以下,本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は,本発明の第一の実施の形態によるガス絶縁開閉器の閉極状態を示す断面図である。密閉容器1内には支持碍子3によってガス区画が形成され,このガス区画内にはSF6ガスなどの負性ガス,乾燥空気,窒素,二酸化炭素,負性ガスを含んだSF6/N2混合ガス,負性ガスを含まないN2/O2混合ガス等が絶縁性ガスとして封入されている。
支持碍子3は周囲に絶縁物3a,中心部に埋め込み導体3bが配されており,埋め込み導体3bには,密閉容器1から電気的に絶縁した状態で所定の絶縁距離を隔てて対向した固定子導体4,および可動子導体9がそれぞれ支持固定され,それら固定子導体4,および可動子導体9の対向部は,それぞれ湾曲形状を成し,電界緩和シールド効果を有している。
可動子導体9側に配置した可動子6は,図示しない外部操作器によって絶縁操作ロッド13を介してその軸線上を移動可能に構成されている。また可動子導体9の内部には,可動子導体通電部8,および可動側主接触子7が配置され,この可動側主接触子7によって可動子6は常時,可動子導体9と電気的な接続状態を保持している。
一方,固定子導体4の内部には,固定側主接触子5が配置され,閉極時には,この固定側主接触子5が可動子6と接触し,また,これらを支持する埋め込み導体3bに接続配置された固定側導体2,および可動側導体10を介して,常時,固定側と可動側は電気的な接続状態を保持している。
図1は図2に示したガス絶縁開閉器の要部拡大図である。可動側に対向する略中空円筒形状の固定子導体4の内部には固定アークコンタクト11が配置されている。固定アークコンタクト11は先端に半球状の集電子を有した略中空円筒形状から成り,さらに軸線に対して複数のスリットを配することによって径方向に対して弾性を有している。
この固定アークコンタクト11の弾性作用によって,閉極状態において可動子6,および中空円筒形状の可動アークコンタクト12が固定子導体4に挿入固定され,可動アークコンタクト12の内面と固定アークコンタクト11の半球状の集電子が電気的な接続状態を保持している。
可動アークコンタクト12は,詳細は後述するが,固定側対向先端にC字状電極12a,スペーサ12bが積層配置され,円筒電極12cによって支持固定されている。C字状電極12a,スペーサ12bは円筒電極12cと同径であり,C字状電極12aと円筒電極12cは電気的に接続されている。
ガス絶縁開閉器の閉極状態で可動子6の対向側先端に配された可動アークコンタクト12は固定子導体4に挿入配置され,固定子導体4〜固定側主接触子5〜可動子6〜可動側主接触子7〜可動子導体通電部8〜可動側導体9という電流経路と,固定子導体4〜固定アークコンタクト11〜可動アークコンタクト12〜可動子6〜可動側主接触子7〜可動子導体通電部8〜可動側導体9という電流経路とが形成されている。
したがって,固定アークコンタクト11,および可動アークコンタクト12を備えない場合よりも接触抵抗による通電時の温度上昇を抑えることができるため,ガス絶縁開閉器自体の小型化に寄与することができる。
次に,可動アークコンタクト12の具体的な構造について説明する。図3は,可動アークコンタクト12の対向先端方向から見た斜視図である。対向側先端からC字状電極12a,スペーサ12b,円筒電極12cの順に積層配置されている。C字状電極12aはリングが一部寸断されている。スペーサ12b,および円筒電極12cは,C字状電極12aと同一内外径を有する円筒リング状であるが寸断されていない。
C字状電極12aと円筒電極12c間には,スペーサ12bに設けられた貫通孔を通ってC字状電極12aのリング端部と円筒電極12cとを接続する通電部材14が配置されており,両者は電気的に導通されている。
図3には,ガス絶縁開閉器の開極時に生じるアーク15の模式図も併せて示している。アーク15は図示しない固定アークコンタクト11の先端部と可動アークコンタクト12間に形成される。
ここで,アーク15はアーク走行部であるC字状電極12aを周方向に回転駆動される。つまり,アーク15によってC字状電極12aを周方向に電流Iが流れ,電流Iによって磁場Bが形成されることにより,アーク15にはC字状電極12aの周方向に沿った電磁駆動力Fが生じ,アーク15が回転駆動されるのである。
なお,電流Iは通電部材14を介して円筒電極12cへと流れる経路をたどる。ここで,スペーサ12bは,C字状電極12a,および円筒電極12cよりも導電率の低い(電気抵抗率の高い)非磁性材料が好適であり,たとえば,PTFEのような絶縁材料や,ステンレスのような材料が望ましい。
これによって,電流Iが確実にC字状電極12aを周方向に流れると共に,通電部材14がスペーサ12bによって覆われた状態であるため,アーク15が通電部材14の側面に生じることも防止でき,またスペーサ12bによってアークが回転駆動力を得るための磁場Bを変歪させることもない。
次に,可動アークコンタクト12の製作方法の一例について説明する。C字状電極12aは直接アーク15が走行する部分であるため,アーク15による溶損に対する耐性が高く,且つ電気導電性の高い材料が好適であり,一般に耐弧メタルと呼ばれる銅−タングステンが望ましい。また,円筒電極12cについては,直接アーク15に曝されるわけではないので,電気導電性の高い材料が好適であり,銅やアルミニウム等が望ましい。
中空円筒状に成形した円筒電極12c上に,上述したスペーサ12b,およびC字状電極12aを順に積層配置する。C字状電極12a,スペーサ12b,および円筒電極12cには予め導電部材14が固定できる孔が開いており,積層配置後に,導電部材14によってかしめて嵌着されている。
なお,C字状電極12aに導電部材14用の貫通孔が形成される場合には,導電部材14は耐弧メタル等の溶損耐性が高く,且つ電気導電性の高い材料であることが望ましく,また,当該孔がC字状電極12aのアーク走行面に達しない場合には,銅などの導電性の高い材料であっても良い。
このようにかしめて固定することによって,C字状電極12aおよびスペーサ12bを円筒電極12c上に強固に固定することが可能になる。なお,さらに強固に固定したい場合には,図4および図5に示すように,通電部材14の配置方法と同様に,絶縁性の固定冶具19でC字状電極12aを周状にかしめて固定するなどすれば良い。
また,図6に示すように,C字状電極12aを分割し,それぞれを通電部材14でかしめて固定すれば,図4と同様にC字状電極12a,およびスペーサ12bを円筒電極12c上に強固に固定することが可能となる。
また,別の製作方法としてはスプレー,ディッピング,或いは蒸着等の堆積方法を利用しても良い。たとえば,スプレーについて示せば,金属,或いは絶縁材料を吹き付け堆積させる方法である。
まず,円筒電極12cを上記と同様に電気導電性の高い材料で製作し,導電部材14を配置後,スペーサ12bとC字状電極12aの積層面をターゲットとして,スプレーにより堆積させれば良い。導電部材14対向先端には予めマスクするなどし,堆積するに不要な部分は除去すれば良い。
なお,導電部材14は堆積後に配置しても良く,その場合はスペーサ12bとC字状電極12aを貫通して円筒電極12cの一部に到達する貫通孔を施し,導電部材14をかしめて固定したり,或いは木ネジ状の導電部材14で締付固定すれば良い。
次に,上述したガス絶縁開閉器の開極時における電流遮断動作について説明する。図2の閉極状態から図示しない外部操作器によって絶縁操作ロッド13を時計方向に回転させて開極操作力を与えると,可動子6は右方の開極方向に軸線上を移動することになる。まず,図1に示した固定側主接触子5から可動子6が開離して,同接触部を介して流れていた電流通路は遮断される。しかしながら,その状態では固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12は接触状態にあるため,両者を経由する電流経路は確保されている。
その後,図7に示したように可動アークコンタクト12がさらに右方へ移動して固定アークコンタクト11と開離すると両アークコンタクト11,12の対向先端にはアーク15が発生する。
このアーク15は可動アークコンタクト12の構成と遮断電流(アークの電流)とによって電磁駆動力Fを受け,C字状のアーク走行部を回転しながら絶縁性ガスによって冷却作用を受けることにより,電流零点で消弧されて電流遮断が完了する。
開極動作完了状態で可動子6は,図8に示したように対向先端に電界緩和シールド作用を有する可動側の可動子導体9の内部に移動する位置関係となる。固定アークコンタクト11および可動アークコンタクト12のそれぞれの対向先端は,何れも電界が集中し易い形状であるが,開極状態では,固定アークコンタクト11,および可動アークコンタクト12はそれぞれ固定子導体4,および可動子導体9の内側に位置するため,両アークコンタクト11,12の電界は低く抑えられ,極間は良好に絶縁保持される。
上述の説明は可動アークコンタクト12をC字状電極12a,スペーサ12b,および円筒電極12cの構成とし,固定アークコンタクト11を先端に半球状の集電子を有し,軸線に対して複数のスリットを配した略中空円筒形状の構成から成るガス絶縁開閉器について述べたが,図9に示したように,固定アークコンタクト16を可動アークコンタクト12と同様の構成にしても良く,この場合は対抗先端の両C字状電極12a,16aが略線対称となる位置関係とすれば各々のC字状電極12a,16aが電磁駆動力Fを有し,アーク15をさらに短時間で消弧することができる。
なお,図9では一例として,可動アークコンタクト12の内径側に固定アークコンタクト16が挿入配置される構成を示したが,この限りではなく,固定アークコンタクト16の内径側に可動アークコンタクト12が配置されても良い。この場合は,可動子6の対向先端長を調整して,開極状態で,固定アークコンタクト16と可動アークコンタクト12の電流経路が最後に開離するようにすれば良い。
以上の構成により,従来に比べて簡単な構成で効率良くアーク15を回転運動させることができ,低操作力で小形軽量化を図ったガス絶縁開閉器を実現できる。
図10は,本発明の第二の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。
本実施の形態は,本発明の第一の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第一の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,円筒電極12cにおいて,前記C字状電極12aの略環状のアーク走行部の径方向の一部を寸断するスリットの一方の端部近傍に通電部材14が配されており,且つ円筒電極12cは消弧用自己磁場発生スリット17を有し,自己磁場発生スリット17はスペーサ12bとの連結端面を起点とし,前記アーク走行部の径方向の一部を寸断するスリットの一方の端部と自己磁場発生スリット17で通電部材14を挟み,さらに通電部材14を囲って延在する終端部を有していることを特徴としている。
図10には,一例として上記を具現化する円筒電極12cに新たに略L字状の消弧用自己磁場発生スリット17を設けた構成を示している。
消弧用自己磁場発生スリット17は,通電部材14よりもC字状電極12aの寸断位置から離れた,通電部材14の近傍に位置し,円筒電極12cを厚み方向に貫通して配置されている。消弧用自己磁場発生スリット17によって通電部材14を経由して流れるアークの電流は,図10の矢印に示すように周方向に曲げられ,アーク15を駆動させるための磁場Bを増加させることができる。
その結果,アーク15を駆動させる電磁駆動力Fが増加し,本発明の第一の実施の形態と同等以上に効率良くアーク15を回転運動させることができ,さらに電流遮断性能を向上させるガス絶縁開閉器を実現できる。
なお,ここでは略L字状として消弧用自己磁場発生スリット17を配置したが,その限りではなく,磁場Bと同一方向成分に所望する磁界を発生させるために,例えば円筒電極12cに対する加工のし易さや機械的強度を考慮して,図11および図12に示すように消弧用自己磁場発生スリット17の全体が多角形や円弧からなるスリットであっても良い。
また,図13は,消弧用自己磁場発生スリット17をC字状電極12aの分割数,および通電部材14の本数に合わせて複数個配置した図10の変化形である。この構成によると,複数個のC字状電極12aおよび消弧用自己磁場発生スリット17の発生磁場Bによりアーク15に対する電磁駆動力Fが得られ,本発明の第一の実施の形態と同等以上に効率良くアーク15を回転駆動させることができ,さらに電流遮断性能を向上させるガス絶縁開閉器を実現できる。
図14は,本発明の第三の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。
本実施の形態は,本発明の第一,および第二の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第一,および第二の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,C字状電極12aとスペーサ12bに加えてC字状電極12dおよびスペーサ12eを多層配置させ,多層配置に併せて第一の通電部材14aに加えて第二の通電部材14bを追加させたことを特徴としている。
つまり,C字状電極12aと12dを電気的に直列に接続することによって,同一周方向に流れるアーク15の環状電流,および環状電流に伴うアーク15を駆動させるための磁場Bを増加させている。
その結果,アーク15を駆動させるための電磁駆動力Fは,消弧用自己磁場発生スリット17に加えて,C字状電極を多層化した分だけ増分し,本発明の第一,および第二の実施の形態と同等以上に,アーク15を駆動させる電磁駆動力Fが増加するため,効率良くアーク15を回転運動させることができ,さらに電流遮断性能を向上させるガス絶縁開閉器を実現できる。
なお,ここでは,一例としてC字状電極を12a,および12dとする多層化の最小構成(2層構成)を示したが,この限りではなく,さらに多層化すると効果は増大できるため,アーク15消滅までの所望の時間に合わせて積層数を増やせば良いことは言うまでもない。
図15は,本発明の第四の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。本実施の形態は,本発明の第一〜第三の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第一〜第三の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,円筒電極12cに設けた略L字状の消弧用自己磁場発生用の第一のスリット17aに加えて,略一文字の第二のスリット17bからn番目のスリット17nに示す通り,複数のスリットを配置したことを特徴とする。
円筒電極12cに流れ込むアークの電流は,第一のスリット17aによって周方向に曲げられ,周方向の第一のスリット17aのθ1が長いほどアークを駆動させるための電磁駆動力Fが増加するが,その分,円筒電極12c自体の機械的強度が低下することとなる。
そこで,本実施の形態では,円筒電極12cの周方向に複数のスリット(17b〜17n)を略階段状に設けることによってθ1の伸張と同様に周方向に流れる電流パスを略θ1+θ2・・・+θnと延長させて,機械的強度を大きく低下させることなく,電磁駆動力Fを増加させたものである。
なお,本実施の形態では,C字状電極12aが単層化している場合について示しているが,第三の実施の形態に示したように多層化させても良く,多層化させた方が,さらに電磁駆動力Fを増加できる。
また,本実施の形態では,複数のスリット(17a〜17n)を17a・・・17nの順にC字状電極12aから遠ざかるように下り階段状に配置したが,この限りではなく,第一のスリット17aを基準として上下するように,或いはC字状電極12aに近づくように上り階段状に配置しても良い。
以上の構成により,アーク15を駆動させるための電磁駆動力Fは,消弧用自己磁場発生スリット17を複数個備えることにより,円筒電極12cの機械的強度を大きく低下させることなく,アーク15を駆動させる電磁駆動力Fを増加できるため,第一〜第三の実施の形態と同等以上に効率良くアーク15を回転運動させることができ,電流遮断性能を向上させるガス絶縁開閉器を実現できる。
図16は,本発明の第五の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。本実施の形態は,本発明の第一〜第四の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第一〜第四の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,C字状電極12aのアーク走行面に凸形状のアーク接触部18を設けたことを特徴としている。アーク15は時計周りの電磁駆動力Fを受けて周回運動を起こすが,C字状電極12aに相当する従来のアークコンタクトを有するガス絶縁開閉器の先端部では電極面高さが略同一であるため,アーク15の起点位置がランダムとなる傾向があった。
一方,本実施の形態では,C字状電極12aのアーク走行面にアーク接触部18を設けることによって,開極状態においてアーク接触部18の先端と固定アークコンタクト11が最終的な機械的接触位置(摺動位置)となり,アーク接触部18と固定アークコンタクト11にアークの起点を発生させるようにした。
これにより,確実に固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12にアーク15を発生させることができるようになり,第一〜第四の実施の形態と同等にアーク15を効率良く回転駆動させるだけでなく,アーク15の発生位置に対する信頼性を高めることが可能となった。
なお,ここでは,一例としてC字状電極を12a,とする最小構成(1層構成),および消弧用自己磁場発生スリット17を一つ設けた場合を示したが,これに限定されるものではなく,C字状電極12aの多層化,および消弧用自己磁場発生スリット17多重化を図ると効果は増大できることは,先述の通りである。
図17は,本発明の第六の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。本実施の形態は,本発明の第五の実施の形態で示したアーク接触部18の変化形である。
すなわち,本実施の形態では,C字状電極12aのアーク走行面に実施例5のアーク接触部18として,C字状電極12aの周方向表面の面高さに勾配をつけ,h1>h2の形態とし,h1を有する電極端部をアークの起点位置としたことを特徴とする。
これにより,本発明の第五の実施形態と同様に,確実に固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12にアーク15を発生させることができるようになり,第一〜第五の実施の形態と同等にアーク15を効率良く回転駆動させるだけでなく,アーク15の発生位置に対する信頼性を高めることが可能となった。
なお,ここでは,一例としてC字状電極を12aとする最小構成(1層構成),および消弧用自己磁場発生スリット17を一つ設けた場合を示したが,これに限定されるものではなく,C字状電極12aの多層化,および消弧用自己磁場発生スリット17多重化を図ると効果は増大できることは,先述の通りである。
図18は,本発明の第七の実施の形態によるガス絶縁開閉器の,アーク15に電磁駆動力Fを与える可動アークコンタクト12を示す斜視図である。本実施の形態は,本発明の第六の実施の形態の変化形である。
すなわち,本実施の形態では,C字状電極12aのアーク走行面にアーク接触部18として,厚み方向の面高さに勾配をつけた形態としたことを特徴とする。すなわち,h3>h4の形態とし,開極時においてh3側端部が固定アークコンタクトとの最終的な機械的接触位置とし,h3側のC字状電極12aと固定アークコンタクト11にアーク15の起点を発生させるようにした。
これにより,本発明の第五,および第六の実施形態と同様に,確実に固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12にアーク15を発生させることができるようになり,第一〜第五の実施の形態と同等にアーク15を効率良く回転駆動させるだけでなく,アーク15の発生位置に対する信頼性を高めることが可能となった。
なお,ここでは,一例としてC字状電極を12aとする最小構成(1層構成),および消弧用自己磁場発生スリット17を一つ設けた場合を示したが,これに限定されるものではなく,C字状電極12aの多層化,および消弧用自己磁場発生スリット17多重化を図ると効果は増大できることは,先述の通りである。
また,本実施形態は,本発明の第五,或いは第六の実施形態と併せた構成とすることも可能であり,第五の実施形態を併用する際には,アーク接触部18の高さをh3よりも高くすれば良く,また第六の実施形態を併用する際には,h1=h3とし,h1>h2,h3>h4の関係を満足すれば良い。これにより,第五,および第六の実施の形態を単一で用いた場合よりも,より確実にC字状電極12aと固定アークコンタクト11間にアーク15を発生させることが可能となる。
図19は,本発明の第八の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図1に相当する図である。本実施の形態は,本発明の第一〜第七の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは,第一〜第七の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,C字状電極12a,スペーサ12b,および円筒電極12cの電極の角部が面取り加工されている。
これにより,ガス絶縁開閉器の開閉時の軸線上の移動動作を阻害する摺動に伴う固定子と可動子のアークコンタクト11,12同士の噛み込みを防止することができると共に,開極時においては,上記噛み込みに起因する部品脱落や可動アークコンタクト12自体のブレを抑えることができるため,第一〜第七に示すガス絶縁開閉器を高信頼度化することができる。
以上で示した各実施の形態においては,主として,C字状電極12a,スペーサ12b,および円筒電極12cを可動アークコンタクト12とし,一方,先端に半球状の集電子を有し,略中空円筒形状で軸線に対してスリットを複数配したアークコンタクトを固定アークコンタクト11として示したが,可動子,固定子のアークコンタクトの配置が逆となっても良く,この場合も各実施の形態で説明した効果が得られる。
図20は,本発明の第九の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図1に相当する図である。本実施の形態は,本発明の第一〜第八の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第一〜第八の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,前記C字状電極12aを中空円筒状の円筒C字状電極12fとし,円筒電極12cに,円筒C字状電極12fが挿入配置されている。また,円筒C字状電極12fの円筒内底面には固定冶具20によって円筒C字状電極12fと円筒電極12cが固定されている。固定アークコンタクト11は,円筒C字状電極12fの内径面に当接され,ガス絶縁開閉器の開閉時における可動アークコンタクト12との摺動を担っている。
本実施の形態における可動アークコンタクト12の具体的な構成について述べる。図21は,図20に示したガス絶縁開閉器の可動アークコンタクト12の拡大断面図である。可動アークコンタクト12の対向側先端から円筒C字状電極12f,スペーサ12b,円筒電極12cの順に積層配置されている。
図21には,図示しない固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12の開離によって生じるアーク15の,円筒C字状電極12f内での電流を併記する。
円筒C字状電極12fの周方向に流れ,通電部材14を介して円筒電極12cに流入する電流成分をIで,円筒C字状電極12fの可動アークコンタクト12の固定アークコンタクト11に対向する先端面から円筒軸方向に流れる電流成分をIVで夫々示している。ここで,効率良くアーク15を駆動させる電磁駆動力Fを得るためには,前記電流成分IVを低減させることが必要となる。
本実施の形態で固定冶具20は,円筒C字状電極12fを通り,固定冶具20を介して円筒電極12cへ流入する電流,すなわち前記電流成分IVを抑制するために円筒C字状電極12fより高い抵抗率を有する材料から構成されている。
また,固定冶具20は可動アークコンタクト12の軸線(中心線)上から外れた箇所に配置される。より詳細には、固定冶具20は円筒電極12cと円筒C字状電極12fの底面の円心から外れた位置に配置される。こうすることで,ガス絶縁開閉器の開閉時における機械的振動等により,円筒C字状電極12fが回転,脱落する可能性を低減させている。本実施の形態では,絶縁性を有する螺子状の2本の固定冶具20が中心軸線から一定間隔離れて配置されている構成を一例として示している。
図22は,可動アークコンタクト12の対向側先端方向から見た円筒C字状電極12fの斜視図である。
C字状円筒電極12fは,中空円筒内径がh5,中空円筒外径がh7,最外径がh6であり,h5<h7<h6の関係を有している。(h6−h7)/2がスペーサ12b,および円筒電極12cの厚みに相当する。
円筒C字状電極12f先端は前記C字状電極12aと同様にリング端部が寸断されている。リング端部近傍にはスペーサ12bに設けられた貫通孔を通って円筒C字状電極12fと円筒電極12cとを接続する通電部材14が固定されるための通電部材固定孔14cが配置されている。なお,通電部材固定孔14cはアーク15走行部である可動アークコンタクト12の対向側先端面まで達しないものであっても良い。 円筒C字状電極12fの材質としては,円筒C字状電極12fの対向側先端面が,直接アーク15が走行する部分であるため,C字状電極12aと同様に溶損耐性の高い一般に耐弧メタルと呼ばれる銅−タングステンが望ましい。
或いは,図23に示すように円筒C字状電極12fのうち,アーク15が走行する円筒C字状電極12fの対向側端面のみを耐弧メタル12gで覆い,それ以外を銅やアルミニウムなど加工容易性に配慮した材質で構成されても良い。この場合,耐弧メタルと銅やアルミニウムは銀ろう付けや先述したスプレーやディッピング,或いは蒸着等の堆積方法を用いて接続配置すれば良い。
以上の構成により,本実施の形態によれば,スペーサ12bと円筒電極12cが円筒C字状電極12fによって直接固定アークコンタクト11と接さないように保護されて,より円滑な開閉動作に寄与できる。
また,円筒C字状電極12f自体が固定冶具20によって円筒電極12cと強固に固定され,ガス絶縁開閉器の開閉時の衝撃に伴う部品脱落に対して高信頼性化できる。
さらに,円筒C字状電極12fおよび円筒電極12cより高い電気抵抗率を有する固定冶具20により,アーク15の電流が可動アークコンタクト12の対向先端面から円筒C字状電極12fの軸方向に分散される電流成分IVを極力低減し,可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に効率良くアーク15の電流を通電でき,アーク15の回転駆動力を向上できる。
図24は,本発明の第十の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図22に相当する図である。本実施の形態は,本発明の第九の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第九の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,円筒電極12cに挿入配置される円筒C字状電極12fの円筒外径面の一部に,外径面に沿って円環状の薄肉部21を設けたことを特徴とする。
ガス絶縁開閉器の開極時にアーク15を回転運動させるためには,アーク15の電流を可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に通電させなければならない。つまり,図21で説明したように,アーク15による電流のうち,円筒C字状電極12fの周方向電流成分Iと,軸方向電流成分IVの関係をI>>IVとする必要がある。
そこで,実施例9では固定冶具20に円筒C字状電極12f以上の抵抗率を有する材料を用いているが,さらに効率良くアーク15を消弧させるために本実施の形態では,実施例9の形態に加えて,円筒C字状電極12fの円筒面の一部に円環状の薄肉部21を配置したものである。これにより,円環状の薄肉部21を通過する電流成分IVを,さらに低減できる。
以上の構成によれば,スペーサ12bと円筒電極12cが円筒C字状電極12fによって直接固定アークコンタクト11と接さないように保護されて,より円滑な開閉動作に寄与でき,円筒C字状電極12f自体が固定冶具20によって円筒電極12cと強固に固定され,ガス絶縁開閉器の開閉時の部品脱落に対して高信頼性化することができると共に,円環状の薄肉部21によって可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に効率良くアーク15の電流を通電でき,アーク15の回転駆動力を向上させることができる。
なお,本実施の形態では,一例として図22に示す円筒C字状電極12fに円環状の薄肉部21を設けた構成を示したが,この限りではなく,図23に示した円筒C字状電極12fの可動アークコンタクト12の対向先端側が耐弧メタル12gで覆われた構成に,円環状の薄肉部21を設けても同様の効果が得られる。
図25は,本発明の第十一の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図22に相当する図である。本実施の形態は,本発明の第九および第十の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第十の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,円筒電極12cに挿入配置される円筒C字状電極12fの円筒外径面の一部にスリット22を配置したことを特徴とする。スリット22は可動アークコンタクト12の対向先端側近傍に,円筒C字状電極12fの円筒外径面を貫通して複数箇所配置されている。本実施の形態では,一例として複数のスリット22を,開閉動作時の円筒C字状電極12fの強度を低下させないように,上下方向に交互に配置している。
これにより,実施例10と同様に,円筒C字状電極12fの軸方向に分散される電流成分IVを低減し,可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に効率良くアーク15の電流を通電でき,アーク15の回転運動を向上させることができる。また,スペーサ12bと円筒電極12cが円筒C字状電極12fによって直接固定アークコンタクト11と接しないように保護されて,より円滑な開閉動作に寄与でき,円筒C字状電極12f自体が固定冶具20によって円筒電極12cと強固に固定され,ガス絶縁開閉器の開閉時の部品脱落に対して高信頼性化することができる。
なお,本実施の形態では,一例として図22に示す円筒C字状電極12fにスリット22を設けた構成を示したが,この限りではなく,図23に示した円筒C字状電極12fの可動アークコンタクト12の対向先端側が耐弧メタル12gで覆われた構成に,スリット22を設けても同様の効果が得られる。
図26は,本発明の第十二の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図22に相当する図である。ここでは,説明の都合上,通電部材14を破線にて示す。本実施の形態は,本発明の第九の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第九の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,円筒電極12cに挿入配置される円筒C字状電極12fの円筒外径面の一部に軸方向スリット23を設けたことを特徴とする。
ガス絶縁開閉器の開極時にアーク15を回転運動させるためには,アーク15の電流を可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に通電させなければならない。そこで,実施例9では図21で説明したように,アーク15による電流のうち,円筒C字状電極12fの周方向電流成分Iと,軸方向電流成分IVの関係がI>>IVとなるように固定冶具20に円筒C字状電極12f以上の抵抗率を有する材料を用いている。一方で,通電部材14近傍では周方向電流成分Iの一部がアーク走行部を通らず,円筒C字状電極12fの円筒部をバイパスして通電部材14に流入する可能性があり,アーク15の回転駆動力を損なう可能性がある。
そこで,実施例12では円筒C字状電極12fのリング端部において,円筒に沿って軸方向に軸方向スリット23を設けたのである。これにより,軸方向スリット23を挟み,通電部材14に対向する円筒C字状電極12fのリング端部から周方向電流成分Iとは逆方向に流れて通電部材14に流入する電流を抑えることが可能となる。つまり,軸方向スリット23によって周方向電流成分Iとは逆方向の電流に対する通電パスが寸断でき,その結果,実施例9に比べてより確実にアーク15の回転運動を向上させることができる。
また,スペーサ12bと円筒電極12cが円筒C字状電極12fによって直接固定アークコンタクト11と接しないように保護されて,より円滑な開閉動作に寄与でき,円筒C字状電極12f自体が固定冶具20によって円筒電極12cと強固に固定され,ガス絶縁開閉器の開閉時の部品脱落に対して高信頼性化することができる。
なお,本実施の形態では,一例として図22に示す円筒C字状電極12fに軸方向スリット23を一本設けたが,この限りではなく,周方向に沿って複数本配置しても良く,さらに図23に示した円筒C字状電極12fの可動アークコンタクト12の対向先端側が耐弧メタル12fで覆われた構成に,軸方向スリット23を設けても同様の効果が得られる。
また,実施例11,および12で示した円筒C字状電極12fの円筒面の一部に円環状の薄肉部21を設けた構成,および円筒C字状電極12fの円筒外径面の一部にスリット22を設けた構成と併用しても良く,その場合,軸方向電流成分IVを低減も低減でき,さらにアーク15の回転運動を向上できる。
図27は,本発明の第十三の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図21に相当する
図である。本実施の形態は,本発明の第九〜第十二の実施の形態で示した可動アークコンタクト12の変化形であり,ここでは第九の実施の形態からの変更点について述べる。
本実施の形態では,前記スペーサ12bを中空の円筒状スペーサ12hとし,円筒電極12cに,円筒状スペーサ12h,円筒C字状電極12fが順に挿入されていることを特徴とする。
なお,本実施の形態での円筒C字状電極12fには,一例として実施例10で示した円環状の薄肉部21を配置した構成を用いているが,実施例9,実施例11および実施例12で説明した円筒C字状電極12fのみの構成,および円筒C字状電極12fにスリット22を設けた構成,および円筒C字状電極12fに軸方向スリット23を,単独或いは複合的に設けた構成であっても良い。また,円筒C字状電極12f自体を図23に示した円筒C字状電極12fと耐弧メタル12gの構成としても良い。
円筒状スペーサ12hの円筒内底面には固定冶具20を挿入・固定するための貫通孔が配置されており,固定冶具20によって,円筒C字状電極12f,円筒状スペーサ12h,円筒電極12cは強固に固定されている。
固定冶具20は,先述の通りI>>IVの関係を得るために円筒C字状電極12f以上の抵抗率を有する材料から構成されている。また,固定冶具20は可動アークコンタクト12を二分するガス絶縁開閉器の軸線(中心線)上から外れた箇所に配置され,ガス絶縁開閉器の開閉時における機械的振動等により,円筒C字状電極12fが回転,脱落する可能性を低減させている。本実施の形態では,絶縁性を有する螺子状の2本の固定冶具20が中心軸線から一定間隔離れて配置されている構成を一例として示している。
図28は,可動アークコンタクト12の対向側先端方向から見た円筒状スペーサ12hの斜視図である。
円筒状スペーサ12hは,中空円筒内径がh7,中空円筒外径がh8,最外径がh6であり,h7<h8<h6の関係を有している。(h6−h8)/2が円筒電極12cの厚みに相当する。
円筒状スペーサ12hには,通電部材14が挿入されるための通電部材貫通孔14dが配置されている。円筒状スペーサ12hは,円筒電極12cよりも導電率の低い(抵抗率の高い)非磁性材料が好適であり,たとえば,PTFEのような絶縁材料や,ステンレスのような材料が望ましい。
以上の構成によれば,円筒状スペーサ12hが円筒C字状電極12fと円筒電極12c間に介在するため,円筒C字状電極12fと円筒電極12c間の通電パスは通電部材14のみに限定され,実施例9〜11で示した構成以上に可動アークコンタクト12の対向先端面に沿って周方向に効率良くアーク15の電流を通電でき,アーク15の回転運動を向上させることができる。
また,円筒状スペーサ12hと円筒電極12cが円筒C字状電極12fによって直接固定アークコンタクト11と接さないように保護されて,より円滑な開閉動作に寄与でき,円筒C字状電極12fと円筒状スペーサ12hが固定冶具20によって円筒電極12cと強固に固定され,ガス絶縁開閉器の開閉時の部品脱落に対して高信頼性化することができる。
本実施の形態は,本発明の第一〜第十三の実施の形態で示した固定アークコンタクト11の変化形であり,ここでは第一〜第十三の実施の形態からの変更点について述べる。
図29および図30は,本発明の第十四の実施の形態によるガス絶縁開閉器の図1および図8に相当する図であり,それぞれ閉極時および開極時の様相を示している。
本実施の形態では,前記固定アークコンタクト11の代わりに,可動アークコンタクト12に対向する先端に平板状の接触部を持つ固定アークコンタクト24,金属製の支持部材25,バネ26,および金属製のガイド27の構成としている。つまり,ガス絶縁開閉器の開極動作において,可動アークコンタクト12の固定アークコンタクト24に対向する先端面が,支持部材25に固定された固定アークコンタクト24と物理的に最後に開離するように,バネ26およびガイド27によって固定アークコンタクト24を軸線上に移動できる機構を有している。
次に,上述したガス絶縁開閉器の開極時における電流遮断動作について説明する。図29の閉極状態から図示しない外部操作器によって図示しない絶縁操作ロッドを時計方向に回転させて閉極操作力を与えると,可動子6は右方の開極方向に軸線上を移動することになる。まず,図29に示した固定側主接触子5から可動子6が開離して,同接触部を介して流れていた電流通路は遮断される。
しかしながら,その状態では固定アークコンタクト24はバネ26の反力によって開極動作に追従して図29の右方へ移動するため,固定アークコンタクト24と可動アークコンタクト12の接触状態は保たれ,可動アークコンタクト12〜固定アークコンタクト24〜金属製の支持部材25〜金属製のガイド27〜固定子導体4の電流経路が確保されている。
その後,可動アークコンタクト12がさらに移動して固定アークコンタクト24が固定側主接触子5よりも右方へ到達すると,固定アークコンタクト24は,ガイド27によって制動され,固定アークコンタクト24と可動アークコンタクト12は開離する。
当該開離後は,実施例1で示した図7と同様に固定アークコンタクト24と可動アークコンタクト12の両先端部にアークが発生する。
このアークは可動アークコンタクト12の構成と遮断電流(アークの電流)とによって電磁駆動力Fを受け,C字状のアーク走行部を回転しながら絶縁性ガスによって冷却作用を受けることにより,電流零点で消弧されて電流遮断が完了する。
開極動作完了状態で可動子6は,図30に示したように対向先端に電界緩和シールド効果を有する可動子側の可動導体9の内部に移動する位置関係となる。固定アークコンタクト24,および可動アークコンタクト12のそれぞれの対向先端は,何れも電界が集中し易い形状であるが,開極状態では,固定アークコンタクト24,および可動アークコンタクト12はそれぞれ固定子導体4,および可動子導体9の内側に位置するため,両アークコンタクト24,12の電界は低く抑えられ,極間は良好に絶縁保持される。
上述の説明では,一例として可動アークコンタクト12に実施例11で示したスリット22を配置した円筒C字状電極12fを用いているが,この限りではなく,他の実施例1〜10,12,13で示した構成であっても良い。
また,固定アークコンタクト24についても,本実施の形態では一例として円筒平板状の構成としたが,この限りではなく,可動アークコンタクト12を固定アークコンタクト24として線対象配置しても良い。その場合には固定アークコンタクト24と可動アークコンタクト12の開極に先行して固定側主接触子5から可動アークコンタクト12が開離すると共に開極後の固定アークコンタクト24が固定子導体4の内側に留まるように,固定子導体4の軸方向長さを調整すれば良い。
以上の構成により,前記固定アークコンタクト11と可動アークコンタクト12のような摺動通電部が不要となり,摺動通電に伴う可動アークコンタクト12の部品脱落防止に寄与でき,ガス絶縁開閉器を高信頼度化することができる。