JP4198827B2 - 建物における壁パネルの施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物における外壁パネル等の壁パネルの施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、複数階の鉄骨造建物の建築において、外壁などの壁の施工を乾式工法の壁パネルを用いて行う場合、壁パネルの施工は、これを重機などで吊って、所定の取付け位置まで搬送し、取り付ける、というようにして行われていたから、上の階の床が施工された後では、その床が邪魔になって、下の階の壁パネルの施工を行えず、そのため、施工は、床の施工と壁パネルの施工とを下の階から上の階に向けて交互に繰り返していくというようにして行わざるを得なかった。
【0003】
特に、例えば、バルコニーや共用廊下などの出っ張り床部を有する2階建て以上のマンション等の建物において、この出っ張り床部と建物内部との間に設置される外壁パネルを施工する場合、上の階の出っ張り床部が先に施工されていたのでは、下の階の外壁パネルを重機で吊って上の階の出っ張り床部の下方に搬送するというようなことが困難であり、施工は、出っ張り床部の施工とこの外壁パネルの施工とを下の階から上の階に向けて交互に繰り返していくというようにして行わざるを得ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、床の施工と壁の施工とを下の階から上の階に向けて交互に繰り返す施工方法では、施工を効率良く進めていくのがなかなか難しいという問題がある。即ち、下の階の床の施工を終えてその階の壁パネルの施工をした後、その上の階の床の施工を行うが、この床の施工を終えるまでの間、その階の壁パネルの施工の開始を待たなければならず、これが各階の施工においてその都度生じる。床の施工についても同様のことがいえる。しかも、床と壁との互いに種類を異にする施工を交互に繰り返していかなければならないという煩雑さもある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、施工を効率良く行っていくことができる、建物における壁パネルの施工方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、階上床版の下面に備えられた吊り用のガイドレールに、この床版の下の階に備えられる壁パネルを建物の外からわたして吊らせ、その吊り状態で、該壁パネルを、ガイドレールに案内させて階上床版下の所定の取付け位置へと搬送し、取付け所定位置にて固定状態に取り付けることを特徴とする建物における壁パネルの施工方法によって解決される。
【0007】
この施工方法によれば、階上の床版の存在が、その下の階に設置される壁パネル、例えば外壁パネルの施工の邪魔になることはない。即ち、壁パネルは、これを、既に施工された階上の床版の下面に備えられた吊り用のガイドレールに建物の外から重機などにてわたして吊らせ、その吊り状態で所定の取付け位置に搬送し、取付けを行うというようにして、下の階の壁パネルの施工を行っていくことができる。従って、まず、各階の床版を先行して施工し、しかる後、各階の壁パネルを施工していくという施工方法を採用することも可能となり、施工を効率良く遂行していくことができる。
【0008】
典型的な例として、壁パネルが、建物の外方に突出される出っ張り床部と建物内部との間に設置される外壁パネルである場合には、従来なら、階上の出っ張り床部の施工を行う前に、その下の階の外壁パネルの施工を行わないと、出っ張り床部が下の階の外壁パネルの施工の妨げとなって、外壁パネルを重機等にて所定の取付け位置まで搬送するということができず、そのため、下の階から上に階に向けて出っ張り床部の施工と外壁パネルとの施工を交互に繰り返していかなければならないが、本発明によれば、まず各階の出っ張り床部を施工した後、外壁パネルを、出っ張り床部の下面側に備えられている吊り用のガイドレールに建物の外から重機などにてわたして吊らせ、その吊り状態で所定の取付け位置に搬送し、取付けを行うというようにして各階の外壁パネルの施工を行っていくことができ、施工を効率良く遂行していくことが可能となる。
【0009】
階上床版として、ガイドレールを予め一体的に備えたプレキャストコンクリート版を用いる場合は、床版下面へのガイドレールの組み込みを容易に行うことができる。
【0010】
また、上記課題は、階上床版の下面に備えられる壁パネルを、階上床版下の所定の取付け位置へと搬送し、取付け所定位置にて固定状態に取り付けることを特徴とする建物における壁パネルの施工方法によっても解決される。即ち、重機などの吊り機ではこのような施工は困難であるが、吊り用のガイドレールを使用する以外にも方法は種々あり、各種方法にて、この施工方法を実施することは可能である。この方法によれば、床版の施工と壁パネルの施工を交互に繰り返していかなければならないという従来の基本的課題そのものを解決することができ、施工を効率良く行っていくことができる。
【0011】
同様に、2階又は3階以上の複数階の建物における壁パネルの施工方法であって、
各階の床版の施工を終えたのち、これら床板下に備えられる壁パネルの施工を行うことを特徴とする建物における壁パネルの施工方法によっても解決される。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1乃至図7は、本発明をマンション等の鉄骨造の2階又は3階以上の建物の建築に適用した場合のもので、1,2は建物躯体の梁、3は床版、4は壁パネルとしての外壁パネルである。
【0014】
床版3はプレキャストコンクリート版からなっており、中間部上面に隆起部5を有し、この隆起部5を挟む一方の側が建物内部に突出され、隆起部5を挟むもう一方の側が建物外方に突出される出っ張り床部としてのバルコニー床部6を形成するもので、隆起部5の位置に、バルコニー側と室内側とを区画する外壁パネル4が設置される。
【0015】
この床版3において、隆起部5の下面には、外壁パネル4を吊る下向き開放で両側に吊持用のリップ7a,7aを備えた溝形材からなるガイドレール7が埋め込み状態に備えられている。レール7は、プレキャストコンクリート版の成形時に型枠の中にセットすることで床版3と一体化されている。レール7は、床版3の隆起部5に沿うよう延ばされた主レール部71と、この主レール部71から分岐されてバルコニー床部6の鼻先に開放された外壁パネル導入用のレール部72とで構成されており、バルコニー床部6の鼻先に開放された導入用レール部72の先端部を通じて、レール7への外壁パネル4の導入を行えるようになっている。
【0016】
外壁パネル4には、その上端部の左右2箇所にレール係合子8,8が上方に突出して備えられており、この係合子8,8を床版3のレール7の溝内に存置させ、その両リップ7a,7aに受けさせることで、外壁パネル4を、吊り状態で、レール7に沿って搬送していくことができるようになっている。係合子8はレール7の溝内を転動しながら移動していくものであってもよいし、摺動しながら移動していくものであってもよい。
【0017】
施工は、例えば、次のようにして行うことができる。即ち、図2に示すように、鉄骨にて建物躯体を形成した後、まず、床版3を重機などで吊ることによって下の階から上の階に向けて順次施工していく。各階では、図3に示すように、床版3を横方向に並べていくことになる。各床版3は、建物内に突出される部分の下面を梁1,2に受けさせて建物躯体に固定していくというようにして行われる。なお、各階において、隣り合う床版3,3の主レール部71,71同士が連続するように施工していくことはいうまでもない。また、同じ階において、導入用レール部72を有する床版は少なくとも1つ備えられていればよく、他は主レール部71のみ備えられたものであってよい。
【0018】
こうして各階の床版3の施工を終えた後、各階に対し外壁パネル4の施工を行う。施工は、外壁パネル4を重機などで吊り、図4及び図5に示すように、外壁パネル4に備えられている係合子8,8を、建物の外から、床版3のバルコニー床部6の鼻先に開口する導入用レール部72内に導入して吊らせ、外壁パネル4を重機などの吊り機から床版3のレール7へとわたしていく。吊り機は、外壁パネル4をレール7にわたすのを終えた時点で、次の外壁パネル4の吊り上げ作業に移行することができ、即ち、外壁パネル4の取付け位置まで吊って搬送していく必要がなく、導入用レール部72の導入部と資材置き場とを往復するだけでよく、外壁パネル4を能率良く建物にわたしていくことができる。レール7にわたした外壁パネル4は、レール7に吊ったまま、導入レール部72から主レール部71へと人手などにより送っていき、所定の取付け位置へと搬送する。これを繰り返し、その階に必要数の外壁パネルを取り込ませていく。しかる後、その階において、各外壁パネル4の上部と下部を、図7に示すように、アングル材などによるファスナー9,10にて、上下の床版3,3に固定していく。これを各階において次々に行っていけばよい。以上のようにして、図6に示すように、床版3と外壁パネル4とが施工される。このように、本発明方法によれば、各階の床版3の施工を先行して行い、しかる後、各階の外壁パネル4の施工を行うという方法を採用することができ、施工を効率良く行っていくことができる。上記のようにして施工された建物では、レール7を利用して、のちに、必要に応じて、外壁パネル4を取り外し、新しい外壁パネルと交換するというような施工を行うことも可能である。
【0019】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で、各種の変更が可能である。例えば、出っ張り部のない建物の内部の床版の施工と、その床版下に設置される壁パネルの施工に用いられてもよいし、鉄骨造の建物に限らず各種構造形式の建物の施工に用いられてよい。また、屋上床版の下面にレールを備えさせて、その下の階の壁パネルの施工を屋上床版のレールに吊らせて行うようにしてもよいことや、2階床版の下面にレールを備えさせて1階の壁パネルの施工を2階床版下面のレールに吊らせて行うようにしてもよいことはいうまでもない。また、上記の実施形態では、レール7を主レール部71と導入用レール部72とで構成しているが、導入用レール部を主レール部に兼ねさせ、主レール部の端部を建物の外方に開放し、そこから壁パネルを導入するというようにしてもよい。また、上記実施形態では、レール側を雌、係合子側を雄としているが、その逆であってもよいし、要は、外壁パネルを吊り状態でレールに沿って搬送していくことができる構成のものであればいずれの構造のものであってもよい。
【0020】
【発明の効果】
上述の次第で、本発明方法によれば、階上床版の下面に備えられた吊り用のガイドレールを利用することで、この床版の下の階に備えられる壁パネルの施工を遂行していくことができ、施工を効率良く行っていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示すもので、外壁パネルの施工方法を示す断面斜視図である。
【図2】床版を施工した状態の断面側面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】外壁パネルの取込み途上の状態を示す断面側面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】施工後の断面側面図である。
【図7】外壁パネルの取付け構造を示す断面側面図である。
【符号の説明】
3…床版
4…外壁パネル(壁パネル)
7…吊り用レール
8…係合子
Claims (5)
- 階上床版の下面に備えられた吊り用のガイドレールに、この床版の下の階に備えられる壁パネルを建物の外からわたして吊らせ、その吊り状態で、該壁パネルを、ガイドレールに案内させて階上床版下の所定の取付け位置へと搬送し、取付け所定位置にて固定状態に取り付けることを特徴とする建物における壁パネルの施工方法。
- 壁パネルが、建物の外方に突出される出っ張り床部と建物内部との間に設置される外壁パネルからなる請求項1に記載の建物における壁パネルの施工方法。
- 階上床版が、ガイドレールを予め一体的に備えたプレキャストコンクリート版からなる請求項1又は2に記載の建物における壁パネルの施工方法。
- 階上床版の下面に備えられる壁パネルを、階上床版下の所定の取付け位置へと搬送し、取付け所定位置にて固定状態に取り付けることを特徴とする建物における壁パネルの施工方法。
- 2階又は3階以上の複数階の建物における壁パネルの施工方法であって、
各階の床版の施工を終えたのち、これら床板下に備えられる壁パネルの施工を行うことを特徴とする建物における壁パネルの施工方法。
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JP16880499A JP4198827B2 (ja) | 1999-06-15 | 1999-06-15 | 建物における壁パネルの施工方法 |
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JP2000355995A JP2000355995A (ja) | 2000-12-26 |
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