JP4190582B2 - 原子間測定技術 - Google Patents
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Description
発明の背景
上述の特許出願および論文にも説明されているように、レーザー干渉計は現在光の波長の数百分の一程度の解像度を必要とするような高精度な用途、例えば高精度ミラーやレンズなどの高精度表面加工処理やそのためのツール、集積回路ウエハー、メモリやその他類似のデバイスなどの製造装置に広く用いられている。集積回路などの製造においては例えばサブミクロン幅の平行線に沿った処理を要求されるなど、それらの処理があらかじめ定められたこれらの平行線に対し常時数パーセントの精度で行われることを常に保証する必要がある。今日、このような集積回路などの製造プロセスにおける位置測定はレーザー干渉計によって構成されている。しかしながらレーザー干渉計は本来一軸測定用に設計されており、また非常に安定で従って高価なレーザー光源および光学系を必要とする。また、ナノメートルオーダーの解像度をレーザー干渉計によって達成するためには光源の基準波長を数百分の一程度にまで分割する必要があるが、周辺温度や空気流れの変動などにより実際には非常に困難である。その上、しばしば真空環境内でそれらの測定が行われるが高価となり測定の手間が煩雑となる。
他の高精度を必要とするアプリケーションとしては例えば、オプテイカルディスク、CDなどの製造に使用されるマスターディスクの製造がある。人工衛星に搭載される特殊ミラーなどのダイアモンド加工、仕上げなども同様の精度が要求される。
特に、例えばG.BinnigおよびH.Rohrer,Helev.Phys.Acta,55,726ページ(1982年)に見られる走査型トンネル電子顕微鏡や、米国特許第4,724,318号に述べられている走査型原子間力顕微鏡の発明以来、原子像の観察は普通に行われており、ナノメートルオーダーの解像度を持った位置測定に門戸を開きつつある。
樋口その他による論文、例えば”Crystalline Lattice for Metrology and Positioning Control”,Proceedings IEEE Micro Electro Mechanical Systems,page 239-244ページにおいては、位置決め対象テーブルに固定された結晶面を基準フレームに固定された走査型トンネル電子顕微鏡を用いてXY方向に通過した原子の数を数えることにより、対象テーブルを目的の位置や場所に誘導する。ただしそれぞれの目的位置においてポジションロックを行うために、常にテーブルは正弦波状に振動し回転される必要がある。
また、この方法は測定対象表面に対する本当のリアルタイムの、連続的位置情報を与えない。それに対して本発明は連続的位置測定を0.01ナノメートルかそれ以下の解像度、まさにレーザー干渉計によって得られる解像度の10分の1から100分の1を実現する。本発明は、さらに、樋口らによる方法とは異なり、ポジションロックに伴うテーブル振動の問題を解決し、位置情報をセンサプローブの振動によりその振動中心を基準位置にして与えるものである。さらに本発明のレーザー干渉計に比べて優れているところは単に解像度が飛躍的に向上するだけでなく、光学系の必要性がなくなることである。従って、装置がシンプルとなり周辺温度の変動や振動による測定誤差を最小にできること、また周辺空気の流れに対して強いことなどが挙げられる。
これらの課題に対する斬新なアプローチは、本発明者の先述の特許出願および論文に述べられているように、周期的信号を持った表面、例えば原子表面、導電性回折格子や他の回折格子をその表面とプローブが相対的に移動しながら走査することにより、リアルタイムかつナノメートルスケールの位置測定を行う方法であって、プローブと表面との間にセンシング(検知)するための場を設け、プローブを正弦波状の電圧を制御することによりプローブ原点の周りで前記走査中に振動させ、この振動によりセンシング場によって生成され表面を通過した後の正弦波状の出力信号を測定し、制御電圧と出力電圧の位相ならびに振幅を比較し、その結果をもとに位置信号を波打った表面の一番近い峰からの距離と方向、つまり表面に沿ったプローブの位置を連続的に求める手法である。
しかしながら、これが非常に重要で有益な新技術であるものの、さらなる改良が適当かあるいは必要であるアプリケーションもある。最初の例として、今や速度の向上、周波数応答性や信頼性などが特に半導体関係のアプリケーションに要求されている。(それに対応するために)特にプローブの振動周波数をそのシステム共振周波数に近づけると入力振動信号と実際のプローブ振動の間に位相遅れを生じる。この位相遅れは環境の変化に敏感である可能性があり、その結果、位置測定の精度に影響する可能性がある。本発明はこれらの問題を改良するものである。
また、プローブ振動が高周波になると他の問題が生じることがわかった。ギャップ制御はプローブが回折格子(グレーティング)表面上に接触することを避け、なおかつ信号を失わないようにナノメートルレベルの距離を維持しなければならない。このためにローパスフィルターを通過した、あるいは時間平均された距離情報を持ってフィードバック信号とすると、プローブが回折格子表面に短時間ながらも接触することが避けられない場合がある。さらに問題はどうやってギャップ制御方式が位置測定の計算処理に干渉しないことを保証するかである。トンネル電流や原子間力の距離に対する非線形性も高性能なギャップ制御を達成する上で困難な問題である。簡単な線形マッピングが一般的に行われているが、かえってプローブが回折格子表面上に接触する機会を増加させている場合もある。
機械的な取り付け誤差などによる動きに追従するために、センサプローブの(ギャップ方向の)最大移動距離はサンプル表面の(ギャップ方向の)最大移動距離より大きくてはならない。普通は、それらの範囲は市販のD/AコンバーターICの電圧範囲を越えている。一般的にはそれらICの出力電圧を増幅することが行われるが、ノイズも同様に増幅してしまい、システムの解像度を低下させる原因となる。本発明はこれらの問題についても改良を行うものである。
普通、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)の分野ではエッチングされた金属ワイヤがプローブとして使用されてきている。しかしながら、マイクロマシーニングによって製造されたプローブはその量産性や機械特性の精度の繰り返し性などから原子間力顕微鏡などに一般的に使用されている。ただし、これらのプローブは一般に導電性ではなく、最小の共振周波数をプローブ軸(Z軸)方向に持つ。従って、そのようなプローブがX方向に振動された場合、Z軸方向のノイズが誘起され、位置測定を困難にすることがわかった。この問題も本発明の適用するところである。
いくつかの工業アプリケーションは例えパワーダウンがあっても途中までの処理を最初からはじめないで済むように、絶対位置の測定を必要とする。原点の定義は同様の理由で重要である。しかしながら、そのような機能をナノメートルあるいはサブナノメートルの精度で得ることは簡単ではない。もしナノメートルオーダーの精度が必要なら、システムもそれなりにセットアップされる必要がある。プローブと回折格子表面の傾き角度や回折格子表面の傾き、プローブ振動振幅などのセットアップ状況すべてが位置測定の精度に著しく影響を及ぼす。しかしながら、そういった状況を検証する簡単な方法が存在しなかった。
現在、新しい発明の応答速度は比較的遅い機械デバイスの共振振動周波数によって律速されている。さらなる速度の向上が必要な場合は、新しい手法が必要である。
発明の目的
前述の課題を解決するために、本発明は、原子表面や回折格子などを走査型トンネル電子顕微鏡や原子間力顕微鏡などで走査しリアルタイムかつナノメートルスケールの新しくかつ改良された位置測定方法または装置を要旨とするもので、先に述べた位相遅れやプローブ接触回避、ギャップ制御およびプローブ制作や操作にともなう困難や制約を解決するものである。
他の、及びさらなる目的については、後に特に請求項において説明、表現される。
概要
改良型である本発明は、その重要な一つの側面から概略的に、周期的に波動する表面を走査するプローブを、その表面とプローブが相対的に移動するに際して、リアルタイムかつナノメートルスケールで位置測定する方法であって、プローブと表面との間に検知場を設け、プローブを正弦波電圧を制御することによりプローブの基準原点の周りで上記走査中に振動させ、この振動の間に検知場によって生成され表面を通過した後の正弦波出力電圧を測定し、制御電圧と出力電圧の位相及び/又は振幅を前記出力正弦波電圧に前記制御正弦波電圧を掛け合わせることにより比較し、そのような比較をもとに波動表面の一番近い峰からのプローブの距離と方向を示す位置信号を、かくして表面に沿ったプローブの位置を、正弦波制御電圧と実際のプローブ振動との間の位相遅れを完全に除去しつつ、連続的に求める方法を包含するものである。
上記事項の新規な部分集合及び部分的な組み合わせもまた、好ましい最適モードの実施例及び構成と共に、以下において記述され、特許請求される。
図面
本発明は以下に、添付図面を参照して記述されるが、その図1-10(b)は、本発明者の前記した先行特許出願の対応する図面の焼き直しであり、図11(a)-21が、本発明における改良点により特定的に向けられている。
図1は、走査型トンネル電子顕微鏡、信号増幅回路、プローブが原子表面を相対的に移動している様子を総合して三次元的に示した図である。
図2は、本発明に記述されている走査型原子間力顕微鏡についての簡単な模式図である。
図3(a)は、位置測定のためSTMを使った本発明の方法及び装置において、I-Vコンバータからの出力信号、X制御信号およびY制御信号の様子を総合して三次元的に示した図である。
図3(b)は、位置測定の計算過程を示した図である。
図4は、本発明を位置センサとしてXテーブル制御に応用した例である。
図5は、一次元位置情報を得るためにホログラフィック回折格子とリニア走査型センサの動きを模式的に示した図である。
図6は、本発明を用いた二次元位置情報を求めるための計算フローの例である。
図7(a)および(b)は本発明を磁気的、電気的に場が周期的に変化する表面に適用した例である。
図8は、図7と同様な例で物理的に表面が波打った回折格子を容量検知することにより本発明に適用した例である。
図9は、本発明を実証するために用いたグラファイトのSTM像である。
図10(a)および(b)は、実際にグラファイト原子のプローブ走査(XY方向)を行って得られたトンネル電流出力を基にプローブを回転させて走査した場合のコンピュータシミュレーション結果を示す。
図11(a)は、位相ロックループの概念を示す図である。
図11(b)は、本発明を使った周波数シンセサイザーを加えて改良された位置測定の計算フローを示す図である。
図12は、改良された位置測定の計算フローを示す図で、周波数シンセサイザーを加え、参照点トラッキングモードにおける場合を示す。
図13(a)は、位置測定結果に影響を及ぼさない斬新でかつ信頼性の高いギャップ制御を示す。
図13(b)は、図13(a)に示す方法で得られた実験結果である。
図14(a)は、本発明に有用なマイクロマシーンプローブの新しいデザインを示す。
図14(b)は、新しくデザインされたマイクロマシーンプローブの三次元図である。
図15は、マイクロマシーンプローブを用い、アクチュエータが一体化されたプローブ振動のための電子回路図である。
図16は、大変位かつ高精度を可能とする新しくかつ改良されたアクチュエータ制御システムを示す。
図17(a)および(b)は絶対位置の測定のための走査を示す三次元摸式図である。
図18は、最初のデバイス設定のための高精度角度測定方法を示す。
図19は、プローブ振動の振幅を新たな変位センサーを使用することなしに測定する方法を示した図である。
図20(a)は、位置測定の速度改善のための方法およびデバイスを示した図である。
図20(b)は、マルチプレクスされた信号のタイミングを示したチャート図である。
図21は、図20(a)と同様に位置測定の速度改善のための方法およびデバイスを示した図である。
図22は、2つのプローブを用いる方法を示した図である。
図23は、プローブ変位あるいは角度の測定および補償の方法を示したブロック図である。
図24は、プローブをY方向に振動させることにより、信号対ノイズ比を向上し絶対位置測定を行う方法を示した図である。
図25は、非線形度の高い環境でギャップ制御を行うためのブロック図である。
図26は、他の位置測定を示した図である。
好ましい実施例の説明
本発明の先の特許出願や以上述べた改良のベースになる走査型トンネル電子顕微鏡(STM)を用いた具体的実施例を図1に示す。先端を鋭く尖らせたタングステンやPt-Irワイヤおよびそれらと類似の走査センサプローブ2が、例えばテーブルあるいは表面T上の導電材料サンプル3の周期的な原子表面上をSTMモードで操作されている様子が図4に示されている。センサー針がサンプル3から数ナノメートル離れたところに置かれると、センサー針と表面サンプルの下方に位置する電極2’との間に加えられたバイアス電圧Vによってトンネル電流が生成される。
トンネル電流がI-VコンバータAに流れることにより、出力電圧Voutがセンサープローブ2と原子表面3との間の距離の関数として得られる。従って図9に示すようにサンプル表面上をXY方向にプローブ2を走査することにより表面のトポグラフ的な情報が得られ原子像が再生される(図9)。
本発明においては、センサープローブ2は電気的に絶縁された状態で振動するピエゾチューブアクチュエータ1に機械的に固定され、そのXY方向の制御電圧を加え振動させることにより、特に図3(a)に示されるように基準点の周りを円弧状あるいは直線状に振動される。図に示されているように、ピエゾ電圧のための一対のX方向電極(サイン電圧−Asinωt)、1対のY方向電極(コサイン電圧−Asin(ωt+φ),φ=π/2)およびトンネル電流を生成するために必要な数ナノメートル離れた位置に高さを調整するためのZ方向電極がある。
出力電圧Voutはその結果正弦波状となるが、その位相および振幅はピエゾアクチュエータ制御電圧信号とは図3(a)のグラフに模式的に示されるように必ずしも一致しない。出力電圧Voutの位相および振幅を、ピエゾ振動子を駆動する制御電圧信号のそれと比較することにより、プローブの位置、つまり基準点の最近接原子の頂上からの距離および方向、従ってプローブの表面に沿った位置を求めることができる。
図3(b)においては、正弦波状制御信号および出力電圧Voutの位相と振幅の比較が、注目している周波数において掛け算器CおよびC’によってそれぞれ実施されている。位相検出をPDで、振幅検出をADを通じて行った後(例えばModulation Theory,Harold S.Black,D.Van Nostrand Co.,1953,page 141やThe Art of Electronics,Paul Horowitz and Winfield Hill,Cambridge University Press,1993,page 1031に述べられているような振幅変調型の検出器が好ましいが、必須のものではない。)先の参照文献でIEEE International Conference on Robotics and Automation Proceedings(1995年5月22日発行)に数学的に示されているように、プローブ位置情報信号が生成される。これらの信号は表示されたり、記録されたりあるいは図4に示されるようにサンプル3が固定されたテーブルTのモーター制御のためにフィードバックFに用いられる。
テーブルの移動が高速の場合には出力信号Voutにピエゾ駆動周波数に比べドップラー効果に似た周波数変移が生じるが、これらはよく知られているように容易にモーション検出フィードバックによって補正できる。
操作や基本となっている数学をさらに理解するために図3(a)および図3(b)に示されているプローブ2の一次元走査の場合について最初に述べる。図3(a)で、プローブ2と原子あるいは他の周期的構造3(空間周波数ω’)上の相対する点(未知の位置X0)との間のギャップに生成されるトンネル電流(振幅A)によって生成される出力電圧Voutの関数は、この出力電圧Voutの関係式により、以下のように数学的に与えられる。プローブは周波数ωで振幅rで振動しているとする。
ここで、V0はプローブと表面の間の平均距離に対応するトンネル電流によって生じる電庄で、mは整数値、そしてJはベッセル関数を表わす。(先に述べた本発明者のIEEE論文中の式(5)に相当する)式(1)は出力信号Voutがプローブ2の振動周波数より高い周波数成分を含んでおり、n番目の周波数成分の振幅はJn(rω’)に比例する。
先に述べられたように、位置測定の最終目標は電圧信号VoutからX0の値を求めることである。図3(b)において(ここで図3(a)の電圧信号Voutが左側から入力されている)まず、一次元の位置(X0)測定について考える。図3(b)の掛け算器Cで式(1)の電圧Voutとプローブ制御信号であるsin(ωt)との間に乗算を行い、その結果を周波数ωで同期検波し、ローパスフィルターを通すと、以下の式に示されるように原子あるいは他の表面の一番近い峰あるいは頂点からのプローブ位置(X0)の値が自動的に与えられる。
が、式(1)にcos(2ωt)を掛けることにより得られる。(式(2)および(3)は先のIEEE論文中、式(6)に相当する。)以上の2つの結果により、完全な位置測定(X0)が達成される。
二次元の位置測定に関しては同様なコメントがY方向に適用される。図3(b)および図6において、掛け算器C(およびC’)に向かうプローブ振動制御信号発生器の出力は便宜的に太線で示されXとYを意味している。
円形状の走査の場合は、出力信号Voutは詳細な解析の結果
のように示される。ここで、出力信号は正弦的であり、それぞれの周波数成分(例えば式(4)中のsin(ωt)やcos(ωt))の振幅は図10(b)の実験結果で示唆されているように、位置情報X01、Y01を表わす。
もし、図5の場合のように振幅検出ではなく、位相検出が用いられるならば掛け算器C’(図3(b)はI-V変換器からの出力電圧Voutにcos(0.5ωt)を掛け合わせ、
pおよびqは、iに対応するベクトルを表わす。ここで、振動振幅rがJp(i)(rω’)=Jq(i)(rω’)をあるiに関して満足するように選ぶとする。そのとき
従って、図3(b)における位相検出器PDによってω’X0が信号Fによって自動的に生成される。
図9はサイズ1.2×1.2nmのユニオンカーバイド製グレードBのHOPGグラファイト結晶表面の原子のSTM像で、Pt-Irワイヤをプローブ針2に用い、原子表面3から1-2ナノメートル離して約1秒程で走査して得られたものである。ピエゾチューブアクチュエータにはマトロック社製のものを用い、200Hzの正弦波状制御電圧を加えた。その先端には、図1に示されているXとYの正弦波状制御電圧からプローブを絶縁する目的のセラミックをはさんでプローブ2がエポキシ接着剤でしっかりと固定されている。コンピュータの読み出しである図10(a)には、グラファイト原子のSTM像が等高線で示され、制御信号XYをコントロールすることによりプローブ2を回転させた時の軌跡がほぼ円で示されている。その結果、そのプローブ振動によって対応する(が振幅と位相は一致しない)トンネル電流が生成される様子(ハイパスフィルタを通した後)が図10(b)に示されている。
前述のように、プローブ2は、例えば、前述の引用特許に記述されているような図2の原子間力顕微鏡のカンチレバー、変位センサSに置き換えてもよい。
さらに前に述べたように、本発明のナノメートル精度で位置情報を得る技術は他の物理的に周期性を持った原子表面以外の表面、例えば図5に一次元走査の場合として示されているような、導電体でコーティングされたホログラフィック同折格子3’を用いてもよい。明らかにこの技術は他の周期性を持った回折格子やルーリングなどの表面にも同様に適用できるものである。
センサプローブはまた図8に示されているような容量型でもよく、この場合、導電体でコーテイングされた回折格子3を直線状に振動させ、先端の尖った電極と表面電極2’とを容量的に結合させる。
本発明はもちろん図1-5の具体例に示されるような一次元位置情報に限定されるものではない。図6は図3と同様に二次元情報を得る方法を示す。ただし、XとYの制御電圧と出力電圧を用いている。
前に述べたように、スキャンされるべき周期的に峰、頂点、谷などが交互に現われる表面は必ずしも物理的な表面である必要はなく、周期的な磁場や電場あるいはそれらの峰、谷であってもよい。図7(a)は、周期的な磁場が、互いに反対の磁極(N極とS極)が順番に並べられた表面に生成される様子と、直線状に振動された磁場センサがこの周期的な磁場との交互作用によって正弦波状出力電圧を生成する様子を示す。同様に周期的な電場の場合について図7(b)は、表面上に反対の電荷を交互に与えられた強誘電材料や他の材料と例えばカンチレバー型の電気力センサの様子を示す。
さて、本発明の方法および装置によって提供される改良点について、最初に応答速度および精度の改良のための位置測定方法を示した図11(b)(図3(a)と図3(b)を合わせたものに近い)について述べる。簡単のために、位相検出のみについて述べるが、振幅検出方法にも同様に適用されるものである。最初にピエゾアクチュエータ1の実変位が変位センサーによって検出される。この信号は続いて周波数シンセサイザーに入力されプローブ振動に同期した信号を生成する。(cos(0.5ωt)および2.5ωt、また振幅検出の場合はsin(ωt)とcos(2ωt))そして、掛け算器C’と続く周波数シンセサイザーからの位相信号2.5ωtを参照信号として用いた位相検出の後、位置信号が得られる。
そのような周波数シンセサイザーFSで位相ロックループ(PLL)方式に基づく基本的な構成を図11(a)に示す。PLL(点線で囲まれた領域)はループフィルター、積分器およびオシレータから成り、その出力位相が入力位相に一致するように、入力と出力信号の位相ずれを掛け算器C’で検出することで制御される。周波数の生成はPLLからの信号をサイン関数発生器に入力することにより、図11(a)に示すように容易に達成できる。
この新しい方法は環境変化などに伴うプローブ振動の位相シフトを補正することで仮にプローブ振動がそれ自体の共振周波数近くであっても安定で高精度の位置測定結果を提供する。
図12は図11(b)と同様ながら、位置信号がプローブと表面の間の相対的な運動を制御するようにフィードバックされる場合を示す。図4で以前述べられた実施例との関係で述べられたようにここでは特に回折格子スケールの峰や谷の動きを追跡する場合を示す。この場合、センサープローブの位置は
ここでxAは(センサープローブ座標系から見た)センサープローブ振動の中心位置を示す。もし、
であるならば、位相検出器PDを経た信号
は振動振幅のいかんに関わらず常にnπとなる。従って、もしセンサープローブ振動の中心位置が図3(b)の位相検出器からの出力がnπとなるように制御されるならば、xAがわかっているとして位置はX0=-xA+nπ/ω’として得られる。これはセンサープローブ振動の中心位置が回折格子スケールの峰や谷の上で「ロック」した状態である。同様に、もし
ならば、位相検出器PDを経た信号が振動振幅にかかわらず、常にπ/2+nπとなる。再び、これはセンサープローブ振動の中心位置X0+xAが回折格子スケールのゼロ交差点上で「ロック」した状態である。このような「ロック」した状態で、位置X0は式10(b)にxAを代入することで計算できる。
この位置検出における改良は、プローブ振動振幅の変化や誤差に対して影響が少なくなるため、さらに高精度な測定が可能となる。
単一のプローブについて説明を行ってきた一方、複数のプローブを使用することも可能である。例えば図22に示すように、二つのプローブ、プローブAとプローブBが一次元の回折格子表面に沿って距離x1=(2nπ+θ’)/ω’(nは任意の整数)隔てて置かれている。各プローブは同じ周波数ωだが、違った位相でそれぞれ以下のように振動しているとする。
従って、I-V変換器1とI-V変換器2の出力の差電圧を求めると、以下のようになる。
ここで、θ=π/2でX1=π/2ω’である。明らかに、式(12)は以下のように変形される。
この場合にも、位置X0は位相検出器(図3(b)、11(b)、12に示されているPD)を経て求められる。θとθ’の値を変更することにより、この方法に関してはいくつかのバリエーションが考えられる。
複雑さが増すものの、この構成の有利な点は位置測定に際して基本周波数成分のみを検出すればよく、I-V変換器に要求されるバンド幅を下げることができる点にある。単一のプローブを用いる場合は式(2)と(3)に示されるように、少なくとも基本周波数の2倍のバンド幅が必要である。それぞれのプローブに表われる共通なノイズはこの方法によって除去することがさらに可能である。
図26は他のタイプの位置測定の構成をX,Y方向の二次元位置測定に適用したものである。最初の例は二つのセンサープローブが相対的にその振動方向が直交するように参照スケールの上に配置されている場合を示す。まず格子のパターンが、
の様に表わされるとする。今、プローブ1に注目すると、出力電圧Vout1にcos(0.5ωt)を掛け合わせることにより以下の結果を得る。
pおよびqはiに対応するベクトルを表わす。ここでも、振動振幅rがJp(i)(rω’)=Jq(i)(rω’)をあるiに関して満足するように選ぶとすると、
従って、位相検出器(例えば図3(b)におけるPD)によってx方向の位置情報X01が得られる。同様にY方向の位置情報Y02がプローブ2によって得られる。
また、X,θ位置測定のための一次元の回折格子が複数のプローブとともに示されている。この2つ目の場合においては、各プローブがあらかじめ決められた方向に振動し、位置が同方向で測定される。従って、回転中心がわかっているとして、2つの測定結果を比較することにより、期待した位置測定が行われる。
ここで先に述べたギャップ制御問題について、図13(a)は改良されたギャップ制御を行うための装置で、出力電圧Voutに含まれる位置情報を効果的に分離することができる。これはリセットが可能なピーク検出回路RPDを擁するが、デジタル処理を用いても同様のことが可能である。この回路はプローブ振動の一周期よりやや長い時間中の最大出力電圧を維持する。そのピーク値は回路内で保持され、最初にプローブが回折格子の表面からの最小距離を保つようにあらかじめ設定された値を維持しながら、ピエゾチューブのZ軸電圧へフィードバックされる。そのピーク値は続いて次のピーク検出のためにリセットされる。その間、出力電圧Voutは位置検出回路に入力される。(その結果)ギャップ制御の周波数応答はプローブ振動周波数よりもかなり遅くなるため、この方式により続く位置測定過程に影響を与えることはない。
図13(b)は図13(a)で述べられた方法に基づいて得られた実験結果を示す。図14(a)で述べられたマイクロマシーンプローブが用いられた。上のグラフは回折格子が移動する前のVoutである。プローブは約3KHzで振動している。X軸は時間(200μsec/div)を表わし、Y軸はVoutを示す。下側のグラフは回折格子が少し移動した後の結果を表わす。信号パターンの違いが観察される。従って、本発明による新しい制御方法が位置情報を失うことなしに適当なギャップ距離を維持できることは明らかである。
図25は非線形関数マッピングを用いたギャップ制御の方法を示す。トンネル電流とギャップ距離の関係が低出力電圧領域でほぼ線形に対応されている。しかしながら、ギャップ距離が非常に小さくなるに従ってその関数は急激に上昇するようにマッピングされている。このマッピング関数は最初にピーク検出器からの信号に適用される。そういったマッピングを経た出力信号は次にZ電圧制御をとおしてギャップ距離制御のためのフィードバック信号として用いられる。
さらに改良されたギャップ制御について、図16はピエゾあるいは電歪素子を用い、デジタル制御システムにより固体アクチュエータの最大運動距離を確保しつつなお高精度を維持する方法を示す。これは2つのデジタルーアナログ変換器(D/A)を用いて実現される。Z方向の必要な制御電圧を計算した後、この制御信号は2つのD/Aを通して出力される。フィルターF1およびF2を通過した出力電圧V1およびV2はそれぞれ高電圧アンプによってR/R1(=1)とR/R2(=10)倍に増幅された後足し合わされる。もしD/Aが16ビットの解像度を持ち、プラスマイナス10ボルトの出力範囲を持つならば、この構成は高電圧アンプの出力つまりZ軸電圧をプラスマイナス110ボルトまで振ることができる。このような高電圧にもかかわらず、出力の解像度はD/A(本来)の解像度によって決定され、この場合約0.3mVとなる。
普通は信号が増幅されるとノイズも増幅される。この影響を少なくするためにフィルターF2をローパスフィルターとして構成する。F1は高電圧アンプの応答特性が最適化される伝達関数を持つように選ばれる。
以前のプローブ制作に関する先に述べられた限界に対し、図14(a)では<100>面を持ったシリコン結晶ウエハーからプローブを作成する様子を示す。(図14(a)のステップ1)この方法はポタシウムハイドロオキサイド(KOH)などの異方性エッチング液を使用した場合、<111>面のエッチング速度が他の結晶面より非常に遅くなることを利用する。(ステップ3)。マスクパターンが保護層によって形成された後(ステップ2)、異方性エッチングによって主に54.7度の傾斜を持つ<111>結晶面が残される。この方法はさらにマスクパターンの凸部の角などの部分がエッチングによってアンダーカットされる事実を利用する(ステップ3)。その結果、槍の穂先状のプローブが形成される。最後に、薄膜の金属フィルム(<50mm)が電極形成のために蒸着され(ステップ4)、切り出され(ステップ5)そしてベースのユニットに固定される。このプローブは厚み方向に最低の共振周波数を持ち、本発明の改良を達成するのに理想的である。原子間力顕微鏡(AFM)に用いられるプローブと比較して、ワイヤーを結合するスペースなどに制約がなく、ベースにマウントすることが容易である。
図14(b)はこの新しいプローブの利点を図示したものである。プローブ先端はさらに異方性エッチングとアンダーカット効果によってわずかに曲率半径を持ち、対称的に薄くされたスクリュードライバーのような形に作成される。その対称性により、プローブは初期設定における回折格子表面に対する誤差θに対して大きな許容を持つ。第二に、このプローブデザインは通常の針状のプローブと比べ、大きな先端面積を有するため、プローブ近傍の平均的な信号出力を得ることができる。これは最終的な位置測定結果において信号対ノイズ比を向上させることに寄与する。同様な効果はプローブをX方向に比べ、Y方向にさらに速く振動させることによっても得られる。
図15は図14(a)および図14(b)に示されているデザインに基づいたモノリシックに形成されたプローブセンサーとアクチュエータの例を示す。振動用のアクチュエータはピエゾフィルムか磁歪フィルムを堆積することにより、また静電力を発生するための一対の電極を形成したりあるいは他の固体アクチュエータを形成することによって形成できる。図15に示した場合ではピエゾフィルム付のプローブデバイスがピアースタイプの振動回路の一部になっている。(しかしながら、もちろんこの回路に限定されるものではない)振動情報はアクチュエータに正帰還されることにより安定した振動を提供する。
絶対位置測定のための改良された位置センシングに関して、図17(a)および図17(b)は本発明を用いて絶対位置情報を提供するための方法を示す。図17(a)では同じベース上に2つのホログラフィック回折格子が隣り合って形成されている。これら2つのホログラフィック回折格子は少しだけ異なった(空間)周期pとp’を有する。今、この2つのプローブがそれぞれの回折格子上で振動し、測定された位置が同じ値を示すとする。ところが、近接している峰からの距離とそれぞれの回折格子の周期との間の比は、回折格子周期の違いのために異なった値を示す。実際その比の違いは原点からの絶対位置の関数となる。これは2つの信号がよく似た周波数を持つことによって生じるビート現象を考えるとわかりやすい。従ってそれらの比を計算することによりナノメートルの精度で絶対位置を求めることができる。
図17(b)はスケール原点の正確な位置を定義する方法を示す。この場合、回折格子の端は平らな表面を形成する。式(1)より、振幅検出器からの出力信号(図3(b)のAD)がプローブ振動の中心が回折格子上から平らな領域に移動するにつれてゼロになることは明らかである。従って原点の絶対位置は出力電圧Voutの高周波信号の振幅を検出することにより定義できる。図17(a)に示した2つの回折格子を用いた方法と原点確定の方法を用いることにより完全な絶対位置測定が可能になる。
図24はさらに、単一のプローブを2つの回折格子表面上でXY方向に交互振動させることにより絶対位置を求める方法を示した図である。絶対位置は近接している峰からの距離とそれぞれの回折格子の周期との間の比を比較した後に得られる。
もし回折格子表面がプローブ振動面に対してわずかながら傾いている場合、ひとたびプローブアクチュエータがZ方向に移動するとプローブ座標系の原点と回折格子座標系との相対的位置が変化することになり、位置測定誤差の原因となる。従ってしかるべき補正を行うために傾き角を知ることは重要である。図18はそのような角度を測定する方法を示す。この場合、回折格子表面とマイクロマシーンプローブの表面がレーザーやLEDを光源とする簡単な光学ミラーとして用いられている。図に示すように2つに区切られた光検出器で検出される光強度の差はプローブのX方向の動きを表わすと同時に回折格子表面とプローブ振動面との間の角度を表わす。
本発明は特別な角度センサーを用いることなしに角度測定を可能にする。回折格子表面の角度αは式(1)における出力電圧Voutにαr sin(ωt)項を加えることになるため、sin(ωt)とsin(3ωt)成分の振幅は以下の様に表わされる。
その結果、出力信号E-FJ1(rω’)/J3(rω’)=αrは傾きαを示す。もちろん、サンプル表面がフラットな場合、傾きαを求めるためにはsin(ωt)の振幅のみを測定すればよい。この方法は角度変化に対して非常に敏感であるため、一般的な角度センサーとしても非常に有用である。
先に述べた位相検出法においてはまた、プローブ振動振幅が特定のiにおいてJp(i)(rω’)=Jq(i)(rω’)を満たすように設定するのが便利である。しかしながら、正確なプローブ振動振幅を知るのは簡単なことではない。本発明は(これらに関する)改良されかつ、正確な測定を特別なプローブ変位センサーを用いることなしに提供する。
例えば式(1)より、sin(2ωt)とsin(4ωt)成分の振幅はそれぞれ
と表わされる。従って出力信号
はプローブ振動振幅rの関数として求められる。
センサー電極の電気的走査速度がvでトンネル電流アンプからの出力電圧Voutが以下のように表わされるとする。
ここでプローブの座標系は最初のプローブ電極に固定されているとする。もし最後の電極の位置がx=2π(n-1)/ω’nであるならば、X0は図3(b)の位相検出器PDにVoutを入力することで求められる。nはプローブ電極の数である。
図20(a)は高速プローブ走査の方法およびデバイスを示す。複数のプローブ電極がプローブ構造上に形成され、それぞれ各I-V変換器に接続されている。複数の電極が回折格子の峰/谷線に対してわずかに傾くように設置されている。従って各I-V変換器の出力電圧を電気的に走査(マルチプレキシング)することにより、超高速の位置測定が得られる。図20(b)は本発明の他の利点を説明するものである。電気的パルスのタイミングがI-V変換器からの出力電圧が同じ時間間隔で走査されるように生成される。これは単一のプローブを一定速度で一方向に動かすことと同じである。従ってマルチプレクスされた信号はsin(ωvt+ωX0)となる。ここでωは回折格子の空間周波数、vは走査速度、X0は測定されるべき位置を表わす。明らかなように、位相情報は位置を示し位相検出器によって容易に抽出される。
図21は複数電極(プローブ)位置検出デバイスの他の構成を示す。図20に示された方法と違って隣り合う複数のプローブが電極を層状に積み上げることによって構成される。
さらに本発明を用いた数々の変形態が考えられるが、これらは請求事項に定義されている本発明の精神と範囲に含まれるものである。
Claims (41)
- 周期的信号を持った表面をその表面とプローブが相対的に移動しながら走査することにより、リアルタイムかつナノメートルスケールの位置測定を行う方法であって、
プローブ(2)と表面(3)との間にセンシングするための場を設け、
プローブ(2)を、正弦波状の電圧(X、Y)を制御することによりプローブ(2)原点の周りで前記走査中に振動させ、
この振動によりセンシング場によって生成され表面を通過した後の正弦波状の出力電圧(Vout)を測定し、
制御電圧と出力電圧の位相ならびに振幅を前記出力正弦波電圧と前記制御正弦波電圧を掛け合わせることにより比較し、正弦波制御電圧と実際のプローブ振動との間の位相遅れを完全に除去し、
そのような比較をもとに波打った表面の一番近い峰からのプローブの距離と方向、つまり表面(3)に沿ったプローブ(2)の位置を示す位置信号を連続的に求めることからなり、
対になって離れて振動しているプローブ(A、B)が用いられ、一つはX軸のような一次元上の位置信号を求め、もう一つは前記プローブとは振動周波数は同じであるが位相がずれるように振動し、Y軸のような直交方向の位置信号を求める方法。 - 位相遅れの除去とは実際のプローブ(A、B)の振動変位を検出し、その信号に応じて周波数シンセサイザーを制御しそのようなプローブ振動に同期した正弦波状の信号を生成するもので、その生成信号を正弦波制御電圧のかわりに掛け算することにより実施される請求項1に記載の方法。
- 位置信号がプローブ(A、B)と表面(3)の相対的な動きを制御するためにフィードバックされる請求項1に記載の方法。
- プローブ振動の中心位置が、位相検出後の出力信号によって常にnπかπ/2+nπになるように制御される請求項1に記載の方法。
- プローブ(A、B)が各々に対して相対的な振動方向が直交するように表面上に配置された請求項4に記載の方法。
- 一次元の位置測定を行うために、各々のプローブ(A、B)が前記方向に沿って振動し、走査が行われる請求項1に記載の方法。
- プローブと表面の距離(ギャップ)が検出され、それによって生じる信号が、プローブ(A、B)が表面に接触することを避けるためにフィードバックされる請求項1に記載の方法。
- 検出とは表面のピークに対応する最大出力電圧をプローブ振動の1周期より長めにホールドするもので、その電圧がプローブと表面の最小距離を制御するようにフィードバックされる請求項7に記載の方法。
- ホールドが表面の次のピーク(検出)のために続いてリセットされる請求項8に記載の方法。
- 出力信号対ギャップが最小ギャップに近づくにつれ急に立ち上がるように非線形にマッピングされ、そのようなマッピングからの出力信号がフィードバック信号に利用される請求項7に記載の方法。
- プローブ(A、B)がマイクロマシーニングによって槍の穂先状に形成される請求項1に記載の方法。
- 金属フィルム電極表面がプローブ(A、B)に設けられている請求項11に記載の方法。
- プローブ(A、B)先端が曲率を持つ刃状となるように、対称に薄くされる請求項11に記載の方法。
- プローブ(A、B)が、モノリシックなプローブセンサー/アクチュエータとして機能するようにシリコンなどの結晶ウエハーから形成される請求項12に記載の方法。
- プローブ(A、B)が電子発振回路の一部として配線される請求項14に記載の方法。
- プローブ(A、B)の対がとなり同士の少しずつ異なった周期を持つ回折格子の上で振動し、それぞれの波打った表面の一番近い峰からの距離と回折格子の周期との異なる比を求め、そのような比の違いを計算することにより絶対位置情報を求める請求項1に記載の方法。
- プローブ(A、B)が隣接した回折格子の上でXY方向に同時に振動し、それぞれの波打った表面の一番近い峰からの距離と回折格子の周期の比を比較し、絶対位置情報を求める請求項16に記載の方法。
- プローブ(A、B)が回折格子表面に対しやや傾斜した面上で振動し、その傾きをプローブと回折格子から光を反射させ、反射光の強度の差を検出することによって求める請求項1に記載の方法。
- プローブ(A、B)が複数の電極のセットによって供給され、それぞれが走査電流出力信号を生成し、マルチプレキシングや、それら複数の電流信号を同時に対応する出力正弦波電圧に変換し、位置信号を求める請求項1に記載の方法。
- プローブ(A、B)が連続する層状の電極によって形成され、隣り合った複数の積層されたプローブが形成される請求項19に記載の方法。
- 表面とプローブが相対的に移動しながらセンサプローブによって周期的な信号を持った表面を走査することにより、リアルタイムかつナノメートルスケールの位置測定を行う装置であって、
前記プローブ(2)と、そのプローブと表面(3)との間に(信号の)流れを形成する手段と、
プローブ(2)を正弦波状の制御電圧を加えることによりプローブ原点の周りで前記走査中に振動させる手段と、
この振動により表面(3)を通過した後の(信号の)流れによって生じた正弦波状の出力電圧(Vout)を測定する手段と、
制御電圧と出力電圧の位相ならびに振幅を比較する手段と、この比較する手段が、前記出力正弦波電圧と前記制御正弦波電圧を掛け合わせる手段と、正弦波制御電圧と実際のプローブ振動との間の位相遅れを完全に除去する手段を含み、
そのような比較をもとに一番近い原子または波打った表面の一番近い峰からプローブの距離と方向、つまり表面に沿ったプローブの位置を示す位置信号を連続的に求める手段とを組み合わせて有し、
対になって離れて振動しているプローブ(A、B)が用いられ、一つ(A)はX軸のような1次元上の位置信号を求め、もう一つ(B)は前記プローブ(A)とは振動周波数は同じであるが異なる位相で振動し、Y軸のような直交方向の位置信号を求める装置。 - 位相遅れを除去する手段は実際のプローブの振動変位を検出する回路、その信号に応じてプローブ振動に同期した正弦波状の信号を生成する周波数シンセサイザーそして、その生成信号を正弦波制御電圧のかわりに掛け算器に入力する手段よりなる請求項21に記載の装置。
- 周波数シンセサイザーが位相ロックループを採用する請求項22に記載の装置。
- プローブ(A、B)と表面の相対的運動を制御するように位置信号をフィードバックするためのフィードバック回路が構成される請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)振動の参照中心位置を示す位相検出後の出力信号が常にnπかπ/2+nπになるようにそのような中心位置が制御される請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)が各々に対して表面上に相対的な振動方向が直交するように配置された請求項21に記載の装置。
- 一次元の位置測定を行うために、各々のプローブ(A、B)が前記方向に沿って振動し、走査が行われる請求項21に記載の装置。
- プローブと表面の距離(ギャップ)が検出され、それによって生じる信号が、プローブ(A、B)が表面に接触することを避けるためにフィードバックされる請求項21に記載の装置。
- 表面のピークに対応する最大出力電圧を、検出する回路で、プローブ(A、B)振動の1周期より長めにホールドし、その電圧をプローブと表面の最小距離を制御するようにフィードバックする請求項28に記載の装置。
- ホールドが表面の次のピーク(検出)のために続いてリセットされる請求項29に記載の装置。
- 出力信号対ギャップが最小ギャップに近づくにつれ急に立ち上がるように非線形にマッピングされ、そのようなマッピングからの出力信号がフィードバック信号に利用される請求項28に記載の装置。
- プローブ(A、B)がマイクロマシーニングによって槍の穂先状に形成される請求項21に記載の装置。
- 金属フィルム電極表面がプローブに設けられている請求項32に記載の装置。
- プローブ(A、B)先端が曲率を持つ刃状となるように、対称に薄くされる請求項32に記載の装置。
- プローブ(A、B)が、モノリシックなプローブセンサー/アクチュエータとして機能するようにシリコンなどの結晶ウエハーから形成される請求項33に記載の装置。
- プローブ(A、B)が電子発振回路の一部として配線される請求項35に記載の装置。
- プローブ(A、B)の対がとなり同士の少しずつ異なった周期を持つ回折格子の上で振動し、得られるそれぞれの波打った表面の一番近い峰からの距離と回折格子の周期の異なる比を求め、そのような比の違いを計算することにより絶対位置情報を求める請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)が隣接した回折格子の上でXY方向に同時に振動し、それぞれの波打った表面の一番近い峰からの距離と回折格子の周期の比を比較し、絶対位置情報を求める請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)が回折格子表面に対しやや傾斜した面上で振動し、その傾きをプローブと回折格子から光を反射させ、反射光の強度の差を検出することによって求める請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)が複数の電極のセットによって供給され、それぞれが走査電流出力信号を生成し、マルチプレキシングや同時にそれら複数の電流信号を同時に対応する出力正弦波電圧に変換し、位置信号を求める請求項21に記載の装置。
- プローブ(A、B)が連続する層状の電極によって形成され、隣り合った複数の積層されたプローブが形成される請求項40に記載の装置。
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