JP4195952B2 - 冷却構造を有する携帯型情報処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はノートパソコンのような携帯型情報処理装置に関し、詳しくは、CPU(中央制御処理装置)などの発熱部品の冷却のためにファンモーターを使用している携帯型情報処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコンのような携帯型情報処理装置においては、携帯性の向上のために装置の薄型化が図られてきている。また、回路部品技術の向上によって、より高速な集積回路が高密度に実装されるようになる反面、これらの回路部品より放出される発熱量が増大しており、これら回路部品の冷却を省スペースで高効率に行わなければならなくなってきている。
【0003】
以下、従来の携帯型情報処理装置の冷却構造について図を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の携帯型情報処理装置の断面図である。図において、31は情報処理装置本体の上筐体、32は情報処理装置本体の下筐体、33はキーボード、34はセット脚である。35は回路基板で、回路基板35上にはCPU(中央制御処理装置)などの発熱部品A36、発熱部品B37が実装されている。また、38は熱伝導性の高い伝熱シートであり、発熱部品A36と伝熱板39とを接触させている。伝熱板39には、冷却のためのファンモーター40が配置されており、情報処理装置本体の下筐体32底面に設けられたスリットA32aより吸気し、ファンモーター40自身を冷却し、熱気を情報処理装置本体の下筐体32の側面に設けられたスリットB32bより排気することができるようになっている。
【0005】
これにより、伝熱板39が冷却され、発熱部品A36が冷却されると同時に、ファンモーター40の吸気による風の流れによって、伝熱板39に接触していない発熱部品B37も同時に空冷することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような上記従来の携帯型情報処理装置では、発熱部品Aの冷却効率を上げ、かつ、発熱部品Bの冷却効率を上げるためには、冷却用のファンモーターに吸気される風量を大きくする必要があり、そのため、ファンモーターの吸気口付近に乱流が発生しやすく、この乱流による損失を防止するために、この部位の空間距離Lの寸法を大きくする必要があった。そのため、携帯型情報処理装置の薄型化に対して障害となっていた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ファンモーターの吸気口付近での空気の乱流による損失を減少させ、ファンモーターによる携帯型情報処理装置内からの吸気効率を高め、高効率の放熱性能を有しつつ、前述の空間距離Lの寸法を小さくすることで薄型化を図ることのできる携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の携帯型情報処理装置では、回路基板上の複数の発熱部品の冷却のために、情報処理装置の底面側より吸気し側面側に排気するファンモーターと、このファンモーターの吸気側に、側面に複数の吸気孔を有するセット脚を配してそのセット脚の内部空間を利用してファンモーターの吸気口部に大きな空間を確保し、かつ、前記ファンモーターの吸気口の中心軸とセット脚の中心軸をほぼ同軸に配置することを特徴としている。
【0009】
上記構成とすることにより、ファンモーターの吸気口付近での空気の乱流の発生を抑制し、ファンモーター自身の冷却とこれに接触させられた伝熱板等に接触させた発熱部品の接触冷却効率を高めることのみならず、携帯型情報処理装置本体内を流れる冷却風により冷却されるように配した他の発熱部品の冷却も効率よく行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、携帯型情報処理装置本体内部に、発熱部品と、前記発熱部品の冷却のためのファンモーターとを有するとともに、内部に空間を有し、側面に複数の吸気孔を有するセット脚を備え、前記ファンモーターの吸気口の近傍に前記セット脚を配置することで、ファンモーターの吸気口付近での空気の乱流の発生を抑制し、ファンモーター自身の冷却とこれに接触させられた伝熱板に接触させることによって実現される発熱部品の接触冷却効率を高めることのみならず、ファンモーターの吸気による風の流れによる、携帯型情報処理装置内部に配置された発熱部品の冷却効率を向上することが可能となり、かつ、セット脚部を除く携帯型情報処理装置の薄型化が可能となる。
【0011】
また、本発明は、ファンモーターは、携帯型情報処理装置の底面側より吸気し、側面側に排気するファンモーターであり、ファンモーターの吸気口をセット脚に向け、ファンモーターの吸気口の中心軸とセット脚の空間の中心軸がほぼ同軸になるように配置されることを特徴とするもので、ファンモーターの吸気口部にセット脚の内部空間を利用した大きな空間を形成することで、ファンモーターの吸気口付近での空気の乱流の発生を抑制することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図1と図2を用いて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態の携帯型情報処理装置の断面図で、図2は底面より見た外観斜視図である。
図において、1は携帯型情報処理装置本体の上筐体、2は情報処理装置本体の下筐体、3は入力用のキーボードで、下側には回路基板4が配置されている。回路基板4上には複数の発熱部品が実装されており、5の発熱部品AはCPUなどの中央制御処理装置、6の発熱部品BはディスプレイコントローラーなどのIC(集積回路)である。7は金属材料で構成された冷却用のファンモーターであり、情報処理装置本体の下筐体2の底面に設けられたスリットA2aより吸気し、装置内部を流れる冷却風はファンモーター7自身を冷却後、情報処理装置本体の下筐体2の側面に設けられたスリットB2bから熱気を排気するものである。ファンモーター7には伝熱板8が接触させられており、伝熱板8には前述の発熱部品A5が、熱伝導性の良好な伝熱クッション9により接触させられている。そして、情報処理装置本体の下筐体2の一部に、下方に凸のドーム状になったセット脚10が構成されている。セット脚10は、そのドーム状の中心軸と前述のファンモーター7の吸気口の中心軸がほぼ同軸の位置になるように配置されており、かつドーム状空間の大きさがファンモーター7の吸気口と同等あるいはそれ以上となっている。ファンモーター7の吸気口と、セット脚10を除いた情報処理装置本体の下筐体2の内面までの距離Lは1〜3mm確保されており、ファンモーター7の吸気力によって、携帯型情報処理装置本体内部のこの空間の空気がファンモーター7に吸気される。一方、セット脚10の側面には複数の貫通の吸気孔10aが設けられており、この部位より吸い込まれた空気もファンモーター7に吸気される。
【0014】
以上のように構成された本発明の携帯型情報処理装置について、以下その冷却動作を説明する。ファンモーター7は翼が回転することによって、下方向より冷気を吸い込み、側面方向に熱気を排気する。このとき、ファンモーター7自身が冷却される。回路基板4上の発熱部品A5は、伝熱クッション9によって伝熱板8に接触させられており、伝熱板8の一部が前述のファンモーター7に接触させられていることから、発熱部品A5の熱量が、伝熱板8を介して、ファンモーター7に伝熱し、ファンモーター7自身が熱交換器となって、この熱量が熱気として排気され、結果、発熱部品A5が冷却される。一方、回路基板4上の発熱部品B6は、ファンモーター7の吸入力によって、携帯型情報処理装置本体の下筐体2と回路基板4との間にファンモーター7に向かって風が発生し、この風によって空冷される。これらの冷却課程において、冷却効率を左右する重要な項目は、ファンモーター7に流れる風量であり、風量が大きくなれば冷却効率を高めることが可能である。ファンモーター7の風量は、その回転数と、吸気口と排気口付近の静圧差に影響され、一般的には静圧差が小さいほど同一回転数での風量は大きくなる。本実施の形態では、セット脚10の形状を、ファンモーター7の吸気口付近に、ファンモーター7の回転翼の直径、すなわち吸気口とほぼ同形状のドーム型空間とすることで、ファンモーター7の吸気口付近での風速が大きな部位での空気の乱流を抑えることが可能となり、乱流による圧力上昇を抑え、静圧差を小さくすることが可能となり、風量を増大させることが可能となる。また、ファンモーター7の吸入口付近以外の部位では、風速は低くなり、よって狭空間での乱流の発生は抑制されることから、ファンモーター7の吸入口より外側の部位では狭空間でも風量の損失は微少である。また、ドーム状のセット脚10の側面に配置された吸気孔10aの面積を増やせば、携帯型情報処理装置内を冷却した後の空気に比較して、装置外側の冷気の量がより多くファンモーター7に吸い込まれ、発熱部品B6に比べ、発熱部品A5の冷却効率を高める効果がある。反対にこの面積を減少させれば、携帯型情報処理装置内部を流れる冷却風量が増大し、発熱部品A5に比べ、発熱部品B6の冷却効率を高める効果がある。
【0015】
また、セット脚10の空間の形状がドーム形状であるため、空気の流れがスムーズになり、乱流の発生がさらに抑制される。
【0016】
なお、本実施の形態では、セット脚の形状をドーム形状としたが、他の形状、例えば円筒形状でもよく、セット脚内に空間を有する形状であればよい。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、携帯型情報処理装置本体の底面側のファンモーターの吸入口付近の空間をファンモーターの吸気口と実質的に同軸となるように設けられた装置本体のセット脚の内部空間を利用して大きな空間として確保し、かつ、セット脚の側面に複数の吸気孔を設けることによって、ファンモーターと携帯型情報処理装置の下筐体との間の距離を小さくしても空気の乱流の発生が抑制され、空気の流量が減少することもないため、セット脚の側面に設けた複数の吸気孔から吸入される空気と装置本体内を流れる空気の両方の空気によりファンモーターは冷却され、これにより、このファンモーターを熱交換器として利用するためにこれに伝熱板を介して伝熱される発熱部品は高効率の冷却が可能となり、携帯型情報処理装置の薄型化に極めて有用である。
そして、装置本体のセット脚の側面に設けた複数の吸気孔の面積を変えることにより、装置本体の内部を流れる冷却風量が変わるため、複数発熱部品の最適な冷却が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の携帯型情報処理装置の断面図
【図2】 本発明の一実施の形態の携帯型情報処理装置を底面側より見た斜視図
【図3】 従来の携帯型情報処理装置の断面図
【符号の説明】
2 情報処理装置本体下筐体
4 回路基板
5 発熱部品A
6 発熱部品B
7 ファンモーター
10 セット脚
10a 吸気孔
Claims (2)
- 携帯型情報処理装置本体の内部に、回路基板に取り付けられた第1の発熱部品および第2の発熱部品と、前記本体の内部に設けられ、当該本体の底面側の吸気口より吸気し、かつ側面側に排気する冷却用のファンモーターと、前記第1の発熱部品の発生熱を前記ファンモーターに接して伝熱する伝熱板と、前記本体の底面に設けられた吸気用のスリットと、前記本体の側面に設けられた排気用のスリットと、前記ファンモーターの吸気口の近傍でそのファンモーターの吸気口と実質的に同軸となるように本体の底面の一部に形成された内部に空間を有するセット脚と、前記セット脚の側面に設けられた複数の吸気孔を備え、
前記ファンモーターの吸気口部に前記セット脚の内部空間を利用した空間が形成され、前記ファンモーターの回転によって前記本体の底面に設けられた吸気用のスリットからの吸気により前記本体内を流れる第1の空気によって前記第2の発熱部品が冷却され、かつ、前記第1の空気と本体の底面に設けられたセット脚の吸気孔から吸気される第2の空気の両方の空気によりファンモーター自身が冷却され、該ファンモーター自身の冷却により前記第1の発熱部品が前記伝熱板を介して冷却されるようにしたことを特徴とする冷却構造を有する携帯型情報処理装置。 - セット脚がドーム形状からなることを特徴とする請求項1に記載の冷却構造を有する携帯型情報処理装置。
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