JP4191982B2 - ディスクブレーキロータおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクブレーキロータ、特に二輪車の制動装置に使用するフローティングタイプのディスクブレーキロータおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二輪車のディスクブレーキロータにおいて、制動時の発熱によりパッド摺動部が熱膨張し、摺動部にそりやうねり等の歪みが発生して、ブレーキパッドの偏当りを誘発し、摺動部の偏摩耗や制動力の低下等の不具合を招来していた。この欠点を改善するため、図6、図7に示すようなフローティングタイプのディスクブレーキロータが知られている。
【0003】
図6は、従来のフローティングタイプのディスクブレーキロータを示す平面図、図7(a)は図6の要部拡大断面図、(b)は(a)のVII−VII線矢視断面図である。
【0004】
このディスクブレーキロータ51は、円板状の摺動部52aを有するアウターロータ52と、このアウターロータ52に所定の環状すきまδを介して内嵌され、複数の車輪取付用孔58を有するインナーロータ53とを備えている。これら二つのロータ52、53間に嵌合部を設けている。また、この嵌合部における二つのロータ52、53間に環状すきまδを形成している。そして、この環状すきまδの円周上に中心を有する複数のピン孔57に、それぞれ加締ピン56を遊嵌し、この加締ピン56を皿ばね54とワッシャ55を介してアウターロータ52とインナーロータ53に加締めている。この加締部56aにより、これら二つのロータ52、53の軸方向相対移動を規制している。ここで、ピン孔57の内径と加締ピン56との間にすきまeを設け、このすきまeにより、制動時の発熱によるアウターロータ52の歪みを吸収することができる。
【0005】
また、この種のディスクブレーキロータ1は、図8に示すような工程を経て製造されている。すなわち、(a)のプレス工程と(b)の焼入れ工程と(c)の機械加工工程と(d)の分断工程と(e)の組立工程とからなっている。
【0006】
(a)のプレス工程では、帯鋼から内外径および凹み52b、53aに相当する部位と摺動部52aの水切り孔52dを打抜き、(b)のハッチングで示す摺動部52aを高周波誘導加熱によって焼入れし、表面硬化処理を施す。その後、(c)の機械加工工程では、旋盤等で内外径を所定の寸法に仕上げると共にバリ取りを行い、ドリルにより車輪取付用孔58を穿設し、さらに表面を研削等により切削する。次の(d)に示す分断工程で、嵌合部に相当する部位において、環状すきまδおよびピン孔57を打抜いてアウターロータ52とインナーロータ53とに分断する。最後に(e)に示す組立工程で、打抜いたピン孔57に加締ピン56を遊嵌し、この加締ピン56を皿ばね54とワッシャ55を介してアウターロータ52とインナーロータ53に加締め、両者を一体固定する。
【0007】
前述した製造工程では、組立工程の一つ前の工程でアウターロータ52とインナーロータ53とに分断するようにしているため、加工工程、特に機械加工の工程が簡略化でき、低コストを図ることができる(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−227891号公報(第3、4頁、第1、2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
こうした従来のフローティングタイプのディスクブレーキロータ51は、強度と軽量化という相反する機能を有し、制動時における熱変形を最大限に抑制することができると共に、その工程数を最小限に止め、加工工程の簡略化により低コストを図ることができる。しかし、その反面、高周波焼入れによって、焼入れ境界部に内部応力が発生し、アウターロータ52とインナーロータ53とに分断後、アウターロータ52は、外径側が一方に傾斜してお椀状になるソリが発生すると共に、インナーロータ53は、周方向に沿って捩れ状の面振れが発生する傾向があった。
【0010】
このようなソリや面振れを機械加工等によって修正するとなるとコストの高騰を招くことになり好ましくない。したがって、所望の寸法精度を有する品質を維持すると共に、低コスト化を図ると言った相反する要求を満足するディスクブレーキロータおよびその製造方法が望まれていた。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、所望の寸法精度を有する品質を維持し、かつ低コスト化を図ったディスクブレーキロータおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周部に摺動部を有し、内周部にその径方向内方に突出した複数の嵌合部を有するアウターロータと、このアウターロータの嵌合部に対応し、外周部にその径方向外方に突出した複数の嵌合部を有し、内周部に複数の車輪取付用孔を有するインナーロータと、前記嵌合部にそれぞれ形成された略半円状の凹所によって構成されるピン孔に嵌合される加締ピンとを備え、この加締ピンを加締めて前記アウターロータとインナーロータをトルク伝達可能に一体に固定してなるフローティングタイプのディスクブレーキロータにおいて、前記アウターロータとインナーロータの嵌合部は、周方向に位相を異にしこれら嵌合部同士を一体に繋ぐ周方向に延びた梁形状の連結部を焼入れ後に分断することにより得られたせん断面を有する構成を採用した。
【0013】
このように、アウターロータとインナーロータの嵌合部を周方向に延びた梁形状の連結部により連結させた状態で焼入れたので、焼入れによる熱歪みをこの連結部の塑性変形で吸収することができ、所望の寸法精度を有する品質を維持し、かつ低コスト化を図ったディスクブレーキロータを提供することができる。
【0014】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、外周部に摺動部を有し、内周部にその径方向内方に突出した複数の嵌合部を有するアウターロータと、このアウターロータの嵌合部に対応し、外周部にその径方向外方に突出した複数の嵌合部を有し、内周部に複数の車輪取付用孔を有するインナーロータと、前記嵌合部にそれぞれ形成された略半円状の凹所によって構成されるピン孔に嵌合される加締ピンとを備え、この加締ピンを加締めて前記アウターロータとインナーロータをトルク伝達可能に一体に固定してなるフローティングタイプのディスクブレーキロータの製造方法において、前記アウターロータとインナーロータの嵌合部が周方向に位相を異にし、周方向に延びる連結部を介してこれらアウターロータとインナーロータを一体に形成するプレス工程と、該プレス工程の後に少なくとも前記アウターロータの摺動部を高周波焼入れにより表面硬化処理しその後前記連結部を分断する分断工程と、該分断工程で分断されたアウターロータとインナーロータの嵌合部の位相を合わせた状態で組み立てる組立工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この方法によると、アウターロータとインナーロータの嵌合部が周方向に位相を異にし、周方向に延びる連結部を介してこれらアウターロータとインナーロータとをプレス工程で一体に形成し、その後に連結部を分断して両ロータを組み立てるようにしたので、二つのロータの径を適宜設定することができる。したがって、両者の嵌合部における環状すきまを広範囲に適宜設定することができ設計自由度が高くなる。また、プレス工程の後で分断工程の前に、少なくともアウターロータの摺動部を高周波焼入れにより表面硬化処理したので、焼入れによる熱歪みをこの連結部の塑性変形で吸収することができ、所望の寸法精度を有する品質を維持し、かつ低コスト化を図ったディスクブレーキロータを提供することができる。
【0017】
好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記嵌合部の凹所をプレス加工により形成すれば、さらに、加工工程を削減でき、低コスト化を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るディスクブレーキロータの実施形態を示し、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【0019】
図1において、ディスクブレーキロータ1は、アウターロータ2の内径にインナーロータ3が所定の環状すきまδを介して嵌合されている。両者は皿ばね4とワッシャ5を介して中空の加締ピン6にて加締められている。図2(a)、(b)は加締部の要部拡大断面図で、(a)は加締前、(b)は加締後をそれぞれ示す。また、(c)は(b)のII−II線矢視断面図である。
【0020】
アウターロータ2の嵌合部2bは、内周部に径方向内方に突出して複数個形成されている。一方、インナーロータ3の嵌合部3bは、アウターロータ2の嵌合部2bに対応し、外周部に径方向外方に突出して複数個形成されている。これらの嵌合部2b、3bにそれぞれ半円状の凹所2a、3aを形成しピン孔7を構成している。このピン孔7は、二つのロータ2、3の嵌合部2b、3bに設けられる環状すきまδ上に中心を有している。複数のピン孔7に加締ピン6を遊嵌し、この加締ピン6を皿ばね4とワッシャ5を介してアウターロータ2とインナーロータ3に加締める。この加締部6aと加締ピン6の鍔部6bとにより、アウターロータ2とインナーロータ3は周方向にトルク伝達可能に、かつ、軸方向の相対移動が規制された状態で一体に固定されることになる。ここで、ピン孔7の内径と加締ピン6との間にすきまeを設けている。通常、制動時にブレーキパッド(図示せず)がアウターロータ2の摺動部2cに摺接して発熱し、摺動部2cが熱膨張してソリやうねり等の歪みが発生するが、このすきまeおよび前述した環状すきまδにより、アウターロータ2の歪みを可及的に吸収することができる。
【0021】
加締ピン6に装着される皿ばね4の位置がずれることなく、正確に加締ピン6にセンタリングされて加締められるように、ワッシャ5の内径側にはインロウ部5aが設けられている。なお、皿ばね4とワッシャ5をそれぞれ加締ピン6に嵌合する前に、予め皿ばね4とワッシャ5を加締等で一体固定してから加締ピン6に嵌合するようにしても良い。なお、本実施例では、皿ばね4とワッシャ5を加締ピン6に嵌合し、加締ピン6を加締める形態を例示したが、これに限らず、簡易的にワッシャ5を省略し、加締ピン6の鍔部6b側に皿ばね4を配置し、加締ピン6の反フランジ側を径方向外方に塑性変形させてアウターロータ2とインナーロータ3を一体に固定しても良い。
【0022】
図1(a)において、アウターロータ2の摺動部2cには水切り孔2dが周方向に複数個形成され、摩耗粉や水分が摺動部2cに滞留するのを防止している。特に、オフロードで泥水がこの摺動部2cに詰まるのを効果的に防止することができる。また、この水切り孔2dを複数形成することにより摺動部2cの空冷効果を一段と高めると共に、アウターロータ2の内径部に形成した複数の凹み2eと相俟ってアウターロータ2の軽量化を図っている。なお、この水切り孔2dの形状は円孔に限らずスリット状でも良い。
【0023】
インナーロータ3の内周部には、車輪(図示せず)に取付けるための取付用孔8が円周等配に複数個形成されている。また、インナーロータ3の外周部には、アウターロータ2の凹み2eに対向して凹み3cが形成され、インナーロータ3の軽量化を図っている。
【0024】
次に図3乃至図5を用いて前述したディスクブレーキロータ1の製造方法を詳細に説明する。図3、図4はプレス工程の一部を示す説明図である。プレス工程は基本的に、帯鋼から円板状の素材を打抜く工程と、この素材に水切り孔を打抜く工程と、凹みを打抜く工程と、内径部を打抜く工程の4工程からなる。
【0025】
SUS410等のマルテンサイト系ステンレス鋼の帯鋼から円板状に素材9を打抜いた後、図3に示すように、摺動部2cに相当する外周部に水切り孔2dを複数個形成している。なお、素材9を円板状に打抜く際、次工程である焼入れ時の熱膨張量を見込んで所定の外径に設定している。また、素材9の中央部には、後工程において素材を芯出しするためのセンター孔9aと、素材の位相決めをするための小孔9bを一対形成している。この工程では、水切り孔2dを各列周方向等配に3列形成し、それぞれの水切り孔2dの間隔が略等しくなるように、各列交互に千鳥状に形成している。なお、本実施例では、円周8等分、すなわち、45°ずつインデックスしてこれらの水切り孔2dを形成しているが、これに限らず、1回のプレス工程で全ての水切り孔2dを一度に形成しても良い。
【0026】
図4は、アウターロータ2の凹み2eと、インナーロータ3の凹み3cに相当する通孔10(図中ハッチングにて示す)を打抜く工程を示している。ここでは、アウターロータ2とインナーロータ3に相当する部分2’、3’は、まだ連結部11によって繋がった状態である。この後、この素材9’の内径部を打抜いてプレス工程が完了する。
【0027】
ここでは、アウターロータ2とインナーロータ3に相当する部分2’、3’の嵌合部2b’、3b’が周方向に位相を異にし、周方向に延びる連結部11を介してこれらアウターロータ相当部分2’とインナーロータ相当部分3’とが一体に形成されている。したがって、サイズや素材の板厚等に規制されることなく、二つのロータ2、3における嵌合部の径を適宜設定することができ、両者の嵌合部2b’、3b’における環状すきまδを広範囲に、かつ、適宜設定することができる。これによって、あらゆる仕様において、最適な環状すきまδを設定することができ設計自由度が高くなる。
【0028】
前述したプレス工程の後、少なくともアウターロータ2の摺動部2cを高周波誘導加熱によって焼入れ硬化し、表面硬さ30〜40HRC、好ましくは32〜38HRCの範囲で表面に硬化層を形成する。さらにこの後、表面にカチオン電着塗装等の防錆処理を施している。ここでは、高周波誘導加熱によって素材を略1000℃に昇温させた後、アウターロータ2の摺動部2cを一対の冷却板(図示せず)で挟持し、焼入れ部の変形を抑制しつつ焼入れを行う、所謂プレスクエンチを採用している。この冷却板は熱間ダイス鋼からなり、内部に形成した水路に冷却水を循環させ冷却効率を高めている。
【0029】
次の機械加工工程では、旋盤等で内外径を所定の寸法に仕上げると共に、内外径の角部のバリ取りを行う。また、ドリル等により車輪取付用孔8を穿設し、さらに表面を研削等によりアヤメ状に切削する。なお、ここでは、車輪取付用孔8を焼入れ後に機械加工で形成するようにしたが、これに限らず、水切り孔2dと同様、予めプレス工程で形成しても良い。
【0030】
次に図5を用いて、アウターロータ2とインナーロータ3を分断する分断工程の説明をする。機械加工が完了した素材9”は、アウターロータ2とインナーロータ3に相当する部分2’、3’が連結部11にて繋がった状態に形成されている。この素材9”の連結部11を打抜き、アウターロータ2の凹所2aとインナーロータ3の凹所3aを形成する(図中破線にて示す)。従来と異なり、このように、凹所2a、3aの位相をずらした形態で凹み2e、3cを打抜くことにより、アウターロータ2とインナーロータ3を一体に繋ぎ、周方向に延びる連結部11を確保することができる。したがって、熱処理および機械加工を、アウターロータ2とインナーロータ3とが一体の状態で加工することができ、工程数を最小限に止めて低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、高周波焼入れによって内部応力が発生し、アウターロータ2とインナーロータ3とに分断後、その応力が開放されることによって生じる歪みを連結部11の塑性変形で吸収することができる。この連結部11は最終的にはプレス加工によって打抜くため、分断後、従来のように、アウターロータ2やインナーロータ3に歪みが発生することはなく、低コストで精度の高いディスクブレーキロータを提供することができる。
【0032】
なお、連結部11の形状はこれに限らず、アウターロータ2の嵌合部2bとインナーロータ3の嵌合部3bとが周方向に位相を異にし、これら嵌合部2b、3b同士を繋ぎ、周方向に延びる梁形状を有していれば良い。また、連結部11における梁部の幅寸法は、素材の板厚、プレスの加工性、プレス加工後の剛性、および嵌合部2b、3bの環状すきまδ等によって適宜設定されるが、焼入れによる熱歪みをこの部分の塑性変形で吸収することができ、かつ、プレス加工によって分断する部位が、焼入れによって表面が硬化されている部位であるため、可能な限り小さく設定することが好ましい。
【0033】
アウターロータ2とインナーロータ3とを分断した後、嵌合部2b、3bの周方向の位相を合せることにより、嵌合部2b、3bにそれぞれ形成した凹所2a、3aでピン孔7を構成することができる。そして、前述したように、組立工程によりピン孔7に加締ピン6を嵌合し、アウターロータ2とインナーロータ3を一体に固定してデイスクブレーキロータの組立を完了する。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るフローティングタイプのディスクブレーキロータは、外周部に摺動部を有し、内周部にその径方向内方に突出した複数の嵌合部を有するアウターロータと、このアウターロータの嵌合部に対応し、外周部にその径方向外方に突出した複数の嵌合部を有し、内周部に複数の車輪取付用孔を有するインナーロータと、前記嵌合部にそれぞれ形成された略半円状の凹所によって構成されるピン孔に嵌合される加締ピンとを備え、この加締ピンを加締めて前記アウターロータとインナーロータをトルク伝達可能に一体に固定してなるフローティングタイプのディスクブレーキロータにおいて、前記アウターロータとインナーロータ嵌合部が、周方向に位相を異にしこれら嵌合部同士を一体に繋ぐ周方向に延びた梁形状の連結部を焼入れ後に分断することにより得られたせん断面を有する構成としたので、アウターロータとインナーロータの嵌合部を連結部により連結させた状態で焼入れでき、その時に生じる熱歪みをこの連結部の塑性変形で吸収することができて、所望の寸法精度を有する品質を維持し、かつ低コスト化を図ったディスクブレーキロータを提供することができる。
【0036】
また、その製造方法において、前記アウターロータとインナーロータの嵌合部が周方向に位相を異にし、周方向に延びる連結部を介してこれらアウターロータとインナーロータを一体に形成するプレス工程と、該プレス工程の後に少なくともアウターロータの摺動部を高周波焼入れにより表面硬化処理しその後連結部を分断する分断工程と、該分断工程で分断されたアウターロータとインナーロータの嵌合部の位相を合わせた状態で組み立てる組立工程と、を備えるので、二つのロータの径を適宜設定することができる。したがって、使用条件やサイズ等に応じて両者の嵌合部における環状すきまを広範囲に適宜設定することができ設計自由度が高くなる。また、前記プレス工程の後で分断工程の前に、少なくとも前記アウターロータの摺動部を高周波焼入れにより表面硬化処理すれば、焼入れによる熱歪みを連結部の塑性変形で吸収することができ、所望の寸法精度を有する品質を維持し、かつ低コスト化を図ったディスクブレーキロータを提供することができる。
【0037】
さらに、前記嵌合部の凹所をプレス加工により形成すれば、加工工程をさらに削減でき、ディスクブレーキロータの一層の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係るディスクブレーキロータの実施形態を示す平面図である。
(b)は、(a)の断面図である。
【図2】(a)は、本発明に係る加締ピンの加締め前を示す要部断面図である。
(b)は、本発明に係る加締ピンの加締め後を示す要部断面図である。
(c)は、(b)のII−II線矢視断面図である。
【図3】本発明に係るディスクブレーキロータの水切り孔を打抜く工程を示す説明図である。
【図4】本発明に係るディスクブレーキロータの通孔を打抜く工程を示す説明図である。
【図5】本発明に係るアウターロータとインナーロータとを分断する工程を示す説明図である。
【図6】従来のフローティングタイプのディスクブレーキロータを示す平面図である。
【図7】(a)は、図6の要部拡大断面図である。
(b)は、(a)のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】従来のディスクブレーキロータの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・ディスクブレーキロータ
2・・・・・・・・・アウターロータ
2’・・・・・・・・アウターロータ相当部分
2a、3a・・・・・凹所
2b、3b・・・・・嵌合部
2b’、3b’・・・・嵌合部
2c・・・・・・・・摺動部
2d・・・・・・・・水切り孔
2e、3c・・・・・凹み
3・・・・・・・・インナーロータ
3’・・・・・・・インナーロータ相当部分
4・・・・・・・・皿ばね
5・・・・・・・・ワッシャ
5a・・・・・・・インロウ部
6・・・・・・・・加締ピン
6a・・・・・・・加締部
6b・・・・・・・鍔部
7・・・・・・・・ピン孔
8・・・・・・・・取付用孔
9、9’、9”・・・素材
9a・・・・・・・センター孔
9b・・・・・・・小孔
10・・・・・・・通孔
11・・・・・・・連結部
51・・・・・・・ディスクブレーキロータ
52・・・・・・・アウターロータ
52a・・・・・・摺動部
52b、53a・・凹み
52d・・・・・・水切り孔
53・・・・・・・インナーロータ
54・・・・・・・皿ばね
55・・・・・・・ワッシャ
56・・・・・・・加締ピン
56a・・・・・・加締部
57・・・・・・・ピン孔
58・・・・・・・取付用孔
δ・・・・・・・・環状すきま
e・・・・・・・・ピンすきま

Claims (3)

  1. 外周部に摺動部を有し、内周部にその径方向内方に突出した複数の嵌合部を有するアウターロータと、このアウターロータの嵌合部に対応し、外周部にその径方向外方に突出した複数の嵌合部を有し、内周部に複数の車輪取付用孔を有するインナーロータと、前記嵌合部にそれぞれ形成された略半円状の凹所によって構成されるピン孔に嵌合される加締ピンとを備え、この加締ピンを加締めて前記アウターロータとインナーロータをトルク伝達可能に一体に固定してなるフローティングタイプのディスクブレーキロータにおいて、
    前記アウターロータとインナーロータの嵌合部は、周方向に位相を異にしこれら嵌合部同士を一体に繋ぐ周方向に延びた梁形状の連結部を焼入れ後に分断することにより得られたせん断面を有することを特徴とするディスクブレーキロータ。
  2. 外周部に摺動部を有し、内周部にその径方向内方に突出した複数の嵌合部を有するアウターロータと、このアウターロータの嵌合部に対応し、外周部にその径方向外方に突出した複数の嵌合部を有し、内周部に複数の車輪取付用孔を有するインナーロータと、前記嵌合部にそれぞれ形成された略半円状の凹所によって構成されるピン孔に嵌合される加締ピンとを備え、この加締ピンを加締めて前記アウターロータとインナーロータをトルク伝達可能に一体に固定してなるフローティングタイプのディスクブレーキロータの製造方法において、
    前記アウターロータとインナーロータの嵌合部が周方向に位相を異にし、周方向に延びる連結部を介してこれらアウターロータとインナーロータを一体に形成するプレス工程と、該プレス工程の後に少なくとも前記アウターロータの摺動部を高周波焼入れにより表面硬化処理しその後前記連結部を分断する分断工程と、該分断工程で分断されたアウターロータとインナーロータの嵌合部の位相を合わせた状態で組み立てる組立工程と、を備えることを特徴とするディスクブレーキロータの製造方法。
  3. 前記嵌合部の凹所をプレス加工により形成した請求項2に記載のディスクブレーキロータの製造方法。
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