JP4199356B2 - 空気弁の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気弁の取付構造に関し、詳しくは、弁箱内での流体の凍結を防止する構造を備えた不凍式空気弁を管路に取付けるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、上水道等の管路には、該管路内を流れる流体中に混入している空気等を排出したり、管路内の流体を排出する際に管路内に空気を吸入したりするための空気弁が設けられている。この空気弁は、一般に、弁箱下部に形成されるフロート室内にフロートを上下動可能に収容し、該フロートの上下動により弁箱上部に設けた弁体を作動させ、これにより空気の排出や吸入を行うように形成されている。
【0003】
また、寒冷地で用いられる空気弁は、該空気弁内の流体が凍結して空気弁を破損したりすることを防止するため、管路内を流れる流体が弁箱部分に常時接触して流れるように形成し、流体の熱エネルギーによって弁箱内での凍結を防止するようにしてる。このような凍結防止構造を有する空気弁(不凍式空気弁)は、通常、管路に設けた立上がり管内に、空気弁下部から突出させた弁箱を挿入するようにして管路に取付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の不凍式空気弁の取付構造では、管路に設けられる立上がり管の高さが低いと、空気弁の弁箱下端部が管路内に突出してしまうことがあった。この場合、空気弁本来の機能や凍結防止機能が損なわれることはないが、流体の流れ抵抗が増大するだけでなく、管路内の清掃や点検を行う際の障害となる。
【0005】
そこで本発明は、管路に設けられている立上がり管の高さが低い場合でも、弁箱を管路内に突出させずに空気弁、特に不凍式空気弁を取付けることができる空気弁の取付構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の空気弁の取付構造は、弁箱下部のフロート室内に上下動可能に収容したフロートの上下動により、弁箱上部に設けた弁体部を開閉作動させて管路内を流れる流体中の空気を排出する空気弁を、前記管路に設けた立上がり管の上部開口に取付けるための構造であって、前記弁箱の上部外周と、前記立上がり管の上部開口外周とに、接続用フランジを対向させてそれぞれ設けるとともに、該接続用フランジ間に、空気弁取付け時における前記弁箱の下端部が前記管路内に突出しないようにするための接続用短管を装着したことを特徴としている。
【0007】
特に、本発明の空気弁の取付構造は、前記接続用短管が、空気弁弁箱の接続用フランジの下面に当接する上部当接部と、立上がり管の接続用フランジの上面に当接する下部当接部と、上部当接部と下部当接部との間隔を軸方向に調節可能な伸縮管部とを備えるとともに、前記上部当接部と下部当接部との間隔を所定寸法で固定するための間隔保持部材を備えていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の空気弁の取付構造の第1形態例を示す断面図である。まず、空気弁1は、内部にフロート室2を有する弁箱3と、該弁箱3の上部に設けられた弁体部4と、該弁体部4を覆うキャップ5と、前記フロート室2内に上下動可能に収容されたフロート6及び遊動弁体7とにより形成されており、弁箱3の胴部外周には、該空気弁1を管路に取付けるための接続用フランジ8が設けられている。
【0009】
一方、水道管等の管路11には、空気弁取付部に対応してT字管が用いられており、その分岐管部が立上がり管12として鉛直方向に設置されている。この立上がり管12の上端部外周には、配管接続用としての接続用フランジ13が設けられており、空気弁1の前記接続用フランジ8は、この接続用フランジ13に接続可能な形状に形成されている。
【0010】
すなわち、通常の場合(立上がり管12の高さが十分にある場合)は、立上がり管12の接続用フランジ13に空気弁1の接続用フランジ8を直接接続してボルト結合することにより、空気弁1を管路11に取付けることができる。
【0011】
空気弁1からの管路内の空気の排出、例えば少量の空気の排出は、弁箱底部の通孔3a、フロート室底部の通孔2a,上部の通孔2bを介して行われ、フロート室内に流入した空気によってフロート6が下降し、遊動弁体7の通孔7aが開放されることにより行われる。この状態で、弁箱3の外周と立上がり管12の内周との間は空気で満たされた状態になり、また、弁箱3の底部は管路内を流れる流体に常時接触しているため、空気弁1の凍結が防止される。なお、大量の空気の排出や吸入は、フロート6が遊動弁体7と共に下降して弁体部4を全開することによって行われる。
【0012】
そして、図1に示すように、立上がり管12の高さ(接続用フランジ13の上面から管路内面までの寸法)Hが、弁箱3の長さ(接続用フランジ8の下面から弁箱下端までの寸法)Lよりも小さい場合は、両接続用フランジ8,13間に適当な長さの接続用短管21を装着し、立上がり管12の接続用フランジ13との間に、接続用短管21を介在させた状態で空気弁1を取付ける。このとき、適当な長さの接続用短管21を選択することにより、弁箱3の下端が管路11内に突出することなく、かつ、流体の熱エネルギーが弁箱3に十分に伝達される位置に空気弁1を取付けることができる。
【0013】
前記接続用短管21の形状は任意であるが、立上がり管12の内径に等しい内径を有する管体部22と、該管体部22の両端開口部外周に設けたフランジ当接部23,24とで形成することができる。フランジ当接部23,24は、立上がり管12に対して空気弁1を安定した状態で取付けることができれば適宜な形状で形成することができる。また、両フランジ当接部23,24を前記接続用フランジ8,13と同形状に形成してもよいが、図1に示すように、一方のフランジ当接部23を接続用フランジ8,13と略同形状とし、他方のフランジ当接部24をボルト挿通部分より小径に形成することにより、製作性の向上や空気弁取付け時の作業性を向上させながら、十分な安定性を得ることができる。
【0014】
図2及び図3は、本発明の第2形態例を示すもので、図2は要部の断面図、図3は間隔保持部材の分解斜視図である。本形態例は、立上がり管12と空気弁1との間に装着する接続用短管31を、空気弁1の接続用フランジ8の下面に当接する上部当接部32と、立上がり管12の接続用フランジ13の上面に当接する下部当接部33と、上部当接部32と下部当接部33との間隔を軸方向に調節可能な伸縮管部34とで形成するとともに、上部当接部32と下部当接部33との間隔を所定寸法で固定するための間隔保持部材35を用意したものである。
【0015】
伸縮管部34は、下部当接部33と一体で内径が立上がり管12と略同一の内管34aと、上部当接部32と一体で内径が内管34aの外径と略等しい外管34bとからなるものであって、内管34aは、液密パッキン36を介して軸方向に摺動可能な状態で外管34b内に挿入されている。
【0016】
また、間隔保持部材35は、図3に示すように、ボルト挿通孔35aを有する一対の櫛歯状ブロック37,37からなるものであって、両櫛歯状ブロック37,37の櫛歯状の凹部37aと凸部37bとを組合わせることにより、間隔保持部材35の高さ寸法を複数段階に設定することができる。
【0017】
したがって、空気弁1を取付ける立上がり管12の高さ寸法(H)と弁箱3の寸法(L)とに応じて間隔保持部材35の高さ寸法を調節することにより、前記接続用フランジ8,13間の寸法を調節でき、弁箱3の下端部を、管路11内に突出しない範囲で管路内に近い位置に設置することができる。これにより、流体の流れ抵抗を増大させずに、また、管路11内の清掃や点検の障害とならずに、凍結防止効果の高い位置に空気弁1を取付けることができる。
【0018】
また、図4に示すように、間隔保持部材の櫛歯状ブロック37に、前記ボルト挿通孔35aに代えてボルトを挿通するための溝部35bを設けてもよい。さらに、このようなボルト挿通孔や溝部を有する板状部材をボルトの軸方向に積層して間隔保持を行うようにしてもよい。また、図5の断面図に示すように、接続用短管31における上部当接部32と下部当接部33とを伸縮可能に接続する伸縮管部は、蛇腹管38のような伸縮可能な管体で形成することもできる。さらに、上部当接部32と下部当接部33との間隔保持は、いわゆるダブルナット方式でも行うことが可能である。
【0019】
なお、本発明の対象となる空気弁の構造は任意であり、図1に示す構造のものに限らず、各種構造の空気弁、特に不凍式空気弁に適用することができるので、空気弁の詳細な構造の説明や、管路内の空気の排出あるいは管路内への空気の吸入の際の作動についての説明は省略する。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気弁の取付構造によれば、空気弁、特に不凍式空気弁を、流体の流れ抵抗を増大させずに、また、管路内の清掃や点検の障害とならずに、凍結防止効果の高い位置に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空気弁の取付構造の第1形態例を示す断面図である。
【図2】 同じく第2形態例を示す要部の断面図である。
【図3】 間隔保持部材の一形状例を示す分解斜視図である。
【図4】 間隔保持部材の他の形状例を示す分解斜視図である。
【図5】 伸縮管部の他の形状例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…空気弁、2…フロート室、3…弁箱、4…弁体部、5…キャップ、6…フロート、7…遊動弁体、8…接続用フランジ、11…管路、12…立上がり管、13…接続用フランジ、21…接続用短管、22…管体部、23,24…フランジ当接部、31…接続用短管、32…上部当接部、33…下部当接部、34…伸縮管部、35…間隔保持部材、36…液密パッキン、37…櫛歯状ブロック、38…蛇腹管

Claims (2)

  1. 弁箱下部のフロート室内に上下動可能に収容したフロートの上下動により、弁箱上部に設けた弁体部を開閉作動させて管路内を流れる流体中の空気を排出する空気弁を、前記管路に設けた立上がり管の上部開口に取付けるための構造であって、前記弁箱の上部外周と、前記立上がり管の上部開口外周とに、接続用フランジを対向させてそれぞれ設けるとともに、該接続用フランジ間に、空気弁取付け時における前記弁箱の下端部が前記管路内に突出しないようにするための接続用短管を装着したことを特徴とする空気弁の取付構造。
  2. 前記接続用短管は、空気弁弁箱の接続用フランジの下面に当接する上部当接部と、立上がり管の接続用フランジの上面に当接する下部当接部と、上部当接部と下部当接部との間隔を軸方向に調節可能な伸縮管部とを備えるとともに、前記上部当接部と下部当接部との間隔を所定寸法で固定するための間隔保持部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の空気弁の取付構造。
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