JP4189347B2 - ダルロールおよびダルロール加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パソコンなどOA製品に使用される外板用金属板おいて、耐食性および耐指紋付着性能並びに導電性を両立する表面処理金属板を製造するための、粗度ロールおよび粗度ロールの加工方法を提供するものである。
家電製品やパーソナルコンピュータなどの電子機器に使用される外装金属板は、耐食性と、指紋残りが目立たないいわゆる耐指紋性が要求される。また、電子装置の動作安定化やノイズ遮断のために外装金属板と通電しアースを確保するため表面の導電性も、該金属板に要求される。さらに、スポット溶接やシーム溶接などの通電溶接により部材を組み立てる為に導電性を要求される場合もある。一般的に、耐食性と耐指紋性の向上のために、有機または無機成分による皮膜を表面に被覆するが、これら皮膜は多くの場合絶縁体であるため、耐食性と耐指紋性は導電性と両立しにくい。
従来は、導電性を確保する方法として、皮膜による被覆面積率を適切に制御する技術が見出されてきた。例えば、特許文献1のように皮膜による金属表面の被覆面積率を制御する技術や、特許文献2のように金属表面の粗度に応じて特定の厚みの皮膜を被覆する技術などが開示されている。
一方、金属板表面に適当な粗度を付与する方法として、放電ダル加工、ショットダル加工、エッチング加工(例えば特許文献3)、レーザダル(例えば特許文献4)加工などにより圧延ロール表面を粗面化したダルロールにて金属板を圧延する方法が広く用いられている。ダルロールにて金属板を圧延する事により、金属板表面にダルロール表面の粗度を転写する事ができる。
特開平7−41961号公報 特開平10−16128号公報 特開平6−126306号公報 特開平8−155506号公報
本発明者らは、金属板の表面に適当な突起(凸状)の粗度を形成する事で、上記電子機器等の外装用金属板に要求される耐食性、耐指紋性、および導電性の全ての特性が大幅に改善する事を見いだした。
しかし、上記の放電ダルあるいはショットダルにて表面を粗面化したダルロールにて圧延した金属板は、表面粗度凹凸の高低差が小さく、後述する様に、耐食性、耐指紋性、導電性の改善に必要十分な凸状粗度を金属板表面に付与する事が出来ない。
一方、エッチング加工あるいはレーザ加工により圧延ロール表面に微細穴を付与したダルロールは、研削加工されたままのロール表面に微細穴加工を実施されたものである。エッチング加工あるいは、レーザ加工による微細穴部以外には、研削目による極わずかな筋目粗度が存在するのみである。この様なエッチングダルロールあるいは、レーザダルロールにより圧延された金属板表面には、研削目(平坦部)+微細穴転写凸部の粗度が形成される。このうち金属板表面の転写凸部は、耐食性、耐指紋性、導電性の改善に大きな効果があるものの、金属板表面はいわゆる鏡面に近い状態となり(目視時に黒っぽく見える金属板)、金属板外観に問題があるだけでなく、金属板製造過程で発生するごく僅かな表面疵が非常に目立つ事になり、圧延製造管理も非常に厳格に行う必要があるなど製造上にも大きな問題が発生する。
以上のように、従来技術による粗度ロールでは、耐食性および耐指紋性に加えて、導電性、外観、および生産性の全て満足する鋼板を製造する事は非常に困難である。本発明は、この様な問題を解決し、パソコンなどOA製品に使用される外板用金属板おいて、耐食性および耐指紋付着性能並びに導電性を両立し、さらに光沢などの外観、および生産性に優れた表面処理金属板を、安価かつ容易に製造するためのダルロールおよびダルロールの加工方法を提供するものである
発明者らは、上記目的を達成するために、金属板に適正な粗度を付与する粗度ロールに関する検討を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1)金属板を圧延する圧延ロールにおいて、該ロール表面に中心線平均粗さRa≧0.2μm、ろ波中心うねりWca≦100μmの不規則で緩やかな凹凸模様と、直径5〜1000μm、深さ≧0.5μm、個数密度1〜10000個/mm2の微細穴との2種類のダルパターンを有する事を特徴とする圧延ロール。
(2)上記(1)に記載の圧延ロールの加工方法において、不規則な凹凸模様を放電ダルあるいはショットダルのいずれか一つまたは両方の加工方法にて施工し、微細穴をレーザまたはエッチングにより加工する事を特徴とする圧延ロール加工方法。
(3)上記(2)に記載の圧延ロール加工方法において、放電ダルあるいはショットダルのいずれか一つまたは両方のダル加工を施した後に、レーザ加工あるいはエッチング加工により微細穴加工を行う事を特徴とする圧延ロール加工方法である。
本発明のロール加工方法によるロール表面を粗面化したダルロールにて金属板を圧延する事により、耐食性および耐指紋付着性能並びに導電性を両立し、さらに金属板表面光沢などの外観、および生産性に優れた表面処理金属板を、安価かつ容易に製造する事ができる。
本発明のロール加工方法は、下記工程にて製造される。すなわち、研削工程にて適当な形状に加工された圧延用ロール表面に、放電あるいはショットダルにて不規則で緩やかな凹凸パターン(以下通常ダルパターンと呼ぶ)を形成する工程と、該不規則で緩やかな通常ダルパターンを付与したダルロール表面に、エッチング加工あるいはパルスレーザにて微細穴加工を形成(以下微細穴ダルパターンと呼ぶ)する工程である。
上記加工法にて、通常の放電ダルあるいは、ショットダル施工を先に実施するのは、微細穴ダルパターン加工を最初に施工した後に、通常ダルパターン施工を行うと、通常ダルパターン施工により微細穴ダルパターンが消滅し、最終的に圧延ロール表面に2種類の凹凸ダルパターンを形成する事が出来ないからである。
本発明のダルロール表面に微細穴加工を施工する方法としては、圧延ロールを回転しながらロール軸方向に集光したレーザ光を移動させる。使用するレーザは、パルスレーザであれば、レーザ媒質を励起するランプあるいはレーザ半導体レーザをパルス点灯させるいわゆるノーマルパルスレーザ、Qswパルスレーザなどが使用できる。また、個体レーザに限らずパルス発振したCOレーザなどのガスレーザ、ファイバーレーザなども加工に使用できる。また、ダルロール表面にエッチングにより加工する方法としては、ダルロール表面に可視光硬化型感光性樹脂組成物などを塗布した後、凹部に相当する部分を除いて樹脂膜を感光硬化させ、その後未硬化部を洗浄除去し、ロール表面を露出させエッチングを行い、最終工程にて硬化樹脂膜を除去する方法がある。
さらに本発明において、通常ダル施工が完了した時点で、圧延による通常ダルパターンの摩滅防止のため、クロムなどの耐摩耗性にすぐれた材質をロール表面にコーティング施工した後、上記エッチング加工あるいはレーザ加工によって圧延ロール表面に微細穴を施工すると、ロールの圧延寿命が延びる効果が得られる。
上記の工程にて付与される微細穴ダルパターンは、穴径5〜1000μm、穴深さ≧0.5μm、単位面積当りの微細穴個数密度1〜10000個/mm2である。
微細穴ダルパターンの仕様の規定理由を下記に述べる。穴径5μm以上としたのは、微細穴ダルパターンが金属板表面に転写される必要があり、穴径5μm未満では金属板表面への微細穴転写が起こらないためである。また、穴深さを0.5μm以上としたのは、圧延時に微細穴の転写により形成される金属板表面の凸形状高さが0.5μm未満の場合には、十分な導電性の改善効果が得られないためである。また、単位面積あたりの微細穴個数密度Nが1個/mm以下では、同じく十分な導電性の改善効果が得られない。一方、10000個/mmを超えて表面に凸部を配置すると、圧延した金属板の耐食性が劣化する。また、上記微細穴の形状は必ずしも丸に限るものでは無く、圧延により金属板表面に微細な凸形状を転写付与出来るものであれば、三角形、四角形などの幾何学的形状でも良く、さらには不定形な形状でも良い。
通常ダルパターン粗度の仕様の規定理由を下記に述べる。平均粗度Ra≧0.2μmとしたのは、金属板表面に必要とされる光沢制御あるいは、製造工程において発生する微細な表面疵の顕在化抑制において、人間の可視光である波長0.4μm以上の光を散乱する事が必要なためである。また、ろ波中心うねりWca≦100μmとしたのは、金属表面に塗装処理などを施した際に、塗装鮮映性の劣化を防止するためである。
本発明のダルロールによりパソコンなどOA製品に使用される外板用表面処理金属板の耐食性、耐指紋性、導電性が向上するメカニズムについて詳細に説明する。
本発明のダルロールにて製造される表面処理金属板に塗布される皮膜は、有機高分子樹脂や無機高分子などのマトリクスに、金属板の用途に応じて有機顔料ないしは無機顔料を分散したものである。皮膜は単層でも、また、複数の層を順次積層したものでもよく、本発明の要件を満たすなら、金属板表面に酸化処理、クロム酸処理、あるいはリン酸塩処理などの下地処理を施した後で皮膜を被覆してもよい。好ましい皮膜厚さは、0.2〜20μmである。なお、ここで規定する皮膜厚さは、皮膜厚さ(μm)=皮膜付着量(g/m)/皮膜比重(g/cm)、と定義する。皮膜の被覆方法は、ロールコーティング、スプレー塗装、浸漬後にエアーナイフで皮膜厚みを調節するなど、公知の任意の手法から選択できる。また、圧延ロールにて製造される表面処理金属板は、金属板、アルミ板、銅板、チタン板や、それらに亜鉛、ニッケル、クロム、銅、コバルト、シリコン、鉄、マグネシウムなど任意の金属又はそれらの合金によるめっきを施した金属板など、任意の金属板を用いることができる。金属板の好ましい板厚は、0.1〜5.0mmである。
直近のパーソナルコンピュータ筐体などでは、アースをとるための導電性は金属板とバネ式のアース端子との接触によって確保することが多い。また、スポット溶接やシーム溶接などの通電加熱による溶接での導電性は、金属材と溶接電極および金属材同士の加圧接触にて確保される。この場合、当該用途に用いる皮膜付きの表面処理金属板の導電性確保の要件は、金属板表面にアース端子ないしは溶接電極が接触する点に絶縁皮膜が存在しない、または皮膜が接触により容易に破れる事、あるいはアース端子ないしは溶接電極との接触部の皮膜が絶縁機能を発揮しない程度の非常に薄い皮膜厚である事である。よって導電性の確保には、アース端子ないしは溶接電極に接触する機会が多い金属板表面凸部上面に皮膜の被覆がない、または、凸部上面の皮膜がきわめて薄いことが必須であり、そのような凸部が単位面積当たりに多く存在するほど有利である。
一方、皮膜の被覆による金属板の耐食性向上の要件は、腐食環境と金属板の接触を遮断することと、皮膜に含まれる防錆顔料が金属表面にまんべんなく配置される事にある。また、耐指紋性向上の要件は、指先に付着する油脂と腐食成分の混合物の金属表面または皮膜自身へ付着阻止と、付着した場合の変色を抑制して目立たないようにする事である。これらはいずれも、皮膜による金属表面の被覆面積率が高く、かつ、皮膜の厚みが厚い場合に有利である。
以上の事から、耐食性、耐指紋性と導電性の3つの特性を同時に発揮させるには、金属板表面の皮膜に局所的に皮膜厚の薄い部分を形成し、金属板表面にアース端子ないしは溶接電極が接触する点に絶縁皮膜が存在しない、または皮膜が接触により容易に破れる部分を設ける、または皮膜の絶縁機能を発揮しない程度の非常に薄い膜厚である事で導電性を確保し、その他の金属板表面に十分に厚い皮膜を形成し、耐食性、耐指紋性を確保する事が重要である。
通常の工業プロセスにおいて、被覆された耐食皮膜は乾燥処理により有機高分子樹脂や無機高分子マトリクスが除去され、顔料のみが金属表面に残留し、最終的な耐食性や耐指紋性皮膜を形成する。したがって、皮膜厚は被覆直後と乾燥処理後ではマトリクスの蒸発分だけ減少する金属板表面凹凸粗度に対し、塗膜直後の皮膜状態(図1)と乾燥後の皮膜状態(図2)には、皮膜厚に差異が発生する。通常の有機顔料あるいは無機顔料の含有率(重量%)は5〜50%であり、乾燥工程の前後で金属板表面の皮膜厚みは1/2〜1/20になる。したがって、金属表面の凹凸部に着目し乾燥後の最終皮膜厚さの差Δtを考えると、
凸部上面の皮膜厚みt=(t−h)×η/100
非凸部の皮膜厚みt=t×η/100
凸部上面と非凸部の皮膜厚差Δt=t−t=h×η/100
皮膜の有機顔料あるいは無機顔料含有率(重量%)=η
非凸部の被覆直後の膜厚t
となり、Δt=h×η/100の様に、凸部高さhと有機顔料あるいは無機顔料の含有率ηの積で表現する事ができる。つまり、金属表面に十分な高さを持つ凸部が存在すれば、凸部と凸部以外の皮膜厚差を大きくする事が可能であり、凸部上面に局所的に皮膜厚の薄い部分を形成する事が可能である。金属板表面凸部の上面に皮膜が存在しない状態あるいは、凸部上面とアース端子ないしは溶接電極が接触する事により、皮膜が容易に破れる状態、あるいは皮膜が前記機能を発揮するよりも薄い膜厚状態を形成する事ができ、効率よくアース端子ないしは溶接電極との導電性を確保する事が可能となる。さらに金属板表面に存在する凸部上面の総面積が十分小さければ、すなわち、個々の凸部が微細でかつ単位面積当たりに存在する凸部の個数密度が適当な範囲であれば、皮膜の薄い部分あるいは、皮膜の存在しない部分がある事で劣化する耐食性、耐指紋性能も十分維持されたままとなる。
よって、金属表面に十分な高さを持つ微小な凸部を形成する事ができれば、従来技術による同用途の表面処理金属板と比較して皮膜による金属表面の被覆面積率が高くても、あるいは、従来技術より厚い皮膜を被覆しても、導電性を確保できる。この事はすなわち、従来よりも高い耐食性および耐指紋性と導電性を両立することができる事を意味する。
従来よりも高い被覆面積率あるいは皮膜厚みを付与する事が許容される事は、工業的には、被覆する皮膜の厚み、被覆面積率にバラつきが生じても上記の性能を維持し易い事を意味する。すなわち、基材である金属板表面の凸部高さ、あるいは被覆する皮膜の厚みにある程度のバラつきが生じても耐食性能および導電性能を維持できる。皮膜厚みの変動や被覆面積率の変動は、工業製品の生産において常に一定の確率で発生するものであり、それでも性能を維持できるという事は、容易かつ低コストな製品の工業的生産を可能にする。つまり、皮膜の被覆工程における工業的バラつきに対して製品性能が安定しているので、工程管理が容易になり、不良品発生によるコスト増加を抑制できる。
従来の放電ダルあるいはショットダルロール圧延による金属板表面の粗度形状は図3の様に、緩やかな凹凸パターンが不規則に形成され、また凹凸パターンの高低差も僅かである。このため、金属板1表面に十分な耐食性能を確保するだけの皮膜2を形成した場合には、図4の様に、粗度凹凸部での乾燥後の皮膜厚み差Δtは非常に僅かとなる。
一方、エッチング加工あるいはレーザ加工により表面に微細な穴加工を施した微細穴ダルロールにて圧延を実施した金属板表面には、圧延時にロール表面の微細穴模様が金属板表面に転写され(図5)、径、高さが比較的均一な円筒状の凸パターンが形成される。鋼板表面の凸パターン形状には下記の関係が成立する。
金属板表面の転写凸径d≒ロール表面微細穴径Dr
金属板表面の転写凸高さh≒(圧延による板厚変化)×1/2
(上下ロールとも微細穴ダルロールを使用した場合)
つまり、微細穴ダルロールによる圧延では、微細穴深さが十分に深ければ、圧下率により任意に金属板表面に微細凸パターンを形成する事ができる。つまり、金属板表面と高低差の大きな微細凸形状を付与する事ができる。またロールの微細穴径を十分小さくし、ロール表面の微細穴個数密度(個/mm2)を制御する事で、圧延された金属板全表面に占める凸部の割合を小さくする事ができる。
上記微細穴ダルロールにて圧延され、凸パターン粗度を持つ金属板表面に皮膜を塗布した場合、図6の様に凸部上面と、非凸部に形成される被覆直後および乾燥後の皮膜厚みには下記の関係が成り立つ(前記段落[0022]項に記載済み)。
凸部上面の皮膜厚みt=(t−h)×η/100
非凸部の皮膜厚みt=t×η/100
凸部上面と非凸部の皮膜厚差Δt=t−t=h×η/100
皮膜の有機顔料あるいは無機顔料含有率(重量%)=η
非凸部の被覆直後の膜厚t
微細穴ダルロールにて圧延した金属板においては、粗度凹凸部の皮膜厚差Δtを転写凸部高さhにより制御する事が可能であり、通常の有機顔料あるいは無機顔料の含有率η=5〜50%を考慮すると、皮膜厚差Δtは、転写凸高さhの5〜50%となる。仮に転写高さhを5μmとした場合、金属板表面の凸部と平坦部において0.25〜2.5μmの皮膜厚差Δtを持つ表面処理金属板を製造する事ができる。この時、平坦部では十分な皮膜厚があるため、耐食性、耐指紋性を十分担保する事が可能である。一方凸部上面では、平坦部に比べ皮膜が薄くなっている事から、部分的に皮膜が存在しない領域や、アース端子ないしは溶接電極との接触により皮膜が破れる事による導電性を確保する事ができる。
以上、微細穴ダルロールにて圧延する事で、耐食性と導電性を非常に高めた表面処理金属板を容易に製造する事が可能である。
一方、金属板表面に必要とされる粗度は耐食性、耐指紋性、導電性のみで決定されるわけではなく、金属板外観(光沢など)、加工性なども非常に重要な要因となる。微細穴ダル圧延ロールは通常ロール研削ままのロール表面に実施されるものであり、エッチング加工あるいは、レーザ加工による微細穴部以外は、研削目による極わずかな筋目粗度が存在するのみである。この様な通常の微細穴ダルロールにより圧延された金属板表面には、図6の研削目+微細穴転写凸部の粗度が形成される。微細穴ダルによる微細穴密度が少ない場合、金属板表面はいわゆる鏡面に近い状態となる。鏡面状金属板は散乱反射光成分が少なく、目視時には黒っぽく見える金属板となり外観(光沢)に問題が発生するばかりでなく、金属板製造過程で発生するごく僅かな表面疵が非常に目立つ事になり、製造管理も非常に厳格に行う必要があるなど製造上にも大きな問題が発生する。
上記の鏡面状態を回避するには、ダルロール表面の微細穴密度を非常に大きくして、金属板全面に大きな密度で凸転写部を形成すれば良いが、ロール加工に非常に時間が掛かるという問題が発生し、実用的ではない。また、適当な微細穴個数密度を超えると、耐食性の劣化が起こるという問題が発生する。
本発明では、放電ダルあるいはショットダル加工完了した後のダルロール表面に重畳して、エッチング加工あるいは、レーザ加工により微細なダル穴加工を実施する。本発明のダルロールにて圧延された金属板には放電あるいはショットダルの不規則で緩やかな凹凸を持つ凹凸粗度とエッチング加工あるいはレーザ加工による微細穴ダルによる微細凸部が重畳して形成される。したがって、本発明のダルロールで圧延した金属板1に皮膜2を被覆すると図7(被覆直後のウエット状態)および図8(乾燥処理後)のような状態となる。微細穴ダル目により付与された微小凸部上面には薄い皮膜が形成され、凸部以外の通常の放電あるいはショットダルパターンの粗度転写部には厚い皮膜が形成される。
したがって、本発明のロールにて圧延した表面処理金属板は、凸部により導電性を局所的に高めた部分を有し、凸部以外の通常の放電あるいはショットダルパターンの粗度転写部の厚い皮膜部分で耐食性、耐指紋性に優れた特性を示す。さらには、通常の放電あるいはショットダルパターンの粗度転写部による不規則で緩やかな凹凸を持つ粗度により、にぶい光沢をもつ意匠性に優れた外観を持ち、さらには、製造過程における微細な疵発生防止効果を担保する事ができる。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では圧延ロール表面に、不規則で緩やかな凹凸を持つ通常のダルパターンを放電ダル加工法により施行した後、QスイッチYAGレーザにて微細穴加工を施工した。通常ダルパターンおよび微細穴ダルパターンの組み合わせを表1に記載する。
次に、上記表1に記載の本発明ダルロール[1]から[5]、比較例として通常ダルロール(放電ダルあるいはショットダルロール)および、通常レーザダルロール(研削加工+レーザダル加工)の3種類のロールを用いて金属板を圧延した。供試原板としては、電気亜鉛めっき冷延金属板、アルミ板、ステンレス金属板及び銅板を用いた。圧延の詳細条件および圧延後の金属板表面粗度の測定結果を表2に示す。表2における凸部の高さは、レーザー式3次元顕微鏡画像より、画像処理にて算出し、凸部以外のRaは、前述のレーザー式3次元顕微鏡にて凸部を通過しない計測線を選択してJIS B 0601に準じて算出した。
表2に記載の圧延条件にて圧延した金属板(表2中の金属板No1〜12)に対し、表3に示す仕様の塗装を施して評価材サンプルを作成した。評価は耐指紋性、導電性、通電溶接性、耐食性、外観の評価を行った。評価結果を表4にまとめる。
耐指紋性は、実指を表面処理金属板に3秒間押付け、その指紋跡の目立つ程度を目視で観察し評点づけした。評点づけの指標は次のとおりとした。
評点5:指紋跡がまったくわからないもの
評点4:指紋跡がほとんどわからないもの
評点3:よく観察して指紋跡がわかるもの
評点2:指紋跡がやや目立つもの
評点1:指紋跡がたいへん目立つもの
家電製品などの部材として実用に供するには、評点4または5がのぞましい。
導電性は、各表面処理金属板についてJIS−C2550に準じて層間抵抗値(Ω・cm)を測定した。バネ接触子によってアースを確保するには、層間抵抗値を2.5Ω・cm以下に抑えることがのぞましい。
通電溶接性はスポット溶接による連続溶接性試験で評価した。適正溶接電流範囲を求め、その結果から得られる所定溶接電流値における限界連続溶接打点数を求めた。適正電流範囲は以下の手順で求めた。板組は実施例に示す表面処理鋼板の同種2枚組とし、溶接電極はオバラ株式会社T−16D(材質記号DHOM)を用いた。電極間圧力は200kgfとした。溶接パターンは以下のとおりである。(1)加圧開始→(2)0.5秒保持→(3)所定電流を印加(0.2秒)→(4)加圧解放。(1)から(4)のパターンで溶接したときに、ナゲット径4mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験片と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値として、上下限電流値を測定し、適正電流範囲とした。
限界連続溶接打点数は、必要なナゲット径を確保できる連続溶接打点数の上限のことであり、以下の手順で求めた。板組は実施例に示す表面処理鋼板の同種2枚組とし、溶接電極はオバラ株式会社T−16D(材質記号DHOM)を用いた。電極間圧力は200kgfとした。溶接パターンは上記(1)から(4)のパターンとした。溶接電流値は先に求めた適正溶接電流範囲の中間値 (下限電流値+上限電流値)/2とし、(1)から(4)の溶接パターン条件で、打点速度を1点/3秒とし、試験片に形成されるナゲットの直径が4mm未満とならない最大連続打点数を限界連続溶接打点数とした。
評点づけの指標は次のとおりとした。
評点2:連続打点数が500点以上
評点1:連続打点数が500点未満、または、ナゲット径4mm以上を確保できる溶接電流値を見いだせず
評点2の場合、通電溶接性が良好であるとみとめられる。
耐食性は、各表面処理金属板の平板についてJIS−Z2371に準じて塩水噴霧を実施し、塩水噴霧時間168時間後の白錆および赤錆発生面積率を測定し、以下の基準で評点づけした。
評点4:錆発生なし
評点3:錆発生が認められるが、面積率は5%未満
評点2:錆発生面積率が5%以上20%未満
評点1:錆発生面積率が20%以上
家電製品などの部材として実用に供するには、評点3または4以上がのぞましい。
金属板の外観評価は目視で行い、下記評点とした。家電製品などの部材として実用に供するには、評点3または4以上がのぞましい。
評点4:にぶい光沢となり、表面の疵が全く判らない
評点3:わずかに疵の存在が確認できる
評点2:うっすらと細かい疵が目立つ
評点1:鏡面に近く、金属板全面に細かい疵が目立つ
表4中の実施例1〜23が本発明のダルロール[1]〜[5]による圧延金属板に対する評価である。比較例1、2、5、6、9、10、13、14は通常の放電ダルロールによる圧延金属板に対する評価である。比較例3、4、7、8、11、12、15、16は通常のレーザダルロールによる圧延金属板に対する評価である。
実施例1〜5、14〜18比較例1〜4、9〜12については皮膜厚み<1μmの薄い皮膜塗布とし、実施例6〜13、19〜23比較例5〜8、13〜16については皮膜厚み>2μmの厚い皮膜塗布とした。
実施例1〜23(本発明のダルロールにて圧延した金属板)は、皮膜厚みとは無関係に耐指紋性、耐食性、層間抵抗値(導電性)、通電溶接性、外観いずれの評価においても判定基準を満足する結果が得られた。
一方、比較例1、2、9、10は金属板表面粗度に対し皮膜が薄く、耐指紋性あるいは耐食性に問題がある事に加え、比較例1、9は層間抵抗値(導電性)および通電溶接性もわずかながら判定基準を満足する事ができなかった。また、比較例5、6、13、14では被膜厚が厚いため、耐指紋性、耐食性の評価が向上し判定基準を満足しているが、層間抵抗値(導電性)および通電溶接性については判定基準を下回る結果となった。
比較例3、4、7、8、11、12、15、16は皮膜厚みに関わらず耐指紋性、耐食性は判定基準を満足しているものの、金属板外観が判定基準を満足する事ができなかった。さらに金属板表面の凸部平均高さが0.4μmの比較例3、7、11、15については、凸部高さが十分でない事により、層間抵抗値(導電性)および通電溶接性も判定基準を満足する事ができなかった。
以上、表4に示した特性評価により、本発明による実施例が従来技術ではなし得なかった耐食性及び耐指紋性と、導電性および金属板外観の両立を図ることができることを明らかにした。
Figure 0004189347
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金属板表面に皮膜を塗布した直後のウエット皮膜状態を示す概念図である。 金属板表面に皮膜を塗布し、乾燥処理した後のドライ皮膜状態を示す概念図である。 通常ダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布した直後のウエット皮膜状態を示す概念図である。 通常ダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布し、乾燥処理した後のドライ皮膜状態を示す概念図である。態を示す概念図である。 通常レーザダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布した直後のウエット皮膜状態を示す概念図である。 通常レーザダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布し、乾燥処理した後のドライ皮膜状態を示す概念図である。 本発明のダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布した直後のウエット皮膜状態を示す概念図である。 本発明のダルロールにて圧延した金属板表面に皮膜を塗布し、乾燥処理した後のドライ皮膜状態を示す概念図である。
符号の説明
1:金属板
2:耐食性および耐指紋性皮膜
:塗布直後のウエット状態の皮膜厚
:乾燥処理後の金属板平坦部の上にある皮膜厚
:乾燥処理後の金属板凸部の上にある皮膜厚
h:金属板表面の凸部の高さ
d:金属板表面の凸部の径

Claims (3)

  1. 金属板を圧延する圧延ロールにおいて、該ロール表面に中心線平均粗さRa≧0.2μm、ろ波中心うねりWca≦100μmの不規則で緩やかな凹凸模様と、直径5〜1000μm、深さ≧0.5μm、個数密度1〜10000個/mm2の微細穴との2種類のダルパターンを有する事を特徴とする、圧延ロール。
  2. 請求項1に記載の圧延ロールの加工方法において、不規則で緩やかな凹凸模様を放電ダルあるいはショットダルのいずれか一つまたは両方の加工方法を用いて施工し、微細穴をレーザ加工方法またはエッチング加工方法を用いて施工する事を特徴とする圧延ロール加工方法。
  3. 請求項2に記載の圧延ロール加工方法において、放電ダルあるいはショットダルのいずれか一つまたは両方のダル加工を施した後に、レーザ加工あるいはエッチング加工により微細穴加工を行う事を特徴とする圧延ロール加工方法。


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