<構成>
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるファクシミリ通信システムの構成を示した図である。本ファクシミリ通信システムは、図示のようにネットワーク1、PSTN(Public Switched Telephone Network(公衆電話網))2、IP(Internet Protocol)電話網3、在来FAX送受信機4、IP電話FAX送受信機5並びに他のFAX中継局6a及び6b等を有し、通信プロトコルが異なるファクシミリ送受信機間で授受するファクシミリのデータを中継してファクシミリ通信を行うものとなっている。
ネットワーク1は、無料若しくは極めて低廉な料金で端末間の高速なデータ通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、同一企業内の各地に点在する事業所のLAN(Local Area Network)を専用線で接続した社内ネットワーク等、一定の組織や団体の利用に供するLAN、MAN(Metropolitan Area Network)ないしWAN(Wide Area Network)等のネットワークがこれに当たる。このネットワーク1は、本ファクシミリ通信システムを実現する構成として、インターネットFAX送受信機10、ネットワーク端末機11a、11b、11c、12、13a、13b及び13c等を有している。なお、図示は省略してあるが、ネットワーク1内には、他のネットワーク端末機やサーバないしルータ等のネットワーク機器も適宜含まれる。
インターネットFAX送受信機10は、原稿等の画像データを電子メールに添付して送受信するインターネットを経由したファクシミリの送受信装置である。すなわち、インターネットFAX送受信機10は、所定のISP(Internet Service Provider)によるインターネット接続サービスの加入者端末機としてメールアドレスを有し、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルに従ったファクシミリのデータ(以下「インターネットFAXデータ」という。)を送受信するファクシミリ送受信機であり、例えば、メール送受信機能を搭載したインターネットFAX機、インターネットを経由するファクシミリの送受信プログラムをインストールしたパーソナル・コンピュータや複合機(ファクシミリ機能を有するMFP(Multi-Function Printer(多機能プリンタ))等)によって構成される。ネットワーク1においては、インターネットFAX送受信機10が一端末機として接続されており、ネットワーク1内の他の端末機と無料ないし低廉料金の高速データ通信を行うことが可能になっている。
ネットワーク端末機11a、11b、11c、12、13a、13b及び13cは、それぞれネットワーク1内の端末機であり、ネットワーク端末機11a、11b及び11cがPSTN2に接続され、ネットワーク端末機12がPSTN2とIP電話網3の双方に接続され、ネットワーク端末機13a、13b及び13cがIP電話網3に接続されている。これらのネットワーク端末機11a等は、それぞれネットワーク1の構築エリア内に点在しており、インターネットFAXデータを送受信することができ、インターネットを経由するファクシミリの送受信装置がPSTN2やIP電話網3を介して送受信しようとするファクシミリを中継する機能を有している。このファクシミリの中継機能により、インターネットFAX送受信機10は、PSTN2やIP電話網3を介するファクシミリ通信を行うことができるようになっている。
すなわち、ネットワーク1において、インターネットFAX送受信機10は、送受信するインターネットFAXデータを無料ないし低廉料金の高速データ通信によってネットワーク端末機11a等と授受することができ、ネットワーク端末機11a等は、その授受するインターネットFAXデータ等に基づいてインターネットFAX送受信機10のFAX中継局として機能し、それぞれが接続された通信網を介してファクシミリのデータを送受信する。このようなファクシミリ中継装置としてのネットワーク端末機11a、11b、11c、12、13a、13b、13cは、例えば、かかるファクシミリの中継機能を搭載したファクシミリ通信装置、その中継を実行するプログラムをインストールしたパーソナル・コンピュータや複合機(ファクシミリ機能を有するMFP等)によって構成される。
ここで、インターネットFAX送受信機10がPSTN2やIP電話網3を介するファクシミリ送信を行うときには、インターネットFAX送受信機10とネットワーク1内の他の端末機が所定のプロトコルに従ってデータ通信を行い、いずれのネットワーク端末機をFAX中継局とするかを決定する処理動作を行うものとなっている。ここにいう所定のプロトコルとは、インターネットを経由するファクシミリの送信時に通信料金が最も安価になるFAX中継局を選定する本ファクシミリ通信システム特有の中継局選定プロトコルであり、かかるFAX中継局を選定するためにインターネットFAX送受信機10と他の端末機がやりとりするデータのルール等を予め定めてある。
この中継局選定プロトコルによるFAX中継局の選定を実行するため、インターネットFAX送受信機10は、ファクシミリ送信の宛先(メールアドレスのみならず、電話番号やIPアドレスも含む。)を入力指定する所定のハード・キーやタッチパネル等の入力部を有するのに加え、中継局選定プロトコルに従ったデータ通信等の処理動作に必要な情報処理や動作制御を行う制御部、制御部が実行するプログラムや中継局選定に供する情報を記憶する記憶部等を有している。また、ネットワーク端末機11a、11b、11c、12、13a、13b及び13cは、それぞれが中継局選定プロトコルに従ってインターネットFAX送受信機10に対する応答をするものとなっており、その応答の処理動作に必要な情報処理や動作制御を行う制御部、制御部が実行するプログラムや応答に供する情報を記憶する記憶部等を有している。中継局選定プロトコルの内容は、これらの構成によるインターネットFAX送受信機10とネットワーク端末機11a等の動作内容に含まれるので、具体的には後述の動作説明で明らかにする。
図1中のネットワーク1において、本ファクシミリ通信システムに係る部分の構成は以上であるが、ネットワーク端末機11a、11b、11c、12、13a、13b及び13cは、ネットワーク1の構築エリア内で外部の通信網に接続してFAX中継局となる端末機の例示に過ぎない。すなわち、PSTN2、IP電話網3又はPSTN2とIP電話網3の双方に接続され、ネットワーク端末機11a、13a又は12と同様にFAX中継局として機能する端末機の数や設置場所は任意である。例えば、ネットワーク1が上述したような社内ネットワークである場合には、ネットワーク端末機11a等のPSTN2に接続されるネットワーク端末機を各地の事業所毎に少なくとも1つ設置するものとしてもよい。
PSTN2は、固定電話用の在来の公衆電話網である。PSTN2では、発信側の局と着信側の局が設置場所に応じた市外局番を含む電話番号によって特定されるので、発信側のファクシミリ送信局ないし着信側のファクシミリ受信局となり得るネットワーク端末機11a、11b、11c、12に対しては、それぞれ電話番号が割り当てられており、それぞれのネットワーク端末機が割り当てられた電話番号を自局電話番号として記憶部に記憶している。PSTN2の公衆電話回線を通じた通信では、発信側の電話番号や名称等の情報を着信側に通知する情報通知サービスの提供が可能であり、通信料金が発信側と着信側の単位料金区域(MA(Message Area))間の距離を基準として決定される。
IP電話網3は、IPプロトコルによる通信網で構成された電話網であり、複数のIP電話サービス・プロバイダが運営するIP電話網を含んでいる。それぞれのIP電話サービス・プロバイダが運営するIP電話網は、そのIP電話サービス・プロバイダが維持管理する専用のIP通信網のみによって構成されるものやインターネットを経由するもの等、様々な形態のものがあるが、それらのIP電話網が有料又は無料の通信回線により接続されてIP電話網3を構築している(IP電話網3は、かかるIP電話サービス・プロバイダのIP電話網が互いに接続された全体としてのIP電話網である。)。
IP電話網3では、発信側と着信側がIPアドレスによって特定されるので、発信側のファクシミリ送信局ないし着信側のファクシミリ受信局となり得るネットワーク端末機12、13a、13b、13cに対しては、それぞれIPアドレスが割り当てられており、それぞれのネットワーク端末機が割り当てられたIPアドレスを自局IPアドレスとして記憶部に記憶している。このIPアドレスは、IP電話サービス・プロバイダによるIP電話サービスに加入することによって与えられるので、ネットワーク端末機12、13a、13b、13cは、それぞれいずれかのIP電話サービス・プロバイダによるIP電話サービスの加入者端末機としてIPアドレスを有しており、それぞれの記憶部には、加入したIP電話サービスのプロバイダを特定するプロバイダ情報も記憶されている。IP電話網3のIP電話回線を通じた通信では、発信側のIPアドレスやプロバイダ情報等の情報を通知する情報通知サービスの提供が可能であり、通信料金は月額固定の一定料金等で個々の通信には課されない。
在来FAX送受信機4は、PSTN2に接続され、PSTN2を介して在来FAXデータ(PSTN2の公衆電話回線を通じて送受信される在来ファクシミリの通信プロトコルに従ったファクシミリのデータ。以下同じ。)を送受信する在来ファクシミリの送受信装置であり、在来のファクシミリ送受信機や複合機(ファクシミリ機能を有するMFP)等によって構成される。この在来FAX送受信機4は、インターネットを経由するファクシミリの送受信装置やIP電話網3に接続されたIP電話ファクシミリの送受信装置をファクシミリ送信の宛先として指定することもできるものとなっており、その宛先のメールアドレスやIPアドレスを入力指定する所定の入力部を有している。また、メールアドレスやIPアドレスがファクシミリ送信の宛先として入力されると、在来FAX送受信機4は、通信料金が最も安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。このため、在来FAX送受信機4は、その処理動作に必要な情報処理や動作制御を行う制御部、制御部が実行するプログラムや中継局選定に供する情報を記憶する記憶部等を有している。PSTN2に接続する在来FAX送受信機4には電話番号が割り当てられており、その電話番号は中継局選定に供する情報の1つとして記憶部に記憶されている。
IP電話FAX送受信機5は、IP電話網3に接続され、IP電話網3を介してIP電話FAXデータ(IP電話網3のIP電話回線を通じて送受信されるIP電話ファクシミリの通信プロトコルに従ったファクシミリのデータ。以下同じ。)を送受信するIP電話ファクシミリの送受信装置であり、例えば、IP電話用の通信インターフェイス等を有するファクシミリ送受信機や複合機(ファクシミリ機能を有するMFP)によって構成される。このIP電話FAX送受信機5は、インターネットを経由するファクシミリの送受信装置やPSTN2に接続された在来ファクシミリの送受信装置をファクシミリ送信の宛先として指定することもできるものとなっており、その宛先のメールアドレスや電話番号を入力指定する所定の入力部を有している。また、メールアドレスや電話番号がファクシミリ送信の宛先として入力されると、IP電話FAX送受信機5は、通信料金が最も安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。このため、IP電話FAX送受信機5は、その処理動作に必要な情報処理や動作制御を行う制御部、制御部が実行するプログラムや中継局選定に供する情報を記憶する記憶部等を有している。IP電話網3に接続するIP電話FAX送受信機5は、いずれかのIP電話サービス・プロバイダによるIP電話サービスの加入者端末機としてIPアドレスを有しており、加入したIP電話サービスのプロバイダを特定するプロバイダ情報は、中継局選定に供する情報の1つとして記憶部に記憶されている。
他のFAX中継局6a及び6bは、PSTN2とIP電話網3の間でファクシミリを中継するファクシミリ中継装置であり、在来ファクシミリの送受信装置とIP電話ファクシミリの送受信装置が送受信しようとするファクシミリを中継する機能を有している。このような他のFAX中継局6a及び6bは、例えば、かかるファクシミリの中継機能を搭載したファクシミリ通信装置、その中継を実行するプログラムをインストールしたパーソナル・コンピュータや複合機(ファクシミリ機能を有するMFP等)によって構成されるが、PSTN2とIP通信網3の間に設置されるゲートウェイ等を利用するものとしてもよい。これらの他のFAX中継局6a及び6bは、PSTN2とIP電話網3の双方に接続されるものとなっているので、電話番号が割り当てられ、かつ、いずれかのIP電話サービス・プロバイダによるIP電話サービスの加入者端末機(又はゲートウェイ)としてIPアドレスを有しており、その電話番号、IPアドレス及びIP電話サービスのプロバイダを特定するプロバイダ情報等を記憶した記憶部を有している。
なお、他のFAX中継局6a及び6bは、PSTN2とIP電話網3の間におけるFAX中継局の例示に過ぎず、同様のFAX中継局をさらに設置し、他のFAX中継局6a及び6b同様のFAX中継局が各地に点在しているようにしてもよい(PSTN2とIP電話網3の間におけるFAX中継局の数や設置場所は任意である。)。また、上記ネットワーク端末機12もPSTN2とIP電話網3の双方に接続されているので、ネットワーク端末機12が上述の機能に加えて他のFAX中継局6a及び6bと同様の中継機能を併せ持つものとしてもよい。さらに、インターネットFAX送受信機10、在来FAX送受信機4、IP電話FAX送受信機5は、それぞれ、本ファクシミリ通信システムにおけるインターネットを経由するファクシミリ、在来ファクシミリ、IP電話ファクシミリの送信装置ないし受信装置の例であり、同様の機能を有するファクシミリの通信装置を適宜設けるものとしてよい。
<動作>
次に、上記構成による動作について説明する。本ファクシミリ通信システムにおいては、インターネットFAX送受信機10、在来FAX送受信機4及びIP電話FAX送受信機5の3つの通信プロトコルが異なるファクシミリ送受信機があり、これらのファクシミリ送受信機間で授受するファクシミリのデータを中継してファクシミリ通信を行う。そこで、以下においては、それぞれのファクシミリ送受信機から他のファクシミリ送受信機にファクシミリを送信する場合のファクシミリ通信形態を挙げ、それらを順に説明していくことにする。
・第1ファクシミリ通信形態
第1のファクシミリ通信形態としては、インターネットFAX送受信機10から在来FAX送受信機4にファクシミリを送信する形態が挙げられる。図2は、その第1ファクシミリ通信形態の動作手順を示したフローチャートである。
第1ファクシミリ通信形態では、インターネットを経由するファクシミリの送信装置から在来ファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、インターネットFAX送受信機10において、送信者が入力部を操作して宛先の電話番号を市外局番入りで入力する。すなわち、宛先である在来FAX送受信機4の電話番号を市外局番も含めて宛先電話番号として入力する。これにより、ファクシミリ送信の市外局番入り宛先電話番号が指定され(ステップS1)、インターネットFAX送受信機10が中継局選定プロトコルに従ったFAX中継局の選定を開始する。
FAX中継局の選定は、通信料金が最も安価になるFAX中継局を選定するために行うので、特に、インターネットFAX送受信機10の設置場所における市外局番とは異なる市外局番の受信側にファクシミリ送信をするときに行う必要がある。このため、インターネットFAX送受信機10は、特に、市外局番入りの宛先電話番号の入力を検知したときにFAX中継局の選定を開始するものとなっている(市外局番なしの宛先電話番号が指定されたときについては、インターネットFAX送受信機10の直近にあるFAX中継局等を選定するものと予め定めておいてもよい。)。
FAX中継局の選定では、宛先電話番号の指定によって宛先が確定した時に、インターネットFAX送受信機10がネットワーク1上のすべての端末機に対して同報パケットを送信する(ステップS2)。この同報パケットは、インターネットを経由するファクシミリをPSTN2に中継することができる端末機のみからの応答を求める特定の応答要求パケットであり、かかる端末機のみが応答し、関係のない端末機(インターネットを経由したファクシミリをPSTN2に中継することができない端末機)は受信しても無視するものとして、そのデータ・フォーマットを予め定めておく。そして、関連する端末機(インターネットを経由したファクシミリをPSTN2に中継することができる端末機)が予め定めた当該データ・フォーマットの同報パケットを受信したときには、自機に関連するものとしてインターネットFAX送受信機10に応答を返すものとする。当該データ・フォーマット、インターネットFAX送受信機10からの同報パケット送信、及び関連する端末機のみからの応答は、中継局選定プロトコルにおいて予め定められたルールであり、このルールに従ってネットワーク1内の端末機が動作する。
これにより、同報パケットを受けた関連する端末機、すなわち、PSTN2へのFAX中継局として機能するネットワーク端末機11a、11b、11c及び12は、それぞれが自機に関連するものとしてインターネットFAX送受信機10に応答を返信する(ステップS3)。すると、インターネットFAX送受信機10が応答のあった端末機のみに対して自局電話番号の通知を要求する情報要求メッセージを送信し、その要求を応答した各端末機が受け付けて自局電話番号を通知し、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機11a、11b、11c及び12から各端末機の電話番号の情報を取得する(ステップS4。この電話番号を取得するためのデータ通信手順も中継局選定プロトコルにおいて予め定められている。)。
そして、各端末機の電話番号の情報を取得したインターネットFAX送受信機10は、それらの電話番号からファクシミリ送信の宛先に最も近いネットワーク端末機を選択し、そのネットワーク端末機をFAX中継局に決定する(ステップS5)。これにより、インターネットFAX送受信機10は、宛先である在来FAX送受信機4に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局のネットワーク端末機にファクシミリの画像データを含むインターネットFAXデータと宛先電話番号を送信する(ステップS6)。インターネットFAXデータの送信は、インターネットを経由したファクシミリの通信プロトコルに従って行うが、宛先電話番号については、中継局選定プロトコルで予め定めたメッセージ送信やネットワーク1内での通常の通信プロトコルによるメッセージ送信等によってインターネットFAX送受信機10からFAX中継局のネットワーク端末機に通知する。
ここで、宛先に最も近いネットワーク端末機としては、自局電話番号の市外局番が宛先電話番号の市外局番と同じであるネットワーク端末機(宛先と同一単位料金区域内にあるネットワーク端末機。厳密には一部に市内局番を含むものもある。)を最優先して選択する。例えば、ネットワーク1が上述したような社内ネットワークであり、インターネットFAX送受信機10が大阪事業所に設置され、ネットワーク端末機11aが福岡事業所に設置され、ネットワーク端末機11bが東京事業所に設置され、ネットワーク端末機11cがハワイ事業所に設置され、在来FAX送受信機4が東京都内に設置されていて当該東京事業所と市外局番が同じである単位料金区域内にあったとすると、インターネットFAX送受信機10は、在来FAX送受信機4と市外局番が同じである東京事業所のネットワーク端末機11bを選択し、ネットワーク端末機11bに画像データを含むインターネットFAXデータと在来FAX送受信機4の電話番号を送信する。この場合において送受信される各データの信号の流れを図3に示す。
図3は、第1ファクシミリ通信形態の一例であり、関連する端末機による自局電話番号の通知から宛先へのファクシミリ送信までの信号の流れを示している。福岡事業所、東京事業所及びハワイ事業所にあるネットワーク端末機11a、11b及び11cは、それぞれインターネットFAX送受信機10からのインターネットFAXデータを在来FAXデータに変換してPSTN2へと中継送信する機能を有している。図3中では、これらを特に“(インターネットFAX/在来FAX中継局)”として示してある。
図示のように、それぞれ、福岡事業所、東京事業所、ハワイ事業所にあるネットワーク端末機11a、11b、11cは、自局電話番号を大阪事業所にあるインターネットFAX送受信機10に通知し、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機11a、11b及び11cの電話番号を取得する(上記ステップS4)。そして、インターネットFAX送受信機10は、取得した電話番号と入力指定された宛先電話番号に基づき、各ネットワーク端末機の市外局番を宛先の在来FAX送受信機4の市外局番と比較して一致するものがあるか否かを判断し、市外局番が一致するネットワーク端末機11bをFAX中継局に選定する(上記ステップS5)。これにより、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機11bにファクシミリの画像データを含むインターネットFAXデータと宛先電話番号を送信する(上記ステップS6)。
その後、選定されたFAX中継局であるネットワーク端末機11bは、インターネットFAX送受信機10から受信したインターネットFAXデータを在来FAXデータに変換し、PSTN2の公衆電話回線を通じてインターネットFAXデータ中にあった画像データを在来ファクシミリの通信プロトコルによって宛先電話番号の在来FAX送受信機4に送信する(図2のステップS7)。これにより、インターネットFAX送受信機10からのファクシミリがPSTN2へと中継され、当該画像データを含む在来FAXデータを在来FAX送受信機4が受信して、インターネットFAX送受信機10から在来FAX送受信機4にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。
第1ファクシミリ通信形態では、このようにしてファクシミリの中継送信を行うが、インターネットFAX送受信機10において、取得した各ネットワーク端末機の電話番号と宛先電話番号の市外局番を比較した結果、宛先電話番号と市外局番が一致するネットワーク端末機がなかった場合には、取得した各ネットワーク端末機の電話番号が対応する単位料金区域と宛先電話番号が対応する単位料金区域との間の距離を算出する。そして、算出した単位料金区域間距離が最短のネットワーク端末機を選定することにより、宛先に最も近いFAX中継局を選定する。
それぞれの単位料金区域には、地理上の縦軸及び横軸の座標が割り当てられており、PSTN2では、その座標による発信側と着信側の単位料金区域間距離が通信料金を決定する基準とされている。このため、インターネットFAX送受信機10においては、中継局選定に供する情報として、各単位料金区域、当該各単位料金区域内の電話番号及び当該各単位料金区域の座標を対応付けた単位料金区域テーブルが予め記憶部に記憶されている。
図4は、その単位料金区域テーブルの一例を示した図である。図4中、“単位料金区域名(都道府県)”は各単位料金区域を示し、“電話番号”は当該各単位料金区域内の電話番号を示し、“座標”は地理上の“縦軸”及び“横軸”の座標値で表される当該各単位料金区域の座標を示している。電話番号中の“x”は任意の番号であり、各単位料金区域内の電話番号は、共通する市外局番等のみによって表されている。なお、図4では大阪府内の単位料金区域のみを示してあるが、これは一部分を例示しただけで単位料金区域テーブルには全国各地の単位料金区域の電話番号と座標が含まれている。
インターネットFAX送受信機10は、このような単位料金区域テーブルを予め保持しており、宛先電話番号と市外局番が一致するネットワーク端末機がなかった場合、単位料金区域テーブルを参照し、取得した各ネットワーク端末機の電話番号に対応する単位料金区域の座標と宛先電話番号に対応する単位料金区域の座標を検索する。そして、検索した座標に基づき、それぞれのネットワーク端末機について次式により宛先との単位料金区域間距離を計算する。
これにより、各ネットワーク端末機と宛先の単位料金区域間距離を算出し、単位料金区域間距離の値が最も小さいネットワーク端末機を探し出してFAX中継局に選定する(なお、市外局番が同一であれば単位料金区域間距離は0なので、宛先電話番号と市外局番が一致するネットワーク端末機も単位料金区域間距離が最短のFAX中継局といえる。)。
ただし、PSTN2の通信料金は地域毎に異なる場合もある。また、各ネットワーク端末機と宛先の単位料金区域間距離を算出した結果、最短単位料金区域間距離のネットワーク端末機が複数ある場合もあり得る。そこで、インターネットFAX送受信機10においては、中継局選定に供する情報として、さらに、通信事業者が定めたPSTN2の通信料金の情報を市外局番ないし単位料金区域等と対応付けた通信料金テーブルが予め記憶部に記憶されている。
これにより、インターネットFAX送受信機10は、その通信料金テーブルを適宜参照し、最も安価な通信料金で宛先にファクシミリを中継するネットワーク端末機をFAX中継局に選定する。例えば、宛先電話番号と市外局番が一致するネットワーク端末機がなく、かつ、単位料金区域間距離が最短のネットワーク端末機が複数あったときには、通信料金テーブルを参照し、それらのネットワーク端末機がそれぞれ宛先にファクシミリ送信をする場合の通信料金を特定して比較し、通信料金が最も安価なネットワーク端末機をFAX中継局とする。
第1ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局の選択基準は、以上のように宛先電話番号と市外局番が一致するネットワーク端末機を最優先に選択し、かかるネットワーク端末機がない場合には宛先との単位料金区域間距離が最短のネットワーク端末機を選択し、さらに、最短単位料金区域間距離のネットワーク端末機が複数あるときには通信料金テーブルを参照して通信料金が最も安価なネットワーク端末機を選択するものとなっている。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、距離的に最も送信先に近く、PSTN2での通信料金が最も安いFAX中継局を探し出して中継送信が行われる。
そして、図3中の下段にも示してあるように、インターネットFAX送受信機10とFAX中継局(インターネットFAX/在来FAX中継局)の間の通信は、ネットワーク1内での無料ないし低廉料金の高速データ通信によるインターネットを経由したファクシミリ通信であり、FAX中継局と宛先の在来FAX送受信機4との間の通信は、PSTN2を介する在来のファクシミリ通信であり、これらの通信のうちで実質的に通信料金がかかるのはPSTN2を介する部分である。本ファクシミリ通信システムの上記第1ファクシミリ通信形態によれば、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリをPSTN2の受信側へ中継送信するに当たり、FAX中継局までのインターネットを経由するファクシミリ通信を有効に活用し、PSTN2を介する部分を最小限にしているので、通信料金が最も安価な中継送信を実現することができ、全体としてのファクシミリ通信の通信コストを最小限にまで削減することができる。
ここで、PSTN2について通信事業者が定める通信料金は、通信事業者毎に料金体系が異なったり料金改定等による変動があったりするのに対し、単位料金区域の座標は、地理的な関係から定められるものであるため、通信事業者毎に異なることはなく、改定等による対応電話番号の変動があってもそれに応じて通信料金が定められる。したがって、単位料金区域間距離は、通信料金の高低を判断する普遍的な指標とすることができ、本ファクシミリ通信システムは、その指標を優先して宛先と市外局番同一のネットワーク端末機がない場合のFAX中継局を決定している。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、宛先と市外局番同一のネットワーク端末機がなくても、多くの場合、通信料金テーブルの参照までは要せずに通信料金を最も安くするFAX中継局を選定することが可能になっており、通信事業者が定める通信料金に変更があっても通信コストの削減が可能である。
なお、以上の第1ファクシミリ通信形態は、インターネットFAX送受信機10から日本国外の在来ファクシミリ送受信機にファクシミリを送信する場合にも適用することができる。例えば、上記図3に示した例において、宛先の在来FAX送受信機4が米国ハワイ州内に設置されていたとすれば、FAX中継局の選定によってハワイ事業所のネットワーク端末機11cが選定される。これにより、インターネットFAX送受信機10からネットワーク1を通じてハワイ事業所のネットワーク端末機11cにインターネットFAXデータが送信され、ネットワーク端末機11cから同じ米国ハワイ州内にある在来FAX送受信機4に在来FAXデータが送信されるので、日本国内から米国内へ国際電話回線を通じてファクシミリ送信をする場合よりも通信料金を大幅に節減することができる。ただし、このように国外とのファクシミリ通信を行う場合には、国番号も含めた電話番号の情報を取り扱うようにする。
・第2ファクシミリ通信形態
第2のファクシミリ通信形態としては、インターネットFAX送受信機10からIP電話FAX送受信機5にファクシミリを送信する形態が挙げられる。図5は、その第2ファクシミリ通信形態の動作手順を示したフローチャートである。
第2ファクシミリ通信形態では、インターネットを経由するファクシミリの送信装置からIP電話ファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、インターネットFAX送受信機10において、送信者が入力部を操作し、宛先であるIP電話FAX送受信機5のIPアドレスを宛先IPアドレスとして入力する。これにより、ファクシミリ送信の宛先IPアドレスが指定され(ステップS10)、インターネットFAX送受信機10が中継局選定プロトコルに従ったFAX中継局の選定を開始する。
FAX中継局の選定では、宛先IPアドレスの指定によって宛先が確定した時に、インターネットFAX送受信機10がネットワーク1上のすべての端末機に対して同報パケットを送信する(ステップS11)。この同報パケットは、インターネットを経由するファクシミリをIP電話網3に中継することができる端末機のみからの応答を求める特定の応答要求パケットであり、かかる端末機のみが応答し、関係のない端末機(インターネットを経由するファクシミリをIP電話網3に中継することができない端末機)は受信しても無視するものとして、そのデータ・フォーマットを予め定めておく。そして、関連する端末機(インターネットを経由するファクシミリをIP電話網3に中継することができる端末機)が予め定めた当該データ・フォーマットの同報パケットを受信したときには、自機に関連するものとしてインターネットFAX送受信機10に応答を返すものとする。当該データ・フォーマット、インターネットFAX送受信機10からの同報パケット送信、及び関連する端末機のみからの応答は、中継局選定プロトコルにおいて予め定められたルールであり、このルールに従ってネットワーク1内の端末機が動作する。
これにより、同報パケットを受けた関連する端末機、すなわち、IP電話網3へのFAX中継局として機能するネットワーク端末機12、13a、13b及び13cは、それぞれが自機に関連するものとしてインターネットFAX送受信機10に応答を返信する(ステップS12)。すると、インターネットFAX送受信機10が応答のあった端末機のみに対して自局のプロバイダ情報の通知を要求する情報要求メッセージを送信し、その要求を応答した各端末機が受け付けてプロバイダ情報を通知し、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機12、13a、13b及び13cから各端末機のプロバイダ情報を取得する(ステップS13。このプロバイダ情報を取得するためのデータ通信手順も中継局選定プロトコルにおいて予め定められている。)。
そして、各端末機のプロバイダ情報を取得したインターネットFAX送受信機10は、それらのプロバイダ情報からファクシミリ送信の宛先への通信料金が最も安いネットワーク端末機を選択し、そのネットワーク端末機をFAX中継局に決定する(ステップS14)。これにより、インターネットFAX送受信機10は、宛先であるIP電話FAX送受信機5に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局のネットワーク端末機にファクシミリの画像データを含むインターネットFAXデータと宛先IPアドレスを送信する(ステップS15)。インターネットFAXデータの送信は、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルに従って行うが、宛先IPアドレスについては、中継局選定プロトコルで予め定めたメッセージ送信やネットワーク1内での通常の通信プロトコルによるメッセージ送信等によってインターネットFAX送受信機10からFAX中継局のネットワーク端末機に通知する。
ここで、通信料金が最も安いネットワーク端末機としては、宛先と同じ系列のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機(宛先と同じIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機、又は宛先が加入しているIP電話サービスのプロバイダと同じIP電話網を共用しているIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機)であるネットワーク端末機を最優先して選択する。宛先が加入しているIP電話サービスのプロバイダは、例えば、インターネットFAX送受信機10において、各IP電話サービス・プロバイダと当該各IP電話サービス・プロバイダに割り当てられているIPアドレス(IPアドレスのプロバイダを特定する部分)を対応付けたプロバイダ−IPアドレス・テーブルを予め記憶部に記憶しておき、そのプロバイダ−IPアドレス・テーブルを参照して宛先IPアドレスから宛先が加入しているIP電話サービスのプロバイダを特定する。そして、各端末機から取得したプロバイダ情報を宛先の加入IP電話サービスのプロバイダ情報と比較し、同じ系列のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機を選択する。
例えば、ネットワーク1が上述したような社内ネットワークであり、インターネットFAX送受信機10が大阪事業所に設置され、ネットワーク端末機13aがプロバイダA社のIP電話サービス加入者端末機であり、ネットワーク端末機13bがプロバイダB社のIP電話サービス加入者端末機であり、ネットワーク端末機13cがプロバイダC社のIP電話サービス加入者端末機であり、IP電話FAX送受信機5がプロバイダB社のIP電話サービス加入者端末機であったとすると、インターネットFAX送受信機10は、IP電話FAX送受信機5と同じIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるネットワーク端末機13bを選択し、ネットワーク端末機13bに画像データを含むインターネットFAXデータとIP電話FAX送受信機5のIPアドレスを送信する。この場合において送受信される各データの信号の流れを図6に示す。
図6は、第2ファクシミリ通信形態の一例であり、関連する端末機による自局のプロバイダ情報の通知から宛先へのファクシミリ送信までの信号の流れを示している。プロバイダA社、プロバイダB社及びプロバイダC社の加入者端末機であるネットワーク端末機13a、13b及び13cは、それぞれインターネットFAX送受信機10からのインターネットFAXデータをIP電話FAXデータに変換してIP電話網3へと中継送信する機能を有している。図6中では、これらを特に“(インターネットFAX/IP電話FAX中継局)”として示してある。
図示のように、それぞれ、プロバイダA社、プロバイダB社、プロバイダC社の加入者端末機であるネットワーク端末機13a、13b、13cは、自局のプロバイダ情報を大阪事業所にあるインターネットFAX送受信機10に通知し、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機13a、13b及び13cのプロバイダ情報を取得する(上記ステップS13)。そして、インターネットFAX送受信機10は、取得したプロバイダ情報と入力指定された宛先IPアドレスに基づき、各ネットワーク端末機のプロバイダを宛先のIP電話FAX送受信機5のプロバイダと比較して同じ系列のものがあるか否かを判断し、プロバイダが同じ系列であるネットワーク端末機13bをFAX中継局に選定する(上記ステップS14)。これにより、インターネットFAX送受信機10は、ネットワーク端末機13bにファクシミリの画像データを含むインターネットFAXデータと宛先IPアドレスを送信する(上記ステップS15)。
その後、選定されたFAX中継局であるネットワーク端末機13bは、インターネットFAX送受信機10から受信したインターネットFAXデータをIP電話FAXデータに変換し、IP電話網3のIP電話回線を通じてインターネットFAXデータ中にあった画像データをIP電話ファクシミリの通信プロトコルによって宛先IPアドレスのIP電話FAX送受信機5に送信する(図5のステップS16)。これにより、インターネットFAX送受信機10からのファクシミリがIP電話網3へと中継され、当該画像データを含むIP電話FAXデータをIP電話FAX送受信機5が受信して、インターネットFAX送受信機10からIP電話FAX送受信機5にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。
第2ファクシミリ通信形態では、このようにしてファクシミリの中継送信を行うが、インターネットFAX送受信機10において、取得した各ネットワーク端末機のプロバイダ情報を宛先の加入IP電話サービスのプロバイダ情報と比較した結果、プロバイダが同じ系列の加入者端末機であるネットワーク端末機がなかった場合には、最も安い通信料金で宛先の加入IP電話サービスのIP電話網を利用した通信が可能なネットワーク端末機を選定することにより、最も通信料金が安いFAX中継局を選定する。かかるネットワーク端末機を選定するため、インターネットFAX送受信機10においては、中継局選定に供する情報として、各IP電話サービス・プロバイダ毎に当該各IP電話サービス・プロバイダ以外のIP電話サービス・プロバイダのIP電話網に接続する場合の通信料金(無料である場合も含む。)を表した他社通信料金テーブルが予め記憶部に記憶されている。
他社通信料金テーブルは、各IP電話サービス・プロバイダの他社との提携状況に基づいて作成される。図7は、その提携状況の一例を表した図であり、各IP電話サービス・プロバイダのIP電話網から他のIP電話サービス・プロバイダのIP電話網へ接続する場合について、無料で接続する場合をIP電話網間の実線で表し、有料で接続する場合をIP電話網間の点線で表している。例えば、プロバイダB社、プロバイダF社及びプロバイダG社のIP電話網については、それぞれ互いに無料での接続が可能であり、他社通信料金テーブル中の通信料金は0円となる。この場合、図6中のIP電話FAX送受信機5がプロバイダF社やプロバイダG社のIP電話加入者端末機であったときには、上記同様にFAX中継局としてネットワーク端末機13bが選定されることになる(他のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるネットワーク端末機13aや13cを選定すると、有料でのローミング等が必要となって通信料金が高くなってしまう。)。
なお、図7中、プロバイダA社のIP電話サービス加入者は約236万人、プロバイダD社ないしプロバイダE社のIP電話サービス加入者は約50万人、プロバイダC社のIP電話サービス加入者は約500万人、プロバイダB社、プロバイダF社及びプロバイダG社の3社連合のIP電話サービス加入者は約150万人であり、プロバイダC1社、プロバイダC2社、プロバイダC3社、プロバイダC4社及びプロバイダC5社は、プロバイダC社のIP電話網を共用している同じ系列のIP電話サービス・プロバイダである。プロバイダB社、プロバイダF社及びプロバイダG社の各IP電話網とプロバイダC社のIP電話網の間、プロバイダC社のIP電話網とプロバイダD社のIP電話網の間、並びにプロバイダC社のIP電話網とプロバイダE社のIP電話網の間等は、それぞれ有料での接続が可能になっており、それらの料金は、他社通信料金テーブル中の通信料金としてインターネットFAX送受信機10の記憶部に記憶される。
第2ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局の選択基準は、以上のように宛先とプロバイダが同じ系列の加入者端末機であるネットワーク端末機を最優先に選択し、かかるネットワーク端末機がない場合には上述の他社通信料金テーブルを参照して通信料金が最も安価なネットワーク端末機を選択するものとなっている。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、最終的なファクシミリの送り先とするIP電話ファクシミリの受信装置に対し、IP電話網3を利用する通信料金が最も安いFAX中継局を探し出して中継送信が行われる。
そして、図6中の下段にも示してあるように、インターネットFAX送受信機10とFAX中継局(インターネットFAX/IP電話FAX中継局)の間の通信は、ネットワーク1内での無料ないし低廉料金の高速データ通信によるインターネットを経由するファクシミリ通信であり、FAX中継局と宛先のIP電話FAX送受信機5との間の通信は、IP電話網3を介するIP電話ファクシミリ通信であり、これらの通信のうちで実質的に通信料金が問題になるのはIP電話網3を介する部分である。本ファクシミリ通信システムの上記第2ファクシミリ通信形態によれば、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリをIP電話網3の受信側へ中継送信するに当たり、FAX中継局までのインターネットを経由するファクシミリ通信を有効に活用し、IP電話網3へのFAX中継局を最も通信料金が安く済む同系列プロバイダ契約加入機等にしているので、最も安価な通信料になるように自動で設定がなされ、通信料金が最も安価な中継送信を実現することができ、全体としてのファクシミリ通信の通信コストを最小限にまで削減することができる。
以上が本ファクシミリ通信システムによる第1及び第2のファクシミリ通信形態であるが、FAX中継局となるネットワーク端末機11a、11b、11c及び12は、インターネットFAX送受信機10からの情報要求メッセージに対して電話番号の情報を通知し、ネットワーク端末機12、13a、13b及び13cは、インターネットFAX送受信機10からの情報要求メッセージに対してプロバイダ情報を通知し、それらの通知された情報に基づいて通信料金が安価なFAX中継局をインターネットFAX送受信機10が選定している。すなわち、それぞれのFAX中継局は、中継局選定に供する自局の情報として、ファクシミリ通信の際に自局を経由した場合(中継送信をするFAX中継局として自局を利用した場合)の通信料金を特定する基準となる情報を保持しており、その情報をインターネットFAX送受信機10からの要求に応じて提供するものとなっている。インターネットFAX送受信機10においては、このようなFAX中継局の機能によって通信料金が最も安く済むFAX中継局の選定をすることができるようになっている。
なお、上記第1及び第2のファクシミリ通信形態においては、この通信料金を特定する基準となる情報を始めとして、端末機の情報をネットワーク1内で取得するデータ通信を行っているが、本ファクシミリ通信システムに特有なのは、そのデータ通信の中継局選定プロトコルに従った手順やデータの情報内容である。特定のネットワークにおいて端末機の情報を取得するデータ通信自体を実現する技術については、例えば、特開2000−298540号公報に開示されている。同公報に開示の技術は、ネットワークに接続された全て(又は一部)のMFPデバイスの情報を入手し、それぞれの装備情報、装置状態、ネットワークの設定、ジョブの経緯、使用状況などあらゆる情報に基づいて、リスト表示されるデバイスを並べ替えたり、絞り込んだりして、ユーザにとって得たい情報をリアルタイムに提供することとしている。
・第3ファクシミリ通信形態
第3のファクシミリ通信形態としては、IP電話FAX送受信機5からインターネットFAX送受信機10にファクシミリを送信する形態が挙げられる。図8は、その第3ファクシミリ通信形態の動作手順を示したフローチャートである。なお、以下の第3ファクシミリ通信形態は、上記第2ファクシミリ通信形態の送信側と受信側が逆になった通信形態である。
第3ファクシミリ通信形態では、IP電話ファクシミリの送信装置からインターネットを経由するファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、IP電話FAX送受信機5において、送信者が入力部を操作し、宛先であるインターネットFAX送受信機10のメールアドレスを宛先メールアドレスとして入力する。これにより、ファクシミリ送信の宛先メールアドレスが指定され(ステップS20)、IP電話FAX送受信機5は、通信料金が最も安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。
中継局の選定処理では、宛先メールアドレスの指定によって宛先が確定した時に、IP電話FAX送受信機5が履歴情報からインターネットを経由するファクシミリへのFAX中継局を探し、通信料金が最も安いものを選択してFAX中継局に決定する(ステップS21)。ここにいう履歴情報とは、IP電話FAX送受信機5がした過去の通信に関する情報であり、その時点までにIP電話FAX送受信機5が通信をしてきたそれぞれの相手側の局に関する情報を含み、中継局選定に供する情報としてIP電話FAX送受信機5の記憶部に記憶されている。相手側の局に関する情報としては、当該相手側の局と通信をした日時、当該相手側の局の名称、IPアドレス及び加入IP電話サービスのプロバイダ情報等の書誌的事項を含むものとするが、特に、当該相手側の局がIP電話ファクシミリを他の通信網に中継することができるFAX中継局であるか否かを示し、かつ、その中継先の通信網を特定するIP電話ファクシミリの中継に関する情報(以下「IP電話FAX中継情報」という。)を含むものとする。これらの情報は、IP電話網3での情報通知サービスの提供を受けることにより、IP電話FAX送受信機5において取得することが可能である。例えば、IP電話FAX中継情報は、IP電話網3が提供可能な情報通知サービスに対し、本ファクシミリ通信システム特有の通知情報として通知を求めることにしてもよいが、FAX中継局には予め定めた所定の名称を付けておくことにし、通常の情報通知サービスで通知される相手側の局の名称にIP電話FAX中継情報を含ませるようにしてもよい。また、履歴情報中にあるFAX中継局のプロバイダ情報は、当該FAX中継局をファクシミリ通信の際に経由した場合(中継送信をするFAX中継局として利用した場合)の通信料金を特定する基準となる情報であり、IP電話網3の情報通知サービスによって通知されるが、提供元は当該FAX中継局であり、当該FAX中継局が自局の情報として保持している。
IP電話FAX送受信機5は、このような情報を含む履歴情報を参照し、IP電話ファクシミリをインターネットを経由するファクシミリの受信側へ中継することができるFAX中継局を探し出す。そして、探し出したFAX中継局の中から通信料金が最も安いFAX中継局を選択することにより、指定された宛先メールアドレスにファクシミリを送信するためのFAX中継局を選定する。通信料金が最も安いFAX中継局としては、自局(IP電話FAX送受信機5)と同じ系列のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるFAX中継局を最優先して選択する。IP電話FAX送受信機5は、自局のプロバイダ情報を記憶部に有しており、履歴情報中には探し出した各FAX中継局のプロバイダ情報があるので、それらの各FAX中継局のプロバイダ情報を自局のプロバイダ情報と比較し、同じ系列のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機を選択する。
例えば、IP電話FAX送受信機5がプロバイダB社のIP電話サービス加入者端末機であり、ネットワーク端末機13aがプロバイダA社のIP電話サービス加入者端末機であり、ネットワーク端末機13bがプロバイダB社のIP電話サービス加入者端末機であり、ネットワーク端末機13cがプロバイダC社のIP電話サービス加入者端末機であり、上記第2ファクシミリ通信形態によるインターネットFAX送受信機10からのIP電話FAX送受信機5へのファクシミリ送信が一度行われていたとすると、IP電話FAX送受信機5は、ネットワーク端末機13bに関する情報を記憶部の履歴情報中に保持している。したがって、IP電話FAX送受信機5は、その情報を参照して自局と同じIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるネットワーク端末機13bを選択し、中継に利用するFAX中継局に決定する(上記ステップS21)。
これにより、IP電話FAX送受信機5は、宛先であるインターネットFAX送受信機10に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局にファクシミリの画像データを含むIP電話FAXデータと宛先メールアドレスを送信する(ステップS22。なお、選定したFAX中継局のIPアドレスは履歴情報中にあるので、それを参照して宛先IPアドレスとする。)。IP電話FAXデータの送信は、IP電話ファクシミリの通信プロトコルに従って行うが、宛先メールアドレスについては、IP電話ファクシミリの通信プロトコルに従った送信データ中に含めたりIP電話網3での他の通信プロトコルによる送信データとしたりすることによってIP電話FAX送受信機5からFAX中継局のネットワーク端末機13bへと送る。この場合において送受信される各データの信号の流れを図9に示す。
図9は、第3ファクシミリ通信形態の一例であり、IP電話FAX送受信機5によるIP電話FAXデータ等の送信から最終的な送り先であるインターネットFAX送受信機10へのファクシミリ送信までの信号の流れを示している。第3ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局は、IP電話FAXデータをインターネットFAXデータに変換してインターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルにより中継送信する機能(IP電話網3を介して受信したIP電話FAXデータ中の画像データを電子メールに添付してインターネット通信によるメール送信をする機能)を有している。図9中では、かかるFAX中継局を“IP電話FAX/インターネットFAX中継局”として示してあるが、ここでのIP電話FAX/インターネットFAX中継局は、それぞれ参照符号で示したようにプロバイダA社、プロバイダB社、プロバイダC社の加入者端末機であるネットワーク端末機13a、13b、13cが実現している。図示のように、IP電話FAX送受信機5は、自局と同じIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるIP電話FAX/インターネットFAX中継局13b(ネットワーク端末機13b)に対し、ファクシミリの画像データを含むIP電話FAXデータと宛先メールアドレスを送信する(上記ステップS22)。
その後、選定されたIP電話FAX/インターネットFAX中継局であるネットワーク端末機13bは、IP電話FAX送受信機5から受信したIP電話FAXデータをインターネットFAXデータに変換し、ネットワーク1を通じてIP電話FAXデータ中にあった画像データをインターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルによって宛先メールアドレスのインターネットFAX送受信機10に送信する(図8のステップS23)。これにより、IP電話FAX送受信機5からのファクシミリが中継され、当該画像データが添付された電子メールのインターネットを経由するFAXのデータをインターネットFAX送受信機10が受信して、IP電話FAX送受信機5からインターネットFAX送受信機10にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。なお、IP電話FAX/インターネットFAX中継局からのインターネットFAXデータの送信は、ここではネットワーク1を通じて行うものとしたが、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルに従ったデータ通信(メール送信)なので、インターネットを通じて行うこともできる(インターネットに接続されたネットワーク1外のインターネットFAX送受信機を宛先とする場合には、インターネットを通じて行う。また、上述のようにインターネットFAX送受信機10を宛先とする場合でも、ネットワーク1ではなくインターネットを通じて行うことも可能である。)。
第3ファクシミリ通信形態では、このようにしてファクシミリの中継送信を行うが、IP電話FAX送受信機5において、探し出した各FAX中継局のプロバイダ情報を自局のプロバイダ情報と比較した結果、プロバイダが同じ系列の加入者端末機であるFAX中継局がなかった場合には、最も安い通信料金で自局からの通信が可能なIP電話FAX/インターネットFAX中継局を選定する。かかるFAX中継局を選定するため、IP電話FAX送受信機5においては、中継局選定に供する情報として、自局の加入IP電話サービスのプロバイダ以外のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機に対する通信料金(無料である場合も含む。)を表した対他社通信料金テーブルが予め記憶部に記憶されている。この対他社通信料金テーブルは、IP電話FAX送受信機5の加入IP電話サービスのプロバイダの他社との提携状況に基づいて作成される。ここにいう提携状況の例は、上記図7で表した提携状況中に含まれている。
例えば、IP電話FAX送受信機5がプロバイダB社の加入者端末機である場合には、図7において、プロバイダB社、プロバイダF社及びプロバイダG社のIP電話網については、それぞれ互いに無料での接続が可能なので、対他社通信料金テーブル中、プロバイダF社の加入者端末機とプロバイダG社の加入者端末機に対する通信料金は0円となる。したがって、図9中のIP電話FAX/インターネットFAX中継局13bがプロバイダF社やプロバイダG社のIP電話加入者端末機であったときには、上記同様にFAX中継局としてネットワーク端末機13bが選定されることになる(他のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機であるネットワーク端末機13aや13cを選定すると、有料でのローミング等が必要となって通信料金が高くなってしまう。)。また、プロバイダB社のIP電話網とプロバイダC社のIP電話網の間、並びにプロバイダC社のIP電話網を介するプロバイダB社のIP電話網とプロバイダD社のIP電話網の間及びプロバイダB社のIP電話網とプロバイダE社のIP電話網の間は、それぞれ有料での接続が可能になっており、それらの料金は、対他社通信料金テーブル中の通信料金としてIP電話FAX送受信機5の記憶部に記憶される。
第3ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局の選択基準は、以上のように自局(発信側)とプロバイダが同じ系列の加入者端末機であるFAX中継局を最優先に選択し、かかるFAX中継局がない場合には上述の対他社通信料金テーブルを参照して通信料金が最も安価なFAX中継局を選択するものとなっている。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、最終的なファクシミリの送り先とするインターネットを経由するファクシミリの受信装置に対し、発信側からIP電話網3を介してファクシミリを送信する通信料金が最も安いFAX中継局を探し出して中継送信が行われる。
そして、図9中の下段にも示してあるように、IP電話FAX送受信機5とIP電話FAX/インターネットFAX中継局の間の通信は、IP電話網3を介するIP電話ファクシミリ通信であり、IP電話FAX/インターネットFAX中継局と宛先のインターネットFAX送受信機10との間の通信は、ネットワーク1内での無料ないし低廉料金の高速データ通信やインターネットを経由するファクシミリ通信であり、これらの通信のうちで実質的に通信料金が問題になるのはIP電話網3を介する部分である。本ファクシミリ通信システムの上記第3ファクシミリ通信形態によれば、IP電話ファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリをインターネットを経由するファクシミリの受信側へ中継送信するに当たり、FAX中継局を最も通信料金が安く済む同系列プロバイダ契約加入機等にしているので、通信料金が最も安価な中継送信を実現することができ、全体としてのファクシミリ通信の通信コストを最小限にまで削減することができる。IP電話ファクシミリからインターネットを経由するファクシミリへの中継送信では、従来、FAX中継局をユーザが手動で設定しなければならなかったが、本ファクシミリ通信システムの上記第3ファクシミリ通信形態によれば、以上のように履歴情報等からFAX中継局が同系列プロバイダ契約加入機等に自動的に設定されるので、ユーザが意図的な設定をしなくても通信料を削減することができる。
なお、IP電話FAX送受信機5が保持する履歴情報は、過去に通信をしてきた相手側の局に関する情報なので、IP電話FAX送受信機5が受信側であった場合の送信局のみならず、IP電話FAX送受信機5が送信側であった場合の受信局に関する情報も含み、その受信局も以後のファクシミリ送信におけるFAX中継局の候補となる。したがって、例えば、ユーザが適宜設定をしてIP電話FAX送受信機5からインターネットを経由するファクシミリの受信側に中継を含むファクシミリ送信をすれば、その中継をしたFAX中継局も以後のFAX中継局候補となり、選択可能なFAX中継局はユーザのファクシミリ利用状況に応じて適宜追加される。
また、上記第2及び第3のファクシミリ通信形態において示したようにインターネットを経由するファクシミリとIP電話ファクシミリの間のファクシミリ通信でファクシミリを中継するFAX中継局は、ネットワーク1内の端末機のみならず、ネットワーク1外にあってインターネットを通じてインターネットを経由するファクシミリの送受信装置と通信を行うものであってもよい。このFAX中継局は、インターネットを経由するファクシミリの送信装置からインターネットを介してFAXデータを受信し、IP電話FAXデータに変換してIP電話網3側のIP電話ファクシミリの受信装置へと中継送信すると共に、IP電話ファクシミリの送信装置からIP電話網3を介してIP電話FAXデータを受信し、インターネットを経由するFAXデータに変換してインターネット側のファクシミリの受信装置へと中継送信する機能を有し、かつ、インターネットを経由するファクシミリの送信装置等からの要求に応じて自局の情報を提供するものであればよく、上記ネットワーク端末機13a等以外にも適宜設置するものとしてよい。
・第4ファクシミリ通信形態
第4のファクシミリ通信形態としては、在来FAX送受信機4からインターネットFAX送受信機10にファクシミリを送信する形態が挙げられる。図10は、その第4ファクシミリ通信形態の動作手順を示したフローチャートである。なお、以下の第4ファクシミリ通信形態は、上記第1ファクシミリ通信形態の送信側と受信側が逆になった通信形態である。
第4ファクシミリ通信形態では、在来ファクシミリの送信装置からインターネットを経由するファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、在来FAX送受信機4において、送信者が入力部を操作し、宛先であるインターネットFAX送受信機10のメールアドレスを宛先メールアドレスとして入力する。これにより、ファクシミリ送信の宛先メールアドレスが指定され(ステップS30)、在来FAX送受信機4は、通信料金が最も安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。
中継局の選定処理では、宛先メールアドレスの指定によって宛先が確定した時に、在来FAX送受信機4が履歴情報からインターネットを経由するファクシミリへのFAX中継局を探し、通信料金が最も安いものを選択してFAX中継局に決定する(ステップS31)。ここにいう履歴情報とは、在来FAX送受信機4がした過去の通信に関する情報であり、その時点までに在来FAX送受信機4が通信をしてきたそれぞれの相手側の局に関する情報を含み、中継局選定に供する情報として在来FAX送受信機4の記憶部に記憶されている。相手側の局に関する情報としては、当該相手側の局と通信をした日時、当該相手側の局の名称及び電話番号等の書誌的事項を含むものとするが、特に、当該相手側の局が在来ファクシミリを他の通信網に中継することができるFAX中継局であるか否かを示し、かつ、その中継先の通信網を特定する在来ファクシミリの中継に関する情報(以下「在来FAX中継情報」という。)を含むものとする。これらの情報は、PSTN2での情報通知サービスの提供を受けることにより、在来FAX送受信機4において取得することが可能である。例えば、在来FAX中継情報は、PSTN2が提供可能な情報通知サービスに対し、本ファクシミリ通信システム特有の通知情報として通知を求めることにしてもよいが、FAX中継局には予め定めた所定の名称を付けておくことにし、通常の情報通知サービスで通知される相手側の局の名称に在来FAX中継情報を含ませるようにしてもよい。また、履歴情報中にあるFAX中継局の電話番号は、当該FAX中継局をファクシミリ通信の際に経由した場合(中継送信をするFAX中継局として利用した場合)の通信料金を特定する基準となる情報であり、PSTN2の電話番号通知サービスによって通知されるが、提供元は当該FAX中継局であり、当該FAX中継局が自局の情報として保持している。
在来FAX送受信機4は、このような情報を含む履歴情報を参照し、在来ファクシミリをインターネットを経由するファクシミリの受信側へ中継することができるFAX中継局を探し出す。そして、探し出したFAX中継局の中から通信料金が最も安いFAX中継局を選択することにより、指定された宛先メールアドレスにファクシミリを送信するためのFAX中継局を選定する。在来FAX送受信機4からFAX中継局への通信はPSTN2を介する在来のファクシミリ通信であり、FAX中継局から最終的な宛先のインターネットFAX送受信機10への通信はインターネットを経由するファクシミリ通信なので、通信料金が最も安いFAX中継局は、在来FAX送受信機4から最も近くにあるFAX中継局である。最も近くにあるFAX中継局としては、在来FAX送受信機4の電話番号と市外局番が同じである電話番号のFAX中継局(自局と同一単位料金区域内にあるFAX中継局。厳密には一部に市内局番を含むものもある。)を最優先して選択する。在来FAX送受信機4は、自局の電話番号を記憶部に有しており、履歴情報中には探し出した各FAX中継局の電話番号があるので、それらの各FAX中継局の電話番号を自局電話番号と比較し、市外局番が同じであるFAX中継局を選択する。
例えば、在来FAX送受信機4が東京都内に設置され、インターネットFAX送受信機10が大阪府内に設置され、ネットワーク端末機11aが福岡県内に設置され、ネットワーク端末機11bが東京都内に設置されていて在来FAX送受信機4と市外局番が同じである単位料金区域内にあり、ネットワーク端末機11cが米国ハワイ州内に設置され、上記第1ファクシミリ通信形態によるインターネットFAX送受信機10からの在来FAX送受信機4へのファクシミリ送信が一度行われていたとすると、在来FAX送受信機4は、ネットワーク端末機11bに関する情報を記憶部の履歴情報中に保持している。したがって、在来FAX送受信機4は、その情報を参照して自局と市外局番が同じであるネットワーク端末機11bを選択し、中継に利用するFAX中継局に決定する(上記ステップS31)。
これにより、在来FAX送受信機4は、宛先であるインターネットFAX送受信機10に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局にファクシミリの画像データを含む在来FAXデータと宛先メールアドレスを送信する(ステップS32。なお、選定したFAX中継局の電話番号は履歴情報から既に参照しているので、それを宛先電話番号とする。)。在来FAXデータの送信は、在来ファクシミリの通信プロトコルに従って行うが、宛先メールアドレスについては、在来ファクシミリの通信プロトコルに従った送信データ中に含めたりPSTN2での他の通信プロトコルによる送信データとしたりすることによって在来FAX送受信機4からFAX中継局のネットワーク端末機11bへと送る。この場合において送受信される各データの信号の流れを図11に示す。
図11は、第4ファクシミリ通信形態の一例であり、在来FAX送受信機4による在来FAXデータ等の送信から最終的な送り先であるインターネットFAX送受信機10へのファクシミリ送信までの信号の流れを示している。第4ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局は、在来FAXデータをインターネットFAXデータに変換してインターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルにより中継送信する機能(PSTN2を介して受信した在来FAXデータ中の画像データを電子メールに添付してインターネット通信によるメール送信をする機能)を有している。図11中では、かかるFAX中継局を“在来FAX/インターネットFAX中継局”として示してあるが、ここでの在来FAX/インターネットFAX中継局は、それぞれ参照符号で示したように福岡県内、東京都内、米国ハワイ州内にあるネットワーク端末機11a、11b、11cが実現している。図示のように、在来FAX送受信機4は、自局と市外局番が同じである東京都内の在来FAX/インターネットFAX中継局11b(ネットワーク端末機11b)に対し、ファクシミリの画像データを含む在来FAXデータと宛先メールアドレスを送信する(上記ステップS32)。
その後、選定された在来FAX/インターネットFAX中継局であるネットワーク端末機11bは、在来FAX送受信機4から受信した在来FAXデータをインターネットFAXデータに変換し、ネットワーク1を通じて在来FAXデータ中にあった画像データをインターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルによって宛先メールアドレスのインターネットFAX送受信機10に送信する(図10のステップS33)。これにより、在来FAX送受信機4からのファクシミリが中継され、当該画像データが添付された電子メールのインターネットFAXデータをインターネットFAX送受信機10が受信して、在来FAX送受信機4からインターネットFAX送受信機10にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。なお、在来FAX/インターネットFAX中継局からのインターネットFAXデータの送信は、ここではネットワーク1を通じて行うものとしたが、インターネットを経由するファクシミリの通信プロトコルに従ったデータ通信(メール送信)なので、インターネットを通じて行うこともできる(インターネットに接続されたネットワーク1外のインターネットFAX送受信機を宛先とする場合には、インターネットを通じて行う。また、上述のようにインターネットFAX送受信機10を宛先とする場合でも、ネットワーク1ではなくインターネットを通じて行うことも可能である。)。
第4ファクシミリ通信形態では、このようにしてファクシミリの中継送信を行うが、在来FAX送受信機4において、探し出した各FAX中継局の電話番号と自局電話番号の市外局番を比較した結果、自局電話番号と市外局番が一致するFAX中継局がなかった場合には、探し出した各FAX中継局の電話番号が対応する単位料金区域と自局電話番号が対応する単位料金区域との間の距離を算出する。そして、算出した単位料金区域間距離が最短のFAX中継局を選定することにより、自局に最も近いFAX中継局を選定する。
このため、在来FAX送受信機4においては、上記第1ファクシミリ通信形態でのインターネットFAX送受信機10同様、中継局選定に供する情報として、各単位料金区域、当該各単位料金区域内の電話番号及び当該各単位料金区域の座標を対応付けた単位料金区域テーブルが予め記憶部に記憶されている。ここにいう単位料金区域テーブルの例としても上記図4に示したものと同様のものが挙げられる。
在来FAX送受信機4は、自局電話番号と市外局番が一致するFAX中継局がなかった場合、保持している単位料金区域テーブルを参照し、探し出した各FAX中継局の電話番号に対応する単位料金区域の座標と自局電話番号に対応する単位料金区域の座標を検索する。そして、検索した座標に基づき、それぞれのFAX中継局について上記数1と同様の式により自局との単位料金区域間距離を計算する。これにより、各FAX中継局と自局の単位料金区域間距離を算出し、単位料金区域間距離の値が最も小さいFAX中継局を探し出して最も近いFAX中継局を選定する。
ただし、上述したように、PSTN2の通信料金は地域毎に異なる場合もあり、最短単位料金区域間距離のFAX中継局が複数ある場合もあり得る。そこで、在来FAX送受信機4においては、上記第1ファクシミリ通信形態でのインターネットFAX送受信機10同様、中継局選定に供する情報として、さらに、通信事業者が定めたPSTN2の通信料金の情報を市外局番ないし単位料金区域等と対応付けた通信料金テーブルが予め記憶部に記憶されている。
これにより、在来FAX送受信機4は、その通信料金テーブルを適宜参照し、最も安価な通信料金で自局から在来FAXデータを送信できる在来FAX/インターネットFAX中継局をFAX中継局に選定する。例えば、自局電話番号と市外局番が一致するFAX中継局がなく、かつ、最短単位料金区域間距離のFAX中継局が複数あったときには、通信料金テーブルを参照し、それらのFAX中継局に対して自局からファクシミリ送信をする場合の通信料金をそれぞれ特定して比較し、通信料金が最も安価なものをFAX中継局とする。
第4ファクシミリ通信形態におけるFAX中継局の選択基準は、以上のように自局(在来FAX送受信機4)の電話番号と市外局番が一致するFAX中継局を最優先に選択し、かかるFAX中継局がない場合には自局との単位料金区域間距離が最短のFAX中継局を選択し、さらに、最短単位料金区域間距離のFAX中継局が複数あるときには通信料金テーブルを参照して通信料金が最も安価なFAX中継局を選択するものとなっている。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、距離的に最も送信元に近く、PSTN2での通信料金が最も安いFAX中継局を探し出して中継送信が行われる。
そして、図11中の下段にも示してあるように、在来FAX送受信機4と在来FAX/インターネットFAX中継局の間の通信は、PSTN2を介する在来ファクシミリ通信であり、在来FAX/インターネットFAX中継局と宛先のインターネットFAX送受信機10との間の通信は、ネットワーク1内での無料ないし低廉料金の高速データ通信やインターネットを経由するファクシミリ通信であり、これらの通信のうちで実質的に通信料金がかかるのはPSTN2を介する部分である。本ファクシミリ通信システムの上記第4ファクシミリ通信形態によれば、在来ファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリをインターネットを経由するファクシミリの受信側へ中継送信するに当たり、FAX中継局以降のインターネット経由のファクシミリ通信を有効に活用し、PSTN2を介する部分を最小限にしているので、通信料金が最も安価な中継送信を実現することができ、全体としてのファクシミリ通信の通信コストを最小限にまで削減することができる。在来ファクシミリからインターネットを経由するファクシミリへの中継送信では、従来、FAX中継局をユーザが手動で設定しなければならなかったが、本ファクシミリ通信システムの上記第4ファクシミリ通信形態によれば、以上のように履歴情報等から通信料金が最も安くなるFAX中継局が自動的に設定されるので、ユーザが意図的な設定をしなくても通信料を削減することができる。
ここで、単位料金区域間距離は、上述したように通信料金の高低を判断する普遍的な指標とすることができ、本ファクシミリ通信システムは、その指標を優先して自局と市外局番同一のFAX中継局がない場合のFAX中継局を決定している。これにより、本ファクシミリ通信システムにおいては、自局と市外局番同一のFAX中継局がなくても、多くの場合、通信料金テーブルの参照までは要せずに通信料金が最も安いFAX中継局を選定することが可能になっており、通信事業者が定める通信料金に変更があっても通信コストの削減が可能である。
なお、在来FAX送受信機4が保持する履歴情報は、過去に通信をしてきた相手側の局に関する情報なので、在来FAX送受信機4が受信側であった場合の送信局のみならず、在来FAX送受信機4が送信側であった場合の受信局に関する情報も含み、その受信局も以後のファクシミリ送信におけるFAX中継局の候補となる。したがって、例えば、ユーザが適宜設定をして在来FAX送受信機4からインターネットを経由するファクシミリの受信側に中継を含むファクシミリ送信をすれば、その中継をしたFAX中継局も以後のFAX中継局候補となり、選択可能なFAX中継局はユーザのファクシミリ利用状況に応じて適宜追加される。
また、以上の第4ファクシミリ通信形態は、日本国外の在来ファクシミリ送受信機からインターネットFAX送受信機10にファクシミリを送信する場合にも適用することができる。例えば、上記図11に示した例において、在来FAX送受信機4が米国ハワイ州内に設置され、上記第1ファクシミリ通信形態によりインターネットFAX送受信機10から在来FAX送受信機4へのファクシミリ送信が一度行われていれば、履歴情報を参照したFAX中継局の選定によって同じ米国ハワイ州内にある在来FAX/インターネットFAX中継局11cが選定される。これにより、在来FAX送受信機4からPSTN2を通じて在来FAX/インターネットFAX中継局11cに在来FAXデータが送信され、在来FAX/インターネットFAX中継局11cからネットワーク1ないしインターネットを通じて大阪府内にあるインターネットFAX送受信機10にインターネットFAXデータが送信されるので、米国内から日本国内へ国際電話回線を通じてファクシミリ送信をする場合よりも通信料金を大幅に節減することができる。ただし、このように国外とのファクシミリ通信を行う場合には、国番号も含めた電話番号の情報を取り扱うようにする。
さらに、上記第1及び第4のファクシミリ通信形態において示したようにインターネットを経由するファクシミリと在来ファクシミリの間のファクシミリ通信でファクシミリを中継するFAX中継局は、ネットワーク1内の端末機のみならず、ネットワーク1外にあってインターネットを経由するファクシミリの送受信装置と通信を行うものであってもよい。このFAX中継局は、インターネットを経由するファクシミリの送信装置からインターネットを介してインターネットFAXデータを受信し、在来FAXデータに変換してPSTN2側の在来ファクシミリの受信装置へと中継送信すると共に、在来ファクシミリの送信装置からPSTN2を介して在来FAXデータを受信し、インターネットFAXデータに変換してインターネット側のインターネット経由のファクシミリの受信装置へと中継送信する機能を有し、かつ、インターネットを経由するファクシミリの送信装置等からの要求に応じて自局の情報を提供するものであればよく、上記ネットワーク端末機11a等以外にも適宜設置するものとしてよい。
・第5ファクシミリ通信形態
第5のファクシミリ通信形態としては、IP電話FAX送受信機5から在来FAX送受信機4にファクシミリを送信する形態が挙げられる。
第5ファクシミリ通信形態では、IP電話ファクシミリの送信装置から在来ファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、IP電話FAX送受信機5において、送信者が入力部を操作し、宛先である在来FAX送受信機4の電話番号を宛先電話番号として入力する。この宛先電話番号は、上記第1ファクシミリ通信形態同様、市外局番入りで入力するものとする(市外局番なしの宛先電話番号が入力された場合については、IP電話FAX送受信機5の直近にあるFAX中継局等を選定するものと予め定めておいてもよい。)。これにより、ファクシミリ送信の市外局番入り宛先電話番号が指定され、IP電話FAX送受信機5は、通信料金が安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。
中継局の選定処理では、宛先電話番号の指定によって宛先が確定した時に、IP電話FAX送受信機5が履歴情報から在来ファクシミリへのFAX中継局を探し、通信料金が安いものを選択してFAX中継局に決定する。ここにいう履歴情報は、上記第3ファクシミリ通信形態においてIP電話FAX送受信機5が記憶部に有するものとした履歴情報であるが、本ファクシミリ通信形態では、その履歴情報を参照してIP電話ファクシミリを在来ファクシミリの受信側へ中継することができるFAX中継局を探し出す。かかるFAX中継局の例としては、ネットワーク端末機12や他のFAX中継局6a及び6b等があるが、それらのうちでIP電話FAX送受信機5が過去に通信をしたFAX中継局は、そのIPアドレス、プロバイダ情報及びIP電話FAX中継情報等が履歴情報中にあるので、FAX中継局の候補として探し出される。そして、IP電話FAX送受信機5は、探し出したFAX中継局の中から通信料金が安いFAX中継局を選択するが、本ファクシミリ通信形態においては、そのFAX中継局を選択するに当たり、IP電話FAX送受信機5が各FAX中継局にファクシミリを送信するときのIP電話網3の通信料金と、当該各FAX中継局が在来FAX送受信機4にファクシミリを送信するときのPSTN2の通信料金の双方を考える必要がある。
この場合のFAX中継局の選択基準としては、例えば、次のようなものが挙げられる。なお、ここで候補となるFAX中継局は、PSTN2にも接続された電話番号を有するFAX中継局なので、その電話番号は、IP電話FAX中継情報の一部ないしこれに付随する情報として履歴情報中に含まれるようにしておく。
(1)自局(IP電話FAX送受信機5)とプロバイダが同じ系列のFAX中継局であり、かつ、宛先電話番号と市外局番が同じであるFAX中継局を最優先に選択する。
(2)自局とプロバイダが同じ系列のFAX中継局が複数ある場合において、宛先電話番号と市外局番が同じであるFAX中継局がないときには、それらの複数のFAX中継局のうち、宛先と単位料金区域間距離が最短のFAX中継局を選択し、かかるFAX中継局が複数あるときにはPSTN2の通信料金が安い方を選択する。
(3)自局とプロバイダが同じ系列のFAX中継局がない場合には、安い通信料金で自局からの通信が可能であり、かつ、宛先電話番号と市外局番が同じであるFAX中継局を選択し、宛先電話番号と市外局番が同じであるFAX中継局がないときには、宛先と単位料金区域間距離が最短のFAX中継局を選択し、かかるFAX中継局が複数あるときにはPSTN2の通信料金が安い方を選択する。
(4)自局とプロバイダが同じ系列のFAX中継局であり、かつ、宛先電話番号と市外局番が同じであるFAX中継局がない場合(上記(1)の選択ができない場合)には、IP電話網3とPSTN2の通信料金の総額が最も安いFAX中継局を選択する。例えば、自局とプロバイダは同じ系列だが宛先電話番号と市外局番が異なるFAX中継局と、自局とプロバイダが別の系列だが宛先電話番号と市外局番は同じである他のFAX中継局があり、当該他のFAX中継局の方が通信料金の総額が安いときには当該他のFAX中継局を選択する。
IP電話FAX送受信機5においては、このような選択基準を考慮して予めFAX中継局の選択ルールを定めておき、その予め定めた選択ルールに従ってFAX中継局を選択する。このため、IP電話FAX送受信機5においては、中継局選定に供する情報として、上述したようなプロバイダ−IPアドレス・テーブル、単位料金区域テーブル、通信料金テーブル、対他社通信料金テーブル及び他社通信料金テーブル等を必要に応じて記憶部に記憶しておく。そして、それらのテーブルと履歴情報中にある各FAX中継局の情報に基づき、探し出したFAX中継局の中から選択したものを中継に利用するFAX中継局に決定する。
これにより、IP電話FAX送受信機5は、宛先である在来FAX送受信機4に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局にファクシミリの画像データを含むIP電話FAXデータと宛先電話番号を送信する。その後、選定されたFAX中継局は、IP電話FAX送受信機5から受信したIP電話FAXデータを在来FAXデータに変換し、PSTN2を通じてIP電話FAXデータ中にあった画像データを在来ファクシミリの通信プロトコルによって宛先電話番号の在来FAX送受信機4に送信する。これにより、IP電話FAX送受信機5からのファクシミリが中継され、当該画像データを含む在来FAXデータを在来FAX送受信機4が受信して、IP電話FAX送受信機5から在来FAX送受信機4にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。
第5ファクシミリ通信形態においては、以上のようにIP電話網3とPSTN2の通信料金を考慮して予め定めた選択ルールによりFAX中継局が選定され、IP電話ファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリが低廉な通信料金で在来ファクシミリの受信側へと中継送信される。これにより、IP電話ファクシミリの送信装置から在来ファクシミリの受信装置へとファクシミリを送信するファクシミリ通信の通信コストを削減することができる。
・第6ファクシミリ通信形態
第6のファクシミリ通信形態としては、在来FAX送受信機4からIP電話FAX送受信機5にファクシミリを送信する形態が挙げられる。なお、以下の第6ファクシミリ通信形態は、上記第5ファクシミリ通信形態の送信側と受信側が逆になった通信形態である。
第6ファクシミリ通信形態では、在来ファクシミリの送信装置からIP電話ファクシミリの受信装置にファクシミリを送信するので、在来FAX送受信機4において、送信者が入力部を操作し、宛先であるIP電話FAX送受信機5のIPアドレスを宛先IPアドレスとして入力する。これにより、ファクシミリ送信の宛先IPアドレスが指定され、在来FAX送受信機4は、通信料金が安価になるファクシミリの中継局を選定する処理動作を実行する。
中継局の選定処理では、宛先IPアドレスの指定によって宛先が確定した時に、在来FAX送受信機4が履歴情報からIP電話ファクシミリへのFAX中継局を探し、通信料金が安いものを選択してFAX中継局に決定する。ここにいう履歴情報は、上記第4ファクシミリ通信形態において在来FAX送受信機4が記憶部に有するものとした履歴情報であるが、本ファクシミリ通信形態では、その履歴情報を参照して在来ファクシミリをIP電話ファクシミリの受信側へ中継することができるFAX中継局を探し出す。かかるFAX中継局の例としては、ネットワーク端末機12や他のFAX中継局6a及び6b等があるが、それらのうちで在来FAX送受信機4が過去に通信をしたFAX中継局は、その電話番号及び在来FAX中継情報等が履歴情報中にあるので、FAX中継局の候補として探し出される。そして、在来FAX送受信機4は、探し出したFAX中継局の中から通信料金が安いFAX中継局を選択するが、本ファクシミリ通信形態においては、そのFAX中継局を選択するに当たり、在来FAX送受信機4が各FAX中継局にファクシミリを送信するときのPSTN2の通信料金と、当該各FAX中継局がIP電話FAX送受信機5にファクシミリを送信するときのIP電話網3の通信料金の双方を考える必要がある。
この場合のFAX中継局の選択基準としては、例えば、次のようなものが挙げられる。なお、ここで候補となるFAX中継局は、それぞれ特定のIP電話サービス・プロバイダの加入者端末機(又はゲートウェイ等)としてIP電話網3にも接続され、IPアドレスやプロバイダ情報を有するFAX中継局なので、そのIPアドレスやプロバイダ情報は、在来FAX中継情報の一部ないしこれに付随する情報として履歴情報中に含まれるようにしておく。
(1)自局(在来FAX送受信機4)と市外局番が同じである電話番号のFAX中継局であり、かつ、宛先(IP電話FAX送受信機5)とプロバイダが同じ系列のFAX中継局を最優先に選択する。
(2)自局と市外局番が同じである電話番号のFAX中継局が複数ある場合において、宛先とプロバイダが同じ系列のFAX中継局がないときには、それらの複数のFAX中継局のうち、安い通信料金で宛先との通信が可能なFAX中継局を選択する。
(3)自局と市外局番が同じである電話番号のFAX中継局がない場合には、自局と単位料金区域間距離が最短のFAX中継局であって、かつ、宛先とプロバイダが同じ系列のFAX中継局を選択し、宛先とプロバイダが同じ系列のFAX中継局がないときには、安い通信料金で宛先との通信が可能な最短単位料金区域間距離のFAX中継局を選択する。このような最短単位料金区域間距離のFAX中継局が複数あるときにはPSTN2の通信料金が安い方を選択する。
(4)自局と市外局番が同じである電話番号のFAX中継局であり、かつ、宛先とプロバイダが同じ系列のFAX中継局がない場合(上記(1)の選択ができない場合)には、PSTN2とIP電話網3の通信料金の総額が最も安いFAX中継局を選択する。例えば、自局と市外局番は同じだが宛先とプロバイダが別の系列であるFAX中継局と、自局と市外局番が異なるが宛先とプロバイダは同じ系列の他のFAX中継局があり、当該他のFAX中継局の方が通信料金の総額が安いときには当該他のFAX中継局を選択する。
在来FAX送受信機4においては、このような選択基準を考慮して予めFAX中継局の選択ルールを定めておき、その予め定めた選択ルールに従ってFAX中継局を選択する。このため、在来FAX送受信機4においては、中継局選定に供する情報として、上述したようなプロバイダ−IPアドレス・テーブル、単位料金区域テーブル、通信料金テーブル、対他社通信料金テーブル及び他社通信料金テーブル等を必要に応じて記憶部に記憶しておく。そして、それらのテーブルと履歴情報中にある各FAX中継局の情報に基づき、探し出したFAX中継局の中から選択したものを中継に利用するFAX中継局に決定する。
これにより、在来FAX送受信機4は、宛先であるIP電話FAX送受信機5に送信しようとするファクシミリのFAX中継局を選定し、選定したFAX中継局にファクシミリの画像データを含む在来FAXデータと宛先IPアドレスを送信する。その後、選定されたFAX中継局は、在来FAX送受信機4から受信した在来FAXデータをIP電話FAXデータに変換し、IP電話網3を通じて在来FAXデータ中にあった画像データをIP電話ファクシミリの通信プロトコルによって宛先IPアドレスのIP電話FAX送受信機5に送信する。これにより、在来FAX送受信機4からのファクシミリが中継され、当該画像データを含むIP電話FAXデータをIP電話FAX送受信機5が受信して、在来FAX送受信機4からIP電話FAX送受信機5にファクシミリを送信するファクシミリ通信が終了する。
第6ファクシミリ通信形態においては、以上のようにPSTN2とIP電話網3の通信料金を考慮して予め定めた選択ルールによりFAX中継局が選定され、在来ファクシミリの通信プロトコルによって送信されたファクシミリが低廉な通信料金でIP電話ファクシミリの受信側へと中継送信される。これにより、在来ファクシミリの送信装置からIP電話ファクシミリの受信装置へとファクシミリを送信するファクシミリ通信の通信コストを削減することができる。
本ファクシミリ通信システムにおいて、インターネットFAX送受信機10、在来FAX送受信機4及びIP電話FAX送受信機5の間で行うファクシミリ通信は以上であるが、他のインターネットを経由するファクシミリ送受信装置、在来ファクシミリ送受信装置及びIP電話ファクシミリ送受信装置についても上記同様にファクシミリ通信を行うことができる。また、上述したファクシミリ通信形態によるファクシミリの送信は、複数の宛先にファクシミリを送信する場合に適用することも可能であり、ファクシミリを複数の宛先に中継同報する適切なFAX中継局を選定して通信コストの削減を図ることもできる。
なお、上述したファクシミリ通信形態においては、通信料金を節減することを優先してファクシミリの中継局を選定したが、それぞれの通信網の特性を考慮し、例えば、それぞれの通信網における通信速度も考慮した上で中継局の選定基準を定めるものとしてもよい。さらに、上述したようなファクシミリ通信は、インターネット電話、在来電話及びIP電話の間の音声通信に適用することも可能である。