JP4197406B2 - ガス絶縁開閉器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はガス絶縁開閉器に関し、特に閉成時には互いに嵌合し、開離時には間にアークを発生する接触子を持つガス絶縁開閉器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のガス絶縁開閉器はアークを回転させて遮断するために固定アーク接点内部に永久磁石を配置している。このようなガス絶縁開閉器は例えば出願中であって公知ではない本出願人による2001年特許出願「ガス絶縁断路器」(出願人事件番号531120JP01)に示されている。永久磁石を用いるガス絶縁開閉器は、実開昭57−197144号公報、特開昭59−91621号公報および実開平5−68039号公報にも記載されている。
【0003】
図11および図12は、従来のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図であり、図11は固定アーク接点部を軸と垂直な方向より見た概略図、図12は軸方向より見た図である。消弧室は絶縁ガスを封入したタンク(図示していない)内に配置される。これらの図において、1は筒状に配置された複数のフィンガー状の部材で構成された固定主接点、2は固定主接点1内の空間に設けられた固定アーク接点であって、固定主接点1および固定アーク接点2により固定接触子が構成されている。3は固定主接点1と固定アーク接点2に対向配置された筒状の可動接点であり、可動接触子を構成している。4は固定主接点1の周囲に設けられた固定側シールド、5は可動側シールド、6は集電子、7は接点間に発生するアーク、8は固定アーク接点内部に駆動軸方向に着磁された永久磁石である。
【0004】
固定アーク接点2は、図12によく示されているように、互いにスリット2aにより周方向に分離されて環状に配置されたフィンガー部材2bにより構成されている。各フィンガー部材2bは軸方向に延びていて全体として円筒状を呈しており、内部に形成された空間内に永久磁石8が設けられている。永久磁石8からの磁界は図11に示すようにアーク7に作用して、アークを駆動するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなガス絶縁開閉器にあっては、アーク7は通常スリット2aで隔てられたフィンガー部材2bで構成された固定アーク接点2上を回転するためアーク7はスリット2aを飛び越える必要があり、その分回転しにくいために遮断性能が十分改善されていないという問題があった。また、アーク時間が長い場合にはアーク7が固定接点2の周囲に配置されたシールド4に転移する場合があり、その場合にはアーク7と永久磁石8との間の距離が大きくなるため磁界作用が弱くなり、アーク7が回転しにくく、遮断性能の改善の余地があるという問題があった。
【0006】
従って、この発明の課題は上述のような従来のガス絶縁開閉器の問題点を解消し、アークの周方向移動を滑らかにすることであり、また遮断性能を改善したガス絶縁開閉器を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、上述の課題を解決するための手段は次の通りである。
(1)絶縁性ガスを封入したタンクと、上記タンク内に設けられた固定接触子と、上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方に設けられ、上記両接触子上でアークを駆動する永久磁石とを備えたガス絶縁開閉器において、上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方が、ほぼ連続した環状のアーク走行部を備えたことを特徴とするガス絶縁開閉器。
【0008】
(2)上記固定接触子が、ほぼ円筒形の本体と、上記本体に設けられて上記可動接触子に弾性的に接触する複数の弾性接触部材とを備え、上記アーク走行部が上記本体の上記可動接触子側の端部に設けられている。
【0009】
(3)上記固定接触子が、ほぼ円筒形の本体と、上記本体に設けられて上記可動接触子に弾性的に接触する複数の弾性接触部材とを備え、上記アーク走行部が上記本体の上記可動接触子側の端部に設けられた周方向に連続した環状部材であることを特徴とする請求項1記載のガス絶縁開閉器。
【0010】
(4)上記複数の弾性接触部材は、上記固定接触子の軸方向に延びたスリットにより互いに分離されており、上記スリットは上記固定接触子の径方向に対して傾斜したものであることを特徴とする請求項2記載のガス絶縁開閉器。
【0011】
(5)絶縁性ガスを封入したタンクと、
上記タンク内に設けられた固定接触子と、
上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、
上記可動接触子に設けられ、上記両接触子間のアークを駆動する永久磁石とを備えたことを特徴とするガス絶縁開閉器。
【0012】
(6)上記永久磁石が、上記可動接触子上で軸方向に弾性的に可動に取り付けられており、閉成時には固定接触子により押圧されて後退位置となり、開放時には弾性力により前進位置となり得ることを特徴とする請求項5記載のガス絶縁開閉器。
【0013】
(7)上記可動接触子上の上記永久磁石と逆極性の永久磁石を上記固定接触子上に設けたことを特徴とする請求項5あるいは6記載のガス絶縁開閉器。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1であるガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。また、図2は固定アーク接点部を軸と垂直な方向より見た概略図、図3は軸方向より見た図である。消弧室は絶縁ガスを封入したタンク(図示していない)内に配置される。図1において1は筒状に配置された複数のフィンガー状の部材で構成された固定主接点、11は固定主接点1内の空間に設けられた固定アーク接点であって、固定主接点1および固定アーク接点11により固定接触子12が構成されている。3は固定主接点1と固定アーク接点11に対向配置された筒状の可動接点であり、可動接触子13を構成している。4は固定主接点1の周囲に設けられた固定側シールド、5は可動側シールド、6は集電子、7は接点間に発生するアーク、8は固定アーク接点内部に駆動軸方向に沿ってN極、S極またはS極、N極となる向きに配置された永久磁石を各々示す。固定アーク接点11は後に説明するような折り返された構造になっており、折り返し部にはスリットが入れられている。
【0015】
また、固定アーク接点11は固定主接点1の内側に同心円的に配置されており、これら両接点1、11の間の隙間に可動接点3が進退して駆動変位される。固定接触子12の固定アーク接点11は、ほぼ円筒形の本体14と、本体14の可動接触子13側の端部に設けられて周方向に連続した環状のアーク走行部15と、アーク走行部15に設けられて軸方向に可動接触子13から遠ざかる方向に折り返されて延び、互いにスリット16により周方向に分離され、可動接触子13に弾性的に接触する複数のフィンガー状の弾性接触部材17とを備えている。
【0016】
ガス絶縁開閉器が閉極状態にあるときには、電流は固定主接点1、可動接点3、および集電子6を通して通電している。ガス絶縁開閉器に開極指令が与えられると、図示していない駆動装置により可動接点3が図1の右方向に駆動される。それにより固定主接点1と可動接点3が開離し、固定主接点1を流れていた電流は固定アーク接点11の折り返し部である弾性接触部材17を通して流れる。さらに開極が進むと固定アーク接点11の弾性接触部材17と可動接点3とが開離し、その間にアーク7が発生する。さらに開極が進むとアーク7の固定接触子12側の脚は、スリット16により周方向に分離されたフィンガー状の弾性接触部材17からスリット16のない先端部である周方向に連続した環状のアーク走行部15へと移動する。
【0017】
発生したアーク7は永久磁石8の発生する磁界とアーク電流によるローレンツ力を受けて回転運動する。それによりアーク7は冷却され、消弧する。この場合、アーク7はスリットの無い固定接触子12の先端部のアーク走行部15上を駆動させられるため、スリットのあるフィンガー状の固定アーク接点上を移動する場合のようにスリットを飛び越えて回転する必要がなく、アーク7が回転しやすくなり、消弧しやすくなって、遮断性能が向上する。
【0018】
このように、この発明のガス絶縁開閉器は、絶縁性ガスを封入したタンク(図示してない)内に設けられた固定接触子12と、タンク内に設けられ、固定接触子12に対して接離し得、遮断時に固定接触子12との間にアーク7を発生する可動接触子13とを備え、また、固定接触子12および可動接触子13間に跨って発生するアーク7をこれらの接触子12および13上で駆動させる永久磁石8とを備えている。図示の例では、この永久磁石8は固定接触子12の固定アーク接点11に設けられているが、固定接触子12および可動接触子13の少なくともいずれか一方に設けられていれば良い。ガス絶縁開閉器は更に、固定接触子12および可動接触子13の少なくともいずれか一方が、ほぼ連続した環状の表面を持ち、この表面に沿ってアーク7が滑らかに走行できるアーク走行部15を備えている。
【0019】
従って、この発明のガス絶縁開閉器によれば、アークが回転する際にスリットを飛び越える必要が無く、固定接触子12上で回転しやすくなり、遮断性能が向上する。また、固定アーク接点11の弾性接触部材17は、折り返し部にスリット16を設けてフィンガー状としてバネ性を持たせたもので、弾性接触部材17とアーク走行部15とは滑らかに連続しているので、アーク7がアーク走行部15に転流しやすくなる。しかしながら、スリット16は折り返し部のみにあるため固定アーク接点11の先端部は連続した環状のアーク走行部15となっていて、アーク7がその上で回転しやすく、遮断性能が向上する。
【0020】
実施の形態2.
図4および図5には、この発明のガス絶縁開閉器の別の実施の形態を示し、図4はガス絶縁開閉器の消弧室の概略断面図であり、図5は固定アーク接点部を軸方向より見た図である。固定接触子21は、円筒状に配置された複数の軸方向に延びた複数のフィンガー状の弾性接触部材22と、弾性接触部材22によって囲まれた空間内に、弾性接触部材22の撓みを妨げないように設けられた円筒状の支持体23と、支持体23の先端に固着され、周方向に連続した環状のアーク走行部24とを備えている。支持体23は円筒形でなくとも、軸方向に延びた複数の支柱であってもよい。
【0021】
ガス絶縁開閉器に開極指令が与えられると、固定接触子21の弾性接触部材22と可動接点3とが開離してその間にアーク7が発生する。更に開極が進むと、可動接点3と弾性接触部材22との間の距離に比べて可動接点3とアーク走行部24との間の距離の方が近いため、アーク7の固定接触子21側の脚は弾性接触部材22上のアーク走行部24に転移する。アーク7は連続したアーク走行部24上を駆動させられるため、スリットを飛び越えて回転する必要がなく、アークは回転しやすくなり、消弧しやすくなって遮断性能が向上する。また、アーク走行部24を弾性接触部材22とは別に設けたため、図1乃至図3に示す実施形態に比べて、固定アーク接点のスリットを長くすることができ、フィンガー状の弾性接触部材22に十分なバネ性を持たせることができる。
【0022】
実施の形態3.
図6および図7は、この発明の更に別の実施の形態であるガス絶縁開閉器の閉極時の固定接触子31の固定アーク接点32を軸方向に示す図である。図7は開極時の固定アーク接点部32を示す図である。この固定接触子31の固定アーク接点32は全体としては図11および図12に示すものと同様であって、互いに軸方向のスリット33により分離されて軸方向に延びた8本のフィンガー状の弾性接触部材34を備えている。相違している点は、図12のスリットが形成されている面が、固定接触子31の軸心を含み、径方向あるいは放射状の平面内に形成されているのに対して、図6および図7のスリット33は、軸方向に見て螺旋状あるいは渦巻き状に延びていることである。従って、スリット33を含む面は平面でなく円弧状等の曲面であり、或るスリット33の径方向内端と径方向外端とは周方向に位置がずれている。この構成により固定アーク接点32はフィンガー状の弾性接触部材34が広がった開極時でも図7に示すようにスリット33の幅が比較的狭い状態になり、アークが弾性接触部材34間で移動しやすくなる。
【0023】
アーク7はスリットの隙間が狭い固定アーク接点32上を駆動されるため、従来の幅の大きなスリットのあるフィンガー状の固定アーク接点32上を移動する場合のように広いスリットを飛び越えて回転する必要がなく、アークが回転しやすく、消弧しやすくなる。すなわち、遮断性能が向上する。ここではスリット33として円弧状に切れ目を入れたものが示されているが単に直線的に斜めに入れたスリットでも同様の効果がある。
【0024】
実施の形態4.
図8は、この発明の別の実施の形態であるガス絶縁開閉器の消弧室を示す断面図である。消弧室は絶縁ガスを封入したタンク(図示していない)内に配置される。図8において1は筒状の固定主接点、2は縦にスリットを有するフィンガー状の固定アーク接点であり、固定主接点1および固定アーク接点2により固定接触子35が構成されている。3は固定主接点1と固定アーク接点2に対向配置された筒状の可動接点であり、可動接点3の内部に設けられた永久磁石36とともに可動接触子41を構成している。4は固定主接点1の周囲に設けられた固定側シールド、5は可動側シールド、6は集電子、7は接点間に発生するアークを各々示す。可動接点3内部の永久磁石36は駆動軸方向に沿ってN極、S極またはS極、N極となる向きに軸方向に着磁されて配置されている。また、固定アーク接点2は固定主接点1の内側に同心円的に配置されており、これら両接点1、2の間の隙間に可動接点3が、固定アーク接点2内部に永久磁石が進退するように駆動変位される。
【0025】
このガス絶縁開閉器が図11および図12に示すガス絶縁開閉器に対して相違する点は、永久磁石36が可動接触子41側に設けられている点である。永久磁石36は、円筒状の可動接点3の内側の空間内に、空間の底壁から同軸に固定接触子35側に突出して設けられ、固定アーク接点2の内径よりも小さい外径を持っている。従って、閉位置では永久磁石36は固定アーク接点2の内部に挿入され得る。
【0026】
ガス絶縁開閉器に開極指令が与えられると、可動接点3が後退し、固定アーク接点2と可動接点3との間にアーク7が発生する。発生したアーク7は永久磁石36の発生する磁界とアーク電流によるローレンツ力を受けて回転運動する。それによりアーク7は冷却され、消弧する。
【0027】
しかしながら、アーク時間が長くなる場合にはさらに開極が進み、可動接点3の先端が図8で固定側シールド4よりも右側になりアーク7は図8に示すように固定側シールド4に転移する可能性がある。その場合、固定アーク接点2の内部に永久磁石を配置した場合にはアークと永久磁石間の距離が遠くなるため磁気駆動力が弱まり、アーク7が回転しにくくなり、消弧しにくくなるが、図8に示すように可動接点3の内部に永久磁石36を配置することにより、アーク7が固定側シールド4に転移した場合でも、磁界の影響が強い可動接点3付近のアーク7への磁界強度は変わらないため安定した遮断性能を有することができる。
【0028】
ここでは、永久磁石36は閉位置では固定アーク接点2の内部にまで挿入されるように構成されているが、閉極時に固定アーク接点2の内部に入り込まずに、固定アーク接点2の先端部よりも先には進まぬような位置で可動接点3の内部に永久磁石36を配置することもできる。その場合にはアーク7と永久磁石36との間の距離は遠くなるが永久磁石36を固定アーク接点2内に挿入する必要がないので永久磁石36の直径を大きくして強い磁界を利用することができる。
【0029】
実施の形態5.
図9は、この発明の更に別の実施の形態であるガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。図8のガス絶縁開閉器との相違点は、可動接点3の内部に設けられた永久磁石37が、可動接点3の内壁により摺動案内されて軸方向に可動であることである。即ち永久磁石37はほぼ円柱形で一端にフランジを持つ磁石ホルダー38内に保持され、可動接点3のシリンダー部内に設けた圧縮ばね39により軸方向に偏倚され、磁石ホルダー38のフランジが可動接点3のシリンダー部の一端に設けたフランジと係合した位置に弾性的に保持されている。
【0030】
また別の相違点は、永久磁石37あるいは磁石ホルダー38の外径が、固定アーク接点2の内径よりも大きくされていて、閉位置では固定アーク接点2が永久磁石37あるいは磁石ホルダー38の端面に当接してこれを可動接点3内に押し込むようにしてあることである。永久磁石37あるいは磁石ホルダー38の外径の上限は、可動接点3と固定アーク接点2との間の離接動作を妨げないような最大限の外径である。
【0031】
ガス絶縁開閉器が閉極状態にある場合には、磁石ホルダー38が固定アーク接点2に押されバネ39が縮んだ状態になる。開極指令が与えられ、可動接点3が駆動されるに従いバネ39が伸びるが、可動接点3が固定アーク接点2を離れる前に、磁石ホルダー38のフランジと可動接点3のフランジとが係合して磁石ホルダー38が固定アーク接点2から離れる。その後可動接点3が固定アーク接点2を離れ、その間にアーク7が発生する。
【0032】
この構成によれば、閉極時にアーク7に磁界を作用する永久磁石37がアーク7の近くに位置しているので永久磁石37を有効に活用でき、固定アーク接点2内部に挿入されないために、永久磁石8の外径を固定アーク接点2の外径近くにまで大きくして磁界を強くすることができる。
【0033】
この例では永久磁石37および磁石ホルダー38を駆動する手段として圧縮ばね39を用いているが、他の弾性体を用いてもよいし、引っ張りの弾性力によってもよい。また、可動接点内部を流体シリンダ状にして駆動時に流体圧力により永久磁石37とともに磁石ホルダー38を動かしてもよい。
【0034】
実施の形態6.
図10は、この発明のなお別の実施の形態であるガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。図9に示すガス絶縁開閉器と比較すると、固定アーク接点2の内部に第2の永久磁石40が設けられていることが相違している。第2の永久磁石40の磁極の向きは可動接点3の内部の永久磁石37の磁極の向きと反対であって、互いに反発する方向に着磁されている。図示の例では2つの永久磁石37および40はS極同士が向かい合うように配置されている。
【0035】
このように永久磁石37および40を固定側と可動側の両方に配置することにより、アーク7に作用する磁界を強くしてアークを回転させる電磁力を強くすることができ、遮断性能が向上する。なお、この例では、第2の永久磁石40と共に用いる永久磁石として、図9に示すように圧縮ばね39により軸方向に弾性的に移動可能に支持された永久磁石37を用いているが、図8に示すように可動接点3の内部に固定支持された永久磁石36を用いた場合でも、アーク7に作用する磁界がある程度は大きくなりそれなりの効果が得られる。
【0036】
以上に説明した通り、本発明のガス絶縁開閉器は様々な実施の形態を持つものであるが、これらの実施の形態の特徴を様々に組み合わせ、必要に応じて適当な変更を加えて用いることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の如く本発明のガス絶縁開閉器による効果は次の通りである。
(1)ガス絶縁開閉器は、絶縁性ガスを封入したタンクと、上記タンク内に設けられた固定接触子と、上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方に設けられ、上記両接触子上でアークを駆動する永久磁石とを備えたガス絶縁開閉器において、上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方が、ほぼ連続した環状のアーク走行部を備えているので、アークが固定接触子の連続した環状のアーク走行部に沿って回転させられ、スリットを飛び越える必要が無いため、アークの回転が容易に滑らかになり、ガス絶縁開閉器の遮断性能を改善できる。
【0038】
(2)上記固定接触子が、ほぼ円筒形の本体と、上記本体に設けられて上記可動接触子に弾性的に接触する複数の弾性接触部材とを備え、上記アーク走行部が上記本体の上記可動接触子側の端部に設けられているので、アーク駆動が容易であると共に、固定接触子の固定アーク接点と可動接触子の可動接点との間に適当な接触圧力を与えることができ、アークが固定アークコンタクトに転流しやすくなる。
【0039】
(3)上記固定接触子が、ほぼ円筒形の本体と、上記本体に設けられて上記可動接触子に弾性的に接触する複数の弾性接触部材とを備え、上記アーク走行部が上記本体の上記可動接触子側の端部に設けられた周方向に連続した環状部材であるので、アーク駆動が容易であると共に、弾性接触部材の有効ばね長さを大きくして可動接点との接圧を強くすることができるため、アークが転流しやすくなる。
【0040】
(4)上記複数の弾性接触部材は、上記固定接触子の軸方向に延びたスリットにより互いに分離されており、上記スリットは上記固定接触子の径方向に対して傾斜したものであるので、 開極状態でも固定アーク接点の各フィンガー状の弾性接触部材間のスリットの周方向幅が、アーク駆動に対して実効的に小さくなり、アークが回転しやすくなり、遮断性能が向上する。
【0041】
(5)また、ガス絶縁開閉器は、絶縁性ガスを封入したタンクと、上記タンク内に設けられた固定接触子と、上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、上記可動接触子に設けられ、上記両接触子間のアークを駆動する永久磁石とを備えているので、アーク時間が長くなり、アークがシールドに転移した場合でも最も磁石の影響の強い可動接点付近のアークに対する磁界強度は変わらないため安定した遮断性能を得ることができる
【0042】
(6)上記永久磁石が、上記可動接触子上で軸方向に弾性的に可動に取り付けられており、閉成時には固定接触子により押圧されて後退位置となり、開放時には弾性力により前進位置となり得るので、可動接点内部の永久磁石の直径を大きくすることができるためアークに及ぼす磁界が強くなり、遮断性能が向上する。
【0043】
(7)上記可動接触子上の上記永久磁石と逆極性の永久磁石を上記固定接触子上に設けたので、アークに作用する磁界を強くすることができ、アークは回転しやすくなり、遮断性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。
【図2】 図1のガス絶縁開閉器の固定アーク接点部を軸と垂直な方向に見た概略図である。
【図3】 図1のガス絶縁開閉器の固定アーク接点部を軸方向に見た概略図である。
【図4】 この発明の別の実施形態のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。
【図5】 図4のガス絶縁開閉器の固定アーク接点部を軸方向に見た概略図である。
【図6】 この発明の更に別の実施の形態のガス絶縁開閉器の固定アーク接点部の閉位置の状態を軸方向に見た概略図である。
【図7】 図6の固定アーク接点部の開位置の状態を軸方向に見た概略図である。
【図8】 この発明の別の実施形態のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。
【図9】 この発明の更に別の実施形態のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。
【図10】 この発明のなお別の実施形態のガス絶縁開閉器の消弧室を示す概略断面図である。
【図11】 従来のガス絶縁開閉器の消弧室を軸と垂直な方向に見た概略断面図である。
【図12】 従来のガス絶縁開閉器の消弧室を軸方向に見た概略断面図である。
【符号の説明】
7 アーク、8、36、40 永久磁石、12 固定接触子、13 可動接触子、14 本体、15 アーク走行部、16、33 スリット、17 弾性接触部材、24 環状部材。
Claims (4)
- 絶縁性ガスを封入したタンクと、
上記タンク内に設けられた固定接触子と、
上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、
上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方に設けられ、上記両接触子上でアークを駆動する永久磁石とを備えたガス絶縁開閉器において、
上記固定接触子および上記可動接触子の少なくともいずれか一方が、ほぼ連続した環状のアーク走行部を備え、
上記固定接触子が、ほぼ円筒形の本体と、上記本体に設けられて上記可動接触子に弾性的に接触する複数の弾性接触部材とを備え、
上記アーク走行部が上記本体の上記可動接触子側の端部に設けられ、
上記複数の弾性接触部材は、上記固定接触子の軸方向に延びたスリットにより互いに分離されており、上記スリットは上記固定接触子の径方向に対して傾斜したものであることを特徴とするガス絶縁開閉器。 - 上記アーク走行部が周方向に連続した環状部材であることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉器。
- 絶縁性ガスを封入したタンクと、
上記タンク内に設けられた固定接触子と、
上記タンク内に設けられ、上記固定接触子に対して接離し得、遮断時に上記固定接触子との間にアークを発生する可動接触子と、
上記可動接触子に設けられ、上記両接触子間のアークを駆動する永久磁石とを備え、
上記永久磁石が、上記可動接触子上で軸方向に弾性的に可動に取り付けられており、閉成時には固定接触子により押圧されて後退位置となり、開放時には弾性力により前進位置となり得ることを特徴とするガス絶縁開閉器。 - 上記可動接触子上の上記永久磁石と逆極性の永久磁石を上記固定接触子上に設けたことを特徴とする請求項3に記載のガス絶縁開閉器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002149213A JP4197406B2 (ja) | 2002-05-23 | 2002-05-23 | ガス絶縁開閉器 |
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