JP4195275B2 - 糞尿堆積物被覆材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は糞尿堆積物被覆材に関し、詳しくは、乳牛、肉牛、羊、山羊、馬、豚などの家畜が排泄する糞尿を、乾燥・発酵させる目的で使用される糞尿堆積物被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、土壌や糞尿堆積物の表面の被覆材として、透湿性シートが利用されており、例えば、多孔質布、または、多孔質ポリオレフィンフィルムと多孔質布との積層体よりなる、家畜の糞尿堆積物の表面を被覆してこの糞尿堆積物を乾燥・発酵させるものが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記のように多孔質布単体、あるいは多孔質ポリオレフィンフィルムと多孔質布との積層体では、初期における性能には問題は無いものの、長期間使用していくと、糞尿堆積物を覆ったり、取り除いたりを多数回繰り返すことにより、又風等のためシートがばたつくこと等により、シートの損傷がひどくなる場合があり、強度が不足してくるという問題が出てきた。例えば、特許文献1の実施例に記載される、ポリオレフィン系多孔性フィルムとナイロンスパンボンド不織布を積層したものは、極端な使用(例えばシートの風等によるばたつきを押さえる為のおもりを載せた状態で、シートを引っ張る等の使用)を行うとポリオレフィン系多孔性フィルムが剥離したり、脱落してくるという問題が生じることがあった。
さらに、主に屋外で長期間使用される場合、適度の透湿性、透気性を有しつつ、かつ、より耐候性に優れたシート部材が要求されていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−203884号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、強度的に優れると共に、耐候性に優れ、例えば、野外のパドックなどに堆積した家畜の糞尿の堆積物を被覆し、雨水が流入するのを防止し、発酵を効率的に促進させることができ、特に屋外曝露の状態で長期間にわたって強度的につよく、構成材料がシートの機能を劣化させるような変化(シートの剥離や脱落等)を起こさない、高い耐候性をもった糞尿堆積物被覆材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、多孔質布を少なくとも2層積層した積層体からなり、かつ特定の物性を有するものが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1)多孔質布を少なくとも2層積層した積層体からなり、かつ透湿度が300g/m2・24hr以上、引張強度が25×104N/m2以上であり、かつ引き裂き強度が1.5N以上であることを特徴とする糞尿堆積物被覆材、
(2)透気度が5000秒/100cm3以下であることを特徴とする上記(1)記載の糞尿堆積物被覆材、
(3)積層体を構成する多孔質布の少なくとも1つがポリオレフィン系樹脂を主成分とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の糞尿堆積物被覆材、
(4)積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が、幅0.1〜10mm、厚さ10〜300μmの扁平フィルム状材料を縦糸及び/又は横糸として構成した網状多孔質布からなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材、
(5)扁平フィルム状材料が2つの表面層と中間層からなる3層構造を有し、該2つの表面層の少なくとも一方がそれに積層する他の多孔質布層の融点より3℃以上低い融点を有する樹脂からなり、該中間層が該表面層を形成する樹脂の融点より3℃以上高い融点を有する樹脂からなることを特徴とする上記(4)記載の糞尿堆積物被覆材、
(6)積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が撥水加工されていることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材、
(7)積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が、紫外線吸収剤、光安定剤及び顔料の中から選ばれる少なくとも1種が添加されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材、
(8)積層体の表層の少なくとも一方に紫外線吸収剤及び/または光安定剤が添加されていることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の糞尿堆積物被覆材は多孔質布を少なくとも2層積層した積層体からなることを特徴とする。
本発明で用いる多孔質布は、透湿度が300g/m2・24hr以上であれば特に限定されず、例えばスプリットヤーンから作製された割布、不織布、織布または網状物などが挙げられ、目付が10〜500g/m2程度のものが好適である。これらの多孔質布のうち、不織布をベースとする積層体が好ましい。具体的には、不織布を2層以上組み合わせたもの、不織布とフラットヤーンを組み合わせたもの、不織布と網状物を組み合わせたもの等が挙げられるが、被覆材の強度を考慮した場合には不織布とフラットヤーンの組合せが特に好ましい。
多孔質布の原料としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、レーヨン、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
尚、本発明の糞尿堆積物被覆材は、多孔質布を少なくとも2層積層した積層体からなることを特徴とするが、それ以外の層、例えばポリオレフィン樹脂等からなる多孔質フィルム等を積層することもできる。
【0009】
前記不織布とは、製織、編組によらず繊維を布状(シート状)にしたものをいい、繊維シートの製法別に、乾式法、湿式法、スパンボンド法などに分けられる。
乾式法は、長さが1〜10cm程度の繊維を用い、紡績用カードなどで繊維を薄いシート状にし、ニードルバンチ(針をさして繊維をからめる方法)、ステッチボンド(糸で縫いつける方法)、接着(接着剤を用いる方法又は熱溶着繊維を混用する方法)等で接合するもので、かさ高性、弾力性に富むものが得られる。
湿式法は、長さが数mmの短い繊維を水中に分散させて、合成樹脂の繊維をバインダーとして、抄紙機を利用してシート状にするもので、化学繊維紙ともいわれるように紙状を呈している。
スパンボンド法は、化学繊維を紡糸しながら、繊維を直接シート状に引き取って不織布を製造する方法で、乾式法による不織布と同様、かさ高で柔らかい上、強度にも優れている。
不織布は、これらのうちいずれの方法によって製造されたものでよく、単位あたりの質量が通常10〜500g/m2、好ましくは20〜300g/m2の範囲で選ばれる。
【0010】
前記網状物とは、扁平フィルム状材料を縦糸及び/又は横糸として網状に構成した網状多孔質布をいい、該フィルム状材料はその幅が0.1〜10mmの範囲であることが好ましく、またその厚さは10〜300μmの範囲、さらには10〜50μmの範囲であることが好ましい。
網状を構成する方法としては、上記扁平フィルム状材料を縦糸又は横糸の一方又は両方もしくは縦糸又は横糸の一部に用いて編織するか、縦糸と横糸とを重ね合せて置き、その交点を熱融着する等の方法を用いることができる。
【0011】
この網状多孔質布を構成する扁平フィルム状材料は、上述のような幅と厚さを有することが好ましいが、さらに、前記材料が2つの表面層と中間層からなる3層構造を有し、該2つの表面層の少なくとも一方が、積層させる他の多孔質布の融点より3℃以上低い融点を有する樹脂からなり、該中間層が該表面層を形成する樹脂の融点より3℃以上高い融点を有する樹脂からなることが好ましい。
このような扁平フィルム状材料を網状多孔質布の少なくとも一部に用いることにより、網状多孔質布と他の多孔質布とを熱融着するに当り、多孔質布の部材表面が溶融して、網状多孔質布の表面を構成する融点の低い樹脂が溶融して融着が行なわれるため、本発明の積層体の通気度、透湿度を大きく低下させることがない。しかも、扁平フィルム状材料の中間層として表面層より融点が3℃以上高い樹脂が用いられているため、他の多孔質布との融着に当って扁平フィルム状材料が切断したり、網状がくずれることもない。
また、該網状多孔質布は、扁平フィルム状材料で構成されているため、例えば多孔質フィルム等と積層した場合であっても、多孔質フィルムの柔軟性を大きく損なうことがなく好適である。
【0012】
上記扁平フィルム状材料の表面層を構成する樹脂としては、他の多孔質布との融着性を考慮して、他の多孔質布の表層を構成する樹脂と同質のものを用いることが好ましい。さらに、該表面層を構成する樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、熱融着性を高めるため、無水マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸を0.001〜1質量%程度グラフトすることも好適である。
【0013】
次に、前記扁平フィルム状材料の中間層を構成する樹脂としては表面層を構成する樹脂よりも融点が3℃以上高い樹脂であって、該表面層の樹脂とある程度の接着性を有しているものであればよく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が好適に用いられる。また表面層と中間層との間に接着層を介在させることもできる。
前記網状多孔質布は、扁平フィルム状材料を縦糸又は横糸、もしくはその両方の少なくとも一部に用いたものであり、他の部分については他の材質の糸で構成してもよい。網の糸のピッチとしては縦糸、横糸とも1〜5本/cm程度であることが好ましい。
【0014】
多孔質布を積層させる方法としては、接着剤を用いる方法、熱接着による方法等によることができる。いずれの方法を用いる場合でも、各多孔質布がそれぞれの接着面積が対向する面の5〜80%の範囲になるように接着するのが好ましい。接着面積が5%以上であると、得られる被覆材の接着部分が十分あるため、使用の際に接着した部分が剥離するという問題がなく、一方、接着面積が80%以下であると、接着面積が広すぎて被覆材の透湿性、柔軟性が低下するという問題がなく、十分な透湿性、柔軟性が確保できる。
【0015】
2つ以上の多孔質布を接着させる方法としては特に限定されないが、接着剤を用いて接着する場合には、ホットメルト接着剤、感圧接着剤等を使用する方法が好ましい。その際に使用できるホットメルト接着剤としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフイン等の樹脂等が好適に挙げられる。また、熱接着による方法には、多孔質布の表面を加熱し、布層の素材が熱可塑性樹脂の場合にはこれを加熱溶融させながら、押圧して接着する方法が挙げられる。いずれの接着法による場合でも、接着面は、線状、点状、格子状、ランダム状のいずれかにするのが好ましい。
また、多孔質フィルムと網状多孔質布を熱接着させる場合には、例えば加熱したローラー間に、多孔質フィルムと網状多孔質布とを通過させて融着させる方法が好適に用いられる。
さらに、2つ以上の多孔質布を押し出しラミネーション法等で積層させ、その後機械的に孔を開けて透湿性シートを作製することも可能である。
【0016】
本発明においては、積層体を構成する多孔質布のうち少なくとも1つは、撥水加工を施していることが好ましい。撥水加工は、湿式処理によるもの、乾式処理によるもの等、種々の方法があるが、その方法は限定されない。
湿式処理としては、溶剤処理や薬剤処理等がある。溶剤処理は、不織布等の成型時に必要な滑剤等が表面に付着したり、可塑剤が浸出して表面を汚染している場合に有効であり、溶剤によって表面の付着物を除去する事によって、表面の撥水性をより向上させるものである。一方、薬剤処理は、例えば、撥水性の高いシリコーン等に触媒を加えた処理液を調製し、この処理液に浸漬させて、撥水処理を行う。撥水性の調整は、予備乾燥、加熱処理、浸漬時間等で調整することができる。
乾式処理としては、プラズマ処理や放射線処理等が挙げられる。例えば、電子線照射を用いて、特定のモノマー(フッ素系等)にて表面を改質する等の方法がある。また、これらの他に、コーティング等の方法を用いて撥水加工を施すことも可能である。
【0017】
本発明の糞尿堆積物被覆材は該被覆材を構成する多孔質布の少なくとも1つに、紫外線吸収剤、光安定剤及び顔料の中から選ばれる少なくとも1種が添加されていることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系またはベンゾエート系紫外線吸収剤が好適に使用される。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、 2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0018】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート−2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が遂げられる。
これらのうち、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが好適である。
【0019】
光安定剤としては種々のものが使用できるが、ヒンダードアミン系光安定剤が好適である。ヒンダードアミン系光安定剤としては、Sanol LS−770、同LS−2626、同LS−765(商品名、いずれも三共(株)製)、Tinuvin144、同622、同622LD、同770、同120(商品名、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Chimasorb 944FL、同944LD、同119FL(商品名、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、アデカスタブ LA−57、同LA−77、同LA−62、同LA−67、同LA−63、同LA−68、同LA−82、同LA−87(商品名、いずれも旭電化(株)製)、Sumisorb TM−061(商品名、住友化学工業(株)製)、Cyasorb UV−3346(商品名、ACC社製)、Goodlite UV−3034(商品名、グッドリッチ社製)等が挙げられる。中でも、Tinuvin 622,同622LD(コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピベリジン重縮合物)、Chimasorb 944FL、同944LD(ポリ[ [6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ] ヘキサメチレン [(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ] ])が好適である。
【0020】
顔料としては、無機系顔料、有機系顔料のいずれを用いることもでき、無機系顔料として、酸化チタン、ベンガラ、黄鉛、群青、カーボンブラック等が挙げられ、有機系原料としては、アゾ系、フタロシアニン系、建染染料系、染め付けレーキ系、キナクドン系、ジオキサジン系等が挙げられる。
これらのうち、酸化チタン等の白色系の顔料は、太陽光線を反射させる効果が高く、また、カーボンブラック等の黒色系の顔料では、樹脂成分への太陽光線の直接照射を低減させる効果がある。
【0021】
上記紫外線吸収剤及び光安定剤の添加量は、多孔質フィルム又は多孔質布を構成する樹脂と、必要に応じて添加した充填剤との合計量を100質量部としたときに、通常それぞれ0.1〜10質量部の範囲で選定される。添加量が0.1質量部以上であると、製品の被覆材を長期間使用する際にも耐候性が十分であり、また、10質量部以下であると、耐久性の向上効果が十分である上、フィルム成形後のブリーディングが過多となるという問題が生じない。
尚、紫外線吸収剤と光安定剤を同時に使用する場合には、その使用割合は質量比で通常1:50〜50:1の範囲、より好ましくは1:10〜10:1の範囲で選択される。
また、顔料の添加量は、多孔質布を構成する樹脂と、必要に応じて添加した充填剤との合計量を100質量部としたときに、通常0.05〜10質量部の範囲で選定される。
【0022】
本発明に係る多孔質布は上記の添加剤に加えて、必要に応じ、一般に樹脂組成物用に用いられる各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、可塑剤等を配合してもよい。
【0023】
上述した構成からなる本発明の糞尿堆積物被覆材は、透湿度が300g/m2・24hr以上、引張強度が25×104N/m2以上、かつ引き裂き強度が1.5N以上であることを必須とする。
透湿度が300g/m2・24hr未満であると、糞尿堆積物から蒸発した水蒸気を十分に通さず、透湿の機能を十分に発揮しない。以上の観点から、透湿度は1000g/m2・24hr以上であることが好ましく、さらには、1000〜20000g/m2・24hrの範囲であることが好ましい。透湿度が1000g/m2・24hr以上であると、糞尿堆積物から蒸発した水蒸気を十分に通し、かつ透湿の機能を十分に発揮することができ、また透湿度が20000g/m2・24hr以下であると糞尿から蒸発した水蒸気を十分に通し、かつ雨水などの透過を十分に抑制することができる。
また、引裂強度が1.5N未満であると、風等のばたつきや被覆する際のハンドリングの際に裂けやすくなる。引張強度については、50×104N/m2以上であることが好ましい。
また、本発明に係る糞尿堆積物被覆材の透気度は5000秒/100cm3以下であることが好ましい。透気度が5000秒/100cm3以下であると、空気の通気性が十分であり、糞尿堆積物の被覆材として使用した場合に、酸素の供給量が十分であって、発酵が促進される。
【0024】
また、本発明に係る糞尿堆積物被覆材の耐水圧は0.00049MPa以上であることが好ましい。ここで、耐水圧とはJIS L−1092 A法に準拠して測定した値を意味する。耐水圧が0.00049MPa以上であると、雨水や水滴が被覆材を透過して糞尿堆積物に達することがなく、被覆材による被覆の目的が十分達成される。特に好ましい耐水圧は、0.00049〜0.098MPaの範囲であり、耐水圧が0.098MPa以下であると、透湿度および透気度を損なうこともない。
【0025】
本発明の糞尿堆積物被覆材の使用方法としては、従来法によって堆積された糞尿堆積物の上に該被覆材を覆い、雨水が流入しないようにすればよい。すなわち、畜舎横に構築されたコンクリート枠に堆積された糞尿堆積物の上、畜舎横のラグーンに堆積された糞尿堆積物の上、又は広いパドックに堆積された糞尿堆積物の上等を被覆すればよい。
また、被覆材の耐候性を向上させるため、太陽光があたる側の表面に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が添加されていることが好ましい。すなわち、被覆材を構成する積層体の表層の少なくとも一方に、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を添加することが好ましい。
尚、糞尿堆積物を均一に発酵させたり、水分の均一な乾燥を促進させるには、時々、被覆材を剥がして糞尿堆積物の切り返しを行うのが好ましい。
【0026】
本発明の糞尿堆積物被覆材は、耐久性があり、透湿性が良好なので、糞尿堆積物から蒸発した水蒸気を十分に通すが、雨水や水滴を透過しないので、糞尿堆積物から液汁が流出することがなく、地下に浸透して地下水を汚染したり、河川に流入して河川水を汚染、富栄養化するという問題も少なくすることができる。また、糞尿堆積物の発酵臭が飛散するのを防ぐことができるので、臭気公害の問題も解決することができる。被覆材で被覆された糞尿堆積物は、水蒸気や発酵によって生じたガスを被覆材の微孔から飛散させ、発酵に必要な空気などを被覆材の微孔から取入れることができ、糞尿堆積物の切り返しを行うことによって、発酵・熟成を促進させることができる。
また引裂強度が高いために、風等によって生じるばたつきによる損傷等が少ない。
本発明の糞尿堆積物被覆材によって被覆され、発酵・熟成、乾燥された糞尿堆積物は、各種野菜、果菜、根菜、果樹、花などの堆肥として施肥することができる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
(評価方法)
(1)透湿度(g/m2・24hr):JIS Z−0208準拠し、30℃、相対湿度90%の条件で測定した。
(2)透気度(秒/100cm3):東洋精機(株)製 B型ガーレ式デンソメータにて測定した。
(3)引張強度(N/m2):JIS P−8113に準拠して測定した。測定は被覆材のサンプルを25mm幅で切り出し、100mmチャック間、300mm/minのクロスヘッドスピードで実施した。
(4)引き裂き強度(N/m2):JIS K−7128に準拠して測定した。試料は被覆材のサンプルを150mm×50mmで切り出し、50mmの辺の中央部から75mmスリット(切り込み)を入れた。測定はクロスヘッドスピード200mm/min、チャック間100mmで行った。
(5)表面性状:目視にて、破断の状況を観察した。
【0028】
実施例1
多孔質布の一つとして、ポリプロピレンを芯とし、ポリエチレンを鞘とする構造の不織布(目付け50g/m2)を用い、多孔質布の他の一つとして、延伸強化された複合ヤーンであって、表面層が低密度ポリエチレン、中心層が高密度ポリエチレンである材料を縦糸及び横糸として使用した熱融着クロスを用いた。このクロスは、縦糸及び横糸を5本×5本/インチで織成し、その縦糸、横糸の交点を熱融着させた網状体を有する網状多孔質布である。
上記不織布と網状多孔質布を120℃に加熱したロールにて加圧熱融着させ糞尿堆積物被覆材を得た。
次に、パドック上に高水分含有糞尿を円錐状に堆積させ、該堆積物を上記糞尿堆積物被覆材を使って被覆した。時々切り返しを行い、3ヶ月後の堆積物の水分含有量の変化、堆積物の大きさ(高さ)、アンモニア臭の有無、表面性状の変化、外観及び表面の状態を観察した。評価結果を第2表に示す。
【0029】
実施例2
実施例1において、その不織布の表面を撥水処理したものを使う以外は、実施例1と同様にして、糞尿堆積物被覆材を得た。得られた糞尿堆積物被覆材の物性を第1表に示す。また実施例1と同様に堆積物を被覆し、同様の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
【0030】
比較例1
実施例1において使用した不織布のみを単独で使用した。該不織布の物性を第1表に示す。また実施例1と同様に堆積物を被覆し、同様の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
【0031】
比較例2
市販のブルーシート#3000(ダイヤテックス社製)を使用し、その物性を評価した。結果を第1表に示す。また実施例1と同様に堆積物を被覆し、同様の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004195275
【0033】
【表2】
Figure 0004195275
【0034】
第2表の結果より次のことが明らかになった。
(1)実施例1,2及び比較例1の糞尿堆積物被覆材で被覆した糞尿堆積物は、外側からの浸入をある程度防ぎ、堆積物から蒸発した水蒸気を飛散させることができるので、堆積物からの液汁の流出がなく、堆積物表面の乾燥が進み、盛り上げが可能であるので、堆積面積を減らすことができた。また、実施例2では、不織布の撥水処理の効果により、雨水等の水分の浸入が更に遮断され、糞尿堆積物の水分は実施例1と比し少なくなっていた。
(2)比較例1の糞尿堆積物被覆材を使用した場合は、糞尿堆積物自体は乾燥、発酵が進行しているが、端部からの引き裂きによる破損が発生した。この引き裂き等の破損が糞尿堆積物を堆積した初期に発生すると、アンモニア臭が周囲に流出し、近隣の空気汚染を引き起こすので好ましくない。
(3)比較例2の糞尿堆積物被覆材を使用した場合、透気度、透湿度ともに低いため、発酵が殆ど進んでおらず、アンモニア臭もかなり強かった。糞尿堆積物の高さが小さくなっているのは、乾燥が遅いため、堆積物がなだれ状に崩れたためである。
【0035】
【発明の効果】
本発明の糞尿堆積物被覆材は、耐久性に優れ長期間の使用が可能であり、透湿度、透気度の双方が適度な範囲にされているので、糞尿堆積物の被覆シートとして好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 多孔質布を少なくとも2層積層した積層体からなり、該積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が、扁平フィルム状材料を縦糸及び/又は横糸として構成した網状多孔質布からなり、かつ透湿度が300g/m2・24hr以上、引張強度が25×104N/m2以上であり、かつ引き裂き強度が1.5N以上であることを特徴とする糞尿堆積物被覆材。
  2. 透気度が5000秒/100cm3以下であることを特徴とする請求項1記載の糞尿堆積物被覆材。
  3. 積層体を構成する多孔質布の少なくとも1つがポリオレフィン系樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の糞尿堆積物被覆材。
  4. 扁平フィルム状材料が、幅0.1〜10mm、厚さ10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材。
  5. 扁平フィルム状材料が2つの表面層と中間層からなる3層構造を有し、該2つの表面層の少なくとも一方がそれに積層する他の多孔質布層の融点より3℃以上低い融点を有する樹脂からなり、該中間層が該表面層を形成する樹脂の融点より3℃以上高い融点を有する樹脂からなることを特徴とする請求項4記載の糞尿堆積物被覆材。
  6. 積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が撥水加工されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材。
  7. 積層体を構成する多孔質布層の少なくとも1層が、紫外線吸収剤、光安定剤及び顔料の中から選ばれる少なくとも1種が添加されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材。
  8. 積層体の表層の少なくとも一方に紫外線吸収剤及び/または光安定剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の糞尿堆積物被覆材。
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