JP4200623B2 - 糸条加熱処理ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡糸巻取機で巻き上げる糸条を延伸のため加熱する糸条加熱処理ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
紡糸システムにおいては、紡糸巻取機に巻き上げる複数本の糸条を糸条加熱処理ローラ間に掛け渡し、各ローラ内のヒータにて各糸条を加熱すると共に、各ローラの周速比に応じて糸条を延伸する。各糸条加熱処理ローラは、円筒状の支持体、回転軸、ローラ本体及びヒータとで構成される。回転軸は、支持体の内側に軸受によって支持されている。ローラ本体は、支持体の外側に配置されて、回転軸の一端側に連結されている。また、ヒータは、支持体とローラ本体との間に配設されている。
【0003】
そして、糸条加熱処理ローラでの糸条の加熱が開始されると、ヒータの加熱による熱は、支持体から軸受の外輪に伝達される。また、ヒータの熱は、ローラ本体、該ローラ本体と回転軸との連結部、及び回転軸から軸受の内輪に伝達され、軸受の温度を上昇させる。この軸受の温度上昇は、軸受の潤滑剤などを劣化させ軸受の寿命を低下させると共に、糸条加熱処理ローラの耐久性も低下させることになる。この問題を解決する手段としては、軸受の外輪の外側にヒートパイプを設け、このヒートパイプにて軸受の熱を、多数のフィンを設けた放熱部材に伝達して放熱することで、各軸受の温度上昇を抑制するものなどが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の糸条加熱処理ローラの軸受冷却方式では、放熱が十分に行われず、軸受の冷却が不十分になる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、軸受の温度上昇を抑制して、耐久性を向上できる糸条加熱処理ローラを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の糸条加熱処理ローラ(請求項1)は、支持体の内側に軸受にて支持した回転軸と、支持体の外側で回転軸の一端側に連結したローラ本体と、支持体とローラ本体との間に配設したヒータとを備える。そして、糸条加熱処理ローラでは、回転軸の他端側に、回転軸と共に回転する冷却ファンを設け、冷却ファンの回転による送風で軸受の熱を放熱する冷却手段を設け、前記冷却手段は、前記軸受の熱を吸熱するヒートパイプを含み、前記ヒートパイプの他端側が、前記冷却ファンが配設された冷却空間へ突出しているものである。
糸条加熱処理ローラでは、回転軸にてローラ本体を回転し、ヒータにてローラ本体を加熱することで、糸条を加熱処理する。回転軸と共に、冷却ファンを回転することで、エア風を発生できる。
また、ヒータからの熱は支持体から軸受に伝達され、軸受の温度を上昇させることになるが、冷却ファンのエア風を冷却手段に作用し、エア風によって軸受の熱を奪うことで、軸受を十分に冷却できる。そして、冷却ファンのエア風、冷却手段を用いて軸受を冷却するとき、エア風をローラ内外で送通させることで、ローラ内で熱のこもることを防止でき、軸受を十分に冷却できる。
さらに、軸受の熱は、ヒートパイプによって、冷却ファンまで伝達される。そして、冷却ファンのエア風をヒートパイプに作用して、軸受の熱をヒートパイプからエア風によって奪うことで、軸受を冷却できる。
【0007】
本発明となる糸条加熱処理ローラ(請求項2)では、前記冷却手段は、前記支持体に設けられて前記軸受の外輪側に位置する第1ヒートパイプと、前記回転軸に設けられて前記軸受の内輪側に位置する第2ヒートパイプとを含み、前記第1ヒートパイプと前記第2ヒートパイプの他端側が、共に、前記冷却空間へ突出している。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の糸条加熱処理ローラについて、図1〜図6を参照して説明する。
なお、糸条加熱処理ローラとしては、図1の紡糸システムXに適用した例について説明する。
【0011】
図1及び図2に示す紡糸システムXは、紡出機から紡出された複数本の糸条Yを加熱延伸して、紡糸巻取機Zにて巻き上げる。各糸条Yの加熱延伸は、第1ゴテットローラGR1及び第2ゴデットローラGR2とで行われる。各ゴデットローラGR1,GR2は、糸条加熱処理ローラ1とセパレータローラSRとでローラ対を構成してなる。上記紡出機から紡出された複数本の糸条Yは、第1ゴデットローラGR1に入り、糸条加熱処理ローラ1とセパレータローラSRとの間で数回巻回される。第1ゴデットローラGR1を出た各糸条Yは、第2ゴデットローラGR2に入り、糸条加熱処理ローラ1とセパレータローラSRとの間で数回巻回された後、ローラ軸方向に展開され、紡糸巻取機Zにて各パッケージごとに巻き上げられる。このとき、第2ゴデットローラGR2の周速を、第1ゴデットローラGR2より速くすることで、各ゴデットローラGR1,GR2の間で巻回された各糸条Yを加熱延伸する。
【0012】
次に、糸条加熱処理ローラ1の具体的な構造を、図3〜図6にて説明する。
図3に示す糸条加熱処理ローラ1は、支持体2、回転軸3、ローラ本体4及びヒータ5を備え、駆動モータ9の駆動にて回転軸3を回転する。
【0013】
支持体2は、回転軸3を支持するもので、支持部材6及び支持フレーム7とでなる。支持部材6は、フランジ8を有する円筒状に形成され、回転軸3に同心として配置されている。この支持部材6は、フランジ8を支持ブラケット7にボルトにより取付けることで、該支持ブラケット7に一体化される。支持ブラケット7は、回転軸3の軸心方向で、駆動モータ9との間にエア吸引路Pを形成して配置されている。また、駆動モータ9は、支持ブラケット7上に固定されている。この支持ブラケット7の内部には、冷却空間Uが形成されている。この冷却空間Uはエア吸引路Pに開口している。これで、支持体2は、ローラ1外部からエアを冷却空間U内に導入可能としている。
【0014】
回転軸3は、支持部材6の内周穴10内に挿入され、一対の軸受11,12によって支持部材6に回転自在に支持されている。各軸受11,12は、支持部材6の軸心方向の両端側に夫々設けられている。また、回転軸3は、支持部材7内を貫通して駆動モータ9と反対側に突出されている。この回転軸3は、駆動モータ9側で縮径して冷却空間Uに突出して、カップリング13によって駆動モータ9の駆動軸9aに連結されている。これで、回転軸3は、駆動モータ9の駆動によって支持部材6に対して回転する。
【0015】
ローラ本体4は、支持部材6の円筒状部分の外側との間に間隔をもって配置されている。また、ローラ本体4は、円筒体の一端を側壁14で閉鎖するコップ状に形成されている。ローラ本体4の側壁14には、円筒体内に突出するボス部15が一体形成されている。このローラ本体4は、円筒体の開口側から支持部材6の外側に嵌挿され、ボス部15を回転軸3先端に圧入することで回転軸3の一端側に連結される。そして、ローラ本体4は、側壁14外側からナット16を回転軸3先端に螺着し、ナット16の締め付けにて回転軸3に締結される。これで、ローラ本体3は、回転軸3の先端から支持部材6のフランジ8近傍まで片持ち状に延在され、回転軸3と共に回転される。また、ローラ本体4は、ボス部15と回転軸3とで連結部37を形成する。
【0016】
ヒータ5は、支持部材6とローラ本体4との間で、ローラ本体4の内側に対峙するように、ヒータ支持部材17を介して支持部材6に取付けられている。ヒータ支持部材17は、支持部材6の円筒状部分との間に間隔を隔てて配置され、スペーサ18を介在して支持部材6のフランジ8に押し当てられている。これで、ヒータ5は、ローラ本体4の円筒体を内側から加熱する。
【0017】
また、糸条加熱処理ローラ1は、各軸受11,12の温度上昇を抑制する、冷却構造、及び伝熱抑制構造を備えている。
【0018】
糸条加熱処理ローラ1の冷却構造は、各軸受11,12を冷却するためのエア風を発生する冷却ファン21と、冷却ファン21のエア風で各軸受11,12を冷却する第1及び第2冷却手段51,52とで構成される。
【0019】
冷却ファン21は、支持ブラケット7の冷却空間U内に配置され、エア吸引路Pから支持部材6側へ送風可能として回転軸3に設けられる。この冷却ファン21は、回転軸3と共に回転され、ローラ外部のエアをエア吸引路Pから冷却空間U内に引き込んで、冷却空間U内にて気流を発生させる。
【0020】
第1冷却手段1は、第1ヒートパイプ26、及び第2ヒートパイプ27とでなる。第1及び第2ヒートパイプ26,27は、水蒸気などの熱移送媒体を充填してなり、各軸受11,12の熱を低温側へ移送するものである。
【0021】
第1ヒートパイプ26は、複数本設けられ、それぞれ支持部材6の各挿入孔6a内に挿入されている。各ヒートパイプ26は、各軸受11,12の外輪の外側近傍に配置され、冷却空間Uから回転軸3の軸心方向に延びて軸受11近傍を経て軸受12近傍まで達している。これら複数のヒートパイプ26は、支持部材6の周方向に間隔を隔てて設けられている(図4参照)。また、各ヒートパイプ26は、冷却空間U内に突出して、冷却ファン21の外側周りに配置されている。これで、第1ヒートパイプ26は、各軸受11,12の外輪の外側から各軸受11,12の熱を、冷却空間Uの冷却ファン21近傍まで伝達する。この第1ヒートパイプ26は、各軸受11,12の外輪側の冷却手段となっている。
【0022】
第2ヒートパイプ27は、複数本設けられ、それぞれ回転軸3の各挿入孔3a内に挿入され、回転軸3と共に回転する。。各ヒートパイプ27は、各軸受11,12の内輪の内側近傍に配置され、冷却空間Uから回転軸3の軸心方向に延びて軸受11近傍を経て軸受12近傍まで達している。これら複数のヒートパイプ27は、回転軸3の周方向に間隔を隔てて設けられている(図4参照)。また、各ヒートパイプ27は、冷却空間U内に突出して、冷却ファン21に対峙するように配置されている。これで、第2ヒートパイプ27は、各軸受11,12の内輪の内側から各軸受11,12の熱を、冷却空間Uまで伝達する。この第2ヒートパイプ27は、各軸受11,12の内輪側の冷却手段となっている。
【0023】
そして、第1及び第2ヒートパイプ26,27の挿入構造は、図5に示すものを採用する。図5において、各ヒートパイプ26,27は、各挿入孔3a,6aとの間に断熱効果のある空隙45を形成して、各挿入孔3a,6a内に挿入する。また、各ヒートパイプ26,27は、各挿入孔3a,6aに嵌挿されるパイプ材46によって、支持部材6、回転軸3に支持する。そして、各ヒートパイプ26,27の軸受12側の空隙45部分には、各ヒートパイプ26,27を覆って伝熱材47を装填する。この挿入構造において、各ヒートパイプ26,27は、空隙45にて支持部材6、回転軸3から断熱され、伝熱材47にて軸受12の外輪の外側、又は内輪の内側から各軸受11,12の熱を効果的に伝導して、冷却空間Uの冷却ファン21まで伝達できる。図5の挿入構造では、軸受12がヒータ5、ヒータ支持部材17の内側に設けられ、ヒータ5の熱影響を直接受けることに鑑みて、この軸受12を十分に冷却可能とするものである。なお、第2ヒートパイプ27は、回転軸3の軸心に対して偏心した位置に配置される。従って、回転軸3が回転した時、第2ヒートパイプ27の冷却空間Uに突出した部分が回転軸3の軸心を中心として旋回されるようになり、効率良く冷却されることになる。
【0024】
第2冷却手段52は、図5にも示す如く、冷却ファン21のエア風を各軸受11,12の外輪の外側に導入して、各軸受11,12を冷却するもので、エア通路28として構成される。エア通路28は、複数のエア通孔29と、第1及び第2エア路30,31とでなる。各エア通孔29は、支持部材6に形成され、第1ヒートパイプ26の外側近傍を貫通して、冷却空間Uを支持部材6とヒータ支持部材17との間に連通する。また、複数のエア通孔29は、支持部材6の周方向に間隔を隔てて設けられている(図4参照)。第1及び第2エア路30,31は、円筒状のガイド体32によって、支持部材6とヒータ支持部材17との間で二重の環状空間として、回転軸3の両軸端にわたって形成されている。この第エア路30は、各エア通孔29にて冷却空間Uに連通され、支持部材6の外側を通って延びて、軸受11の外輪の外側を経て軸受12の外輪の外側に至っている。第2エア路31は、ガイド体32の軸受12側の連絡孔32aにて第1エア路30に連通され、ヒータ支持部材17の内側を通って延びて、回転軸3の他端側である支持部材6のフランジ8まで至っている。また、第2エア路31は、支持部材6、ヒータ支持部材17とスペーサ18との間の隙間を通して、ローラ外部に連通されている。これで、エア通路28は、冷却ファン21のエア風を各エア通孔29から第1エア路30に導入し、第1エア路30によってエア風を各軸受11,12の外輪の外側まで導く。また、エア風を、第1エア路30から第2エア路31に流すことで、ローラ外部に排気する。従って、外気をローラ内に通すことができる。この第2冷却手段52は、各軸受11,12の外輪側冷却手段となっている。
【0025】
糸条加熱処理ローラ1の伝熱抑制構造は、ヒータ5、ローラ本体4の側壁14,ボス部15及び回転軸3を通して各軸受11,12の内輪に伝熱される伝熱量を抑制するもので、抑制手段35で構成される。
【0026】
抑制手段35は、図6にも示す如く、ローラ本体4と回転軸3との連結部37にて、これらの接触面積、即ち伝熱面積Sを減らすことで、ヒータ5、ローラ本体4の側壁14、ボス部15から回転軸3への伝熱量を抑制するものである。この伝熱面積Sの減少は、ローラ本体4のボス部15と、回転軸3とを非接触とする凹状の環状溝38を形成することで行う。環状溝38は、回転軸3の軸心方向に所定幅tをもって、回転軸3の一端側の外周に形成される。この第1抑制手段35では、伝熱面積Sの減少にて、ヒータ5、ローラ本体4から回転軸3への伝熱を抑制することで、各軸受11,12の内輪への伝熱量を減少させる。また、ボス部15と、回転軸3との間には、環状溝38にて空隙39が形成され、この空隙39の断熱効果によっても回転軸3への伝熱量が抑制される。なお、環状溝38の幅tは、ボス部15と回転軸3との連結態様によって適宜調整されるものである。また、環状溝3は、ボス部15の内周に形成しても良い。この抑制手段35は、各軸受11,12の内輪への伝達量を減少させることによる、各軸受11,12の内輪側を冷却する手段となっている。
【0027】
次に、糸条加熱処理ローラ1の作動を、図3,図5及び図6によって説明する。
【0028】
図3において、糸条加熱処理ローラ1は、駆動モータ9の駆動によって、回転軸3、ローラ本体4を回転し、同時にヒータ5によってローラ本体4を加熱する。これで、糸条加熱処理ローラ1は、図1で説明した如く、紡出機から紡出された複数本の糸条Yを、各セパレータローラSRとで数回巻回して、各糸条Yを加熱する。
【0029】
各糸条Yの加熱が開始されると、ヒータ5の加熱による熱は、ヒータ支持部材17、支持部材6から各軸受11,12の外輪に伝熱される。また、ヒータ5の熱は、ローラ本体4の側壁14、ボス部15、回転軸3から各軸受11,12の内輪に伝熱され、各軸受11,12の温度を上昇させる。
【0030】
しかしながら、ヒータ5からの伝熱と同時に、第1冷却手段51の各ヒートパイプ26,27は、各軸受11,12の外輪の外側、又は内輪の内側から各軸受11の熱を吸熱し、冷却空間Uまで伝熱して放熱する。また、回転軸3の回転と同時に、冷却ファン21が回転され、冷却空間U内にエア風を発生させる。これで、第1冷却手段51の各ヒートパイプ26,27は、冷却空間U内で発生するエア風によって熱が奪われ、冷却されるので、各軸受11,12をエア風にて間接的に冷却する(図3参照)。更に、第2ヒートパイプ27は、回転軸3と共に自ら旋回することにより、冷却される。
【0031】
また、冷却ファン21のエア風は、第2冷却手段52のエア通路28に導入され、第1エア路30内を流れる過程で、各軸受11,12の外輪から熱を奪うことで、各軸受11,12などを冷却する。また、各軸受11,12などから熱を奪ったエア風は、第1エア路30から第2エア路31を流れ、この第2エア路31を流れる過程で、ヒータ支持部材17を冷却することで、支持部材6、各軸受11,12への伝熱を抑制する(図5参照)。
したがって、ヒータ5にてローラ本体4を加熱しても、冷却ファン21のエア風を用いて、第1冷却手段51の各ヒートパイプ26,27、及び第2冷却手段52のエア通路28によって各軸受11,12の外輪の外側、及び内輪の内側から各軸受11,12を効果的に冷却できる。この結果、各軸受11,12の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0032】
さらに、ローラ本体4の側壁14、ボス部15、回転軸3から各軸受11,12の内輪に伝熱される伝熱量は、抑制手段35による伝熱面積Sの減少により抑制される(図6参照)。したがって、各軸受11,12の内輪側からの各軸受11,12の温度上昇を抑制できる。
【0033】
本発明の糸条加熱処理ローラ1では、第1及び第2冷却手段51,52にて各軸受11,12を冷却し、抑制手段35にて各軸受11,12の内輪へ伝熱される伝熱量を抑制することで、各軸受11,12の温度上昇を効果的に抑制でき、各軸受11,12の潤滑材などの劣化をなくして、各軸受11,12の寿命を長くすることが可能となる。この結果、糸条加熱処理ローラ1の耐久性も向上させることができる。
また、冷却ファンを回転軸3に設けることで、別途、エア供給源を冷却空間Uに接続することなく、既存の構造を活用して、各軸受11,12の冷却を行うことが可能となる。
さらに、冷却空間Uで発生したエア風は、直接、軸受11に吹き付けられ、軸受11を冷却した後、軸受11,12、回転軸3及び支持部材6などの隙間を通してローラ外部に排気される。また、上述の如く、エア風は、エア通路28を通してもローラ外部に排気される。したがって、冷却空間U内では、各ヒートパイプ26,27から奪った熱がこもることなく、ローラ外部から導入されるエアによって各ヒートパイプ26,27を効果的に冷却することが可能となる。
【0034】
なお、本発明の糸条加熱処理ローラ1としては、冷却構造、伝熱抑制構造のうちいずれかの構造だけを採用することができる。
冷却構造を採用するときは、第1及び第2冷却手段51,52のいずれかを採用することもできる。そして、第2冷却手段52のみを採用するときには、冷却ファン21を設けることなく、各軸受11,12を冷却し、各軸受11,12への伝熱を抑制できる。即ち、各ヒートパイプ27は、図4に示す如く、回転軸3の軸心aから偏心されているので、回転軸3の回転によって、冷却空間U内でエアを切るように回転される。したがって、冷却ファン21を設けることなく、回転軸3の回転にて発生するエアによって、各ヒートパイプ27を冷却できる。
【0035】
また、糸条加熱処理ローラ1の適用例としては、紡糸システムXに限定されるものでない。さらに、各ヒートパイプ26,27、各エア通孔29の数や配置態様は、図4に示すものに限定されるものでない。
【0036】
【発明の効果】
本発明の糸条加熱処理ローラ(請求項1)は、冷却ファンのエア風を冷却手段に作用し、エア風によって軸受の熱を奪うことで、軸受を冷却するので、ヒータにてローラ本体を加熱しても、軸受の温度上昇を抑制できる。したがって、軸受の潤滑材などを劣化させることなく、軸受の寿命を長くすることができ、糸条加熱処理ローラの耐久性も向上できる。
また、冷却ファンを回転軸に設けているので、別途、空気供給源を設けたり、接続したりすることを要せず、既存の構造を用いて、簡単に軸受を冷却できる。
【0037】
本発明となる糸条加熱処理ローラ(請求項)では、冷却ファンのエア風をヒートパイプに作用して、軸受の熱をヒートパイプからエア風によって奪うことで、軸受を冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紡糸システムを示す概略正面図である。
【図2】紡糸システムを示す概略側面図である。
【図3】本発明の糸条加熱処理ローラの構造を示す断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3の糸条加熱処理ローラにおける第1冷却手段、第2冷却手段を示す要部拡大図である。
【図6】図3の糸条加熱処理ローラにおける抑制手段を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 糸条加熱処理ローラ
2 回転軸支持体
3 回転軸
4 ローラ本体
5 ヒータ
21 冷却ファン
26 第1ヒートパイプ
27 第2ヒートパイプ
28 エア通路
51 第1冷却手段
52 第2冷却手段

Claims (2)

  1. 支持体の内側に軸受にて支持した回転軸と、前記支持体の外側に配置され前記回転軸の一端側に連結したローラ本体と、前記支持体と前記ローラ本体との間に配設したヒータとを備えた糸条加熱処理ローラにおいて、
    前記回転軸の他端側に、該回転軸と共に回転する冷却ファンを設け、該冷却ファンの回転による送風で前記軸受を冷却する冷却手段を設け
    前記冷却手段は、前記軸受の熱を吸熱するヒートパイプを含み、
    前記ヒートパイプの他端側が、前記冷却ファンが配設された冷却空間へ突出していることを特徴とする糸条加熱処理ローラ。
  2. 前記冷却手段は、前記支持体に設けられて前記軸受の外輪側に位置する第1ヒートパイプと、前記回転軸に設けられて前記軸受の内輪側に位置する第2ヒートパイプとを含み、
    前記第1ヒートパイプと前記第2ヒートパイプの他端側が、共に、前記冷却空間へ突出していることを特徴とする請求項1に記載の糸条加熱処理ローラ。
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