JP4190661B2 - 自動二輪車の車体カバー構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車の車体カバー構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の車体カバー構造としては、例えば、特開平10−273083号公報「車両の車体カバー構造」が知られている。
上記従来の技術は、その公報の図1によれば、車体を車体カバー10(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)にて覆うというものである。さらに、同公報の図2及び図5によれば、車体カバー10をなすカバー部材11に、エアダクトに似せた左右一対の筒状の開口部21,21を形成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に自動二輪車の車体カバーには、エンジンやラジエータ等を冷却するために、筒状のエアダクトからなる空気通路を一体に形成することが多い。エアダクトから取入れた外気にてエンジンやラジエータを冷却する。
しかしながら、車体カバーの構造によっては、筒状のエアダクトを一体に形成するのに、複雑で大型の成形用型を用いることになり、コストアップの要因になる。このような点を解消するために簡素で小型の成形用型を用いると、エアダクトの形状や位置が制限されるので、改良の余地がある。
【0004】
そこで本発明の目的は、簡素で小型の成形用型によって、車体カバーに空気通路を容易に設けることができる技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体下部を覆うアンダカバーの底部に平面視略コ字の切り込みを形成し、該切り込みの基部に車幅方向に延びる薄肉部を有する舌状片を設け、得られた前記舌状片を前記薄肉部を介して上方に折り曲げ、その折曲げ角度で舌状片を車体側に固定支持することによりアンダカバーの底部を車体側に固定支持し、アンダカバーに空気の出入りする空気通路を形成したことを特徴とする。
【0006】
車体カバーに形成した舌状片を内又は外へ折曲げることで、舌状片が有った部分に孔が開く。この孔を空気通路として活用すれば、車体カバーの内外に空気を出入りさせることができる。このような簡単な構成の空気通路であるから、簡単な成形用型ですむ。
【0007】
請求項2は、請求項1において、前記舌状片は、シリンダを車体前向きにして配置されたエンジンのシリンダー下部近傍に位置するようにしたことを特徴する。
請求項3は、請求項1または請求項2において、前記舌状片の先端部に鈎部を設け、この鈎部を前記車体側に掛止めることにより、舌状片を車体側に固定支持したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは車体中央(車幅中心)を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0009】
図1は本発明に係る自動二輪車の左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11のヘッドパイプ12に取付けたフロントフォーク13と、フロントフォーク13に取付けた前輪14並びにフロントフェンダ15と、フロントフォーク13に連結したハンドル16と、ハンドル16周りを覆うハンドルカバー17と、車体フレーム11の中央低部(低床部分)に取付けた補機収納ボックス18と、車体フレーム11の後上部に取付けたスイング式パワーユニット21(前部のエンジン22と後部の伝動機構23の組合せ構造)と、パワーユニット21の後部に取付けた後輪24と、車体フレーム11の後部上部にパワーユニット21を懸架するリヤサスペンション25と、車体フレーム11の後部上部に取付けた収納ボックス26と、収納ボックス26の上部に開閉可能に取付けたシート27と、収納ボックス26の後方で車体フレーム11の後部上部に取付けた燃料タンク28と、車体フレーム11等の車体を覆う車体カバー30とを主要構成としたスクータ型車両である。
【0010】
車体カバー30は、ヘッドパイプ12の前部を覆うフロントカバー31と、運転者の脚部を覆うためのレッグシールド32と、運転者の足載せのためのステップフロア33と、ステップフロア33の下方に配置して車体フレーム11の下部を覆うアンダカバー34と、車体フレーム11の後半部を覆うリヤカバー35とからなる。
図中、16aはグリップ、41はフロントサスペンション、42はヘッドランプ、43はメインスタンド、44はエンジン始動用のキックアーム、45はテイルランプ、46はリヤフェンダ、47はリヤグリップ、48はエアクリーナ、49はキャブレータである。
【0011】
図2は本発明に係る自動二輪車の平面図であり、自動二輪車10にメータ51、左右のミラー52,52、ラジエータ53、マフラ54を備えたことを示す。ラジエータ53は、パワーユニット21の右側に一体に設けたものである。
【0012】
図3は本発明に係る車体フレームの分解斜視図である。
車体フレーム11は、ステップフロア33(図1参照)の下方で、前フレーム11Fと後フレーム11Rとサブフレーム81とに前後三分割した分割フレームである。
前フレーム11Fは、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から下方へ延びるヘッドパイプポスト61と、ヘッドパイプポスト61の下端から後方へ二股状に延びる左右一対のメインフレーム62,62と、左右のメインフレーム62,62の後端間に掛け渡した後部クロスメンバ63とからなり、平面視略ロ字状枠の一体鋳造フレーム、例えば、アルミニウム合金の鋳造品である。平面視ロ字状枠であるから、中央に空間部S1を有することになる。
【0013】
このように、左右のメインフレーム62,62は、ヘッドパイプ12から後方へ延びる部材であり、その後端下部に、後上方へ傾斜した傾斜面を形成し、この傾斜面を前部結合面64,64としたものである。後部クロスメンバ63は、正面視上開放コ字状部材であり、その車幅中央部の高さをメインフレーム62,62よりも下位に設定したものである。
【0014】
後フレーム11Rは、左右一対のメインフレーム71,71と、左右のメインフレーム71,71の前後方向の中間部間に掛け渡した前部クロスメンバ72と、左右のメインフレーム71,71の後端間に掛け渡した後部クロスメンバ73とからなる、一体鋳造フレーム、例えば、アルミニウム合金の鋳造品である。左右のメインフレーム71,71は、前端下部に、後下方へ傾斜した傾斜面を形成し、この傾斜面を後部結合面74,74としたものである。これらのメインフレーム71,71は、さらに後方へ延び、その後端から上方へ延び、その上端からさらに後上方へ延びた、側面視略逆Z状の部材である。
【0015】
車体フレーム11は、前部結合面64,64に後部結合面74,74を重ね合わせて、ボルト・ナット75・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)にて結合することにより、前フレーム11Fに後フレーム11Rを一体的に結合したものである。
後フレーム11Rは後端部にサブフレーム81を、ボルト・ナット85・・・にて結合したものである。サブフレーム81は、左右の起立した収納ボックス用ポスト82,82と、収納ボックス用ポスト82,82間を繋いだ連結ステー83とからなる。サブフレーム81の結合部分、すなわち、ボルト・ナット85・・・にて結合する部分は、リヤサスペンション取付部77の前後に設けられており、補強を兼ねている。78はハンガピボット部である。
【0016】
図4は本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、補機収納ボックス、ステップフロア並びにアンダカバー周りの左側面断面図である。
ステップフロア33は、平板状である足載部33aの前端をレッグシールド32の下部の縁部32aに重ね合わせるとともに、足載部33aの後端部を上方へ延して後壁部33bとし、この後壁部33bでエンジン22の前部を覆うようにしたものである。
後フレーム11Rはハンガピボット部78に、ハンガプレート91を介してパワーユニット21を上下スイング可能に取付けたものである。
【0017】
パワーユニット21のエンジン22は、4サイクル単気筒水冷式エンジンであり、シリンダを車体前方へ向けてほぼ水平に配置したものである。詳しくは、エンジン22は、ヘッドカバー92を前向きにしてステップフロア33の後方に配置し、ヘッドカバー92に点火コイル93を備えるとともに、シリンダヘッド94に(エンジン22の前部に)点火プラグ95を備え、これらの点火コイル93と点火プラグ95とを高電圧コード96にて接続したものである。
【0018】
補機収納ボックス18は上開放の平面視略矩形状ボックスであって、前フレーム11Fの空間部S1に配置し、前部上部のフランジ18aをヘッドパイプポスト61の下端部に載せて、ボルト・ナット101にて取付けるとともに、後部下部のブラケット18bを後部クロスメンバ63に載せて、ボルト・ナット102にて取付けたものである。ステップフロア33の下方に、補機収納ボックス18を配置したので、ステップフロア33の下方の空きスペースを有効利用して、補機収納ボックス18を容易に配置することができる。
【0019】
この図では、(1)補機収納ボックス18に収納したバッテリ103を、バンド104で取付けたこと、(2)樹脂製アンダカバー34によって、前フレーム11Fの下部及び補機収納ボックス18を覆っていることを示す。
【0020】
図5は本発明に係る前フレーム、エンジン、補機収納ボックス、ステップフロア並びにアンダカバー周りの平面図である。
前フレーム11Fは、左右のメインフレーム62,62の前部間に第1クロスメンバ66を掛け渡し、左右のメインフレーム62,62の後部間に第2クロスメンバ67を掛け渡したものである。第1・第2クロスメンバ66,67は、鋼板のプレス成形品である。
【0021】
ステップフロア33は、補機収納ボックス18の内部、主にバッテリ103を点検するためのボックス点検口33cと、点火プラグ95を点検するためのプラグ点検口33dを設けたことを特徴とする。
ボックス点検口33cは、バッテリ103のほぼ真上を通り、バッテリ103の幅とほぼ同一開口幅を有し、補機収納ボックス18の概ね全長にわたる開口長さを有した、平面視矩形状開口であり、リッド105で覆ったものである。
【0022】
プラグ点検口33dは、ステップフロア33の後壁部33bのうち、点火プラグ95の点検作業が容易な位置に開けた概ね矩形状開口であり、リッド106で覆ったものである。
【0023】
図6は図4の6−6線断面図である。
左右のメインフレーム62,62は、車体中央CL寄りの内側起立壁62a,62aと外寄りの外側起立壁62b,62bとを有する、背面視略U字状断面部材であり、外側起立壁62b,62bの上端から外方へ水平にフランジ62c,62cを延したものである。
補機収納ボックス18は、全長にわたって左右の上部側部から外方へ水平にフランジ18c,18cを延し、これらのフランジ18c,18cの下面に前後に延びる嵌合溝18d,18dを形成し、嵌合溝18d,18dを内側起立壁62a,62aの上端に嵌合することによって、左右のメインフレーム62,62間に載せるようにしたものである。
107はアクセルワイヤケーブル、108はリヤブレーキワイヤケーブルである。
【0024】
ステップフロア33は、足載部33aの左右端から下方へ縁部33e,33eを延すとともに、足載部33aの下面から下方へ取付ボス部33f,33fを突出させたものである。アンダカバー34は、底板部34aの左右端から、ステップフロア33の縁部33e,33eの裏側まで側板部34b,34bを延したものである。
【0025】
この図は、左右のメインフレーム62,62におけるフランジ62c,62cの上に、第1クロスメンバ66の左右両端部を重ね、これらの左右両端部の上に、ステップフロア33の取付ボス部33f,33fを重ね、フランジ62c,62cと第1クロスメンバ66の左右両端部と取付ボス部33f,33fとをボルト111,111及びナット112,112で共締めにて取付けたことを示す。ナット112はクリップ113に取付けたものであり、このクリップ113をフランジ62cに差込むことで、位置決めされることになる。
さらに第1クロスメンバ66は、左右両端部に背面視略逆L字状の補助ステー68,68を固定し、補助ステー68,68の縦板部68a,68aにアンダカバー34の側板部34b,34bをボルト・ナット114,114にて取付けたものである。
【0026】
図7は図4の7−7線断面図である。
アンダカバー34は、側板部34b,34bの上端から車幅中央CLへ向って水平に延びるカバーフランジ34c,34cを形成したものである。左右のメインフレーム62,62はフランジ62c,62cの上に、第2クロスメンバ67の左右両端部と、ステップフロア33の取付ボス部33g,33gと、アンダカバー34のカバーフランジ34c,34cとを重ねて、ボルト止めしたものである。ボルト止め構造の詳細については、次の図8にて説明する。
【0027】
図8は本発明に係る第2クロスメンバ取付部分の詳細図である。
カバーフランジ34cは、メインフレーム62のフランジ62cの上に重ねるものであり、上下に貫通した比較的大径の貫通孔34dを有する。
第2クロスメンバ67は、端部に下方へ突出する略カップ状のボス部67aを形成したものである。ボス部67aは、貫通孔34dより若干小径である略皿状の下端部67bと、下端部67bの上端に連なる水平な段差部67cと、段差部67cに連なり貫通孔34dより大径の筒部67dとからなる。
ステップフロア33は、足載部33aの下面から下方へ取付ボス部33gを突出させ、この取付ボス部33gの下端面を、第2クロスメンバ67における下端部67bの底面に載せるようにしたものである。
【0028】
第2クロスメンバ取付部分の構造は、メインフレーム62のフランジ62cの上にカバーフランジ34cを重ね、その上に第2クロスメンバ67のボス部67aを重ねることで、カバーフランジ34cに段差部67cを載せ、更にその上にステップフロア33を重ねることで、下端部67bの底面に取付ボス部33gの下端面を載せて、ボルト115及びナット116で共締めにて取付けたものである。ナット116はクリップ117に取付けたものであり、このクリップ117をフランジ62cに差込むことで、位置決めされることになる。
なお、アンダカバー34の取付構造は、(1)上記図6に示す側板部34b,34bをボルト止めする構造と、(2)上記図7〜図8に示すカバーフランジ34c,34cをボルト止めする構造の、どちらか一方だけとしてもよい。図6の取付構造だけの場合には、図7のカバーフランジ34c,34cは不要である。
【0029】
さらにこの図は、足載部33aのうち、第2クロスメンバ67に臨む位置に、下方へ突出するボス部33oを形成し、ボス部33oを第2クロスメンバ67に載せるとともに、下方からビス118にて固定したことを示す。このように、第2クロスメンバ67は、ステップフロア33における足載部33aを支えることもできる。同様に、図6に示す第1クロスメンバ66にも、足載部33aを下方からビス止めすることにより、第1クロスメンバ66で足載部33aを支えることができる。従って、第1・第2クロスメンバ66,67は、ステップフロア33を支える支持部材(補強部材)であるといえる。
【0030】
図9(a)〜(c)は本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の構成図である。
(a)は、アンダカバー34における底板部34aの部分平面図である。
アンダカバー34は底板部34aに、車幅方向に延びる薄肉部34eと、この薄肉部34eの基端に連なる平面視略コ字の切り込み34fと、薄肉部34e並びに切り込み34fで囲むことで得られた平面視矩形状の舌状片34gと、舌状片34gの先端側に開けた平面視矩形状の孔34hと、孔4hの縁部に設けた鈎部34iと、鈎部34iの背面に設けたリブ34j,34jとを、一体に形成したものである。
【0031】
(b)は(a)のb−b線断面図であり、鈎部34iが、舌状片34gから上方へ延びた断面視下向きフックであり、このフックを孔34hに臨ませていることを示す。
【0032】
(c)は(a)のc−c線断面図であり、底板部34aにおける外面の一部に、他の部分よりも薄肉で溝状の薄肉部34eを形成したこと、及び、薄肉部34eに舌状片34gを連ね、この舌状片34gを略平坦な板に形成したことを示す。樹脂製アンダカバー34であって、薄肉部34eを他の部分よりも薄肉にしたのであるから、薄肉部34eは舌状片34gを内又は外へ折曲げる際に弾性変形する、ヒンジの役割を果たす。
【0033】
図10は本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の断面図であり、薄肉部34eを弾性変形可能なヒンジとして、舌状片34gをアンダカバー34の内へ折曲げ、その折曲げ角度で、舌状片34gの先端部に設けた鈎部34iを車体側の後部クロスメンバ63に掛けたことを示す。
このように、車体フレーム11に鈎部34iを引掛けて、掛止めるだけで、車体側に舌状片34gを支持させることができ、この部分をボルト、ビス、リベット等で止める必要はない。しかも、アンダカバー34と車体側の後部クロスメンバ63との位置が相対的にずれた場合であっても、舌状片34gの折曲げ角度や鈎部34iで位置ずれ分を吸収し、良好な掛止め状態を維持できる。従って、樹脂製アンダカバー34のように、製作精度の出しにくいカバーを、良好に組付けることができる。さらには、アンダカバー34が変形しても、同様に良好な掛止め状態を維持できる。
【0034】
所定の折曲げ角度で舌状片34gを車体側に掛けることにより、切り込み34f及び切り込み34fで囲んだ部分には、空気の出入りする比較的大きな空気通路kを形成することができる。
平坦な舌状片34gを、冷却風を導く導風板とするとともに、底板部34aに開いた空気通路34kを冷却風導入用開口とし、この冷却風導入用開口を通して、外部からエンジン冷却風を導入することにより、エンジン22(図4参照)を冷却することができる。アンダカバー34の後部下部構造並びに冷却風導入構造については、上記図4にも示す。
【0035】
図11(a),(b)は本発明に係るアンダカバーの成形方法を示す説明図である。
(a)は、上型121と下型122とを型合せして、アンダカバー34を成形していることを示す。
(b)は、上型121と下型122とを上下に離型して、成形済みのアンダカバー34を取り出したことを示す。
【0036】
アンダカバー34に、板厚方向に窪んだ薄肉部34e、上下貫通した切り込み34f、薄肉部34e並びに切り込み34fで囲むことで得られた舌状片34g、上下貫通した孔34h、下向きフック状の鈎部34iを形成したので、上型121と下型122との上下割り型を成形用型として、アンダカバー34を成形することができる。従って、簡単な成形用型ですみ、空気通路の形状や位置が制限されることがないので、設計の自由度が高まる。
【0037】
図12(a)〜(c)は本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の変形例図である。
(a)は、平面視半楕円形の舌状片34gを得るために、略コ字の切り込み34fを形成したことを示す。
(b)は、平面視台形の舌状片34gを得るために、略コ字の切り込み34fを形成したことを示す。
(c)は、薄肉部34eの代りにミシン目状スリット34mを、アンダカバー34に形成したことを示す。ミシン目状スリット34mは、舌状片34gをアンダカバー34の内又は外へ折曲げる際に、弾性変形可能なヒンジの役割をする。
【0038】
なお、上記本発明の実施の形態において、(1)自動二輪車10はスクータ型車両に限定するものではない。
(2)舌状片34g並びに空気通路34kは、車体カバー30に設けるものであればよく、アンダカバー34に設けるものに限定されない。
(3)薄肉部34eは、車体カバー30のすくなくとも内面又は外面に形成すればよい。
(4)空気通路34kは、空気が出入りするものであればよく、車体カバー30に外気を取入れる他に、車体カバー30内の空気を外方へ排出するようにしてもよい。
(5)舌状片34gは、車体カバー30の内又は外へ折曲げることで、冷却風を導く導風板の役割を果たすものであればよく、形状は任意である。例えば、空気通路34kからの空気の出入り方向に併せて舌状片34gの向きを設定する。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車体下部を覆うアンダカバーの底部に平面視略コ字の切り込みを形成し、該切り込みの基部に車幅方向に延びる薄肉部を有する舌状片を設け、得られた前記舌状片を前記薄肉部を介して上方に折り曲げ、その折曲げ角度で舌状片を車体側に固定支持することによりアンダーカバーの底部を車体側に固定支持し、アンダカバーに空気の出入りする空気通路を形成したので、アンダカバーに、簡単な構成の空気通路を容易に設けることができる。しかも、簡単な成形用型ですみ、空気通路の形状や位置が制限されることがないので、設計の自由度が高まる。
【0040】
請求項2は、請求項1において、前記舌状片は、シリンダを車体前向きにして配置されたエンジンのシリンダー下部近傍に位置するようにした。
請求項3は、請求項1または請求項2において、舌状片の先端部に鈎部を設け、この鈎部を前記車体側に掛止めることにより、舌状片を車体側に固定支持したので、車体カバーと車体側との位置が相対的にずれた場合であっても、舌状片の折曲げ角度や鈎部で位置ずれ分を吸収し、良好な掛止め状態を維持できる。従って、製作精度の出しにくい車体カバーを、良好に組付けることができる。さらには、車体カバーが変形しても、同様に良好な掛止め状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車の平面図
【図3】本発明に係る車体フレームの分解斜視図
【図4】本発明に係る車体フレーム、パワーユニット、補機収納ボックス、ステップフロア並びにアンダカバー周りの左側面断面図
【図5】本発明に係る前フレーム、エンジン、補機収納ボックス、ステップフロア並びにアンダカバー周りの平面図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】本発明に係る第2クロスメンバ取付部分の詳細図
【図9】本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の構成図
【図10】本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の断面図
【図11】本発明に係るアンダカバーの成形方法を示す説明図
【図12】本発明に係るアンダカバーの後部下部構造の変形例図
【符号の説明】
10…自動二輪車、11…車体フレーム、22…エンジン、30…車体カバー、34…アンダカバー、34a…底板部、34e…薄肉部、34f…切り込み、34g…舌状片、34i…鈎部、34k…空気通路、53…ラジエータ。

Claims (3)

  1. 車体下部を覆うアンダカバーの底部に平面視略コ字の切り込みを形成し、該切り込みの基部に車幅方向に延びる薄肉部を有する舌状片を設け、
    得られた前記舌状片を前記薄肉部を介して上方に折り曲げ、その折曲げ角度で舌状片を車体側に固定支持することによりアンダカバーの底部を車体側に固定支持し、アンダカバーに空気の出入りする空気通路を形成した、
    ことを特徴とする自動二輪車の車体カバー構造。
  2. 前記舌状片は、シリンダを車体前向きにして配置されたエンジンのシリンダー下部近傍に位置するようにしたことを特徴する請求項1に記載の自動二輪車の車体カバー構造。
  3. 前記舌状片の先端部に鈎部を設け、この鈎部を前記車体側に掛止めることにより、舌状片を車体側に固定支持したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動二輪車の車体カバー構造。
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