JP4194138B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体並びに該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、通常、導電性支持体上に感光層を有するが、感光層は一般に非常に薄い層であり、傷や付着物といった支持体表面の欠陥により、感光層の膜厚が不均一になってしまうということがあった。この傾向は、現在の主流である感光層が0.5μm程度の極めて薄い膜厚を有する電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型の感光層においては特に顕著である。
【0003】
感光層の膜厚が不均一であれば、当然電位ムラや感度ムラが生じてしまうので、感光層はできる限り均一に形成する必要がある。
【0004】
また、電子写真感光体の求められる重要な特性として、繰り返し使用の際の明部電位及び暗部電位の安定性が挙げられる。これらの電位が安定していないと、画像濃度が安定しなかったり、画像にカブリが生じたりしてしまう。
【0005】
そこで、支持体と感光層の間に、支持体表面の欠陥の被覆、支持体と感光層との接着性の向上、更には、支持体から感光層へのキャリア注入の防止といった機能を有する中間層を設けることが提案されている。
【0006】
従来、この中間層に用いる樹脂としては、ポリアミド樹脂(特開昭48−47344号公報及び特開昭52−25638号公報)、ポリエステル(特開昭52−20836号公報及び特開昭54−26738号公報)、ポリウレタン(特開昭53−89435号公報及び特開平2−115858号公報)、第4級アンモニウム塩含有アクリル系重合体(特開昭51−12614号公報)及びカゼイン(特開昭55−103556号公報)等が知られている。またジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド等の有機ジルコニウム化合物とシランカップリング剤を用いることも提案されている(特開平3−73962号公報)。
【0007】
しかしながら、上述の材料を中間層として用いた電子写真感光体は、温湿度の変化に応じて中間層の電気抵抗が変化しやすく、低温低湿下から高温高湿下の全環境において安定して優れた電位特性を有し、優れた画像を形成し得る電子写真感光体を作成することは困難であった。
【0008】
例えば、中間層の電気抵抗が増大し易い低温低湿下において感光体を繰り返し使用した場合には、中間層には電荷が残留し易くなり、明部電位及び残留電位が上昇してしまう。その結果、正規現像ではコピー画像にカブリを生じたり、反転現像では画像が薄くなったりして、所定の画質を有する画像が継続的に得られないという問題があった。
【0009】
一方、中間層の電気抵抗が低下し易い高温高湿下においては、中間層のバリヤー機能が低下し、支持体からのキャリア注入が増加し易くなり、暗部電位が低下してしまう。その結果、正規現像では画像が薄くなったり、反転現像では画像に黒点状欠陥(黒ポチ)及びカブリを生じたりすることがあった。
【0010】
また、中間層を設けることにより、低温低湿下における電位の安定性及び高温高湿下における画像上の黒点状欠陥を改善しても、感光体自身の感度の低下を招くことが多かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温低湿下から高温高湿下に至る全環境において、安定して優れた電位特性を発揮すると共に、初期の優れた画像を継続して形成し得る電子写真感光体を提供することである。また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ並びに電子写真装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性支持体上に中間層を介して感光層を有する電子写真感光体において、該中間層が下記一般式(1)で示されるイソイミド構造を有するポリイソイミド樹脂を含有し、該中間層中の該ポリイソイミド樹脂の含有量が該中間層全質量に対して10重量%以上であることを特徴とする電子写真感光体である。
一般式(1)
【化5】
一般式(1)中、A1は2価の有機基を示し、B1は4価の有機基を示す。
【0013】
また、本発明は、導電性支持体上に中間層を介して感光層を有する電子写真感光体において、該中間層が下記一般式(2)〜(4)のいずれかで示される構造を有するポリイソイミド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
一般式(2)
【化6】
一般式(2)中、A2は2価の有機基を示し、R1及びR2は同一もしくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基またはシアノ基を示す。
【0014】
一般式(3)
【化7】
一般式(3)中、A3は2価の有機基を示し、R3ないしR8は同一もしくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基またはシアノ基を示す。
【0015】
一般式(4)
【化8】
一般式(4)中、A4は2価の有機基を示し、R9ないしR14は同一もしくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基またはシアノ基を示し、Xは酸素原子、置換基を有してもよいアルキレン基、カルボニル基またはスルホニル基を示す。
【0016】
また、本発明は、前記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0017】
また、本発明は、前記本発明の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるイソイミド構造を有するポリイソイミド樹脂は様々なものが挙げられるが、前記一般式(2)〜(4)のいずれかで示される構造を有するポリイソイミド樹脂が特に好ましい。
【0019】
前記一般式(2)、(3)及び(4)中、A2、A3及びA4で示される2価の有機基としては、後記するように様々な基が挙げられているが、特に前記一般式(5)〜(10)で示される基が好ましい。
【0020】
前記一般式(5)〜(10)中のAr1〜Ar9の示す芳香族炭化水素環基としては、フェニレン基、ビフェニレン基及びナフチレン基等が挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジンジイル基及びチオフェンジイル基等が挙げられ、Yの示すアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基及びイソプロピレン基等が挙げられる。これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメチル等のハロメチル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のアルキルアミノ基、アセチル、ベンゾイル等のアシル基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0021】
A2〜A4の示す2価の有機基の好ましい例を挙げるが、これらに限られるものではない。
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
これらの中で特に下記の基が好ましい。
【化11】
【0025】
これらの中で特に下記の基が好ましい。
【化12】
【0026】
また、一般式(2)〜(4)中、R1〜R14は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基またはシアノ基を示す。R1〜R14は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0027】
また、一般式(4)中、Xのアルキレン基としてはメチレン基、エトレン基、プロピレン基またはイソプロピレン基が挙げられ、アルキレン基が有してもよい置換基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アセチル、ベンゾイル等のアシル基またはシアノ基等が挙げられる。
【0028】
本発明において用いられるイソイミド構造のポリイソイミド樹脂の数平均分子量は500〜100,000であることが望ましく、特には5,000〜50,000であることが望ましい。
【0029】
また、合成条件及び電子写真感光体の製造工程で通常行われている乾燥工程の条件によっては、一部イソイミド構造をとらない場合があるが、得られる樹脂中にイソイミド構造が転位したイミド構造や未反応のポリアミド酸構造を一部有していてもよい。
【0030】
本発明における好ましい樹脂の具体例を表1〜23に挙げるが、これらに限られるものではない。
【0031】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0032】
【表8】
【表9】
【表10】
【0033】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0034】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【0035】
ポリイソイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物誘導体とジアミン誘導体との開環重付加反応により得られる。本発明において用いられるポリイソイミド樹脂は、前記反応により得られたポリアミド酸を無水トリフルオロ酢酸や無水酢酸、塩化アセチルのような脱水剤中で処理することにより合成される。ポリアミド酸溶液に脱水剤を添加することによっても得られる。また、ポリアミド酸溶液の再沈処理の際に、再沈溶媒中に脱水剤を添加しておいたり、ポリアミド酸の状態でキャストした後、脱水剤溶液に浸漬するとう方法を用いてもよい。これらの反応及び処理は、ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンの存在下で行ってもよい。
【0036】
本発明に用いられる前記樹脂の合成例を示す。
合成例
300ml四つ口フラスコに乾燥窒素ガスを送りながら、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル1.0g(5mmol)と100gのN,N−ジメチルアセトアミドを加えた。これを25℃で激しく撹拌し、1〜2分間かけて4,4−ビフタル酸無水物1.47g(5mmol)を加えた。
【0037】
この反応液を、激しく撹拌したメタノール1lに滴下し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ取し、メタノール500mlで分散洗浄し、乾燥して、ポリアミド酸の白色粉末を得た。
【0038】
100mlフラスコ中でこの粉末に無水トリフルオロ酢酸15mlを加え、25℃で1時間撹拌した。その後、粉末をろ取し、アセトン500mlで分散洗浄後乾燥し、例示化合物51のポリイソイミド樹脂の黄色粉末1.60gを得た。スペクトルを図1に示す。本発明に用いられる他の樹脂も上記と同様の方法で合成することができる。
【0039】
本発明の電子写真感光体における中間層は、1層のみで構成されているものでも、複数の層で構成されていても少なくともその1層に本発明で必須要件とする樹脂を含有するものとする。中間層が複数の層で構成される場合、本発明における該樹脂以外の樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル及びフェノール樹脂等が挙げられる。
【0040】
また、本発明における中間層は、必要に応じて他の樹脂、添加剤及び導電性物質等を本発明の効果が得られる範囲の量で含有することができる。他の樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル及びフェノール樹脂等が挙げられ、添加剤としては、2,5,7−トリニトロフルオレノン及びベンゾキノン等のアクセプター性化合物等が挙げられ、導電性物質としては、金属粉体(例えばアルミニウム、銅、ニッケル及び銀等)、金属短繊維、カオボンファイバー、導電性粉体[例えばカーボンブラック、チタンブラック、グラファイト、金属酸化物及び金属硫化物(例えば酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化シズ、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、硫化亜鉛、硫化銅、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウム等)及びこれらの金属酸化物や金属硫化物を導電性物質で表面処理したもの、シランカップリング剤やチタンカップリング剤で表面処理したもの及び還元処理したもの]等が挙げられる。
【0041】
上記他の物質を含有する場合、いずれの場合も、本発明における中間層中の本発明における必須のポリイソイミド樹脂の含有量は、含有される中間層全重量に対し、10〜95重量%が好ましく、特には30〜90重量%が好ましい。
【0042】
本発明における中間層の厚さは、電子写真特性及び支持体上の欠陥等を考慮して適宜設定され得るものであるが、0.1〜50μmが好ましく、特には0.5〜30μmが好ましい。
【0043】
本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有する単層型、及び電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する積層型に大別される。積層型は、更に、導電性支持体、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層する型と導電性支持体、電荷輸送層及び電荷発生層をこの順に積層する型に分けられる。本発明の電子写真感光体は積層型、特に電荷発生層の上に電荷輸送層を積層した型が好ましい。
【0044】
電荷発生層は、モノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾ等のアゾ顔料、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料、アントアントロン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料、ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料、スクワリウム系色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等の電荷発生物質を適当な溶剤を用いて結着樹脂、例えばポリビニルアセタール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン及びセルロース系樹脂等の樹脂中に分散させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0045】
電荷発生層の膜厚は、通常5μm以下が好ましく、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0046】
電荷輸送層は、成膜性を有する樹脂の溶液に下記のような電荷輸送物質を溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成される。電荷輸送物質は、電子輸送物質と正孔輸送物質に大別される。電子輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタン等の電子受容性物質やこれらを高分子化したものが挙げられる。正孔輸送物質としては、ピレン、アントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の複素環化合物、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等のヒドラゾン系化合物、α−フェニル−4’−N,N−ジアミノスチルベン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]ジシクロヘプテン等のスチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールアミン系化合物、トリフェニルアミンあるいはこれらの化合物からなる基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等)が挙げられる。
【0047】
成膜性を有する樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル及びポリスチレン等が挙げられる。
【0048】
電荷輸送層の膜厚は、3〜40μmが好ましく、特には5〜30μmが好ましい。
【0049】
単一層型の場合には、前述したような電荷発生物質と電荷輸送物質とを結着樹脂中に分散及び溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。膜厚は3〜40μmが好ましく、特には5〜30μmが好ましい。
【0050】
また、本発明においては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー層、前述した電荷発生物質の蒸着層、セレン蒸着層、セレン−テルル蒸着層、アモルファスシリコン層等も感光層として用いることができる。
【0051】
本発明において用いられる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、チタン、ニッケル、インジウム、金及び白金等が挙げられる。また、上記金属または合金を、真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等)や導電性粒子(例えばカーボンブラック、銀粒子等)を適当な結着樹脂と共に上記のようなプラスチック、金属または合金支持体上に被覆した支持体、あるいは導電性粒子をプラスチックや紙に含浸した支持体等を用いることができる。支持体の形状としてはドラム状、シート状及びベルト状等が挙げられるが、適用される電子写真感光体に最も適した形状にすることが好ましい。
【0052】
更に、本発明の電子写真感光体は、感光層上に保護層として樹脂層や導電性粒子を含有する樹脂層を積層することもできる。
【0053】
上述した各種層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコールコーティング法等の方法が挙げられる。
【0054】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機、レーザービームプリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るが、更に電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0055】
次に、前記本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ並びに電子写真装置について説明する。
【0056】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0057】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0058】
本発明においては、上述の感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0059】
【実施例】
実施例1
例示化合物51のポリイソイミド樹脂5部(重量部、以下同様)をジメチルアセトアミド95部に溶解して得られた液を、アルミニウムシリンダーに浸漬コーティング法により塗布し、10分間室温で放置した後、40℃で60分間加熱することによって膜厚0.5μmの中間層を形成した。
【0060】
次に、下記構造式のオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部を、
【化13】
ポリビニルブチラール(商品名BX−1、積水化学工業(株)製)3部をシクロヘキサノン34部に溶解した溶液に加え、サンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60部を更に加えて希釈することにより電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を中間層上に浸漬コーティング法により塗布し、100℃、10分間乾燥することによって、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0061】
次いで、下記構造式のトリアリールアミン5部、
【化14】
及びポリカーボネート樹脂(商品名ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部をモノクロルベンゼン40部に溶解した溶液を、電荷発生層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃、30分間乾燥することによって、膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0062】
作成した電子写真感光体を、帯電−露光−現像−転写−クリーニングのプロセスを1.5秒のサイクルで行う反転現像方式のレーザービームプリンターに装着し、高温高湿環境(30℃、85%RH)下で連続5,000枚の画像出し耐久試験を行った。評価は、初期における暗部電位(VD )の測定、初期及び耐久試験後における明部電位(VL )の測定及び得られた画像の目視による評価をすることにより行った。結果を表24に示す。
【0063】
実施例2〜10
実施例1において、例示化合物51のポリアミド酸に代えて、それぞれ例示化合物3、34、43、60、82、87、106、121、135のポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを用いた他は、実施例1と同様にして、実施例2〜10の電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表24に示す。
【0064】
比較例1
中間層を、アルコール可溶性共重合ナイロン(商品名アミランCM−8000、東レ(株)製)5部をメタノール95部に溶解し、この溶液を用いて形成した他は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表24に示す。
【0065】
比較例2
中間層を、ジルコニウムテトラアセチルアセテート(商品名ZC150、松本交商(株)製)10部及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM、信越化学(株)製)20部をメタノール400部、n−ブタノール100部及びn−アミルアルコール200部に溶解し、この溶液を用いて塗布し、150℃で60分間乾燥させて形成した他は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表24に示す。
【0066】
【表24】
【0067】
実施例11
アルミニウムシリンダー(外径30mm、長さ360mm)に、中間層の乾燥を35℃で90分間行い、中間層の膜厚を0.8μmとし、電荷発生層の形成を下記材料及び形成方法に代えた他は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0068】
電荷発生層の形成
下記構造式のビスアゾ顔料5部に
【化15】
テトラヒドロフラン90部を加え、サンドミルで20時間分散した。この液にブチラール樹脂(商品名BLS、積水化学工業(株)製)2.5部をテトラヒドロフラン20部に溶かした液を加え、更に2時間分散した。この分散液にシクロヘキサノン100部及びテトラヒドロフラン80部を加えて希釈した溶液を、先の形成した中間層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚0.28μmの電荷発生層を形成した。
【0069】
作成した電子写真感光体を、帯電−露光−現像−転写−クリーニングのプロセスを0.8秒のサイクルで行う正規現像方式の普通紙複写機に装着し、低温低湿環境(15℃、15%RH)下で連続10,000枚の画像出し耐久試験を行った。評価は、初期における暗部電位(VD )の測定、初期及び耐久試験後における明部電位(VL )の測定及び得られた画像の目視による評価をすることにより行った。結果を表25に示す。
【0070】
実施例12〜20
実施例2〜10で用いた中間層用溶液を使用した他は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表25に示す。
【0071】
比較例3
比較例1で用いた中間層用溶液を使用した他は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表25に示す。
【0072】
比較例4
比較例2で用いた中間層用溶液を使用し、乾燥条件を140℃、90分間とした他は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表25に示す。
【0073】
【表25】
【0074】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、低温低湿下から高温高湿下の全環境において、安定して高い感度及び優れた電位特性及び耐久特性を有し、繰り返し使用しても優れた画像を継続して形成するという顕著な効果を奏する。また、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に装着して同様に優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例で得たポリイソイミド樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図
【図2】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1 本発明の電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 画像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 レール
Claims (7)
- 導電性支持体上に中間層を介して感光層を有する電子写真感光体において、該中間層が下記一般式(2)〜(4)のいずれかで示される構造を有するポリイソイミド樹脂を含有し、該中間層中の該ポリイソイミド樹脂の含有量が該中間層全質量に対して10重量%以上であることを特徴とする電子写真感光体:
一般式(2)
一般式(3)
一般式(4)
- 前記一般式(2)中のA2が下記一般式(5)または(6)で示される請求項2に記載の電子写真感光体:
一般式(5)
−Ar1−
(一般式(5)中、Ar1は置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示す。)、
一般式(6)
−Ar2−Y−Ar3−
(一般式(6)中、Ar2及びAr3は同一もしくは異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいアルキレン基、カルボニル基またはスルホニル基を示す。)。 - 前記一般式(3)中のA3が下記一般式(7)または(8)で示される請求項2に記載の電子写真感光体:
一般式(7)
−Ar4−
(一般式(7)中、Ar4は置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示す。)、
一般式(8)
−Ar5−Y−Ar6−
(一般式(8)中、Ar5及びAr6は同一もしくは異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいアルキレン基、カルボニル基またはスルホニル基を示す。)。 - 前記一般式(4)中のA4が下記一般式(9)または(10)で示される請求項2に記載の電子写真感光体:
一般式(9)
−Ar7−
(一般式(9)中、Ar7は置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示す。)、
一般式(10)
−Ar8−Y−Ar9−
(一般式(10)中、Ar8及びAr9は同一もしくは異なって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有してもよい芳香族複素環基を示し、Yは酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいアルキレン基、カルボニル基またはスルホニル基を示す。)。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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