JP4199577B2 - 湿気硬化性組成物を収容した容器の密封構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、容器に収容した湿気硬化型組成物の表面に湿気遮断シートを載置する密封構造に関するもので、この種の組成物を収容する大型缶等の包装容器に使用される。
【0002】
【従来技術とその問題点】
シリコーン系、変成シリコーン系、ウレタン系又はシリルウレタン系の組成物等からなる湿気硬化型の接着剤やシーリング材が盛用されている。これらの組成物は、空気中の湿気と接触することによって容易に硬化してしまうため、保存するための包装形態や密封構造が極めて重要なものとなる。
これらの組成物を密封する構造としては、特開平9-150866号公報に開示されたものがすでに知られている。
この密封構造は、容器の胴部周面に内側に連続した張り出し部を設けてその上面をシール面となし、湿気硬化型樹脂組成物を張り出し部の下側まで収容してその表面を湿気遮断フィルムでおおい、フィルムの周縁をシール面上で封止させる構成のものであり、さらに、容器の開口部を蓋で密封するようにしている。
【0003】
しかしながら、この密封構造のものでは、組成物が張り出し部の下側に位置しているため、表面をおおうフィルムを張り出し部に完全に沿わせてシールを施すことは不可能であり、フィルムの裏側に空気を残留させてしまうことになる。収容されている組成物は、この残留空気に接触した部分から硬化し、フィルムの裏側で容器の内壁面、とりわけ張り出し部の周辺に固着してしまうことになる。この固着した組成物を無理にとり除こうとすると、硬化物の破片や粒体が落下して組成物に混ざってしまい、シーリング材や接着剤としての機能を低下させるおそれがある。
また、容器の構造上、前記張り出し部は、容器の成形工程を複雑にするばかりでなく、組成物の取り出しや混合や攪拌を行う際に邪魔になる不都合がある。
【0004】
【技術的課題】
本発明は、容器に収容した湿気硬化型組成物の表面に湿気遮断シートを載置する密封構造において、シートの周縁部で組成物を硬化させて湿気遮断層を形成させると共に硬化した組成物を容易に除去できるようにすることを課題としたものである。
【0005】
【技術的手段】
この技術的課題を解決するための技術的手段は、(イ)容器の少なくとも上部内周面上に剥離材層を形成し、(ロ)その外形を容器の横断面形状よりわずかに小さく形成した湿気遮断シートを湿気硬化型組成物の表面に載置し、(ハ)シートの周縁部と剥離材層の間に臨ませた部分の組成物を硬化させたこと、である。
【0006】
容器に収容した湿気硬化型組成物の表面に載置される湿気遮断シートは、その外形が容器の横断面形状よりわずかに小さく形成されているから、湿気硬化型組成物の一部は、シートの周縁部と容器との間に臨ませられることになる。この部分の組成物は容器上部側の空気と直接接触するから、その状態で表面部を硬化させることになる。
容器の内周面上には剥離材層が形成されているから、硬化した組成物はシートと剥離材層とに固着することになる。容器側に固着した硬化組成物は、組成物を引っ張ると剥離材層との固着面を界面として容易に剥離させられる。
したがって、組成物を取り出す際にシートを持ち上げようとすると、その周縁の側壁外側に硬化して固着している組成物は、剥離材層の表面から容易に剥離してシートと共に取り除くことができる。
【0007】
剥離材層を形成する剥離材としては、カルナウバワックス、みつろう,パラフィンワックス等の天然系のワックスの他、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂組成物、ステアリン酸アミド、シリコーン系又はフッ素系の樹脂組成物を好適に使用することができる。
これらの剥離材は、容器の内壁面に塗布するなどして容易に剥離材層を形成することができる。剥離材層は、容器の上部の内周面に形成する他、全面に形成するようにしても良い。
なお、剥離材は、運搬等において外気に曝されることを勘案し、熱気で溶け出さないようにしておく必要がある。夏場の運搬等に対応するためには、剥離材が60℃以下では流動性を持たないものを使用することが望ましい。
【0008】
収容されている湿気硬化型組成物の表面に載置される湿気遮断シートとしては、アルミニウム箔と合成樹脂フィルムとを積層させたものや、アルミニウム箔と合成樹脂板とを積層させたもの、さらには複数の合成樹脂フィルムを積層させた公知のラミネートフィルムを使用することができる。前二者の積層体は、湿気遮断効果が大きいアルミニウム箔の脆さを合成樹脂フィルムや合成樹脂板がこれを補強することになるから、確実な湿気遮断効果を期待することができる。
【0009】
湿気硬化型組成物は、湿気遮断シートの周縁を覆った状態で硬化させる構成を採用することができる。湿気遮断シートを湿気硬化型組成物の表面に載置した後その周縁を押圧していくと、周縁の位置が低くなって組成物がその上に乗り上げ、周縁を覆う状態となる。組成物の露出している部分は外気と直接接触して硬化することになる。
また、周縁に沿って上向きの側壁を備えた湿気遮断シートでは、その周縁を押圧すると湿気硬化型組成物がこの側壁と剥離材層との間に臨み、その部分が直接外気と接触して硬化することになる。
【0010】
シートを湿気硬化型組成物の表面に載置する場合には、端から徐々に密着させていき、シートと組成物表面との間に空気が滞留しないようにしておかなければならない。
なお、湿気遮断シートに摘み部を取り付けておくと、シートの除去作業を容易に行うことができる。この摘み部はシートの中心部に取り付けるより周縁側にとりつけておくと、シートを端から円滑に捲れるため、固着物を円滑に取り除くことができる。
【0011】
湿気硬化型組成物を収容する容器は、金属製のものを使用することが望ましいが、湿気を遮断できる限り、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂製のものを使用することができる。
【0012】
【本発明の効果】
シートの周縁部で硬化した組成物を完全に除去できる結果、組成物に着色料やその他の素材を混合させても、組成物の硬化物の破片等が混入するおそれがないため、この組成物を品質を低下させずに使用することができる。
また、容器の内周面上に剥離材層がある限り、容器内の組成物が使用されて液面が低くなっても、本発明に係る湿気遮断シートを使用することによって、再び密封させることができる利点がある。
【0013】
【実施の形態】
次に、図面を参酌しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、金属製の容器1内に湿気硬化型組成物としての変成シリコーン系のシーリング材2を収容した状態の要部を断面で示したものである。この金属容器1の上部内周面上には低分子ポリエチレン樹脂が塗布してあって、剥離材層3を形成している。
湿気遮断シート4はアルミニウム箔の表面にポリエステルフィルムを積層させた構成のものであって、容器1内に収容したシーリング材2の上面にアルミニウム箔を下面にして載置させている。シート4は、その周縁を押圧してシーリング材2の一部がその周縁の上に乗り上げさせた状態にしてあり、露出したシーリング材2は、その状態で剥離材層3との間で硬化部5を形成している。
なお、容器1の開口部には、パッキンを介して蓋体を取り付けているが、いずれもその図示を省略している。
【0014】
図2は、周縁に沿って上向きの側壁16を備えた湿気遮断シート14を使用した密封構造を採用した金属製の容器1の断面を示したものである。
この実施形態では、シーリング材2の上面に載置したシート14全体を押圧し、シーリング材2を側壁16と剥離材13との間に臨ませ、その部分で硬化部5を形成している。 この実施形態では、剥離材13は、容器1の内周面全体に形成しているため、シーリング材2を使用してその上面の位置が低くなった場合でも、シート14を用いて同様の密封状態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容器の中央断面図
【図2】他の実施形態における容器の中央断面図
【符号の説明】
1金属製容器、 2シーリング材、 3、13剥離層、 4、14湿気遮断シート、
5、15シーリング材の硬化部

Claims (6)

  1. 容器に収容した湿気硬化型組成物の表面に湿気遮断シートを載置する密封構造において、容器の少なくとも上部内周面上に剥離材層を形成し、その外形を容器の横断面形状よりわずかに小さく形成した湿気遮断シートを湿気硬化型組成物の表面に載置し、シートの周縁部と剥離材層との間に臨ませた部分の組成物を硬化させた密封構造。
  2. 剥離材層を天然系ワックス、ステアリン酸アミド又は、ポリオレフィン系、フッ素系もしくはシリコーン系の樹脂組成物で形成した請求項1に記載の密封構造。
  3. 湿気遮断シートがアルミニウム箔層を有するフィルム又は板である請求項1又は2に記載の密封構造。
  4. 湿気硬化型組成物が湿気遮断シートの周縁を覆う状態で硬化している請求項1、2又は3に記載の密封構造。
  5. 湿気遮断シートがその周縁に沿って上向きの側壁を備え、湿気硬化型組成物がこの側壁と剥離材層との間に臨んで硬化している請求項1、2、3又は4に記載の密封構造。
  6. 湿気遮断シートに摘み部を取り付けた請求項1乃至5のいずれかに記載の密封構造。
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