JP4188548B2 - 石炭灰の性状予測方法および人工軽量骨材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、混炭を燃焼することにより生成される石炭灰の性状予測方法および人工軽量骨材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭焚ボイラから排出される石炭灰の有効利用技術の一つとして軽量コンクリートの骨材に適用される人工軽量骨材がある。この石炭灰を利用した人工軽量骨材は、JIS−A5002に規定されており、例えば軽量化の指標となる絶乾比重は、M種で1.0〜1.5に設定されている。
【0003】
従って、従来、石炭灰から人工軽量骨材を製造する場合には、発電所等から石炭灰を受け入れたときに、この石炭灰の組成および溶融温度からなる性状が不明であれば、石炭灰の性状を分析し、分析結果に基づいて規格内の人工軽量骨材となる造粒焼成条件を求める。そして、石炭灰を分級して所定粒径の微粒子を含む粗粉とし、この粗粉を上記の造粒焼成条件下で造粒して焼成することによって、規格に適合した人工軽量骨材を製造している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、石炭灰を受け入れてから分析を行った後に石炭灰に対して分級や造粒等の処理を施す製造方法では、石炭灰についての分析結果を得るまでに最大数日の待ち時間が発生するため、受け入れてから直ぐに処理を開始することができない。従って、分析の待ち時間で製造が中断されないように、最大の待ち時間に対応した大型のサイロに石炭灰を保管することが必要になっている。
【0005】
さらに、国内の発電所のように、数種類の石炭が1〜2週間程度で変更されながら混合(混炭)して使用される場合には、石炭灰の性状も混炭の変更ごとに変わるため、性状の異なる石炭灰が混ざらないように上述の大型のサイロを複数基導入することが必要になる。この結果、従来の方法では、大型のサイロを複数基導入するための大きな敷地が必要になると共に、サイロ自体の設備費用も高騰するという問題がある。
【0006】
尚、このような問題は、人工軽量骨材を製造する場合に限らず、石炭灰を用いてセメント等を製造する場合にも生じている。
【0007】
従って、本発明は、石炭灰を受け入れてから直ぐに処理を開始することができるように、石炭灰を分析しなくても石炭灰の性状を把握することができる石炭灰の性状予測方法を提供すると共に、この性状予測方法を適用した人工軽量骨材の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、組成の異なる複数品種の石炭からなる混炭を燃焼させることにより生成された石炭灰の石炭灰性状を予測する石炭灰の性状予測方法であって、前記混炭に使用される複数品種のうちのi番目の石炭の成分(%)、および溶融温度をS(i)、前記複数品種のうちのi番目の石炭の使用量をM(i)とし、各種の混炭に使用された各品種の成分(%)および溶融温度から求めた石炭性状の分析平均値を石炭灰性状の理論平均値とし、該石炭灰性状の理論平均値と、前記各種の混炭を燃焼させて生成された石炭灰を分析して求めた石炭灰性状の分析平均値との差分を補正値αとしたときの
石炭灰性状=Σ〔S(i)・M(i)〕/ΣM(i)+補正値α
で示される性状予測式に基づいて前記石炭灰性状を予測することを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、性状予測式に基づいて石炭灰が有する現実の石炭灰性状を分析の場合よりも短時間で把握することができる。これにより、石炭灰を受け入れて直ぐに製造条件を求めて製造を開始することができるため、人工軽量骨材やセメント等の製造施設に大型のサイロを多数設ける必要はない。この結果、サイロの敷地面積を縮小させることが可能になると共に、サイロ自体の設備費用も低減させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて以下に説明する。
本実施の形態に係る石炭灰の性状予測方法は、図1に示すように、A品種からX品種までの複数種の石炭を使用する発電所等の石炭燃焼施設から排出される石炭灰に対して適用される。具体的には、発電所等の施設は、A品種からX品種までの複数種の石炭を個別に保管する複数基のピット51からなる石炭ヤード52を備えている。尚、各ピット51に収容されている石炭は、SiO2 、Al2 O3 、Fe2 O3 、CaO、Na2 O、K2 O、MgOおよびSO3 からなる各成分(%)の組成と溶融温度との石炭性状が予め分析して求められている。
【0013】
上記の石炭ヤード52には、各ピット51の石炭を所定の投入量a〜xで投入可能な図示しない投入装置が設けられている。投入装置の後段には、ボイラー53が配設されており、ボイラー53は、各投入量a〜xで投入された各品種A〜Xの石炭を混在させながら燃焼させるようになっている。そして、ボイラー53の排気口には、エアーヒータ(AH)54と、石炭灰を集塵する集塵機55と、集塵機55で石炭灰が除去された排気ガスを脱硫処理および脱硝処理する脱硫/脱硝設備56と、排気ガスを大気中に放散させる煙突57とがこの順に設けられている。尚、脱硫/脱硝設備56は、エアーヒータ(AH)54の前段に設けられていても良い。
【0014】
上記の集塵機55の後段には、セメント関連施設58や人工軽量骨材製造プラント59が設けられている。そして、これらの施設58・59は、集塵機55で集塵された石炭灰を原料に用いてセメントや人工軽量骨材を製造する。尚、セメント関連施設58の場合には、ボイラー53やエアーヒータ54から得られた石炭灰も用いられる。
【0015】
上記のように構成された石炭燃焼施設は、情報処理装置からなる監視装置60により監視されている。監視装置60は、石炭ヤード52の各ピット51に保管された石炭の保管量やロット番号、受入れ日時、石炭性状等の石炭情報や、各ピット51からボイラー53に投入された石炭の投入量a〜xや、ボイラー53等の各機器の動作状況等を記録する記録部と、下記の性状予測式に基づいて石炭灰の性状を石炭灰性状データとして求める演算部と、石炭灰性状データをセメント関連施設58や人工軽量骨材製造プラント59に送信する通信部とを備えている。
【0016】
ここで、性状予測式は、石炭灰性状=(A品種の石炭性状×投入量a+B品種の石炭性状×投入量b+・・・+X品種の石炭性状×投入量x)÷(投入量a+投入量b+・・・+投入量x)+補正値αで示される。即ち、性状予測式は、石炭灰性状=Σ〔S(i)・M(i)〕/ΣM(i)+補正値αで示される。尚、S(i)は、混炭に使用される複数品種のうちのi番目の石炭の石炭性状であり、M(i)は、複数品種のうちのi番目の石炭の使用量である。また、補正値αは、後述するように、各種の混炭に使用された各品種の石炭性状から求めた石炭灰性状の理論平均値と、前記各種の混炭を燃焼させて生成された石炭灰を分析して求めた石炭灰性状の分析平均値との差分であり、石炭の組成(%)および溶融温度(℃)に対応して設定されている。具体的には、SiO2 が0.71、Al2 O3 が3.05、Fe2 O3 が0.31、CaOが−0.29、Na2 Oが0.23、K2 Oが0.29、MgOが0.02、SO3 が0.71、溶融温度(℃)が−43として補正値αが設定されている。
【0017】
上記の監視装置60から石炭灰性状データが送信され、集塵機55から石炭灰が供給される人工軽量骨材製造プラント59は、図2に示すように、石炭灰を保管する複数基のピット61を備えている。これらのピット61は、図1のボイラー53に投入される混炭が変更されるごとに切り換えられ、性状の異なる石炭灰を個別に保管する。また、人工軽量骨材製造プラント59は、図示しない制御装置を備えている。制御装置は、各ピット61の石炭灰を用いて製造を開始する前に、石炭灰の石炭灰性状データに基づいて所望の人工軽量骨材が製造されるように造粒焼成条件を求め、この条件下で製造プラント59の処理動作を制御する。
【0018】
上記のピット61の後段には、石炭灰を風選により分級する分級機11が設けられている。分級機11は、石炭灰の各粒子を回転させて各粒子に回転流による遠心力と空気流による抗力を与える回転体を備えており、粗粒子を遠心力により回転体の外周方向へ飛ばし、微粒子を空気とともに回転体の内周方向に送り込むことによって、両粒子を選別するように構成されている。そして、分級機11は、石炭灰を粒径10μm以下の微粒子の占める重量割合が所定値以下である粗粉と、その他の細粉とに分級するように、回転体の回転速度やサイズ等が設定されている。
【0019】
ここで、石炭灰の分級に際して、粒径10μm以下の微粒子に着目したのは、粗粉中の細粉が多いと、細粉が粗粉の間に入り込んで、空隙を埋めるからである。また、粒径10μm以下の細粉の量が絶乾比重に大きな影響を及ぼし、粒径10μmを越える細粉の量を規定しても絶乾比重はそれほど変化しないからである。さらに、石炭灰を分級する際の分級効率は粒径10μmを越えると粗粉回収効率が低下し、細粉と粗粉とを分けられなくなるからである。特に石炭灰の場合、細粉はJIS灰として販売できるので、粗粉と細粉との選別比率は、5割±2割以内とするためには、粒径10μm以下の微粒子で分ける必要がある。
【0020】
上記のように石炭灰を分級する分級機11は、微粒子を含む粗粉の送出口11aがペレット形成系43の第1ホッパー1に連絡されている。ペレット形成系43は、第1〜第4ホッパー1〜4と混練機5と解砕機6とベルトフィーダー7とパン型造粒機8とを上流側からこの順に備えている。第1ホッパー1は、分級機11から送給された石炭灰を一時的に収容する。また、第2〜第4ホッパー2〜4は、第1ホッパー1に並設されている。これらのホッパー2〜4は、低比重剤、発泡化剤および微粉炭をそれぞれ充填剤として収容している。尚、充填剤とは、絶乾比重を低下させる材料を意味する。そして、これらの第1〜第4ホッパー1〜4は、下端部の供給口が相互に連絡されており、石炭灰、低比重剤、発泡化剤および微粉炭を任意の割合で混合し、この混合物を後段の混練機5に供給可能にされている。
【0021】
ここで、低比重剤には、真比重または見掛比重が主原料である石炭灰よりも軽い物質あるいは燃焼して焼失する成分が含有されている全ての物質を用いることができる。普通の低比重剤には、もみがら、おがくず、シュートくず、バカス、石炭粒、コークス粒、木炭粒、木屑、破砕紙が知られている。尚、低比重剤は、これらの低比重剤が入手の安定性に欠けること、および入手にコストが掛かることから、廃棄物として埋め立て処分される流動床ボイラー灰や下水汚泥焼却灰、建設泥土、重油灰のいずれか一つ以上であって残留炭素を含むものを有効利用することが好ましい。
【0022】
また、下水汚泥焼却灰は、下水処理場で発生する汚泥物を燃焼した際に発生する残留物であり、建設泥土は、建設および土木工事で発生する土砂を主体とする廃棄物である。流動床ボイラー灰は、流動床ボイラー灰で燃焼された石炭の残留物であり、重油灰は重油を燃焼した際に発生する残留物である。特に流動床ボイラー灰はそれ単独では軽量骨材にならず、石炭灰より残留炭素が多いことから、石炭灰を混ぜて絶乾比重を下げるのに適している。ただし、石炭灰100重量部に混ぜる流動床ボイラー灰等の廃棄物系低比重剤は、40重量部を限度として混合する。40重量部を越えると、圧潰強度の低下によって焼成時の歩止まり率が悪化するとともに、絶乾比重の低下が少なくなるからである。
【0023】
また、発泡化剤には、パーライトやシラス、ゼオライト等の発泡性を有する鉱物および石膏の少なくとも何れか1つ以上を用いることができる。シラス、パーライト、ゼオライトは天然に産する鉱物であり、石膏は工業製品または脱硫工程で発生する何れを用いてもよい。尚、発泡化剤は、上記材料に限定されるものではなく、800℃以上の高温域において発泡性を発現するものであればよい。但し、石炭灰に混ぜる発泡化剤は、石炭灰または石炭灰と低比重剤の100重量部に対して20重量部を限度とする。20重量部を越えても、絶乾比重の低下が認められなくなるからである。
【0024】
上記のような各種の添加剤や石炭灰を収容した第1〜第4ホッパー1〜4の後段には、混練機5が配設されている。混練機5は、石炭灰もしくは石炭灰と微粉炭、または、石炭灰と微粉炭および低比重剤と発泡化剤の少なくとも何れか一方との混合物に水5’を加えて混練するように構成されている。そして、混練機5は、混合物を解砕する解砕機6に連絡されており、解砕機6は、ベルトフィーダー7を介してパン型造粒機8に連絡されている。パン型造粒機8は、解砕機6からの混合物を所定粒径の生ペレット65として形成するように設定されている。
【0025】
上記のパン型造粒機8は、火格子を用いる自燃焼成式の直線型移動焼成機12に連絡されている。直線型移動焼成機12は、乾燥−着火−焼成−冷却処理を連続運転により行うことによって、パン型造粒機8から供給された生ペレット65を焼結するように構成されている。
【0026】
即ち、焼成機12は、水平方向(図中矢印A)に移動する無端状の火格子21と、この火格子21の上方に設けられた乾燥・予熱炉22、着火炉23および焼結・保熱炉24と、各炉22・23・24に高熱空気を送り込む熱風管28と、焼結・保熱炉24の下流側に設けられた冷却ゾーン29とを備えている。また、火格子21の下方には、上端が火格子21に向かって開口されたウインドボックス25が設けられており、このウインドボックス25の下端は、排気ダクト26を通してブロアー27の吸い込み側に連結されている。そして、このように構成された直線型移動焼成機12の後段には、焼成機12で生成された生ペレット65の焼結体を導出するシュート30と、焼結体を分離するクラッシャ31と、分離された焼結体を所定形状の製品ペレットにふるい分ける篩機32とがこの順に配設されている。
【0027】
上記の構成において、石炭灰の性状予測方法を説明すると共に、この予測方法で求めた石炭灰性状データに基づいて人工軽量骨材を製造する方法を説明する。
【0028】
先ず、図1に示すように、石炭が石炭ヤード52に搬入されると、この石炭の品種ごとに各ピット51に個別に保管される。そして、石炭の保管量やロット番号、受入れ日時、石炭性状等の石炭情報と、ピット51を特定するピット番号とが監視装置60に登録される。この後、各ピット51からボイラー53への石炭の投入量a〜xが決定され、各投入量a〜xの比率で混ざり合った各品種の石炭からなる混炭がボイラー53に投入されて燃焼される。
【0029】
混炭がボイラー53で燃焼されると、石炭灰が排気ガスと共に排出され、エアーヒータ54を通過した後に集塵機55で捕獲される。そして、集塵機55で集塵された石炭灰がセメント関連施設58や人工軽量骨材製造プラント59に送給され、例えば人工軽量骨材製造プラント59においては人工軽量骨材の原料として用いられる。
【0030】
また、上記のようにして石炭灰が後段の施設58・59に送給されるときには、監視装置60において性状予測式に基づいて石炭灰の性状が求められる。即ち、監視装置60は、性状予測式の第1項である(A品種の石炭性状×投入量a+B品種の石炭性状×投入量b+・・・+X品種の石炭性状×投入量x)÷(投入量a+投入量b+・・・+投入量x)に、各品種の石炭の投入量a〜xをそれぞれ代入して石炭の理論性状を求めた後、この理論性状に性状予測式の第2項の補正値αを加えることによって、石炭灰の現実の成分と溶融温度からなる石炭灰性状を求める。そして、性状予測式で求められた石炭灰性状が石炭灰性状データとして送信部から例えば人工軽量骨材製造プラント59に送信される。
【0031】
石炭灰性状データは、人工軽量骨材製造プラント59の制御装置に受信されて取り込まれる。また、集塵機55から送給された石炭灰は、図2に示すように、人工軽量骨材製造プラント59のピット61に保管される。この際、制御装置は、石炭灰性状データに基づいて石炭灰の性状を認識し、同一性状の石炭灰が供給されたのであれば、同一のピット61に石炭灰を保管させる一方、異なる性状の石炭灰が供給されたのであれば、他のピット61に石炭灰を保管させるように、オペレータに指示したり、ピット61への供給経路を切り換える。これにより、各ピット61で保管される石炭灰は、集塵機55から送給された石炭灰と同一の性状を維持することになる。
【0032】
次に、人工軽量骨材製造プラント59で人工軽量骨材を製造する場合においては、ピット61の石炭灰を分級機11に送給する前に、送給元となるピット61に保管された石炭灰の石炭灰性状データが読み出され、この石炭灰性状データに基づいて所望の人工軽量骨材を製造できるように造粒焼成条件が求められる。この際、造粒焼成条件は、制御装置における石炭灰性状データの情報処理のみで極めて短時間のうちに求められる。そして、この条件下で製造プラント59が作動するように、各種の制御信号がパン型造粒機8や直線型移動焼成機12等に出力される(条件設定工程)。
【0033】
人工軽量骨材製造プラント59に対する造粒焼成条件の設定が完了すると、ピット61の石炭灰が分級機11に送給される。そして、分級機11において、石炭灰が回転されることによって、石炭灰の各粒子に回転流による遠心力と空気流による抗力とが付与される。これにより、石炭灰の粗粒子が遠心力によって外周方向へ飛ばされる一方、石炭灰の微粒子が空気とともに内周方向に送り込まれることによって、石炭灰が選別される(分級工程)。そして、粒径10μm以下の微粒子の占める重量割合が所定値以下となる粗粉である石炭灰が分級により得られると、送出口11aから後段の第1ホッパー1に送り込まれる。
【0034】
次に、第1ホッパー1から石炭灰が混練機5に供給される。また、必要に応じて第2〜第3ホッパー2〜4から充填剤が混練機5に送給される。そして、混練機5で水5’が注水されて石炭灰や充填剤が混練される。この混練物は、解砕機6において解砕され、ベルトフィーダー7により一定の供給量でパン型造粒機8に供給される。そして、パン型造粒機8において所定粒径の生ペレット65とされた後、直線型移動焼成機12に送給される(生ペレット形成工程)。
【0035】
直線型移動焼成機12に送給された生ペレット65は、乾燥−着火−焼成−冷却処理を経て焼結が行われる。即ち、火格子21の上に生ペレット65が定量供給され、この生ペレット65が火格子21に伴って移動し、各炉22,23,24を通過するときに、熱風管28から高熱空気が供給され、これがブロアー27により生ペレットの下方に向かって吸引される(図中矢印B)。尚、生ペレット65の床用として焼結ペレットが敷かれる。そして、この高熱空気により焼成が行われる。詳しくは、乾燥・予熱炉22により生ペレット65の乾燥が行われ、次いで、着火炉23で乾燥ペレット65’中の未燃炭が着火する。更に、焼結・保熱炉24により乾燥ペレット65’中の未燃炭の燃焼が下方へ移行し、全体の焼結が完了し、焼結ペレット65''が形成される(焼成工程)。
【0036】
この後、焼結ペレット65''が冷却ゾーン29に搬送され、ブロアー27の吸い込み空気の一部が焼結ペレット65''の層中を下方(図中矢印C)に向かって通過されることによって、焼結ペレット65''の冷却が行われる。冷却された焼結ペレット65''のペレット塊は、シュート30を経てクラッシャ31に送り込まれて分離される。そして、分離された焼結ペレット65''が篩機32で所定形状の製品ペレットにふるい分けられ、絶乾比重が1.25以下の人工軽量骨材とされる。
【0037】
尚、本実施形態における性状予測式の補正値αは、表1の試験結果に基づいて求めた。具体的には、図1に示すように、ボイラー53へ供給される混炭について、24種類の組成の異なるサンプルを抽出し、各サンプルの石炭性状、即ち、SiO2 、Al2 O3 、Fe2 O3 、CaO、Na2 O、K2 O、MgOおよびSO3 からなる各成分および溶融温度の計算値(理論値)を求めると共に、実際に各サンプルの混炭を燃焼させて得た石炭灰を分析することにより各性状の分析値を求めた。そして、24サンプル分の計算値および分析値の平均値をそれぞれ求め、計算値の平均値(理論平均値)から分析値の平均値(分析平均値)を減算した差分を補正値αとした。この結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、組成の異なる複数品種の石炭からなる混炭を燃焼させることにより生成された石炭灰の石炭灰性状を予測する石炭灰の性状予測方法であって、前記混炭に使用される複数品種のうちのi番目の石炭の成分(%)、および溶融温度をS(i)、前記複数品種のうちのi番目の石炭の使用量をM(i)とし、各種の混炭に使用された各品種の成分(%)および溶融温度から求めた石炭性状の分析平均値を石炭灰性状の理論平均値とし、該石炭灰性状の理論平均値と、前記各種の混炭を燃焼させて生成された石炭灰を分析して求めた石炭灰性状の分析平均値との差分を補正値αとしたときの
石炭灰性状=Σ〔S(i)・M(i)〕/ΣM(i)+補正値α
で示される性状予測式に基づいて前記石炭灰性状を予測することを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、性状予測式に基づいて石炭灰が有する現実の石炭灰性状を分析の場合よりも短時間で把握することができる。これにより、石炭灰を受け入れて直ぐに製造条件を求めて製造を開始することができるため、人工軽量骨材やセメント等の製造施設に大型のサイロを多数設ける必要はない。この結果、サイロの敷地面積を縮小させることが可能になると共に、サイロ自体の設備費用も低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】石炭燃焼施設の工程図である。
【図2】人工軽量骨材の製造設備の工程図である。
【符号の説明】
1〜4 第1〜第4ホッパー
5 混練機
6 解砕機
7 ベルトフィーダー
8 パン型造粒機
8a 造粒部
8b コーティング部
11 分級機
12 直線型移動焼成機
43 ペレット形成系
51 ピット
52 石炭ヤード
53 ボイラー
54 エアーヒータ
55 集塵機
56 脱硫/脱硝設備
57 煙突
58 セメント関連施設
59 人工軽量骨材製造プラント
60 監視装置
61 ピット
65 生ペレット
Claims (1)
- 組成の異なる複数品種の石炭からなる混炭を燃焼させることにより生成された石炭灰の石炭灰性状を予測する石炭灰の性状予測方法であって、
前記混炭に使用される複数品種のうちのi番目の石炭の成分(%)、および溶融温度をS(i)、前記複数品種のうちのi番目の石炭の使用量をM(i)とし、
各種の混炭に使用された各品種の成分(%)および溶融温度から求めた石炭性状の分析平均値を石炭灰性状の理論平均値とし、
該石炭灰性状の理論平均値と、前記各種の混炭を燃焼させて生成された石炭灰を分析して求めた石炭灰性状の分析平均値との差分を補正値αとしたときの石炭灰性状=Σ〔S(i)・M(i)〕/ΣM(i)+補正値αで示される性状予測式に基づいて前記石炭灰性状を予測することを特徴とする石炭灰の性状予測方法。
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