JP4194881B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電複写機、レーザープリンターなどの電子写真プロセスを用いる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置の感光体としては、それまでのセレン膜を真空蒸着法により作製した無機感光体に比べ、コストが低い、毒性が殆どない、成膜性が容易であるなどの多くのメリットがあるので、いわゆる有機感光体が主流となっている。この有機感光体の中でも、導電性基体上にいわゆる電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層タイプが主流となっている。
【0003】
しかし、有機感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強いことで耐摩耗性の向上が望まれていた。
【0004】
さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、さらに高速化やフルカラー化、メンテナンスフリーの動きもあって感光体の耐摩耗性向上が必要不可欠なものになってきている。従って、有機系の電子写真感光体においては、特に高画質化と高耐久化を両立させることが最重要課題として挙げられている。
【0005】
これに対し、電荷輸送層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善し、画質としての耐久性を向上させることが試みられている。
例えば、特開平10−198053号公報(特許文献1)や、特開平10−301303号公報(特許文献2)には、感光層中にエポキシ化合物と、特定の構造を有するヒンダートアミン化合物又は特定の構造を有するヒンダートフェノール化合物を、含有させることで、繰り返し使用しても帯電電位、残留電位等の電気特性が変化せず、また感度、文字太り、画像ボケ等の画像特性も安定して変化しない耐久性の優れた電子写真感光体を得ることができると開示されている。
【0006】
また、特開平8−160648号公報(特許文献3)には、感光層の表面層に潤滑剤としてポリ四フッ化エチレン粉体を含有させ、かつ、下記構造式の電荷輸送物質を含有させることで摺擦による表面の摩耗やひっかき傷の発生等に対して耐久性を有し、かつ、画像ボケのない高品位の画像が得られる高耐久性を有する電子写真感光体、クリーニング性が良好で感光体表面層へのトナー付着のない高耐久性を有する電子写真感光体を得ることができると開示されている。
【0007】
また、特開2002−139859号公報(特許文献4)には、導電性支持体上に少なくとも感光層、フィラーを含有する保護層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記感光層に有機硫黄系化合物を含有させ、且つ前記保護層にヒンダードアミン構造とヒンダードフェノール構造の両構造を有する化合物を含有させることで、繰り返し使用しても残留電位上昇、あるいは画像ボケなどの異常画像が発生せず、長期にわたり高画質な画像が安定に得られる高耐久の感光体を得ることができると開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの公知技術のいずれも、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化の防止、特に高画質化と高耐久化の両立という点で不十分なものであった。
例えば、特許文献3の方法では、ポリ四フッ化エチレン粉体は低表面エネルギーのポリマーであることから溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難である。また、分散剤等で分散性を向上させることはできるが、得られた塗膜は、屈折率が小さいことから光散乱が生じ易く、それによる潜像の劣化を生じる問題があり、また画像ボケも発生しやすい。
【0009】
また、特許文献4の方法では、画質の高耐久化に対する効果は有するものの、本発明に示す高画質化に対応した画像形成装置に使用される感光体に対しては十分なものではなく、特に高温高湿下で画質の低下が激しくなるものであった。
【0010】
高画質化と高耐久化の両立させることが困難な課題である理由は、次のように考えられる。
前述したように、高耐摩耗性を実現しようとする試みはこれまで数多くなされており、それによって有機系電子写真感光体の飛躍的な耐摩耗性の向上が実現されてきた。しかし、それに伴い画像ボケ等の異常画像の発生が顕著に見られる問題が顕在化されてきた。しかし、感光体の耐摩耗性の向上に伴い、帯電生成物の除去が困難となり、画像ボケが高耐久化を妨げる大きな問題として挙げられるようになった。
【0011】
即ち、従来の感光体は、耐摩耗性が低かったことから帯電生成物が感光体表面に堆積しても摩耗によって除去されたことにより、画像ボケは特に大きな問題にはならなかった。画像ボケは、感光体の表面抵抗が低下し、電荷の横移動が生じることによって静電潜像がぼやけてしまうことによるものであり、この表面抵抗の低下は、感光体を帯電する際に発生するオゾンやNOxガス、及びそれらと大気中の水分とによって生成されるイオン種(以降、帯電生成物と称する)が感光体上に付着、堆積されることによって主に引き起こされる。また、耐摩耗性の向上に伴い感光体表面に発生した傷が除去されにくくなるので、傷部分に帯電生成物が堆積すると、より除去されにくくなる。
【0012】
更に、帯電生成物の付着とは別に、耐摩耗性が向上するにつれて感光体表面が帯電等のハザードにさらされる時間・回数も飛躍的に増加する。このため感光体表面物質がハザードによりイオン化やさらには結合の切断等により変質してしまうことも生じている。この場合画像ボケには至らずとも局所的な抵抗の低下が生じ、ドットの拡大や階調性の低下をひき起こすことになる。これらの現象は、水分がこれら反応を加速させるのか、抵抗低下の媒体になっているのかは不明であるが、特に高温高湿下で顕著となる。いずれにしてもこのような感光体表面性の画質に対する影響は、高画質が要求されるに伴い大きくなり、摩耗の耐久性と画質の耐久性とを両立させることが大きな課題となる。
【0013】
一方、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、感光体を薄膜化すると高画質化を達成することができるが、薄膜化すると感光体の耐久性が失われることに加え、電荷輸送層の膜厚を20μm以下にすることができないという問題がある。
【0014】
即ち、電子写真方式を用いる画像形成装置では、現像電界が高い空間周波数まで追従するようにするためには、感光体膜厚を小さく(薄く)する必要があることが知られている(電子写真技術の基礎と応用:コロナ社p.150〜151)。ところが、従来技術(特開平11−95462)においても指摘されているように、感光体膜厚を小さくした場合には、クリーニングによる摩耗や傷などに対する耐久性が悪化し、また、帯電工程、露光工程を繰り返し経た場合の劣化が加速されるという問題が発生する。従来の積層型有機感光体では、電荷輸送層のバインダー樹脂としてポリカーボネートが一般的に使用されているが、上記の問題点によって、電荷輸送層の膜厚は20〜30μm程度に設定されている。
【0015】
しかしながら、発明者の行った実験によると、20〜30μm程度の電荷輸送層を有する感光体を使用した場合には、1200dpi以上の解像度になった場合には、孤立1ドットや1ドットラインなどのような、いわゆる高い空間周波数の画像を再現することができなくなってしまうことが明らかになった。孤立1ドットや1ドットラインの再現が悪い画像形成装置では、いわゆるビットマップ画像などを複雑な画像処理工程を経ずにスルーで出力することができないことを意味する。
【0016】
20〜30μm程度の電荷輸送層を有する感光体を使用した場合であっても、解像度を600dpi、400dpiなどに低下させることによって、孤立1ドットや1ドットラインは再現させることはできるようになるが、この場合には孤立1ドットや1ドットラインが大きくなるため、木目の粗い画像になってしまう。また、斜め線を含むような画像においては解像度の低下はいわゆるジャギーの悪化を伴うため、画質の低下を招く。また、文字画像についても種々のフォントが識別できるためには1200dpi以上の解像度が必要であるという問題がある。このように、光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置には、高解像度化と孤立1ドット、1ドットラインの再現を両立するという課題が存在する。
【0017】
また、発明者の行った実験によれば、20〜30μm程度の電荷輸送層を有する感光体を使用した場合には、200lpi以上の線数によって中間調処理が施された画像データの書き込みを行い画像を出力した場合には、階調性が悪く、写真画像のような階調表現が必要な画像に対しては満足のいく画像が得られないという問題が発生した。さらに、200lpi以上の中間調処理を施して階調性が悪くなった条件では、いわゆるバンディングが発生しやすく、ノイズの多い画像しか得られないという問題を併せ持つことも明らかになった。このように、光書き込みが入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる電子写真方式を用いた画像形成装置には、階調性が悪いという問題、バンディングが発生する問題、画像にノイズが発生する問題がある。
尚、中間調処理を200lpi未満にした場合には、階調性は確保されるものの、ディザのテクスチャが目視で知覚され、きめの細かい画像が得られないという問題がある。
【0018】
【特許文献1】
特開平10−198053号公報
【特許文献2】
特開平10−301303号公報
【特許文献3】
特開平8−160648号公報
【特許文献4】
特開2002−139859号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繰り返し使用しても地汚れ、画像濃度の低下、画質劣化が発生しにくく、高画質であると共に耐久性に優れる電子写真方式を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置において、高解像度化と孤立1ドット、1ドットラインの再現を両立させ、階調性を優れたものとし、バンディングの発生、画像ノイズの発生を防止しすることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示す画像形成装置が提供される。
〔1〕少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段とを有する、電子写真方式を用いた画像形成装置において、前記光書き込み手段にビーム径35μm以下のレーザービーム光が用いられ、前記感光体が、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とを少なくとも設けてなり、該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
〔2〕少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理をおこなう画像処理手段とを有する、電子写真方式を用いた画像形成装置において、前記光書き込み手段にビーム径35μm以下のレーザービーム光が用いられ、前記感光体が、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とを少なくとも設けてなり、該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
〔3〕該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の画像形成装置。
【化5】
Figure 0004194881
(式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。R、Rは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔4〕該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の画像形成装置。
【化6】
Figure 0004194881
(式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。Rは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表す。また、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、Ar、Ar、もしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
〔5〕該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の画像形成装置。
【化7】
Figure 0004194881
(式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。また、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
〔6〕該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の画像形成装置。
【化8】
Figure 0004194881
(式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。nは1〜3の整数を表す。また、Ar、Ar、Ar、およびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
〔7〕該感光体の表面層が、フィラーを含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔8〕該電子写真感光体の表面層が、カルボン酸化合物を含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の画像形成装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の画像形成装置で用いられる感光体を図面に基づいて説明する。
本発明で用いられる感光体においては、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とが少なくとも設けられている。即ち、図1に示すように、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層され、その上に特定の物質を含有する表面層である保護層39が形成されている。尚、本発明で用いられる感光体においては、図2に示すように、導電性支持体31と電荷発生層35の間に中間層33を設けてもよい。
【0022】
本発明で用いられる感光体を構成する導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などが挙げられる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0023】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0024】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(R)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明で用いられる感光体の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0025】
前記導電性支持体31上に設けられる電荷発生層35は、電荷発生物質、結着樹脂を主成分とする層であり、電荷発生物質や結着樹脂等を適当な溶剤に分散ないし溶解し、これを導電性支持体31上に塗布、乾燥することにより形成される。電荷発生層35は、電荷発生物質、結着樹脂を主成分とするが、その他に増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0026】
電荷発生層35を構成する電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質をすべて用いることが可能である。その代表として、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等、公知の材料が挙げられ、これらは有用に用いられる。また、これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
【0027】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0028】
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0029】
電荷発生層35を形成するために用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。電荷発生層35を形成用の塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
【0031】
本発明で用いられる感光体を構成する電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層35上に塗布、乾燥することにより形成される。また、電荷輸送層37には、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑材等を添加することが可能であり有用である。
【0032】
電荷輸送層37を構成する電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質とに分類される。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0033】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。
【0034】
これらの正孔輸送物質の中でも、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体が好ましい。より好ましくは、キャリアの移動度や樹脂との相溶性、電荷発生物質とのマッチング性の観点から、下記一般式(V)、(VI)に示すトリアリールアミン化合物を用いることが好ましい。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0035】
【化9】
Figure 0004194881
【0036】
上記(V)式中、Ar及びArは、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換の複素環基を表わし、R、R及びRは、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換の複素環基を表わすが、R、Rは、互いに結合して環を形成してもよく、Arは、置換又は無置換のアリーレン基を表わし、nは0又は1を表わす。
【0037】
【化10】
Figure 0004194881
【0038】
上記(VI)式中、R、R及びRは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基を、Rは水素原子、アルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基又はハロゲンを表わす。但し、R、R、R及びRが全て水素原子である場合は除く。R、Rは互いに結合して環を形成してもよい。また、k、l、m及びnは1、2、3又は4の整数であり、各々が2、3又は4の整数の時は前記R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。
【0039】
電荷輸送層37を構成する結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0040】
また、電荷輸送層37には、バインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ高耐久化に対しても有効である。電荷輸送層37においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
【0041】
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0042】
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、結着樹脂との併用も可能である。
【0043】
電荷輸送層37には必要に応じて、レベリング剤や可塑剤を添加することができる。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0044】
電荷輸送層38の膜厚は、後述する表面層(即ち、保護層39)の膜厚と合わせて、20μm以下である。電荷輸送層38の膜厚と表面層の膜厚の合計が20μm以下の場合、優れた解像度を得ることができる。尚、下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、5μm以上が好ましい。
【0045】
電荷輸送層38の塗工に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどの電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0046】
電荷輸送層38を形成するための塗工液の塗布は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレーコート、ビートコート、リングコート法など公知の方法を用いて行うことができる。
【0047】
本発明で用いられる感光体においては、前記電荷輸送層37の上に、表面層として、摩耗耐久性・画質耐久性の向上を目的として少なくともアルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する保護層39が形成される。
【0048】
表面層としての保護層39には、摩耗耐久性・画質耐久性を向上させるためにフィラー材料を含有させることが好ましい。該フィラー材料としては、有機性フィラーと無機性フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが、感光体の耐摩耗性を向上させ、高画質の画像を得ることができるので好ましい。さらに、金属酸化物を用いると、塗膜の品質も向上する。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。
【0049】
また、これらの金属酸化物の中でも、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーの方が好ましい。導電性フィラーを感光体の最表面に含有させると、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。特に、フィラーの比抵抗は1010Ω・cm以上であることが解像度の点から好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。一方、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以下の導電性フィラーもしくは比抵抗が比較的低いフィラーとしては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。
【0050】
但し、フィラーが同じ材質であっても、フィラーの比抵抗は異なる場合があるため、フィラーの種類によって完全に分類されるものではなく、フィラーの比抵抗によって決めることが重要である。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能であり、それによって表面の抵抗を制御することも可能である。さらに、画像ボケの抑制効果を高めるためには、等電点におけるpHが少なくとも5以上を示すフィラーを選択することが好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向がある。液中に分散しているフィラーはプラスあるいはマイナスに帯電しており、その帯電性はフィラー粒子の安定性や解像度にも影響を及ぼす場合がある。等電点におけるpHがより塩基性を示すフィラーは、その帯電性や抵抗の面から画像ボケの抑制に対して有効である。等電点におけるpHが5以上の金属酸化物としては、前述のフィラーの中でも酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられ、特に酸化チタン<ジルコニア<アルミナの順に塩基性が高くなることから、アルミナを用いることがより好ましい。さらに、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。
【0051】
フィラーの屈折率についても同様であり、フィラーの屈折率が1.0未満及び2.0より大きい場合は、保護層39の透過率が低下し、書込ドットの潜像での再現性が低下し画質が低下する。フィラーの屈折率は、例えば屈折率の値を少しずつ変化させることができる液体中に粒子を浸し、粒子界面が不明確になる液の屈折率から求めることが出来る。液体の屈折率はアッベの屈折率計などにより求めることが出来る。
【0052】
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。フィラーが含有された感光体において、オゾンやNOxガスの曝露による画像ボケの発生は、それらがフィラー表面に吸着することによって引き起こされると考えられる。表面処理剤によってフィラーの比抵抗や等電点におけるpHを変化させることが可能となり、表面処理剤によって画像ボケの抑制効果が大幅に高めることができる。フィラーの表面処理は、画像ボケの抑制効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果もあり、塗膜の透明性の向上、塗膜欠陥の抑制、さらには耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制に対しても有効である。
【0053】
フィラーの表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述のフィラーの比抵抗や等電点におけるpHを維持できる表面処理剤が好ましい。該フィラーの等電点におけるpHは、表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理したフィラーは酸性側に、塩基性処理剤で処理したフィラーは塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、フィラーの分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理もフィラーの分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を軽減できる場合がある。また、フィラーの等電点でのpHが5以下の酸性を示しても、表面処理剤に上記の塩基性処理剤を使用することによって、本発明において所望される効果を得ることも可能である。
【0054】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなるだけでなく、フィラーの比表面積の増加により画像ボケの影響が増加する場合がある。また、フィラーの平均一次粒径がこれよりも大きい場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化あるいは異常画像が発生したりする場合がある。
【0055】
これらのフィラーが含有されることによって引き起こされる残留電位上昇を抑制するためには、表面層にカルボン酸化合物の一種を添加させることが好ましい。なお、本発明におけるカルボン酸化合物は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
【0056】
上記カルボン酸化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。更に、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、またはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて使用することができ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果が高いことから、より有効に用いられる。これらのカルボン酸化合物の中でも複数のカルボン酸残基を有するポリカルボン酸化合物は酸価が高く、またフィラーへの吸着性が向上する傾向にあり、残留電位の低減及びフィラーの分散性向上に対し、特に有効かつ有用である。
【0057】
残留電位の低減は、これらの化合物が酸価を有することと、フィラーへの吸着性にあると考えられる。フィラーの添加による残留電位の上昇は、フィラー表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、このフィラーの極性基にこれらのカルボキシル基が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。また、これらのカルボン酸化合物は、フィラーと結着樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつ立体障害あるいは電気的反発を与えることによりフィラー間の相互作用を減少させ安定性を高めることによりフィラーの分散性が向上する効果を有する。
【0058】
感光体の表面層としての保護層39に含有される結着樹脂としては、前記電荷輸送層37について挙げられたものを用いることができる。保護層39の形成に用いる溶媒についても電荷輸送層37で挙げた溶媒を用いることができ、2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。
【0059】
また、保護層39にはさらに電荷輸送物質を含有させることもできる。保護層39に電荷輸送物質を含有させることによって残留電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を用いることも可能である。保護層に用いられる電荷輸送物質及び高分子電荷輸送物質は、電荷輸送層37について記載された物質すべて、あるいは類似の材料を使用することができる。
【0060】
保護層39の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、2μm〜6μmがより好ましい。但し、本発明においては、前述したように電荷輸送層38の膜厚と、保護層39の膜厚とを合わせて、20μm以下である。
【0061】
保護層39の形成には、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができるが、スプレー塗工法が最も好ましい。また、保護層の必要膜厚を一度で塗工して保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる場合がある。加えて、塗膜品質の向上や塗膜欠陥の発生を抑制する効果も有する。
【0062】
また、本発明で用いられる感光体を構成する最表面層としての保護層39には、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が含有される。該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物の具体例としては、下記一般式(I)〜(IV)の化合物が挙げられる。
【化11】
Figure 0004194881
【0063】
(I)式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。R、Rは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Ar、Arは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。ただし、Ar、Ar、RもしくはRのいずれか1つは芳香族複素環基である。
【0064】
【化12】
Figure 0004194881
【0065】
(II)式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。Rは水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香環基を表す。また、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、Ar、Ar、もしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。
【0066】
【化13】
Figure 0004194881
【0067】
(III)式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。また、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。
【0068】
【化14】
Figure 0004194881
【0069】
(IV)式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。nは1〜3の整数を表す。また、Ar、Ar、Ar、およびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。
【0070】
上記一般式(I)〜(IV)の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、などを挙げることができる。また、芳香環基としてはベンゼン、ナフタレン、アントラセン、及びピレンなど芳香族炭化水素環の1価〜6価の芳香族炭化水素基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の1価〜6価の芳香族複素環基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、及び芳香環基などが挙げられる。更に、R、Rが互いに結合し窒素原子を含む複素環基の具体例としてはピロリジニル基、ピペリジニル基、ピロリニル基等が挙げられる。その他、共同で窒素原子を含む複素環基としては、N−メチルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、インドール、キノリンの芳香族複素環基などを挙げることができる。
【0071】
一般式(I)〜(IV)で表される化合物の具体的構造例を下記表1〜4に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004194881
【0073】
【表2】
Figure 0004194881
【0074】
【表3】
Figure 0004194881
【0075】
【表4】
Figure 0004194881
【0076】
これら一般式(I)〜(IV)で表される化合物の添加量は、結着樹脂に対して1wt%〜50wt%が好ましい。該化合物の添加量が、少ないと画質劣化抑制に対する耐性が不足し、多すぎると、膜強度が低下し、耐摩耗性が劣化する。
【0077】
前記アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が感光体の表面層に含有されていると、繰り返し使用した場合に、地汚れ、画像濃度の低下、画質劣化の発生を防ぐことができる理由としては、構造内に含まれるRおよびR置換アミノ基(芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキルアミノ基)が酸化性ガスに対して有効なラジカル物質生成抑制を行うことにあると推測される。また、表面層構成物質に対しても保護機能を有し、酸価を抑制しているものと考える。また、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物は、電荷輸送能力も有しているため、それ自身で電荷担体のトラップとして働かず、添加に伴う残留電位上昇等の電気的な特性劣化は殆どみられないものとなる。さらに特に高温高湿下での発生量が多い、いわゆる画像流れ物質との付着性を低減させていることで効果が発生しているものと推測される。
【0078】
本発明で用いられる感光体においては、導電性支持体31と電荷発生層35の間、あるいは電荷輸送層37と保護層39との間にも他の中間層を設けることができる。該他の中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、他の中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0079】
上記中間層33(以下、下引き層ともいう。)は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に電荷発生層35を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層33にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0080】
上記中間層33は、前述の電荷発生層35や電荷輸送層37の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層33には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。中間層33の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0081】
次に、本発明の電子写真方式を用いた画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置には、第一の態様と第二の態様がある。第一の態様の画像形成装置は、前記感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段とを少なくとも有する。また、第二の態様の画像形成装置は、前記感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理をおこなう画像処理手段とを、少なくとも有する。
【0082】
上記第一の態様と第二の態様の画像形成装置において、帯電手段に用いられる帯電装置としては、一般的にはコロナ放電を利用して感光体の帯電を行うコロナ帯電装置が挙げられ、その他にも鋸歯状電極を放電電極として使用して帯電を行う帯電装置(特開平8−20210号公報、特開平6−301286号公報)、接触帯電装置等がある。
【0083】
前記第一の態様と第二の態様の画像形成装置において、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段としては、光書き込み手段にビーム径35μm以下のレーザービーム光が用いられる。光書き込み手段としてビーム径35μm以下のレーザービーム光を用いると、階調性、1ドット再現性、ジャギー、バンディング等に優れる高画質を達成することができる。これに対し、ビーム径が35μmを超えるレーザービーム光を用いるとフォントの識別は可能になるが、ドットそのもののが大きいため階調性が低下し、写真画像等のハーフトーン画像の再現性が著しく低下する虞がある。この光書き込み手段については、実施例において具体的に説明する。
【0084】
本発明の第一の態様の画像形成装置においては、感光体に対して解像度が1200dpi以上の光書き込みを行い静電潜像を形成する、光書き込み手段が好ましい。解像度が1200dpi未満の場合は、孤立1ドットや1ドットラインが大きくなるため、木目の粗い画像になってしまう。また、斜め線を含むような画像においては、ジャギーの悪化により画質の低下を招く。また、文字画像についても種々のフォントが識別できなくなる虞がある。
【0085】
本発明の第二の態様の画像形成装置においては、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する、光書き込み手段が好ましい。中間調処理を200lpi未満で行った場合は、階調性は確保されるものの、ディザのテクスチャが目視で知覚され、きめの細かい画像が得られない。
【0086】
次に、本発明の電子写真プロセスを用いる画像形成装置について、図3、図5、図6、図7、図8に基づきその概略を具体的に説明する。
感光体ドラム1は導体(導電性支持体)の表面に、電荷発生層、電荷輸送層、表面層(保護層)等を塗布することによって形成され、図3中の矢印方向に回転する。該画像形成装置では次のような手順で画像の形成を行う。
【0087】
1.帯電手段2では、感光体の表面を所望の電位に帯電する。
2.露光手段3では、感光体を露光して、所望の画像に対応する静電潜像を感光体上に形成する。
3.現像手段4では、露光手段によってつくられた静電潜像を、トナーによって現像し感光体上にトナー像を形成する。
4.転写手段5は、感光体上のトナー像を不図示の搬送手段によって搬送される紙などの記録シート6上に転写する。
5.クリーニング手段7は、転写手段で記録シート上に転写されず感光体上に残ったトナーを清掃する。
6.転写手段によって、トナー像を転写された記録シートは定着手段8へ搬送される。定着手段8では、トナーは加熱され、記録シート上に定着される。
感光体ドラムは図1中の矢印方向に回転するため、上記の1〜6の工程を繰り返すことによって記録シート上に所望の画像が形成されていく。
【0088】
電子写真プロセスでの帯電装置としては、ワイヤを用いたコロナ放電を利用して感光体の帯電を行うコロナ帯電装置が従来から使用されている。図5は、コロナ帯電装置の一例の概略図である。ワイヤは材質:タングステン、線径60[μm]である。ワイヤは図5のような位置(ケース中央)に感光体ドラムの軸方向に張設され、高電圧(−7[kV]程度)が印加されている。前記のワイヤは帯電ケースで覆われている。ケースの材質は、酸化されにくいステンレス鋼である。また、前記ワイヤと感光体との間には、グリッドが張設されており、−0.6[kV]程度の電圧が印加される。グリッドはステンレス鋼板(板厚:0.1[mm])をメッシュ状に切り取ったものである。
【0089】
図5に示すコロナ帯電装置では、感光体の帯電は次のように行われる。張設されたワイヤの近傍では、強電界が形成され空気の絶縁破壊が起こり、イオンが発生する。このイオンの一部は、ワイヤと感光体との間の電界によって移動し、感光体表面が帯電される。感光体の帯電は、表面電位がグリッドに印加した電位にほぼ等しくなるまで続くため、感光体の表面電位は、グリッドに印加する電位によって制御することが可能である。
【0090】
ワイヤを使用したコロナ帯電装置以外のコロナ帯電装置としては、鋸歯状電極を放電電極として使用しているものがある(特開平8−20210号公報、特開平6−301286号公報)。図6はこの鋸歯状電極を用いたコロナ帯電装置の一例の概略図である。鋸歯状電極は図7に示すような形状であって、材質は板厚0.1[mm]のステンレス鋼板、頂点のピッチは3[mm]である。この鋸歯状電極は図6のように、支持部材に固定され、電源によって高電圧(−5[kV])が印加される。鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置でも、ワイヤを使用したコロナ帯電装置と同様に、材質がステンレス鋼の帯電ケースで覆われており、鋸歯状電極と感光体との間にはグリッドが配置されている。鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置での感光体の帯電も、ワイヤを使用した場合と同じであり、鋸歯状電極の頂点付近でコロナ放電がおこる。このほかのコロナ帯電装置としては、放電電極が針状(ピン状)の電極であるものが考案されている。
【0091】
鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置では、ワイヤを使用した場合にくらべて、小型、低オゾン発生の利点をもつ。鋸歯状電極では、コロナ放電が方向性(帯電ケース側へ向かうイオンの流れが、グリッド側(感光体側)へ向かうイオンの流れにくらべて小さくなる)をもって起こるため、帯電装置の幅(帯電ケースの感光体側の開口幅)を小さくすることができる。このことは、画像形成装置全体の小型化に対して重要である。また、コロナ放電が方向性を持つため、感光体の帯電の効率が上がり、コロナ帯電装置に流れる電流を小さくすることができ、この結果、オゾンの発生量が少なくなる。
【0092】
画像形成装置の帯電装置としては、これらのコロナ帯電装置ほかに、いわゆる接触帯電装置がある。この接触帯電装置は、コロナ帯電装置が抱える次の問題を改善することができる。
1.発生するオゾンが多い
2.印加電圧が大きい(5〜7[kV])
このため、低速、中速の電子写真方式の画像形成装置での帯電装置として広く用いられている。
【0093】
接触帯電装置は、被帯電体である感光体に、帯電部材を接触させ、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体の帯電を行う。図8は、接触帯電装置の一例であり、その断面図を表している。帯電部材2はローラ形状で直径5〜20[mm]、長さ約300[mm]であり、弾性層2bを導体2aの上に形成してある。感光体ドラムは直径30〜80[mm]、長さ約300[mm]であり、感光体1bを導体1a上に形成してある。帯電部材は回転する感光体ドラムに対して接触し、従動回転する。帯電部材の弾性層は、抵抗率が10〜10[Ωcm]の材料から構成される。また、帯電部材の表面(弾性層の表面)には、膜厚が10〜20[μm]程度の表面保護層が形成されている場合もある。帯電部材には、電源3によって電圧を印加し、感光体の帯電を行う。印加電圧は、直流で−1.5〜−2.0[kV]である。このような構成により、接触帯電装置では感光体を−500〜−800[V]に均一に帯電することができる。
【0094】
さらに、接触帯電装置においては帯電部材が感光体に接触していることによって、トナーや異物が帯電部材に付着し、帯電部材が汚染されることによって帯電性が低下したり、帯電部材から汚染物質が再付着することによって感光体表面の汚染が促進されたり、帯電部材の汚染によって感光体の摩耗あるいは偏摩耗が促進されたり、帯電部材によって感光体表面が押さえつけられていることによって感光体表面の異物の除去効率が低下したり、さらに感光体への帯電ローラー跡の残存、あるいは帯電ローラーの変形によって異常画像が発生したりする不具合があることから、帯電部材を感光体に対して近接配置させる帯電装置も用いられるようになっている。帯電部材自体は、接触帯電部材と同様のものを用いることができるが、帯電の安定性、帯電ムラの抑制の観点から、印可電圧として、直流で−300〜−1000Vに交流を重畳させて用いることが多い。また近接配置に要求される感光体とのギャップについては、帯電部材側にギャップテープを巻き付ける、ローラーの端部に段差を設ける、または感光体側からはドラム端部に段差を設ける等して帯電ローラーとのギャップを維持することができる。
【0095】
上記ギャップ材はテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材と感光体の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合があり、また要求される帯電レベルを維持させるための印可電圧を増加させる必要が生じ、それによって帯電生成物の発生量の更なる増加により画像ボケの影響が増大する虞がある。
また、帯電部材には直流成分に交流成分を重畳して感光体に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
【0096】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置での露光手段は、図9に示すように、いわゆるLD(レーザーダイオード)を出力画像に対応させて光変調を行う。このLDから発光されたレーザー光は、いわゆるコリメートレンズ、アパーチャー、シリンドリカルレンズ、ポリゴンミラー、f−θレンズを介して、感光体上に結像するようになっている。ポリゴンミラーは、回転する多面鏡であり、この回転によってレーザー光が感光体上を走査するようになっている。このため、感光体を露光して、所望の画像に対応する静電潜像を感光体上に形成することができる。
【0097】
【実施例】
実施例で用いた画像形成装置の概略を、図3を用いて説明する。尚、本発明の画像形成装置は従来のものと基本構成は同じである。参考までに、従来の画像形成装置の概略を図4に示す。
感光体ドラム1は導体(アルミニウムなど)の表面に、感光層塗工液(UL、CGL、CTL、保護層)を塗布することによって形成され、図3中の矢印方向に回転する。感光体ドラムの直径は60mmであり、周速は230mm/secである。帯電手段2は、いわゆる接触ローラ帯電装置であり、芯金上にいわゆる中抵抗の導電性をもつ弾性層(厚み3mm)が形成された構成の帯電ローラに、電源によって直流電圧(−1.21kV)を印加し、感光体を均一(−550V)に帯電する。
【0098】
露光手段3は、帯電手段で均一に帯電された感光体の表面に、目的の画像に対応した光を照射することによって、静電潜像を形成する。露光手段の光源はレーザーダイオードであり、ポリゴンミラーによって、感光体上をレーザービームで照射しながら走査していく。いわゆるビーム径は主走査方向35μm、副走査方向35μmである。ビーム径は、ガウス関数で表されるプロフィールの最大値の1/eのところでの径を示し、一般にガウス分布の半径は、強度が、軸上の値からある程度だけ減少したところにおける、光軸からの距離で定義することができる。
【0099】
現像手段は、いわゆる2成分現像装置であり、トナー(体積平均粒径6.8μm)とキャリア(粒径50μm)をトナー濃度5.0%に混合した現像剤が現像容器内には収納されている。現像装置では、この現像剤を現像スリーブによって、感光体−現像スリーブ対向部へと搬送する。感光体−現像スリーブ間の距離(いわゆる現像ギャップ)は0.3mmである。現像スリーブには電源により直流電圧(−400V)が印加されているため、感光体上の静電潜像の対応してトナーが感光体上に付着する(いわゆる反転現像)。また、現像スリーブの周速は460mm/secである(いわゆる周速比は2.0である。)。
【0100】
転写手段5は、現像手段で現像されたトナー像を給紙手段(図示せず。)から搬送された記録シート6上に転写する。実施例で用いた画像形成装置の転写手段は転写ベルトと電源とからなり、電源から転写ベルトに電圧を印加する。印加する電圧は定電流制御とし、30μAである。
【0101】
クリーニング手段7は弾性体から形成されるブレードによって構成され、感光体上の残留トナー像(いわゆる転写残トナー)のクリーニングを行う。
転写手段によっての記録シート(紙など)上に転写されたトナー像は、定着手段に搬送され、定着手段で加熱加圧することによって、トナー像が記録紙シート上に定着され、画像形成装置機外へと排出され、出力画像となる。
【0102】
前述した1〜7の工程を繰り返すことによって、所望の画像が記録シート上に形成される。
【0103】
図9は実施例で用いた画像形成装置の書き込みユニットである。該画像形成装置では、波長780nmの4つのLD(レーザーダイオード)をもつ4ch(4チャンネル)タイプのLDアレイを搭載している。LDからのレーザー光は、いわゆるコリメートレンズ、NDフィルタ、アパーチャー、シリンドリカルレンズを介して、ポリゴンミラーへと照射される。該画像形成装置ではポリゴンミラーは、6面タイプであり、27165rpmの回転数で回転している。ポリゴンミラーで反射されたレーザー光は、折り返しミラー、f−θレンズを介して、感光体上で結像するようになっている。該画像形成装置では、レーザービームの感光上でのいわゆるビーム径は、35μm(主走査方向)×35μm(副走査方向)になるように調整されている。該画像形成装置ではf−θレンズはプラスチックを成形加工したプラスチックレンズであり、いわゆるAC面によってレンズ形状の設計がなされており、この結果、35μm(主走査方向)×35μm(副走査方向)というきわめて細いビーム径を実現している。また、レーザー光はポリゴンミラーが回転することによって、感光体上を走査する。該画像形成装置の解像度は1200dpiであり、1pixelの大きさは、21.3μm×21.3μmである。該画像形成装置では、1pixelあたりを16.9nsecの時間で移動しながら、感光体にレーザービームを照射していく。このとき、いわゆる画素クロックは59.2MHzであり、59.2MHzの周波数でLDを光変調することを意味している。
【0104】
また、該画像形成装置では、上述のようにレーザー光がポリゴンミラーの回転によって、感光体上を走査するが、非画像領域にレーザー光が位置するときには、図9に図示された同期検知板に、レーザー光が入射するようになっている。この同期検知板は、レーザービームの入射によって基準信号が発生するような機構を有し、この基準信号に基づいて、画像書き出し位置のタイミング、いわゆる画素クロックを形成するクロック信号のリセットを行うようになっている。これにより、感光体上の所定の位置に、光変調をなされたレーザー光を入射することができるようになっている。
【0105】
また、該画像形成装置においては、1pixelあたり4階調の階調表現が可能な、いわゆる4値書きこみを行うことができるように、LDのパルス幅を4段階で変化させてこのような多値書きこみを行っている。
【0106】
次に、実施例、参考例、比較例で用いた感光体を示す。部はすべて重量部である。
感光体1
φ60のアルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、膜厚4.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、15μmの電荷輸送層を形成した。
【0107】
[下引き層塗工液]
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0108】
[電荷発生層用塗工液]
Y型オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール
(エスレックBM−2:積水化学製) 2部
テトラヒドロフラン 50部
【0109】
[電荷輸送層塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製) 10部
下記(1)式に示す構造の低分子電荷輸送物質 6部
テトラヒドロフラン 100部
【0110】
【化15】
Figure 0004194881
【0111】
上記電荷輸送層上にさらに下記組成の保護層塗工液を用いて、スプレー塗工によって塗工し、全膜厚が5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0112】
[保護層用塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成製) 10部
下記(2)式に示す構造の低分子電荷輸送物質 7部
前記例示化合物(I)−1 1部
αアルミナ(スミコランダムAA−03、
平均一次粒径:0.3μm、pH8〜9、住友化学工業製) 3部
(屈折率:1.76、pH:5.5)
ポリカルボン酸化合物(BYK−P104、
固形分約50%、BYKケミー製) 0.12部
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 120部
【0113】
【化16】
Figure 0004194881
【0114】
感光体2
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(II)−1を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体2を作成した。
【0115】
感光体3
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(III)−1を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体3を作成した。
【0116】
感光体4
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(IV)−1を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体4を作成した。
【0117】
感光体5
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1を除いた以外は、感光体1と同様にして感光体5を作成した。
【0118】
感光体6
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに下記(3)式に示す構造式のヒンダードアミン系化合物を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体6を作製した。
【0119】
【化17】
Figure 0004194881
【0120】
感光体7
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに下記(4)式に示す構造式のヒンダードアミン構造とヒンダードフェノール構造の両構造を有する化合物を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体7を作製した。
【0121】
【化18】
Figure 0004194881
【0122】
感光体8
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりにポリテトラフルオロエチレン微粒子としてルブロンL−2を2重量部用いた以外は、感光体1と同様にして感光体8を作製した。
【0123】
感光体9
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(I)−5を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体9を作成した。
【0124】
感光体10
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(II)−7を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体10を作成した。
【0125】
感光体11
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(III)−5を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体11を作成した。
【0126】
感光体12
感光体1において保護層用塗工液に含有される前記例示化合物(I)−1の代わりに前記例示化合物(IV)−5を用いた以外は、感光体1と同様にして感光体12を作成した。
【0127】
このようにして得られた感光体1〜12を前記画像形成装置に搭載し、実施例1〜32、参考例1〜32、比較例1〜32において画像を形成し、以下のようにして評価した。
(画質評価方法)
画質評価は、画質の重要項目である階調性を測定するという方法で行った。階調性の評価は、線数を変えて中間調処理をほどこしたパッチ(17段)を出力し、このパッチの明度(L*)を測定した。中間調処理としては、いわゆる線数を200lpiの水準で画像を出力した。また、明度(L*)の測定には、分光濃度測色計(X−Rite社製938)を使用した。
【0128】
階調性の数値化は、入力(データ上の面積率)に対する、17段のパッチを測色してもとめた明度値の直線性から、いわゆるR(一次式近似での自己相関係数の2乗)を計算するという方法でおこなった。Rの値は、上述の入力データと明度(L*)との関係が直線的ならば1.0に近い値(図10)になり、直線からずれるにしたがって小さな値(図11)になる。また、発明者は自然画像などの高い階調性が要求される画像の主観的評価を行うことによって、Rの値が0.98以上であることを優れた階調性の条件とした。また、Rの値は、いわゆる低線数画像のほうが大きくなる傾向がある。しかしながら、線数が200lpi以下の場合には、いわゆるディザのテクスチャが認識できるようになってしまい、自然画像などにおいては不自然な印象をあたえる結果、画質劣化の要因となってしまう。このことから、発明者は、中間調処理の線数を200線以上で階調性Rの値0.98以上であれば高画質であると判断した。
【0129】
また、記録密度は文字・線画の画質に関係し、特にジャギー特性に効く。ジャギーが目立たなくなるのは、900dpi以上必要であり、高画質を達成するためには1200dpi以上が必要である。
【0130】
上記で得られた感光体につき、先に示した実験機:リコー製MF4570を1200dpiまたは1800dpiの2bit書き込みに改造したものを使用し画像評価を行った。なおビーム径は25、35、45μm、書き込み密度は1200、1800dpi、中間調処理としては、いわゆる線数を200、240lpiの水準で画像を出力した。上記手段により画像を出力した画像について画質評価を行った。また、評価の手順としては、最初に実験機により画像を出力し画質評価を行い、次に高温高湿下(30゜C/90%RH)で1to2にて20Kのランニング評価を行い(明部電位(VD=−600Vに設定))、再度実験機により画像を出力し画質評価を行った。
また、ビーム径はPHOTON社製ビームスキャン、OPC膜厚はフィッシャースコープ社製膜厚計でそれぞれ測定したものである。
【0131】
表5〜8に測定結果を示す。
【0132】
【表5】
Figure 0004194881
【0133】
【表6】
Figure 0004194881
【0134】
【表7】
Figure 0004194881
【0135】
【表8】
Figure 0004194881
【0136】
なお、これらフィラーとしてα−アルミナを含有する実施例・比較例の感光体は20Kのランニング試験において摩耗量が0.2〜0.3μmであったのに対し、フィラー除いた感光体の摩耗量は1.5μmであり、摩耗耐久性に著しく劣り、ランニング試験後、地肌汚れ及びハーフトーンスジ状ムラが発生した。
【0137】
表5〜8は、表面層中に本発明に示すアルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有させた場合の、階調性(上述のR)を測定した結果である。この結果からからわかるように、本発明に示す化合物を含有させたことにより、階調性の優れた画像を形成出来ることはもちろんのこと、耐摩耗性も向上しかつ階調性の劣化も極めて少ない画像を得ることが出来、画質の安定性も向上することが確認された。
【0138】
また、表5〜8からわかるように、階調性の優れた画像を形成にするためには、ビーム径、OPC膜厚、書き込み密度・線数の特定の組み合わせで用いる必要があることがわかる。
また高温高湿下でも階調性の低下が少なく、また異常画像も発生しない等、良好な画質を維持できることが確認された。
【0139】
すなわち、光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置、及び/又は光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる電子写真方式を用いた画像形成装置において、光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の表面層にアルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が含有されて、かつ該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下である場合、階調性Rの値が0.98以上を確保することができ、また耐摩耗性も良好かつ画質の劣化が少なく、安定な高画質な画像が得られることが明らかになった。
【0140】
さらにいままで解決できなかった高温高湿下における画質低下の課題に対しても本発明により改良できることが明らかになり、環境も含め高耐久化と高画質化の両立を実現する画像形成装置を提供することが可能となった。
【0141】
【発明の効果】
本発明の画像形成装置は、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段とを有する電子写真方式を用いた画像形成装置であり、前記光書き込み手段に特定のレーザービーム光が用いられ、前記感光体が、導電性支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とを少なくとも設けてなり、該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下なので、繰り返し使用しても地汚れ、画像濃度の低下、画質劣化が発生しにくく、高画質であると共に耐久性に優れる。
【0142】
本発明の他の画像形成装置は、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段と、特定の画像処理手段を有する電子写真方式を用いた画像形成装置であり、前記光書き込み手段に特定のレーザービーム光が用いられ、前記感光体が、導電性支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とを少なくとも設けてなり、該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下なので、繰り返し使用しても地汚れ、画像濃度の低下、画質劣化が発生しにくく、高画質であると共に耐久性に優れる。
【0143】
前記アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物として、一般式(I)〜(IV)で表される化合物を用いると、繰り返し使用しても地汚れ、画像濃度の低下、画質劣化が発生しにくく、高画質であると共に耐久性に優れるという効果がより優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる感光体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明で用いられる感光体の他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の電子写真プロセスを用いる画像形成装置の説明図である。
【図4】従来の電子写真プロセスを用いる画像形成装置の説明図である。
【図5】ワイヤを用いたコロナ帯電装置の一例を示す概略図である。
【図6】鋸歯状電極を用いたコロナ帯電装置の一例を示す概略図である。
【図7】鋸歯状電極の一例を示す概略図である。
【図8】接触帯電装置の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の書き込みユニットの一例を示す説明図である。
【図10】階調性が良い例を示す説明図である。
【図11】階調性が悪い例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光体(感光体ドラム)
2 帯電手段
3 露光手段
4 現像手段
5 転写手段
6 記録シート
7 クリーニング手段
8 定着装置
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層

Claims (3)

  1. 少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する手段とを有する、電子写真方式を用いた画像形成装置において、前記光書き込み手段にビーム径35μm以下のレーザービーム光が用いられ、前記感光体が、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物を含有する表面層とを少なくとも設けてなり、該電荷輸送層および表面層を合わせた膜厚が20μm以下であり、該アルキルアミノ基を有するアリールメタン化合物が、下記一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物であることを特徴とする画像形成装置。
    Figure 0004194881
    (式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。m、nは0〜3の整数を表す。ただしmとnが同時に0となることはない。また、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
    Figure 0004194881
    (式中、R、Rは芳香環基置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。nは1〜3の整数を表す。また、Ar、Ar、Ar、およびArは置換もしくは無置換の芳香環基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar、ArもしくはAr、Arは共同で窒素原子を含む複素環基を形成してもよい。)
  2. 該感光体の表面層が、フィラーを含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 該電子写真感光体の表面層が、カルボン酸化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
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