JP4872074B2 - 原子位置固定装置、原子位置固定方法、原子操作方法及び原子間力測定方法 - Google Patents
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Description
所定の原子間力が作用した状態で探針を試料表面と水平方向又は垂直方向に走査させて試
料表面の原子を操作する。探針と原子との相対位置が維持されていることから、目的の原
子を確実に操作することができる。
第12発明に係る原子間力測定方法は、原子間力が作用する探針を試料表面の原子上に配置し、該原子からの前記探針の垂直方向の距離を変化させて、前記原子及び探針間の原子間力の変化量の距離依存性データを求め、該距離依存性データに基づいて原子間力を測定する原子間力測定方法において、上述した原子位置固定装置を用いて、前記試料表面の原子と前記探針との相対位置を固定する固定ステップと、前記探針及び原子の垂直方向の距離を変えたときの、前記探針の振動周波数変化量を測定する測定ステップとを有し、前記固定ステップ及び測定ステップを繰り返して、振動周波数変化量の距離依存性データを得、得られた距離依存性データに基づいて、振動周波数変化量から原子間力を求めることを特徴とする。
第13発明に係る原子間力測定方法は、複数の距離依存性データを得、得られた複数の距離依存性データを平均化することを特徴とする。
第14発明に係る原子間力測定方法は、原子間力が作用する探針を試料表面の原子上に配置し、該原子及び前記探針間に印加する電圧を変化させて、前記原子及び探針間の原子間力の変化量の電圧依存性データを求め、該電圧依存性データに基づいて原子間力を測定する原子間力測定方法において、上述した原子位置固定装置を用いて、前記試料表面の原子と前記探針との相対位置を固定する固定ステップと、前記探針及び原子間に印加する電圧を変えたときの、前記探針の振動周波数変化量を測定する測定ステップとを有し、前記固定ステップ及び測定ステップを繰り返して、振動周波数変化量の電圧依存性データを求め、得られた電圧依存性データに基づいて、振動周波数変化量から原子間力を求めることを特徴とする。
第15発明に係る原子間力測定方法は、前記固定ステップが必要であると判定した場合に、前記固定ステップを行うことを特徴とする。
(第1の方法)
探針10を試料表面の原子50に近づけると、探針10と原子50との間に作用する力学的な相互作用(原子間力)が大きくなることから、探針10又は原子50の一方を、試料表面の法線と直交する2方向(ここではX方向及びY方向)に振動させる(図1(a))。このようにすれば、探針10に作用する原子間力に基づいて、探針10を取り付けたカンチレバー(後述する)の共振周波数が変化する(周波数シフト)。周波数シフトは、作用している原子間力を反映しており、周波数シフトに係る信号及びその信号に所定の信号処理を行った信号には、X方向の周波数f1 及びY方向の周波数f2 の2つの成分、さらにはそれらの高調波成分が含まれている。これが、原子間力に基づく探針の振動周波数の変化量である。したがって、この2つの周波数成分がゼロとなるように、探針10又は原子50の水平位置、すなわちX方向及びY方向の位置を制御することにより、熱ドリフトやクリープ現象によって平面方向に試料が移動しても、探針10が追従して所定の原子位置に固定されるので、探針10と原子50との相対位置を維持することができ、探針10の原子50に対する相対位置を長時間かつ安定に固定することができる。探針10に作用する原子間力を反映した周波数シフトに係る信号を検出し、その信号のうちの周波数成分f1 ,f2 を検出することによって探針10と原子50との相対位置を制御することから、原子50に要求される制約(例えば導電性)がなく、いかなる原子50で試料が構成されていても探針10の原子に対する位置を固定することができ、その適用範囲は極めて広い。以下、説明の簡略化のため、X方向とY方向とが直交する直交座標系について説明するが、2方向が交差した座標系において2つの周波数成分がゼロとなる場合は、直交座標系における2つの周波数成分がゼロとなることと等価であることから、X方向とY方向とが直交している必要はない。
X方向における周波数f1 とY方向における周波数f2 とは若干程度の異なる値が必要となるが、直交する2方向に同じ周波数で位相が90度ずれている信号(例えば、周波数f1 =f2 =f0 としたとき、Rsin(2πf0 T)とRcos(2πf0 T)、Rは振幅)を印加して、探針10(又は原子50)を回転(円運動)させる(図1(b))。この場合も第1の方法と同様に、探針10を取り付けたカンチレバーの共振周波数が変化する。周波数シフトに係る信号及びその信号に所定の信号処理を行った信号には、X方向及びY方向に相当する周波数成分、さらにはそれらの高調波成分が含まれている。これが、原子間力に基づく探針の振動周波数の変化量である。したがって、周波数成分がゼロとなるように、探針10又は原子50の水平位置、すなわちX方向及びY方向の位置を制御することにより、熱ドリフトやクリープ現象によって平面方向に試料が移動しても、探針10が追従して所定の原子位置に固定されるので、探針10と原子50との相対位置を維持することができ、探針10の原子50に対する相対位置を長時間かつ安定に固定することができる。探針10には、長さが10μm、先端が数nmφの弧状のシリコンを用いることができる。このような微細な探針10は半導体の微細加工技術によって得ることができる。なお、探針10の材料については限定されるものではないが、例えば、表面観察用のシリコン製探針を用いる場合、探針の表面に被覆されている酸化物及びゴミなどを除去することにより、より原子間力の感度を高めて分解能を向上させることが好ましい。
NC−AFMは、その長さが例えば100〜200μmの微小な板バネのようなカンチレバー11の先端に探針10が配置されており、カンチレバー11の国有の振動数(共振周波数)frにて振動する。共振周波数frは、概略、カンチレバー11のバネ定数k,探針10の質量mを用いると、fr=1/2π×√(k/m)である。周波数変調方式では、共振周波数fr及び所定の振幅Rで探針10を振動させ、試料表面(原子50)に近づける(図2(a))。探針10が原子50の表面に近づいたとき、探針10と原子50との間に力学的相互作用が作用する。このとき、カンチレバー11の共振周波数frが変化する(周波数シフトΔf)。周波数シフトΔfは、探針10と原子50との間に引力が作用したときには負の値(一点鎖線)となり、斥力が作用したときには正の値(二点鎖線)となる(図2(b))。通常のNC−AFMでは、引力領域、つまり探針10が原子50に接触していない状態で各種の測定を行う。
本発明に係る原子位置固定装置1は、カンチレバー11、カンチレバー11の一端に取り付けられた探針10、及びカンチレバー11の他端に取り付けられた圧電素子のような加振部12から構成される走査ユニットと、対象である試料Sを載置するための試料支持部21、試料支持部21を3次元方向に操作するための垂直位置走査部21、及び水平位置走査部22から構成される位置走査ユニットと、変位検出部13、加振制御部14、周波数検出部15、垂直位置制御部16、及び水平位置制御部17から構成される制御ユニットとを備えている。なお、制御ユニットの各部は、図示しないPCのようなコンピュータに制御されるようになっている。
固定位置決定部は、探針10を固定する原子位置を決めるものであって、水平位置調整部33a,33b,33(制御部として機能)をHOLDモードにして、水平位置調整部33a,33b,33の出力信号に所定の電圧を加算することで探針と原子の相対位置を変える。走査信号に固定位置決定部と同等の信号を含ませるようにしてもよい。位置の決定は、アナログ回路を用いたオフセット回路と加算器とで構成してもよいが、コンピュータのソフトウェアから行うことも可能である。固定したい位置近傍に探針10を配置すれば、制御部(水平位置調整部33a,33b,33)をRUNモードにすることで目標位置に探針10が固定される。
位置微調整部は、フィードバック制御における所謂セットポイントを調整する箇所であり、水平制御の位置を適宜微調整するものである。位置微調整部がない場合、凸部分の頂点、凹部分の最下点、サドルポイントで位置の固定が可能である。一方、位置微調整部を導入した場合、制御部の入力信号にオフセットをかける、つまりセットポイントに対応する信号を加算又は減算することで、原子50の頂上からΔx離隔した位置で探針を固定することが可能となる。具体的には、原子50の頂点(図7(a))や空欠陥の底点(図7(b))では、位置微調整部が加算する電圧をゼロとする。そうすることで制御部は入力信号、つまり同期検波部の出力がゼロになるように、探針10と試料(原子50)との相対位置を微調整する。位置微調整部が加算する電圧がゼロでない場合、同期検波器の出力値がその値を反映した値を出力して、水平位置が変化する。
探針10の位置を固定するには、試料表面に対して直交する2軸(X軸及びY軸)を決定し、それぞれの方向において独立に水平位置の制御を行う。例えば、原子50の頂点で探針10の位置を固定する場合(図8(a))、空欠陥や表面再構成によってできたホールで探針10の位置を固定する場合(図8(b))、原子50,50間の谷で探針10の位置を固定する場合(図8(c))、一方向には頂上であるが、直交する方向には谷になっている部分に探針10の位置を固定する場合(図8(d))などがあげられる。なお、図8においては、白丸が原子50を示しているが、必ずしも原子50の位置が高く画像化させるとは限らない。探針10の先端と試料表面の原子50とを取り巻く電子の相互作用によって、実際の凹凸と見かけ上異なる画像が得られることがあるが、その場合は高い位置に原子50があると見なしてよい。
直交する2軸で独立にフィードバックを行えばよいので、考えられるラインプロファイルは、ラインプロファイルの頂点の部分(図9(a))、ラインプロファイルの底の部分(図9(b))、ラインプロファイルの谷の部分(図9(c))、ラインプロファイルの底だが下地又は2層目の原子が少し見られる部分(図9(d))などがある。図9(a)では、発振回路から出力される信号の振幅Rは原子間距離dの1/2よりも小さく(R<d/2)、発振回路からの周波数f0 (f1 、f2 )で同期検波部において同期検波する。図9(b),(c)では、水平位置制御部の出力を反転することで、底の位置で探針を固定することができる。図9(d)では、下地又は2層目の原子がトラッキング可能なくらいの信号を検出できるならば、上述と同様に行えばよいが、そうでない場合は、振幅Rが原子間距離dよりも大きい(R>d)信号を用い、周波数2f0 (2f1 、2f2 )で同期検波して、その値が最大になるように制御部にてフィードバック制御を行うようにする。このように、発振回路が出力する信号の周波数のみならず、その高調波信号(つまり発振回路が出力する信号の整数倍の周波数)で同期検波してもよい。
図10(a)の画像を取得した後、すばやく探針を矢印の位置に移動させ、本発明の原子位置の固定(RUN)を実施した。61分後、HOLDにして画像を取得した(図10(b))。61分経過した後であっても、同じ画像を取得することができていることを、両図の上方に見られる付着物Pにより確認した。つまり、熱ドリフトが生じた場合であっても、探針を常に所定の原子の位置に移動させることができることを確認した。図11(a)に示すように、61分の間に約135ÅのXY方向の移動があった。つまり、本発明の原子位置固定装置を用いなかった場合、探針10の位置が約135Åずれることになるが、本発明の原子位置固定装置を用いることによって、探針10と原子50との相対位置を維持することができ、探針10の原子50に対する相対位置を長時間かつ安定に固定することができる。また、図11(b)に示すように、ノイズレベルは0.2Åであり、原子間距離(ここでは7.5Å)に比べて無視できる程度であることがわかる。
探針10を試料に近づけた場合、周波数シフトΔfが負の方向に大きくなることから、例えば、探針10を狙った原子50の位置で探針10を近づけると、その原子と探針との周波数シフトΔf−距離Z曲線を測定することができ、周波数シフトΔfを力に変換するアルゴリズムを用いれば、原子の結合力を測定することが可能となる。従来、室温環境下では、熱ドリフトやクリープ現象の影響のため、探針10と試料との位置が時間とともに変化するために、所定の原子位置で分光測定をすることが困難であったが、本発明の原子位置固定方法を用いることによって、探針10を所望の原子50の位置に固定することができるので、たとえ室温環境下であっても、原子50の結合力を測定することが可能となる。
まず、試料表面の原子50,50,…のうちから距離依存性測定を行う原子50aを選択する(図13(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図13(b))。このとき、探針10は原子50aの真上になく、また熱ドリフトによって常に相対位置が変化している。次に本発明の原子位置固定方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図13(c))。そして、探針10の原子50aに対する垂直位置を変化させて距離依存性測定を行う(図13(d))。もちろん、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動して距離依存性測定を行うことが可能である(図13(d´))。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50,50,…を画像化する(ステップS1)。次に、画像化された試料表面の原子50,50,…のうちから距離依存性測定を行う原子50aを選択する(ステップS2)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS3)、水平位置の制御を行う(ステップS4)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10−試料(原子50a)間距離を変更することによって、距離依存性測定を行う(ステップS5)。そして、距離依存性測定が終了したか否かを判断し(ステップS6)、距離依存性測定が終了したと判断した場合(S6:YES)、処理を終了する。一方、距離依存性測定が終了していないと判断した場合(S6:NO)、処理をS4に戻して水平位置の制御を行って、距離依存性測定を継続する。
まず、試料表面の原子50,50,…のうちから電圧依存性測定を行う原子50aを選択する(図18(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図18(b))。次に本発明の原子位置固定方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図18(c))。そして、探針10と原子50aとの間に電圧を印加して電圧依存性測定を行う(図18(d))。もちろん、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動して電圧依存性測定を行うことが可能である(図18(d´))。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50,50,…を画像化する(ステップS31)。次に、画像化された試料表面の原子50,50,…のうちから電圧依存性測定を行う原子50aを選択する(ステップS32)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS33)、水平位置の制御を行う(ステップS34)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10−試料(原子50a)間電圧を変更することによって、電圧依存性測定を行う(ステップS35)。そして、電圧依存性測定が終了したか否かを判断し(ステップS36)、電圧依存性測定が終了したと判断した場合(S36:YES)、処理を終了する。一方、電圧依存性測定が終了していないと判断した場合(S36:NO)、処理をS34に戻して水平位置の制御を行って、電圧依存性測定を継続する。なお、水平位置制御(S34)は、上述した図15又は図16と同様である。
探針10を試料に近づけた場合、探針10に作用する引力によって、周波数シフトΔfが負の方向にしだいに大きくなるが、周波数シフトΔfが不連続的に変化する場合がある。例えば、探針10と試料表面の原子50との間に作用する原子間力が急激に大きくなる場合などである。この場合には、周波数シフトΔfを監視しておき、周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面と水平方向又は垂直方向に走査させて、試料表面の原子を操作することができる。従来、室温環境下では、熱ドリフトやクリープ現象の影響のため、探針10と試料との位置が時間とともに変化するために、所定の原子位置に高精度に探針10を配置することが困難であったが、本発明の原子位置固定方法を用いることによって、探針10を所望の原子50の位置に固定することができるので、たとえ室温環境下であっても原子50を操作することが容易となる。
まず、試料表面の原子50,50,…のうちから原子操作を行う原子50aを選択する(図22(a))。次に、選択した原子50aの位置に探針10を移動させる(図22(b))。次に本発明の原子位置固定方法によって探針10の原子50aに対する水平位置を固定する(図22(c))。そして、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図22(d))。周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面から遠ざける。このとき、探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aを試料表面から抜き出すことができる(図22(e))。なお、図22(e)では、探針10の先端に原子50aがついているが、探針10から離れてしまう場合もある。
図23(a)〜図23(c)は上述の図22(a)〜図22(c)と同様であり、本例では、位置微調整部の機能を用いて、考えられるラインプロファイルの原子固定位置から少しずらした位置に探針10を移動した後に、探針10に所定の原子間力が作用するまで原子50aに近づける(図23(d))。そして、周波数シフトΔfにとびが発生した場合は、探針10に所定の原子間力が作用した状態であると判断して、探針10を試料表面から遠ざける。このとき、探針10と原子50aには所定の原子間力が作用しているので、原子50aを試料表面から抜き出すことができる(図23(e))。このように、探針10と原子50aの相対位置を微調整しながら原子を操作することが可能である。なお、図23(e)では、原子50aが探針10から離れてしまっているが、探針10の先端についている状態も考えられる。
まず、走査型プローブ顕微鏡を用い、試料表面を走査して試料表面の原子50,50,…を画像化する(ステップS41)。次に、画像化された試料表面の原子50,50,…のうちから操作を行う原子50aを選択する(ステップS42)。そして、探針10を固定位置に移動させ(ステップS43)、水平位置の制御を行う(ステップS44)。そして、周波数シフトΔfを測定しながら、探針10を試料(原子50a)に近づける(ステップS45)。そして、周波数シフトΔfにとびが発生したか否かを判断し(ステップS46)、周波数シフトΔfにとびが発生したと判断した場合(S46:YES)、探針10に所定の原子間力が作用していると判断して、探針10を試料表面から遠ざける(ステップS47)。一方、周波数シフトΔfにとびが発生していないと判断した場合(S46:NO)、処理をS44に戻して水平位置の制御を行って、さらに探針10を試料(原子50a)に近づける。なお、水平位置制御(S44)は、上述した図15又は図16と同様である。
10 探針
11 カンチレバー
12 加振部
13 変位検出部
14 加振制御部
15 周波数検出部
16 垂直位置制御部
17,17´ 水平位置制御部
18 傾き補正部
19 垂直位置走査部
20 水平位置走査部
21 試料支持部
31 発振回路
31a 第1発振回路
31a 第2発振回路
32 同期検波部
32a 第1同期検波部
32b 第1同期検波部
33a 第1水平位置調整部
33b 第1水平位置調整部
34a 第1加算部
34b 第2加算部
50,50a,50b 原子
Claims (15)
- 試料表面の原子と、該原子に原子間力が作用する探針との相対位置を固定する原子位置固定装置において、
探針又は原子を前記試料表面と平行な平面で回転させる回転手段と、
該回転手段にて探針又は原子が回転されている状態で、前記試料表面と垂直な方向の探針の振動に起因した原子間力の変化に基づく探針の振動周波数の変化量を検出する検出手段と、
検出した振動周波数の変化量に含まれる回転に同期した周波数成分がゼロとなるように前記探針又は前記原子の前記平面における位置を制御する第1位置制御手段と、
前記探針又は前記原子の前記試料表面と垂直な方向の位置を制御する第2位置制御手段と
を備えることを特徴とする原子位置固定装置。 - 前記第1位置制御手段は、
探針と原子との相対位置を周期的に変化させるための信号を発生する発信手段と、
前記発信手段によって発生した信号又は該信号の高調波信号に同期して、前記検出手段の出力から位相が異なる2つの周波数成分の信号を検波する検波手段と、
該検波手段が検波した2つの周波数成分の信号に基づいて、探針又は原子の2つの周波数成分に対応する2方向の位置を調整するための信号を出力する位置調整手段と、
前記発信手段及び前記位置調整手段が出力する各信号を加算する加算手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の原子位置固定装置。 - 前記検波手段は、
前記検出手段の出力から位相が90°異なる2つの周波数成分の信号を検波するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の原子位置固定装置。 - 試料表面の原子と、該原子に原子間力が作用する探針との相対位置を固定する原子位置固定装置において、
探針又は原子を前記試料表面と平行な2方向に振動させる振動手段と、
該振動手段にて探針又は原子が振動されている状態で、前記試料表面と垂直な方向の探針の振動に起因した原子間力の変化に基づく探針の振動周波数の変化量を検出する検出手段と、
検出した振動周波数の変化量に含まれる前記2方向の振動に同期した周波数成分がゼロとなるように前記探針又は前記原子の前記2方向の位置を制御する第1位置制御手段と、
前記探針又は前記原子の前記試料表面と垂直な方向の位置を制御する第2位置制御手段と
を備えることを特徴とする原子位置固定装置。 - 前記第1位置制御手段は、
前記2方向の周波数成分のそれぞれに対して、
探針と原子との各方向の相対位置を周期的に変化させるための信号を発生する発信手段と、
前記発信手段によって発生した信号又は該信号の高調波信号に同期して、前記検出手段の出力から各方向の周波数成分の信号を検波する検波手段と、
該検波手段が検波した各方向の周波数成分の信号に基づいて、探針又は原子の各方向の位置を調整するための信号を出力する位置調整手段と、
前記発信手段及び前記位置調整手段が出力する各信号を加算する加算手段と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の原子位置固定装置。 - 前記2方向は、直交する方向であること
を特徴とする請求項5に記載の原子位置固定装置。 - 前記位置調整手段は、
前記探針を固定する原子位置を決定する固定位置決定手段を備えること
を特徴とする請求項2、請求項3、請求項5又は請求項6に記載の原子位置固定装置。 - 前記第1位置制御手段の出力を前記第2位置制御手段にフィードバックするようにしてあること
を特徴とする請求項7に記載の原子位置固定装置。 - 前記探針が配されたカンチレバーを備え、カンチレバーに振動を与えることによって前記探針を振動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の原子位置固定装置。 - 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の原子位置固定装置を用いて、試料表面の原子と、前記探針との相対位置を固定することを特徴とする原子位置固定方法。
- 原子間力が作用する探針を用いて試料表面の原子を操作する原子操作方法において、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の原子位置固定装置を用いて、試料表面の原子と前記探針との相対位置を固定し、所定の原子間力が作用した状態で前記探針を前記試料表面と水平方向又は垂直方向に走査させて、前記試料表面の原子を操作すること
を特徴とする原子操作方法。 - 原子間力が作用する探針を試料表面の原子上に配置し、該原子からの前記探針の垂直方向の距離を変化させて、前記原子及び探針間の原子間力の変化量の距離依存性データを求め、該距離依存性データに基づいて原子間力を測定する原子間力測定方法において、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の原子位置固定装置を用いて、前記試料表面の原子と前記探針との相対位置を固定する固定ステップと、
前記探針及び原子の垂直方向の距離を変えたときの、前記探針の振動周波数変化量を測定する測定ステップと
を有し、
前記固定ステップ及び測定ステップを繰り返して、振動周波数変化量の距離依存性データを得、得られた距離依存性データに基づいて、振動周波数変化量から原子間力を求めることを特徴とする原子間力測定方法。 - 複数の距離依存性データを得、得られた複数の距離依存性データを平均化すること
を特徴とする請求項12に記載の原子間力測定方法。 - 原子間力が作用する探針を試料表面の原子上に配置し、該原子及び前記探針間に印加する電圧を変化させて、前記原子及び探針間の原子間力の変化量の電圧依存性データを求め、該距離依存性データに基づいて原子間力を測定する原子間力測定方法において、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の原子位置固定装置を用いて、前記試料表面の原子と前記探針との相対位置を固定する固定ステップと、
前記探針及び原子間に印加する電圧を変えたときの、前記探針の振動周波数変化量を測定する測定ステップと
を有し、
前記固定ステップ及び測定ステップを繰り返して、振動周波数変化量の電圧依存性データを求め、得られた電圧依存性データに基づいて、振動周波数変化量から原子間力を求めることを特徴とする原子間力測定方法。 - 前記固定ステップが必要であると判定した場合に、前記固定ステップを行うことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の原子間力測定方法。
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