JP4196500B2 - 微細球状金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細球状金属粉末の製造方法に関し、詳しくは、平均粒径が0.1μmから数十μmの範囲にあり、粒度分布の狭い球状の金属粉末であって、例えば、積層セラミックコンデンサ内部電極として好適に用いることができる微細球状金属ニッケル粉末、あるいは同じく外部電極として好適に用いることが出来る微細球状金属銅粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の小型化高容量化が進展するにつれて、積層セラミックコンデンサも、小型化高容量化が一層強く求められるに至っている。積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウム等のセラミック誘電体粉末とポリビニルブチラール等のバインダーとからなる誘電体グリーンシートにパラジウム、白金等のような内部電極のための貴金属粉末を含むペーストを印刷し、乾燥して、内部電極が交互に重なるように積層し、熱圧着し、次いで、これを適宜の寸法に裁断した後、約1300℃の温度で焼成して、脱バインダーしつつ、内部電極とセラミック誘電体とを焼結させ、この後、銀等の外部電極を形成して、製造される。
【0003】
従って、内部電極のための金属としては、セラミック誘電体が焼結する温度において溶融せず、しかも、酸化されないものであることが必要であり、かくして、従来、上述したように、白金やパラジウム等、高価な貴金属が用いられており、積層セラミックコンデンサも、高価とならざるを得ない。
【0004】
そこで、近年、卑金属であるニッケルを内部電極とする低廉な積層セラミックコンデンサが白金やパラジウムを内部電極とする上記高価な積層セラミックコンデンサに替わるものとして、実用化への研究が種々行なわれているが、ここに、大きい問題がある。
【0005】
積層セラミックコンデンサの内部電極は、内部電極に用いる金属粉の大きさによって制約を受け、その金属粉の粒径よりも薄くすることができない。内部電極の厚みは、通常、1〜2μmであるので、粒径が1μmよりも大きい粒子を用いるときは、電極層が不均一となり、導通不良を起こすおそれがあり、また、積層工程において、内部電極層が誘電体層を貫通して、絶縁不良を起こしたりする。従って、積層セラミックコンデンサの内部電極に用いるニッケル粉は、粒径が0.1〜1μm程度であり、充填性をも考慮すれば、粒度分布が狭いものであることが強く求められる。
【0006】
このため、従来、このような特性を有する金属ニッケル粉末を製造する方法が種々提案されているが、いずれの方法によっても、立方体状等の晶癖を有する粒子が生成しやすい。そこで、特開平4−365806号公報には、塩化ニッケルの分圧を低くし、気相にて水素で還元することによって、微細球状金属ニッケル粉末を製造する方法が提案されているが、製造費用が著しく高い。
【0007】
勿論、例えば、特開昭53−16437号公報に記載されているように、一般に、金属酸化物を含む種々の化合物を高温に加熱しながら、加圧水素で還元する方法も知られているが、しかし、従来、微細球状金属ニッケル粉末を製造する方法が知られていない。
【0008】
本発明者らは、微細球状金属粉末を低廉に、しかも、簡単に製造するために、エマルションを反応場とする方法に着目し、鋭意研究を重ねた結果、均一微細な粒径を有する球状の金属粉末を得ることに成功し、これを必要に応じて窒素等不活性ガス雰囲気下で加熱処理することによって、球状の金属微粉末を得ることに成功して、本発明を完成したものである。
【0009】
エマルションを反応場とする方法としては、従来、例えば特開平2−59432号広報に記載されているような、微細球状の炭酸ニッケルを得るなどの方法が知られ、注目を集めてきた。このような方法によれば、水溶性無機塩の水溶液を界面活性剤と共に非水媒体に加え、攪拌して、W/O型のエマルジョンを調製し、これに適宜の中和剤(酸又はアルカリ)を混合し、上記無機塩の微小な液滴中で水不溶性の無機塩を微細な球状物として沈殿させるものである。
【0010】
しかし、このように、エマルジョンを反応場として用いる方法によれば、中和剤として用いる酸やアルカリほか、水不溶性ニッケル塩と共に副生される塩等の影響によって、エマルジョンが破壊されやすいので、反応の全体をとおして、安定な反応の場を確保することが困難であり、かくして、均一微細な粒径を球状のニッケル塩の粒子を得ることが困難である。
【0011】
また、従来、均一微細な粒径を球状のニッケル塩の粒子を得ることができたとしても、例えば、これを酸化し、還元する過程において、球状の形態を維持することができず、均一微細な球状の金属ニッケル粉末を得ることが困難で、僅かに、本発明者らが示した、特願平10−139683及び特願平10−139684などの方法を見るにすぎない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、球状金属微粉末の製造における上述した間題を解決するためになされたものであって、平均粒径が0.1μmから数十μmの範囲にあり、粒度分布の狭い球状の金属微粉末であって、例えば、積層セラミックコンデンサ内部電極として好適に用いることができる微細球状金属ニッケル粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による微細球状金属粉末の製造方法は、ニッケル、コバルト又は銅から選ばれる金属のコロイド水溶液を非水媒体と混合してW/O型エマルジョンとし、次いでこのエマルジョンから水を蒸発させて、これらの金属コロイドをゲル化すること及び、必要に応じて得られた金属粉末を不活性ガス雰囲気中で加熱処理することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における金属コロイド水溶液は、公知の方法によって得られるが、これが、ニッケル、コバルトあるいは銅に限定されるものであることは言うまでもない。こうした金属コロイドは、例えば、水溶性の金属塩の所定濃度を、ゼラチン、ポリビニルアルコール、あるいは分散剤などの保護コロイドの所定濃度水溶液に溶解し、加熱下ヒドラジンなどの還元剤を添加し、湿式還元することなどによって調製することが出来る。又、これによって得られる金属コロイド粒子の大きさは、金属塩の濃度、還元剤とのモル比あるいは保護コロイド濃度などによって調整することが出来る。
【0015】
本発明による微細球状金属粉末の製造方法は、微細球状粒子を製造する第1の段階と、この微細球状粒子を必要に応じて不活性ガス雰囲気中で加熱処理して、球状金属微粉末とする第2の段階とからなる。
【0016】
先ず、第1の段階について説明する。本発明によれば、公知の方法によって得られた金属コロイド水溶液を界面活性剤の存在下に非水媒体と共に混合攪拌して、常法に従って、エマルジョンを調製する。好ましくは、金属コロイド水溶液に対しては、より親水性の強いノニオン系界面活性剤を加え、必要に応じて、加熱して、溶解させる。非水媒体には、より親油性の強いノニオン系界面活性剤を加え、必要に応じて、加熱して、溶解させる。通常、分散機を用いて、非水媒体を攪拌しながら、これに上記金属コロイド水溶液を徐々に加え、金属コロイド水溶液の液滴を微細に分散させることによって、W/O型エマルジョンを調製することができる。
【0017】
第1段階において最終的に得られる球状の金属粒子の粒径や粒度分布は、エマルジョンにおける水相(液滴)の大きさ、粒度分布、更には、金属コロイド水溶液の濃度等によって適宜に調節することができ、エマルジョンにおける液滴の大きさや粒度分布は、用いる界面活性剤の組合わせとそれぞれの量、分散機の種類、分散機による攪拌速度等によって調節することができる。
【0018】
エマルジョンを調製するための非水媒体は、水不溶性で、後述する減圧あるいは常圧下での加熱処理において蒸発し難く、安定であるものが好ましく、従って、水に対する溶解度が5%以下で、水よりも沸点の高いものが好ましく用いられる。
【0019】
このような非水媒体として、例えば、n−オクテン、イソオクテン、スクワラン、灯油等の脂肪族炭化水素類、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等の脂環式炭化水素類、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、ブチルエーテル、イソブチルエーテル等のエーテル類、ジクロルペンタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル等の脂肪酸エステル類、これらの混合物等を挙げることができる。
【0020】
上記以外にも、鉱油、動植物油等の天然油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、含フッ素潤滑油、含リン潤滑油、含ケイ素潤滑油等の合成油も、非水媒体として例示することができる。
【0021】
特に、本発明においては、水不溶性で蒸気圧が小さい炭化水素系有機溶媒が好ましく、具体的には、常圧で沸点が100℃以上の脂肪族炭化水素系有機溶媒が好ましく用いられる。
【0022】
エマルジョンを調製するために用いる界面活性剤は、用いる非水媒体に応じて、適宜に選ばれる。限定されるものではないが、特に、安定なエマルジョンを得るには、前記金属コロイド水溶液(水相)に予めHLB値が10以上の親水性の強い界面活性剤を溶解させ、他方、非水媒体(油相)には予めHLB値が10以下の親油性の強い界面活性剤を溶解させ、このような水相と油相を混合するのがよい。
【0023】
これら界面活性剤の使用量は、エマルジョンにおけるW/O比や所要の粒径等によって適宜に選べばよく、特に、限定されるものではないが、通常、エマルジョンに対して20重量%以下であり、好ましくは、0.5〜15重量%の範囲である。後述するように、水相と油相の両方に界面活性剤を溶解させる場合には、通常、水又は非水媒体に対して、それぞれ20重量%以下であり、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲である。
【0024】
更に、エマルジョンにおけるW/O比は、用いる非水媒体の量や性質、特に、粘度や、用いる界面活性剤の性質、特に、HLB値にもよるが、安定なエマルジョンを得るには、通常、3/2〜1/10の範囲であり、好ましくは、1/1〜1/5、特に、好ましくは、1/3〜1/5の範囲である。しかし、これに限定されるものではない。
【0025】
上記エマルジョンの調製に用いるノニオン系界面活性剤として、HLB値が10以上のものとして、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン高級、アルキルアリールエーテル類等を挙げることができる。
【0026】
また、HLB値が10以下のものとして、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。
【0027】
このようにして、金属コロイド水溶液の液滴を非水媒体中に微細に分散させたエマルジョンを調製した後、好ましくは、緩慢に攪拌しながら常圧下、あるいは必要に応じて、減圧下に加熱しながら、水を蒸発させることによって、金属コロイド水溶液の液滴中で金属をゲル化させ、必要に応じてエマルジョンの液滴から水をさらに蒸発させて、液敵中の金属ゲルを油中乾燥し、かくして得られた金属を、例えば、遠心分離し、洗浄し、乾燥すれば、目的とする微細球状の金属粒子を得ることが出来る。
【0028】
本発明によれば、上記エマルジョンから水を蒸発させるためには、その間に、エマルジョンの破壊が起こらない条件であれば特に限定されるものではないが、通常、100℃以下の温度で常圧下に曝気するか、又は減圧下に吸引すればよいが、特に、エマルジョンを加熱しながら、減圧下に吸引することが好ましい。
【0029】
本発明によれば、このように、エマルジョンを減圧下に吸引する場合、温度及び圧力条件は特に、限定されるものではないが、通常、400mmHg以下の減圧(真空)下であればよく、他方、減圧(真空)の上限は、主として、経済性によるが、通常、5mmHg程度である。また、温度は、0〜90℃の範囲にわたってよいが、好ましくは、10〜80℃の範囲であり、最も好ましくは、20〜70℃の範囲である。
【0030】
本発明においては、エマルジョンを20〜70℃の範囲の温度に加熱しつつ、アスピレーターを用いる減圧下、従って、10〜50mmHg程度の減圧下にエマルジョンから水を蒸発させることによって、よい結果を得ることができる。
【0031】
しかし、本発明によれば、金属コロイド水溶液の液滴を含む上記エマルジョンから水を蒸発させるために、別の方法として、常圧下、エマルジョンを単に攪拌してもよい。また、別の方法として、常圧下、必要に応じて、加熱しつつ、エマルジョン中に空気を吹き込む、即ち、曝気してもよい。
【0032】
このようにして、エマルジョンを処理した後、得られた金属を濾過し、洗浄した後、乾燥することによって、通常、粒径が0.1〜15μm、平均粒径0.2〜5μmの範囲にあり、均一な粒径を有する球状で微細金属粒子を得ることができる。
【0033】
次いで、本発明によれば、必要に応じて第2段階として、このようにして得られた均一微細な金属粒子を不活性ガス雰囲気下で加熱処理することによって、通常、粒径0.1〜15μm、平均粒径0.2〜5μmの均一微細な球状の金属粉末を得ることができる。
【0034】
本発明において、加熱処理するには、不活性ガス雰囲気下、通常、窒素中、100℃/時以下、好ましくは、60℃/時以下の昇温速度で昇温し、400〜800℃、好ましくは、500〜700℃の範囲の温度に加熱焼成する。
【0035】
加熱温度が400℃よりも低いときは、より緻密な金属粒子を得ることができないことがあり、他方、加熱温度が800℃よりも高いときは、焼成によって、金属粒子はその球状の形態を維持することができないことがある。かくして、加熱温度が上記範囲をはずれるときは、最終的に均一微細で中実球状の金属粉末を得ることが困難である。
【0036】
また、昇温速度が100℃/時よりも早いときは、加熱処理温度によっては、球状性のくずれた金属粉末が生成しやすい。このような金属粉末は、例えばニッケルの場合、積層セラミックコンデンサの内部電極材料としては好ましくない。昇温速度の下限は、得られる金属粉末の特性の点からは、何ら限定されるものではないが、生産性の点から、通常、10℃/時以上、好ましくは、20℃/時以上である。
【0037】
このようにして、本発明によれば、第1段階で得られた均一微細な球状金属粒子を必要に応じて不活性ガス雰囲気下で加熱処理することによって、粒度分布が狭く、均一微細な金属粉末を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によれば、第1段階として、公知の方法によって得られた金属コロイド水溶液を非水媒体と混合して、W/O型エマルジョンとし、次いで、このエマルジョンを加熱あるいは減圧下に吸引して、上記金属コロイドの水溶液から水を、蒸発させる更に必要に応じて油中乾燥させることによって、均一微細な粒径を有する球状の金属を沈殿として得ることができる。
【0039】
本発明によれば、エマルジョンから水を蒸発させる過程で金属コロイドが液滴中でゲル化し金属として沈殿するので、均一微細な粒径を有する球状の金属粒子を得ることができるとみられる。
【0040】
このような本発明の方法によって得られる金属粒子は、従来の金属粒子が非球状であるところ、均一微細な粒径を有するものであり、しかも、第2段階として、これを必要に応じて不活性ガス雰囲気下で加熱処理することによって粒度分布の狭い均一微細な球状中実の金属粉末を得ることができる。
【0041】
このように、本発明によれば、簡単低廉に均一微細な球状中実の金属ニッケル粉末を得ることができ、例えばこのようにして得られる金属ニッケル粉末は、積層セラミックコンデンサ内部電極の材料として好適に用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0043】
実施例1
ゼラチン20gに500mlの水を加え、60℃に加熱して溶解させた。この液に、市販の塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)100gを400mlの水に予め溶解させた液を加え、全量を1000mlとし、よく攪拌混合し、ニッケルとして、0.42mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液を80℃まで加熱し、市販のヒドラジン60g(ニッケル/ヒドラジン=1/3モル比)をすばやく添加し、さらに触媒として硝酸パラジウム(50g/Las Pd)水溶液を数滴加え、反応を開始させ80℃で2時間攪拌して、ニッケルのコロイド水溶液を得た。
【0044】
このようにして得られたニッケルコロイド水溶液650gにHLB値が15ノニオン系活面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールTW−O120)5gを加え、50℃にて攪拌して、溶解させた。別に、非水媒体として、沸点が約280℃のスーパースクワラン(スクアテック(株)製スクワラン)350gにHLB値が4.3のノニオン系界面活性剤ソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールSP−O10)10gを加え、80℃にて攪拌して、溶解させた。
【0045】
次に、界面活性剤を溶解させたニッケルコロイド水溶液と非水媒体とを混合し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて3000rpmで10分間攪拌し、W/O型のエマルジョンを調製した。
【0046】
温度50℃において、このエマルジョンを20〜30mmHgの減圧下に吸引して、水を蒸発させ、さらに、吸引を続けて、ニッケルの油中分離液を得た。この液を濾過し、ヘキサン、メタノール及び水の順序にて十分洗浄した後、温度100℃で2時間乾燥させて、粒径0.1〜2.0μm、平均粒径0.78μmの球状の金属ニッケル粉末10gを得た。
【0047】
このようにして得られた粒子は、X線回折の結果、金属ニッケルであることが確認された。このときのニッケル結晶子の大きさは175Å(オングストローム)であった。また、このようにして得られた金属ニッケル粉末の走査型電子顕微鏡写真を図1に示し、粒度分布を図2に示す。
【0048】
実施例2
実施例1で得られた金属ニッケル粉末を5L/minの窒素気流中で、20℃/時で昇温し、700℃で3時間熱処理を行ない、粒径0.1〜1.0μm、平均粒径0.43μmの球状の金属ニッケル粉末を得た。この時のニッケル結晶子の大きさは476Å(オングストローム)であった。またこのようにして得られた金属ニッケル粉末の走査型電子顕微鏡写真を図3に示し、粒度分布を図4に示す。
【0049】
実施例3
ゼラチン20gに500mlの水を加え、60℃に加熱して溶解させた。この液に、市販の塩化銅(CuCl2・2H2O)65gを400mlの水に予め溶解させた液を加え、全量を1000mlとし、よく攪拌混合し、銅として0.38mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液を80℃まで加熱し、市販のヒドラジン38g(銅/ヒドラジン=1/2モル比)をすばやく添加しさらに触媒として硝酸パラジウム(50g/LasPd)水溶液を数滴加え、反応を開始させ、80℃で2時間攪拌して、銅のコロイド水溶液を得た。
【0050】
このようにして得られた銅コロイド水溶液650gにHLB値が15ノニオン系活面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールTW−O120)5gを加え、50℃にて攪拌して、溶解させた。別に、非水媒体として、沸点が約280℃のスーパースクワラン(スクアテック(株)製スクワラン)350gにHLB値が4.3のノニオン系界面活性剤ソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールSP−O10)10gを加え、80℃にて攪拌して、溶解させた。
【0051】
次に、界面活性剤を溶解させた銅コロイド水溶液と非水媒体とを混合し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて3000rpmで10分間攪拌し、W/O型のエマルジョンを調製した。
【0052】
温度50℃において、このエマルジョンを20〜30mmHgの減圧下に吸引して、水を蒸発させ、さらに、吸引を続けて、銅の油中分離液を得た。この液を濾過し、ヘキサン、メタノール及び水の順序にて十分洗浄した後、温度100℃で2時間乾燥させて、粒径0.1〜3.0μm、平均粒径0.96μmの球状の金属ニッケル粉末10gを得た。
【0053】
このようにして得られた粒子は、X線回折の結果、金属銅であることが確認された。このときの銅の結晶子の大きさは243Å(オングストローム)であった。また、このようにして得られた金属銅粉末の走査型電子顕微鏡写真を図5に示し、粒度分布を図6に示す。
【0054】
実施例4
実施例3で得られた金属銅粉末を5L/minの窒素中で、20℃/時で昇温し、700℃で3時間熱処理を行ない、粒径0.1〜2.0μm 、平均粒径0.53μmの球状の金属銅粉末を得た。このときの銅の結晶子の大きさは、790Å(オングストローム)であった。またこのようにして得られた金属銅粉末の走査型顕微鏡写真を図7に示し、粒度分布を図8に示す。
【0055】
実施例5
ゼラチン20gに500mlの水を加え、60℃に加熱して溶解させた。この液に市販の塩化コバルト(CoCl2・6H2O)85gを400mlの水に溶解させた液を加え、全量を1000mlとし、よく攪拌混合し、予めコバルトとして0.36mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液を室温まで冷却し、予め、水酸化ナトリウム10gに500mlの水を加えて溶解させた水溶液に、市販の水素化ホウ素ナトリウム27g(コバルト/水素ホウ素ナトリウム=1/2モル比)を溶解した水溶液を徐々に添加することにより反応させ、30分攪拌して、コバルトのコロイド水溶液を得た。
【0056】
このようにして得られた銅コロイド水溶液650gにHLB値が15ノニオン系活面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールTW−O120)5gを加え、50℃にて攪拌して、溶解させた。別に、非水媒体として、沸点が約280℃のスーパースクワラン(スクアテック(株)製スクワラン)350gにHLB値が4.3のノニオン系界面活性剤ソルビタンモノオレエート(花王(株)製レオドールSP−O10)10gを加え、80℃にて攪拌して、溶解させた。
【0057】
次に、界面活性剤を溶解させた銅コロイド水溶液と非水媒体とを混合し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて3000rpmで10分間攪拌し、W/O型のエマルジョンを調製した。
【0058】
温度50℃において、このエマルジョンを20〜30mmHgの減圧下に吸引して、水を蒸発させ、さらに、吸引を続けて、銅の油中分離液を得た。この液を濾過し、ヘキサン、メタノール及び水の順序にて十分洗浄した後、温度100℃で2時間乾燥させて、粒径0.1〜5.0μm、平均粒径1.15μmの球状の金属ニッケル粉末10gを得た。
【0059】
このようにして得られた粒子は、X線回折の結果、金属コバルトであることが確認された。このときのコバルトの結晶子の大きさは105Å(オングストローム)であった。また、このようにして得られた金属コバルト粉末の走査型電子顕微鏡写真を図9に示し、粒度分布を図10に示す。
【0060】
実施例6
実施例5で得られた金属コバルト粉末を5L/minの窒素中で、20℃/時で昇温し、700℃で3時間処理を行ない粒径0.1〜3.0μm、平均粒径0.59μmの球状の金属コバルト粉末を得た。このときのコバルトの結晶子の大きさは397Å
【0056】
(オングストローム)であった。また、このようにして得られた金属コバルト粉末の走査型顕微鏡写真を図11に示し、粒度分布を図12に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1によって得られた金属ニッケル粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】は、実施例1によって得られた金属ニッケル粉末の粒度分布図である。
【図3】は、実施例2によって得られた金属ニッケル粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】は、実施例2によって得られた金属ニッケル粉末の粒度分布図である。
【図5】は、実施例3によって得られた金属銅粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】は、実施例3によって得られた金属銅粉末の粒度分布図である。
【図7】は、実施例4によって得られた金属銅粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】は、実施例4によって得られた金属銅粉末の粒度分布図である。
【図9】は、実施例5によって得られた金属コバルト粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】は、実施例5によって得られた金属コバルト粉末の粒度分布図である。
【図11】は、実施例6によって得られた金属コバルト粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】は、実施例6によって得られた金属コバルト粉末の粒度分布図である。
Claims (2)
- ニッケル、コバルト又は銅から選ばれる金属のコロイド水溶液を非水媒体と混合してW/O型エマルジョンとし、次いで、このエマルジョンから水を蒸発させて、これら金属コロイド粒子をゲル化することを特徴とする微細球状金属粉末の製造方法。
- 微細球状金属粒子を不活性ガス雰囲気中、加熱処理する請求項1に記載の微細球状金属粉末の製造方法。
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