JP4198866B2 - ベアリングレスモータの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体の半径方向位置を制御する磁気軸受作用と、回転体を回転駆動する作用を兼ね備えたベアリングレスモータに係り、特に回転子外周面に永久磁石を埋込んで配設した埋込磁石構造型回転子のベアリングレスモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転子外周面に永久磁石を配設した埋込磁石構造型回転子を磁気軸受作用により浮上支持しつつ、且つ回転駆動するベアリングレスモータの制御装置が各種文献等に発表されている。係るベアリングレスモータでは、回転するm極対でなる駆動磁界に同期して、n極対の駆動磁界を重畳することで、回転子に対して回転力を与えると同時に、制御磁界の大きさ及び方向を制御することで、回転子の浮上位置を任意に制御することができる磁気軸受作用を生じる。ここで、m=n±1という関係が必要である。
【0003】
図1は、係るベアリングレスモータの磁気軸受作用を示すための、無負荷時の半径方向制御力発生原理を示す。この電動機には、電動機巻線Nqと、位置制御巻線Nα、Nβがそれぞれ固定子に配設されている。そして、回転子には4極(2極対)の永久磁石が埋め込んで配設されている。この場合には、電動機巻線Nqが4極の磁束を形成し、位置制御巻線Nα、Nβが2極の磁束を形成する例について示している。電動機巻線と位置制御巻線とはそれぞれ回転磁界を形成し、回転する4極(m極対)の駆動磁界に、2極(n極対)の制御磁界を重畳することで、上述したベアリングレスモータが構成される。
【0004】
永久磁石による4極界磁磁束Ψmが短い矢印で示すように回転子のN極及びS極から放射状に発生している。半径方向制御力をα軸負方向に発生させるために位置制御巻線Nαに図示の方向に電流を流すと、回転子の突極部を通る位置制御磁束Ψα1と、磁石部を通る位置制御磁束Ψα2とが図示の向きに発生する。このとき、左側のギャップでは回転子界磁磁束との関係で磁束が強めあい、右側のギャップでは磁束が弱めあうことにより、回転子にはα軸負方向に半径方向制御力Fnが発生する。位置制御巻線NαとNβに流す電流の方向と大きさを調整することで、任意の半径方向制御力Fnを発生させることができる。
【0005】
図2は、負荷時の半径方向制御力発生原理について示す。ここで、時計回りにトルクが発生するように、電動機巻線Nqに、q軸電流を図示の向きに流しているとする。負荷時には無負荷時に発生していた半径方向制御力Fnに加えて、β方向にも半径方向制御力Fβが発生する。この理由は次の通りである。突極部を通る位置制御磁束Ψα1を実線で、q軸電流による4極電機子反作用磁束Ψqを破線で示している。これら2つの磁束により、上部ギャップでは磁束が強めあい、下部ギャップでは磁束が弱めあうことにより、回転子にはβ軸正方向に半径方向制御力Fβが発生する。
【0006】
半径方向制御力をd−q軸上において数式で表すと、(1)式になる。
【数1】
ここで、Md’、Mq’はそれぞれd,q軸方向の電動機巻線と位置制御巻線との相互インダクタンスを回転子の半径方向変位で微分した値、imは永久磁石の等価電流値、iqはq軸電流であり、iα,iβはそれぞれα,β軸位置制御電流である。
【0007】
位置制御電流をα軸方向にのみ流しているとすると、iβ=0であることから式(1)は、式(2)のように書き換えることができる。
【数2】
【0008】
無負荷時にはiq=0であるから、発生する半径方向制御力はMd’imを係数とするFαのみである。負荷時には新たにMq’iqを係数とするFβが発生する。つまり、負荷時には、α方向のみに半径方向制御力が発生するように位置制御巻線電流を流しても、そのときのq軸電流iqの大きさに応じてβ方向に半径方向制御力Fβが発生し、α方向の半径方向制御力に干渉する。
【0009】
図3に、係る半径方向制御力の干渉を補償する補償ブロックを備えた半径方向位置制御系のブロック図を示す。まず、変位センサで検出した回転子位置α,βと指令値α*,β*との差分を取り、PID(比例・積分・微分)制御により半径方向制御力指令値Fα*,Fβ*を得る。変調補償ブロックでは、回転子に同期させるための変調と、前述した半径方向制御力の干渉を取り除く補償が行われ、位置制御電流指令値iα*,iβ*が発生する。インバータで指令値通りの電流iα,iβを固定子巻線に供給し、式(1)に従って半径方向制御力Fα,Fβが発生する。
補償ブロックでは、前述した負荷時に新たに発生する半径方向制御力を予測し、これをうち消すような電流iα*,iβ*を指令することで、実際に発生する半径方向制御力が干渉しないように補償が行われる。
【0010】
変調補償ブロック全体を数式で表すと、式(3)に示すようになる。
【数3】
ここで、ωは回転子の角速度、θは駆動磁界と回転子の回転角度の偏差である偏角である。
【0011】
係る従来の制御法を試作機に適用して、負荷時の半径方向制御力が十分に非干渉化できるか否かについて実験を行った。実験は、α軸方向にのみ半径方向制御力を発生させるため、主軸にプーリーを介して2kgのおもりをつるし、回転速度を毎分1500回転とし、ベアリングレスモータの主軸に連結した発電機により負荷を変化させ、そのときのα,β方向半径方向制御力指令値Fα*,Fβ*を測定した。実験結果を図4に示す。なお、半径方向制御力指令値はq軸電流iq=0のときのFn *の値で規格化して示している。
【0012】
半径方向制御力の非干渉化が達成されていれば、図中の破線で示すとおり、Fα*はq軸電流によらず一定であり、Fβ*は0になるはずである。しかしながら、実験結果より、Fα*はq軸電流にともない増加し、Fβ*もq軸電流によって減少していることがわかる。さらには、q軸電流iq=5A以上でベアリングレスモータは不安定となりタッチダウンしてしまった。この結果から、従来の制御法をそのまま埋込磁石構造型回転子のベアリングレスモータに適用しても、半径方向制御力が干渉し、安定に制御できないことが分かった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、埋込磁石構造型回転子を備えたベアリングレスモータの負荷運転時においても、トルクを発生するための電流により生じる磁束に対して、十分な非干渉化制御が行え、安定に運転が可能な制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、回転するm極対でなる駆動磁界に同期してn極対(但しN=M±1)の制御磁界を駆動磁界に重畳し、回転磁極に回転力を与えると同時に、該回転磁極の変位検出手段によって検出した該回転磁極の変位から該制御磁界を増減して該回転磁極を磁気力支持するベアリングレスモータに用いる制御装置であり、該制御装置は、ベアリングレスモータに対する回転方向の負荷によって発生する駆動磁界の回転角度と回転子の回転角度との偏差を検出する偏角算出器を備え、該偏角算出器の信号と回転角の信号に応じて行列演算を行う変調器と、トルク電流に対応した磁気飽和に応じて、位置制御電流の振幅を調整する飽和補償器を設けたことを特徴とするベアリングレスモータの制御装置である。
【0015】
ベアリングレスモータにおいて、駆動磁束と制御磁束が増加すると、固定子、回転子の磁束経路における磁性材料(通常は珪素鋼板)に磁気飽和が発生する。磁気飽和の発生する状態では固定子巻線に与えた電流の増分に対する磁束の増分は、磁気飽和の発生しない状態と比較して小さくなる。この電流対発生磁束の関係は、線形的に増減するという仮定の下に、トルク電流の発生時における発生制御力の非干渉化を従来の技術では行っている。また、同時に駆動磁束、制御磁束はそれぞれ極数に応じた周期関数的、正弦波的分布を、その周方向に持つと仮定している。
しかしながら、前述の事由により、より大きな制御力を発生するために、より大きな制御電流を与えた場合、駆動磁束と制御磁束で合成された総磁束により、継鉄部に部分的な磁気飽和が発生する。この状態では総磁束の周方向分布は正弦波的分布ではなくなり、その振幅が非線形的に変調されたものとなる。これによって、従来の発生制御力に対する非干渉化補償は十分でなくなり、新たな干渉が発生する。
本発明によれば、非干渉処理部に磁束の飽和を補償する飽和補償器を導入することで、係る磁気飽和に対応した発生制御力を出力することができ、これによりベアリングレスモータを高負荷時にも十分に非干渉制御することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記飽和補償器は、発生制御力とトルク電流の値、またはそれに相当する観測量から演算する演算装置により構成されることを特徴とする。
これにより、トルク電流に対応した非干渉制御に必要な発生制御力の大きさを正確に予測することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記飽和補償器は、以下の演算式を演算する演算装置によって構成されることを特徴とする請求項1記載のベアリングレスモータの制御装置。
Mq'=−mq×iq+k
但し、Mqはq軸方向の制御巻線と駆動巻線の相互インダクタンスを半径方向位置で微分した値であり、iqはトルク電流、mq及びkは発生制御力とトルク電流より設定する係数である。
これにより、比較的簡単な演算により、発生制御力に及ぼす磁気飽和の影響を補償することができる。尚、過負荷時などに対応するためには、Mq’は単なる直線でなく、折線、高次の多項式、指数関数等で近似すればよい。また、半径方向力を発生する巻線の電流の大きさにもMq’は依存する。そこで、より精密に制御する場合には、Mq’をiqやidの関数として近似することが必要である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記トルク電流iqの演算には、リミッタを設け、該トルク電流iqを安定浮上制御範囲内に制限することを特徴とする。
これにより、トルク電流iqが安定浮上制御範囲内に常に制限されるので、ベアリングレスモータを常に安定に浮上制御できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図5乃至図12を参照しながら説明する。
【0020】
本発明のベアリングレスモータの制御装置の概要を図5に示す。この対象とするベアリングレスモータは、回転子外周面に永久磁石を配設した埋込磁石構造型回転子を磁気軸受作用により浮上支持しつつ、且つ回転駆動するものである。即ち、回転するm極対(この例では2極対)の駆動磁界に同期して、n極対(この例では1極対)の制御磁界を駆動磁界に重畳し、回転子に回転力を与えると同時に、該回転子の変位検出手段によって検出した該回転子の変位(α,β)から該制御磁界を増減して該回転子を磁気力支持するベアリングレスモータの制御装置である。この制御装置は、ベアリングレスモータに対する回転方向の負荷によって発生する駆動磁界の回転角度と回転子の回転角度との偏差を算出する偏角算出器11を備える。更に、駆動磁界と制御磁界によって発生する磁束の経路における磁気飽和に応じて、制御磁界の振幅を調整する飽和補償器21を設けている。
【0021】
この制御装置の動作の概要は次の通りである。このベアリングレスモータには、インバータ等の電流制御器12よりその駆動巻線に4極の駆動電流が供給され、回転子が回転駆動される。一方で、回転子の浮上位置は位置検出器13,14でそれぞれα軸方向及びβ軸方向の変位が検出され、目標浮上位置α*,β*とそれぞれ比較される。そして、その比較結果の差分がPID制御装置に入力され、その差分を0とするように制御力指令値Fα*,Fβ*が出力され、変調器15に入力される。変調器15においては、上述した(3)式に示す行列演算が行われ制御電流座標面に変換される。そしてその出力は制御電流指令器16に入力され、上記(3)式の係数に相当する制御力係数が演算器17より入力され、これにより浮上位置制御電流指令値iα*,iβ*が出力される。この制御電流指令器16よりの出力は2相3相変換器18により3相巻線電流値に変換され、インバータ装置等の電流制御器19より電動機Mの位置制御巻線に供給される。
【0022】
ここで、磁気飽和に伴う補償は次のように行われる。回転座標系における制御電流指令値iα*,iβ*を求めるに際して、上記(3)式の演算を行列部の演算と、係数部の演算とに分けて行う。そして、それぞれの演算が変調器15及び制御力係数演算器17で行われる。そして、後述するように磁気飽和の影響は制御力係数演算器におけるMq’の算定に対して、これをトルク電流iqの一次関数として扱うことにより解決される。ここでMq’はq軸方向の電動機巻線と位置制御巻線との相互インダクタンスを回転子の半径方向変位で微分した値である。この飽和補償器21の定数mq’及びkを適当な値に選定することで、磁気飽和に対応した適切な非干渉制御を行える。尚、本図はトルク電流iqはトルク電流指令値iq*と同一であり、且つd軸電流idもd軸電流指令値id*と同一である場合である。実際のd軸電流id、トルク電流iqを用いれば、より精密な制御が可能である。
【0023】
以下に、従来の不十分な非干渉制御の原因分析から、磁気飽和を補償する飽和補償器について、その詳細を説明する。図6は、q軸電流に対する半径方向制御力の解析結果を示す。上述した半径方向制御力が干渉する原因を明らかにするため、有限要素法により解析を行った。有限要素法による解析では、位置制御電流iα、iβ、及びq軸電流の条件から、発生する半径方向制御力を計算することができる。解析条件は、位置制御電流をiα=4A,iβ=0とし、q軸電流iqを1Aずつ変化させている。図中の破線は式(2)より求めた理論値である。ここで、iαは一定であるので、理論値はFα一定、Fβはq軸電流に応じて一定の傾きMq’iαで増加することになる。解析結果から、Fαについては、q軸電流に対してほぼ一定の値をとっていることがわかる。しかしFβは、q軸電流3A付近から増加が鈍り、6A以上でほぼ一定となっていることがわかる。
【0024】
上述した従来の制御装置では、半径方向制御力は破線のように発生するものとして、位置制御電流指令値を補償している。しかしながら、有限要素法の解析結果から半径方向制御力は理論値通り発生していない。即ち、β軸方向のトルク分電流iqに対応した補償が十分でないのである。これが、半径方向制御力の非干渉化が達成できない原因であると考えられる。
【0025】
半径方向制御力が理論値通りに発生しない原因について考察すると、上述した図6に示す有限要素法の解析結果から、半径方向制御力が飽和している様子が見て取れる。このことから、半径方向制御力を発生する磁束が飽和している可能性が考えられる。そこで、埋込磁石構造型回転子のベアリングレスモータにおいて磁束がもっとも集中し、飽和が起こりやすい部分を特定することにする。
【0026】
図7は、負荷時にα軸負の方向に半径方向制御力が発生している場合の磁束の分布を示している。説明の便宜上、固定子歯12カ所を図7に示すようにA〜Lと符号を付する。歯の磁束はそれぞれ、下記のように表すことができる。ただし、磁束は回転子を出る向きを正とする。
A=+Ψm (4)
B=+Ψm+Ψq+Ψα1 (5)
C=−Ψm+Ψq+Ψα1 (6)
D=−Ψm +Ψα2 (7)
E=−Ψm−Ψq+Ψα1 (8)
F=+Ψm−Ψq+Ψα1 (9)
G=+Ψm (10)
H=+Ψm+Ψq−Ψα1 (11)
I=−Ψm+Ψq−Ψα1 (12)
J=−Ψm −Ψα2 (13)
K=−Ψm−Ψq−Ψα1 (14)
L=+Ψm−Ψq−Ψα1 (15)
【0027】
この結果、式(5),(14)より、歯B及びKで磁束が全て同じ方向を向いていることがわかる。つまり、q軸電流が増加した際に、歯B及びKがもっとも飽和しやすいと考えられる。
【0028】
図8は、有限要素法で解析した磁束分布を示す。解析条件はq軸電流iq=9A、位置制御電流iα=4Aとしている。図示する有限要素法の解析からも、歯B及びKの磁束がもっとも密になっていることが確認される。しかし、同時に歯H及びEも磁束が集中しており、歯B及びKのみで磁束が飽和するのではなく、歯HとEでも飽和が起こることが考えられる。これは、式(8),(11)より、歯H及びEでは、ΨmとΨqの方向が一致しており、歯B及びKに次いで磁束密度が高いからである。
【0029】
そこで、図8より磁束が集中して飽和すると考えられる4つの歯B,E,H,Kに注目して、q軸電流に対する磁束密度変化を有限要素法で解析する。結果を図9に示す。式(5),(8),(11),(14)からも明らかなとおり、それぞれの歯の磁束密度は、q軸電流が増すにつれΨqが増加するので、図の破線のように一定傾斜に増加するはずである。しかし、有限要素法の解析結果では、磁束密度はq軸電流の増加に対して線形に増加することなく、飽和することが確認できる。また、磁束の飽和は固定子歯K→B→H→Eの順で起こっている。すなわち、q軸電流が増加するに従い、上側ギャップに対向する歯K,Bの磁束が先に飽和し、次に、下側ギャップに対向する歯H,Eが飽和し始める。
【0030】
負荷時に発生する半径方向制御力Fβは回転子突極部を通る位置制御磁束Ψα1とq軸電流による電機子反作用磁束Ψqの強めあい弱めあい、つまり上部ギャップと下部ギャップとの磁束密度の差によって発生する。上側ギャップが先に飽和するということは、図2における回転子上部のギャップで磁束が増加しにくくなるということである。一方、回転子下部の磁束は遅れて飽和するので、結果的に上下ギャップ間での磁束密度の差は小さくなり、発生する半径方向制御力は、飽和が起きないとして求めた理論値と比較して小さくなると考えることができる。
即ち、電機子反作用磁束が飽和することにより、負荷時に発生する半径方向制御力が飽和し、理論値と比較して小さくなる。その結果、負荷時の半径方向制御力が非干渉化できず、図4に示すようにq軸電流が5A以上で制御不能となり、タッチダウンしてしまったと考えられる。
【0031】
図3に示す従来の非干渉化制御装置では、上述したように半径方向制御力を非干渉化できない場合が生じる。しかしながら、磁気飽和を考慮した半径方向制御力を正確に予測することができれば、完全な非干渉化を実現できると考えられる。
そこで、有限要素法により磁気飽和を考慮した半径方向制御力を解析し、その結果から非干渉化制御ブロックに入力する補償パラメータを算定することで、完全な半径方向制御力の非干渉化を実現できる。
【0032】
従来の非干渉化制御装置では、位置制御電流iαのみを流した条件下で、半径方向制御力は式(2)より、Fαはq軸電流によらず一定に発生し、Fβはq軸電流に応じて傾きMq’iαで一定に増加するとしていた。
しかしながら、実際にはFαはほぼ一定になるものの、Fβは電機子反作用磁束の磁気飽和の影響で、線形には増加しない。このことは、Fβの傾きMq’iαのうち、Mq’の値がq軸電流の値により変化するためであると考えることができる。そこで、Mq’をq軸電流により変化する変数として扱うものとする。式(2)をMq’について解くと、下記の式(16)になる。
Mq’=Fβ/(iq×iα)
【0033】
図10は、q軸電流とMq’の関係を示す。この関係は図5のFβの解析結果から式(16)によりMq’とq軸電流との関係を求めることができる。q軸電流の増加に従いMq’は直線的に減少している。Mq’を直線近似すると、下記の式(17)に示すようになる。
Mq’=−0.157×iq+2.1844 (17)
【0034】
式(17)より得られたMq’を補償パラメータとして非干渉化制御ブロックに入力する。このことは、図3に示す制御ブロック中の補償パラメータが、従来の係数が一定なものから、飽和補償器21により一次関数へと変更されたことを意味する。
【0035】
ここで、負荷時の半径方向制御力が飽和補償器により完全に非干渉化できるか実験により確認する。図11はその実験結果を示す。実験は、α軸方向にのみ半径方向制御力を発生させるため、2kgのおもりをプーリを介してつるし、回転速度を毎分1500回転とし、α,β方向半径方向制御力指令値Fα*,Fβ*を測定したものである。半径方向制御力の非干渉化が達成されていれば、図中の破線で示すとおり、Fα*はq軸電流によらず一定であり、Fβ*は0になるはずである。
【0036】
磁気飽和を補償する飽和補償器21を導入することで、図11に示すとおり、半径方向制御力はほぼ理論値と一致しており、補償誤差は最大で約3°と小さい。また、従来の制御装置ではq軸電流が約5Aでタッチダウンしたが、本発明の制御装置ではタッチダウンすることなく、q軸電流を9Aまで実験で流すことができた。このことから、本発明の制御装置では半径方向制御力を実用的な範囲で完全に非干渉化できる。
【0037】
前記トルク電流iqには、図12に示すようにリミッタ25を設けることが好ましい。このようにリミッタ25を配置することで、トルク電流iqが増大しても、その出力iq’が一定値に保たれる。従って、磁気飽和を補償できる安定浮上制御範囲内にその運転が制限される。このリミッタは、トルク電流指令値iq*に適用しても同様の効果が得られる。
【0038】
以上に本発明の一実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、高負荷時等の大きなトルク電流が流れた場合においても、磁気飽和を補償する飽和補償器を導入することで、完全な非干渉化制御が行える。従って、高負荷時においてもベアリングレスモータを安定に浮上制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無負荷時の半径方向制御力の発生原理を示す図である。
【図2】負荷時の半径方向制御力の発生原理を示す図である。
【図3】ベアリングレスモータの半径方向位置制御系を示すブロック図である。
【図4】半径方向制御力の干渉を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】有限要素法による半径方向制御力の解析結果を示す図である。
【図7】負荷時の磁束分布を示す図である。
【図8】有限要素法による磁束分布の解析結果を示す図である。
【図9】固定子歯部磁束密度を示す図である。
【図10】q軸電流とMq’の関係を示す図である。
【図11】磁気飽和を補償する補償飽和器による非干渉化の効果を示す図であり、横軸はq軸電流であり、縦軸は規格化した半径方向制御力指令値Fα*,Fβ*である。
【図12】トルク電流にリミッタを付して制限することを示す図である。
【符号の説明】
11 偏角算出器
15 変調器
16 制御電流指令器
17 制御力係数演算器
21 飽和補償器
25 リミッタ
α,β 主軸の変位
M ベアリングレスモータ
Claims (4)
- 回転するm極対でなる駆動磁界に同期してn極対(但しn=m±1)の制御磁界を駆動磁界に重畳し、回転磁極に回転力を与えると同時に、該回転磁極の変位検出手段によって検出した該回転磁極の変位から該制御磁界を増減して該回転磁極を磁気力支持するベアリングレスモータに用いる制御装置であり、該制御装置は、ベアリングレスモータに対する回転方向の負荷によって発生する駆動磁界の回転角度と回転子の回転角度との偏差を検出する偏角算出器を備え、該偏角算出器の信号と回転角の信号に応じて行列演算を行う変調器と、トルク電流に対応した磁気飽和に応じて、位置制御電流の位相と振幅を調整する飽和補償器を設けたことを特徴とするベアリングレスモータの制御装置。
- 前記飽和補償器は、発生制御力とトルク電流の値、またはそれに相当する観測量から演算する演算装置により構成されることを特徴とする請求項1記載のベアリングレスモータの制御装置。
- 前記飽和補償器は、以下の演算式を演算する演算装置によって構成されることを特徴とする請求項1記載のベアリングレスモータの制御装置。
Mq'=−mq×iq+k
但し、Mqはq軸方向の、制御巻線と駆動巻線の相互インダクタンスを半径方向位置で微分した値であり、iqはトルク電流、mq及びkは発生制御力とトルク電流より設定する係数である。 - 前記トルク電流iqの演算には、リミッタを設け、該トルク電流iqを安定浮上制御範囲内に制限することを特徴とする請求項3記載のベアリングレスモータの制御装置。
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