JP3847067B2 - 自動2輪車用リヤカウル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、乗員用シート後方に収納箱を設けた自動2輪車において車体側へ着脱自在にしたリヤカウルの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開昭63−199888号には、乗員用シートの後方へ書類箱等の収納箱を設け、これら乗員用シート及び収納箱の下方部分を車体側面左右から後端部までを覆うリヤカウルを設けるとともにリヤカウルの後端部にテールランプ等の後部灯火装置を設けた自動2輪車が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構造において、乗員用シート及びその後方の収納箱並びにリヤカウルをシートレールへそれぞれ固定するとともに、テールランプ等の後部灯火装置におけるランプ類をリヤカウルの内側のみからしか交換できないようにした場合、後部灯火装置におけるランプ類を交換するには、まず収納箱を取り外し、その後リヤカウルをシートレールから外す必要があった。したがって、小型部品であるランプ類の交換にも収納箱やを取り外してからさらにリヤカウルを取り外さなければならないから、メンテナンスに手間取ることになり、メンテナンス性の向上が望まれていた。そこで、本願発明は係る要請を満足させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る自動2輪車用リヤカウル構造は、メインフレーム後部から車体後方に向かって延びるシートレールを有し、当該シートレール上方に乗員用シートを配置し、当該乗員用シート後方かつ前記シートレール上方に収納箱を固定するとともに、前記シートレールの側方及び後方をリヤカウルで覆い、このリヤカウル後部へ後部灯火装置をリヤカウル内方から取付けた自動2輪車において、シート及び前記収納箱を取り外すことなく前記リヤカウルを車体から取り外すことができるようにした。
【0005】
そのうえ、このリヤカウルを、前後に分割された、シートレールの左右側方を覆うカウル前部とシートレール後部を覆うカウル後部とで構成し、前記シート及び収納箱を取り外すことなく当該カウル後部を車体から取り外すことを特徴とする。
より具体的には、カウル前部をシートレールへ取付け、カウル後部を分割部でカウル前部へ締結し、さらに後部灯火装置をカウル後部へ取付けるようにする。
さらに前記分割部をシート後方かつ平面視で収納箱側方となる位置に設ける。
【0006】
【発明の効果】
本願発明によれば、後部灯火装置のランプ類を交換するとき、収納箱を取り外すことなくリヤカウルを車体から取り外すことができるため、ランプ類のメンテナンスを簡単に行うことができるようになり、メンテナンス性が向上する。また収納箱を車体側へ取付けたままの状態でリヤカウルを車体から取り外せるため、収納箱を車体へ堅固に固定しておくことができ、収納箱の盗難等を有効に防止できる。
【0007】
そのうえ、リヤカウルの後部を分離してカウル後部とし、ランプ類の交換時にこの部分のみを車体から取り外すようにしたので、ランプ類の交換時における着脱する部分を小型にでき、ランプ類のメンテナンスをより容易に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1及至図7は実施例に係り、このうち図1は本実施例の適用された自動2輪車の側面図である。
【0009】
この自動2輪車は緊急車両として構成され、符号1は前輪、2は左右一対のフロントフォーク、3はハンドル、4はメインフレーム、5はセンターフレーム、6はリヤフォーク、7は後輪、8は燃料タンク、9は乗員用シートである。
車体の前部はフロントカウル10で覆われ、さらに前部左右はサイドカウル11で覆われている。このサイドカウル11から左右方向へ張り出してエンジンガード12が左右一対で設けられている。エンジンガード12は金属パイプ製であり、前面視略コ字状をなして上下方向へ配設され、その上部に警告灯13及びサイレン14が取付けられている。
【0010】
車体後部には、乗員用シート9の下方にリヤカウル15が設けられ、その後部側方にトランク16が配置される。また、乗員用シート9の後方には書類箱17が設けられ、さらにこの後方に後部灯火装置18が設けられている。符号19は車体後部の乗員用シート9よりも高い位置に支持される後部警告灯である。
【0011】
次に、リヤカウルの構造について説明する。図2はリヤカウルを主体とする車体後部の側面図、図3はその平面図、図4は書類箱の底部取付構造を示す要部拡大断面図、図5は後部灯火装置の後方視図、図6は後部灯火装置の平面視半断面図、図7は後部灯火装置の支持構造を示す要部拡大断面図である。
【0012】
図2に示すように、メインフレーム4の後端に取付けられているブリッジプレート5の後部には二股の取付部20,21が上下に設けられ、取付部20にはシートレール22,取付部21にはアンダーパイプ23の各前端部が取付けられている。これら二股の取付部20,21は左右一対で設けられ、これに対応してシートレール22、アンダーパイプ23も左右一対で設けられている。
【0013】
シートレール22はアルミ合金や鉄等の適宜金属からなるパイプ部材であり、乗員用シート9とリヤカウル15の境界部を斜め上がり後方へ左右一対で延出し、リヤカウル15の内側に配設されている。シートレール22の前半側上部には乗員用シート9が支持され、後半側にはステー24〜27が設けられている。
【0014】
アンダーパイプ23は前端を取付部21へ取付けられて、シートレール22の下方を略平行してリヤカウル15の内側下端縁部に沿って後方へ延出し、書類箱17の下方位置にて上方へ湾曲してシートレール22の後端部へ溶接一体化され、その後端部にはリヤフェンダ28の前端部が支持されている。
【0015】
書類箱17は、図4に示すように、底板35の一部に開口部を設け、これに取付けたグロメット36を貫通するフランジボルト37をシートレール22側へ取付けられている特殊ボルト34へ締結することにより、シートレール22へ弾性支持される。この弾性支持部は書類箱17の左右それぞれに前後2ケ所づつ合計4ケ所設けられる。なお、各特殊ボルト34は取付プレート30にナット33で固定され、この取付プレート30はシートレール22へ取付けられてかつその上方へ書類箱17の底面と略平行に配置されている。
【0016】
書類箱17の内部には図示しない無線装置が収納されており、上記弾性支持により無線装置に対する車体振動の伝達を低減している。また、盗難防止の観点から書類箱17の蓋17aは施錠されており、特殊手続きによらない限り通常は解錠できないようになっている。
【0017】
図2及び図3において、リヤカウル15はプラスチック等適宜部材から成形され、書類箱17の前後方向における中間部より前方側部分であるカウル前部40と、その後方側部分であるカウル後部41とに前後方向へ2分割されている。
【0018】
カウル前部40は、シートレール22及びアンダーパイプ23の側方を覆って乗員用シート9の前端部下方まで延び、その前端部で取付部21のアンダーパイプ23との結合部へボルト42で共締めされる。また、カウル前部40の中間上部かつ乗員用シート9の後端近傍部にてボルト43でステー42へ締結される。カウル前部40の後端部は、カウル後部41の側面における前端縁部44の外側へ重なり、このかなり部分における側面の上下でビス45,46により結合される。
【0019】
カウル後部41はカウル前部40と同様にプラスチック等の適宜材料から成形される平面視略コ字状をなす部材であり、その左右各前端部は書類箱17の後端部左右へ回り込む延出部47をなし、この前端上部はカウル前部40後端上部から後方へ突出する取付部48aの上に重なり、ここでビス48により側方から締結される。したがって、カウル後部41の前端部は左右それぞれにおいて、ビス45,46,48の3ケ所、左右合計6ケ所でカウル前部40の後端部へ取付けられる。
【0020】
カウル後部41の上部で書類箱17の後方部分は、書類箱17と略同じ高さの部分49をなし、この幅方向中間部には後方へ入り込む凹部50が形成され、ここにアンテナポール51が車体側から上方へ突出している。アンテナポール51は書類箱17内の無線装置へ配線されている。さらに、カウル後部41の後端部は開口され、ここに後部灯火装置18が嵌合取付けされている。本実施例における後部灯火装置18はリヤコンビネーションランプとして構成されている。
【0021】
図6及び図7に示すように、カウル後部41の開口部へ嵌合する後部灯火装置18の前部には、ハウジング53と一体に形成されて前方へ突出する左右一対の嵌合突起62が設けられ、この嵌合突起62をそれぞれリヤフェンダー28に立設された縦壁63に取付けられているグロメット64へ差し込むことにより車体側へ弾性支持される。また、後部灯火装置18とカウル後部41はカウル後部41の内側から結合一体化されているため、カウル後部41の後端部は後部灯火装置18を介して車体側へ支持されることになる。
【0022】
後部灯火装置18は、図5に示すように、ハウジング53内を中央部と左右に区画し、中央部にテールランプ54、左右にウインカランプ55,55を取付け、全体をレンズ56で覆ってある。また、同線部上部の係合突起57及び下部左右のステー58,58において、カウル後部41の後端部開口線部へ係合又は締結される。これらの結合はカウル後部41の内方からのみ可能であり、外部からは取り外しできないようになっている。
【0023】
次に、本実施例の作用を説明する。後部灯火装置18のランプ類を交換するには、後部灯火装置18がカウル後部41と結合一体化されていて外部より外すことができないので、まず、ビス45、46及び48を外してカウル後部41をカウル前部40と分離する。続いてカウル後部41を車体後方へ押し出すと、嵌合突起62がリヤフェンダー28の縦壁63に設けられているグロメット64から抜け出すので、カウル後部41は後方へ抜き取られて車体側から完全に分離する。そこで、カウル後部41の内側からテールランプ54、ウインカランプ55等を交換できる。
【0024】
また、ランプ類の交換後は逆手順で車体側へ取付ける。すなわち、予め後部灯火装置18が小組みされているカウル後部41を車体後方から前方へ押し込めば、嵌合突起62がリヤフェンダー28の縦壁63に設けられているグロメット64へ差し込まれて後部が車体へ支持され、かつ前端部側はカウル前部40の後端部へ重なるのでここをビス止めするだけで簡単に取付できる。
【0025】
一方、本実施例のようにカウル前部40とカウル後部41が分離しない従来例のリヤカウル形式では、このようなランプ類の交換であっても、リヤカウル全体の着脱を要するため、書類箱17の取り外しを必要とする。
【0026】
しかし、重要書類を保管する必要がある書類箱17がシートレール22へ堅固に取付けられているから簡単には脱着できず多くの手間を要することになる。これに対して、本実施例によれば、上記の手順により、乗員用シート9及び書類箱17など、車体側へ強固に取付けられている部品を取り外すことなく、リヤカウル15の一部であるカウル後部41のみを取り外してランプ交換ができるので、メンテナンス性が著しく向上する。
【0027】
なお、本願発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、後部灯火装置は実施例のリヤコンビネーションランプに限らず、テールランプ単独のものなど種々の構造が可能である。
【0028】
また、本願発明における収納箱は書類箱17に限らず他の各種用途のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る自動2輪車の側面図
【図2】リヤカウルを主体とする車体後部の側面図
【図3】その平面図
【図4】その要部拡大図
【図5】後部灯火装置の後方視図
【図6】後部灯火装置の平面視半断面図
【図7】後部灯火装置の支持構造を示す断面図
【符号の説明】
9:乗員用シート、15:リヤカウル、17:書類箱、18:後部灯火装置、21:取付部、23:アンダーパイプ、40:カウル前部、41:カウル後部、45:ファスナー、46:ファスナー、48:ボルト、54:テールランプ
Claims (2)
- メインフレーム後部から車体後方に向かって延びるシートレールを有し、当該シートレール上方に乗員用シートを配置し、当該乗員用シート後方かつ前記シートレール上方に収納箱を固定するとともに、前記シートレールの側方及び後方をリヤカウルで覆い、このリヤカウル後部に後部灯火装置をリヤカウル内方から取付けた自動2輪車において、
前記リヤカウルは、前後に分割された、シートレールの左右側方を覆うカウル前部とシートレール後部を覆うカウル後部からなり、
前記カウル前部は前記シートレールへ取付けられ、
前記カウル後部は分割部で前記カウル前部へ締結され、かつシート及び前記収納箱を取り外すことなく車体から取り外すことができ、
前記後部灯火装置は前記カウル後部へ取付けられるとともに、
前記分割部をシート後方かつ平面視で収納箱側方となる位置に設けシート及び前記収納箱を取り外すことなく車体から取り外すことができ、
前記後部灯火装置は前記カウル後部へ取付けられるとともに、
前記分割部をシート後方かつ平面視で収納箱側方となる位置に設けたたことを特徴とする自動2輪車用リヤカウル構造。 - 前記収納箱後方にアンテナを設け、前記カウル後部に前記アンテナを収容し前方に開口する凹部を設けたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用リヤカウル構造。
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