JP3790771B2 - 樹脂複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
このような相分離状態は、混合する樹脂の最初の分散状態における非相溶の度合いに依存するもので、非相溶の度合いが大きい場合には球状ドメイン構造となり、非相溶の度合いが小さい場合には、共連続構造となる。
上記「球状ドメイン構造」とは、PESを主とする樹脂マトリックス中に、エポキシ樹脂を主とする樹脂からなる球状ドメインが互いに独立し、あるいはそれらの一部が連結して分散している状態の構造を指し、「共連続構造」とは、PESを主とする樹脂マトリックス中に、エポキシ樹脂を主とする樹脂からなる球状ドメインが互いに連結し合い、かつ規則正しく分散している状態の構造を指す。
このような構造は、構成樹脂のそれぞれが完全に分離しているのではなく、PESの中にもエポキシ樹脂が含有されていて、その比率は圧倒的にPESが高く、一方、エポキシ樹脂の中にも、PESが含有されていて、その比率はエポキシ樹脂が高いような構造であり、それぞれの樹脂が完全に相分離しているのではなく、互いに一部が相溶している。
上述したような共連続構造に関する知見は、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との混合系、例えばアクリル系樹脂とPESとの混合系(PES変成アクリル系樹脂)についても同様であった。
第2に、ポリエ−テルスルホン(PES)と混合したアクリル系樹脂を硬化することによりアクリル系樹脂とポリエ−テルスルホン(PES)とを複合化するに当たり、未硬化のアクリル系樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定される擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする。
第3に、ポリエ−テルスルホン(PES)と混合したアクリル系樹脂を硬化することによりアクリル系樹脂とポリエ−テルスルホン(PES)とを複合化するに当たり、上記擬似均一相形成点を超える硬化速度で、かつ上記擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする。
上記樹脂複合体を構成する感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比を、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%とすることが望ましい。
この擬似均一相溶構造は、発明者らが考え出した新しい概念であり、以下に説明する構造をいう。
すなわち、擬似均一相溶構造は、アクリル系樹脂などの感光性樹脂が示す特有の物性もしくはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が示す特有の物性を具えると共に、ポリエ−テルスルホンなどの熱可塑性樹脂本来の物性よりも高い物性値を示す、より均質な構造をいい、動的粘弾性測定によるガラス転移温度のピ−ク数が1つであり、感光性樹脂あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂間との相互作用が極めて強いものである。
このような均質な樹脂複合体であるため、有機溶剤などにより熱可塑性樹脂が溶出されにくく、耐薬品性に優れる。
従来技術において説明した共連続構造では、塩化メチレンによりPESが溶出して、表面が凹凸になるが(図2(b)図面代用写真参照)、本発明では、塩化メチレンによってもPESなどの熱可塑性樹脂の溶出量は少なく、表面に凹凸が発生することがない。
すなわち、本発明に係る擬似均一相溶構造は、感光性樹脂あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を必要に応じて溶剤に溶解して均一に混合し、その後、硬化速度を速くすること、および/または相分離速度を遅くすることにより、構成樹脂粒子の粒径をTEM観察による測定値で0.1μm以下にすることにより、形成される。
(1)熱硬化性樹脂の硬化温度が高いほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要な硬化温度の下限値を超えて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(2)ゲル化時間が短い硬化剤ほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要なゲル化時間の上限値を超えないような硬化剤を用いて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(3)感光性を付与するほど硬化速度は速くなる。
従って、他の因子条件が擬似均一相溶構造を形成する組み合わせにおいては、樹脂に感光性を付与することによって、得られる樹脂複合体はより均質な擬似均一相溶構造となる。
なお、感光性を付与する方法としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂に感光性基を導入する方法、感光性モノマ−を配合する方法があり、必要に応じて光開始剤,光増感剤を配合してもよい。
また、アクリル系樹脂などの感光性樹脂を熱硬化性樹脂の代わりに使用することができる。この場合は、感光性樹脂の,例えば開始剤や増感剤,感光性モノマ−,露光条件などの光硬化因子によって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させる必要がある。
(1)未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の架橋密度が高いほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な架橋密度の下限値を超える架橋密度を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
(2)未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の分子量が大きいほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な分子量の下限値を超える分子量を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
ベンゾフェノン/ミヒラ−ケトン=5重量部/0.5重量部
イルガキュア184/イルガキュア651=5重量部/0.5重量部
イルガキュア907/イソプロピルチオキサンソン=5重量部/0.5重量部
が好適である。
また、感光性樹脂を構成する感光性モノマ−あるいは感光性オリゴマ−としては、エポキシアクリレ−トやエポキシメタクリレ−ト,ウレタンアクリレ−ト,ポリエステルアクリレ−ト,ポリスチリルメタクリレ−トなどが好適に用いられる。
(試験1:硬化剤の影響)
(1)エポキシ樹脂/PES系において、ゲル化時間(硬化速度)の異なる硬化剤を用い、エポキシ樹脂の硬化剤の種類が上記混合系の樹脂構造および物性にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2)ゲル化時間の異なる硬化剤としては、表1に示す数種類のイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製)を用いた。
(3)なお、硬化剤の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828 )を用い、エポキシ樹脂/PESの配合比を70/30とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184〜194、硬化条件を120℃×5時間+150℃×2時間、と一定条件にした。
(1) エポキシ樹脂/PES系において、硬化温度の異なる硬化条件にて硬化することにより、エポキシ樹脂の硬化温度が、得られる樹脂硬化物の樹脂構造にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2) 硬化温度の異なる硬化条件としては、以下に示す4条件を実施した。
a.80℃で6時間、b.100℃で6時間、c.120℃で5時間、d.150℃で4時間
(3) 硬化剤によって、
(ア).硬化温度が低いほど、擬似均一相溶構造を形成する場合、
(イ).硬化温度が高いほど、擬似均一相溶構造を形成する場合があるとの知見から、硬化剤としては、(a).アミン系硬化剤(住友化学製、商品名:DDM),(b).イミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用いた。
(4) なお、硬化温度の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828)を用い、エポキシ樹脂/PES/硬化剤の配合比を、(a).アミン系硬化剤(DDM)の場合は70/30/20、(b).イミダゾ−ル系硬化剤(2E4MZ−CN)の場合は70/30/5とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF)で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184〜194、と一定条件にした。
(d)150℃の場合を示す。硬化剤として(a)タイプのアミン系硬化剤(DDM )を用いた場合、図5の写真から明らかなように、樹脂構造は、硬化温度が80℃の時には擬似均一相溶構造を形成したが、硬化温度が100℃以上になると球状ドメイン構造を形成するようになり、その粒子径は0.2μm以上になることが判った。一方、硬化剤として(b)タイプのイミダゾ−ル系硬化剤(2E4MZ−CN)を用いた場合、図6の写真から明らかなように、樹脂構造は、逆に硬化温度が100℃以上では擬似均一相溶構造を形成したが、硬化温度が80℃の時には粒径約0.3μmの球状ドメイン構造を形成するようになることが判った。
(1) エポキシ樹脂/PES系において、骨格構造が同じでエポキシ当量の異なるエポキシ樹脂を硬化することにより、エポキシ樹脂のエポキシ当量が、得られる樹脂硬化物の樹脂構造にどのような影響を及ぼすかについて調べ、これにより樹脂の架橋密度の影響を考察した。
(2) エポキシ当量の異なるエポキシ樹脂としては、表2に示す数種類のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂を用いた。
(3) なお、エポキシ当量の影響を調べるために、硬化剤としてイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、エポキシ樹脂/PES/硬化剤の配合比を70/30/5とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、硬化条件を80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間、と一定条件にした。
(1) エポキシ樹脂/PES系において、感光性モノマ−を導入することにより、得られる樹脂硬化物の樹脂構造および物性にどのような影響を及ぼすかについて調べ、これにより感光性付与の影響を考察した。
(2) 感光性モノマ−としては、表3に示すように、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト(DPE−6A、共栄社油脂製)およびネオペンチルグリコ−ル変性トリメチロ−ルプロパンジアクリレ−ト(R−604、日本化薬製)を用い、光開始剤としてベンゾフェノン(BP、関東化学製)、促進剤としてミヒラ−ケトン(MK、関東化学製)を用い、下記硬化条件にて樹脂硬化物を得た。
〔光硬化条件〕3J/cm2
〔熱硬化条件〕80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間
(3) なお、感光性モノマ−の導入効果を調べるために、エポキシ樹脂としてはビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828)、硬化剤としてはイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、エポキシ樹脂/PESの配合比を70/30とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF)で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184〜194、と一定条件にした。
〔観察条件〕
(1).ミクロト−ムを用いて、試料を70nmの薄片に切り取る。
(2).切り取った薄片を四酸化オスミウム(OsO4)のメタノ−ル溶液に24間浸漬させる。
(3).TEM観察時の加速電圧を80kVとして観察する。
さらに、動的粘弾性にてガラス転移温度Tg を測定した。その結果、図10に示すようにTgのピ−クは1つであり、物性的に均質であることが判った。これによって、引張強度や伸び率などの物性値が、構成樹脂成分単独のものよりも高くなるものと推察する。
(1) エポキシ樹脂/PES系において、PES配合量を種々変化させることにより、得られる樹脂硬化物の物性にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2) PES配合量としては、0wt%〜60wt%まで種々変化させた。
(3) なお、PES配合量の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてはクレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:EOCN−103S )、硬化剤としてはイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF)で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を210〜230、エポキシ樹脂の硬化条件を8℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間、と一定条件にした。
(1) 感光性樹脂/PES系において、感光性樹脂としてフェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の100%アクリル化物、感光性モノマ−としてジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト(共栄社油脂製)およびネオペンチルグリコ−ル変性トリメチロ−ルプロパンジアクリレ−ト(日本化薬製)、光開始剤としてベンゾフェノン(関東化学製)、促進剤としてミヒラ−ケトン(関東化学製)を用い、下記組成,硬化条件にて樹脂硬化物を得た。
〔樹脂組成〕
クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂の
100%アクリル化物 :70重量部
PES :30重量部
ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト :10重量部
ネオペンチルグリコ−ル
変性トリメチロ−ルプロパンジアクリレ−ト :5重量部
ベンゾフェノン :5重量部
ミヒラ−ケトン :0.5重量部
〔硬化条件〕
(1)乾燥 :80℃×1時間
(2)光硬化:3J/cm2
(3)後硬化:150℃×2時間
(1)エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828)、硬化剤としてイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、120℃で5時間, 150℃で2時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。なお、120℃での硬化剤のゲル化時間は3分であった。
樹脂組成:エピコ−ト828/PES /2E4MZ−CN=70/30/5
(1)エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194 のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(四国化成製、商品名:エピコ−ト828 )、硬化剤としてイミダゾ−ル系硬化剤(油化シェル製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、80℃×1時間+150℃×4時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。なお、本実施例は、実施例1とはエポキシ樹脂の硬化温度が相違するだけである。
樹脂組成:エピコ−ト828/PES /2E4MZ−CN=70/30/5
(1)エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828)、硬化剤としてアミン系硬化剤(住友化学製、商品名:DDM )を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、80℃で6時間,150℃で2時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。
樹脂組成:エピコ−ト828/PES/DDM=70/30/18
エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が210 〜230のクレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:EOCN−103S)、硬化剤としてイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150℃で4時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:EOCN−103S /PES /2E4MZ−CN=70/30/5
(1) クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)70重量部、ポリエ−テルスルホン(PES,ICI製)30重量部、イミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)5重量部、およびエポキシ樹脂微粉末(東レ製)を平均粒径5.5μmのものを25重量部, 平均粒径0.5μmのものを10重量部を混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパ−攪拌機で粘度120cpsに調整し、続いて、3本ロ−ルで混練して接着剤溶液を得た。
(2) この接着剤溶液を、銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に、ロ−ラ−コ−タ−を用いて塗布し、その後、80℃で1時間,100℃で1時間,120℃で1時間,150℃で3時間、乾燥硬化させて厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(3) 接着剤層を形成した上記基板を、クロム酸水溶液(CrO3 ,500g/l)に70℃15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(4) 接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させた後、表4に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(1) 以下に示す条件以外は参考例5と同様にして、エポキシ樹脂微粉末含有の接着剤溶液を調製し、銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に、厚さ20μmの接着剤層とめっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっき膜を形成した。
〔樹脂組成〕
フェノ−ルノボラック型エポキシ樹脂:100重量部イミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2P4MHZ):4重量部〔接着剤層の硬化条件〕100℃で1時間,150℃で5時間
(1) ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネ−トし、所望の導体回路パタ−ンが描画されたマスクフィルムを通して紫外線露光させ画像を焼きつけた。次に、1,1,1−トリクロロエタンで現像を行い、塩化第2銅エッチング液を用いて非導体部の銅を除去したのち、塩化メチレンでドライフィルムを剥離した。これにより、基板上に複数の導体パタ−ンからなる第1層導体回路を有する配線板を作成した。
(2) エポキシ樹脂粒子(東レ製、平均粒径:3.9μm)200gを5lのアセトン中に分散させて得たエポキシ樹脂粒子懸濁液を、ヘンシェルミキサ−内で攪拌しながら、この懸濁液中に、アセトン1lに対してエポキシ樹脂(三井石油化学製)を30gの割合で溶解させたアセトン溶液中にエポキシ樹脂粉末(東レ製、平均粒径:0.5μm)300gを分散させて得た懸濁液を滴下することにより、上記エポキシ樹脂粒子表面にエポキシ樹脂粉末を付着せしめた後、上記アセトンを除去し、その後、150℃に加熱して擬似粒子を作成した。この擬似粒子は、平均粒径が約4.3μmであり、約75重量%がこの平均粒径を中心として±2μmの範囲に存在していた。
(3) クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の50%アクリル化物を70重量部、ポリエ−テルスルホン(PES)30重量部、ジアリルテレフタレ−ト15重量部、2−メチル−1−[4−( メチルチオ) フェニル]−2−モリフォリノプロパノン−1(チバ・ガイギ−製)4重量部、イミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)4重量、および前記(2)で作成した擬似粒子50重量部を混合した後、ブチルセロソルブを添加しながら、ホモディスパ−攪拌機で粘度250cpsに調整し、続いて、3本ロ−ルで混練して感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
(4) この感光製樹脂組成物の溶液を、前記(1) で作成した配線板上に、ナイフコ−タ−を用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから70℃で乾燥させて厚さ約50μmの感光性樹脂絶縁層を形成した。
(5) 前記(4)の処理を施した配線板に、100μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯500mj/cm2
で露光した。これをクロロセン溶液で超音波現像処理することにより、配線板上に100 μmφのバイアホ−ルとなる開口を形成した。さらに、前記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cmで露光し、100℃で1時間、その後150℃で10時間の加熱処理を行うことによりフォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する樹脂絶縁層を形成した。
(6)前記(5)の処理を施した配線板を、クロム酸水溶液(CrO3,500g/l)に70分間浸漬して樹脂絶縁層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(7)樹脂絶縁層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して絶縁層の表面を活性化させ、その後、表4に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(8)前記(4)〜(7)までの工程をさらに2回繰り返しすことにより、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
(1)以下に示す樹脂組成以外は参考例6と同様にして、エポキシ樹脂からなる擬似粒子含有の感光性樹脂組成物の溶液を調製し、第1層導体回路を有する配線板上に、厚さ約50μmの層間樹脂絶縁層とめっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっき膜を交互に形成し、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
〔樹脂組成〕
クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の
50%アクリル化物 :60重量部
ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製) :40重量部
ジアリルテレフタレ−ト :15重量部
2−メチル−1−[4−( メチルチオ) フェニル]−2−モリフォリノ
プロパノン−1(チバ・ガイギ−製) :4重量部
イミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2P4MHZ) :4重量部
エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ当量が210〜230のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:ECON−103S )70重量部、ポリエ−テルスルホン(PES,ICI製)30重量部およびイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)5重量部を、DMFを用いて混合し、その後、80℃で1時間、150℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
エポキシ樹脂/ポリスルホン(PSF)系において、エポキシ樹脂としてビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコ−ト828 )、硬化剤としてイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:エピコ−ト828 /PSF /イミダゾ−ル系硬化剤=70/30/5
エポキシ変成ポリイミド樹脂/ポリスルホン(PSF)系において、エポキシ変成ポリイミド樹脂(三井石油化学工業製、商品名:TA−1800)とイミダゾ−ル系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ−CN)を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:TA−1800 /PSF /イミダゾ−ル系硬化剤=75/25/5
(1) ピ−ル強度
JIS−C−6481
(2) 絶縁抵抗
基板に層間絶縁層を形成し、粗化したのち触媒付与を行い、次いで、めっきレジストを形成してレジストパタ−ンを作成した。その後、無電解めっきを施し、パタ−ン間の絶縁抵抗を測定した。なお、パタ−ン間絶縁性は、 L/S=75/75 μmのくしばパタ−ンにて、80℃/85%/24V,1000時間後の値を測定した。
(3) ガラス転移点Tg
動的粘弾性測定により測定した。
(4) ヒ−トサイクル試験
−65℃×30min〜125℃×30minのヒ−トサイクル試験を行い、クラックの発生と層間絶縁層の剥離の有無を調べ、その耐久サイクル数で評価した。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂としてのポリエ−テルスルホンと、感光性樹脂としてのアクリル系樹脂との混合物を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピ−ク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
前記感光性樹脂の光硬化因子によって決定され、かつ前記擬似均一相溶構造を得ることができる硬化速度の下限値である擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。 - 熱可塑性樹脂としてのポリエ−テルスルホンと、感光性樹脂としてのアクリル系樹脂との混合物を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピ−ク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
前記未硬化の感光性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定され、かつ擬似均一相溶構造を得ることができる相分離速度の上限値である擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。 - 熱可塑性樹脂としてのポリエ−テルスルホンと、感光性樹脂としてのアクリル系樹脂との混合物を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピ−ク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
前記感光性樹脂の光硬化因子によって決定され、かつ前記擬似均一相溶構造を得ることができる硬化速度の下限値である擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させるとともに、前記未硬化の感光性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定され、かつ擬似均一相溶構造を得ることができる相分離速度の上限値である擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。 - 感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比を、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂複合体の製造方法。
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