JP4199151B2 - プリント配線板用接着剤および接着剤層 - Google Patents
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Description
この方法によれば、レジスト形成後に無電解めっきを施して導体を形成するため、エッチングによりパターン形成を行うエッチドフォイル方法(サブトラクティブ法)よりも、高密度でパターン精度の高い配線を低コストで作製し得る特徴がある。
例えば、ポリカーボネートを用いたカメラのハウジングや固定リング、あるいはポリアセタール製のベアリングが挙げられる。さらには、超高分子量ポリエチレン製のギアなども開発されている。
例えば、特公昭58−44709 号公報には、絶縁基板の表面に、アクリロニトリルブタジエンゴムとエポキシ樹脂からなる無電解めっき用接着剤を塗布し、次いで接着剤層表面のエポキシ樹脂部分を溶解除去して表面粗化した後、無電解めっきを施して金属膜被覆体を得る方法が開示されている。
また、特開昭61−276875号公報には、基板上に、耐熱性樹脂マトリックス中に耐熱性樹脂微粉末を分散してなる無電解めっき用接着剤を塗布し、次いで耐熱性樹脂微粉末を酸化剤で処理して表面を粗化した後、無電解めっきする方法が開示されている。
この発明の他の目的は、被覆金属との密着性に優れる接着剤層を提供することにある。
(1) この発明の接着剤の構成は、基体上に、粗化面を有する接着剤層が形成され、その接着剤層の粗化面上に導体回路を設けてなるプリント配線板用接着剤において、
前記接着剤は、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と、該熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂に対して15〜50wt%の配合比で混合された熱可塑性樹脂との樹脂混合物からなる未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、硬化前は該耐熱性樹脂マトリックスとは相溶せず、かつ硬化後には酸または酸化剤により溶解除去可能となるエポキシ基末端シリコーン樹脂が分散されてなり、
前記樹脂混合物が硬化処理により樹脂複合体を形成するとともに、前記溶解除去可能なエポキシ基末端シリコーン樹脂がその硬化された樹脂複合体からなる耐熱性樹脂マトリクスの海の中に島状に分散するように、その相溶性が調整されてなることを特徴とする。
なお、前記耐熱性樹脂マトリックスは、未硬化の熱硬化性樹脂および/または未硬化の感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物からなり、その樹脂混合物は、硬化処理により擬似均一相溶構造、共連続構造あるいは球状ドメイン構造のいずれか1つの樹脂構造を有する樹脂複合体を形成するように、その相溶性が調整されてなることを特徴とする。
上記樹脂混合物は、溶媒中に溶解して相溶状態もしくは非相溶状態になることが好ましい。
上記樹脂混合物が相溶状態にある時は、これを硬化する際に、相分離速度と硬化速度を調整することにより、後述する疑似均一相溶構造、共連続構造、球状ドメイン構造を得ることができる。
一方、この樹脂混合物が非相溶状態にある時は、これをそのまま硬化させることにより、球状ドメイン構造を得ることができる。
また、この発明において、「熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物」とは、
(i).硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物、(ii).感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物、あるいは(iii).熱硬化性樹脂と感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂混合物、を意味する。
ここで、上記の溶解除去可能なエポキシ基末端シリコーン樹脂は、硬化前は未硬化の耐熱性樹脂マトリックスとは相溶せず、硬化後には該樹脂マトリックスと不均一な状態で「海−島構造」を形成するような樹脂であり、硬化前は未硬化の耐熱性樹脂マトリックスと相溶し、硬化の過程で該樹脂マトリックスと相分離して、硬化後には該樹脂マトリックスと不均一な状態で「海−島構造」を形成する樹脂を用いることもできる。
硬化の過程で相分離するとは、(i).マトリックス樹脂の硬化により、相分離を生じるもの、(ii).マトリックスと溶解除去する樹脂双方の硬化により相分離を生じるもの、(iii).硬化の際に加える熱(温度)により相分離し、硬化により相が固定されるもの、とがある。
なお、この発明において、「海−島構造」とは、耐熱性樹脂マトリックスを海とし、この海の中に、溶解除去可能な樹脂の濃度が高い部分が島状に存在している濃度の不均一な状態を意味し、海と島の境界が不明瞭なものである。この島は、海の中で独立していてもよく、島同士が連続していてもよい。
このようなプリント配線板は、例えば、基板上に、溶解除去可能なエポキシ基末端シリコーン樹脂を、硬化処理が施された耐熱性樹脂マトリックスの海の中に島状に分散してなる接着剤層が設けられており、この接着剤層の導体形成面にはエポキシ基末端シリコーン樹脂を、酸または酸化剤により溶解除去することにより形成される粗化面が形成されており、さらにその粗化面上には導体回路が設けられているプリント配線板であって、前記耐熱性樹脂マトリックスが、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と、該熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂に対して15〜50wt%の配合比で混合された熱可塑性樹脂との樹脂複合体で構成され、この樹脂複合体は、疑似均一相溶構造、共連続構造もしくは球状ドメイン構造のいずれかの樹脂構造を有して形成されている。
これにより、より高密度でパターン精度の高い配線においてもピール強度に優れるプリント配線板を安定して提供することが可能となる。
特に、この発明の接着剤は、上記樹脂混合物が、相溶状態で均質に混合されていることが望ましい。
これにより、耐熱性、電気絶縁性および化学的安定性を低下させることなく、上記接着剤の樹脂マトリックスを強靱化することができる。
上記溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ノルマルメチルピロリンドン(NMP)、塩化メチレン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)等がある。
この理由は、熱可塑性樹脂の含有量が15wt%未満では、接着剤層の靱性を向上させることができず、一方、50wt%を超えると、塗布することが困難で、平滑で均一な接着剤層を形成することが困難になるためである。
また、上記耐熱性樹脂マトリックスは靱性に優れるため、接着剤層自体が変形を受けても破壊されにくく、基体が変形や応力を受ける場合でも使用できる。
(a).疑似均一相溶構造とは、いわゆるLCST型(Low Critical Solution Temperature)の相図を示す熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と、熱可塑性樹脂との樹脂複合体において、構成樹脂粒子の粒子径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度ピーク値が1つである状態を意味する。この状態は、樹脂の理想的な混合状態に近いものであり、発明者が、独自に考え出した新しい概念である。ここに、この発明における動的粘弾性測定の条件は、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/分である。
すなわち、この疑似均一相溶構造は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂あるいはアクリル樹脂などの感光性樹脂特有の物性を維持しつつ、ポリエーテルスルホン(PES)などの熱可塑性樹脂特有の物性を越えた導入効果を示す、より均質な構造であり、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と、熱可塑性樹脂との相互作用が極めて強いものである。
かかる樹脂複合体の構造は、それの破面を、熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒を用いてエッチングしても、その表面状態はエッチング前とほとんど変化が無く均質であることから判る。
このような疑似均一相溶構造を形成する樹脂複合体は、それの破壊強度と引張り強度はいずれも、それぞれの構成樹脂単独の場合よりも高い値を示す。
(i)熱硬化性樹脂の硬化温度が高いほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要な硬化温度の下限値を超えて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(ii)ゲル化時間が短い硬化剤ほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要なゲル化時間の上限値を超えないような硬化剤を用いて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(iii)感光性を付与するほど硬化速度は速くなる。
従って、他の因子条件が擬似均一相溶構造を形成する組み合わせにおいては、樹脂に感光性を付与することによって、得られる樹脂複合体はより均質な擬似均一相溶構造となる。
なお、感光性を付与する方法としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂に感光性基を導入する方法、感光性モノマーを配合する方法があり、必要に応じて光開始剤,光増感剤を配合してもよい。
また、アクリル系樹脂などの感光性樹脂を熱硬化性樹脂の代わりに使用することができる。この場合は、感光性樹脂の、例えば開始剤や増感剤、感光性モノマー、露光条件などの光硬化因子によって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させる必要がある。
ただし、熱硬化性樹脂に感光性を付与する場合や、現像の解像度を向上させるために、感光性モノマーを付与する場合には、未硬化の熱硬化性樹脂および/または未硬化の感光性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、比較的低温でも相分離を起こしてしまう(図10〜12を参照)。そのため、熱硬化性樹脂に感光性を付与する場合や感光性モノマーを付与する場合には、接着剤を低温(30〜60℃)で、必要に応じて真空乾燥させ、これを一度露光硬化させ、次いで熱硬化(80〜200℃)を行うことにより、疑似均一相溶構造を得ることができる。
(i)未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の1分子中の官能基数が多いほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。
従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な1分子中の官能基数の下限値を超える1分子中の官能基数を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(ii)未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の分子量が大きいほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。
従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な分子量の下限値を超える分子量を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
また、このエポキシ樹脂の分子量は、200〜10000が望ましい。この理由は、エポキシ樹脂の分子量が200未満では、充分な反応率が得られず、また硬化させたとしても硬化物が硬くて脆くなりすぎてしまい、一方、10000を超えると熱可塑性樹脂との相溶性が低下してしまうからである。
また、熱可塑性樹脂としてはPESを用いることができるが、このPESの分子量は、3000〜100000であることが望ましい。この理由は、PESの分子量が3000未満では、疑似均一相溶構造による靱性向上の効果が得られず、一方、100000を超えると、熱硬化性樹脂や感光性樹脂との相溶状態が形成できないからである。
かかる樹脂複合体の構造は、それの破面を、熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒を用いてエッチングすると、熱可塑性樹脂リッチのマトリックス部分が溶けて、連結したエポキシ樹脂等の球状粒子のみが観察されることから判る。
このような共連続構造を形成する樹脂複合体は、靱性に優れた熱可塑性樹脂が連続相として存在するため、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂単独のものよりも強靱な樹脂となる。
かかる樹脂複合体の構造は、それの破面を、熱可塑性樹脂を溶解させる溶媒を用いてエッチングすると、熱可塑性樹脂リッチのマトリックス部分が溶けて、独立して均一分散している熱硬化性樹脂の球状粒子のみが観察されることから判る。
このような球状ドメイン構造を形成する樹脂複合体は、熱可塑性樹脂の“海”の中に、熱硬化性樹脂の球状粒子が分散しているため、熱硬化性樹脂単独の場合より靱性のある樹脂となる。
また、上記樹脂マトリックスとして、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂を用い、互いに連結または独立した球状ドメインを形成する樹脂として熱可塑性樹脂を用いてもよい。
この場合、前記粗化面は、Rmax=1〜20μmであることが望ましい。この理由は、1μm未満では、被覆金属と接着剤層との密着強度が低下し、20μmを超えると、パターン間隔100μm以下のファインパターンのプリント配線板を製造することが困難になるからである。
この理由は、メチレンクロライドやジメチルホルムアミド等の溶媒中で樹脂マトリックスの成分であるエポキシ樹脂とPESとを混合分散させ、疑似均一相溶構造や共連続構造、球状ドメイン構造を容易に形成できるからである。
しかも、エポキシ樹脂とPESの混合系を用いる場合、PES変性エポキシ樹脂が擬似均一相溶構造を形成することによって、マトリックスが強靱化され、引張り強度および引張り伸び率はいずれも、エポキシ樹脂単独のものよりも1.5倍以上に向上することが判った。さらに、この樹脂マトリックスの強靱化により、アンカー深さが同じ場合でも、この発明の接着剤もしくは接着剤層を用いたプリント配線板における無電解めっき膜のピール強度は、樹脂マトリックスとしてエポキシ樹脂のみを用いた場合に比べて、高くなることを発明者らは確認した。
この理由は、疑似均一相溶構造の樹脂複合体の場合、熱硬化性樹脂などに感光基を付与させることで、熱硬化性樹脂を露光により短時間で硬化して相分離が進まないうちに複合化させることができ、ひいては、疑似均一相溶構造を容易に形成することができるからである。一方、共連続構造あるいは球状ドメイン構造の樹脂複合体の場合、共連続構造あるいは球状ドメイン構造にある粒子の形状(粒径等)を制御しやすくなるからである。
ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオキサンソン等の分子内水素引抜型、
のいずれか1種以上が好適に用いられる。
なお、上記光開始剤と増感剤の組成比は、例えば、感光性樹脂100重量部に対して、
ベンゾフェノン/ミヒラーケトン=5重量部/0.5 重量部
イルガキュア184 /イルガキュア651=5重量部/0.5 重量部
イルガキュア907 /イソプロピルチオキサンソン=5重量部/0.5 重量部
が好適である。
耐熱性樹脂マトリックスの海に島状に分散して用いられる溶解除去可能な樹脂は、このような樹脂として、硬化前は未硬化の耐熱性樹脂マトリックスと相溶せず、硬化後には樹脂マトリクスと不均一な状態で「海−島構造」を形成するような樹脂であり、エポキシ基末端シリコーン樹脂が用いられる。
このような、「海−島構造」を形成する樹脂液は、「島」の大きさの制御が困難であり、品質の管理が難しい。この点において、分級などで粒子径を制御でき品質を管理し易い、予め硬化処理された樹脂、無機や金属粒子のような硬化処理を必要としないものに比べて、量産的に不利である。
さらに、未硬化の耐熱性樹脂マトリックスを疑似均一相溶構造とするためには、硬化条件を調整しなければならない。この点においても、上記のような未硬化の樹脂液が存在すると、この樹脂液の硬化条件まで調整しなければならず、不利である。
しかしながら、「海−島構造」を形成する樹脂液は、予め硬化処理された樹脂や無機粒子、金属粒子等のように固形成分を含まないため、混練の時間が少なくてすみ、接着剤溶液を容易に調製できる点では優れている。
また、低粘度化が容易であるため、塗布膜の平滑性、レベリング性にも優れている。
なお、上記溶解除去可能な樹脂に代えて、酸あるいは酸化剤に可溶性の硬化処理済みの耐熱性樹脂粉末を用いることもできる。
この耐熱性樹脂粉末は、硬化処理によって、熱硬化性樹脂や感光性樹脂、熱可塑性樹脂を溶解する希釈溶媒に不溶性となるため、この希釈溶媒によって樹脂溶液の粘度を低減させることにより、硬化処理済の上記耐熱性樹脂粉末が、この樹脂溶液中で均一に分散されるからである。
また、疑似均一相溶構造の樹脂複合体を得る場合、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂を熱可塑性樹脂と相溶状態で混合させるために溶媒を用いるが、このような場合でも、硬化処理済の上記耐熱性樹脂粉末はその溶媒に溶解することがないため、明確なアンカーを形成することができる。
また、酸、酸化剤に可溶性であることが望ましい理由は、酸化剤は、分解力が強く、短時間で明確なアンカーを形成することができ、生産性に優れ、しかも、この酸化剤によって形成されたアンカーを有する接着剤層は、通常の使用環境下では、溶解したり、劣化することが殆どないからである。一方、酸は、酸化剤に見られるような中和処理が不要であり、経済的であり、また、廃液処理が酸化剤などにくらべて容易で、設備的にも簡単なものになり、安全性にも優れているからである。上記耐熱性樹脂粉末としては、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂、ビスマレイドートリアジン樹脂などを使用できる。
この粒子状物質は、凝集を防止するために、その表面にシリカゾルなどによるコーティングがなされていることが望ましい。
この粒子状物質の配合量は、耐熱性樹脂マトリックスの樹脂固形分100 に対して、重量比で5〜100 の割合であることが望ましい。この理由は、重量比で5未満の場合は、アンカーを形成することができず、100を超える場合は、混練が難しくなること、また相対的に耐熱性樹脂マトリックスの量が減り、接着剤層の強度が低下してしまうためである。
エポキシ樹脂は、それのプレポリマーの種類(分子量300 〜10000 程度の比較的低分子量のポリマー)、硬化剤の種類、架橋密度を制御することにより、その物性を大きく異ならしめることができる。
この物性の差は、酸化剤に対する溶解度に対しても例外ではなく、(i)モノマーの骨格構造と硬化剤、(ii)架橋構造、(iii)架橋密度を適宜選択することにより、任意の溶解度のものに調整することができる。(i)、(ii)が主因子となり、副次的に(iii)を利用する。
ここで、モノマーの骨格構造については、一般に、脂肪族エポキシが最も溶解度が高く、次いでグリシジルアミン型、グリシジルエーテル型においては溶解度が最も低下する。
架橋構造については、例えば、エポキシドとアミンの反応により得られるヒドロキシエーテル構造は、特に溶解度が高く、エポキシドをイミダゾールを硬化触媒として反応させたエーテル構造では溶解性が特に低下する。
架橋密度については、エポキシ当量が多くなるほど低下し、その結果、溶解度は高くなる。
また、溶解度の低下は、エポキシモノマーを多官能化することにより達成され、フェノールノボラック型においては、モノマーの繰り返し単位nが0から1、2と順次増加するに従い、その溶解度は減少する。
従って、上記酸化剤に対する溶解度差に基づき、例えば、
耐熱性樹脂粉末を構成する「酸化剤に可溶性のエポキシ樹脂」としては、
(A)「エポキシプレポリマーとして脂肪族エポキシを用い、硬化剤として脂肪族アミン硬化剤を用い、エポキシ当量を265 程度として穏やかに架橋したエポキシ樹脂」が用いられる。
これに対して、耐熱性樹脂マトリックスの熱硬化性樹脂成分である「酸化剤に難溶性(不溶性も含む)のエポキシ樹脂」としては、(B)「エポキシプレポリマーとしてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、硬化剤として芳香族ジアミン系硬化剤を用い、エポキシ当量を170前後としたエポキシ樹脂」や、これよりもさらに溶解度の低い、(C)「エポキシプレポリマーとしてフェノールノボラック型エポキシ樹脂を用い、硬化剤としてイミダゾール硬化剤を用い、エポキシ当量を136程度としたエポキシ樹脂」が用いられる。
また、前記エポキシ樹脂(B)を、「酸化剤に可溶性のエポキシ樹脂」として用いることもでき、この場合には、前記エポキシ樹脂(C)を「酸化剤に難溶性のエポキシ樹脂」として用いる。
表1には、前述の各エポキシ樹脂について、そのプレポリマー、硬化剤、エポキシ当量、溶解度の相対値を列記する。
(i).まず、基体上に、この発明の接着剤、即ち、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と、該熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂に対して15〜50wt%の配合比で混合された熱可塑性樹脂との樹脂混合物からなる未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、硬化前は耐熱性樹脂マトリックスとは相溶せず、かつ硬化後には酸または酸化剤により溶解除去可能となるエポキシ基末端シリコーン樹脂が分散されてなる接着剤を塗布し、あるいは前記接着剤自体を半硬化させてフィルム状にしたものをラミネートし、もしくは基体自体を前記接着剤で形成することにより、接着剤層を設ける。さらに、この接着剤の層を乾燥硬化して、樹脂マトリックスを構成する樹脂複合体が疑似均一相溶構造、共連続構造あるいは球状ドメイン構造のいずれかの樹脂構造を有する接着剤層を形成する。
(磁気媒体)
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ハード磁気ディスク
(電磁気シールド)
濾紙
(自動車)
ディスクブレーキボディ、ディスクブレーキピストン、クラッチハブ、オイルポンプカム、ミッションギアシャフト
(産業機械)
スクリュー、ベアリング
(電気・電子産業)
プリント配線板、半導体搭載用基板
(建築素材)
フェノール樹脂含浸コアー紙
上記の粗化液を用いる方法としては、接着剤層を形成した基体をその粗化液中に浸漬するか、あるいは基体に粗化液をスプレーするなどの手段によって実施することができ、その結果、接着剤層の表面を粗化することができる。
上記酸化剤としては、クロム酸やクロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾンなどがよく、酸としては、塩酸、硝酸、フッ酸や硫酸、有機酸などがよい。
金属膜を被覆する方法としては、無電解めっき、電解めっきやスパッタリングなどの方法がある。
この無電解めっきとしては、例えば無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解スズめっき、無電解金めっきおよび無電解銀めっきなどを挙げることができ、特に無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきおよび無電解金めっき、無電解コバルト−ニッケル−リンめっき、無電解銅−ニッケル−リンめっきのいずれか少なくとも一種であることが好適である。なお、前記無電解めっきを施した上にさらに異なる種類の無電解めっきあるいは電気めっきを行ったり、ハンダをコートしたりすることもできる。
なお、無電解めっきの際、めっきレジスト等を形成することにより、めっきにより種々のパターンを描くことができる。
また、全面に無電解めっきを施し、ついでエッチングしてもよい。さらに、スパッタなどの方法で被着させる金属としては、Cu,Ni,Cr,Ti,Mo、Auまたはこれらの合金などがある。
(i).まず、基体として基板を用い、この基板上に、この発明の接着剤、即ち、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と、該熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂に対して15〜50wt%の配合比で混合された熱可塑性樹脂との樹脂混合物からなる未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、硬化前は耐熱性樹脂マトリックスとは相溶せず、かつ硬化後には酸または酸化剤により溶解除去可能となるエポキシ基末端シリコーン樹脂が分散されてなる接着剤を塗布し、あるいは前記接着剤自体を半硬化させてフィルム状にしたものをラミネートし、もしくは基板自体を前記接着剤で形成することにより、接着剤の層を設ける。さらに、この接着剤の層を乾燥硬化して、樹脂マトリックスを構成する樹脂複合体が疑似均一相溶構造,共連続構造あるいは球状ドメイン構造を有する接着剤層を形成する。
上記の粗化液を用いる方法としては、前述したものと同様の粗化液を用いて、接着剤層を形成した基板をその溶液中に浸積するか、あるいは基板に粗化液をスプレーするなどの手段によって実施することができ、その結果、接着剤層の表面を粗化することができる。
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-104S、エポキシ当量220、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex、分子量17000)40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部およびゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。この時の室温での粘度は、2〜5Pa・sであった。
(2)この接着剤溶液をローラーコーター(サーマトロニクス貿易製)を使用して銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に塗布し、その後、80℃で2時間、120℃で5時間、150℃で2時間、乾燥硬化させて厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(3)接着剤層を形成した上記基板を、クロム酸水溶液(CrO3,500g/l)に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。粗化面の粗度は、JIS-B-0601でRmax=10μmであった。
(4)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、次いで、常法に従いめっきレジストを設け、その後、表2に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸積して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施し、プリント配線板を製造した(図1参照)。
また、上記ゴム系樹脂微粉末を混合しない樹脂組成の混合物を硬化して得られた硬化物は、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/分の条件で粘弾性測定試験を行ったところ、ガラス転移温度Tgのピークが1つであった(図2参照)。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる(図3参照)。
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-103S)70重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)30重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2PHZ-CN)10重量部およびシリカ球状微粉末(日本触媒工業製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、NMP溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
(2)この接着剤溶液をローラーコーター(サーマトロニクス貿易製)を使用して銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に塗布し、その後、80℃で3時間、120℃で3時間、150℃で5時間、乾燥硬化させて厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(3)接着剤層を形成した上記基板を、フッ酸に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(4)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、次いで、常法に従いめっきレジストを設け、その後、表2に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施し、プリント配線板を製造した。
また、上記シリカ微粉末を混合しない樹脂組成の混合物を硬化して得られた硬化物は、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/分の条件で粘弾性測定試験を行ったところ、ガラス転移温度Tgのピークが1つであった。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる。
(1)ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得た。
(2)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名;エピコート828、エポキシ当量190、分子量380)70重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)30重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)10重量部および前記エポキシ変成CTBNを30重量部を混合した後、NMP溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
(3)この接着剤溶液をローラーコーター(サーマトロニクス貿易製)を使用して銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に塗布し、その後、80℃で1時間、120℃で2時間、150℃で4時間、乾燥硬化させて厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(4)接着剤層を形成した上記基板を、クロム酸水溶液(CrO3,500g/l)に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(5)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、次いで、常法に従いめっきレジストを設け、その後、表2に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施し、プリント配線板を製造した。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる。さらに、この樹脂マトリックスをSEMで観察したところ、硬化した後の樹脂マトリックスの海の中には、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体樹脂の「島構造」が観察できた。つまり、接着剤層の表面を酸化剤で処理すると、この島構造の部分が溶解除去されて、その表面が粗化されるのである。
基本的には参考例1と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート828)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)35重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部およびゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度100CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
基本的には参考例1と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート828)50重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)50重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部およびゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、DMF(ジメチルフォルムアミド)を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度100CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
しかも、この樹脂マトリックスは、エポキシリッチの球状物がPESリッチのベースに浮かんだいわゆる海−島構造(球状ドメイン構造)であった(図4参照)。
(1)ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルムを通して紫外線露光させ画像を焼き付けた。次いで、1,1,1-トリクロロエタンで現像を行い、塩化第二銅エッチング液を用いて非導体部の銅を除去した後、メチレンクロリドでドライフィルムを剥離した。これにより基板上に複数の導体パターンからなる第1層導体回路を有する配線板を作成した。
(2)アルミナ粒子(日本軽金属製、商品名;AX34、平均粒径3.9μm)200gを、5lのアセトン中に分散させて得たアルミナ粒子懸濁液中へ、ヘンシェルミキサー内で攪拌しながら、アセトン1lに対してエポキシ樹脂(三井石油化学製)を30gの割合で溶解させたアセトン溶液中にアルミナ粉末(日本軽金属製、商品名;AX34、平均粒径0.5μm)300gを分散させて得た懸濁液を滴下することにより、上記アルミナ粒子表面にアルミナ粉末を付着せしめた後、上記アセトンを除去し、その後、150℃に加熱して、アルミナ疑似粒子を作成した。この疑似粒子は、平均粒径が約4.3μmであり、約75重量%が、平均粒径を中心として±2μmの範囲に存在していた。
(3)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、エポキシ当量210、分子量2000)の50%アクリル化物を70重量部、ポリエーテルスルホン(PES)30重量部、ジアリルテレフタレート15重量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパノン-1(チバ・ガイギー製)4重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)4重量部、および前記(2)で作成したアルミナ疑似粒子50重量部を混合した後、ブチルセロソルブを添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度250cpsに調整し、続いて、3本ロールで混練して感光性の接着剤溶液を調製した。
(4)この感光性の接着剤溶液を、前記(1)で作成した配線板上に、ロールコーターを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、70℃で乾燥させて厚さ約50μmの感光性の接着剤層を形成した。
(5)前記(4)の処理を施した配線板に、100μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯500mj/cm2で露光した。これをDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)溶液で超音波現像処理することにより、配線板上に100μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、前記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cm2で露光し、100℃で1時間、150℃で5時間の加熱処理することにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する接着剤層を形成した。
(6)前記(5)の処理を施した配線板を、フッ酸で処理した後、過マンガン酸カリウム(KMnO4,500g/l)に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬した後水洗した。
(7)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、その後、表2に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(8)前記(4)〜(7)までの工程を2回繰り返した後に、さらに前記(1)の工程を行うことにより、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した(図5参照)。
また、上記アルミナ疑似粒子を混合しない樹脂組成の混合物を硬化して得られた硬化物は、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/分の条件で粘弾性測定試験を行ったところ、ガラス転移温度Tg のピークが2つであった(図7参照)。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、共連続構造を呈していると考えられる。
(1)ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルムを通して紫外線露光させ画像を焼き付けた。次いで、1,1,1-トリクロロエタンで現像を行い、塩化第二銅エッチング液を用いて非導体部の銅を除去した後、メチレンクロリドでドライフィルムを剥離した。これにより基板上に複数の導体パターンからなる第1層導体回路を有する配線板を作成した。
(2)DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名:I-907)を用い、下記組成でNMP溶剤を用いて混合し、さらにこの混合物に対してゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して感光性の接着剤溶液を得た。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M215 /I-907 /イミダゾール
=75/25/10/5/5/5
(3)この感光性の接着剤溶液を、前記(1)で作成した配線板上に、ロールコーターを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で乾燥を行なった。
(4)前記(3)の処理を施した配線板に、100μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯500mj/cm2で露光した。これをDMDG溶液で超音波現像処理することにより、配線板上に100μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、前記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cm2で露光し、100℃で1時間、150℃で5時間の加熱処理することにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する厚さ50μmの接着剤層を形成した。
(5)前記(4)の処理を施した配線板を、過マンガン酸カリウム(KMnO4,500g/l)に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬した後水洗した。
(6)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、その後、表2に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(7)前記(3)〜(6)までの工程を2回繰り返した後に、さらに前記(1)の工程を行うことにより、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる(図3参照)。なお、図8および図9には、それぞれ硬化前と硬化後の接着剤層のSEM断面写真を示した。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名:I-907)を用い、下記組成でNMP(ジメチルホルムアミド)を用いて混合し、さらにこの混合物に対してゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た感光性の接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES/M215/I-907 /イミダゾール
=75/25/10/5/5
この接着剤の硬化は、80℃で乾燥を行い、これをUV硬化させた後、熱硬化して行った。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でNMPを用いて混合し、さらにこの混合物に対してゴム系樹脂微粉末を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た感光性の接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES/M215/I-907/イミダゾール
=75/25/10/5/5
この接着剤の硬化は、100℃で乾燥を行い、これをUV硬化させた後、熱硬化して行った。
しかも、この樹脂マトリックスは、エポキシリッチの球状物がPSFリッチのベースに浮かんだいわゆる海ー島構造(球状ドメイン構造)であった。
この理由は、感光性の接着剤の場合は、乾燥時点で均一構造であれば、光硬化で迅速に硬化が行われるため、その後の熱硬化による相分離が比較的発生しにくいからである。
なお、参考までに相図を図10〜12に示す。これらの相図は、参考例7〜9とは接着剤の作成条件が異なり、感光化エポキシ/PES /TMPTA /I-907 /イミダゾール=75/25/20/5/5で行ったものである。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)のエポキシ基の100%アクリル化した感光性エポキシオリゴマー、PES、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でNMPを用いて混合し、さらにこの混合物に対してゴム系樹脂微粉末(日本合成ゴム製)を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た感光性の接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES/M215/I-907/イミダゾール
=80/20/10/5/5
また、上記ゴム系樹脂微粉末を混合しない樹脂組成の混合物を硬化して得られた硬化物は、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度5℃/分の条件で粘弾性測定試験を行ったところ、ガラス転移温度Tgのピークが1つであった。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる(図3参照)。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)のエポキシ基の100%アクリル化した感光性エポキシオリゴマー、フェノキシ樹脂、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でDMFを用いて混合し、さらにこの混合物に対して平均粒径3.5μmの凝集ゴム系樹脂微粉末(特開平1−301775号公報の参考例1に製造方法が開示されているので参照)を30重量部、混合した後、DMF溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た感光性の接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/フェノキシ/M215/I-907/イミダゾール
=79/30/10/5/5
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)のエポキシ基の100%アクリル化した感光性エポキシオリゴマー、PSF、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でDMFを用いて混合し、さらにこの混合物に対して平均粒径3.5μmの凝集ゴム系樹脂微粉末(特開平1−301775号公報の参考例1に製造方法が開示されているので参照)を30重量部、混合した後、DMF溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た感光性の接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PSF /M215 /I-907 /イミダゾール
=60/40/10/5/5
基本的には参考例5と同様であり、ゴム系樹脂微粉末をジルコニア(日本触媒化学工業製、商品名;NS−OY−S)とし、粗化液をフッ酸とした。なお、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスの樹脂構造は、球状ドメイン構造であった。
(参考例14)
基本的には参考例8と同様であり、ゴム系樹脂微粉末をマグネシア(岩谷化学工業製、商品名;MTK-30)とし、粗化液を6N塩酸とした。なお、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスの樹脂構造は、共連続構造であった。
(参考例15)
基本的には参考例9と同様であり、ゴム系樹脂微粉末を水酸化アルミニウム(日本軽工業社製、商品名;B103・T)とし、粗化液をアンモニア水溶液とした。なお、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスの樹脂構造は、球状ドメイン構造であった。
基本的には参考例4と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得、この樹脂液30重量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート828)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)35重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部と混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度100CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
基本的には参考例5と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得、この樹脂液30重量部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート828)50重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex)50重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部を混合した後、DMFを添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度100CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
しかも、この樹脂マトリックスは、エポキシリッチの球状物がPESリッチのベースに浮かんだいわゆる海ー島構造(球状ドメイン構造)であった(図4参照)。また、この樹脂マトリックスをSEMで観察したところ、樹脂マトリックスの海の中には、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム樹脂の「島構造」が観察された。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得、この樹脂液30重量部を、DMDGに溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤ベンゾフェノン(BP)(関東化学製)、光増感剤ミヒラーケトン(関東化学製)を用い、下記組成でNMPを用いて混合しホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES/M215/BP/イミダゾール
=75/25/10/5/0.5/5
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる(図3参照)。
さらに、この樹脂マトリックスをSEMで観察したところ、樹脂マトリックスの海の中には、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム樹脂の「島構造」が観察された。
基本的には参考例8と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得、この樹脂液30重量部を、DMDGに溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でDMFを用いて混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M215 /I-907 /イミダゾール
=75/25/10/5/5
基本的には参考例9と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。ブタジエン−アクリロニトリル共重合体オリゴマー(CTBN)とビスフェノールA型エポキシ樹脂を混合した後、160℃で2時間加熱し、エポキシ変成CTBNを得、この樹脂液30重量部を、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でDMFを用いて混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M215 /I-907 /イミダゾール
=75/25/10/5/5
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤(チバガイギー製、商品名;I-907)を用い、下記組成でDMFを用いて混合し、さらにこの混合物に対してエポキシ基末端シリコーン樹脂を25重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M215 /I-907 /イミダゾール
=70/30/10/5/5
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-104S、エポキシ当量220、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex、分子量17000)40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部および低架橋度のメラミン樹脂粉末を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、NMPを添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。この時の室温での粘度は、2〜5Pa・sであった。
(2)接着剤溶液をガラスエポキシ基板の両面に塗布して、水平状態で20分間放置してから60℃で乾燥し、100℃で1時間、150℃で5時間、加熱硬化させて厚さ約50μmの樹脂接着剤層を形成した。
(3)この両面接着剤層を持つ基板を、121℃、2気圧、飽和水蒸気中で2時間放置して、接着剤層表面のメラミン樹脂粉末を分解除去させた。この分解除去前後の電子顕微鏡(SEM)写真を、図13、14に示す。これらの写真から明らかなように、分解によって、メラミン樹脂が小さくなっている。
(4) 樹脂絶縁層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ社製)を付与して絶縁層の表面を活性化させ、その後、無電解銅めっき液に11時間浸漬し、めっき膜の厚さが25μm無電解銅めっきを施して、両面銅張り積層板を得た。
(5) この両面銅張り積層板に、スルホールを開けた。
(6) パラジウム核(シプレイ社製)付与した後、フォトレジストを貼付、露光、現像してめっきレジストを形成した。
(7) 常法に従い、無電解銅めっきを施し、さらに電解銅めっきを行い、導体回路部分を形成した。
(8) めっきレジストを剥離した後、塩化第二鉄でエッチングして、パターン間の銅膜を除去してプリント配線板を製造した。
基本的には参考例7と同様であり、接着剤溶液として以下のものを用いた。DMDGに溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるアクリル化イソチオシアネート(東亜合成製、商品名;アロニックスM215)、光開始剤ベンゾフェノン(BP)(関東化学製)、光増感剤ミヒラーケトン(関東化学製)を用い、さらに酢酸酪酸セルロースの粉末を加え、下記組成でNMPを用いて混合しホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して得た接着剤溶液。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M215/BP/イミダゾール
=75/25/10/5/0.5/5
また、本参考例の粗化条件は、80℃の1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、酢酸酪酸セルロースを加水分解することにより行った。
従って、本参考例で用いた接着剤の樹脂マトリックスは、擬似均一相溶構造を呈していると考えられる。
この表に示す結果から明らかなように、疑似均一相溶解構造、共連続構造、球状ドメイン構造を示す樹脂複合体を樹脂マトリックスとする本発明の接着剤を用いることにより、接着強度、絶縁性、耐熱性およびヒートサイクル特性が従来のものに比べ著しく向上したプリント配線板を製造することができる。
(1) ピール強度
JIS−C−6481
(2) 絶縁抵抗
基板に層間絶縁層を形成し、粗化したのち触媒付与を行い、次いで、めっきレジストを形成してレジストパターンを作成した。その後、無電解めっきを施し、パターン間の絶縁抵抗を測定した。なお、パターン間絶縁性は、L/S=75/75μmのくしばパターンにて、80℃/85%/24V,1000時間後の値を測定した。
(3)ガラス転移温度Tg
動的粘弾性測定により測定した。
(4)ヒートサイクル試験
−65℃×30min〜125℃×30minのヒートサイクル試験を行い、クラックの発生と層間絶縁層の剥離の有無を調べ、その耐久サイクル数で評価した。
参考例1〜20、21、22および実施例1では、プリント配線板に関する例を記載したが、本参考例は、この発明の化粧板への応用例である。
(1)坪量が10〜80g/m2の木材パルプ繊維抄造紙に、メラミン樹脂を含浸させて、これを乾燥させ、厚さ100μmの含浸紙とした。
(2)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-104S、エポキシ当量220、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex、分子量17000)40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部および炭酸カルシウム微粉末を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。この時の室温での粘度は、2〜5Pa・sであった。
(3)合板ボードの表面に前記(2)で得られた接着剤を塗布し、その後、30℃で真空乾燥し、80℃で2時間、120℃で5時間、150℃で2時間、加熱硬化して厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(4)この接着剤層を6N塩酸に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗して、Rmax=10±5μmの接着剤層を得た。
(5)接着剤層の表面を粗化した基板に、パラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、常法に従い、無電解銀めっきを行い、表面に厚さ60μmの銀層を形成した。
(6)この銀層の表面に、前記(1)で得られたメラミン樹脂含浸紙をオーバーレイ紙として積層した。
(7)さらに、このオーバーレイ紙の上に1〜60μmの凹凸が設けられた賦型板を積層し、30〜80kg/cm2の圧力下で130〜170℃で熱圧着することにより、オーバーレイ紙を設けるとともに、その表面にエンボス加工を施して、金属光沢を持つメラミン化粧板を得た。
本実施例は、この発明のめっき被覆ギアへの応用例である。
(1)ポリイミドを使用して常法に従い、ギア形状の成形体を作製した。
(2)DMDGに溶解させたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるカプロラクトン変性トリスイソシアヌレート(東亜合成製、商品名;アロニックスM315)、光開始剤ベンゾフェノン(BP)、光増感剤ミヒラーケトンを用い、下記組成でNMPを用いて混合し、さらにこれに加えて、ゴムフィラー(日本合成製)を平均粒径5.0μmのものを30重量部混合した後、ホモディスパー攪拌器で粘度1000CPSに調整し、続いて3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES/M315/BP/イミダゾール
=70/30/10/5/0.5/5
(3)前記(1)で作製したギア形状の成形体に、前記(2)で調製した接着剤を塗布した後、25℃で真空乾燥を行い、これをUV硬化し、さらに、熱硬化し、疑似均一相溶構造を示す樹脂マトリックスからなる接着剤層を形成した。
(4)次いで、クロム酸水溶液(CrO3,500g/l)に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。粗化面は、JIS-B-0601Rmax
=10μmであった。
(5)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させた後、常法に従い、ニッケル−リンめっきを行い、金属光沢を持つギアを製造した。
本参考例は、この発明のヒートシンク付半導体搭載基板への応用例である。
(1)DMDGに溶解させたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の25%をアクリル化した感光性付与のエポキシオリゴマー(CNA25、分子量4000)、PES(分子量17000)、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるカプロラクトン変性トリスイソシアヌレート(東亜合成製、商品名;アロニックスM315)、光開始剤ベンゾフェノン(BP)、光増感剤ミヒラーケトンを用い、下記組成でNMPを用いて混合し、さらにこれに加えて、窒化アルミニウム粉末を平均粒径5.0μmのものを30重量部混合した後、ホモディスパー攪拌器で粘度1000CPSに調整し、続いて3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
樹脂組成:感光化エポキシ/PES /M315 /BP/イミダゾール
=70/30/10/5/0.5 /5
(2)アルミニウム基板とリードフレームよりなる半導体搭載用基板の基材に、前記(1)の接着剤溶液を塗布して、25℃で真空乾燥を行い、これをUV硬化させた後、熱硬化し、アルミニウム基板を接着剤層で覆うと同時にアルミニウム基板とリードフレームを一体化して、疑似均一相溶構造を示す樹脂マトリックスからなる接着剤層を形成した。
(3)接着剤層を形成した上記半導体搭載用基板を水に浸漬することにより、接着剤層の表面に存在する窒化アルミニウム粉末を溶解除去して接着剤層を粗化した。
(4)めっきレジストフィルムを貼付して、露光現像してめっきレジストを形成し、無電解銅めっきを行ない、表面に導体回路を形成するとともに、その導体回路によりリードフレームとの電気的接続を行った。
(5)ICチップを搭載した後、ポッティングにより樹脂封止し、ケーシングすることにより、ヒートシンク付半導体搭載基板を製造した。
本参考例は、この発明の電磁妨害波(EMI)めっき被膜シールドへの応用例である。
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-104S、エポキシ当量220、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex、分子量17000)40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部およびニッケル微粉末を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120CPSに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。この時の室温での粘度は、2〜5Pa・sであった。
(2)この接着剤溶液をローラーコーター(サーマトロニクス貿易製)を使用して濾紙に塗布し、その後、80℃で2時間、120℃で5時間、150℃で2時間、乾燥硬化して厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(3)接着剤層を形成した上記濾紙を、塩酸に70℃で15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。粗化面は、JIS-B-0601Rmax=10μmであった。
(4)接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、次いで常法に従い、ニッケルめっきを行った。
(1) ポリカーボーネートにてスクリュー形状の基体を成形した。
(2) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名;EOCN-104S、エポキシ当量220、分子量5000)65重量部、ポリエーテルスルホン(PES)(ICI製、商品名;Victrex、分子量17000)40重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名;2E4MZ-CN)5重量部および塩化ビニル樹脂粉末を平均粒径5.5μmのものを20重量部、平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ホモディスパー攪拌機で攪拌、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
(3)この接着剤溶液に前記(1)のスクリュー形状の基体を浸漬して、その後、80℃で2時間、120℃で5時間、150℃で2時間、乾燥硬化して厚さ20μmの接着剤層を形成した。この硬化された接着剤層は、その破面を塩化メチレンによりエッチングしてSEM観察した結果、球状ドメイン構造となっていた。
(4)次に、アセトン中に浸漬して、接着剤層表面の塩化ビニル樹脂粉末を溶解除去して、接着剤層の表面を粗化した。
(5)この接着剤層の表面にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、次いで常法に従い、無電解銀めっきをおこない、スクリューを製造した。
2 接着剤層
3 レジスト
31 ドライフィルム
4、6、8、10 導体
5 バイアホール
Claims (2)
- 基体上に、粗化面を有する接着剤層が形成され、その接着剤層の粗化面上に導体回路を設けてなるプリント配線板用接着剤において、
前記接着剤は、熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂と、該熱硬化性樹脂および/または感光性樹脂に対して15〜50wt%の配合比で混合された熱可塑性樹脂との樹脂混合物からなる未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、硬化前は該耐熱性樹脂マトリックスとは相溶せず、硬化後には酸または酸化剤により溶解除去可能となるエポキシ基末端シリコーン樹脂液が分散されてなり、
前記樹脂混合物が硬化処理により樹脂複合体を形成するとともに、前記溶解除去可能なエポキシ基末端シリコーン樹脂がその硬化された樹脂複合体からなる耐熱性樹脂マトリクスの海の中に島状に分散するように、その相溶性が調整されてなることを特徴とするプリント配線板用接着剤。 - 前記請求項1に記載の接着剤を硬化処理して形成したプリント配線板用接着剤層であって、硬化された耐熱性樹脂マトリックスの海の中に島状に分散した前記エポキシ基末端シリコーン樹脂を酸または酸化剤によって溶解除去することによって粗化面が形成されることを特徴とするプリント配線板用接着剤層。
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