JP4201286B2 - 超電導マグネットの励磁方法及び超電導マグネット装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導マグネットの励磁方法、特に磁束クリープ現象を防止又は抑制するための励磁方法、及び、その様な効果を有する超電導マグネット装置に関する。
超電導体は、臨界温度以下に冷却すると、電気抵抗がゼロの超電導状態になるという性質を有する。従って、超電導体を用いて線材を作りこの線材を用いてコイルを製作すると、臨界温度以下で損失が非常に少ない超電導マグネット(電磁石)を作ることができる。この超電導マグネットは抵抗がゼロであるので、電流通電中にジュール損失が無く発熱を伴わず、且つ、高い磁界を発生させることができる等の特徴がある。この超電導マグネットに永久電流スイッチという装置を付け、一旦流した電流を超電導の閉回路にすると、超電導マグネットを電源から切り離しても、電流は減少することなく流れ続けるので、一定の磁界を長時間印加し続けることが出来る永久電流モードの超電導マグネットが形成される。電源を接続しているときは、電源電流の変化により磁界が変化するので、超電導マグネットの磁界の精度は必ずしも良くはないが、一旦永久電流モードに移行すると、磁界の安定度は格段に向上するという特徴がある。
この様に、永久電流モードでは、長時間に亘って安定度の良い高磁界を保つことができる。そのため、高い安定性を有する磁界が必要とされる分野、例えば、CTスキャンで使われるMRI(磁気共鳴映像)やNMR(核磁気共鳴)で、一定の磁界を印加する目的に使用されている。かかる装置においては、磁界が変動すると共鳴周波数が異なるために、結果として映像が乱れたり、間違った測定を行ってしまうので、特に安定な磁界が必要とされるのである。
ところで、超電導マグネットを永久電流モードで運転して一定の磁界を長時間得ようとしても、実際には、磁束クリープ現象により永久電流が緩和するため、磁界は徐々に小さくなってしまう。この磁束クリープ現象は以下の様に説明される。
超電導体が抵抗ゼロであるのは、厳密には磁束が超電導体に入らないマイスナー状態のみであり、これは低い磁界でのみ実現される。一方、高い磁界中では磁束は超電導体に入り混合状態になる。侵入した磁束は、ピンニングセンターと呼ばれる超電導体内の不純物に補捉されて、動かない状態になる。磁束を補捉するこの力をピン力という。ローレンツ力、即ち(磁界の大きさ)×(電流密度の大きさ)がピン力よりも小さいときには、磁束線はピンニングセンターに捕らわれており、磁束は動かないので、抵抗はゼロである。従って、この状態では、臨界電流密度(ある超電導体に流し得る単位面積当たりの最大電流)までの電流密度に対して、超電導体は抵抗を生じず、損失はない。なお、臨界電流密度はピン力に比例するという性質がある。
臨界電流密度以下の電流密度で磁束がピンニングセンターに補捉され続ければ、永久電流となる。しかし有限温度下では、確率的に、補捉された磁束がピンニングセンターから外れて移動することが起こる。これが磁束クリープ現象である。磁束クリープ現象が起こると、磁束線が外部から超電導体に更に侵入したり、条件によっては外に少しずつ出ていってしまうので、磁界が変化することになる。従って、磁束クリープ現象が起こると一定の磁界を保つことができない。この様に磁界は磁束クリープ現象で緩和してしまう。こうした磁束クリープ現象は、温度や磁界が高いと顕著となる。最近注目されている高温酸化物超電導体では、使用温度が高いために、従来の極低温で使われていた金属系超電導体に比べて磁束クリープの問題が深刻となるのである。従って、磁束クリープ現象を抑える何らかの方法・手段が必要となる。
従来、一般的には、こうした磁束クリープ現象が生じて磁界が減少したときには、一旦永久電流モードを解いて電源をつなぎ直し、再度磁界を印加し直すという手法が行われていた。その他にも、磁束クリープ現象を減少又は抑制する方法が提案されている。例えば、特開平11−164820号(特許文献1)では、超電導コイルに対応した補償コイルを用いて、磁束クリープで抜けた磁束だけ補償コイルで磁束を補充する(磁束ポンプ)方法で、磁界の減衰を防ぐ方法が提案されている。また、超電導体の温度を調節することによって、永久電流を安定化する試みも提案されている(特許文献2)。しかし、これらの方法では、装置が複雑になるという欠点がある。
特開平11−164820号公報 米国特許第5270291号明細書
本発明の課題は、超電導マグネットにおいて、超電導マグネット内部の磁束分布を変化させて、磁束クリープ現象を効果的に且つ簡単に、防止又は抑制するための方法を提供すること、及び、その様な効果を有する超電導マグネット装置を提供することにある。
本発明のうち請求項1記載の発明は、超電導マグネットを励磁するに際し、予め、超電導マグネット内部の磁束分布を、磁束クリープの起こりにくい形に変化させておくために、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールすることを特徴とする超電導マグネットの励磁方法である。
本発明のうち請求項2記載の発明は、超電導マグネットが、外層のバイアスマグネットと内層のマグネットから構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の超電導マグネットの励磁方法である。
本発明のうち請求項3記載の発明は、超電導マグネットに、所定の電流値に対して上下に振動する振動電流を流し、次いで所定の電流値に設定することを特徴とする請求項1又は2記載の超電導マグネットの励磁方法である。
本発明のうち請求項4記載の発明は、外層のバイアスマグネットに磁界が印加された状態で、内層のマグネットに、当初振動電流を流し、次いで所定の電流値に設定することを特徴とする請求項2記載の超電導マグネットの励磁方法である。
本発明のうち請求項5記載の発明は、外層のバイアスマグネットに所定の磁界よりも高い磁界を印加した状態で、内層のマグネットに電流を流し、次いで、外層のバイアスマグネットの磁界を所定の磁界に設定することを特徴とする請求項2記載の超電導マグネットの励磁方法である。
本発明のうち請求項6記載の発明は、超電導マグネット装置において、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールする手段を設けたことを特徴とする超電導マグネット装置である。
本発明のうち請求項7記載の発明は、超電導マグネットが、外層のバイアスマグネットと内層のマグネットから構成されたものであることを特徴とする請求項6記載の超電導マグネット装置である。
本発明のうち請求項8記載の発明は、磁界をコントロールする手段が、超電導マグネットに、所定の電流値に対して上下に振動する振動電流を流し得る手段である請求項6又は7記載の超電導マグネット装置である。
本発明のうち請求項9記載の発明は、磁界をコントロールする手段が、外層のバイアスマグネットに磁界を印加し得る手段と、内層のマグネットに電流又は振動電流を流し得る手段である請求項7記載の超電導マグネット装置である。
そして、本発明のうち請求項10記載の発明は、超電導マグネットを加温する手段を設けたことを特徴とする請求項6〜9のうちいずれか1項記載の超電導マグネット装置である。
本発明によると、例えば、先ず、上下に振動する振動電流を流し、その後所定の電流値に設定するなどのごく簡単な手順により、超電導マグネットの磁束クリープ現象の防止又は抑制を達成することができる。従って、磁束クリープにより超電導マグネットの磁界が緩和してしまう現象を防止又は抑制することができ、結果として、超電導マグネットの磁界を安定的に一定に維持することが可能となる。本発明によると、磁束クリープ現象を抑える効果は非常に高く、例えば、従来は、10日間しか超電導マグネットの永久電流モードでの正常な運転ができなかったのに対して、100日間にも延ばすことが容易に実現できるようになる。
永久電流スイッチによる、超電導マグネットの永久電流モードでの運転の様子を示す図である。 電流振動法による、内層のマグネットの励磁の様子を示す図である。 電流振動法における磁束分布と磁束クリープの関係を説明するための図である。 電流振動法における磁束分布と磁化の関係を説明するための図である。 高磁界励磁法の例において、磁化の時間変化を測定した例を示す図である。 高温励磁法の例において、試料の磁化の時間変化(緩和)の例を示す図である。
本発明者の知見によると、超電導マグネットにおいて、超電導マグネット内部の磁束分布を変化させて、磁束クリープ現象を防止又は抑制する方法として、高温で励磁する方法(高温励磁法)がある。即ち、超電導マグネットを、所定温度よりも高い温度で電流を通電して励磁し、次いで、この超電導マグネットを永久電流モードに移行し、その後、この超電導マグネットを所定温度に調整する方法である。この方法では、先ず、超電導マグネットを、通常運転する所定の温度よりも若干高い温度に設定して電流を通電し励磁する。その後、永久電流モードに移行して、温度を下げて行き所定の温度にする。
高温励磁法について図を用いて説明する。図1は、永久電流スイッチによる超電導マグネットの永久電流モードでの運転の様子を示す図である。図1の(a)は、超電導マグネットを外部の直流電源により直接励磁している状態を示している。図1の(b)は、永久電流スイッチを切り替えて、超電導マグネットは電源より切り離されており、永久電流により一定の磁界を印加しつづけている状態を示している。超電導マグネットは抵抗がゼロであるので、減衰は非常に少ない。また、電源から切り離されているので安定度が非常に高い。
超電導マグネットは、先ず、図1の(a)の状態で、液体ヘリウムや液体窒素等の寒剤で冷却される低温領域の温度を、所定温度、即ち、所定の超電導マグネットの運転温度よりも高い温度にして、電流を通電して励磁される。次いで、励磁された超電導マグネットは、図1の(b)の永久電流モードに移行され、その後、超電導マグネットは所定の運転温度に冷却・調整される。所定温度よりも高くする程度は、特に限定されるものではないが、高々20K程度で十分である。その程度が高くなればなる程、所定温度まで冷却・調整するために熱損失が大きくなるので好ましくないし、また、1K以下では、磁束クリープの抑制効果が十分ではない。温度調節の手段・方法は特に限定されるものではなく、低温領域の温度を公知の方法・装置で調整できる。
超電導マグネットの構造としては、典型的には、単純に一つの超電導マグネットで構成されるものと、外に配置されている外層のバイアスマグネットとその内部に挿入されている内層マグネットで構成されるものがある。後者の構造のマグネットは、高磁界を得るための構造としてNMRなどでは頻繁に用いられる形態である。前記高温励磁法は、上記のいずれの構成の超電導マグネットにも適用できる。
高温励磁法の原理は以下の通りであると考えられる。高い温度では、ピンニングセンターが、超電導体内部の磁束を補捉する力が弱く、磁束クリープ現象が顕著であり、磁束の移動が大きい。その状態でまず電流を流し、磁界を印加し、磁束クリープによりある程度磁束の移動を許し、磁界をある程度緩和させてしまう。その後、温度を下げると、今度は、ピンニングセンターが磁束を補捉する力が強まり、磁束は超電導体内にとどまりやすい状態になるものと考えられる。従って、単純に磁界を印加したのに比べて、磁束は強くピンニングセンターに補捉されており、磁束クリープ現象は極端に弱くなる。この方法は、一つの超電導マグネット、あるいは外層と内層の超電導マグネットを利用している、どちらの構造の超電導マグネットでも有効である。
NMRマグネットの場合には、高磁界を発生させるために、内層マグネットが高温超電導体で作られていることが多い。この場合、外層マグネットは低価格で作るために、従来の金属超電導体で作られている。そのため、動作温度は、常圧の液体ヘリウム温度の4.2Kか、あるいは減圧して2K付近の超流動液体ヘリウムを使うこともある。このように、動作温度が4.2K以下であるときには、最初に常圧の液体ヘリウム温度4.2Kに冷却したときに、電流を通電して励磁を行い(高温励磁)、続いて減圧して2K付近に冷却すれば、高温励磁法が実現できることになる。この場合には特別な装置は必要としない。
本発明者は、超電導マグネットにおいて、超電導マグネット内部の磁束分布を変化させて、磁束クリープ現象を防止又は抑制する方法として、別な観点から研究を行い、本発明に到達したものである。本発明のうち請求項1記載の発明は、超電導マグネットを励磁するに際し、予め、超電導マグネット内部の磁束分布を、磁束クリープの起こりにくい形に変化させておくために、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールすることを特徴とする超電導マグネットの励磁方法であるが、前記のいずれの構成の超電導マグネットにも適用できる。また、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールする方法・手段としては、特に制限はなく、例えば、電流や磁界などの条件を変化させてコントロールすることができる。
請求項2記載の発明は、超電導マグネットを、外に配置されている外層のバイアスマグネットとその内部に挿入されている内層マグネットで構成される超電導マグネットに限定したものである。かかる構造のマグネットは、高磁界を得るために適している。
本発明において、予め超電導マグネット内部の磁束分布を、磁束クリープの起こりにくい形に変化させておくために、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールする方法・手段のうち好ましい例を、以下に具体的に説明する。
請求項3の発明は、超電導マグネットに、所定の電流値に対して上下に振動する振動電流を流し、次いで所定の電流値に設定することを特徴とする超電導マグネットの励磁方法である(電流振動法)。そして、この方法も、単純に一つの超電導マグネットで構成されたものと、外に配置されている外層のバイアスマグネットとその内部に挿入されている内層マグネットで構成されたもののいずれにも適用が可能であるが、特に、請求項4に記載された様に、外層のバイアスマグネットと、その内部に挿入されている内層のマグネットから構成された超電導マグネットに好適に適用できる。そして、その場合には、外層のバイアスマグネットに磁界が印加された状態で、内層のマグネットに、当初振動電流を流し、次いで所定の電流値に設定することによって超電導マグネットを励磁する。
この方法の原理を、図を参照して説明する。図2は、電流振動法による内層のマグネットの励磁の様子を示す図である。図2の(a)は、外層のバイアスマグネットにより磁界が印加された状態で、内層の超電導マグネットに電流(I)を流すときの状況を示している。電流を所定の電流値、即ち、超電導マグネットの目的の電流値よりも一旦高い電流まで流し、次に下げ、また上げることを繰り返して、即ち、振動電流を流して、徐々に目的の電流値に設定する状況を示している。図2の(a)のように電流を変化させると、コイルに磁界が印加され、このとき、超電導マグネット内部の磁束密度(B)の磁束分布は、図2の(b)の実線に示す様になると考えられる。図2の(b)において、dは超電導体の内部の中心までの距離を示している。これが磁束クリープ現象の影響を受けると、図2の(b)の点線の様な磁束分布になると予想されるが、これは平均すると図2の(b)の実線で示される、磁束クリープ現象以前の分布とほとんど変わらないことになり、従って、外部に発生している磁界はほとんど変化が無い。最終的には内部の磁束分布はぎざぎざしたパターンになり、単純に電流を増加して磁界を発生させたときに比べて磁束クリープに対して影響を受けにくくなる。
本発明の請求項5記載の発明は、外層のバイアスマグネットと内層のマグネットから構成された超電導マグネットに関するものであり、外層のバイアスマグネットに所定の磁界よりも高い磁界を印加した状態で、内層のマグネットに電流を流し磁界を発生させ、次いで、外層のバイアスマグネットの磁界を所定の磁界、即ち、目的の磁界に設定することを特徴とする超電導マグネットの励磁方法(高磁界励磁法)である。
この方法の原理は以下の様に考えられる。一般に、臨界電流密度は磁界の増加により単調に減少する。従って、高磁界で内層のマグネットを励磁すると、臨界電流密度が低い状態で電流を流していることになる。外層のバイアスマグネットを減磁することにより、内層のマグネットでの臨界電流密度が高くなる(ピン力も高くなる)ので、超電導体内部に侵入している磁束は、より強いピン力で止められて動きにくくなり、結果として磁束クリープ現象は弱くなる。
本発明の請求項6記載の発明は、超電導マグネット装置において、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールする手段を設けたことを特徴とする超電導マグネット装置である。磁界をコントロールする手段としては、特に限定されるものではない。そして、請求項7記載の発明は、超電導マグネットを、外層のバイアスマグネットと内層のマグネットから構成されたものに限定している。
請求項8記載の発明は、磁界をコントロールする手段として、超電導マグネットに、所定の電流値に対して上下に振動する振動電流を流し得る手段を採用したものである。請求項9記載の発明は、磁界をコントロールする手段として、外層のバイアスマグネットに磁界を印加し得る手段と、内層のマグネットに電流又は振動電流を流し得る手段を採用した超電導マグネット装置である。そして、請求項10記載の発明は、磁界をコントロールする手段に加えて、更に超電導マグネットを加温する手段を設けた超電導マグネット装置である。
これまでに、各種の超電導マグネット装置及びその応用機器が開発されているが、これらの超電導マグネット装置は、基本的に、極低温に冷却する超電導コイル部と、これに外部励磁電源から電流を供給する手段と、所要の磁界を発生している状態において、コイルの巻き始めと巻き終わりを短絡する超電導スイッチとから構成されている(図1参照)。請求項6〜10記載の発明は、かかる超電導マグネット装置において、付属装置として、超電導マグネットの外部の磁界をコントロールする手段を設けたものである。各種の手段は、特別なものである必要はなく、公知あるいは市販の装置等を用いることができる。
現在、最も超電導マグネットが使われているのは、医療用のMRIマグネットである。これらは金属系超電導体が使われているので、使用温度が低く磁束クリープの影響が小さい。それでも磁界の緩和を防ぐために、いくつかの付属装置を組み合わせているのが現実である。従って、本発明の方法及び/又は装置を取り込めば、いくつもの付属装置を組み合わせる必要がなくなり、安価に安定した磁界を得ることができる。
たんぱく質の構造解析などに使われる、20Tを越えるようなNMRマグネットでは、高磁界を実現するために中心に高温酸化物超電導体を使ったマグネットを利用している。その理由は、高温酸化物超電導体が金属系超電導体に比べて、より高い磁界の下でも、超電導性を保つことができるからである。しかし、高温酸化物超電導体を使っているために、高温酸化物超電導体における磁束クリープ現象が、システム全体の性能を決定してしまっている。従って、本発明の方法及び/又は装置は、かかる分野にも利用できる。
また、近い将来、本格的に、高温酸化物超電導体を利用した超電導マグネットが作られるようになると、磁束クリープ現象は深刻な問題となり、本発明の方法及び/又は装置は色々な分野で利用されるであろう。以下、実施例により本発明を詳述する。
[実施例1](電流振動法の例)
外層のバイアスマグネットと内層マグネットから構成された超電導マグネットを用いて実験を行った。外層のバイアスマグネットにより磁界が印加された状態で、内層の超電導マグネットに電流(I)を、図2の(a)のように電流を変化させて流した。電流を所定の電流値(超電導マグネットの目的の電流値)よりも一旦高い電流まで流し、次に下げ、また上げることを繰り返して、即ち、振動電流を流して、徐々に目的の電流値に設定した。このとき、超電導マグネットの断面における磁束密度は、図2の(b)の実線のようになる。最終的には内部の磁束密度分布はぎざぎざしたパターンになり、単純に電流を増加して磁界を発生させたときに比べて磁束クリープに対して影響を受けにくくなる。
このことを図3で説明する。図3において、(1)(2)(3)(4)は、図2の(a)に示した電流を増減した場合の、各時刻1、2、3、4における内部の磁束分布を、超電導体の中心までの領域で示している。(1)では、増加した直後であるが、内部では一定の勾配を持っている。この勾配は臨界電流密度に比例する。このまま時間が経つと点線の分布から実線の分布に移行する。これは磁束クリープにより、外部から磁束が侵入するからである。あるいは臨界電流密度が減少したといってもよい。この結果、内部の磁化が大きく変化し、外部では磁界が変化することになる。
これに対して、(2)(3)を経て(4)にする。電流を増減させると、磁束は超電導体表面からしか出入りができないので、履歴が残り、最終的に(4)に示すような分布となる。このようになると、磁束クリープにより磁束分布が変化しても、全体の平均である磁化は変化しにくく、その結果外部の磁界も殆ど変化しないことになる。
実際に磁化が、磁束分布が(1)(2)(3)(4)のとき、即ち、時刻1、2、3、4のときどのくらい変化するものか、数値シミュレーションをした結果を図4に示す。これから分かるように、磁化の最終的な飽和値M0で規格化した磁化Mの絶対値は、時刻1、2では時間とともに大きく変化しているが、時刻4になると殆ど変化しないことがわかる。100秒も経つと時刻4では殆ど一定に落ち着く。
[実施例2](高磁界励磁の例)
外層のバイアスマグネットと内層マグネットで構成される超電導マグネットの、外層のバイアスマグネット(Y系酸化物超電導体)に、一旦0.6Tの外部磁界を印加し、内層マグネットに電流を流し、次いで外部磁界を0.58Tにして、内層マグネットの磁化の時間変化を測定した例を図5に示した。磁化の時間変化が、非常に小さくなっていることが分かる。一方、外部磁界を0.6Tに一定にして測定した場合には、磁化は単調に増加していることが分かる。従って、一旦高い磁界にすることにより、磁束クリープ現象を抑制することができることを確認することができた。
[参考例](高温励磁法の例)
Y系酸化物超電導体の温度を、60KからΔTの温度幅だけ高い温度にして、そこで電流を通電して0.6Tの磁界を印加し(高温励磁)、その後、冷却して60Kにして、試料の磁化の時間変化(緩和)を調べた。結果は図6に示した。図6に示した様に、ΔTが0Kであると、時間と共に磁化は変化して絶対値は小さくなっていく。つまり、最初は磁束分布の勾配があり、磁化の絶対値は大きいが、磁束クリープ現象があるために、時間とともに外部から、磁束がピン止め中心によるピン力を超えて超電導体内部に侵入していき、磁束分布の勾配が小さくなるために、磁化の絶対値は小さくなってしまっている。
しかし、ΔTが大きいと、磁界の時間に対する変化は極端に小さくなる。例えば、7K〜10Kも高い温度で電流を通電して磁界を印加した際には、磁化の変化は殆ど観測されない。これは高い温度ではピン力が小さく、磁化の絶対値も小さかったが、所定の温度まで冷却することにより、ピン力が大きくなり、超電導体内部に侵入している磁束が、強くピン止めされるので、磁束線が動きにくくなったためである。
本発明によると、磁束クリープにより超電導マグネットの磁界が緩和してしまう現象を防止又は抑制することができ、結果として、超電導マグネットの磁界を安定的に一定に維持することが可能となる。そして、従来の磁束クリープの防止方法に用いられていた複雑な装置や複雑な方法・手順に比べて、本発明によると、ごく簡単な方法・手順により、磁界緩和に対して大きな防止効果を得ることができ、また、そのための付加的な装置を必要としない場合も多く、現在の装置でもすぐに取り入れることができる。そして、その効果は、緩和時間を従来の10倍程度に延ばすことができ、産業界に与える影響は非常に大きく、例えば、CTスキャンで使われるMRI(磁気共鳴映像)やNMR(核磁気共鳴)の分野での一段の利用が期待される。

Claims (1)

  1. 超電導コイルからなる超電導マグネットであって、外層のバイアスマグネットと内層のマグネットから構成された超電導マグネットを励磁するに際し、外層のバイアスマグネットに所定の磁界よりも高い磁界を印加した状態で、内層のマグネットに電流を流し、次いで、外層のバイアスマグネットの磁界を前記所定の磁界に設定することを特徴とする超電導マグネットの励磁方法。
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