JP3790662B2 - 樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる新規な樹脂複合体の製造方法に関し、特に、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホン(PES)またはポリスルホン(PSF)とからなる樹脂複合体の製造方法についての提案である。
【0002】
【従来の技術】
樹脂複合体の技術は、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して複合させることにより、この熱硬化性樹脂の物性を改善する技術などが代表的である。例えば、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホン(以下、「PES」で示す)との混合系(PES変成エポキシ樹脂)において、エポキシ樹脂とPESとが形成する共連続構造により、エポキシ樹脂の靱性を改善する技術がそれである(Keizo Yamanaka and Takashi Inoue, Polymer, vol.30, P662(1989)参照)。
【0003】
2種の樹脂を混合してなる上記PES変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂単独のものに比べて、樹脂の靱性が向上する。この理由は、このPES変性エポキシ樹脂が以下に述べるような樹脂構造を形成するからである。すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とPESとの混合系は、エポキシ樹脂を高温で硬化すると、エポキシ樹脂とPESとが完全に溶け合った状態(相溶状態)とはならず、スピノーダル分解を起こしてエポキシ樹脂とPESが分離状態で混合している状態(相分離状態)となる。
このような相分離状態は、混合する樹脂の最初の分散状態における非相溶の度合いに依存するもので、非相溶の度合いが大きい場合には球状ドメイン構造となり、非相溶の度合いが小さい場合には、共連続構造となる。
上記「球状ドメイン構造」とは、PESを主とする樹脂マトリックス中に、エポキシ樹脂を主とする樹脂からなる球状ドメインが互いに独立し、あるいはそれらの一部が連結して分散している状態の構造を指し、「共連続構造」とは、PESを主とする樹脂マトリックス中に、エポキシ樹脂を主とする樹脂からなる球状ドメインが互いに連結し合い、かつ規則正しく分散している状態の構造を指す。
このような構造は、構成樹脂のそれぞれが完全に分離しているのではなく、PESの中にもエポキシ樹脂が含有されていて、その比率は圧倒的にPESが高く、一方、エポキシ樹脂の中にも、PESが含有されていて、その比率はエポキシ樹脂が高いような構造であり、それぞれの樹脂が完全に相分離しているのではなく、互いに一部が相溶している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記共連続構造は、エポキシ樹脂とPESとが相分離状態となることによって形成されるものであり、スピノーダル分解によって生成するエポキシ球状ドメインが単にPESマトリックス中に分散しているだけの構造である。そのため、エポキシ樹脂に、PESを分散導入する効果はあるものの、PES本来の物性よりも高くすることはできない。この理由は、共連続構造を形成した複合体のガラス転移温度を動的粘弾性測定により測定すると、ガラス転移温度のピーク数が2つであることが認められることから、エポキシ樹脂とマトリックスであるPESとの相互作用が弱いためと考えられる。上述したような共連続構造に関する知見は、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との混合系、例えばアクリル系樹脂とポリエーテルスルホンとの混合系(PES変成アクリル系樹脂)についても同様であった。
【0005】
本発明の目的は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が示す特有の物性、例えば耐熱性を具えると共に、PESなどの熱可塑性樹脂が示す本来の物性よりもさらに高い物性値を示す新規な樹脂複合体の製造技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の目的を実現すべく、まず、樹脂複合体の1つの混合系である熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との系について研究した。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合系,例えば、エポキシ樹脂/PES混合系において、エポキシ樹脂とPESは、図1に示すように、低温では相溶するが高温では2相分離する,いわゆるLCST型(Low Critical Solution Temperature )の相図を示す。しかし、エポキシ樹脂が、硬化反応に伴って高分子化され、その樹脂のガラス転移温度(Tg )が高くなって硬化温度以上になると、その温度において分子運動が凍結され相分離できなくなる。なぜなら、相分離するには分子の運動,拡散が必要だからである。
【0007】
本発明は、このような事実に着目して鋭意研究した結果完成されたものであり、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが相分離することによって明確な共連続構造あるいは球状ドメイン構造を形成しないように、相分離速度や硬化速度を制御して樹脂を硬化させ複合化させることにより、上記目的を実現することができる。
【0008】
すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンとからなる樹脂複合体、あるいは熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンとからなり、かつ感光性が付与されてなる樹脂複合体であって、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが擬似均一相溶構造を形成してなることを特徴とする樹脂複合体の製造方法であり、上記擬似均一相溶構造を形成する構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」で示す)観察による測定値で 0.1μm以下であり、かつ昇温速度5℃/分、振動周波数6.28rad /秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピーク値が1つであることを特徴とする。
【0011】
そして、上述したような本発明の樹脂複合体を製造する方法は、第1に、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンとの混合物を硬化することによってその樹脂混合物を複合化するに当たり、熱硬化性樹脂の硬化温度、硬化剤の種類、および感光性付与の有無のうちから選ばれる1種または2種以上の因子によって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させることを特徴とする。
第2に、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンとの混合物を硬化することによってその樹脂混合物を複合化するに当たり、未硬化熱硬化性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定される擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする。
第3に、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂と熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンとの混合物を硬化することによってその樹脂混合物を複合化するに当たり、上記擬似均一相形成点を超える硬化速度で、かつ上記擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする。
上記樹脂複合体を構成する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比を、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%とすることが望ましい。
【0012】
【作用】
本発明の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体の特徴は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが擬似均一相溶構造を形成してなる点にある。
この擬似均一相溶構造は、発明者らが考え出した新しい概念であり、以下に説明する構造をいう。
すなわち、擬似均一相溶構造は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が示す特有の物性を具えると共に、PESなどの熱可塑性樹脂本来の物性よりも高い物性値を示す、より均質な構造をいい、動的粘弾性測定によるガラス転移温度のピーク数が1つであり、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂間との相互作用が極めて強いものである。
したがって、本発明の樹脂複合体は、図2(a)の走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」で示す。)写真に示すような構造を有し、図2(b)のSEM写真に示す従来の共連続粒子構造とは明らかに相違するものである。しかも、この樹脂複合体は、TEM観察(図2(c)参照)による構成樹脂粒子の粒径が0.1μm以下であって、より均質となっているものである。このような均質な樹脂複合体であるため、有機溶剤などにより熱可塑性樹脂が溶出されにくく、耐薬品性に優れる。従来技術において説明した共連続構造では、塩化メチレンによりPESが溶出して、表面が凹凸になるが(図2(b)図面代用写真参照)、本発明では、塩化メチレンによってもPESなどの熱可塑性樹脂の溶出量は少なく、表面に凹凸が発生することがない。
【0013】
このような樹脂複合体の構造による効果は、前記複合体における熱可塑性樹脂(例えば、PES)の含有量が固形分で15〜50wt%である場合に特に顕著となる。この理由は、熱可塑性樹脂の含有量が15wt%未満では、樹脂成分の網目に絡み合う熱可塑性樹脂分子が少ないため強靱化の効果が十分に発揮されず、一方、熱可塑性樹脂の含有量が50wt%を超えると、架橋点の減少によって熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂間との相互作用が小さくなるからである。
【0014】
このような熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との擬似均一相溶構造は、以下に示す本発明方法によって形成されるものである。すなわち、本発明に係る擬似均一相溶構造は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を必要に応じて溶剤に溶解して均一に混合し、その後、硬化速度を速くすること、および/または相分離速度を遅くすることにより、構成樹脂粒子の粒径をTEM観察による測定値で0.1μm以下にすることにより、形成される。
【0015】
具体的には、本発明方法は、第1に、熱硬化性樹脂を用いる場合は、熱硬化性樹脂の硬化温度、硬化剤の種類、および感光性付与の有無のうちから選ばれる1種または2種以上の因子によって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で、一方、感光性樹脂を用いる場合は、感光性樹脂の光硬化因子,例えば開始剤や増感剤,感光性モノマー,露光条件などによって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させる点に特徴がある。ここでの擬似均一相形成点とは、複合体を構成する樹脂粒子の粒径がTEM観察による測定値で 0.1μm以下である擬似均一相溶構造を得ることができる,硬化速度の下限値を意味する。
【0016】
また、本発明方法は、第2に、未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定される擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させる点に特徴がある。ここでの擬似均一相形成点とは、複合体を構成する樹脂粒子の粒径がTEM観察による測定値で 0.1μm以下である擬似均一相溶構造を得ることができる,相分離速度の上限値を意味する。
【0017】
さらに、本発明方法は、第3に、上記擬似均一相形成点を超える硬化速度で、かつ上記擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させる点に特徴がある。これは、硬化速度と相分離速度を決定する因子が相互に影響する場合の方法を意味する。
【0018】
次に、硬化速度または相分離速度を決定する上述した種々の因子の相互関係について説明する。まず、硬化速度を決定する因子については、他の因子条件を一定とすると、
▲1▼熱硬化性樹脂の硬化温度が高いほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要な硬化温度の下限値を超えて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
▲2▼ゲル化時間が短い硬化剤ほど硬化速度は速くなる。
従って、擬似均一相形成点を超える硬化速度を得るのに必要なゲル化時間の上限値を超えないような硬化剤を用いて熱硬化性樹脂を硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
▲3▼感光性を付与するほど硬化速度は速くなる。
従って、他の因子条件が擬似均一相溶構造を形成する組み合わせにおいては、樹脂に感光性を付与することによって、得られる樹脂複合体はより均質な擬似均一相溶構造となる。
なお、感光性を付与する方法としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂に感光性基を導入する方法、感光性モノマーを配合する方法があり、必要に応じて光開始剤,光増感剤を配合してもよい。
また、アクリル系樹脂などの感光性樹脂を熱硬化性樹脂の代わりに使用することができる。この場合は、感光性樹脂の,例えば開始剤や増感剤,感光性モノマー,露光条件などの光硬化因子によって決定される擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させる必要がある。
【0019】
このような事実を考慮すると、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の複合化に当たって上記変動因子が1種の場合は、擬似均一相形成点に対応するその因子の値が1点決まる。それ故に、上記変動因子が2種以上の場合には、擬似均一相形成点に対応するその因子の値は種々の組み合わせが考えられる。すなわち、構成樹脂粒子の粒径がTEM観察による測定値で 0.1μm以下となるような硬化速度を示す組み合わせを選定することができる。
【0020】
次に、相分離速度を決定する因子については、他の因子条件を一定とすると、▲1▼未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の架橋密度が高いほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な架橋密度の下限値を超える架橋密度を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
▲2▼未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂の分子量が大きいほど相分離は起きにくい(相分離速度は遅くなる)。従って、擬似均一相形成点を超えない相分離速度を得るのに必要な分子量の下限値を超える分子量を有する未硬化熱硬化性樹脂あるいは未硬化感光性樹脂を用いて硬化すると、得られる樹脂複合体の構造は擬似均一相溶構造となる。
【0021】
このような事実を考慮すると、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の複合化に当たって上記変動因子が1種の場合は、擬似均一相形成点に対応するその因子の値が1点決まる。それ故に、上記変動因子が2種の場合には、擬似均一相形成点に対応するその因子の値は種々の組み合わせが考えられる。すなわち、構成樹脂粒子の粒径がTEM観察による測定値で 0.1μm以下となるような相分離速度を示す組み合わせを選定することができる。
【0022】
以上説明したような本発明方法により得られる樹脂複合体は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が示す特有の物性あるいはアクリル系樹脂などの感光性樹脂が示す特有の物性を具えると共に、PESなどの熱可塑性樹脂本来の物性よりもさらに高い物性値を示すことができる。すなわち、本発明にかかるPES変性エポキシ樹脂やPES変成アクリル樹脂は、PES単独の樹脂強度よりも高くなり、従来にはないエポキシ樹脂あるいはアクリル樹脂の強靱化効果を有するものである。
【0023】
本発明においては、上述したように熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合化するに先立って、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂は、必要に応じて溶剤に溶解することにより均一に混合される。このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)や塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ノルマルメチルピロリドン(NMP)などが使用できる。また、相分離開始温度未満で、かつ硬化開始温度未満の温度にて、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを加熱溶融させて混合させることも可能である。
【0024】
本発明において熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂などのアミノ樹脂、エポキシ樹脂、、エポキシ変成ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが使用できる。この熱硬化性樹脂は、部分的に熱硬化に寄与する官能基の一部を感光基で置換したものも使用でき、例えば、エポキシ樹脂の20〜50%アクリル化物などが好適である。
【0025】
本発明において熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルイミドなどのエンジニアリングプラスチック、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリオキシベンゾエート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどが使用できる。
【0026】
本発明において感光性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂や熱硬化性樹脂の官能基を 100%アクリル化したものが好適である。ここで、この感光性樹脂の光硬化因子として重要である光開始剤としては、ベンゾイソブチルエーテル,ベンジルジメチルケタール,ジエトキシアセトフェノン,アシロキシムエステル,塩素化アセトフェノン,ヒドロキシアセトフェノン等の分子内結合開裂型、ベンゾフェノン,ミヒラーケトン,ジベンゾスベロン,2−エチルアンスラキノン,イソブチルチオキサンソン等の分子内水素引抜型のいずれか1種以上が好適に用いられる。光開始助剤としては、トリエタノールアミン,ミヒラーケトン,4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン,2−ジメチルアミノエチル安息香酸,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル,4−ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル,4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル,4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル,重合性3級アミン等のいずれか1種以上が用いられる。増感剤としては、ミヒラーケトンやイルガキュア651 ,イソプロピルチオキサンソンなどが好適であり、上記光開始剤のなかには、増感剤として作用するものもある。なお、上記光開始剤と増感剤の組成比は、例えば、感光性樹脂100 重量部に対して、
ベンゾフェノン/ミヒラーケトン=5重量部/0.5 重量部
イルガキュア184 /イルガキュア651 =5重量部/0.5 重量部
イルガキュア907 /イソプロピルチオキサンソン=5重量部/0.5 重量部が好適である。
また、感光性樹脂を構成する感光性モノマーあるいは感光性オリゴマーとしては、エポキシアクリレートやエポキシメタクリレート,ウレタンアクリレート,ポリエステルアクリレート,ポリスチリルメタクリレートなどが好適に用いられる。
【0027】
本発明において、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤やジアミン、ポリアミン、ポリアミド、無水有機酸、ビニルフェノールなどが使用できる。一方、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を使用する場合は、周知の硬化剤を使用できる。
【0028】
なお、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂特有の物性、あるいはアクリル系樹脂などの感光性樹脂特有の物性を具えると共に、複合化させるPESなどの熱可塑性樹脂本来の物性よりもさらに高い物性値を示す,本発明の樹脂複合体は、プリント配線板用接着剤などの無電解めっき用接着剤や、プリント配線板等に用いられる基板材料,レジスト材料およびプリプレグ材料、半導体パッケージの封止材、繊維強化複合材料の母材、射出成形用材料、圧縮成形用材料などさまざまな用途に利用されることが期待される。
【0029】
【実施例】
(実施例1:硬化剤の影響)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、ゲル化時間(硬化速度)の異なる硬化剤を用い、エポキシ樹脂の硬化剤の種類が上記混合系の樹脂構造および物性にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2) ゲル化時間の異なる硬化剤としては、表1に示す数種類のイミダゾール系硬化剤(四国化成製)を用いた。
(3) なお、硬化剤の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )を用い、エポキシ樹脂/PESの配合比を70/30とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184 〜194 、硬化条件を120 ℃×5時間+150 ℃×2時間、と一定条件にした。
【0030】
得られた樹脂硬化物の構造および物性を調べた結果を 図3および表1に示す。 図3(a) 〜(d) は、表1に示すイミダゾール系硬化剤を用いて得られた樹脂硬化物の組織を示すSEM写真であり、(a)2PHZ-CN, (b)2PZ-OK, (c)2E4MZ-CN,(d)1 B2MZを用いた場合を示す。これらの写真および表1に示す結果から明らかなように、硬化速度の遅い硬化剤を用いると、相分離の進行によって球状ドメイン構造が形成され、樹脂の強度や伸び率が低いことが判った。これに対し、擬似均一相形成点を超える硬化速度を示す硬化剤で硬化させると、エポキシ樹脂とPESとが擬似均一相溶構造を形成し、この硬化物の強度および伸び率は共に大きく向上することが判った。
【0031】
図4は、上記樹脂硬化物のSEM観察により得られた樹脂の粒径と硬化剤のゲル化時間の関係を示す図である。この図に示す結果から明らかなように、120 ℃でのゲル化時間が約5分以下になると、樹脂の粒径が急激に小さくなり、球状ドメイン構造から擬似均一相溶構造になることが判った。すなわち、本実施例の条件下では、硬化剤のゲル化時間によって決定される擬似均一相形成点は、ゲル化時間が5分程度のところに存在することが判る。
【0032】
【表1】
Figure 0003790662
【0033】
(実施例2:硬化温度の影響)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、硬化温度の異なる硬化条件にて硬化することにより、エポキシ樹脂の硬化温度が、得られる樹脂硬化物の樹脂構造にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2) 硬化温度の異なる硬化条件としては、以下に示す4条件を実施した。
a.80℃で6時間
b.100 ℃で6時間
c.120 ℃で5時間
d.150 ℃で4時間
(3) 硬化剤によって、
▲1▼硬化温度が低いほど、擬似均一相溶構造を形成する場合
▲2▼硬化温度が高いほど、擬似均一相溶構造を形成する場合があるとの知見から、硬化剤としては、▲1▼アミン系硬化剤(住友化学製、商品名:DDM ),▲2▼イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用いた。
(4) なお、硬化温度の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )を用い、エポキシ樹脂/PES/硬化剤の配合比を、▲1▼アミン系硬化剤(DDM) の場合は70/30/20、▲2▼イミダゾール系硬化剤(2E4MZ-CN)の場合は70/30/5とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184 〜194 、と一定条件にした。
【0034】
得られた樹脂硬化物の構造を調べた結果を 図5および図6に示す。 図5(a) 〜(d) および図6(a) 〜(d) はそれぞれ、▲1▼アミン系硬化剤および▲2▼イミダゾール系硬化剤に関するものであり、いずれも、上記種々の硬化温度にて得られた樹脂硬化物の組織を示すSEM写真であり、(a) 80℃, (b)100℃ , (c)120 ℃ , (d)150℃の場合を示す。
硬化剤として▲1▼タイプのアミン系硬化剤(DDM )を用いた場合、図5の写真から明らかなように、樹脂構造は、硬化温度が80℃の時には擬似均一相溶構造を形成したが、硬化温度が100 ℃以上になると球状ドメイン構造を形成するようになり、その粒子径は0.2 μm以上になることが判った。
一方、硬化剤として▲2▼タイプのイミダゾール系硬化剤(2E4MZ-CN)を用いた場合、図6の写真から明らかなように、樹脂構造は、逆に硬化温度が100 ℃以上では擬似均一相溶構造を形成したが、硬化温度が80℃の時には粒径約0.3 μmの球状ドメイン構造を形成するようになることが判った。
【0035】
図7および図8はそれぞれ、上記2つのタイプの硬化剤について、SEM観察により得られた樹脂の粒径とエポキシ樹脂の硬化温度の関係を示す図である。これらの図に示す結果から明らかなように、▲1▼タイプのアミン系硬化剤では、硬化温度が90℃以下になると球状ドメイン構造から擬似均一相溶構造になり、一方、▲2▼タイプのイミダゾール系硬化剤では、硬化温度が90℃以上になると球状ドメイン構造から擬似均一相溶構造になることが判った。すなわち、本実施例の条件下では、エポキシ樹脂の硬化温度によって決定される擬似均一相形成点は、硬化温度が90℃程度のところに存在することが判る。
【0036】
(実施例3:架橋密度の影響)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、骨格構造が同じでエポキシ当量の異なるエポキシ樹脂を硬化することにより、エポキシ樹脂のエポキシ当量が、得られる樹脂硬化物の樹脂構造にどのような影響を及ぼすかについて調べ、これにより樹脂の架橋密度の影響を考察した。
(2) エポキシ当量の異なるエポキシ樹脂としては、表2に示す数種類のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。
(3) なお、エポキシ当量の影響を調べるために、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、エポキシ樹脂/PES/硬化剤の配合比を70/30/5とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、硬化条件を80℃で1時間, 100℃で1時間, 120℃で1時間, 150℃で3時間、と一定条件にした。
【0037】
得られた樹脂硬化物の構造を調べた結果を図9および表2に示す。図9(a) 〜(d) は上記種々のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を用いて得られた樹脂硬化物の組織を示すSEM写真であり、(a) エピコート828, (b)エピコート1001, (c) エピコート1004, (d) エピコート1007の場合を示す。これらの写真および表2に示す結果から明らかなように、エポキシ当量が大きく、言い換えれば架橋密度が低いほど、相分離がし易く、一方、エポキシ当量が小さく、言い換えれば架橋密度が高いほど、その樹脂構造は擬似均一相溶構造となることが判った。すなわち、本実施例の条件下では、エポキシ樹脂のエポキシ当量(または架橋密度)によって決定される擬似均一相形成点は、エポキシ当量が300 前後程度のところに存在することが判る。
【0038】
【表2】
Figure 0003790662
【0039】
(実施例4:感光性モノマー導入の影響)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、感光性モノマーを導入することにより、得られる樹脂硬化物の樹脂構造および物性にどのような影響を及ぼすかについて調べ、これにより感光性付与の影響を考察した。
(2) 感光性モノマーとしては、表3に示すように、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPE-6A、共栄社油脂製)およびネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(R-604 、日本化薬製)を用い、光開始剤としてベンゾフェノン(BP、関東化学製)、促進剤としてミヒラーケトン(MK、関東化学製)を用い、下記硬化条件にて樹脂硬化物を得た。
〔光硬化条件〕
3J/cm2
〔熱硬化条件〕
80℃で1時間, 100℃で1時間, 120℃で1時間, 150℃で3時間
(3) なお、感光性モノマーの導入効果を調べるために、エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )、硬化剤としてはイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、エポキシ樹脂/PESの配合比を70/30とし、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を184 〜194 、と一定条件にした。
【0040】
得られた樹脂硬化物の構造および物性を調べた結果を表3に示す。この表3に示す結果から明らかなように、低温側でエポキシ樹脂とPESが均一相溶したままで光反応を利用して硬化させ、さらに熱硬化することによって、粒径のより小さい擬似均一相溶構造を形成する結果、この硬化物の強度および伸び率がさらに大きく向上することが判った。
【0041】
【表3】
Figure 0003790662
【0042】
さらに、得られた樹脂硬化物について、下記条件にてTEM観察を行った。その結果、樹脂硬化物を構成する樹脂の粒径は0.1 μm以下であった。
〔観察条件〕
▲1▼ミクロトームを用いて、試料を70nmの薄片に切り取る。
▲2▼切り取った薄片を四酸化オスミウム(OsO4)のメタノール溶液に24時間浸漬させる。
▲3▼TEM観察時の加速電圧を80kVとして観察する。
さらに、動的粘弾性にてガラス転移温度Tg を測定した。その結果、図10に示すようにTg のピークは1つであり、物性的に均質であることが判った。これによって、引張強度や伸び率などの物性値が、構成樹脂成分単独のものよりも高くなるものと推察する。
【0043】
(実施例5:PES配合量の影響)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、PES配合量を種々変化させることにより、得られる樹脂硬化物の物性にどのような影響を及ぼすかについて調べた。
(2) PES配合量としては、0wt%〜60%まで種々変化させた。
(3) なお、PES配合量の影響を調べるために、エポキシ樹脂としてはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:EOCN-103S )、硬化剤としてはイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、PESを2倍量のジメチルホルムアミド(DMF )で溶解させ、所定量のエポキシ樹脂と硬化剤を混合して硬化させ、また、エポキシ樹脂のエポキシ当量を210 〜230 、エポキシ樹脂の硬化条件を80℃で1時間, 100℃で1時間, 120℃で1時間, 150℃で3時間、と一定条件にした。
【0044】
このようにして得た樹脂硬化物の物性変化を調べた結果を図11に示す。この図に示す結果から明らかなように、PESの配合量が増加するにしたがい樹脂の強度が大きくなり、30%PESのところで極大値を示し、以降樹脂強度が逆に小さくなった。特に30%PESの樹脂硬化物は、エポキシ樹脂単独のみならず、PES単独よりも強度が高い。なお、本実施例の条件下では、得られる樹脂硬化物は、すべての配合組成において擬似均一相溶構造を形成していた。このように本実施例の結果から、エポキシ樹脂/PES系においては、PES配合量は、15〜50wt%,より好ましくは20〜40wt%が望ましいことが判った。
【0045】
(実施例6)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194 のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、 120℃で5時間, 150℃で2時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。なお、120 ℃での硬化剤のゲル化時間は3分であった。
樹脂組成:エピコート828 /PES /2E4MZ-CN=70/30/5
【0046】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg のピーク値は1つであった。
【0047】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ835kg/cm、8.0 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作製したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約500 kg/cm, 4.8 %であった。
【0048】
上述したような結果は、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:1B2MZ )を用いた場合でも同様に得られた。この場合、120 ℃での硬化剤のゲル化時間は44秒であった。
【0049】
(実施例7)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194 のビスフェノールA型エポキシ樹脂(四国化成製、商品名:エピコート828 )、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(油化シェル製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、80℃×1時間+ 150℃×4時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。なお、本実施例は、実施例6とはエポキシ樹脂の硬化温度が相違するだけである。
樹脂組成:エピコート828 /PES /2E4MZ-CN=70/30/5
【0050】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg のピークは1つであった。
【0051】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ835kg/cm、9.1 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作製したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約500 kg/cm、 4.5 %であった。
【0052】
(実施例8)
(1) エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が184〜194 のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )、硬化剤としてアミン系硬化剤(住友化学製、商品名:DDM )を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、80℃で6時間, 150℃で2時間の硬化条件にて硬化し、擬似均一相溶構造の樹脂硬化物を得た。
樹脂組成:エピコート828 /PES /DDM =70/30/18
【0053】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg のピークは1つであった。
【0054】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ860kg/cm、8.6 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作製したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約500kg/cm、5%であった。
【0055】
(実施例9)
エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ樹脂としてエポキシ当量が210 〜230 のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:EOCN-103S)、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150 ℃で4時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:EOCN-103S /PES /2E4MZ-CN=70/30/5
【0056】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg 点のピークは、1つであった。
【0057】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率はそれぞれ990 kg/cm、6.5 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤、硬化条件で作成したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約550 kg/cm、2.8 %であった。
【0058】
(実施例10:アディティブ配線板用接着剤への適用)
(1) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)70重量部、ポリエーテルスルホン(PES,ICI製)30重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)5重量部、およびエポキシ樹脂微粉末(東レ製)を平均粒径5.5 μmのものを25重量部, 平均粒径0.5 μmのものを10重量部を混合した後、ジメチルホルムアミド/ブチルセロソルブ(1/1)混合溶剤を添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度120cpsに調整し、続いて、3本ロールで混練して接着剤溶液を得た。
(2) この接着剤溶液を、銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に、ローラーコーターを用いて塗布し、その後、80℃で1時間,100 ℃で1時間,120 ℃で1時間,150 ℃で3時間、乾燥硬化させて厚さ20μmの接着剤層を形成した。
(3) 接着剤層を形成した上記基板を、クロム酸水溶液(CrO 3 , 500g/l)に70℃15分間浸漬して接着剤層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(4) 接着剤層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して接着剤層の表面を活性化させ、その後、表4に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
【0059】
【表4】
Figure 0003790662
【0060】
(比較例1:アディティブ配線板用接着剤への適用)
(1) 以下に示す条件以外は実施例10と同様にして、エポキシ樹脂微粉末含有の接着剤溶液を調製し、銅箔が貼着されていないガラスエポキシ絶縁板(東芝ケミカル製)上に、厚さ20μmの接着剤層とめっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっき膜を形成した。
〔樹脂組成〕
フェノールノボラック型エポキシ樹脂: 100重量部
イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2P4MHZ):4重量部
〔接着剤層の硬化条件〕
100 ℃で1時間,150 ℃で5時間
【0061】
実施例10および比較例1にて形成した無電解銅めっき膜のピール強度、ならびに接着剤層の絶縁抵抗とガラス転移点Tg を測定した。その結果を表5に示す。この表に示す結果から明らかなように、擬似均一相溶構造を形成する本発明にかかるPES変性エポキシ樹脂を配線板用接着剤に適用することにより、接着強度、耐熱性および電気絶縁性が、従来のものに比べ著しく向上することが判った。
【0062】
【表5】
Figure 0003790662
【0063】
(実施例11:多層配線板の層間絶縁材料への適用)
(1) ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルムを通して紫外線露光させ画像を焼きつけた。次に、1,1,1-トリクロロエタンで現像を行い、塩化第2銅エッチング液を用いて非導体部の銅を除去したのち、塩化メチレンでドライフィルムを剥離した。これにより、基板上に複数の導体パターンからなる第1層導体回路を有する配線板を作成した。
(2) エポキシ樹脂粒子(東レ製、平均粒径:3.9 μm)200gを5lのアセトン中に分散させて得たエポキシ樹脂粒子懸濁液を、ヘンシェルミキサー内で攪拌しながら、この懸濁液中に、アセトン1lに対してエポキシ樹脂(三井石油化学製)を30g の割合で溶解させたアセトン溶液中にエポキシ樹脂粉末(東レ製、平均粒径:0.5 μm)300gを分散させて得た懸濁液を滴下することにより、上記エポキシ樹脂粒子表面にエポキシ樹脂粉末を付着せしめた後、上記アセトンを除去し、その後、150 ℃に加熱して擬似粒子を作成した。この擬似粒子は、平均粒径が約4.3 μmであり、約75重量%がこの平均粒径を中心として±2μmの範囲に存在していた。
(3) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の50%アクリル化物を70重量部、ポリエーテルスルホン(PES)30重量部、ジアリルテレフタレート15重量部、2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェニル]-2-モリフォリノプロパノン-1(チバ・ガイギー製)4重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)4重量部、および前記(2) で作成した擬似粒子50重量部を混合した後、ブチルセロソルブを添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度250cpsに調整し、続いて、3本ロールで混練して感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
(4) この感光製樹脂組成物の溶液を、前記(1) で作成した配線板上に、ナイフコーターを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから70℃で乾燥させて厚さ約50μmの感光性樹脂絶縁層を形成した。
(5) 前記(4) の処理を施した配線板に、100 μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯500mj/cm で露光した。これをクロロセン溶液で超音波現像処理することにより、配線板上に100 μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、前記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cmで露光し、100 ℃で1時間、その後150 ℃で10時間の加熱処理を行うことによりフォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する樹脂絶縁層を形成した。
(6) 前記(5) の処理を施した配線板を、クロム酸水溶液(CrO3, 500g/l)に70分間浸漬して樹脂絶縁層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(7) 樹脂絶縁層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して絶縁層の表面を活性化させ、その後、表4に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(8) 前記(4) 〜(7) までの工程をさらに2回繰り返しすことにより、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
【0064】
(比較例2:多層配線板の層間絶縁材料への適用)
(1) 以下に示す樹脂組成以外は実施例11と同様にして、エポキシ樹脂からなる擬似粒子含有の感光性樹脂組成物の溶液を調製し、第1層導体回路を有する配線板上に、厚さ約50μmの層間樹脂絶縁層とめっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっき膜を交互に形成し、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
〔樹脂組成〕
Figure 0003790662
【0065】
実施例11および比較例2にて製造したビルドアップ多層配線板における無電解銅めっき膜のピール強度、ならびに層間樹脂絶縁層の絶縁抵抗とガラス転移点Tg を測定した。さらに、−65℃×30min 〜125 ℃×30min のヒートサイクル試験を行った。その結果を表6に示す。この表に示す結果から明らかなように、本発明の樹脂複合体をビルドアップ多層配線板の樹脂絶縁層に適用することにより、接着強度、絶縁性、耐熱性およびヒートサイクル特性が従来のものに比べ著しく向上することが判った。
【0066】
【表6】
Figure 0003790662
【0067】
(実施例12:エポキシ樹脂/PES系)
エポキシ樹脂/PES系において、エポキシ当量が210 〜230 のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:ECON-103S )70重量部、ポリエーテルスルホン(PES,ICI製)30重量部およびイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)5重量部を、DMFを用いて混合し、その後、80℃で1時間、150 ℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
【0068】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg 点のピークは、1つであった。
【0069】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率はそれぞれ995 kg/cm,6.4 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作成したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約550 kg/cm ,3.0 %であった。
【0070】
(実施例13:エポキシ樹脂/PSF系)
エポキシ樹脂/ポリスルホン(PSF)系において、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、商品名:エピコート828 )、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、下記組成でDMF を用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150 ℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:エピコート828 /PSF /イミダゾール系硬化剤=70/30/5
【0071】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg 点のピークは、1つであった。
【0072】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率はそれぞれ800 kg/cm,7.8 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、
同じ硬化剤,硬化条件で作成したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約500 kg/cm ,4.5 %であった。また、この実施例13で得られた樹脂は、誘電率が4.0 で、熱膨張率が5.5 ×10−5/℃であり、シリカ粉などと混合して半導体パッケージの封止樹脂としても使用できる。
【0073】
(実施例14:エポキシ変成ポリイミド樹脂/PSF系)
エポキシ変成ポリイミド樹脂/ポリスルホン(PSF)系において、エポキシ変成ポリイミド樹脂(三井石油化学工業製、商品名:TA-1800 )とイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、80℃で1時間、150 ℃で5時間の硬化条件にて硬化し、疑似均一相溶構造の硬化物を得た。
樹脂組成:TA-1800 /PSF /イミダゾール系硬化剤=75/25/5
【0074】
このようにして得た樹脂硬化物について、実施例4と同様にしてTEM観察を行った結果、樹脂粒径は0.1 μm以下であった。また、動的粘弾性測定にてガラス転移温度Tg を測定した結果、実施例4と同様にTg 点のピークは、1つであった。
【0075】
さらに、得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率はそれぞれ980 kg/cm,9.0 %であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化剤、硬化条件で作成したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約700 kg/cm ,6.0 %であった。
【0076】
参考例1:感光性樹脂/PES系)
(1) 感光性樹脂/PES系において、感光性樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の100%アクリル化物、感光性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社油脂製)およびネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬製)、光開始剤としてベンゾフェノン(関東化学製)、促進剤としてミヒラーケトン(関東化学製)を用い、下記組成,硬化条件にて樹脂硬化物を得た。
〔樹脂組成〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の
100%アクリル化物 :70重量部
PES :30重量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート :10重量部
ネオペンチルグリコール
変性トリメチロールプロパンジアクリレート :5重量部
ベンゾフェノン :5重量部
ミヒラーケトン :0.5 重量部
〔硬化条件〕
(1).乾燥 : 80℃×1時間
(2).光硬化: 3J/cm2
(3).後硬化:150℃×2時間
【0077】
このようにして得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ865kg/cm、6.8%であり、構成樹脂成分単独のものより高いことを確認した。なお、同じ硬化条件で作成した感光性樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約560 kg/cm、3.1 %であった。
【0078】
なお、上記ピール強度、絶縁抵抗、ガラス転移点Tg およびヒートサイクル試験の方法または評価方法を説明する。
(1) ピール強度
JIS−C−6481
(2) 絶縁抵抗
基板に層間絶縁層を形成し、粗化したのち触媒付与を行い、次いで、めっきレジストを形成してレジストパターンを作成した。その後、無電解めっきを施し、パターン間の絶縁抵抗を測定した。なお、パターン間絶縁性は、L/S=75/75 μmのくしばパターンにて、80℃/85%/24V,1000時間後の値を測定した。
(3) ガラス転移点Tg
動的粘弾性測定により測定した。
(4) ヒートサイクル試験
−65℃×30min 〜125 ℃×30min のヒートサイクル試験を行い、クラックの発生と層間絶縁層の剥離の有無を調べ、その耐久サイクル数で評価した。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が示す特有の物性、例えば耐熱性を具えると共に、複合化させるPESなどの熱可塑性樹脂本来の物性よりもさらに高い物性値を示す新規な樹脂複合体を確実に提供することができる。さらに、耐薬品性にも優れる新規な樹脂複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱可塑性樹脂−熱硬化性樹脂の混合系の状態図を示す図である。
【図2】 (a) 本発明にかかる樹脂複合体の擬似均一相溶構造を示す結晶構造のSEM写真、
(b) 従来技術にかかる樹脂複合体の共連続粒子構造を示す結晶構造のSEM写真、および
(c)本発明にかかる樹脂複合体の擬似均一相溶構造を示す結晶構造のTEM写真である。
【図3】各種イミダゾール系硬化剤(a)2PHZ-CN, (b)2PZ-OK, (c)2E4MZ-CN, (d)1B2MZを用いて得られた樹脂硬化物の結晶構造を示すSEM写真である。
【図4】硬化剤のゲル化時間と複合体を構成する樹脂の粒径との関係を示す図である。
【図5】アミン系硬化剤に関し、各種硬化温度(a) 80℃, (b)100℃ , (c)120 ℃ , (d)150℃にて得られた樹脂硬化物の結晶構造を示すSEM写真である。
【図6】イミダゾール系硬化剤に関し、各種硬化温度(a) 80℃, (b)100℃ , (c)120 ℃, (d) 150℃にて得られた樹脂硬化物の結晶構造を示すSEM写真である。
【図7】樹脂の硬化温度と複合体を構成する樹脂の粒径との関係を示す図(アミン系硬化剤の場合)である。
【図8】樹脂の硬化温度と複合体を構成する樹脂の粒径との関係を示す図(イミダゾール系硬化剤の場合)である。
【図9】各種エポキシ当量のエポキシ樹脂(a) エピコート828, (b)エピコート1001, (c) エピコート1004, (d) エピコート1007を用いて得られた樹脂硬化物の結晶構造を示すSEM写真である。
【図10】本発明にかかる樹脂複合体の動的粘弾性測定結果を示す図である。
【図11】本発明にかかる樹脂複合体の強度試験測定結果で、(a) 引張強さ,(b)引張伸び率を示す図である。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンと混合した熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピーク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
    前記熱硬化性樹脂の硬化温度、硬化剤の種類、および感光性付与の有無のうちから選ばれる1種または2種以上の因子によって決定され、かつ前記擬似均一相溶構造を得ることができる硬化速度の下限値である擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンと混合した熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピーク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
    前記未硬化の熱硬化性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定され、かつ擬似均一相溶構造を得ることができる相分離速度の上限値である擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂としてのポリエーテルスルホンまたはポリスルホンと混合した熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂を硬化することによって、構成樹脂粒子の粒径が透過型電子顕微鏡観察による測定値で0.1μm以下であり、かつ昇温速度が5℃/分、振動周波数6.28rad/秒の条件で測定した動的粘弾性測定による樹脂のガラス転移温度のピーク数が1つであるような特性を示す擬似均一相溶構造を有する樹脂複合体を製造するに当り、
    前記熱硬化性樹脂の硬化温度、硬化剤の種類、および感光性付与の有無のうちから選ばれる1種または2種以上の因子によって決定され、かつ前記擬似均一相溶構造を得ることができる硬化速度の下限値である擬似均一相形成点を超える硬化速度で硬化させるとともに、前記未硬化の熱硬化性樹脂の架橋密度または分子量のいずれか1種以上の因子によって決定され、かつ擬似均一相溶構造を得ることができる相分離速度の上限値である擬似均一相形成点を超えない相分離速度で硬化させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。
  4. 熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比を、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の樹脂複合体の製造方法。
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