JP4199950B2 - 対象物担持体を位置決めするための保持部材およびプレパラートをレーザー切断するための装置 - Google Patents

対象物担持体を位置決めするための保持部材およびプレパラートをレーザー切断するための装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象物担持体のための保持部材であって、対象物担持体の下方中央部に繰り抜き部を備えた、対象物担持体を担持するベースプレートと、対象物担持体に対しベースプレートにほぼ平行に力を及ぼす弾性要素と、対象物担持体の縁と接触し、弾性付勢されている対象物担持体をベースプレートのほうへ押す当接面とを備えた前記保持部材に関するものである。
さらに本発明は、プレパラートレーザー切断装置にも関わる。プレパラートレーザー切断装置は、顕微鏡x−yテーブルと、この顕微鏡x−yテーブルのテーブル表面上方に配置され、x方向およびy方向に位置調整可能な、対象物担持体位置決め用の保持部材とを備えている。保持部材のベースプレートには、対象物担持体用の載置面と当接面とを有する繰り抜き部が設けられ、弾性要素を介して繰り抜き部の当接面に対して押圧せしめられる対象物担持体で支持されたプレパラートがテーブル表面に対向するように繰り抜き部内に対象物担持体が配置されている。さらに、切断されたプレパラートを捕獲するための少なくとも1つの容器を備える捕獲装置が設けられ、捕獲装置は、保持部材とテーブル表面との間に形成された自由作業空間に供給可能である。
【0002】
【従来の技術】
顕微鏡テーブル上に対象物担持体を位置決めするための保持部材としては、実際種々の実施形態のものが知られている。最も簡単な実施形態によれば、対象物担持体は、顕微鏡テーブル上に配置される2つの弾性クランプによって保持される。弾性クランプは、その弾性脚部と顕微鏡テーブルの表面との間で対象物担持体を締め付ける。この種の固定態様は顕微鏡の光軸に対し対象物担持体を正確に且つ再現可能に位置決めすることはできないという事情があるが、それ以外にもこの保持部材には、弾性クランプが顕微鏡テーブルの上面に配置されるため、顕微鏡の対物レンズと衝突することがあるという欠点がある。
【0003】
保持部材を平坦に構成するため、保持部材に顕微鏡テーブル上に固定可能なベースプレートを設けることが実際知られている。ベースプレートには、対象物担持体を受容するため、平坦な載置面と、この載置面に対しほぼ直角に延びている対象物担持体用の当接面とを有する繰り抜き部が形成されている。繰り抜き部に配置される対象物担持体は、少なくとも1つの弾性要素を介してほぼ水平方向の押圧力の作用を受け、繰り抜き部の当接面に対し押圧せしめられる。この公知の保持部材の場合、ベースプレートの載置面と当接面は、シリンダフライスを備えたフライス装置を用いて形成される。しかし、シリンダフライスの刃先形状に起因して、載置面から当接面への移行部を正確に直角に形成するのは不可能である。むしろ移行領域には常に角度を持った段部が残り、この段部の上に対象物担持体が載ることになる。繰り抜き部内部のこの位置で弾性要素の押圧力が作用すると、対象物担持体がスリップすることがあり、或いは繰り抜き部から押出されることがある。対象物担持体がスリップする危険は、破断により生じた側部エッジが対象物担持体を正確に直角に形成させないことによってもさらに増大する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の保持部材において、対象物担持体を確実に保持でき、且つ再現可能に位置決めすることができるように保持部材を構成することである。
【0005】
さらに本発明の課題は、このような保持部材を備えたプレパラートレーザー切断装置を提供することである。
【0006】
保持部材に関わる課題は、本発明によれば、繰り抜き部の縁がベースプレートに埋没状に形成されて対象物担持体のための載置面を形成していること、載置面が当接面へ一体的に且つ連続的に移行していること、載置面と当接面との間の領域がアンダーカットを形成していること、当接面が対象物担持体の上面よりも下方にして対象物担持体の水平中心面よりも上方において対象物担持体と接触していることによって解決される。
【0007】
本発明による保持部材では、当接面が上記のように構成されているので、弾性要素の水平方向の押圧力が分割されて、ほぼ繰り抜き部の載置面に指向する力成分が対象物担持体に作用することにより、面圧が増大し、よって対象物担持体は確実に且つスリップすることなく所定の位置で保持される。
【0008】
水平方向の押圧力が対象物担持体を傾倒運動させて、これをベースプレートの繰り抜き部から押出さないようにするため、繰り抜き部の前記少なくとも1つの当接面は、載置面から離間して対象物担持体の水平中心の上方に設けられた領域においてのみ対象物担持体の当接側と接触するように形成されている。
【0009】
本発明によれば、載置面から当接面への移行領域にして当接面内に、対象物担持体との接触領域をフリーカットする(freischneiden)アンダーカットが形成されている。繰り抜き部の少なくとも1つの当接面を本発明に従って構成する上でこのアンダーカットの形成は非常に簡単に形成可能で、低コストの方法である。
【0010】
プレパラートレーザー切断装置に関わる課題を解決するため、該プレパラートレーザー切断装置は、顕微鏡テーブルと、この顕微鏡テーブルのテーブル表面上方に配置されている対象物担持体用の前記保持部材とを備え、観察されるプレパラートから切断されたプレパラート片を、繰り抜き部を通じて、捕獲装置の少なくとも1つの容器であって顕微鏡テーブルにより担持されている前記少なくとも1つの容器内へ持ち来たし可能である
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2は、対象物担持体(たとえばスライドガラス)2を位置決めするための保持部材1の斜視図である。なお対象物担持体2は図2にのみ図示した。保持部材1はベースプレート3を有し、ベースプレート3には、図2からわかるように、対象物担持体2を受容するための繰り抜き部3aが成形されている。ベースプレート3の繰り抜き部3aは次のように成形されており、すなわち図3と図4からわかるように、平坦な載置面3bと、この載置面3bに対しほぼ直角に延びている少なくとも1つの当接面3cとを有するように成形されている。当接面3cは、繰り抜き部3aに取り付けられる対象物担持体2を接触させるためのものである。
【0013】
対象物担持体2をベースプレート3の繰り抜き部3aに確実に且つ位置正確に固定するため、保持部材1はさらに弾性要素4を有している。この弾性要素4を介して、図3と図4に図示したように、ほぼ水平方向に作用する押圧力Fが対象物担持体2に対し作用を及ぼす。この押圧力Fにより、対象物担持体2は繰り抜き部3aの少なくとも1つの当接面3cに対して押圧せしめられる。
【0014】
図3は、対象物担持体2を位置決めするための保持部材1の従来の構成を示す部分図である。保持部材1のベースプレート3には繰り抜き部3aが次のように成形されており、すなわち繰り抜き部3aが載置面3bと、繰り抜き部3aに取り付けられる対象物担持体2を接触させるための当接面3cとを形成するように成形されている。繰り抜き部3aはシリンダフライスにより成形されているので、載置面3bから当接面3cへの移行領域に傾斜部3dが形成され、この傾斜部3dに、図3からわかるように、繰り抜き部3aに取り付けられた対象物担持体2が当接する。
【0015】
いま、図3には図示していないが(その他の図面を参照)、弾性要素4を介して水平方向の押圧力Fが当接面3cの方向において対象物担持体2に作用すると、この押圧力Fのために、対象物担持体2は傾斜部3dに沿って変位し、或いは繰り抜き部3aから押出される。したがってこの保持部材1では、対象物担持体2の確実で再現可能な位置決めは保証されていない。
【0016】
これに対して、図4に図示した保持部材1では、弾性要素4の水平方向の押圧力Fは、繰り抜き部3aの当接面3cが図示のごとく構成されているため、複数の力成分FとFに分解される。この場合、特に、載置面3bのほうへ指向している下向きの力成分Fが重要である。というのは、この下向きの力成分Fにより、対象物担持体2は大きな面圧で位置正確に繰り抜き部3aのなかへ押し込まれるからである。
【0017】
図4に図示した繰り抜き部3aの当接面3cの実施形態では、載置面3bから当接面3cへの移行領域にアンダーカット5が形成されている。アンダーカット5は、対象物担持体2と当接面3cとの間に幅狭の接触領域だけが生じるように構成されている。この接触領域が載置面3bのほうへ指向している力成分Fを常に対象物担持体2に対して生じさせるようにするためには、この接触領域は対象物担持体2の水平中心の上方において対象物担持体2に係合する必要がある。
【0018】
図5と図6は、プレパラートをレーザー切断するための装置6を示している。このレーザー切断装置6は、従来の顕微鏡(図示せず)に取り付けることのできる顕微鏡x−yテーブル7を有している。顕微鏡x−yテーブル7は手動または電動で、十字二重矢印8で示した方向x,yに走行することができる。特に透過型顕微鏡として作動する顕微鏡は、図5と図6に一点鎖線で示した光軸9を定義する。
【0019】
特に図6からわかるように、顕微鏡x−yテーブル7は定置のベースプレート10を有し、図示した実施形態の場合、このベースプレート10の上にy方向に走行可能なプレート11が配置されている。走行可能なプレート11上には、x方向に走行可能なリニアガイド12が配置されている。リニアガイド12上にはスペーサー13が固定され、スペーサー13は、図1および図2の保持部材1を受容し且つ対象物担持体2を位置決めするための担持台14を担持している。保持部材1はスペーサー13により顕微鏡x−yテーブル7のテーブル表面7aから離間して、保持部材1とテーブル表面7aとの間に自由な作業空間15が形成されている。
【0020】
透過型顕微鏡を使用するため、顕微鏡x−yテーブル7には繰り抜き部16が形成され、繰り抜き部16は、光軸9がこの繰り抜き部16を通過するように顕微鏡に対し配置されている。同様に、保持部材1のベースプレート3に設けた繰り抜き部3aと、保持部材の受容に用いる担持台14の自由空間も、光軸9上にあるように互いに対して且つ顕微鏡に対し指向している。
【0021】
プレパラートをレーザー切断するための装置6を使用するため、対象物担持体2下方の自由作業空間15に、少なくとも1つの容器を有する捕獲装置(図示せず)を供給可能である。この捕獲装置は、対象物担持体2の上に配置されているプレパラートからレーザー光線により切り出されたプレパラート一部分を捕獲するために用いる。このためには、対象物担持体2上に配置されるプレパラートが対象物担持体2のテーブル表面7a側に配置されていることが必要である。
【0022】
図5によれば、保持部材1とテーブル表面7aの間には、補助的にいわゆる汚染防護板17が配置されている。汚染防護板17は、切り出されたプレパラート一部分を捕獲するために用いる容器内に不純物が侵入するのを防止するためのものである。このため汚染防護板17は、いままさにプレパラート一部分の捕獲に必要としない容器をすべて覆う。
【0023】
本発明に従って構成された対象物担持体2位置決め用の保持部材1を使用することにより、対象物担持体2を不動に位置正確且つ再現可能に光軸9上に位置するように顕微鏡x−yテーブル7上に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による保持部材のベースプレートの斜視図である。
【図2】ベースプレートの繰り抜き部に対象物担持体を取り付けた図1の保持部材の斜視図である。
【図3】従来の保持部材の部分断面側面図である。
【図4】本発明による保持部材の部分断面側面図である。
【図5】本発明によるプレパラートレーザー切断装置を正面から見た斜視図である。
【図6】図5のプレパラートレーザー切断装置を側方から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 保持部材
2 対象物担持体
3 ベースプレート
3a 繰り抜き部
3b 載置面
3c 当接面
4 弾性要素
5 アンダーカット
7 顕微鏡x−yテーブル
7a テーブル表面
15 自由作業空間

Claims (4)

  1. 対象物担持体のための保持部材であって、
    対象物担持体(2)の下方中央部に繰り抜き部(3a)を備えた、対象物担持体(2)を担持するベースプレート(3)と、
    対象物担持体(2)に対しベースプレート(3)にほぼ平行に力(F)を及ぼす弾性要素(4)と、
    対象物担持体(2)の縁と接触し、弾性付勢されている対象物担持体(2)をベースプレート(3)のほうへ押す当接面(3c)と、
    を備えた前記保持部材において、
    繰り抜き部(3a)の縁がベースプレート(3)に埋没状に形成されて対象物担持体(2)のための載置面(3b)を形成していること、
    載置面(3b)が当接面(3c)へ一体的に且つ連続的に移行していること、
    載置面(3b)と当接面(3c)との間の領域がアンダーカット(5)を形成していること、
    当接面(3c)が対象物担持体(2)の上面よりも下方にして対象物担持体(2)の水平中心面よりも上方において対象物担持体(2)と接触していること、
    を特徴とする保持部材。
  2. 顕微鏡テーブル(7)と、この顕微鏡テーブル(7)のテーブル表面(7a)上方に配置されている、請求項1に記載の、対象物担持体(2)用の保持部材(1)とを備え、観察されるプレパラートから切断されたプレパラート片を、繰り抜き部(3a)を通じて、捕獲装置の少なくとも1つの容器であって顕微鏡テーブル(7)により担持されている前記少なくとも1つの容器内へ持ち来たし可能である、プレパラートをレーザー切断するための装置。
  3. プレパラート片をレーザー光線により切り出し可能であることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
  4. 複数個の容器が設けられ、保持部(1)とテーブル表面(7a)との間に汚染防護板(17)を挿入可能であり、汚染防護板(17)は不必要な容器をすべて覆い、切り出したプレパラート片を持ち来たすべき容器のみを開放することを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
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