JP4200701B2 - 駆動機構制御装置、駆動機構制御方法、記録装置および記録装置の制御方法 - Google Patents

駆動機構制御装置、駆動機構制御方法、記録装置および記録装置の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動機構制御装置、駆動機構の制御方法、記録装置および記録装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコンピュータ、ディスプレイ、プリンタ、ファクシミリ、複写機などを対象製品とする省エネルギー基準適合品の登録制度として、国際エナジースタープログラム(International Energy Star Program)が知られている。この国際エナジースタープログラムは、待機時の消費電力を30[W]以下にすることを要求しているが、待機時の消費電力が30[W]以下では十分な省電力とはいえないとしてより一層の規制強化が望まれていた。
【0003】
これに対応すべく、記録装置としてのプリンタにおいては、印字データを受信しない状態が一定時間経過すると、モータのホールド電流をカットし、待機時の消費電力をより一層低減するものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、媒体(シート)がセットされた状態で紙送りモータのホールド電流をカットするとシートのバックテンションなどによりモータの位相がずれ、印字の再継続時に紙送りモータに通電されると、シート位置がずれてしまうという問題点があった。
【0005】
ここで、シート位置のずれについて図面を参照して詳細に説明する。
【0006】
図10および図11に媒体の非セット時(媒体なし、バックテンションなし)の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図を示す。
【0007】
図10は、通電時(2相励磁方式)の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【0008】
図10に示すように、通電時、かつ、媒体の非セット時には、ロータを構成する永久磁石のS極は、例えば、N極を構成するコイルAおよびコイルBの中間点に安定する。同様に、永久磁石のN極は、例えば、S極を構成するコイルCおよびコイルDの中間点に安定する。
【0009】
図11は、未通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【0010】
図11に示すように、未通電時、かつ、媒体の非セット時には、ロータを構成する永久磁石は、ステータを構成するコイルの鉄心(図11では、コイルA及びコイルC)と引き合い安定な状態となっている。
【0011】
一方、媒体のセット時には、媒体によるバックテンションが発生する。
【0012】
次に従来のプリンタの紙送りモータ駆動機構の制御について媒体セット時のロータとステータとの関係も含めて説明する。
【0013】
図12に従来のプリンタの紙送りモータ駆動機構の制御処理の処理フローチャートを示す。
【0014】
従来においては、媒体であるシートの有無や、媒体無検出後の媒体状の印字可能領域であるフォームズオーバーライド領域に関係なく、印字データを受信していない状態がn分間以上継続した場合に、現状の紙送りモータの励磁相を記憶し、紙送りモータのホールド電流をカットする構成を採っていた。
【0015】
図13ないし図15に媒体セット時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図を示す。
【0016】
より具体的には、まず、印字動作を行った後、紙送りを図13において時計方向に行っている場合には、ロータを構成する永久磁石のS極は、例えば、N極を構成するコイルAおよびコイルBの中間点に安定する。同様に、永久磁石のN極は、例えば、S極を構成するコイルCおよびコイルDの中間点に安定する。
【0017】
そして、印字データを受信しなくなると、プリンタの図示しないMPUは、紙送りモータにホールド電流を供給し、ロータを印字停止時の状態に保持しようとする。
【0018】
しかしながら、この場合には、媒体がセットされていることにより、そのバックテンションにより、ロータは、反時計方向に回転され、例えば、図13に示すように、ロータを構成する永久磁石のS極は、N極を構成するコイルAおよびS極を構成するコイルDの中間に安定することとなり、永久磁石のN極は、N極を構成するコイルBおよびS極を構成するコイルCの中間に安定することとなる。
【0019】
この状態で、プリンタの図示しないMPUは、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続したか否かを判別する(ステップS51)。
【0020】
ステップS51の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続していない場合には(ステップS51;No)、紙送りモータへの通電を継続し(ホールド電流を供給継続し)、待機状態となる。
【0021】
ステップS51の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間以上継続した場合には、紙送りモータの現在の通電している励磁相を記憶する(ステップS52)。上述の例の場合、コイルAがN極、コイルBがN極、コイルCがS極、コイルDがS極となるように励磁相を記憶する。
【0022】
次に紙送りモータのホールド電流の供給をカットする(ステップS53)。
この結果、再びバックテンションにより、ロータは、反時計方向に回転され、ロータを構成する永久磁石のN極がステータを構成するコイルの鉄心(図14では、コイルA)と引き合うとともに、S極がステータを構成するコイルの鉄心(図14では、コイルC)と引き合って安定な状態となる。
【0023】
続いて図示しないMPUは、印字データを受信したか否かを判別する(ステップS54)。
【0024】
ステップS54の判別において、印字データを受信していない場合には(ステップS54;No)、処理を再びステップS54に移行し、そのまま待機状態となる。
【0025】
ステップS54の判別において、再び印字データを受信した場合には(ステップS54;Yes)、ステップS52で記憶していた励磁相で紙送りモータに通電することとなる(ステップS55)。
【0026】
具体的には、上述の例の場合、コイルAがN極、コイルBがN極、コイルCがS極、コイルDがS極となるように通電を行う。
【0027】
この結果、図15に示すように、ロータは、さらに反時計方向に回転し、ロータを構成する永久磁石のS極は、N極を構成するコイルAおよびコイルBの中間に安定することとなり、永久磁石のN極は、S極を構成するコイルCおよびコイルDの中間に安定することとなる。
【0028】
従って、図13の状態と比較して、媒体は1回転分巻き戻された状態となり、紙送りモータ1回転分の位置ずれが発生してしまうということとなっていた。
【0029】
以上の発明は、媒体によるバックテンションの影響で位置ずれが起きる場合のものであったが、モータの駆動力をギアなどで構成される伝達機構で伝達する構成を採っている場合には、ギアのバックラッシュ(backlash)の影響もさらに付け加えられ、さらなる位置ずれが発生することとなっていた。
【0030】
そこで、本発明の目的は、モータ駆動機構において、省エネルギーのためにモータへのホールド電流をカットする場合でも、再駆動時に位置ずれを起こすことなく、駆動させることが可能なモータ駆動機構制御装置、制御方法、記録装置および記録装置の制御方法を提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御装置において、前記保持電流の供給停止に先立って、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御部と、前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御部と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶部と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0039】
上記構成によれば、第1駆動制御部は、保持電流の供給停止に先立って、保持電流の供給停止があった場合にロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけロータを回転させ、第2駆動制御部は、第1方向とは逆方向の第2方向へ第1所定量だけロータを回転させ、保持電流供給停止期間中の不用意なロータの回転を抑制する。そして、励磁相記憶部は、第1方向へのロータの回転後の励磁相を記憶する。
【0040】
そして、再通電制御部は、ステッピングモータの再駆動時に、記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させる。
【0041】
また、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御装置は、前記保持電流の供給を停止させる供給停止制御部と、前記保持電流の供給停止に先立って、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御部と、前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御部と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶部と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0042】
上記構成によれば、1駆動制御部は、保持電流の供給停止に先立って、保持電流の供給停止があった場合にロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけロータを回転させ、第2駆動制御部は、第1方向とは逆方向の第2方向へ第1所定量だけロータを回転させ、保持電流供給停止期間中の不用意なロータの回転を抑制する。そして、励磁相記憶部は、第1方向へのロータの回転後の励磁相を記憶する。
【0043】
その後、供給停止制御部は、保持電流の供給を停止させる。
そして、再通電制御部は、ステッピングモータの再駆動時に、記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させる。
【0044】
この場合において、前記再通電後に前記駆動力伝達機構における実質的なバックラッシュを設定すべく第2方向へ前記ロータを回転させるバックラッシュ設定制御部と、
前記1方向へ前記バックラッシュ設定制御部で回転させた量だけ前記ロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0045】
また、前記供給停止制御部は、前記ステッピングモータが待機状態に至ってから所定時間が経過した場合に前記保持電流の供給を停止させるようにしてもよい。
【0048】
また、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御方法は、前記保持電流の供給停止に先だって、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御過程と、前記第1駆動制御過程における前記ロータの回転後に前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御過程と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶過程と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電過程と、を備えたことを特徴としている。
【0049】
また、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御方法は、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御過程と、前記第1駆動制御過程における前記ロータの回転後に前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御過程と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶過程と、前記励磁相の記憶後に前記保持電流の供給を停止させる保持電流供給停止過程と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電過程と、を備えたことを特徴としている。
【0050】
この場合において、前記再通電後に、前記駆動力伝達機構における実質的なバックラッシュを設定する方向である前記第2方向へ第2所定量だけ前記ロータを回転させるバックラッシュ設定制御過程と、前記バックラッシュ設定制御過程において前記第2方向へ前記第2所定量だけ前記ロータを回転させた後に、前記第1方向へ前記第2所定量だけ前記ロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去制御過程と、を備えるようにしてもよい。
【0051】
また、前記保持電流供給停止過程は、前記ステッピングモータが待機状態に至ってから所定時間が経過した場合に前記保持電流の供給を停止させるようにしてもよい。
【0055】
また、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源として媒体を搬送する搬送機構を備え、入力された記録データに基づいて文字を含む画像の記録を行う記録装置は、前記保持電流の供給を停止させる供給停止制御部と、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが前記媒体の搬送に起因して受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御部と、前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御部と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶部と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0056】
上記構成によれば、第1駆動制御部は、保持電流の供給停止に先立って、保持電流の供給停止があった場合にロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけロータを回転させ、第2駆動制御部は、第1方向とは逆方向の第2方向へ第1所定量だけロータを回転させ、保持電流供給停止期間中の不用意なロータの回転を抑制する。そして、励磁相記憶部は、第1方向へのロータの回転後の励磁相を記憶する。
【0057】
その後、供給停止制御部は、保持電流の供給を停止させる。
【0058】
そして、再通電制御部は、ステッピングモータの再駆動時に、記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させる。
【0059】
この場合において、前記再通電後に、前記駆動力伝達機構における実質的なバックラッシュを設定する方向である前記第2方向へ第2所定量だけ前記ロータを回転させるバックラッシュ設定制御部と、前記第1方向へ前記第2所定量だけ前記ロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去制御部と、を備えるようにしても良い。
また、前記供給停止制御部は、前記記録データの入力が停止してから所定時間が経過した場合に前記保持電流の供給を停止させるようにしてもよい。
【0061】
また、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源として媒体を搬送する搬送機構を備え、入力された記録データに基づいて文字を含む画像の記録を行う記録装置の制御方法は、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが前記媒体の搬送に起因して受ける力を維持する方向である第1方向へ所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御過程と、前記第1駆動制御過程におけるステッピングモータの回転後に前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御過程と、前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶過程と、前記励磁相の記憶後に前記保持電流の供給を停止させる保持電流供給停止過程と、前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電過程と、を備えたことを特徴としている。
【0062】
この場合において、前記再通電後に、前記駆動力伝達機構における実質的なバックラッシュを設定すべく前記第2方向へ第2所定量だけ前記ロータを回転させるバックラッシュ設定制御過程と、前記バックラッシュ設定制御過程において前記第2方向へ前記ロータを回転させた後に、前記第1方向へ前記第2所定量だけ前記ロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去制御過程と、を備えるようにしてもよい。
【0063】
また、前記保持電流供給停止過程は、前記記録データの入力が停止してから所定時間が経過した場合に前記保持電流の供給を停止させるようにしてもよい。
【0064】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、実施形態のドットインパクトプリンタを示す外観斜視図である。
【0065】
ドットインパクトプリンタ10は、多数の記録ワイヤをインクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷する。
【0066】
ドットインパクトプリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートKを手差し可能に構成されたシート供給ガイド43と、上記プリンタ本体11の後方側に設置されてカットシートKを記録部に自動給紙する給紙装置CSFとを備えている。
【0067】
図2は、給紙装置CSFを取り外したプリンタ本体11の外観斜視図である。
【0068】
給紙装置CSFの略真下には連続シートを記録部に供給するプッシュトラクタユニット(連続シート搬送装置)12が配置されている。
【0069】
ここで、カットシートKとしては、例えば単票紙、複写紙またはOHP(オーバヘッドプロジェクタ)シート等のカットフィルムがある。また、連続シートとしては連続紙、連続複写紙などがある。
【0070】
図3は、プリンタ本体11のシート搬送機構部の外観斜視図である。
【0071】
シート搬送機構部30は、図3に示すように、プッシュトラクタユニット12に連なる紙送りローラ13と、プラテン20と、搬送ローラユニット21とを備えている。また、
図4は、キャリッジを示す外観斜視図である。
【0072】
プラテン20の上方には、図4に示すように、キャリッジ31を備えている。キャリッジ31には、リボンカートリッジ35と、印字ヘッド36とが搭載されている。キャリッジ31は、キャリッジガイド軸32に支持されて、プラテン20の上方を当該プラテン20の軸方向に走査して移動される。
【0073】
キャリッジガイド軸32は、サイドフレーム33、34間に回転自在に支持されている。
【0074】
また、搬送経路の下面側には、媒体であるシートの有無を検出する紙検出器45が設けられている。
【0075】
図5は、ステッピングモータである紙送りモータの駆動力伝達機構の説明図である。
【0076】
紙送りモータ50のシャフト50Aには、ギア50Bが設けられている。
【0077】
ギア50Bの上方には、ローラ軸13Aの一端に設けられた伝達ギア13Bが配置され、ギア50Bと噛合している。このローラ軸13Aには紙送りローラ13が設けられており、他端には、伝達ギア13Cが配置されている。
【0078】
紙送りモータ50の駆動力は、伝達ギア13Bおよび減速ギア輪列50を介してプラテン軸20Aおよびローラ軸21Aに伝達され、ひいては、プラテン20および搬送ローラユニット21が駆動されることとなる。
【0079】
一方、紙送りモータ50の駆動力は、伝達ギア13Cおよび減速ギア輪列51を介してトラクタ駆動軸12Aに伝達され、ひいては、プッシュトラクタユニット12を構成するトラクタ12B、12Cが駆動されることとなる。なお、プッシュトラクタユニット12は、使用されない場合には、図示しない切替機構により、紙送りモータ50の駆動力が伝達ギア13Cを介して減速ギア輪列51に伝達されないようにされる。
【0080】
まず、詳細な説明に先立って、本第1実施形態の動作概要を説明する。
【0081】
本第1実施形態においては、媒体であるシートの有無やフォームズオーバーライド領域、あるいは、選択されている媒体搬送経路(選択されている媒体種類、例えば、単票紙、連続紙等の媒体種類により定まる)により紙送りモータ50の制御を変更している。
【0082】
より具体的には、媒体がセットされていない状態で、かつ、フォームズオーバーライド領域でもない場合には、印字データを受信していない状態がn分間以上継続すると、紙送りモータ50のホールド電流をカットする。その後、印字データを受信した場合には、任意の励磁相で紙送りモータ50に通電する。
【0083】
また、媒体がセットされた状態、あるいは、媒体がセットされていない状態でフォームズオーバーライド領域である場合には、印字データを受信していない状態がn分間以上継続すると、媒体搬送経路を判別し、判別された媒体搬送経路に適したバックテンション緩和量(r1)を設定し、バックテンションを緩和すべく、媒体搬送方向とは逆方向に紙送りモータ50を回転させ、現在時点における励磁相を記憶し、紙送りモータ50のホールド電流をカットする。
【0084】
その後、印字データを再受信した場合には、記憶していた励磁相でモータに通電後、バックテンション緩和量相当分だけ媒体搬送方向に紙送りモータ50を回転させ、当該位置を基準として印字動作を行う。
【0085】
図6に第1実施形態の処理フローチャートを示す。
【0086】
まず、ドットインパクトプリンタ10の図示しないMPUは、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続したか否かを判別する(ステップS1)。
【0087】
ステップS1の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続していない場合には(ステップS1;No)、紙送りモータ50への通電を継続し(ホールド電流を供給継続し)、待機状態となる。
【0088】
ステップS1の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間以上継続した場合には(ステップS1;Yes)、紙検出器45によりシートの有無を判別する(ステップS2)。
【0089】
ステップS2の判別において、シートがセットされていると判別された場合には(ステップS2;Yes)、MPUは、セットされているシートの搬送経路を判別する(ステップS3)。具体的には、本実施形態のドットインパクトプリンタ10においては、レリースレバーの位置でシートの搬送経路を切り替えているので、MPUは、レリースレバーの位置を検出するレリースレバー位置検出器の出力に基づいてシートの搬送経路を判別する。
【0090】
ステップS3の判別において、搬送経路が連続紙側である場合には(ステップS3;連続紙)、バックテンション緩和量r1相当分の紙送りモータ50駆動量のモータ駆動パルス数として連続紙用のパルス数r1trを設定する(ステップS4)。すなわち、
r1=r1tr
として、処理をステップS6に移行する。
【0091】
ステップS3の判別において、搬送経路が単票紙側である場合には(ステップS3;単票紙)、バックテンション緩和量r1相当分の紙送りモータ50駆動量のモータ駆動パルス数として単票紙用のパルス数r1frを設定する。すなわち、
r1=r1fr
とする(ステップS5)。
【0092】
次にMPUは、紙送りモータ50を制御し、直前の紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)とは逆方向にr1に相当するパルス数だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS6)。即ち、シートが連続紙である場合には、連続紙用のパルス数r1trだけ紙送りモータ50を回転させ、シートが単票紙である場合には、単票紙用のパルス数r1frだけ紙送りモータ50を回転させる。
【0093】
この結果、媒体であるシートの搬送に伴って紙送りモータ50のロータが受ける力であるバックテンションが緩和されることとなる。
【0094】
次にMPUは、紙送りモータ50において現在の通電している励磁相を記憶する(ステップS7)。
【0095】
次に紙送りモータ50のホールド電流の供給をカットする(ステップS8)。
【0096】
この結果、紙送りモータ50のロータは、通電カット時の状態に最も近いステータのコイルの鉄心位置で、すなわち、図7に示すように、ロータを構成する永久磁石は、ステータを構成するコイルの鉄心(図7では、コイルA及びコイルC)と引き合い安定な状態となる。
【0097】
続いて図示しないMPUは、印字データを受信したか否かを判別する(ステップS9)。
【0098】
ステップS9の判別において、印字データを受信していない場合には(ステップS9;No)、処理を再びステップS9に移行し、そのまま待機状態となる。
【0099】
ステップS9の判別において、再び印字データを受信した場合には(ステップS9;Yes)、ステップS7で記憶していた励磁相で紙送りモータ50に通電することとなる(ステップS10)。
【0100】
この結果、ロータは、通電カット直前の状態と同様の位置、例えば、図8に示すように、ロータを構成する永久磁石のS極は、N極を構成するコイルAおよびコイルBの中間に安定することとなり、永久磁石のN極は、S極を構成するコイルCおよびコイルDの中間に安定することとなる。
【0101】
次にMPUは、紙送りモータ50を制御し、ステップS6における紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)とは逆方向である前回の印字時におけるシート搬送方向と同方向にr1に相当するパルス数だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS11)。すなわち、シートが連続紙である場合には、連続紙用のパルス数r1trだけ紙送りモータ50を回転させ、シートが単票紙である場合には、単票紙用のパルス数r1frだけ紙送りモータ50を回転させる。
【0102】
これらの結果、ステップS1の状態とほぼ同一の状態に戻すことができ、バックテンションの影響を受けずに、省エネを図ることができる。
【0103】
一方、ステップS2の判別において、シートがセットされていないと判別された場合には(ステップS2;No)、MPUは、フォームズオーバーライド領域であるか否かを判別する(ステップS12)。
【0104】
ステップS12の判別において、フォームズオーバーライド領域である場合には(ステップS12;Yes)、処理をステップS3に移行し、以下同様の処理を行う。
【0105】
ステップS12の判別において、フォームズオーバーライド領域ではない場合には(ステップS12;No)、紙送りモータ50のホールド電流をカットする(ステップS13)。
【0106】
続いて図示しないMPUは、印字データを受信したか否かを判別する(ステップS14)。
【0107】
ステップS14の判別において、印字データを受信していない場合には(ステップS14;No)、処理を再びステップS14に移行し、そのまま待機状態となる。
【0108】
ステップS14の判別において、再び印字データを受信した場合には(ステップS14;Yes)、任意の励磁相で紙送りモータ50に通電し(ステップS15)、続く印字動作を開始することとなる。
【0109】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、ステッピングモータである紙送りモータ50をオープンループ制御する場合に、印字データが送られていない待機状態において、省エネルギーを図るべく紙送りモータ50へのホールド電流をカットするに際し、直前の紙送り方向とは逆方向に紙送りモータ50を回転させて、バックテンションを緩和させた後にホールド電流をカットしている。従って、バックテンションの影響により紙送りモータ50のロータが制御不能な状態で回転するのを防止することができ、ホールド電流のカット前のロータ位置と、再通電後のロータ位置とを一致させることができ、印字位置のずれ防止と、ホールド電流カットによる省エネルギー化とを、両立させることができる。
【0110】
以上の説明においては、より具体的な説明を行ったが、原理的には、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とするモータ駆動機構を制御するに際し、保持電流の供給停止があった場合にロータが駆動負荷より受ける力を緩和すべく第1方向へ所定量だけ前記ロータを回転させ、力の緩和後の励磁相を記憶し、その記憶後に保持電流の供給を停止させる。
【0111】
そして、ステッピングモータの再駆動時に記憶した励磁相でステッピングモータに再通電し、第1方向とは逆方向の第2方向へ回転させた量だけロータを回転させて、ロータ位置を復帰させるようにすればよい。
より詳細には、保持電流の供給停止があった場合にロータが駆動負荷より受ける力を緩和する方向である第1方向へ所定量だけロータを回転させ、力の緩和後の励磁相を記憶し、励磁相の記憶後に保持電流の供給を停止させる。
【0112】
そして、ステッピングモータの再駆動時に記憶した励磁相でステッピングモータに再通電し、第1方向とは逆方向の第2方向へ所定量だけロータを回転させて、ロータ位置を復帰させれば良いのである。
[2]第2実施形態
上記第1実施形態は、ホールド電流カットに起因する印字位置のずれの原因としてバックテンションのみを考慮していたが、実際のモータ駆動機構においては、他の印字位置のずれの原因として、ギアなどの駆動力伝達機構におけるバックラッシュが存在する。
【0113】
すなわち、本第2実施形態は、バックテンションおよびバックラッシュを考慮した場合の実施形態である。
【0114】
まず、詳細な説明に先立って、本第2実施形態の動作概要を説明する。
【0115】
本第1実施形態においては、媒体であるシートの有無やフォームズオーバーライド領域、あるいは、選択されている媒体搬送経路(選択されている媒体種類、例えば、単票紙、連続紙等の媒体種類により定まる)により紙送りモータ50の制御を変更している。
【0116】
より具体的には、媒体がセットされていない状態で、かつ、フォームズオーバーライド領域でもない場合には、印字データを受信していない状態がn分間以上継続すると、紙送りモータ50のホールド電流をカットする。その後、印字データを受信した場合には、任意の励磁相で紙送りモータ50に通電する。
【0117】
また、媒体がセットされた状態、あるいは、媒体がセットされていない状態でフォームズオーバーライド領域である場合には、印字データを受信していない状態がn分間以上継続すると、媒体搬送経路を判別し、判別された媒体搬送経路に適したバックテンション緩和量(r1)を設定し、バックテンションを緩和すべく、媒体搬送方向とは逆方向に紙送りモータ50を回転させ、現在時点における励磁相を記憶し、紙送りモータ50のホールド電流をカットする。
【0118】
その後、印字データを再受信した場合には、記憶していた励磁相でモータに通電後、バックテンション緩和量相当分だけ媒体搬送方向に紙送りモータ50を回転させ、当該位置を基準として印字動作を行う。
【0119】
図9に第2実施形態の処理フローチャートを示す。
【0120】
まず、ドットインパクトプリンタ10の図示しないMPUは、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続したか否かを判別する(ステップS21)。
【0121】
ステップS21の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間継続していない場合には(ステップS21;No)、紙送りモータ50への通電を継続し(ホールド電流を供給継続し)、待機状態となる。
【0122】
ステップS21の判別において、印字データを受信していない状態があらかじめ定めたn分間以上継続した場合には(ステップS21;Yes)、紙検出器45によりシートの有無を判別する(ステップS22)。
【0123】
ステップS22の判別において、シートがセットされていると判別された場合には(ステップS22;Yes)、MPUは、セットされているシートの搬送経路を判別する(ステップS23)。具体的には、本実施形態のドットインパクトプリンタ10においては、レリースレバーの位置でシートの搬送経路を切り替えているので、MPUは、レリースレバーの位置を検出するレリースレバー位置検出器の出力に基づいてシートの搬送経路を判別する。
【0124】
ステップS23の判別において、搬送経路が連続紙側である場合には(ステップS23;連続紙)、バックテンション緩和量r1相当分の紙送りモータ50駆動量のモータ駆動パルス数として連続紙用のパルス数r1trを設定する(ステップS24)。すなわち、
r1=r1tr
として、処理をステップS26に移行する。
【0125】
ステップS23の判別において、搬送経路が単票紙側である場合には(ステップS23;単票紙)、バックテンション緩和量r1相当分の紙送りモータ50駆動量のモータ駆動パルス数として単票紙用のパルス数r1frを設定する。すなわち、
r1=r1fr
とする(ステップS25)。
【0126】
次にMPUは、紙送りモータ50を制御し、直前の紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)r1に相当するパルス数だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS26)。即ち、シートが連続紙である場合には、連続紙用のパルス数r1trだけ紙送りモータ50を回転させ、シートが単票紙である場合には、単票紙用のパルス数r1frだけ紙送りモータ50を回転させる。
【0127】
さらにMPUは、紙送りモータ50を制御し、ステップS26における紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)とは逆方向にr1に相当するパルス数だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS27)。即ち、シートが連続紙である場合には、連続紙用のパルス数r1trだけ紙送りモータ50を回転させ、シートが単票紙である場合には、単票紙用のパルス数r1frだけ紙送りモータ50を回転させる。
【0128】
この結果、バックテンションが緩和された状態で、ロータは、ホールド電流が供給された状態となる。
【0129】
次にMPUは、紙送りモータ50において現在の励磁相を記憶する(ステップS28)。
【0130】
次に紙送りモータ50のホールド電流の供給をカットする(ステップS29)。
【0131】
この結果、紙送りモータ50のロータは、通電カット時の状態に最も近いステータのコイルの鉄心位置で、ロータを構成する永久磁石が鉄心と引き合って安定な状態となる。
【0132】
続いて図示しないMPUは、印字データを受信したか否かを判別する(ステップS30)。
【0133】
ステップS30の判別において、印字データを受信していない場合には(ステップS30;No)、処理を再びステップS30に移行し、そのまま待機状態となる。
【0134】
ステップS30の判別において、再び印字データを受信した場合には(ステップS30;Yes)、ステップS28で記憶していた励磁相で紙送りモータ50に通電することとなる(ステップS31)。
【0135】
次にMPUは、紙送りモータ50を制御し、直前の紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)に対し、あらかじめ定めた駆動伝達系のバックラッシュの影響を相殺すべく、駆動伝達系のがたを吸収するのに十分なパルス数r2だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS32)。すなわち、シートの搬送方向とは、逆方向にパルス数r2だけ紙送りモータ50を回転させる。
【0136】
さらにMPUは、紙送りモータ50を制御し、ステップS32における紙送りモータ50の回転方向(駆動方向)とは逆方向にr2に相当するパルス数だけ紙送りモータ50を回転させる(ステップS33)。すなわち、シートの搬送方向にパルス数r2だけ紙送りモータ50を回転させることにより、バックラッシュの影響を相殺し、ステップS21の状態とほぼ同一の状態に戻すことができ、バックテンションおよび駆動伝達系のバックラッシュの影響を受けずに、省エネを図ることができる。
【0137】
一方、ステップS22の判別において、シートがセットされていないと判別された場合には(ステップS22;No)、MPUは、フォームズオーバーライド領域であるか否かを判別する(ステップS34)。
【0138】
ステップS34の判別において、フォームズオーバーライド領域である場合には(ステップS34;Yes)、処理をステップS23に移行し、以下同様の処理を行う。
【0139】
ステップS34の判別において、フォームズオーバーライド領域ではない場合には(ステップS34;No)、紙送りモータ50のホールド電流をカットする(ステップS35)。
【0140】
続いて図示しないMPUは、印字データを受信したか否かを判別する(ステップS36)。
【0141】
ステップS36の判別において、印字データを受信していない場合には(ステップS36;No)、処理を再びステップS36に移行し、そのまま待機状態となる。
【0142】
ステップS36の判別において、再び印字データを受信した場合には(ステップS36;Yes)、任意の励磁相で紙送りモータ50に通電し(ステップS37)、続く印字動作を開始することとなる。
【0143】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、ステッピングモータである紙送りモータ50をオープンループ制御する場合に、印字データが送られていない待機状態において、省エネルギーを図るべく紙送りモータ50へのホールド電流をカットするに際し、直前の紙送り方向とは逆方向に紙送りモータ50を回転させて、バックテンションを緩和させた後にホールド電流をカットし、さらに再通電後には、直前の紙送りとは逆方向に紙送りモータ50を回転させて、再び逆方向に紙送りモータ50を回転させて駆動伝達系におけるバックラッシュの影響を相殺している。
【0144】
従って、バックテンションの影響により紙送りモータ50のロータが制御不能な状態で回転するのを防止することができるとともに、再起動時における駆動伝達系のバックラッシュの影響を相殺することができる。
【0145】
すなわち、ホールド電流のカット前のロータ位置と、再通電後のロータ位置とを一致させることができ、印字位置のずれ防止と、ホールド電流カットによる省エネルギー化とを、両立させることができる。
【0146】
以上の説明は、より具体的な例を説明したが、原理的には、待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源として媒体を搬送する搬送機構を備え、入力された記録データに基づいて文字を含む画像の記録を行う記録装置において、保持電流の供給停止があった場合にロータが媒体の搬送に起因して受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけロータを回転させ、さらに、第1方向とは逆方向の第2方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させ力を緩和させた後に、保持電流の供給を停止し、力緩和後の励磁相を記憶する。そして、ステッピングモータの再駆動時に記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させるようにすればよいのである。
[3]実施形態の変形例
以上の第2実施形態においては、再通電後に、駆動伝達系における実質的なバックラッシュを設定する方向である第3方向へ所定量(第2所定量)だけロータを回転させ、第3方向とは逆方向の第4方向へ所定量(第2所定量)だけロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去する構成を採っていたが、原理的には、再通電後に、駆動伝達系における実質的なバックラッシュを設定すべく第3方向へロータを回転させ、第3方向とは逆方向の第4方向へバックラッシュ設定制御部で回転させた量だけロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するようにすればよい。
【0147】
以上の第2実施形態においては、バックテンションの影響およびバックラッシュの影響の双方に対応するものとしていたが、第2実施形態と同様の方法で、バックテンションの影響のみを低減するようにすることも可能である。
【0148】
すなわち、媒体の搬送に起因するロータの力を維持する方向である第1方向へロータを回転させ、ステッピングモータの回転後に第1方向とは逆方向の第2方向へ第1方向へ回転させた量だけロータを回転させ力を緩和させ、力緩和後の励磁相を記憶させ、励磁相の記憶後に保持電流の供給を停止させる。そして、ステッピングモータの再駆動時に、記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させるようにすればよい。
【0149】
より具体的には、媒体の搬送に起因するロータの力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけロータを回転させ、ステッピングモータの回転後に第1方向とは逆方向の第2方向へ第1所定量だけロータを回転させ力を緩和させ、力緩和後の励磁相を記憶させ、励磁相の記憶後に保持電流の供給を停止させる。そして、ステッピングモータの再駆動時に、記憶した励磁相でステッピングモータに再通電させるようにすればよい。
【0150】
以上の説明においては、ドットインパクトプリンタの場合を例として説明したが、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなど媒体搬送機構を有する記録装置であれば、適用が可能である。
【0151】
また、プリンタなどの記録装置に限らず、ステッピングモータにバックテンションあるいはバックラッシュの影響を考慮する必要がある駆動機構の制御装置に適用することが可能である。
【0152】
【発明の効果】
本発明によれば、モータ駆動機構において、省エネルギーのためにモータへのホールド電流をカットする場合でも、バックテンションやバックラッシュの影響で再駆動時に位置ずれを起こすことなく、駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。
【図2】給紙装置を取り外したプリンタ本体の外観斜視図である。
【図3】プリンタ本体のシート搬送機構部の外観斜視図である。
【図4】キャリッジを示す外観斜視図である。
【図5】ステッピングモータである紙送りモータの駆動力伝達機構の説明図である。
【図6】第1実施形態の処理フローチャートである。
【図7】媒体のセット時(媒体あり、バックテンションなし)、かつ、未通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図8】媒体のセット時(媒体あり、バックテンションなし)、かつ、通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図9】第2実施形態の処理フローチャートである。
【図10】媒体の非セット時(媒体なし、バックテンションなし)、かつ、通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図11】媒体の非セット時(媒体なし、バックテンションなし)、かつ、未通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図12】従来のプリンタの紙送りモータ駆動機構の制御処理の処理フローチャートである。
【図13】媒体のセット時(媒体あり、バックテンションあり)、かつ、通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図14】媒体のセット時(媒体あり、バックテンションあり)、かつ、未通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【図15】媒体のセット時(媒体あり、バックテンションあり)、かつ、再通電時の紙送りモータのロータとステータとの関係説明図である。
【符号の説明】
10 プリンタ(記録装置)
11 プリンタ本体(供給停止制御部、第1駆動制御部、励磁相記憶部、再通電制御部、第2駆動制御部、バックラッシュ除去制御部、バックラッシュ設定制御部)
12 プッシュトラクタユニット(連続シート搬送装置)
13 紙送りローラ
20 プラテン
21 搬送ローラユニット
31 キャリッジ
32 キャリッジ軸
32A 偏心軸
36 印字ヘッド
37 ギア(輪列)
38 ギア(輪列)
39 ステッピングモータ
39A 出力ギア(輪列)
50 減速ギア輪列(駆動力伝達機構)
51 減速ギア輪列(駆動力伝達機構)
CSF 給紙装置
K カットシート

Claims (3)

  1. 待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御装置において、
    前記保持電流の供給停止に先立って、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御部と、
    前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御部と、
    前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶部と、
    前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電制御部と、
    を備えたことを特徴とする駆動機構制御装置。
  2. 待機時にロータの位置を保持するための保持電流が供給されるステッピングモータを駆動源とし、前記ステッピングモータの駆動力を伝達する駆動力伝達機構を有するモータ駆動機構を制御するための駆動機構制御装置において、
    前記保持電流の供給を停止させる供給停止制御部と、
    前記保持電流の供給停止に先立って、前記保持電流の供給停止があった場合に前記ロータが駆動負荷より受ける力を維持する方向である第1方向へ第1所定量だけ前記ロータを回転させる第1駆動制御部と、
    前記第1方向とは逆方向の第2方向へ前記第1所定量だけ前記ロータを回転させる第2駆動制御部と、
    前記第2方向への前記ロータの回転後の励磁相を記憶する励磁相記憶部と、
    前記ステッピングモータの再駆動時に、記憶した前記励磁相で前記ステッピングモータに再通電させる再通電制御部と、
    を備えたことを特徴とする駆動機構制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の駆動機構制御装置において、
    前記再通電後に前記駆動力伝達機構における実質的なバックラッシュを設定すべく前記第2方向へ前記ロータを回転させるバックラッシュ設定制御部と、
    前記第1方向へ前記バックラッシュ設定制御部で回転させた量だけ前記ロータを回転させ、所定のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去制御部と、
    を備えたことを特徴とする駆動機構制御装置。
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