JP4196145B2 - 圧縮・引張試験装置および出力調整装置 - Google Patents
圧縮・引張試験装置および出力調整装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮・引張試験装置および出力調整装置に係り、特に、電動機により液体ポンプを小さな駆動力で回転して液圧を吐出し、液体ポンプの吐出液圧で液体アクチュエータを直接動作させ、また、主駆動部と推力微調部とで構成し出力の微調整が行なえる圧縮・引張試験装置および出力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、試験片の受ける応力状態から引張試験、圧縮試験、曲げ試験、ねじり試験、せん断試験およびかたさ試験などに、また試験片に加える外力の性質から静的試験、衝撃試験、疲れ試験(繰返し応力試験)およびクリープ試験などに分類され、それぞれに適合された試験装置が存在していることは一般的に知られている。このとき、一般的に、試験片に加える外力が小さいものには電気モータが用いられ、外力が大きいものには液圧が用いられていることも知られている。その一例として、図12に示すように油圧を用いた圧縮・引張試験装置が一般的に知られている。この油圧を用いた圧縮・引張試験装置は、液体ポンプ151あるいはアキュムレータ153からの液圧をサーボ弁や電磁比例弁155を経由して液体アクチュエータ157の所定ポートに供給し、図示しない試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を与えている。この圧縮・引張試験装置では、液体アクチュエータ157が作動していないときでも液体ポンプ151を常時一定速度で回転させ一定量の圧油を生成し液圧エネルギーをアキュムレータ153に蓄えるか、あるいは、生成されたエネルギーはリリーフ弁159を介してオイルタンク161に戻されている。このため、エネルギーロスが非常に大きいものとなっており、また、騒音も非常に大きいものとなっている。さらに、油温が上昇することにより作動油が劣化するので、クーリング装置163の設置が必要になることもある。このため、多量の作動油量が必要になるとともに、回路の構成が複雑になり、定常的なメンテナンスが必要になり、また、定常的に騒音が発生しうるさいという問題がある。このため、この問題を改良するものとして、特開平9−88906号公報が提示されている。同公報によれば、図13に示すように、電動機171にフライホィール173を直結するともに、このフライホィール173を介して二方向吐出形の液圧ポンプ175を駆動するようにし、この液圧ポンプ175によって液圧シリンダ177を駆動するようにしている。これにより、電動機171によって直接フライホィール173を高速回転させ、その回転エネルギーを蓄積するようにしたからフライホィール173および他の装置を従来のものより著しく小型軽量にできる。また、上記公報に記載された液圧駆動装置は、負荷の変動がそのまま圧液の圧力変動となるが、大きな圧力変動があっても、液圧ポンプ175およびこの液圧ポンプ175と連通する液圧系には何らの問題も発生しない。即ち、減速機による機械的な減速はエネルギーの伝達を点接触で行っているが、液圧の場合は、パスカルの原理により機構部と圧液の接触部は全て面接触と考えて良い。従って、大きな負荷の変動があっても定格出力の範囲内であれば液圧ポンプ175は破壊されることはないことが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−88906号公報においては、調査する試験片のテスト条件を設定するのが困難であるとともに、設定工程に多くの時間がかかっている。このため、作業にはベテランの計測員が必要になっており、その計測員が不足するという問題がある。また、作動流体としては非圧縮性といわれる液体(油)が用いられているが、実際には液体自身が圧縮性を有するとともに、液体内部に混入する空気のために圧縮性があるため、液体アクチュエータが指令値に応じて作動せず精度が悪くなっている。更に、液体ポンプと液体アクチュエータを接続する配管が可撓管(ゴムホース)で接続されると、可撓管が圧力により拡張するため液体アクチュエータが指令値に応じて作動せず精度がさらに大きく悪くなってくる。また、液体の温度によって液体の粘度が変化し、液体アクチュエータが指令値に応じて作動せず精度がさらに大きく悪くなってくる。さらに、同公報では、試験片に応じたテスト条件の入力が困難であるとともに、テスト条件に応じて測定したテスト結果を正確に確認するのが困難である。また、大型の圧縮・引張試験装置においては、フライホィールが大きくなり、迅速に大きな荷重をかけるのが困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に着目し、圧縮・引張試験装置および出力調整装置において、テスト条件の設定が容易で、かつ、正確に設定できるとともに、精度良く測定でき、また、大型の試験機あるいは加工機でも迅速に荷重を付与でき、また、微調整の荷重の付与が可能な圧縮・引張試験装置および出力調整装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る圧縮・引張試験装置は、電動機により駆動される液圧ポンプからの圧力を受けた液圧アクチュエータにより試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与し、試験片の材料の機械的性質である応力または歪みあるいは両者の関数を試験する圧縮・引張試験装置であって、試験片のテスト条件を入力する入力部と、入力されたテスト条件を受信しテスト条件に適合した指令値を出力する制御本体部とを有する制御手段と、制御本体部からの指令値により回転速度が制御される電動機と、電動機により回転駆動される2方向流れの液体ポンプと、電動機と液体ポンプとの間に配設され電動機により回転駆動されるフライホィールと、液体ポンプあるいは/および液体アクチユエータからのもれ量を補充するチェック弁あるいは/および補充用電動機により駆動されるポンプ補充用ポンプと、チェック弁あるいは/および補充用ポンプに接続されるタンクとで構成するようにしたものである。
【0006】
また、液圧アクチュエータは、ストローク位置を検出する位置検出センサが付設されており、制御手段は、位置検出センサからのフィードバック信号を受けて制御本体部から電動機への指令値を増減し、電動機の回転速度を増減する加算部とをを有する構成にすると良い。
【0007】
また、制御手段は、試験片に付与する荷重、位置、あるいは、時間に関する設定された波形モードのテスト条件を記憶する記憶部と、波形モードのテスト条件を選択する選択モード設定部と、選択モード設定部により選択されたテスト条件を入力するテスト条件入力部と、選択したテスト条件の入力項目を表示するとともに図示し、かつ、測定した結果を図示する表示部とを有する構成にすると良い。
【0008】
また、液体ポンプは、電動機により回転駆動される2方向流れの可変容量形液体ポンプであり、フライホィールの近傍に配設されフライホィールの回転速度を検出する速度センサーが設けられ、制御本体部は、速度センサーからの信号に応じて可変容量形液体ポンプに吐出指令を出力するように構成すると良い。
【0009】
また、液体ポンプと液圧アクチュエータとの間を接続する二つの配管のそれぞれに付設され、制御本体部からの指令を受けて液圧アクチュエータの加圧側のセット圧力を高圧力に、液圧アクチュエータからの戻り側のセット圧力を低圧力に調圧する、タンクに接続された電磁比例式リリーフ弁を有するように構成すると良い。
【0010】
本発明に係る圧縮・引張装置の出力調整装置である他の発明は、電動機により駆動される液圧ポンプからの圧力を受けた液圧アクチュエータにより試験片あるいは被加工品に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与し、試験片の材料の機械的性質である応力または歪みあるいは両者の関数を試験、あるいは、被加工品を加工する圧縮・引張装置であって、制御本体部からの指令値により回転速度が制御される電動機と、電動機により回転駆動される2方向流れの液体ポンプからの油圧を受けて試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与する液体アクチユエータとからなる主駆動部と、制御本体部からの指令値により回転速度が制御される微調用電動機と、微調用電動機により駆動される駆動力を受けて作動し、主駆動部の液体アクチユエータに供給する推力微調用油圧を生ずるプランジャとからなる推力微調部とで構成されている。
【0011】
また、推力微調部は、微調用電動機により駆動される微調用油圧ポンプからの油圧、あるいは、微調用電動機により駆動されるボールネジにより作動し、油圧を生ずるプランジャと、プランジャからの油圧を主駆動部の液体アクチユエータに供給するシャトル弁とが付設されていると良い。
【0012】
【作用】
上記構成によれば、圧縮・引張試験装置は、材料の機械的性質である応力または歪みあるいは両者の関数を計測するために、試験片のテスト条件を入力する入力部と、入力されたテスト条件を受信しテスト条件に適合した指令値を電動モータに出力する制御本体部とを有する制御手段を備えている。電動モータは、制御手段の制御本体部からの指令値により回転速度が制御されながら液体ポンプおよびフライホィールを回転し、液体ポンプは、前記電動モータにより駆動され、必要な吐出量を液体アクチュエータに直接吐出する。フライホィールの回転エネルギーは回転速度をNrとすると、Nr2となる。したがって、可能な限り高速度で回転させることにより、フライホィール自体の重量を軽減させることができるので、電動モータに直結させることにより、低コストで最大の効果を得ることができる。液体ポンプあるいは/および液体アクチユエータから作動油がもれた場合には、もれ量に応じた分だけ液体ポンプを経て、チェック弁のみにより補充されるか、あるいは、補充モータにより駆動される補充用ポンプのみにより補充されるか、又は、チェック弁および補充用ポンプの両方により補充されるか、のいずれかにより補充される。また、液体ポンプの回転速度が変動する時にも同様に補充してキャビティーションを防止するようにしている。
【0013】
また、液圧アクチュエータには位置検出センサが付設され、液体アクチュエータのストローク位置を検出し、その検出値を加算器にフィードバック信号として入力している。
また、試験片のテスト条件を入力する入力部には、選択モード設定部が付設され、試験片に付与するテスト条件の波形モード、例えば、定変位、定速度、三角波、正弦波、不規則波、あるいは、定荷重等のモードのいずれかを設定できるようにされている。
【0014】
また、入力部には、選択モード設定部により選択されたテスト条件の項目を入力するテスト条件入力部が付設されている。テスト条件入力部が操作されると、表示部には選択したテスト条件の入力項目を表示するとともに図示し、かつ、測定した結果が図示される。
【0015】
また、可変電動モータにより駆動されるフライホィールおよび可変容量形液体ポンプとが配設されるとともに、フライホィールの近傍には速度センサーが配設されて回転速度を検出している。フライホィールの回転速度が所定の速度になったことが速度センサーにより検出されると、制御本体部は可変容量形液体ポンプに吐出指令を出力して、例えば、ポンプに多量の吐出容量を吐出させて急激な荷重の付加、あるいは、所定のなだらかな吐出量を吐出させて所定のなだらかな荷重を付加するように吐出量を制御している。
【0016】
また、液体ポンプと液圧アクチュエータとの間を直接接続する二つの配管には、それぞれにリリーフ弁が接続されている。このリリーフ弁は、そのうちのいずれか一方が制御本体部からの指令を受けて液圧アクチュエータの加圧側のセット圧力を高圧力に、液圧アクチュエータからの戻り側の他側のセット圧力を低圧力に調圧して、液圧アクチュエータのストローク位置に対して任意の荷重が付加できるようにされている。このとき、リリーフ弁は電磁比例式リリーフ弁を用いるとよい。
【0017】
圧縮・引張試験装置の他の発明は、主駆動部と推力微調部とで構成されている。主駆動部は、制御本体部により回転速度が制御される電動モータで回転駆動される2方向流れの液体ポンプからの油圧を受けて試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与する液体アクチユエータとからなる。推力微調部は、制御本体部により回転速度が制御される微調用電動モータと、微調用電動モータにより駆動される駆動力を受けて作動し、主駆動部の液体アクチユエータに供給する推力微調用油圧を生ずるプランジャとからなっている。主駆動部により早送りが可能になり作業が迅速になり、推力微調部で増圧により小さい圧力で大きな圧縮荷重および引張荷重を負荷制御できるため省エネルギーが得られ、また、細かい制御が可能となる。特に、微調用油圧シリンダの受圧面積とプランジャの断面積との比を大きくして増圧比を大きくすると、電動モータのトルクむら、および、油圧ポンプのリップル(ポンプが有する固有の脈動)に起因する圧力変動を反比例して小さくすることができる。これにより、油圧シリンダに作用するプランジャの脈動を小さく出来て精密な制御が可能になっている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る圧縮・引張試験装置の好ましい実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る圧縮・引張試験装置の回路図である。図1において、圧縮・引張試験装置1のポンプには二方向流れ可変容量形液体ポンプである可変容量形油圧ポンプ11(以下、可変定容量形ポンプ99という)は、第1配管13および第2配管15によって、液体アクチュエータであるダブルロッド形油圧シリンダ17(以下、油圧シリンダ17という)に直結されている。可変容量形油圧ポンプ11は、後述する制御本体部23からの指令を受けて容量制御用サーボ機構11Aにより吐出容積qv(cc/rev)を可変にしている。可変容量形油圧ポンプ11は、所定の慣性モーメントIを有するフライホィール19を介して、電動機21に接続されて駆動されて回転する。電動機21は、二方向の回転が可能であるとともに回転速度が可変のACモータあるいはDCモータを用いることができる。電動機21の回転速度は、制御手段であるコントローラ88の制御本体部23からの指令信号に応じて制御されて可変に回転する。フライホィール19は、特開平9−88906号公報と同様に、電動機21の回転速度を大きくすることにより、重量を軽減することができる。このフライホィール19の回転速度は従来使用している速度よりも早くして慣性モーメントIを同じにしており、その分だけフライホィール19自体の重量を軽減している。
【0019】
電動機21と制御本体部23との間には、後述する位置検出センサ41からの信号に応じて制御本体部23からの指令信号を増減して電動機21の回転速度を調整する加算部25が配設されている。この電動機21の回転速度が加算部25で調整されることにより、可変容量形油圧ポンプ11の回転速度が変更されて、可変容量形油圧ポンプ11からの作動油の吐出量Qaが可変に調整される。また、作動油の吐出量Qaは、電動機21の回転速度Nrを一定にしておき、容量制御用サーボ機構11Aにより吐出容積qv(cc/rev)を可変にすることにより調整できる。このとき、作動油の吐出量Qaの調整は、可変容量形油圧ポンプ11の容量制御用サーボ機構11Aを制御して作動油の吐出量Qaを変更するよりも、吐出容積qv(cc/rev)を一定にしておいて電動機21の回転速度Nrを調整することで作動油の吐出量Qaを調整する方が制御を容易にでき、かつ、精度も良くなる。以下、吐出容積qv(cc/rev)を一定にしておいて電動機21の回転速度を調整する方法について述べる。
【0020】
電動機21は制御本体部23からの指令信号に応じて回転方向および回転速度が設定されている。電動機21により駆動される可変容量形油圧ポンプ11は、電動機21の回転方向および回転速度に応じて第1配管13あるいは第2配管15のいずれかに作動油を吐出する。可変容量形油圧ポンプ11から第1配管13に吐出された作動油は、油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに供給されて油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aを下降し、試験片27に圧縮力を付与する。
【0021】
反対に、可変容量形油圧ポンプ11から第2配管15に吐出された作動油は、油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bに供給されて油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aを上昇し、試験片27に引張力を付与する。油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aには、作動の上限および下限を位置決めする図示しないリミットスイッチが付設されており、この位置信号は制御本体部23に送信されている。また、シリンダロッド17Aの一側先端部に試験片27を装着する試験片用取着部5が設けられている。また、第1配管13あるいは第2配管15には、回路を保護する高圧に設定された図示しないリリーフ弁が装着されている。
【0022】
可変容量形油圧ポンプ11は、作動油タンク31から作動油を吸入可能であるとともに、油圧シリンダ17からの戻り油を第1配管13および第2配管15から吸入する。第1配管13および第2配管15の間には、第1チェック弁33aと第2チェック弁33bとの二つのチェック弁が対向して配設されている。この第1チェック弁33aと第2チェック弁33bとの間には、作動油タンク31に接続する第3配管35が配設されている。これにより、可変容量形油圧ポンプ11あるいは/および油圧シリンダ17から作動油がもれた場合には、作動油タンク31から第1チェック弁33aを介して第1配管に、また、第2チェック弁33bを介して第2配管に不足した分だけ作動油を補充することができ、キャビテーションの発生を防止することが出来る。即ち、可変容量形油圧ポンプ11あるいは/および油圧シリンダ17からもれた作動油は、チェック弁33から補充される構成としている。また、可変容量形油圧ポンプ11と油圧シリンダ17とが第1配管13および第2配管15で直結された閉回路は、可変容量形油圧ポンプ11の回転速度あるいは吐出容積qvが変動し吐出量Qaが急激に変更された場合でも、第1チェック弁33aあるいは第2チェック弁33bと、作動油タンク31から吸引されて補充されるためにキャビテーションの発生を防止することが出来る。
【0023】
油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aには、室内の圧力を測定する第1油圧検出センサ37aが、また、図示の下側シリンダ室17bには、室内の圧力を測定する第2油圧検出センサ37bが配設され、それぞれの油圧検出センサ37は検出した圧力を制御本体部23に送信している。制御本体部23は、第1油圧検出センサ37aの第1圧力Paと第2油圧検出センサ37bの第2圧力Pbから油圧シリンダ17が発生する荷重Faを演算している。この荷重Faは、試験片27に付与する引張力、あるいは、圧縮力となっている。荷重Faが制御本体部23からの指令値よりも小さい場合には、制御本体部23は加算部25に電動機21の回転速度を増加するように指令を出力して回転速度を増し、可変容量形油圧ポンプ11の回転速度を変更して可変容量形油圧ポンプ11からの作動油の吐出量Qaを増加し、荷重Faを増加するように調整できるようにしている。
【0024】
反対に、荷重Faが制御本体部23からの指令値よりも大きい場合には、制御本体部23は加算部25に電動機21の回転速度を減速するように指令を出力して回転速度を減じ、可変容量形油圧ポンプ11の回転速度を変更して可変容量形油圧ポンプ11からの作動油の吐出量Qaを減量し、荷重Faを減少するように調整できるようにしている。この油圧検出センサ37は、第1配管13、あるいは、第2配管15に配設しても良い。
【0025】
油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aには、そのストローク位置を検出する位置検出センサ41が付設されている。位置検出センサ41は、検出したシリンダロッド17Aのストローク位置をフィードバック位置信号として加算部25に送信している。加算部25は、制御本体部23からのシリンダロッド17Aの位置指令と、位置検出センサ41からのフィードバック位置信号とを比較し、不足している場合には指令値に加算して、電動機21の回転速度Nrを増加して可変容量形ポンプ11の吐出量Qaを増やしてストローク位置の不足分を補充している。反対に、余剰している場合には、指令値に減算して、電動機21の回転速度を減速して可変容量形ポンプ11の吐出量Qaを減じてストローク位置の余剰分を減じている。これにより、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aは、制御本体部23の指令値に応じて正確に作動している。
【0026】
コントローラ88には、試験片27のテスト条件に応じて、テスト条件、テスト項目等を入力する入力部23aが付設されている。入力部23aには、試験片27のテスト条件に応じてテスト項目を選択する選択モード設定部43が配設されている。選択モード設定部43は、例えば、定変位、定速度、三角波、正弦波、不規則波、あるいは、定荷重等の荷重が付与される入力キー43a、43b、43c…が設けられている。また、制御本体部23には、定変位、定速度、三角波、正弦波、所定の不規則波、あるいは、定荷重等の荷重、位置、あるいは、時間等の波形形状の波形モードが後述するコントローラ88の内部の記憶部23bに記憶されている。選択モード設定部43が操作されると選択された波形モードが後述する表示部47の画面47aに表示される。
【0027】
また、入力部23aには、上記の選択モード設定部43、およびテスト条件入力部45が配設されている。テスト条件入力部45は、例えば、選択モード設定部43により選択された波形モードにテスト条件(例えば、テスト時間、テスト荷重、あるいは、テストストローク等のテスト項目)を入力する。テスト条件入力部45が操作されると、それに応じた入力値が表示されている後述する表示部47の画面47aが表示される。試験員は、表示部47の画面47aに表示された入力個所49にテスト条件の入力値を入力すれば良く、簡単に正確に入力することができる。テスト条件は、例えば、三角波変位が選択された場合には、図2に示すような表示部47の画面47aに台形形状の図Uaが表示される。この画面47aの入力個所49、計測周期(100msec)、繰り返し回数(N=1)、ストローク(60.0mm)、T−1(60.0sec)、T−2(0.0sec)、T−3(60.0sec)を記入し、試験員は記入項目に間違いがない場合には、OKをクリックすることにより、テスト条件が入力される。これにより間違いがなく正確に入力することができる。
【0028】
表示部47は、制御本体部23に接続されており、テスト条件入力部45の操作に伴って、テスト条件の入力すべき各項目が、表示部47の画面47aに表示されるとともに、後述する試験片27に付与された荷重を検出するロードセル51からの荷重を表示している。例えば、図3に示すように、画面47aの第1入力個所49aには、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの指令位置が黄色の実線Yaで表示されるとともに、計測位置が緑色の実線Ga(図示では点線Gaで示す)で表示される。また、画面47aの第2入力個所49bには、測定した結果の荷重が緑色の実線Taで表示される。この結果よりテストした試験片27のテスト結果が容易に目視により判別できる。
【0029】
圧縮・引張試験装置1の試験片27を取着する取着部にはロードセル51が配設されている。このロードセル51の測定結果は、制御本体部23に送信され演算解析されて表示部47に送られる。表示部47の画面47aには、試験片27のテスト指令値とロードセル51の測定結果が一緒に表示される。例えば、図3に示すように、画面47aの第2入力個所49bには、測定した結果の荷重が表示される。この結果よりテストした試験片27のテスト条件とテスト結果が容易に目視により判別できるため、テストの確認が容易になっている。上記において、制御本体部23、入力部23a、加算部25、および、表示部47はコントローラ88で構成しても良い。
【0030】
また、圧縮・引張試験装置1には、図1に点線Sa示すように恒温室53を有している。この恒温室53は、様々な温度の環境下で試験片27のテストが出来るように図示しない温度制御装置が付設できるようにされている。
【0031】
次に、上記の作動について、弾性体であるゴムの試験片27を圧縮試験する場合について図4を用いて説明する。図4において、横軸には試験片27に与える変位量の指令計画位置と実測位置とを表示している。また縦軸には試験片27に発生した圧縮荷重の実測値を表示している。前記のように、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの計画指令位置、即ち、試験片27の変位量の計画指令位置と圧縮荷重のと関係が黄色(実際の画面47a上)の実線Ya(図4でも実線Yaで示している)で表示されている。また、実測位置と圧縮荷重との関係が実際の画面47a上で緑色の実線Ga(図4では点線Gaで示す)で表示されている。このとき、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの計画指令位置は、可変容量形ポンプ11の吐出容積qv(cc/rev)と油圧シリンダ17の容積との関係より、電動機21の回転速度の指令値が決定される。また、圧縮荷重の実測値は、ロードセル51により求められる。
【0032】
シリンダロッド17Aの位置を制御する場合、先ず、図示しないサーボオンスイッチをON操作すると、制御本体部23から電動機21に駆動開始指令が出力されて電動機21の回転を開始する。電動機21は、制御本体部23から指令値に応じて回転速度を増加して行く。このとき、制御本体部23は、試験片27の変位量の計画指令位置(実線Ya)に合わせて油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aを作動させるような、可変容量形ポンプ11の吐出量Qaを吐出させるように電動機21の回転速度Nrを制御する指令値を出力している。このとき、可変容量形ポンプ11の吐出容積qvは一定の容積となっているものとしている。
【0033】
これにより、可変容量形ポンプ11は回転を開始するとともに、電動機21の増速に合わせて増速していき回転速度に応じて作動油を吐出する。この吐出された作動油は油圧シリンダ17の上側シリンダ室17aに供給されて、制御本体部23の指令に応じて油圧シリンダ17の伸長を行ない試験片27に圧縮荷重を付与する。油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの位置、および試験片27の縮小量は、位置検出センサ41により検出されて加算部25に送信される。このとき、前記のごとく、作動油自体および空気混入による圧縮性と、可撓管(ゴムホース)の膨張等により、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの位置が計画値と異なってくることがある。このときには、位置検出センサ41がシリンダロッド17Aのストローク位置を検出し、その検出値をフィードバック位置信号として加算部25に送信している。加算部25は、シリンダロッド17Aの位置が所定の位置になるように制御本体部23からの指令値を増減し、電動機21の回転速度、即ち可変容量形ポンプ11の吐出量Qaを増減して修正している。
【0034】
一方、ロードセル51の測定結果(出力)は、制御本体部23に送信されて演算解析されて表示部47に送られ、例えば、図3あるいは図4に示すように、表示部47の画面47aには、試験片27のテスト指令値とロードセル51の測定結果が点線Gaで示すように一緒に表示される。このとき、油圧シリンダ17の上側シリンダ室17aに付設した第1油圧検出センサ37aと、下側シリンダ室17bに付設した第2油圧検出センサ37bとで検出した第1圧力Paと第2油圧検出センサ37bの第2圧力Pbから油圧シリンダ17が発生する圧縮荷重Fcを演算するようにしても良い。また、この求めた演算による圧縮荷重Fcと、ロードセル51により測定された圧縮荷重とを比較して計器(ロードセル51)の確認をするようにしても良い。
【0035】
シリンダロッド17Aのストローク位置が、ストローク点Naに到達する前より電動機21の回転速度を減じて、ストローク点Naで電動機21の回転速度を停止する。このとき、フライホィール19は重量が軽いため小さい制動力で良く、ストローク点Naの近傍で減速することができ、試験時間が短くなる。電動機21が回転速度を停止したら、制御本体部23は電動機21が逆方向に回転するように指令信号を出力し、電動機21を逆方向に回転する。電動機21は、制御本体部23から指令値に応じて回転速度を増加して行く。電動機21により駆動される可変容量形ポンプ11の吐出量は回転を開始するとともに、電動機21の増速に合わせて増速していき回転速度に応じて作動油を吐出する。この吐出された作動油は油圧シリンダ17の下側シリンダ室17bに供給されて、制御本体部23の指令に応じて油圧シリンダ17の縮小を行ない試験片27に付与していた圧縮荷重を軽減して行く。油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの位置、および試験片27の収縮量は、前記と同様に、位置検出センサ41により検出されてフィードバック位置信号として加算部25に送信している。加算部25は、シリンダロッド17Aの位置が所定の位置になるように制御本体部23からの指令値を増減し、電動機21の回転速度、即ち可変容量形ポンプ11の吐出量の吐出量Qaを増減して修正している。
【0036】
圧縮荷重が減じていき、圧縮荷重がゼロになった点Nbでは、例えば、ゴム等の弾性体は原点に戻らずに変位量Laを有している場合がある。この変位量Laには無関係にシリンダロッド17Aの位置が原点Oaに戻ったら電動機21の回転を停止して圧縮試験は終了する。上記テストのように、船等に用いるゴム防舷材等の試験片に付与する荷重を所定の不規則波の波形モードとして表示し、それに所定のテスト条件、項目を入力して圧縮試験を行なうことができる。
【0037】
上記実施形態では、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの位置、即ち、試験片27の位置を基準位置として圧縮荷重Fcを求めたが、反対に計画指令荷重Faを基準としてそれに対する変位量を求めることもできる。図5に示すように、油圧シリンダ17の上側シリンダ室17aに付設した第1油圧検出センサ37aと、下側シリンダ室17bに付設した第2油圧検出センサ37bとで検出した第1圧力Paと第2油圧検出センサ37bの第2圧力Pbから油圧シリンダ17が発生する基準となる圧縮荷重を設定して計画指令荷重Faとする。これにより、図5に示すように、試験片27に付与する計画指令荷重Faが黄色(実際の画面47a上)の実線Ya(図5でも実線Yaで示している)で表示されている。また、ロードセル51により測定された実際の圧縮荷重Fcは実際の画面47a上で緑色の実線Ga(図5では点線Gaで示す)で表示されている。このとき、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの計画指令荷重Faは、可変容量形ポンプ11の吐出量の吐出容積qv(cc/rev)と油圧シリンダ17の容積との関係より、油圧シリンダ17の実際の圧縮荷重Fcが計画指令荷重Faになるように、制御本体部23は電動機21の回転速度Nrを調整している。このようにして荷重を基準として変位量を求めることもできる。また、前記のごとく、電動機21の回転速度Nrは一定に保っておいて、制御本体部23から容量制御用サーボ機構11Aに指令を出力して可変容量形ポンプ11の吐出容積qvを変更することにより可変容量形ポンプ11の吐出量Qaを制御し、油圧シリンダ17の実際の圧縮荷重Fcが計画指令荷重Faになるようにしても良い。
【0038】
上記のごとく、本発明では、試験片27の位置を基準位置として圧縮荷重Fcを求めること、および、計画指令荷重Faを基準として実際の圧縮荷重Fcを一致させるように制御するとともに、そのときの試験片27の位置を求めることもできる。以下では、引張試験あるいは圧宿試験の作動について説明する。
【0039】
上記のごとく構成した圧縮・引張試験装置1の第1実施形態の作用は、次の通りである。圧縮・引張試験装置1の作動について、図6に示すフローチャート図を用いて説明する。ステップ1では、圧縮・引張試験装置1の制御本体部23に付設されている入力部23aに設けられている図示しない電源用スイッチの入り操作(以下、ON操作という)を行う。ステップ2では、ロードセル51を作動させるため、入力部23aに設けられているロードセル用スイッチ51aのON操作を行う。あるいは、ロードセル用装置に付設されている図示しないロードセル用スイッチをON操作する。これにより、ロードセル51が正確に作動するように、図示しないロードセルアンプの予熱を開始する。また、このとき、制御本体部23の図示しない制御装置用電源スイッチをON操作して制御本体部23を含むコントローラ88を立ち上げる。ステップ3では、試験片27のテスト条件、例えば、定変位、定速度、三角波、正弦波、不規則波、あるいは、定荷重等のテスト条件に合わせて、入力キー43a、43b、43c…のいずれかを選択する。ステップ4では、選択されたテスト条件に合わせたテスト項目を入力する入力個所49が表示される表示部47の画面47aを表示する。ステップ5では、表示部47の画面47aに表示された入力個所49にテスト条件を入力する。ステップ6では、テスト条件が設定された制御系統を一時オフラインする。ステップ7では、圧縮・引張試験装置1の試験片用取着部5に試験片27を取着する。ステップ8では、テスト条件が設定された制御系統を再度ON操作する。
【0040】
ステップ9では、サーボオンスイッチをON操作して試験装置の可動を開始する。これにより、制御本体部23より電動機21に指令が出力されて、電動機21の回転が開始するとともに、可変容量形ポンプ11が回転して作動油を吐出する。吐出された作動油は油圧シリンダ17に供給されて、制御本体部23の指令に応じて、油圧シリンダ17は伸長あるいは縮小のいずれかを行ない試験片27に引張荷重あるいは圧縮荷重を付与する。このとき、試験片27の伸びあるいは収縮は、位置検出センサ41により検出されて制御本体部23に送信される。また、このとき、試験片27に付与された引張荷重あるいは圧縮荷重は、ロードセル51により測定される。このロードセル51の測定結果は、制御本体部23に送信された演算解析されて表示部47に送られ、表示部47の画面47aには、試験片27のテスト指令値とロードセル51の測定結果が一緒に表示される。
【0041】
ステップ10では、ステップ9が所定回数だけ繰り返され、荷重テストは終了する。
ステップ11では、テスト条件が設定された制御系統をOFF操作する。
ステップ12では、圧縮・引張試験装置1の試験片用取着部5から試験片27を取り外す。ステップ13では、制御本体部23の図示しない電源用スイッチの切り操作(OFF操作)を行う。また、ロードセル用スイッチ51aの切り操作(OFF操作)を行ないテストを終了する。
【0042】
図7は本発明の第2実施形態に係る圧縮・引張試験装置1Aの回路図である。なお、第1実施形態と同一部品には同一符号を付して説明は省略する。
第1実施形態では、ポンプには二方向流れ可変容量形液体ポンプである可変容量形油圧ポンプ11が、また、シリンダには液体アクチュエータであるダブルロッドの油圧シリンダ17が用いられている。また、第1配管13および第2配管15の間に第1チェック弁33aと第2チェック弁33bとが対向して配設されており、可変容量形油圧ポンプ11および油圧シリンダ17から作動油がもれた場合には、第1チェック弁33aを介して第1配管に、また、第2チェック弁33bを介して第2配管に作動油を供給し、ポンプに補充することが出来るようにしている。
【0043】
これに対して、図7の第2実施形態では、可変容量形油圧ポンプ11が、また、シリンダには液体アクチュエータであるシングルロッド複動油圧シリンダ63(以下、複動油圧シリンダ63という)が用いられている。可変容量形油圧ポンプ11は、制御本体部23からの指令を受けて容量制御用サーボ機構11Aにより吐出容積qv(cc/rev)を可変にしている。シングルロッド63Aの先端部には、試験片27を取着する試験片用取着部5が付設されている。ヘッド側シリンダ室63aに接続する第1配管13には、パイロット操作チェック弁65が配設されており、パイロット操作チェック弁65はパイロット圧力をロッド側シリンダ室63bに接続する第2配管15から受けて開き作動油タンク31に余剰油を放出している。また、第2配管15側には、第1実施形態と同様に第2チェック弁33bが配設されており、複動油圧シリンダ63が伸長時に不足している作動油を補充している。第2チェック弁33bは、第4配管67により補充用ポンプ69にも接続されており、可変容量形油圧ポンプ11あるいは/および複動油圧シリンダ63からの作動油のもれ量は可変容量形油圧ポンプ11を経て補充される。
【0044】
また、補充用ポンプ69は補充用電動機71により駆動され、その吐出油は、可変容量形油圧ポンプ11および第2チェック弁33bを経て、第1配管13および第2配管15のそれぞれに必要に応じて供給し、補充されるようになっている。補充用ポンプ69の吐出油は、第1リリーフ弁73によって低い圧力、例えば、0.3〜0.5MPaに調圧されている。これにより、可変容量形油圧ポンプ11の回転速度が急激に可変速が行われたときにも、第2チェック弁33あるいは/および補充用ポンプ69から可変速時の不足する油量を前記の第1配管13および第2配管15に供給することができ、ポンプのキャビテーションの発生を防止することが出来る。また、可変容量形油圧ポンプ11あるいは/および複動油圧シリンダ63から作動油がもれた場合には、チェック弁33のみ、あるいは、補充用ポンプ69のみ、又は、チェック弁33と補充用ポンプ69の両方によりもれた分だけ可変容量形油圧ポンプ11を経て補充される。可変容量形油圧ポンプ11は、所定の慣性モーメントIを有するフライホィール19を介して、電動機21に接続されて駆動されて回転する。
【0045】
上記構成により、次に作動について説明する。なお、試験片27の試験の方法については、第1実施形態の作動の説明およびフロチャート図と同様なため詳細な説明は省略する。
【0046】
試験片27に圧縮荷重Fcを作用させるときには、可変容量形油圧ポンプ11の吐出油は、第1配管13を介して複動油圧シリンダ63の図示の上側にあるヘッド側シリンダ室63aに供給される。このとき、可変容量形油圧ポンプ11は、複動油圧シリンダ63の図示の下側にあるロッド側シリンダ室63bからの戻り油と、補充用ポンプ69からの吐出油(シングルロッドの不足分)とが加算されて吸引され、第1配管13に吐出される。これにより、複動油圧シリンダ63は伸長し、試験片27に圧縮荷重を付与することができる。
【0047】
また、試験片27に引張荷重Ftを作用させるときには、可変容量形油圧ポンプ11の吐出油は、第2配管15を介して複動油圧シリンダ63の図示のロッド側シリンダ室63bに供給される。このとき、可変容量形油圧ポンプ11は、複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aからの戻り油を吸引して第2配管15に吐出される。このとき、複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aにある戻り油は、シングルロッド63Aの分だけ余剰油となっている。この余剰油は、第2配管15に吐出された可変容量形油圧ポンプ11のパイロット圧力により開放されたパイロット操作チェック弁65を経て作動油タンク31に戻る。これにより、複動油圧シリンダ63は縮小し、試験片27に引張荷重を付与することができる。
【0048】
第2実施形態では、可変容量形油圧ポンプ11を駆動するモータとして電動機21が用いられているために、電動機21が駆動指令を受けて回転を始めると所定の回転速度で回転している。このため、起動時に可変容量形油圧ポンプ11の容量制御用サーボ機構11Aを作動しないでいると吐出量がゼロになっており、起動時に電動機21に掛る起動力の負荷を小さくすることができ、電動機21の立ち上がりを早くすることができる。また、電動機21およびフライホィール19が所定の回転速度で回転しているときに、制御本体部23から容量制御用サーボ機構11Aに指令を出力することにより、可変容量形油圧ポンプ11の吐出容積qvをゼロから最大吐出容積qvmaxに可変にすることができる。これにより、図8に示すように、試験片27に急激な勾配Θaを有する圧縮荷重Fcあるいは引張荷重Ftを付与することができる。
【0049】
図9は本発明の第3実施形態に係る圧縮・引張試験装置1Bの回路図である。なお、第1実施形態および第2実施形態と同一部品には同一符号を付して説明は省略する。
【0050】
第2実施形態では、可変容量形油圧ポンプ11が、また、シリンダには液体アクチュエータであるシングルロッド複動油圧シリンダ63が用いられている。第1配管13側には第2配管15からパイロット圧力を受けるパイロット操作チェック弁65が、また、第2配管15側には第2チェック弁33bが配設されている。パイロット操作チェック弁65は作動油タンク31に接続されており余剰油を作動油タンク31に戻している。第2チェック弁33bは第4配管67を介して補充用ポンプ69が接続されており、その吐出油は、可変容量形油圧ポンプ11、第1配管13、および、第2配管15のそれぞれに必要に応じて供給されるようになっている。
【0051】
これに対して、図9の第3実施形態では、ポンプおよびシリンダには第2実施形態と同様に、可変容量形油圧ポンプ11と複動油圧シリンダ63が用いられている。また、同様にシングルロッド63Aの先端部には、試験片27を取着する試験片用取着部5が付設されている。第1配管13には第1電磁比例式リリーフ弁81が、また、第2配管15には、第2電磁比例式リリーフ弁83が付設されている。第1電磁比例式リリーフ弁81および第2電磁比例式リリーフ弁83は制御本体部23に接続されており、制御本体部23からの指令信号に応じて第1電磁比例式リリーフ弁81は第1配管13の圧力を、また、第2電磁比例式リリーフ弁83は第2配管15の圧力を所定の圧力に可変にしている。第1電磁比例式リリーフ弁81および第2電磁比例式リリーフ弁83の調圧された後の作動油は作動油タンク31に戻る。可変容量形油圧ポンプ11は、所定の慣性モーメントIを有するフライホィール19を介して、電動機21に接続されて駆動されて回転する。フライホィール19の近傍には回転センサ85が配設され、フライホィール19の回転速度は回転センサ85により検出されて制御本体部23に出力されている。上記の第1電磁比例式リリーフ弁81および第2電磁比例式リリーフ弁83は、制御本体部23からばねを弱くしておきソレノイド84に指令を出力することによりセット圧力が高くなるようして安全性およびコストを安価にしている。また、ばねを強くしておくことにより当初より設定圧力にしておき、ソレノイド84に指令を出力することによりセット圧力が低くなるようにしても良い。
【0052】
上記構成により、次に作動について説明する。なお、第1実施形態と同一部品には同一符号を付して説明は省略する。また、試験片27の試験の方法については、第1実施形態の作動の説明およびフロチャート図と同様なため詳細な説明は省略する。
【0053】
試験片27に圧縮荷重Fcを作用させるときには、第2実施形態と同様に、可変容量形油圧ポンプ11の吐出油は、第1配管13を介して複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aに供給される。このとき、第1配管13に付設されている第1電磁比例式リリーフ弁81のセット圧力は、制御本体部23からの指令により圧縮荷重Fcが生ずる圧力以上に調圧されている。このセット圧力は、最大の一定圧力としても良いが、圧縮荷重Fcの増加に沿ってセツト圧力を上昇するようにして異常圧力が発生したときに即時に開放するようにして安全性を高くしても良い。このとき、反対側の第2配管15に付設されている第2電磁比例式リリーフ弁83のセット圧力は、制御本体部23からの指令によりほぼゼロ圧力に調圧されている。
【0054】
これにより、圧縮荷重Fcは複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aに供給される圧力により設定される。可変容量形油圧ポンプ11は、複動油圧シリンダ63の図示のロッド側シリンダ室63bからの戻り油と、補充用ポンプ69および第2チェック弁33bからの吐出油(シングルロッドの不足分)とが加算されて吸引され、第1配管13に吐出される。これにより、複動油圧シリンダ63は伸長し、試験片27に圧縮荷重を付与することができる。このとき、前記と同様に、作動油自体および空気混入による圧縮性と、可撓管(ゴムホース)の膨張等により、油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの位置が計画値と異なってくることがある。この場合には、位置検出センサ41がシリンダロッド17Aのストローク位置を検出し、その検出値をフィードバック位置信号として加算部25に送信している。加算部25は、シリンダロッド17Aの位置が所定の位置になるように制御本体部23からの指令値を増減し、電動機21の回転速度を制御するか、あるいは、可変容量形油圧ポンプ11の吐出量を増減するか、あるいは、回転速度および吐出量の両方を修正して、シリンダロッド17Aの位置を調整している。
【0055】
次に、弾性体の試験片27を伸長する場合には、制御本体部23は容量制御用サーボ機構11Aに指令を出力して可変容量形油圧ポンプ11の吐出方向を第1配管13から第2配管15に変更され、可変容量形油圧ポンプ11の吐出油は、第2配管15を介して複動油圧シリンダ63の図示のロッド側シリンダ室63bに供給される。このとき、第2配管15に付設されている第2電磁比例式リリーフ弁83のセット圧力は、制御本体部23からの指令により圧縮荷重Fcが生ずる圧力以上に調圧されている。このセット圧力は、最大の一定圧力としても良いが、圧縮荷重Fcの減少に沿ってセツト圧力を下降するようにして異常圧力が発生したときに即時に開放するようにして安全性を高くしても良い。このとき、反対側の第1配管13に付設されている第1電磁比例式リリーフ弁81のセット圧力は、制御本体部23からの指令によりほぼゼロ圧力に調圧されている。
【0056】
可変容量形油圧ポンプ11は、複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aからの戻り油を吸引して第2配管15に吐出される。このとき、複動油圧シリンダ63の図示のヘッド側シリンダ室63aにある戻り油は、シングルロッド63Aの分だけ余剰油となっている。この余剰油は、第1電磁比例式リリーフ弁81を経て作動油タンク31に戻る。これにより、複動油圧シリンダ63は縮小し、試験片27に減少する圧縮荷重Fcを付与することができる。
【0057】
次に、試験片27に引張荷重Ftを作用させるときには、前記の圧縮荷重の戻り時と同様に、弾性体の試験片27を伸長する場合と同じ制御を行うことにより実施できる。
【0058】
第3実施形態では、可変容量形油圧ポンプ11を駆動するモータとして電動機21が用いられている。このため複動油圧シリンダ63は作動を停止するためには、電動機21の回転速度を停止しても良く、又は、可変容量形油圧ポンプ11の吐出量をゼロにしても良い。第3実施形態では、可変容量形油圧ポンプ11の容積効率ηvおよび機械効率ηmが良好になるように制御されている。すなわち、可変容量形油圧ポンプ11は容積効率ηvが良い所のポンプの吐出容積qv(cc/rev)を用いるとともに、ポンプの吐出容積qvを大きくすることにより、機械効率ηmの良いポンプの回転速度をできるだけ小さくして、総効率ηa(ηa=ηv×ηm)を良くしている。
【0059】
これにより、制御本体部23は、先ず、可変容量形油圧ポンプ11の総効率が良くなるように可変容量形油圧ポンプ11の容量制御用サーボ機構11Aへの指令を出力しポンプの吐出容積qvを制御している。このためには、制御本体部23は、可変容量形油圧ポンプ11の傾転角度を大きくするように、容量制御用サーボ機構11Aへの指令を出力してポンプの吐出容積qv(cc/rev)を大きくして容積効率を良くしている。このポンプの吐出容積qv(cc/rev)が所定の大きい位置に制御されたら、次に、制御装置13は、図4に示すように、試験片27の変位量の計画指令位置(実線Ya)に合わせて複動油圧シリンダ63のシリンダロッド63Aを作動させるため、あるいは、図5に示すように、計画指令荷重Faに対して実際の圧縮荷重Fcを一致させるために、可変容量形油圧ポンプ11の吐出量を吐出させるように電動機21の回転速度を制御する指令値を出力している。このように、第3実施形態では、ポンプの吐出容積qvを大きくするとともに、ポンプの回転速度を遅くしてポンプの総効率を良くして省エネルギーを図っている。
【0060】
また、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、フライホィール19の回転速度を検出し、フライホィール19が所定の回転速度で回転しているときに、制御本体部23から容量制御用サーボ機構11Aに指令を出力することにより、可変容量形油圧ポンプ11の吐出容積をゼロから最大吐出容積に可変にすることができる。これにより、図8に示すように、試験片27に急激な勾配Θaを有する圧縮荷重Fcあるいは引張荷重Ftを付与することができる。
【0061】
図10は本発明の第4実施形態に係る圧縮・引張試験装置1Cの回路図である。なお、前記実施形態と同一部品には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第4実施形態に係る圧縮・引張試験装置1Cは、出力調整装置としても用いることができる。この出力調整装置は、プレス、ベンダー、および射出成形機等に用いることができる。
【0062】
前記第1乃至第3実施形態では、二方向流れ液体ポンプと液体アクチュエータとを第1配管13および第2配管15によって直結させ、液体ポンプの液圧を液体アクチュエータに供給して圧縮試験あるいは引張試験を行えるようになっている。
【0063】
これに対して、図10の第4実施形態では、主駆動部90と、推力微調部100とから構成されている。主駆動部90は、二方向流れ定容量形液体ポンプである定容量形油圧ポンプ99(以下、定容量形ポンプ99という)、電動機21、油圧シリンダ17、作動油タンク31、第1チェック弁33a、第2チェック弁33b、第1油圧検出センサ37a、第2油圧検出センサ37b、位置検出センサ41、ロードセル51、第1パイロットチェック弁91、および、第2パイロットチェック弁93からなっている。主駆動部90の第1パイロットチェック弁91は、第1配管13の回路に配設されており、第2配管15からのパイロット圧力を受けて作動し、油圧シリンダ17からの戻り油を定容量形ポンプ99に供給している。第2パイロットチェック弁93は、第2配管15の回路に配設されており、第1配管13からのパイロット圧力を受けて作動し、油圧シリンダ17からの戻り油を定容量形ポンプ99に供給している。
【0064】
上記において、主駆動部90は、第1実施形態乃至第3実施形態の回路構成を用いるとともに、それに付加して第1パイロットチェック弁91および第2パイロットチェック弁93を前記と同様に第1配管13および第2配管に配設するように構成しても良い。また、第1パイロットチェック弁91および第2パイロットチェック弁93は、試験片27に圧縮荷重あるいは引張荷重を負荷したままで、定容量形ポンプ99および電動機21を停止したときに、油圧シリンダ17からの漏れを防止するようにしている。これにより、長時間の耐久試験時等において試験片27に負荷を掛けたままで電動機21を停止することができ、省エネルギーを図ることができる。また、このパイロットチェック弁は、漏れ量が零の2ポート電磁弁を用いて、コントローラ88からの指令により開閉するようにしても良いし、また、試験片27に負荷を掛けたままで油圧シリンダ17のシリンダロッド17Aの作動をロックされるものなら機械的なロック装置、あるいは他の油圧機器を用いても良い。
【0065】
主駆動部90は、油圧シリンダ17の作動を迅速におこなうことが出来る。例えば、主駆動部90は、定容量形ポンプ99から油圧シリンダ17に圧油を供給し、油圧シリンダ17を迅速に作動させて、試験片27に対して試験片用取着部5を早送りしたり、あるいは、所定の低荷重を付加するまで早送りすることができる。また、主駆動部90は、コントローラ88からの指令を受けて、推力微調部100と同調し試験片27に圧縮荷重あるいは引張荷重を付加することも可能である。
【0066】
図10において、推力微調部100の二方向流れ微調用定容量形液体ポンプである微調用定容量形油圧ポンプ101(以下、微調用ポンプ101という)は、第5配管103および第6配管105によって、液体アクチュエータである微調用シングルロッド複動油圧シリンダ107(以下、微調用油圧シリンダ107という)に直結されている。第5配管103は微調用油圧シリンダ107のロッド側シリンダ室107aに、また、第6配管105は微調用油圧シリンダ107のヘッド側シリンダ室107bに接続されている。
【0067】
微調用ポンプ101は、微調用電動機109に接続されて駆動されて回転する。微調用電動機109は、二方向の回転が可能であるとともにコントローラ88からの回転速度指令によって回転する固定形あるいは可変形のACモータあるいはDCモータを用いることができる。微調用油圧シリンダ107のシリンダロッド107Aはプランジャ111に挿入され機械的に連結されている。微調用油圧シリンダ107とプランジャ111とは、増圧器としての機能を有しており、微調用油圧シリンダ107に小さい圧力に加えることにより、大きなプランジャ111からの圧力を出力することができる。微調用油圧シリンダ107のシリンダロッド107Aには、微調用位置検出センサ113が付設され、その検出値はコントローラ88に送信されている。微調用位置検出センサ113により検出値は、その変位量により、プランジャ111からの増圧量をコントローラ88により演算するようにしても良い。その増圧量は、第1油圧検出センサ37aで検出してコントローラ88で比較し、第1油圧検出センサ37aおよび微調用位置検出センサ113の精度を確認するようにしても良い。
【0068】
上記において、微調用油圧シリンダ107は、ロッド側シリンダ室107aとヘッド側シリンダ室107bとの間にシリンダロッド107Aの体積分だけ差がある。また、微調用ポンプ101は、吸入量と吐出量とが等しい。このため、第5配管103および第6配管105との間には、対向して配置される一対の微調用チェック弁115が配設されている。例えば、第5配管103には第1微調用チェック弁115aを、第6配管105には第2微調用チェック弁115bを配置し対向させて連絡させるとともに、一対の第1微調用チェック弁115aと第2微調用チェック弁115bとの間にはロッド115Aを配置しておき、また、その間で作動油タンク31に接続している。
【0069】
これにより、一方の第1微調用チェック弁115aが閉じているときに、他方の第2微調用チェック弁115bが開いているようにされ、シリンダロッド107Aの差の体積分だけ作動油タンク31に戻している。また、反対に一方の第1微調用チェック弁115aが開いているときに、他方の第2微調用チェック弁115bが閉じており、シリンダロッド107Aの差の体積分だけ作動油タンク31から吸入している。このシリンダロッド107Aによる油量アンバランスを補償する場合には、例えば、図7に示すように第2チェック弁33bあるいはパイロット操作チェック弁65を、又は図示しないリリーフ弁を用いても良い。
【0070】
プランジャ111には第7配管117が接続されるとともに、第7配管117には微調用シャトル弁119が接続されている。微調用シャトル弁119の一方側シャトル弁119aは、第8配管121により油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに接続されている。また、微調用シャトル弁119の他方側シャトル弁119bは、第9配管123により油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bに接続されている。
【0071】
上記の構成により、試験片27に圧縮荷重Fcを負荷するときには、前記のように油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに油圧が供給される。これにより、微調用シャトル弁119は図10のように下側の他方側シャトル弁119bでシールするとともに、プランジャ111からの油圧は、一方側シャトル弁119aおよび第8配管121を経て上側シリンダ室17aに油圧が供給されて付加される。
【0072】
また、試験片27に引張荷重Ftを負荷するときには、前記のように油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bに油圧が供給される。これにより、微調用シャトル弁119は図10のように上側の一方側シャトル弁119aでシールするとともに、プランジャ111からの油圧は、他方側シャトル弁119bおよび第9配管123を経て下側シリンダ室17bに油圧が供給されて付加される。このとき、プランジャ111は、微調用油圧シリンダ107により押出されることにより、プランジャ111からの油圧は増圧され、油圧シリンダ17の上側シリンダ室17aはさらに高圧となり、圧縮荷重Fcを増加することができる。
【0073】
また、反対に、プランジャ111は、微調用油圧シリンダ107により引き戻されることにより、プランジャ111からの油圧は減圧され、油圧シリンダ17の上側シリンダ室17aは減圧されて低圧となり、圧縮荷重Fcを減少することができる。このように、プランジャ111は、微調用油圧シリンダ107の作動により油圧シリンダ17に付加する油圧が調整でき、油圧シリンダ17により生ずる圧縮荷重Fcあるいは引張荷重Ftを制御することができる。
【0074】
上記構成により、次に第4実施形態の作動について説明する。なお、試験片27の試験の方法については、第1実施形態の作動の説明およびフロチャート図と同様なため詳細な説明は省略する。
【0075】
試験片27に圧縮荷重Fcを作用させるときには、コントローラ88の制御本体部23は、主駆動部90の電動機21に回転速度指令を出力し、電動機21により駆動させる定容量形ポンプ99から油圧を吐出させる。定容量形ポンプ99の吐出油は、第1配管13および第1パイロットチェック弁91を介して油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに供給される。第1配管13に吐出された油圧はパイロット圧力として第2パイロットチェック弁93に作用して開き、油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bからの戻り油を定容量形ポンプ99に供給し、油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに吐出させる。これにより、油圧シリンダ17は下降し、試験片27に圧縮荷重Fcを負荷する。このとき、上側シリンダ室17aに供給された油圧は、第8配管121を経てシャトル弁191に作用して下側の他方側シャトル弁119bでシールするとともに、第7配管117を介してプランジャ111に接続される。この位置で電動機21の回転速度を停止して定容量形ポンプ99からの吐出を停止する。これにより、油圧シリンダ17の下降は停止するとともに、第1パイロットチェック弁91の作動により、その位置に留まる。
【0076】
次に、コントローラ88の制御本体部23は、微調用電動機109に回転速度指令を出力し、微調用電動機109により駆動させる微調用ポンプ101から油圧を吐出させる。微調用ポンプ101からの油圧は、第6配管105を経て微調用油圧シリンダ107のヘッド側シリンダ室107bに供給され、微調用油圧シリンダ107のシリンダロッド107Aを伸長させてプランジャ111を押出す。このとき、第6配管105の油圧は、他方の第2微調用チェック弁115bが閉じるとともに、一方の第1微調用チェック弁115aを開き、シリンダロッド107Aの差の体積分だけ作動油タンク31から吸入して微調用ポンプ101に供給している。プランジャ111の油圧は、微調用油圧シリンダ107により増圧されるとともに、一方側シャトル弁119aおよび第8配管121を経て上側シリンダ室17aに油圧が供給され、圧縮荷重Fcが漸次増加するように制御できる。
【0077】
試験片27に引張荷重Ftを作用させるときには、コントローラ88の制御本体部23は、主駆動部90の電動機21に回転速度指令を出力し、電動機21により駆動させる定容量形ポンプ99から油圧を吐出させる。定容量形ポンプ99の吐出油は、第2配管15および第2パイロットチェック弁93を介して油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bに供給される。第2配管15に吐出された油圧はパイロット圧力として第1パイロットチェック弁91に作用して開き、油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aからの戻り油を定容量形ポンプ99に供給し、油圧シリンダ17の図示の下側シリンダ室17bに吐出させる。これにより、油圧シリンダ17は上昇し、試験片27に引張荷重Ftを負荷する。このとき、下側シリンダ室17bに供給された油圧は、第9配管123を経てシャトル弁191に作用して上側の一方側シャトル弁119aでシールするとともに、第7配管117を介してプランジャ111に接続される。この位置で電動機21の回転速度を停止して定容量形ポンプ99からの吐出を停止する。これにより、油圧シリンダ17の上昇は停止するとともに、第2パイロットチェック弁93の作動により、その位置に留まる。
【0078】
次に、コントローラ88の制御本体部23は、前記圧縮荷重時と同様に、微調用電動機109に回転速度指令を出力し、微調用電動機109により駆動させる微調用ポンプ101から油圧を吐出させる。微調用ポンプ101からの油圧は、第6配管105を経て微調用油圧シリンダ107のヘッド側シリンダ室107bに供給され、微調用油圧シリンダ107のシリンダロッド107Aを伸長させてプランジャ111を押出す。このとき、第6配管105の油圧は、他方の第2微調用チェック弁115bが閉じるとともに、一方の第1微調用チェック弁115aを開き、シリンダロッド107Aの差の体積分だけ作動油タンク31から吸入して微調用ポンプ101に供給している。プランジャ111の油圧は、微調用油圧シリンダ107により増圧されるとともに、他方側シャトル弁119bおよび第9配管123を経て下側シリンダ室17bに油圧が供給され、引張荷重Ftが漸次増加するように制御できる。
【0079】
なお、上記の圧縮荷重および引張荷重の実施形態では、電動機21の回転速度を停止して定容量形ポンプ99からの吐出を停止したが、コントローラ88の制御本体部23から指令を出力して主駆動部90と推力微調部100とを同時に作動させて、圧縮試験および引張試験を行うこともできる。
【0080】
第4実施形態では、主駆動部90および推力微調部100を設けたことにより、主駆動部90により早送りが可能になり作業が迅速になる。また、推力微調部100で増圧により小さい圧力で大きな圧縮荷重および引張荷重を負荷制御できるために、省エネルギーが得られるとともに、細かい制御が可能となり精度を向上することができる。特に、微調用油圧シリンダ107の受圧面積とプランジャ111の断面積との比を大きくすればするほど増圧比は大きくでき、電動モータのトルクむら、および、油圧ポンプのリップル(ポンプが有する固有の脈動)に起因する圧力変動を反比例して小さくすることができる。これにより、油圧シリンダ17に作用するプランジャ111の脈動を小さく出来るので精密な制御が可能になっている。
【0081】
図11は、他の実施形態の第1推力微調部100Aに関する一部概略側面図を示す。図11において、第1推力微調部100Aの微調用電動機109は、コントローラ88の制御本体部23から回転速度指令を受けて回転する。微調用電動機109の出力軸131には、駆動歯車133が固定されている。駆動歯車133は被駆動歯車135と噛み合っており、微調用電動機109の回転速度を被駆動歯車135に伝達している。被駆動歯車135はボールネジ137に回転自在に支持されている。また、ボールネジ137は、ボールネジ137に噛み合うナット139に支持されており、ナット139は図示しない試験装置1の本体に固定されている。ボールネジ137の先端部にはプランジャ棒141が付設されるとともに、プランジャ棒141はプランジャ111に挿入されている。プランジャ111には第7配管117が接続されるとともに、第7配管117には微調用シャトル弁119が接続されている。微調用シャトル弁119の一方側シャトル弁119aは、第8配管121により油圧シリンダ17の図示の上側シリンダ室17aに接続されている。
【0082】
次に、作動について説明する。電動モータ109は、コントローラ88の制御本体部23から回転速度指令を受けて回転する。これにより、電動モータ109の回転速度は、駆動歯車133と被駆動歯車135とを介してボールネジ137を回転する。この回転はナット139により支持されていることにより、ボールネジ137が回転しながら、先端部にはプランジャ棒141を図示の左右方向に移動する。これにより、プランジャ111の先端部の油圧が、前記と同様に、一方側シャトル弁119aおよび第8配管121を経て上側シリンダ室17aに油圧が供給され、圧縮荷重Fcが漸次増加するように制御するか、または、他方側シャトル弁119bおよび第9配管123を経て下側シリンダ室17bに油圧が供給され、引張荷重Ftが漸次増加するように制御できる。
【0083】
上記において、第1実施形態および第4実施形態では、チェック弁33を用いているが、補充用ポンプ69を用いても良い。また、第1実施形態および第4実施形態において、ダブルロッドの油圧シリンダ17を用いているが、第2実施形態と同様にシングルロッド複動油圧シリンダ63を用いるとともに、パイロット操作チェック弁65を併用するか、あるいは、第2実施形態と同様にシングルロッド複動油圧シリンダ63と電磁比例式リリーフ弁81、83を用いるようにしても良い。
【0084】
第2実施形態では、シングルロッド複動油圧シリンダ63を用いるとともに、パイロット操作チェック弁65を併用しているが、第1実施形態と同様にダブルロッドの油圧シリンダ17を用いるとともに、チェック弁33を用いても良い。また、パイロット操作チェック弁65を用いているが、第3実施形態と同様に電磁比例式リリーフ弁81、83を用いるようにしても良い。
【0085】
第3実施形態では、シングルロッド複動油圧シリンダ63を用いているが、ダブルロッドの油圧シリンダ17を用いても良く。また、電磁比例式リリーフ弁81、83と補充用ポンプ69を用いているが、チェック弁33と図示しないリリーフ弁を用いても良い。
【0086】
第4実施形態では、定容量形ポンプ99を用いているが可変形ポンプ11でも良く、また、パイロットチェック弁91、93を用いているが、省略しても良く、また、フライホィール19、入力部23a、加算部25、あるいは、表示部47を付設しても良い。
【0087】
上記のごとく、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、および、第4実施形態とを適宜組み合わせて用いることができる。また、上記実施形態では、定容量形ポンプ99および補充用ポンプ69を用いているが、これはピストンポンプ、歯車ポンプ、ベーンポンプ、トロコイドポンプ等を用いることができる。また、可変容量形油圧ポンプ11用いているが、これは可変容量形ピストンポンプ、可変ベーンポンプ等を用いることができる。また、電動モータを用いているが、油圧モータ、エンジン等の駆動源を用いても良い。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、圧縮・引張試験装置は、試験片のテスト条件を入力する入力部と、入力されたテスト条件を受信しテスト条件に適合した指令値を電動モータに出力する制御本体部とを有し、電動モータは、制御本体部からの指令値により回転速度が制御されながら液体ポンプおよびフライホィールを回転している。液体ポンプは、制御本体部の回転速度に応じて回転し必要な吐出量を液体アクチュエータにより直接吐出し、フライホィールは、電動モータにより通常より速く回転することにより慣性力を大きくしフライホィール自体の重量を軽減している。これにより、作動油タンクが小さく出来るとともに、配管の本数を少なくできて、装置の簡略化および省スペースを図ることができる。また、試験片のテスト条件を設定する入力部からの入力ができ、容易になるとともに、設定工数を短縮することが出来る。
【0089】
また、液圧アクチュエータには位置検出センサが付設され、液体アクチュエータのストローク位置を検出し、加算部にフィードバック信号として入力するため、加算部により回転速度を増減できるので液体アクチュエータのストローク位置を補正して精度を向上している。
【0090】
また、入力部には、選択モード設定部およびテスト条件入力部が付設され、試験片に付与するテスト条件の波形モードを選択でき、かつ、表示部には選択したテスト条件の入力項目を表示するとともに図示し、測定した結果が図示している。これにより、表示部の画面に表示された入力個所にテスト条件を入力すれば良く、また、記入項目に間違いがない場合には、OKをクリックすることにより、テスト条件が入力されので簡単に正確に入力することができる。
【0091】
また、可変電動モータにより駆動されるフライホィールおよび可変容量形液体ポンプとが配設され、フライホィールの回 転速度が所定の速度になったときに、制御本体部は可変容量形液体ポンプに吐出指令を出力してポンプに多量の吐出容量を吐出している。これにより、圧縮・引張試験装置は、試験片に急激な勾配の圧縮荷重あるいは引張荷重、即ち、衝撃荷重を付与することができ、テスト可能な範囲を広げることができる。
【0092】
また、液体ポンプと液圧アクチュエータとの間を直接接続する二つの配管のそれぞれに電磁比例式リリーフ弁が接続されており、そのうちの一つは制御本体部からの指令を受けて液圧アクチュエータの加圧側のセット圧力を高圧力に、液圧アクチュエータからの戻り側のセット圧力を低圧力に調圧している。これにより、電磁比例式リリーフ弁のセット圧力を任意に設定することにより、液圧アクチュエータのストロークに対して各種形状の圧縮荷重あるいは引張荷重を付与することができ、テスト可能な範囲を広げることができる。
【0093】
圧縮・引張試験装置の他の発明では、主駆動部と推力微調部とで構成されている。主駆動部は、制御本体部により回転速度が制御される2方向流れの液体ポンプからの油圧を受けて試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与する液体アクチユエータとからなり、推力微調部は、微調用電動モータにより駆動力を受けて作動して、主駆動部の液体アクチユエータに供給する推力微調用油圧を生ずるプランジャとからなっている。これにより主駆動部により早送りが可能になり作業が迅速になり試験効率が向上するとともに、推力微調部で増圧により小さい圧力で大きな圧縮荷重および引張荷重を負荷制御できるため省エネルギーが得られる。また、推力微調用油圧により細かい制御が可能となり、より正確で精度良く測定値を得ることができる。特に、微調用油圧シリンダの受圧面積とプランジャの断面積との比を大きくして増圧比を大きくすると、電動モータのトルクむら、および、油圧ポンプのリップル(ポンプが有する固有の脈動)に起因する圧力変動を反比例して小さくすることができ、油圧シリンダに作用するプランジャの脈動を小さく出来て精密な制御、および細かくより高い精度の測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮・引張試験装置の回路図である。
【図2】本発明の圧縮・引張試験装置に関する表示部の画面を説明する図である。
【図3】本発明の圧縮・引張試験装置に関するテスト条件および測定結果の表示部の画面を説明する図である。
【図4】本発明の圧縮・引張試験装置で測定位置を基準として測定する弾性体である試験片のテスト条件および測定結果を説明する図である。
【図5】本発明の圧縮・引張試験装置で荷重を基準にとして測定する弾性体である試験片のテスト条件および測定結果を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る圧縮・引張試験装置のフロチャート図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る圧縮・引張試験装置の回路図である。
【図8】本発明の圧縮・引張試験装置に関するテスト条件の圧縮荷重あるいは引張荷重を急激に付与したときの結果を説明する図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る圧縮・引張試験装置の回路図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る圧縮・引張試験装置の回路図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る圧縮・引張試験装置の他の推力微調部の一部概略側面図である。
【図12】従来の圧縮・引張試験装置の回路図である。
【図13】従来の弾み車を有する液圧駆動装置の回路図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C……圧縮・引張試験装置、5……試験片用取着部、
11……二方向流れ可変容量形油圧ポンプ、
11A……容量制御用サーボ機構、 13……第1配管、
15………第2配管、17……ダブルロッドの油圧シリンダ、
19……フライホィール、21……電動機、23……制御本体部、
23a……入力部、23b……記憶部、25……加算部、27……試験片、
31……作動油タンク、33……チェック弁、37……油圧検出センサ、
41……位置検出センサ、43……選択モード設定部、
45……テスト条件入力部、47……表示部、47a……画面、
49……入力個所、51……ロードセル、53……恒温室、
63……シングルロッド複動油圧シリンダ、
81、83……電磁比例式リリーフ弁、85……回転センサ、
88……コントローラ、90……主駆動部、
91……第1パイロットチェック弁、93……第2パイロットチェック弁、
100……推力微調部、100……第1推力微調部、
101……微調用定容量形油圧ポンプ、
107……微調用シングルロッド複動油圧シリンダ、
109……微調用電動機、111……プランジャ、
113……微調用位置検出センサ、115……微調用チェック弁、
119……微調用シャトル弁、133……駆動歯車、135……被駆動歯車、
137……ボールネジ、139……ナット、141……プランジャ棒
Claims (7)
- 電動機により駆動される液圧ポンプからの圧力を受けた液圧アクチュエータにより試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与し、試験片の材料の機械的性質である応力または歪みあるいは両者の関数を試験する圧縮・引張試験装置であって、
試験片のテスト条件を入力する入力部と、入力されたテスト条件を受信しテスト条件に適合した指令値を出力する制御本体部とを有する制御手段と、
制御本体部からの指令値により回転速度が制御される電動機と、
電動機により回転駆動される2方向流れの液体ポンプと、
電動機と液体ポンプとの間に配設され電動機により回転駆動されるフライホィールと、
液体ポンプあるいは/および液体アクチユエータからのもれ量を補充するチェック弁あるいは/および補充用電動機により駆動されるポンプ補充用ポンプと、
チェック弁あるいは/および補充用ポンプに接続されるタンクとで構成することを特徴とする圧縮・引張試験装置。 - 液圧アクチュエータは、ストローク位置を検出する位置検出センサが付設されており、
制御手段は、位置検出センサからのフィードバック信号を受けて制御本体部から電動機への指令値を増減し、電動機の回転速度を増減する加算部とを有することを特徴とする請求項1記載の圧縮・引張試験装置。 - 制御手段は、試験片に付与する荷重、位置、あるいは、時間に関する設定された波形モードのテスト条件を記憶する記憶部と、
波形モードのテスト条件を選択する選択モード設定部と、
選択モード設定部により選択されたテスト条件を入力するテスト条件入力部と、選択したテスト条件の入力項目を表示するとともに図示し、かつ、測定した結果を図示する表示部とを有することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の圧縮・引張試験装置。 - 液体ポンプは、電動機により回転駆動される2方向流れの可変容量形液体ポンプであり、
フライホィールの近傍に配設されフライホィールの回転速度を検出する速度センサーが設けられ、
制御本体部は、速度センサーからの信号に応じて可変容量形液体ポンプに吐出指令を出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の圧縮・引張試験装置。 - 液体ポンプと液圧アクチュエータとの間を接続する二つの配管のそれぞれに付設され、
制御本体部からの指令を受けて液圧アクチュエータの加圧側のセット圧力を高圧力に、液圧アクチュエータからの戻り側のセット圧力を低圧力に調圧する、タンクに接続された電磁比例式リリーフ弁を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の圧縮・引張試験装置。 - 電動機により駆動される液圧ポンプからの圧力を受けた液圧アクチュエータにより試験片あるいは被加工品に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与し、試験片の材料の機械的性質である応力または歪みあるいは両者の関数を試験、あるいは、被加工品を加工する圧縮・引張装置であって、
制御本体部からの指令値により回転速度が制御される電動機と、電動機により回転駆動される2方向流れの液体ポンプからの油圧を受けて試験片に圧縮荷重あるいは引張荷重を付与する液体アクチユエータとからなる主駆動部と、
制御本体部からの指令値により回転速度が制御される微調用電動機と、微調用電動機により駆動される駆動力を受けて作動し、主駆動部の液体アクチユエータに供給する推力微調用油圧を生ずるプランジャとからなる推力微調部とで構成されることを特徴とするの出力調整装置。 - 請求項6記載の出力調整装置において、
推力微調部は、微調用電動機により駆動される微調用油圧ポンプからの油圧、あるいは、微調用電動機により駆動されるボールネジにより作動し、油圧を生ずるプランジャと、プランジャからの油圧を主駆動部の液体アクチユエータに供給するシャトル弁とが付設されていることを特徴とする出力調整装置。
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