JP4188533B2 - 水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれを用いた印刷基材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれを用いた印刷基材に関する。さらに詳しくは、インクジェット方式のプリンタなどに用いられる印刷基材の水性インク受容層に好適に用いられる水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれを用いた印刷基材に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しょうとする課題】
近年、インクジェット方式のプリンタ(以下、インクジェットプリンタともいう)は飛躍的な発展を遂げ、オフィスや家庭で使用されるパーソナルコンピューターからの出力機器として広く普及している。
【0003】
しかし、これらインクジェットプリンタの多くは、水を溶剤としたインクが用いられているため、コピー用紙などに印刷するとインクが滲み、良好な画像が得られない。また、通常のOHPシートなどのプラスチック基材は前記インクをはじいてしまうため印刷できない。
【0004】
そこで、インクジェットプリンタで印刷ができるように、水性インク受容層を設けたインクジェット専用紙やOHPシートが市販されている。
【0005】
しかしながら、現在市販されている前記インクジェット専用紙やOHPシートなどは、いくつかの問題を有している。たとえば、高湿度環境下では染料や顔料の滲みが生じて印刷画像が経時的に劣化してしまうという問題、吸湿により受容層にタックが生じて印刷基材がブロッキングしてしまうという問題、耐水性が不充分で印刷部分に水がかかると画像が滲むという問題などである。
【0006】
これらの問題は、水性インクを素早く吸収するために受容層に水溶性の化合物を用いたり、染料や顔料の定着性を高めるためにアミノ基や3級塩、4級アンモニウム塩などを受容層に含有させていることによると考えられる。
【0007】
前記問題のうちの不充分な耐水性、耐湿性を改善するために、活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて受容層に架橋構造を導入する方法も検討されている。
【0008】
しかし、耐水性、耐湿性を満足し得る程度に受容層の架橋度を高くすると、水性インクの吸収性が不充分となり、良好な画像が得られず、一方、良好な画像を得ようとすると架橋度を高められず、耐水性、耐湿性が不充分になる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記実情に鑑み、水性インクの吸収性が高く、良好な画像が得られ、高湿度下でも印刷画像の劣化やブロッキングが起こらず、しかも耐水性が良好な受容層を形成し得る水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供すること、および該組成物からの受容層を有する印刷基材を提供することを目的として、前記樹脂組成物中の構成成分の種類につき鋭意研究を重ねた結果、以下の特定成分を選択することにより、前記目的を達成することができる水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および該組成物を用いた印刷基材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する数平均分子量が1000以下の化合物(A)、
一般式(1):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、1、mおよびnはいずれも1〜3の整数を、Rは水素原子またはメチル基を表わす)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの3級塩および(または)4級アンモニウム塩(B)、ならびに
ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が100℃以上となるアミド基含有水溶性単官能性単量体(C)
を含有してなる水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(請求項1)、
前記(B)成分および(C)成分以外の単官能性単量体(D)を含有してなる請求項1記載の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(請求項2)、
前記(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分の配合比率が、(A)成分0.1〜5重量%(以下、%という)、(B)成分3〜30%、(C)成分35〜96.9%および(D)成分0〜30%((A)成分〜(D)成分の合計が100%)である請求項1または2記載の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(請求項3)、ならびに
請求項1、2または3に記載の樹脂組成物の硬化物からなる水性インク受容層が設けられた印刷基材(請求項4)
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の必須構成成分である、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する数平均分子量が1000以下の化合物(A)(なお、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基および(または)メタクリロイル基を意味する。以下、(メタ)とは同様の意味である)は、架橋剤として機能し、前記組成物から形成される受容層に架橋構造をもたらし、耐水性を付与するための成分である。
【0014】
一般的な架橋剤はその大半が疎水性の化合物であるが、一般的にはこのような化合物が配合されると受容層の表面張力が低下して水性インクをはじき、良好な印刷画像が得られにくくなる。しかしながら、数平均分子量が1000以下の化合物であれば添加量が少量ですむため、良好な画像が得られやすい。また、ポリエチレングリコール系ウレタン(メタ)アクリレートなどの親水性の高い化合物であっても、数平均分子量が1000をこえるものを架橋剤として用いた場合には、本発明に使用する(B)成分との相溶性がわるく、受容層が曇ったり、印刷面の光沢が低下するため、架橋剤としては適さない。これらの点から、架橋剤の分子量を考慮して、架橋剤として機能する各種モノマーのうちから(A)成分が選択されている。
【0015】
(A)成分は、前述のごとく、架橋剤として機能する成分であるから分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するが、(メタ)アクリロイル基の数が大きくなると、得られる受容層の架橋度が高くなるため画質が悪化する傾向があるため、この点から2または3個であるのが好ましい。
【0016】
また、(A)成分の反応性基として(メタ)アクリロイル基が選ばれているが、この理由は、活性エネルギー線に対する反応性が高いこと、入手が容易であることなどのためである。
【0017】
さらに、(A)成分の分子量としては、数平均分子量1000以下、好ましくは800以下、さらに好ましくは500以下の化合物が使用される。下限は2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である点から、分子量170以上が好ましい。
【0018】
前記のごとき特性を有する化合物であれば比較的少ない配合量で所望の耐水性を得ることができ、受容層の表面張力をほとんど低下させることがない。そのため、良好な印刷画像が得られやすい。
【0019】
(A)成分の具体例としては、たとえばテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレンジオールジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAのEO、PO付加ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどと(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシポリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。これらのうちでは(メタ)アクリロイル基を2〜3個有し、数平均分子量が170〜500であるもの、たとえば1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが好ましい。
【0020】
本発明の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の必須構成成分である、一般式(1):
【0021】
【化3】
【0022】
(式中、1、mおよびnはいずれも1〜3の整数を、Rは水素原子またはメチル基を表わす)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの3級塩および(または)4級アンモニウム塩(B)は、水性インク中の染料や顔料を受容層中に定着させることを主目的として使用される成分である。
【0023】
水性インク中の染料や顔料を受容層中に定着させるためのモノマー成分として、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、これら化合物のアミノ基を造塩してなる化合物などが知られている。しかしながら、これら化合物は、いずれも非常に吸湿性が高いため、高湿度下では受容層にタックやブロッキングが発生したり、印刷画像が劣化しやすくなり、本発明の目的を達成することができない。それゆえ、本発明では、得られる受容層の吸湿時の性能、すなわちタック、ブロッキング、印刷画質などを考慮して、各種のアミノ基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリルアミドなどについて鋭意検討の結果、(B)成分を選択している。
【0024】
一般式(1)におけるl、mはいずれもチッ素原子に結合するアルキル基の大きさを決定する因子であり、それぞれ1〜3の整数である。l、mがそれぞれ1〜3の場合、高湿度下でも受容層にタックやブロッキングが発生しにくく、印刷画像が劣化しにくい点から好ましい。lまたはmが1未満の場合(すなわち0の場合)、高湿度下では受容層にタックやブロッキングが発生したり、印刷画像が劣化しやすく、逆に、3をこえる場合、工業的に入手が困難である。
【0025】
また、一般式(1)におけるnは、(メタ)アクリロイル基とジアルキルアミノ基とを結合するアルキレン基の長さを決定する因子であり、1〜3である。nが3をこえる場合、工業的に入手が困難である。
【0026】
(B)成分は吸湿性が極めて低いため、(B)成分を含む受容層は、従来から使用されているN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、これら化合物のアミノ基を造塩してなる化合物などを含む受容層と比較して、高湿度下でもタックやブロッキングが発生しにくく、また画像劣化などもほとんど起こらない。
【0027】
前記のごとき一般式(1)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが、耐湿性、印刷画質などの点から好ましい。
【0028】
本発明に使用される(B)成分は、一般式(1)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを3級塩および(または)4級アンモニウム塩にしたものである。一般式(1)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを3級塩および(または)4級アンモニウム塩にして使用するのは、水性インク中の染料や顔料の定着性を向上させるためである。
【0029】
一般式(1)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの造塩には、一般的な無機酸や有機酸、4級化剤を使用することができる。
前記無機酸や有機酸、4級化剤の具体例としては、たとえば硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、(メタ)アクリル酸などの有機酸、メチルクロライド、ベンジルクロライド、p−トルエンスルホン酸メチル、ジメチル硫酸などの4級化剤があげられる。なお、これら無機酸、有機酸、4級化剤は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよいが、3級アミノ基を100%塩にするのが好ましい。3級アミノ基が100%塩にならず3級アミノ基が遊離状態で存在する場合には、活性エネルギー線照射時や受容層としたのちの保存時に黄色く着色し、受容層としての美観を損ねやすくなる。
【0030】
(B)成分である一般式(1)で示されるN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを3級塩および(または)4級アンモニウム塩の好ましい具体例としては、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどと、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、酢酸などとからなる3級塩や4級アンモニウム塩、およびこれらの2種以上の混合物などがあげられる。
【0031】
なお、本発明の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製にあたっては、(B)成分として、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを酸および(または)4級化剤により予め造塩したものを用いてもよく、また、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートと酸および(または)4級化剤とをそれぞれ別に加えて当該組成物の調製時に造塩させてもよい。
【0032】
本発明の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の必須構成成分であるホモポリマーのガラス転移点(Tg)が100℃以上となるアミド基含有水溶性単官能性単量体(C)は、水性インクを吸収し、滲みにくくするために使用される成分である。そのため、(C)成分に対する要求性能としては、親水性が良好であることが重要であり、単量体の段階では水溶性が高くなければならない。
【0033】
前記水溶性が低いと、形成される受容層のインク吸収量および吸収速度が低くなり、良好な画像が得られにくくなる。また、(C)成分は得られる受容層のタックやブロッキング性能に関係するため、重合した場合のTgが高いことが必要であり、ホモポリマーにした場合のTgが100℃以上、好ましくは120℃以上であることが必要である。Tgが100℃未満になるとタックやブロッキングが起こりやすくなる。
【0034】
前記アミド基含有水溶性単官能性単量体(C)における水溶性とは、該成分100重量部(以下、部という)に対して水100部以上が均一透明状態で混和し得ることを意味し、前記範囲外の場合には、水溶性でないとする。
【0035】
また、前記アミド基含有水溶性単官能性単量体(C)のホモポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)で求めた値である。
【0036】
さらに、前記アミド基含有水溶性単官能性単量体(C)をアミド基含有単量体に限定しているのは、アミド基が、水性インク中の染料や顔料の定着に効果があるためであり、また、単官能性単量体に限定しているのは、2官能以上の単量体を用いると受容層の架橋度が高くなり、水性インクを吸わなくなるためである。
【0037】
前記のごとき(C)成分の具体例としては、たとえばアクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミドなどがあげられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでもアクリロイルモルホリンが高Tg、安全性の点から好ましい。
【0038】
本発明の組成物には、必要に応じて(B)成分、(C)成分以外の単官能性単量体(D)を配合してもよい。とくに、以下に示すように親水性の高い単量体が、画質を悪化させないため好ましい。
【0039】
前記単官能性単量体の具体例としては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレートのオキシエチレン鎖が重合度10以下のもの、N−イソプロピルアクリルアミドなどがあげられる。なお、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジメチルアミノ基を有する化合物は吸湿性が非常に高いため該単官能性単量体には適さない。
【0040】
本発明の組成物は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分および必要により(D)成分を含有する。これら各成分の配合比率としては、(A)成分が0.1〜5%、さらには1〜3%、(B)成分が3〜30%、さらには5〜20%、(C)成分が35〜96.9%、さらには57〜94%、および(D)成分が0〜30%、さらには0〜20%であるのが好ましい。
【0041】
(A)成分が多くなりすぎると良好な画像が得られにくくなり、さらに印刷面の光沢が低下する傾向があることから、(A)成分は5%以下とするのが好ましい。(A)成分が少なくなりすぎると架橋が不充分となり受容層の耐水性が得られない傾向があることから、(A)成分は0.1%以上であるのが好ましい。また(B)成分が少なくなりすぎると受容層のインクの定着性がわるくなる傾向があることから、(B)成分は3%以上にするのが好ましい。また、(B)成分が多くなりすぎると受容層の耐水性が低下する傾向があることから、(B)成分は30%以下とするのが好ましい。(C)成分は水性インクを吸収する成分であるため、該成分が少なすぎると水性インクが素早く吸収されず、良好な画像が得られない傾向があることから、(C)成分は35%以上であるのが好ましい。また、(D)成分が多くなりすぎると画質悪化や耐湿性が低下するため30%以下であるのが好ましい。
【0042】
前記各成分を配合して得られる本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。前記活性エネルギー線として電子線などにより組成物を硬化させる場合には光重合開始剤を必要としないが、紫外線により該組成物を硬化させる場合には、該組成物100部に対して、通常、光重合開始剤0.2〜10部程度を含有させるのが好ましい。
【0043】
前記光重合開始剤の具体例としては、たとえばダロキュア1173、ダロキュア4265、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれも商品名、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ベンゾフェノンなど公知の各種のものを使用することができる。
【0044】
また、前記以外の重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤などを本発明の目的を逸脱しない範囲で必要に応じて含有させてもよい。
【0045】
また、本発明の組成物は各種有機溶剤や水で希釈してもよい。
【0046】
さらに、本発明の組成物には、該組成物を塗工、硬化して得られる受容層のブロッキング防止やインク乾燥性の向上のために、公知のフィラーを添加してもよい。
【0047】
前記フィラーの具体例としては、たとえばシリカ、クレー、カオリン、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ、ポリスチレン微粒子、アクリル微粒子、デンプンなどがあげられる。
【0048】
本発明の組成物は、基材上に塗工されたのち、紫外線、電子線などの活性エネルギー線で硬化せしめられ、基材上に該組成物の硬化物からなる水性インク受容層が形成される。前記受容層は基材の片面または両面に塗工されるが、必要に応じてアンカー層、バックコート層を設けてもよい。
【0049】
水性インク受容層の塗布量は通常1〜50g/m2、好ましくは3〜30g/m2程度である。塗布量が、もし少なすぎると染着性の不足や硬化性の悪化が起こり、また、もし多すぎるとコスト高やカールの増大も招き、問題となる。
【0050】
かかる水性インク受容層を設けた基材は、インクジェットプリンタなどの水性インクが用いられる印刷基材として使用される。
【0051】
なお、前記水性インク受容層を設ける基材としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セロハンなどの樹脂からなるフィルム、合成紙、上質紙、アート紙、コート紙などの各種紙類があげられる。
【0052】
【実施例】
以下に、本発明を実施例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】
比較製造例1
撹拌機、温度計および還流冷却器を備えたフラスコに、ポリエチレングリコール(数平均分子量1000)596部、イソホロンジイソシアネート265部、を仕込んだ。ついで撹拌を行ないながらオクチル酸第一スズ0.4部を添加し、系内を75〜80℃まで昇温し、1.5時間保温した。そののち、4−メトキシフェノール1.0部、ヒドロキシエチルアクリレート131部、オクチル酸第一スズ0.4部を加え、さらに2時間保温し、数平均分子量が1680のポリウレタンアクリレート(以下、このポリウレタンアクリレートをPEG−UAという)を得た。
【0054】
実施例1
ヘキサエチレングリコールジアクリレート0.5部、ジエチルアミノエチルメタクリレート・酢酸塩6.5部、アクリロイルモルホリン93.0部およびダロキュア4265(チバスペシャルティケミカルズ社製、光開始剤)0.3部を混合して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(ワニス)を調製した。
【0055】
得られたワニスを、バーコーター#16でアート紙(三菱製紙(株)製)上に塗布し(塗布量25g/m2)、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離15cm、コンベアスピード10m/分の条件で4回照射し、片面に水性インク受容層を設けた印刷基材を得た。
【0056】
得られた印刷基材の水性インク受容層上にバブルジェットプリンタ(キャノン(株)製、BJC−430J、レギュラーインク)で印刷を行なった。
【0057】
得られた印刷紙について以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0058】
(インクセット性)
印刷終了後、直ちに印刷面を指でこすり、外観を以下の基準で評価した。
○:完全にセットしている(指にインクがつかない)
△:若干セットしていない(指にインクがつく)
×:ほとんどセットしていない
【0059】
(印刷画質)
印刷面を目視判定した。
○:滲みやビーディング(色斑発生)が無く良好である
△:軽度の滲みまたはビーディング発生
×:ひどい滲みまたはビーディング発生
【0060】
(印刷部分の光沢)
印刷部分で光を反射させ、その光沢を目視判定した。
○:非印刷部分と同等の光沢がある
△:非印刷部分に比べやや光沢が劣る
×:非印刷部分に比べ明らかに光沢が劣る
【0061】
(インク定着性)
印刷面に水をかけ、印刷画像の変化を以下の基準で評価した。
○:印刷画像にほとんど変化が無い
△:印刷画像が部分的に滲む
×:印刷画像が滲む
【0062】
(受容層の耐水性)
印刷面に水をかけ、受容層の変化を以下の基準で評価した。
○:変化が無い
△:白化する
×:膨潤、溶解する
【0063】
(印刷画像の耐湿性)
印刷した紙を40℃、湿度90%の恒温恒湿機に入れ、24時間後に印刷画像の変化を以下の基準で評価した。
○:印刷画像に変化がない
△:若干滲み発生
×:印刷画像がかなり滲んでいる
【0064】
(耐ブロッキング性)
印刷面にPETフィルムを被せ40℃、湿度90%の恒温恒湿機に入れ、24時間後に取り出し、30分後にPETフィルムをはがす。
○:抵抗なくPETフィルムがはがれる
△:抵抗があるがPETフィルムがはがれる
×:抵抗があり、受容層の一部がPETフィルムに転写されている
【0065】
実施例2〜4および比較例1〜3
実施例1において使用した各成分およびその使用量を表1に示したようにかえた他は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(ワニス)を調製し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
なお、表1中の略号は以下のことを示す。
6EGA:ヘキサエチレングリコールジアクリレート、NDDA:1,9−ノナンジオールジアクリレート、PEG−UA:比較製造例1で製造したポリウレタンアクリレート、DEAEMA・酢酸塩:ジエチルアミノエチルメタクリレート・酢酸塩、DEAEMA・PTS塩:ジエチルアミノエチルメタクリレート・p−トルエンスルホン酸一水和物塩、DMAEMA・酢酸塩:ジメチルアミノエチルメタクリレート・酢酸塩、ACMO:アクリロイルモルホリン、D4265:ダロキュア4265(チバスペシャルティケミカルズ社製、光開始剤)。
【0068】
【発明の効果】
本発明の水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を印刷基材に塗布すると、水性インクの吸収性が高く、良好な画像が得られ、高湿度下でも印刷画像の劣化やブロッキングが起こらず、耐水性が良好な受容層を有する印刷基材を得ることができる。
Claims (2)
- 分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する数平均分子量が1000以下の化合物(A)、
一般式(1):
ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が100℃以上となるアミド基含有水溶性単官能性単量体(C)
を含有し、かつ、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の配合比率が、(A)成分0.1〜5重量%、(B)成分3〜30重量%、(C)成分57〜96.9重量%((A)成分〜(C)成分の合計が100重量%)である水性インク受容層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。 - 請求項1記載の樹脂組成物の硬化物からなる水性インク受容層が設けられた印刷基材。
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