動させ、各カットパンチの初期位置を変更することによってゲートバランスを調整するゲートバランス調整処理手段とを有するとともに、
    (g)前記ゲート圧検出手段は、射出ノズルから射出された樹脂を各キャビティ空間に充填するための複数の樹脂供給系に配設された樹脂圧センサであることを特徴とするディスク成形装置。
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