JP4196456B2 - 脂肪族第3級アミンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族第3級アミンを製造する方法に関するものである。詳しくは、分子内にアミノ基を2個以上有するアミン化合物とホルムアルデヒドとを、貴金属触媒を用いて、水溶媒、水素加圧下で反応させることによって、N−メチル化し、第3級アミンを効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
本発明によって製造される脂肪族第3級アミンは、ウレタン発泡触媒、界面活性剤等、種々の用途を持つ有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
脂肪族第1級及び第2級アミンをニッケル又は貴金属等の水素化触媒の存在下で、ホルムアルデヒド及び水素と反応させて、いわゆる還元メチル化反応により第3級アミンを得ることは公知である。
【0004】
例えば、特公昭39−17905号公報、特開昭55−9019号公報、特開昭61−152643号公報、特開昭64−16751号公報には、ニッケル系触媒を用いた還元メチル化法が開示されている。しかしながら、ニッケル系触媒は反応活性が低く、大量の触媒を必要とする。更に、目的物の選択性が低く、助触媒の添加が必要である。そのため、特公昭39−17905号公報では、助触媒として低級カルボン酸を、特開昭61−152643号公報では、リン酸塩を添加しており、特開昭64−16751号公報では、前もって、低級カルボン酸で触媒を改質している。これらの方法は、基本的には、いずれも反応開始時は非水系であり、特開昭55−9019号公報では、むしろ、反応によって生成する水を水素ガスに同伴させることにより、積極的に系外に除去している。
【0005】
ニッケル系触媒にかわる高活性の触媒としては、貴金属触媒が、特開昭60−112734号公報、特公平5−33214号公報、特開昭62−10047号公報に開示されている。具体的には、触媒はPd,Pt系であり、それらの活性は高く、少量の触媒量で、より高い収率、選択率が得られている。しかしながら、その収率、選択率は十分ではなく、特に複数のアミノ基を有するアミン化合物では、満足できるものではない。
【0006】
例えば、特公平5−33214号公報、特開昭64−16751号公報では、ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルプロパンジアミン、ピペラジンエタンアミンを原料アミンとして用いている。この時の目的物の収率は96〜97%であり、副生成物は3〜4%である。目的とするパーメチル化アミン化合物と副生成物の沸点が近接しており、分離が困難で、高純度パーメチル化アミン化合物を得ることが容易でない。また、いずれの方法においても反応開始時は非水系で実施されており、原料アミンが固体状、あるいは高粘性液体の時、その取扱い性に難がある。
【0007】
また、英国特許第1,305,258号明細書には、第1級アミン又は第2級アミンとホルムアルデヒドとを反応させる際、必要に応じて水と混合した炭素数4又は5の飽和脂肪族アルコールを加え、水素化触媒により、第2級アミン又は第3級アミンを製造する方法が開示されている。更に、特開昭62−281846号公報には、1,6−ヘキサンジアミンを、炭素数1〜4の脂肪族アルコール溶媒中または該アルコールを30重量%以上含む水とアルコールの混合溶媒中において、貴金属触媒の存在下、ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒド並びに水素を反応せしめるN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンの製造方法が開示されている。これらのいずれの方法においても、溶媒としてアルコール又はアルコールと水の混合溶媒を使用している。これらの方法では、固体原料アミンは容易に液状化でき、取扱い性の向上、粘性低下による反応の均一化等の効果がもたらされるが、反応活性や選択性の面で満足できるものではない。
【0008】
例えば、特開昭62−281846号公報では、明細書中に記載されているように、原料の1,6−ヘキサンジアミン100重量部に対して5重量%パラジウム−活性炭触媒を約1〜50重量部用いている。これは、Pd金属量で表すと、原料アミンに対して約0.05〜2.5wt%となり、貴重で高価なPdにとっては多大な使用量でり、工業的、経済的方法とは成り難い。
【0009】
また、溶媒としてのアルコールの使用は、反応液からのアルコールの分離回収、そして再使用が経済性の面から必要となる。また、環境保全の面から、アルコールを含む排水のCOD対策も必要である。更には品質上、製品へのアルコールの混入についても十分な配慮と処置が必要となる。したがって、これらの観点からアルコールを溶媒とする方法は煩雑で、工業的には有利な製造プロセスとは言い難い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のとおり、脂肪族第3級アミンの製造に関し、これまで多くの方法が開示されている。しかしながら、それらいずれの方法においても触媒の反応活性、目的物の選択性は満足できるものではなく、更に、操作性においても多くの課題を抱えている。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、還元メチル化反応により脂肪族第3級アミンを製造するときに、高い反応活性と選択性を有し、操作性、取扱い性が高く、製品品質が優れ、環境保全が容易で、且つ経済性の高い工業的製造技術を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記技術課題に鑑み、本発明者らは、脂肪族第3級アミンの効果的・効率的製造方法を創り上げるべく、鋭意検討を重ねた。その結果、水を反応開始時の溶媒とすることで脂肪族第3級アミンの選択性が向上するという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
前記従来技術から示されるように、これまで水は反応阻害物質と考えられ、基本的には非水系での反応、更に生成する水を反応系外へ積極的に除去する工夫がなされてきた。本発明者らは、限定された条件範囲で水溶媒がもつ反応活性向上、選択率向上の効果、そして操作性、取扱い性の改善効果等を見出し、これまでの課題を全て解決した。
【0014】
即ち本発明は、Pd,Pt,Rh及びRuからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する貴金属触媒の存在下、分子内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物に対し、水を0.2〜5倍重量添加した後で、1MPa(ゲージ圧)以上の水素圧下、反応温度60〜200℃で、ホルムアルデヒドを添加することを特徴とする脂肪族第3級アミンの製造方法である。
【0015】
本発明によれば、貴金属触媒のもつ反応活性・選択性を十分発現できる。そのため、貴重で高価な貴金属の使用量が少なくて済み経済的である。また、生産速度を大きくでき、反応液からの製品分離も容易で製品品質も高くできる。アミン化合物は水への溶解度が大きく、ピペラジン、1,6−ヘキサンジアミンの様な固体も液体として、また、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの様な粘稠物質は流動性の良い、低粘性液として扱え、操作性、取扱い性が著しく向上する。又、水を用いることから、高温・高圧下での反応も安全性が高くなる。この様に、本発明は多くの、そして大きな効果を有する。
【0016】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0017】
本発明の反応は、通常、懸濁床半回分方式により実施される。即ち、反応器に、原料アミン、水溶媒、貴金属触媒を仕込んだ後、内容物を攪拌しながら水素置換を行う。その後、所定圧力、所定温度にして、ホルムアルデヒドを連続的又は間欠的に添加し、脂肪族第3級アミンを得る。
【0018】
本発明に使用される原料アミンは、分子内にアミノ基を2個以上有するアミン化合物である。前記アミン化合物が有するアミノ基は、第1級又は第2級アミノ基より成るが、一部第3級アミノ基であっても良い。具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、又は該アミノ基に酸化エチレン若しくは酸化プロピレンが部分的に付加されたアミンが例示される。
【0019】
これらアミンは、ホルムアルデヒドと水素により還元メチル化され脂肪族第3級アミンとなり、ポリウレタン用発泡触媒や反応原料等として広く利用される。
【0020】
本発明は、水を原料アミンに添加すること、即ち、水溶媒で反応させることを必須とする。これが本発明の骨子である。添加する水は、原料アミンに対して、0.2〜5倍重量である。水は原料アミンに完全溶解し、均一な反応を行うことができる。水の添加量が0.2倍重量未満では、本発明における水の効果、即ち反応率向上、選択率向上の効果はなく、取扱い性もそれ程向上しない。5倍重量を越えると反応性の向上効果が小さいだけでなく、液量が増し生産性の低下が大きい。
【0021】
本発明において、水は、予め原料アミンに加えても、また反応器に原料アミンを仕込んだ後で添加しても良い。原料アミンが固体のピペラジン、1,6−ヘキサンジアミン、粘稠なN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの場合、前者の操作を行うと低粘性液となり、取扱い性、操作性が著しく改善され、好ましい方法となる。この時必要あれば加温する。好ましい水添加量は、原料アミンに対して、0.5〜1.5倍重量であり、前記効果をより多く、そして大きく得ることができる。更に好ましくは、0.7〜1.3倍重量である。
【0022】
水は、還元メチル化反応の進行過程でも生成する。ホルムアルデヒド1モルの反応で生成する水は約1モルになる。この生成水は、反応性向上にほとんど効果がない。それは、量的に少なく、又経時的に増すためと考えられる。ホルマリンに含まれる水も同様である。即ち、30〜60wt%の水が含まれたホルマリン水溶液が市販されており、これを用いると原料アミンに対して0.1〜3倍の水が系内に入ることになるが、このような水の効果は小さく、当然のことながら原料アミンの取扱い性、操作性向上は得られない。反応開始時に本発明で示された水の量が必須である。
【0023】
この水の効果は、他に反応熱の除去速度の向上、触媒や高分子量の副生成物によるスケーリングの防止、安全性の向上、悪臭対策が挙げられる。本反応の反応熱は極めて大きく、除熱律速である。工業設備になると、この影響が大きく、生産速度が制限される。水溶媒を用いることで、除熱速度が大きくなり、生産速度を大きくできる。また、スケーリングの防止作用により、除熱速度を維持することができる。
【0024】
本反応に使用するホルムアルデヒドは、ホルマリン水若しくはホルムアルデヒドのメタノール溶液、又はパラホルムアルデヒド等の重合物であっても良い。ホルムアルデヒド濃度は、30〜60wt%のものが好ましく、反応性良く、取扱い性良く使用できる。
【0025】
ホルムアルデヒドの使用量は、アミノ基のもつ活性水素基1個に対し当モル量で良い。通常は、1.0〜1.1倍モルで使用する。
【0026】
本発明の方法において、使用される触媒は、Pd,Pt,RhまたはRuの少なくとも一種を含有する貴金属触媒である。貴金属としては、Pd,Ptが反応活性が高く好ましい。更に好ましくはPdであり、極少量で反応を進行させることができる。
【0027】
触媒としては、これら貴金属の粉末でも良いが、担体を用いこれに貴金属を担持して用いることが好ましく、貴金属の触媒作用をより大きく引き出すことができる。又、取扱い性も高い。担体としては、炭素、アルミナ、シリカ等があげられ、炭素がより好ましい。炭素は、耐熱性、耐薬品性が高く、又触媒活性も高い。担持触媒の調製法は限定されるものではなく、イオン交換法、沈澱法、共沈法等により調製されたいずれの触媒も使用できる。
【0028】
貴金属の担持量は、触媒の0.1〜20wt%が好ましく、0.5〜10wt%が更に好ましく、効率良く、操作性良く実施できる。0.1wt%未満では、触媒の使用量が多く、反応時の懸濁濃度が増したり、反応後触媒の回収量が増し操作性が低下する。又、回収触媒への反応生成物の付着量が増し、収率低下につながる。20wt%を越えると、取扱い量は減少するが、触媒調製に時間を要する。
【0029】
触媒形状も特に制限されない。粉末、ペレット、球状いずれも好適に使用できるが、粉末がより好ましい。触媒粒径は制限されるものではないが、1〜2000μmが好ましく、5〜300μmが更に好ましい。1μm未満の粒子が多いと、反応液から触媒を濾過分離する時、触媒の損失量が増えたり、濾過時間が長くなったりする。又、触媒ケークへの付着反応液量も増す。2000μmを越えると、接触面積が低下し、触媒活性が減少する。
【0030】
触媒添加量は、アミン化合物種、反応温度、反応圧力、ホルマリン供給時間等によって最適量は異なり、一義的に決められない。通常、原料アミンに対し、貴金属として2〜2000ppm、好ましくは5〜500ppmであり、極微量で高い活性が得られる。また、触媒の耐久性が高く、反応後に反応液と分離して回収触媒を得、これを再び反応に繰り返し使用することができる。このことも特徴の1つである。
【0031】
ホルムアルデヒドの反応原料への添加は、連続式でも間欠式でも良い。又、その添加速度は等速でも変速でも良い。還元メチル化の反応速度に合わせて添加すれば良い。好ましくは、連続等速添加である。この添加時間が実質的に反応時間となる。通常は1〜20時間である。
【0032】
ホルムアルデヒドの供給終了後、10〜60分間その温度、圧力そして撹拌を維持することが望ましい。このことで、反応を完結させ、より高い収率を得ることができる。
【0033】
反応温度は、60〜200℃、好ましくは80〜180℃である。60℃未満では、水溶媒の効果が発揮されず、反応速度が小さく大量の触媒が必要となったり、長時間の反応となる。200℃を越えると、原料や生成物の分解に起因すると考えられる副生成物が急増する。又、強固な装置となり経済的でなくなる。60〜200℃で本発明のポイントである水溶媒の効果が十分に発揮でき、短時間に副生成物が抑えられた高品質の第3級アミンが得られる。又、貴金属触媒の必要量も少なくて済み、製造も広く用いられている汎用の装置が使用でき、経済的でもある。80〜180℃の時、これらの効果は更に大きくなるので好ましい。
【0034】
水素圧は、1MPa(ゲージ圧)以上、好ましくは2〜20MPaである。1MPa未満では、水溶媒の効果が十分ではなく、反応速度も小さく、又第3級アミンの選択性が低下し、副生成物量が増す。20MPaを越えると、反応性は問題ないが、安全面、耐圧面からその反応装置は高価になる。水素圧は、2〜20MPaが好ましく、水溶媒の効果がより大きく発現し、還元メチル化反応の速度は大きく、第3級アミンの選択率は高く、生産性良く高品質の第3級アミンが得られる。又、使用する触媒量も少なくて済み経済性が高い。又、反応装置も広く用いられている加圧装置が適用できる。
【0035】
本反応において、攪拌の影響は大きく、反応原料や触媒の均一分散、水素ガスの吸収速度増の面から、激しい程良い。撹拌羽根形状、回転数は高い流動が得られる条件とする。
【0036】
反応終了後、通常反応液を冷却して濾過し、貴金属触媒を濾過する。濾過は、加圧、減圧いずれでも良く、連続式でも回分式でも良い。又、濾過機機種も別に関係ない。一般的には、リーフフィルター、バックフィルター、フィルタープレス等が挙げられる。濾過は清澄濾過が好ましく、場合によっては珪藻土等の濾過助剤を用いても良い。担体が炭素の時、特に濾過助剤は必要なく、操作性良く清澄濾過できる。濾過して得られる反応液は、通常蒸留して脂肪族第3級アミンを得、製品とする。この時、本発明の水を溶媒とする方法では、蒸留操作が容易で、又副生成物量が少ないので、高純度の製品が操作性良く得られる。蒸留操作は連続式、回分式いずれを採用しても良い。一方、濾過で得られる貴金属触媒のケークは、そのまま反応工程にリサイクルして再使用でき、触媒コストの低減が図れる。この時、触媒ケークを水で洗浄するのが好ましく、再使用した時の反応活性が初期の反応活性を維持できる。その理由は定かではないが、水洗浄により触媒に付着したアミン化合物(副生成物を含む)が除去できるためと考えられる。水洗浄により、水が触媒に付着し反応工程に随伴するが、本発明ではむしろ好都合であり、付随量分の水を差し引いた量の水を添加すれば済む。又、添加する水で回収触媒ケークを分散・混合して反応器に導入しても良い。触媒ケークを水洗浄することで、回収触媒の繰り返し使用回数を5回以上、10回以上にもでき、極めて合理的で経済性を高くできる。水による洗浄度は別に制限しないが、通常、触媒に対して2倍重量以上であり、5倍重量以上が好ましい。又、水洗浄の別の効果として、触媒ケークの取扱い性が向上することが挙げられる。触媒の反応活性は高く、これにアミン化合物やアルコールが付着し、空気と触れると酸化還元反応により発火する恐れがある。しかしながら、水で濡れた状態ではすこぶる安定であり、取扱い性時の危険性は全くなくなる。また、多数回の繰り返し使用により、活性が低下した触媒は、通常これから貴金属が回収され、再度触媒化される。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、効果的・効率的に脂肪族第3級アミンを製造する方法であり、工業的でその経済性は極めて高い。以下、本発明の効果を列記する。
【0038】
(1)反応初期に水を添加することで、貴金属触媒のもつ高反応活性・選択性を十分発現でき、副生成物量はほとんど生成しない。そのため、貴重で高価な貴金属の使用量が少なくて済み経済的である。
【0039】
(2)水を添加することで、副生成物量が極めて少なくなり、また、アルコールを添加しないため、反応液からの製品分離も容易で製品品質も高くできる。
【0040】
(3)水を添加することで、固体、粘稠物質を流動性の良い、低粘性液として扱え、操作性、取扱い性が著しく向上する。
【0041】
(4)水を添加することで、除熱速度が大きくなり、生産速度を大きくできる。更に、触媒や高分子量の副生成物によるスケーリングを防止でき、除熱速度を維持することができる。
【0042】
(5)触媒を水で洗浄できることから、触媒の活性低下が抑制され、触媒の繰り返し使用回数が向上する。更に、水で濡れた状態では、取扱い時の危険性は全くなくなる。
【0043】
(6)水を添加することで、高温、高圧下での反応も安全性が高くなる。
【0044】
(7)水を添加することで、副生成物量が極めて少なくなり、またアルコールを添加しないため、廃液量が少なく、環境保全が容易である。
【0045】
【実施例】
以下実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、%,ppmは重量に基づくものである。
【0046】
実施例1
1Lオートクレーブに、ジエチレントリアミン120g、水120g、5%Pd/C触媒(エヌ・イー ケムキャット社製)0.6g(ジエチレントリアミンに対し、Pd金属として250ppm)を仕込み、水素置換した。120℃に昇温後、水素で30kg/cm2とし、撹拌しながらホルマリン(ホルムアルデヒド37%、水55%、メタノール8%)の連続供給を開始した。反応により水素が吸収されるため、30kg/cm2に保つように自動調圧弁で水素を供給した。ホルマリン481.4gを5時間かけて供給し、その後1時間温度、圧力、撹拌を保持し、反応を終了した。冷却後、反応液スラリーを抜き出し、これをメンブランフィルターを用いて濾過し、濾液をGC分析し、第3級アミンの定量を行った。表1に示すように、少量の触媒で高活性が得られ、ほぼ定量的に脂肪族第3級アミンが得られた。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例2
実施例1の回収触媒を用いて、実施例1と同様な操作を繰り返し行った。表1に示すように、触媒を3回繰り返し使用しても、その活性は全く低下していなかった。それ故、1バッチ当たりの触媒量は更に低下する。
【0049】
実施例3
原料を、N−アミノエチルピペラジン180g、水溶媒180g、5%Pd/C触媒(エヌ・イー ケムキャット社製)0.54g、ホルマリン346.0gに代えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。少量の触媒で高活性が得られ、ほぼ定量的に脂肪族第3級アミンが得られた。
【0050】
実施例4
実施例3の回収触媒を用いて、実施例3と同様な操作を繰り返し行った。結果を表1にあわせて示す。触媒を5回繰り返し使用しても、その活性は全く低下していなかった。それ故、1バッチ当たりの触媒量は更に低下する。
【0051】
実施例5
原料を、1,6−ヘキサメチレンジアミンの50%水溶液240g、5%Pd/C触媒(DEGUSSA社製)0.06g、ホルマリン341.9g、反応温度150℃に代えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。25ppmの極めて少量の触媒で高活性が得られ、ほぼ定量的に脂肪族第3級アミンが得られた。
【0052】
比較例1
水溶媒を用いない以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。DT収率は96.5%であり、副生成物は3.5%副生した。この量は、実施例1の4倍以上もの量である。
Claims (3)
- Pd,Pt,Rh及びRuからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有する貴金属触媒の存在下、分子内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物に対し、水を0.2〜5倍重量添加した後で、1MPa(ゲージ圧)以上の水素圧下、反応温度60〜200℃で、ホルムアルデヒドを添加する脂肪族第3級アミンの製造方法であって、分子内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、又はこれらアミン化合物が有するアミノ基に酸化エチレン若しくは酸化プロピレンが部分的に付加されたアミンであることを特徴とする脂肪族アミンの製造方法。
- 貴金属触媒が、炭素に担持されたPd触媒である請求項1に記載の方法。
- 水の添加量が、原料アミンに対し、0.5〜1.5倍重量である請求項1に記載の方法。
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