JP4190949B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)基板等の被処理基板に対して、誘導結合プラズマによりプラズマ処理を施す誘導結合プラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、フラットパネルディスプレイの一種である液晶表示装置(LCD)の製造プロセスにおいては、被処理基板であるLCDガラス基板に対して、エッチングやスパッタリング、CVD(化学気相成長)等のプラズマ処理が多用されている。
【0003】
このようなプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置としては、種々のものが用いられているが、その中で、高密度プラズマを発生することができるものとして誘導結合プラズマ(ICP)処理装置が知られている。
【0004】
誘導結合プラズマ処理装置は、典型的には、真空に保持可能なプラズマ処理を行うための処理室の天井が誘電体壁で構成され、その上に高周波(RF)アンテナが配設されている。そして、この高周波アンテナに高周波電力が供給されることにより、処理室内に誘導電界が形成され、この誘導電界により処理室に導入された処理ガスがプラズマ化し、このようにして形成された処理ガスのプラズマによりエッチング等のプラズマ処理が施される。
【0005】
ところで、LCDの製造工程において処理される被処理基板(LCDガラス基板)は、生産効率の向上等を目的として、通常、1枚の被処理基板から複数枚、例えば9枚のLCDパネル製品が得られるような寸法に設定される。従って、被処理基板であるLCDガラス基板の寸法は、市販のLCDに比べてかなり大きなものとなる。更に、近年、LCD自体の大型化に伴って、被処理基板であるLCDガラス基板の寸法は、大型化しており、例えば、1辺が2mに達するような巨大なLCDガラス基板も出現している。
【0006】
このため、LCDガラス基板を処理するための誘導結合プラズマ処理装置も大型化し、これに伴い処理室と高周波アンテナとの間に配設される誘電体壁も大型化している。処理室の内外の圧力差や自重等に耐えるだけの十分な強度を有するように、誘電体壁は平面寸法の大型化に伴って厚さも大きく設定される。しかし、誘電体壁が肉厚になると、高周波アンテナと処理室内部との距離が大きくなるため、処理室内に生じる誘導電界の減少の原因となる。
【0007】
特許文献1には、シャワーヘッドを構成する金属製のシャワー筐体に支持梁の機能を持たせ、この支持梁によって誘電体を支持することにより誘電体壁の撓みを防止し、これにより、誘電体壁を薄くしてエネルギ効率を向上させること、およびシャワー筐体と高周波アンテナとが直交するようにして、エネルギ効率の低下を防止することが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−28299号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、処理室のさらなる大型化により、誘電体壁の大型化防止策として誘電体の分割数を増やしていくと、レールの数も増えることとなり、全てのレールを高周波アンテナの経路に対して直交するように配置することが困難になり、高周波アンテナから処理室に供給される高周波エネルギの効率低下が懸念される、という問題がある。
【0010】
また、レール部は接地がなされているため、処理室内で発生させているプラズマと容量結合が生じ、処理室内ではアンテナによる誘導結合とレールによる容量結合がともに起こっている。このような誘導結合と容量結合の共存状態では、処理室内でのプラズマの分布が不均一になり、被処理基板に対する処理が不均一になることが懸念される、という問題もある。
【0011】
すなわち、上述の従来技術の場合には、処理室の大型化に伴う誘電体の分割数増加によるレール数の増加に対して高周波アンテナの配置の制約が大きくなる。
【0012】
さらに、処理室内にレール等の導電性部材が露出した構造では、処理室内のプラズマとレール間に生じる容量結合によるスパッタ現象が当該レール等の削れや、異常放電の発生を引き起こす懸念がある。また、当該レールを誘電体等で処理室から覆い隠してもプラズマと当該レールに生じる容量結合は解消されず、誘電体等の削れを生じ、誘電体の消耗やパーティクルの発生につながる。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、誘電体壁の補強に伴う高周波エネルギの効率低下を生じることなく、装置の大型化を実現することが可能な誘導結合プラズマ装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、処理室内で当該レールに生じる容量結合をなくし、誘導結合主体のプラズマにして均一な処理結果を得ることが可能な誘導結合プラズマ装置を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、高周波アンテナの配置に制約を生じることなく、装置の大型化を実現することが可能な誘導結合プラズマ装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、処理室内における異常放電や構造部材のスパッタによる損傷等を生じることなく、安定なプラズマ処理を行うことが可能な誘導結合プラズマ装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点は、被処理基板にプラズマ処理を施す処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、前記処理室の上部壁を構成する誘電体壁と、前記処理室外の前記誘電体壁に対応する部分に設けられ、高周波電力が供給されることにより前記処理室内にプラズマを形成するためのプラズマ発生機構とを具備し、前記プラズマ発生機構により前記処理ガスをプラズマ化して前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、前記誘電体壁は、各々が、第1誘電体からなる枠部材と前記枠部材に嵌合し第2誘電体からなる窓部材とで構成され、相互に嵌合する複数のセグメントを接ぎ合わせて構成されているプラズマ処理装置を提供する。
【0018】
本発明の第2の観点は、被処理基板にプラズマ処理を施す処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、前記処理室内を排気する排気系と、前記処理室の上部壁を構成する誘電体壁と、前記処理室外の前記誘電体壁に対応する部分に設けられ、高周波電力が供給されることにより前記処理室内にプラズマを形成するためのプラズマ発生機構とを具備し、前記プラズマ発生機構により前記処理ガスをプラズマ化して前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、前記誘電体壁は、各々が誘電体からなり相互に嵌合する複数のセグメントを接ぎ合わせて構成されており、隣接する前記セグメントは、誘電体からなる連結部材で連結されていることを特徴とするプラズマ処理装置を提供する。
【0019】
上記した本発明の第1の観点によれば、たとえば、セグメントの枠部材を構成する第1誘電体として強度の比較的大きなアルミナ等のセラミックスを用い、窓部材を構成する第2誘電体として高周波エネルギの透過効率の大きな石英を用いることで、高周波エネルギの損失や、プラズマ分布の偏り等の原因となる導電性のレール等の支持部材を用いることなく、また誘電体壁の厚さ寸法を増大させることなく、誘電体壁の大型化を実現できる。
【0020】
また、上記した本発明の第2の観点によれば、個々のセグメントを比較的強度の大きなアルミナ等のセラミックス等の誘電体で一体に構成することで、高周波エネルギの損失や、プラズマ分布の偏り等の原因となる導電性のレール等の支持部材を用いることなく、また誘電体壁の厚さを増加させることなく、誘電体壁の大型化を実現できる。
【0021】
すなわち、高周波アンテナの配置に種々の制約を生じることなく、高周波アンテナと処理室との間に介在する誘電体壁の大型化を達成できる。
【0022】
また、本発明の場合、処理室内部に露出する導電性の構造部材が誘電体壁に存在しないので、誘電体壁を構成する構造部材のスパッタによる損傷や、異常放電等の発生を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置を示す断面図、図2は、本実施形態の誘導プラズマエッチング装置の一部の分解斜視図、図3および図4は、本実施形態の誘導プラズマエッチング装置の構成部材の斜視図、である。この装置は、例えばLCDの製造においてLCDガラス基板上に薄膜トランジスターを形成する際に、メタル膜、ITO膜、酸化膜等をエッチングするために用いられる。
【0024】
この誘導プラズマエッチング処理装置は、導電性材料、例えば、内壁面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状の気密な本体容器10を有する。この本体容器10は分解可能に組み立てられており、接地線11により接地されている。本体容器10は、支持棚50に周辺部が支持された誘電体壁20により上下にアンテナ室30および処理室40に区画されている。したがって、誘電体壁20は処理室40の天井壁を構成している。
【0025】
本実施形態の場合、誘電体壁20は、たとえば、各々が、Al2O3等のセラミックスからなる枠部材21と、この枠部材21に嵌合し、石英等で構成される窓部材22からなる複数のセグメントS(本実施形態の場合一例として、図4に例示されるように、4×4=16個)を、同じくセラミックス等の誘電体で構成される連結部材26、および枠部材21のネジ穴21fに嵌合するネジ26aにて一体に連結した構成となっており、周辺部が支持棚50に対して連結部材26、および支持棚50のネジ穴50cに嵌合するネジ26bにて固定されている。
【0026】
すなわち、図2に例示されるように、個々のセグメントSを構成する枠部材21は、中央部に、下側に凸の角錐台形のテーパ面21aで開口する開口部21bが設けられ、この開口部21bに、下側に凸の角錐台形のテーパ面22aを有する窓部材22が嵌合する構造となっている。
【0027】
枠部材21のテーパ面21aには、全周にわたるパッキン溝21cが形成されており、このパッキン溝21cにOリング23を装着することで、枠部材21と窓部材22の嵌合面における気密性が保持されている。
【0028】
枠部材21の上端外周部には、全周に渡って面取り部21dが形成されており、組み立て状態で隣接する枠部材21の面取り部21dと一体となって、あるいは、支持棚50の内周部の面取り部50aと一体となって、パッキン溝24を構成する。
【0029】
そして、図1に例示される組み立て状態において、このパッキン溝24には、枠部材21の縦横の外形サイズに一致するように網目のピッチが設定された網形パッキン25が装着され、連結部材26およびネジ26a,ネジ26bにてパッキン溝24内に固定されることにより、隣接する枠部材21(セグメントS)間の気密性、および誘電体壁20の外周部と支持棚50の内周部との間の気密性が保たれる構造となっている。
【0030】
個々のセグメントSの枠部材21の底部外周には、隣接するセグメントSの枠部材21の底部外周部、または支持棚50の段差部50bと嵌合する嵌合部21eが設けられている。
【0031】
すなわち、枠部材21の4辺の各々において、上述の嵌合部21eは、支持棚50の内周底部に設けられた段差部50bに嵌合する辺では凹形を呈し、それ以外の辺は、隣接する他のセグメントSの嵌合部21eと互いに凹凸が逆になるように凹形またはフランジ状の凸形が設定される。
【0032】
このように、本実施形態の場合には、強度の大きなセラミックスからなる枠部材21に高周波エネルギの透過効率のよい石英からなる窓部材22を嵌め込んだ複数のセグメントSを相互に嵌合させて接ぎ合わせることによって誘電体壁20が構成されているので、被処理基板Gが大型化しても、金属製の梁等の導電性部材を全く用いることなく、また誘電体壁20の厚さを大きくすることなく、セグメントSの数を増やすことで誘電体壁20を大型化することができる。
【0033】
複数のセグメントSからなる誘電体壁20の中央部は、吊り柱51を介して本体容器10の天井に吊された状態となっている。この吊り柱51には、軸方向にガス通路51aが形成されている。
【0034】
この場合、吊り柱51の下端は、一例として誘電体壁20の中央部の隣接する4個のセグメントSの隅部に固定され、4つのセグメントSの隣接する隅部には、吊り柱51のガス通路51aに連通するガス吹き出し口21gが厚さ方向に貫通して形成されている。
【0035】
一方、吊り柱51のガス通路51aは、ガス供給管90aを介して処理ガス供給源およびバルブシステム等を含む処理ガス供給系90に接続されている。したがって、プラズマ処理においては、処理ガス供給系90から供給された処理ガスが、ガス供給管90a、ガス通路51a、ガス吹き出し口21gを介して処理室40内へ吐出される。
【0036】
アンテナ室30内には、誘電体壁20の上に誘電体壁20に面するように高周波(RF)アンテナ60が配設されている。この高周波アンテナ60は渦巻き状をなす平面型のコイルアンテナからなる。図示高周波アンテナ60は誘電体壁20より離間させているが誘電体壁20に近接していてもよい。高周波アンテナ60は渦巻きの中心部より給電棒を介して本体容器10の天井からその外側へ導出され、整合器61を介して高周波電源62に接続される。一方、渦巻きの外側端部は本体容器10に接続され、これにより接地されている。
【0037】
上述のように、本実施形態の場合、誘電体壁20を構成するセグメントSや連結部材26は誘電体で構成されており、導電性部材が用いられていないので、高周波アンテナ60の設置に際しては、導電性部材による高周波アンテナ60の引き回し経路を導電性部材に直交させる等の制約は全く生じない。従って、アンテナ室30の内部において、自由に高周波アンテナ60の配置を行うことが可能なる。
【0038】
プラズマ処理中、高周波電源62からは、誘導電界形成用の例えば周波数が13.56MHzの高周波電力が高周波アンテナ60へ供給される。このように高周波電力が供給された高周波アンテナ60により、処理室40内に誘導電界が形成され、この誘導電界により、ガス吹き出し口21gから供給された処理ガスがプラズマ化される。この際の高周波電源62の出力は、プラズマを発生させるのに十分な値になるように適宜設定される。
【0039】
処理室40内の下方には、誘電体壁20を挟んで高周波アンテナ60と対向するように、LCDガラス基板等の被処理基板Gを載置するための載置台としてのサセプタ70が設けられている。サセプタ70は、導電性材料、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムで構成されている。サセプタ70に載置された被処理基板Gは、静電チャック(図示せず)によりサセプタ70に吸着保持される。
【0040】
サセプタ70は絶縁体枠71内に収納され、さらに、中空の支柱72に支持される。支柱72は本体容器10の底部の気密状態を維持しつつ貫通し、本体容器10外に配設された昇降機構(図示せず)に支持され、被処理基板Gの搬入出時に昇降機構によりサセプタ70が上下方向に駆動される。なお、サセプタ70を収納する絶縁体枠71と本体容器10の底部との間には、支柱72を気密に包囲するベローズ73が配設されており、これにより、サセプタ70の上下動によっても処理室40内の気密性が保証される。また処理室40の側壁41には、被処理基板Gを搬入出するためのゲートバルブ74が設けられている。
【0041】
サセプタ70には、中空の支柱72内に設けられた給電棒により、整合器75を介して高周波電源76が接続されている。この高周波電源76は、プラズマ処理中に、バイアス用の高周波電力、例えば周波数が6MHzの高周波電力をサセプタ70に印加する。このバイアス用の高周波電力により、処理室40内に生成されたプラズマ中のイオンが効果的に被処理基板Gに引き込まれる。
【0042】
さらに、サセプタ70内には、被処理基板Gの温度を制御するため、セラミックヒータ等の加熱手段や冷媒流路等からなる温度制御機構と、温度センサーとが設けられている(いずれも図示せず)。これらの機構や部材に対する配管や配線は、いずれも中空の支柱72を通して本体容器10外に導出される。
【0043】
処理室40の底部には、排気管81を介して真空ポンプ等を含む排気機構80が接続される、この排気機構80により、処理室40内が排気され、プラズマ処理中、処理室40内が所定の真空雰囲気(例えば1.33Pa)に設定、維持される。
【0044】
次に、以上のように構成される誘導結合プラズマエッチング装置を用いて被処理基板Gに対してプラズマエッチング処理を施す際の処理動作の一例について説明する。
【0045】
まず、ゲートバルブ74を開にした状態で、そこから搬送機構(図示せず)により被処理基板Gを処理室40内に搬入し、サセプタ70の載置面に載置した後、静電チャック(図示せず)により被処理基板Gをサセプタ70上に固定する。次に、処理ガス供給系90から、エッチングガスを含む処理ガスを誘電体壁20のガス吹き出し口21gを通じて処理室40内に吐出させるとともに、排気機構80により排気管81を介して処理室40内を真空排気することにより、処理室内を例えば1.33Pa程度の圧力雰囲気に維持する。
【0046】
次に、高周波電源62から13.56MHzの高周波をアンテナ60に印加し、これにより誘電体壁20を介して処理室40内に均一な誘導電界が形成される。このようにして形成された誘導電界により、処理室40内で処理ガスがプラズマ化し、誘導結合プラズマが生成される。このようにして生成されたプラズマ中のイオンは、高周波電源76からサセプタ70に対して印加される6MHzの高周波電力によって被処理基板Gに効果的に引き込まれ、被処理基板Gに対して均一なエッチング処理が施される。
【0047】
ここで、本実施形態の場合には、各々が強度の大きなセラミックスからなる枠部材21に高周波エネルギの透過効率のよい石英からなる窓部材22を嵌合させた複数のセグメントSを結合させることによって、金属製の梁等の導電性部材を全く用いることなく、また誘電体壁20の厚さを大きくすることなく、処理室40の真空排気に伴う負荷に耐え得るように誘電体壁20を構成することができるので、セグメントSの数を増やして誘電体壁20を大型化する場合でも、誘電体壁20における導電性部材の存在や厚さ寸法の増大による誘導電界エネルギロスが少なく、高周波アンテナ60からの誘導電界が効率良く処理室40内の誘導結合プラズマの生成に用いられることとなり、プラズマエッチング等のプラズマ処理効率が向上する。
【0048】
また、セグメントSの数を増やして誘電体壁20を大型化しても、誘電体壁20の一部に導電性部材を用いることに起因する処理室40内でのプラズマの分布の偏りが発生せず、大型の被処理基板Gに対して均一なプラズマ処理が可能になる。
【0049】
さらに、誘電体壁20において、処理室40に露出する導電性部材が全く存在しないので、スパッタ現象による当該導電性部材の損傷や異常放電の発生等の懸念も解消され、安定なプラズマ処理を実現できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、吊り柱51は、1本にかぎらず、図5に例示されるように、複数本配置し、その各々がガス通路51aを備える構成としてもよい。
【0051】
また、誘電体壁20を構成するセグメントSの数は、縦横方向ので等しい分割数(図4では4×4)にすることにかぎらず、図6に例示されるような4×2や、図7に例示されるような3×2等にしてもよい。
【0052】
さらに、図8に例示されるように、個々のセグメントSを、たとえばアルミナ等のセラミックスからなる誘電体で一体成型されたブロック部材21−1で構成し、窓部材を省略してもよい。この場合も、各々が強度の大きなセラミックスのブロック部材21−1からなる複数のセグメントSを結合させることによって、金属製の梁等の導電性部材を全く用いることなく、また誘電体壁20の厚さを大きくすることなく、誘電体壁20を構成することができる。
【0053】
この結果、セグメントS(ブロック部材21−1)の数を増やして誘電体壁20を大型化する場合でも、誘電体壁20における導電性部材の存在や厚さ寸法の増大による誘導電界の減少が少なく、高周波アンテナ60からの誘導電界が効率良く処理室40内の誘導結合プラズマの生成に用いられることとなり、プラズマエッチング等のプラズマ処理効率が向上する。
【0054】
さらに、上記実施形態では、本発明をエッチング装置に適用した場合について示したが、エッチング装置に限らず、スパッタリングや、CVD成膜等の他のプラズマ処理装置に適用することができる。また、上記実施形態では本発明を誘導結合プラズマに適用した場合について示したが、誘導結合プラズマに限らず、マイクロ波等を用いたプラズマ処理装置にも適用することができる。さらにまた、被処理基板としてFPD基板を用いたが、本発明はこれに限らず半導体ウエハ等他の基板を処理する場合にも適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマ処理装置によれば、誘電体壁の補強に伴う高周波エネルギの効率低下を生じることなく、装置の大型化を実現することが可能となる。
【0056】
また、処理室内でのプラズマの分布を均一にして均一な処理結果を得ることが可能となる。
【0057】
また、高周波アンテナの配置に制約を生じることなく、装置の大型化を実現することが可能となる。
【0058】
また、処理室内における異常放電やスパッタによる構造部材の損傷等を生じることなく、安定なプラズマ処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の構成要素の分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の構成部材の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の構成部材の斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の誘電体壁の変形例の斜視図。
【図6】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の誘電体壁の変形例の斜視図。
【図7】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置の誘電体壁の変形例の斜視図。
【図8】本発明の一実施形態に係る誘導プラズマエッチング装置における誘電体壁を構成するセグメントの変形例の斜視図。
【符号の説明】
10…本体容器
20…誘電体壁
21…枠部材
21−1…ブロック部材
21a…テーパ面
21b…開口部
21c…パッキン溝
21d…面取り部
21e…嵌合部
21f…ネジ穴
21g…ガス吹き出し口
22…窓部材
22a…テーパ面
23…Oリング
24…パッキン溝
25…網形パッキン
26…連結部材
26a…ネジ
26b…ネジ
30…アンテナ室
40…処理室
50…支持棚
50a…面取り部
50b…段差部
50c…ネジ穴
51…吊り柱
51a…ガス通路
60…高周波アンテナ
70…サセプタ
80…排気機構
90…処理ガス供給系
90a…ガス供給管
G…被処理基板
S…セグメント
Claims (11)
- 被処理基板にプラズマ処理を施す処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室の上部壁を構成する誘電体壁と、
前記処理室外の前記誘電体壁に対応する部分に設けられ、高周波電力が供給されることにより前記処理室内にプラズマを形成するためのプラズマ発生機構とを具備し、前記プラズマ発生機構により前記処理ガスをプラズマ化して前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、
前記誘電体壁は、各々が、第1誘電体からなる枠部材と前記枠部材に嵌合し第2誘電体からなる窓部材とで構成され、相互に嵌合する複数のセグメントを接ぎ合わせて構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記誘電体壁を構成する複数の前記セグメントの接ぎ合わせ部を気密に封止し、前記セグメントの輪郭形状の網目を有する網状の第1封止部材と、前記第1封止部材を固定しつつ隣接する前記セグメントを連結する連結部材と、前記枠部材と前記窓部材の嵌合部を封止する第2封止部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記連結部材は、誘電体からなることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 個々の前記セグメントの前記枠部材の外周部には、隣接する他のセグメントの前記枠部材の外周部に嵌合する嵌合構造を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記誘電体壁における前記プラズマ発生機構の配置側に設けられ、当該誘電体壁を装置筐体に吊り下げて支持する吊り柱を備え、前記吊り柱には、前記処理ガスを前記処理室に供給するためのガス通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1誘電体はセラミックスからなり、前記第2誘電体は石英からなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
- 被処理基板にプラズマ処理を施す処理室と、
前記処理室内に処理ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記処理室の上部壁を構成する誘電体壁と、
前記処理室外の前記誘電体壁に対応する部分に設けられ、高周波電力が供給されることにより前記処理室内にプラズマを形成するためのプラズマ発生機構とを具備し、前記プラズマ発生機構により前記処理ガスをプラズマ化して前記被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置であって、
前記誘電体壁は、各々が誘電体からなり相互に嵌合する複数のセグメントを接ぎ合わせて構成されており、
隣接する前記セグメントは、誘電体からなる連結部材で連結されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記誘電体壁を構成する複数の前記セグメントの接ぎ合わせ部を気密に封止し、前記セグメントの輪郭形状の網目を有する網状の封止部材を備えていることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
- 個々の前記セグメントの外周部には、隣接する他のセグメントの外周部に嵌合する嵌合構造を備えたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のプラズマ処理装置。
- 前記誘電体壁における前記プラズマ発生機構の配置側に設けられ、当該誘電体壁を装置筐体に吊り下げて支持する吊り柱を備え、前記吊り柱には、前記処理ガスを前記処理室に供給するためのガス通路が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
- 前記誘電体はセラミックスからなることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
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