JP4188518B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動時に車輪がロックするのを防止するABS制御や、運転者が制動操作を行っていないときに走行状態に応じて自動的に制動力を発生させる自動制動制御などを実行すべく、ホイルシリンダ圧を任意に調整するブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車には、ソレノイドバルブを用いてホイルシリンダ圧を制御するブレーキ制御装置が搭載されるのが一般的になってきている。このようなブレーキ制御装置としては、制動時に車輪がロックするのを防止するABS制御を実行する装置や運転者が制動操作を行っていないときに、走行状態に応じて自動的に制動力を発生させる自動制動制御を実行する装置などが知られている。
【0003】
また、上述のようなブレーキ制御装置において、作動音の低減や精度の高い制御を実行するためにソレノイドバルブをデューティ比に基づくPWM制御により駆動させることが知られている。
【0004】
このように、ソレノイドバルブをPWM制御するブレーキ制御装置として、特開平9−95229号公報に記載のものが知られている。この従来技術は、ABS制御においてホイルシリンダの緩増圧を行うにあたり、ソレノイドバルブをPWM制御するもので、ソレノイドバルブの温度変化による抵抗値の変化や、車載バッテリの電圧変化などが生じても、精度の高い緩増圧制御の実施を目的とし、デューティ比100%のときにソレノイドバルブのコイルに流れる電流値を検出し、予めマップ化された100%デューティ比での電流値との比に応じてPWM制御のデューティ比を設定し、マップ上での所定のデューティ比における電流値と実際の電流値との間のずれを補正するよう構成されている。
【0005】
ところで、このようなブレーキ制御装置にあっては、デューティ比100%としたときに、管路に最大液圧が発生していても、この最大液圧に抗して常開のバルブを閉弁状態に維持したり、その逆に常閉のバルブを開弁状態に維持したりするのを確実に実行できるように、電流値を高めに設定する必要がある。例えば、図5は、ソレノイドバルブの動作と電流値とデューティ比との関係を示す図であって、この図に示す設定(aで示す)では、常閉のソレノイドバルブを最大液圧に抗して開弁状態に維持する、あるいは常開のソレノイドバルブを閉弁状態に維持するために100%デューティ比の駆動電流を与えた場合に2Aの電流を通電する必要がある。それに対して、ソレノイドバルブを全閉から全開の範囲で作動する場合、その電流値は0.4A〜0.6Aの範囲で変化させるのに対応し、この場合のデューティ比は20%〜30%の範囲となる。なお、ソレノイドバルブが全閉(全開)から作動し始める電流値が0.4Aとなっているのは、図外のリターンスプリングの付勢力や発生している液圧に抗する駆動力が必要であるためである。また、全開(全閉)にするときの電流値がソレノイドバルブが閉弁状態となるときの電流値(この場合0.6A)よりも高く設定しているのは、バッテリ電圧が低下しているときに最大液圧が作用しても確実に全開(全閉)とすることが可能なように動作保証するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、上述したように、ソレノイドバルブを作動させる最大電流値を、バッテリ電圧がある程度低下しても確実に作動するよう動作保証できるだけの高い値に設定しているため、ソレノイドバルブの開度を制御するデューティ比の電流分解能が粗くなって細かな制御を実行するのが難しいという問題があった。これについて詳述すると、例えば、図5に示した例では、デューティ比100%最大電流値が2Aに設定されており0〜2Aの電流値の範囲でデューティ制御を行うことになっている。これに対して、上述の動作保証ならびに駆動初期にある程度の駆動力が必要なことから、ソレノイドバルブが全閉(全開)から全開(全閉)に移動するときのデューティ比の範囲は、20%〜30%となっており、また、その場合の電流値の範囲は0.4〜0.6Aとなっている。
【0007】
このような設定のソレノイドバルブを、2%刻みのデューティ比で制御した場合、その分解能は40mAとなる。また、この2%刻みのデューティ比で制御する場合、ソレノイドバルブが全閉(全開)から全開(全閉)に移動するときの20%〜30%の範囲では、20,22,24,26,28,30%の6分割の分解能しかない。したがって、全閉と全開との間の中間の開度としては、4通りの開度にしか制御できず、精度の高い制御を実行することが難しくなる。
【0008】
加えて、ブレーキ液圧の制御精度を向上させるには、ソレノイドに通電される電流値をモニタすることが考えられるが、この場合でも、上述のようにソレノイドバルブが開度変化する際のデューティ比の範囲が狭くて電流値変化量が小さいと、電流値の検出に高い精度が要求され、この精度を満足できない場合には、制御精度の向上を達成することができず、また、高精度を満足した場合にはコストアップを招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述した従来の問題点に着目してなされたもので、デューティ比の出力分解能を向上させて制御精度の向上を図ることを目的とし、さらに、上記精度向上を安価に達成するとともに、分解能の設定容易性の向上を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、車両の車輪に供給するブレーキ液圧を調整する電磁弁と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、この走行状態検出手段からの入力に基づいて前記電磁弁の作動をデューティ比に基づくPWM制御により制御する制動制御手段と、この制動制御手段に含まれ、前記電磁弁に向けて駆動電流を出力する駆動回路と、を備えたブレーキ制御装置において、前記駆動回路として、電磁弁に対して全閉あるいは全開を維持する最大電流値の駆動電流を出力するON状態、および駆動電流を出力しないOFF状態を形成するON/OFF用駆動回路と、電磁弁に対して100%デューティ比を出力した際に前記最大電流値よりも低い電流値に設定された範囲でPWM制御用駆動電流を出力するPWM用駆動回路との2つの駆動回路が設けられ、
前記制動制御手段は、電磁弁を全閉または全開に維持するときにはON/OFF用駆動回路により最大電流値の駆動電流を出力し、電磁弁をPWM制御により所定の範囲で開度を制御するときにはPWM用駆動回路により駆動電流を出力するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
なお、請求項2に記載のように、請求項1記載のブレーキ制御装置において、前記電磁弁の駆動コイルとPWM用駆動回路との間には、駆動コイルに直列に抵抗を設け、この抵抗の抵抗値を、PWM用駆動回路が0%〜100%のデューティ比に対応して駆動電流を出力したときの電流値の変化範囲が、電磁弁を全開から全閉の範囲で開度変化させることができる電流値と重なるよう設定するのが好ましい。
【0012】
また、請求項3に記載のように、請求項1または2に記載のブレーキ制御装置において、前記PWM用駆動回路の電流値をモニタするモニタ手段を設けるのが好ましい。
【0013】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の発明では、電磁弁を全閉と全開との範囲内の開度に制御する場合には、PWM用駆動回路から0%〜100%の範囲のデューティ比に基づいて駆動電流を出力する。このPWM用駆動回路から100%デューティ比の駆動電流は、ON/OFF用駆動回路が出力する最大電流値よりも低い値となっているため、0〜最大電流値の範囲内で分解するのに比べて、出力分解能を高めることができる。
【0014】
また、100%デューティ比の出力に相当する全閉あるいは全開状態に維持する場合には、ON/OFF用駆動回路から電磁弁に最大電流値の駆動電流を出力する。ちなみに、この最大電流値とは、バッテリ電圧がある程度低下したり、制御液圧が高くなったりしても、液圧に抗して全開あるいは全閉状態を確実に維持できる電流値に設定されている。
【0015】
したがって、全閉あるいは全開状態を維持する場合には、必要な駆動力を得ることができるものでありながら、PWM制御の分解能を高めることができるもので、制御精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載の発明にあっては、電磁弁の駆動コイルとPWM用駆動回路との間に、駆動コイルに直列に抵抗を設けているため、この抵抗を設けていない構成に比べて、駆動コイルに流れる電流の電流値が低下することになる。したがって、PWM用駆動回路から出力する駆動電流のデューティ比として、従来と同一の値、すなわち0%〜100%のデューティ比を出力しても、駆動コイルに流れる電流値の変化量が小さく、デューティ比に対する電流分解能を向上することができるとともに、これをモニタする際に、検出が容易になる。さらに、抵抗の抵抗値を任意に選択することにより、PWM用駆動回路から出力される駆動電流の最大値を設定し、これにより電流分解能を調節することが可能になる。
【0017】
よって、請求項2に記載の発明では、抵抗を設けただけの安価な手段により電流分解能を向上させて制御精度を向上させることができるという効果と、電流分解能を容易に設定することができるという効果と、コイル電流の検出が容易になるという効果がと得られる。
【0018】
請求項3に記載の発明にあっては、PWM用駆動回路の電流値をモニタ手段によりモニタする。すなわち、電磁弁の駆動コイルや請求項2に記載の抵抗などの抵抗を有している部分は、電流を流すことによって発熱する。そして、この発熱に伴って抵抗値が上昇する特性、言い換えると同一電圧値であれば電流値が低下するという特性を有している。したがって、予め設定されデータにしたがって、電流を流した場合に、上記の特性により、要求しているデューティと、実際のデューティとにずれが生じ、正確なデューティ制御が実行できなくなるおそれがあるが、本発明では、電磁弁の駆動コイルに流れる電流をモニタすることにより、上述のように、抵抗の発熱に伴って抵抗値が変化しても、このモニタに基づいて制御精度の向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図3は本願請求項1ないし3に記載の発明のブレーキ制御装置を適用した実施の形態の油圧回路構成を示す油圧回路図である。
図において、MCは主液圧源としてのマスタシリンダでありブレーキペダルBPを踏み込むとブレーキ液がブレーキ配管1,2を介してホイルシリンダWCに向けて供給される周知のものである。なお、マスタシリンダMCにはブレーキ液を貯留するリザーバRESが設けられている。
【0020】
前記ブレーキ配管1は、左前輪のホイルシリンダWC(FL)と右後輪のホイルシリンダWC(RR)とを結び、ブレーキ配管2は右前輪のホイルシリンダWC(FR)と左後輪のホイルシリンダWC(RL)とを結ぶよう構成された、いわゆるX配管と呼ばれる接続構造に構成されている。
【0021】
各ブレーキ配管1,2は、それぞれ途中から、分岐回路1a,1b,2a,2bに分岐され、それぞれの途中にアウト側ゲート弁31,31,32,32が設けられている。これらのアウト側ゲート弁31,32は、分岐回路1a,1b,2a,2bの連通・遮断を切り替える常開のソレノイド弁である。なお、以下の説明において、ブレーキ配管1,2の分岐回路1a,1b,2a,2bを指す場合に、特定のものを指すとき以外は、単に、ブレーキ配管1,2と表記する。
【0022】
前記アウト側ゲート弁31,32には、マスタシリンダMC側(以下、これを上流という)からホイルシリンダWC側(以下、これを下流という)へのブレーキ液の流通のみを許容する一方弁3a、ならびにアウト側ゲート弁3の下流の圧力が所定圧を越えたら上流に逃がすリリーフバルブ3cが設けられている。
【0023】
また、前記ブレーキ配管1,2において、アウト側ゲート弁31,32の下流にはソレノイド駆動のON・OFF弁からなる増圧弁5が設けられ、さらに、この増圧弁5よりも下流位置とリザーバ7とを結ぶリターン通路10の途中にはソレノイド駆動のON・OFF弁からなる減圧弁6が設けられている。
【0024】
さらに、前記ブレーキ配管1,2には、マスタシリンダMC以外の液圧源としてのポンプ4が接続されている。すなわち、このポンプ4は、運転者が制動操作を行っていないときのブレーキ液圧源となるとともに、ABS制御を実行したときの戻しポンプを兼ねるものである。このポンプ4は、モータ8により作動するプランジャポンプで、2つのプランジャ4p,4pを備えるとともに、それぞれのプランジャ4p,4pで吸入・吐出を行うポンプ室4rが、枝分かれされた吸入回路4a,4bを介して前記ブレーキ配管1,2においてアウト側ゲート弁31,32よりも上流の位置と、前記リザーバ7とに接続されている。一方、吐出回路4cが、前記ブレーキ配管1,2において、アウト側ゲート弁31,32と増圧弁5との間の位置に接続されている。なお、前記吸入回路4bには、ブレーキ液がリザーバ7の方向へ流れるのを防止する逆止弁4dが設けられている。
【0025】
また、前記吸入回路4aには、この吸入回路4aの連通・遮断を切り替えるイン側ゲート弁9が設けられている。このイン側ゲート弁9は、常閉のソレノイドバルブにより構成されている。
【0026】
さらに、前記吐出回路4cは、分岐回路1a,1b,2a,2bに向けて分岐され、その途中に、常開のソレノイドバルブからなるカット弁25a,25bが設けられている。
【0027】
前記アウト側ゲート弁3、イン側ゲート弁9、増圧弁5、減圧弁6、カット弁25a,25bおよびモータ8の作動は、コントロールユニット11により制御される。このコントロールユニット11は、入力手段として図示を省略した車輪速センサ,舵角センサ,横加速度センサ,ヨーレイトセンサなどを含む車両挙動検出手段12が設けられている。
【0028】
前記コントロールユニット11は、従来から周知のABS制御を実行するとともに、自動制動制御を実行する。ここで、まずABS制御について簡単に説明すると、車輪速などに基づいて疑似車体速を求め、さらにこの疑似車体速に基づいて減圧しきい値を求め、制動時に、車輪速が減圧しきい値を下回ると、ABSフラグをセットしてABS制御を開始し、これによりまず減圧を実行した後、車輪速が減圧しきい値を超えない範囲でできるだけ制動力が得られるように増圧・保持・減圧を実行しながら車輪ロックを防止する制御を実行するものである。本実施の形態では、ABS制御における減圧は、増圧弁5を閉弁させる一方で、減圧弁6を開弁させてホイルシリンダWCのブレーキ液をリザーバ7に抜くことで行う。また、保持の場合は、増圧弁5と減圧弁6の両方を閉弁させてホイルシリンダWCにブレーキ液を閉じこめる。また、増圧の場合は、増圧弁5を開弁させる一方で減圧弁6を閉弁させる。
【0029】
さらに、ABS制御時にあっては、ポンプ4を駆動させて減圧時にリザーバ7に逃がされたレーキ液をブレーキ配管1,2に戻させるもので、したがって、ABS制御時には、ポンプ4がマスタシリンダ側のブレーキ液を吸入しないようイン側ゲート弁9は閉弁させておく。
【0030】
次に、自動制動制御について簡単に説明すると、この制御は、要は運転者が制動操作を行っていないときであって、走行状態が制動力を必要としている状態であるときに、必要な車輪に必要量の制動力を発生させる制御である。このような自動制動制御としては、例えば、車両が過オーバステアや過アンダステアとなったときに、これを戻す方向にヨーモーメントを発生させるように制動力を発生させる車両挙動制御や、駆動輪がスリップしたときにこれを抑制させるように制動力を発生させるトルク制御や、先行車FCに所定の車間の範囲で追従していくACC制御において、先行車FCの速度変化に応じて制動力を発生させて減速させるACC制動制御などが挙げられる。
【0031】
上述の自動制動制御を行う場合、マスタシリンダMCにおいて液圧が発生していないため、アウト側ゲート弁31,32を閉じる一方でイン側ゲート弁9を開弁し、この状態でポンプ4を駆動させ、ブレーキ配管1a,1b,2a,2bに向けてブレーキ液を供給する。また、本実施の形態では、自動制動制御時には、増圧・減圧・保持を行うにあたり、ABS制御の場合と異なって、各ゲート弁31,32,9およびカット弁25a,25bを用いて制御するもので、増圧弁5および減圧弁6は作動させることなく、増圧弁5を開弁状態に、また、減圧弁6を閉弁状態に維持する。
【0032】
すなわち、本実施の形態では、増圧時には、上記のようにアウト側ゲート弁31,32を閉じる一方でイン側ゲート弁9を開弁させる。したがって、ポンプ4から供給されるブレーキ液がそのままホイルシリンダWCに供給される。ちなみに、この増圧時には、本実施の形態では、ポンプ4をデューティ比制御し、ブレーキ液の供給量を制御することで液圧制御を実行する。
【0033】
次に、減圧時には、アウト側ゲート弁31,32を開弁させ、一方、イン側ゲート弁9ならびにカット弁25a,25bを閉弁させる。このようにイン側ゲート弁9ならびにカット弁25a,25bを閉弁させることにより、ポンプ4からブレーキ液が供給されず、かつ、ホイルシリンダWCのブレーキ液はアウト側ゲート弁31,32からマスタシリンダMCに戻されるため、ホイルシリンダ圧が減圧される。
【0034】
また、保持時には、アウト側ゲート弁31,32、ならびにカット弁25a,25bを閉弁させる。したがって、ホイルシリンダWCのブレーキ液はどこにも流出しないとともに新たに供給もされず、ホイルシリンダ圧は保持される。
【0035】
ちなみに、図4は、ACC制動制御時におけるアウト側ゲート弁3,イン側ゲート弁9,ポンプ4の作動状態を示す図である。
【0036】
本実施の形態では、以上説明したABS制御において増圧弁5を開閉させる場合、ならびに自動制動制御において、アウト側ゲート弁31,32の開閉させる場合には、ON/OFF制御とPWM制御に基づいて開閉する。
すなわち、ABS制御において、減圧や保持を行う場合、増圧弁5は閉弁状態に維持するためON/OFF制御を実行するが、緩増圧を実行する場合には、PWM制御に基づいて開度を制御する。
また、自動制動制御において、増圧時および保持を行う場合、アウト側ゲート弁31,32は、閉弁状態に維持するためON/OFF制御を実行するが、減圧を実行する場合には、ホイルシリンダ圧を微妙に制御するためにPWM制御により行う。
【0037】
以下に、このようなON/OFF制御とPWM制御とを切り替えるための構成について説明する。
図1は、コントロールユニット11において、増圧弁5あるいはアウト側ゲート弁31,32の作動を制御する構成を示すブロック図であり、図中91は、これらの弁5,31,32のいずれか(これらのデューティ制御により駆動される弁について、特定の弁を指さない場合において、以下、電磁弁90と表示することにする)の駆動コイルを示している。この駆動コイル91には、PWM用駆動回路11bと、コイル電流検出回路11cと、ON/OFF用駆動回路11dとが接続されていて、両駆動回路11b、11dは、CPU11eの演算処理に基づいて駆動コイル91に向けて駆動電流を出力する回路である。また、PWM用駆動回路11bと駆動コイル91との間には、駆動コイル91に直列に抵抗11fが設けられている。
【0038】
すなわち、前記ON/OFF用駆動回路11dは、電磁弁90を全閉状態と全開状態とにON/OFF的に切り替える駆動回路であって、駆動電流の出力時には電磁弁90を全閉状態とし、駆動電流の非出力時には電磁弁90を全開状態とする。このON/OFF用駆動回路11dが出力する駆動電流は、バッテリ電圧が低下していても、また、電磁弁90に対して最大の液圧が作用していても確実に閉弁することができる最大電流(100%デューティ比)に設定されており、図5に示す例において、2A=100%デューティ比を出力する。ちなみに、本実施の形態では、電磁弁90は、常開の弁を示しているが、常閉の弁であっても同様である。
【0039】
前記PWM用駆動回路11bは、電磁弁90の開度を可変制御する駆動回路であって、抵抗11fが直列に設けられているために通電したときの電流値が低下するもので、その特性は、図5に示すように、ON/OFF用駆動回路11dと同じデューティ比を与えた場合に、同じデューティ比変化量に対して電流値変化量が半分になるもので、100%デューティ比のときの電流値は、ON/OFF用駆動回路11dの場合の半分の電流値(1A)となる特性(図中b)に設定されている。なお、図2は、図1に示す構成を詳細に示した電気回路図である。
【0040】
次に、CPU11eによる電磁弁90の作動制御の流れを図6のフローチャートにより説明する。図6(a)は、電磁弁90を全開状態から全閉状態に移行させる際の制御流れを示すもので、ステップ101で、PWM用駆動回路11bを動作させて図5においてI1で示す電流値相当のデューティ比D1を出力する。続くステップ102において、PWM用駆動回路11bで出力するデューティ比を徐々に上昇させる。このデューティ比の上昇は、ステップ103において、I2で示すのに相当するデューティ比D2が出力されるまで実行される。
【0041】
そして、デューティ比がD2に達したら、ステップ104に進んでON/OFF用駆動回路11dを作動させて、デューティ比100%の駆動電流を出力し、続くステップ105で、PWM用駆動回路11bの作動を停止させる。
【0042】
次に、図6(b)は、電磁弁90を、全閉状態から全開状態に移行させる際の制御流れを示すもので、ステップ201で、ON/OFF用駆動回路11dを作動させてデューティ比100%の駆動電流を出力させる。続くステップ202では、I2相当の電流値が流れるようにPWM用駆動回路11bを動作させ、続いてステップ203で、ON/OFF用駆動回路11dの作動を停止させる。
【0043】
ステップ204では、PWM用駆動回路11bのデューティ比を徐々に下げていき、ステップ205において、I1相当の電流が流されたらステップ206に進んでPWM用駆動回路11bの作動を停止させる。
【0044】
以上は、電磁弁90を、全開から全閉、また、全閉から全開に変化させる場合を説明したが、中間の開度に制御する場合は、ステップ102あるいはステップ204において、目的の開度に向けてデューティ比を変化させる用制御するものである。
【0045】
以上説明した実施の形態のブレーキ制御装置にあっては、PWM制御により開度を変化させる場合には、図5においてbで示す特性で作動させる。この特性に基づく制御では、電磁弁90が全開から全閉に開度変化するのに対応したデューティ比は40%〜60%の範囲に対応しており、従来技術の特性(本実施の形態のON/OFF用駆動回路による特性a)と比較して、範囲が倍になっている。したがって、例えば、デューティ2%の分解能で比較すると、特性aの場合、20%〜30%の範囲で、20,22,24,26,28,30%で、6分割しかできないのに対し、特性bでは、40%〜60%の範囲で、40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,60%と、11分割でき、分解能が約2倍に向上している。よって、従来よりも制御精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0046】
また、上述のように分解能を向上させるにあたり、デューティ比100%で1Aと、最大電流が1/2に設定されているが、電磁弁90を全閉させる場合は、ON/OFF用駆動回路11dに切り替えるため、デューティ比100%で従来通り2A相当の電流が得られ、バッテリ電圧の低下やブレーキ液圧の上昇などの影響を受けても、確実に全閉状態とすることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、駆動コイル91とPWM用駆動回路11bとの間に抵抗11fを直列に設けただけで、PWM用駆動回路11bによる特性bを得るようにしているため、簡単で安価な構成により、上述した分解能を向上させて制御精度を向上させる効果が得られる。
【0048】
また、実施の形態では、上述した分解能の向上に伴って、コイル電流検出回路11cによる検出精度も向上する。ちなみに、本実施の形態では、コイル電流検出回路11cにより駆動コイル91に通電される電流値を検出し、PWM用駆動回路11bからの出力デューティ比と検出電流値との関係から、その制御時点での実際の特性を推定して、補正を行う。したがって、抵抗の発熱に伴って抵抗値が変化したり、バッテリ電圧が基準値に対して上下に変動したりしていても、これらの変化を考慮した補正を行って、高い精度の制御を実行することができるという効果が得られる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、自動制動制御を実行するときには、ポンプ4を駆動させてマスタシリンダMCのブレーキ液をホイルシリンダWCに供給し、減圧の際には、アウト側ゲート弁31,32を開弁してマスタシリンダMCにブレーキ液を戻す。したがって、制動を行う頻度が高くなってもリザーバ7にブレーキ液が溜まることがなく、よって、減圧が行えなくなることがなく、制御信頼性の向上を図ることができる。加えて、この制御信頼性の向上を、ポンプ4やリザーバ7の容量を大きくしたりブレーキ液の供給量と戻し量の収支を正確に求める演算を行ったりというような高価な手段を用いることなく達成できるという効果が得られる。
【0050】
また、自動制動制御時の液圧制御を、アウト側ゲート弁31,32とイン側ゲート弁9を用いて行うにあたり、ブレーキ配管1,2を各ホイルシリンダWCに向けて分岐させ、かつ、各分岐回路1a,1b,2a,2bのそれぞれにアウト側ゲート弁31,32を設けるとともに、各分岐回路1a,1b,2a,2bに接続された吐出回路4cのそれぞれにカット弁25a,25bを設けた構成としたため、同じ系統のブレーキ配管1,2にあっても、独立してホイルシリンダ圧の制御を実行することができる新規な装置を提供することができるという効果が得られる。
【0051】
以上図面により実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではない。
例えば、実施の形態では、電磁弁として常開の電磁弁に適用した場合を例に挙げたが、常閉の電磁弁にももちろん適用できる。
また、ブレーキ操作液圧源としてブレーキペダルBPの操作により機械的に液圧を発生させるマスタシリンダを示したが、ブレーキペダルBPと機械的な連携が無く、ブレーキペダルBPに対する操作を電気的に検出してその検出値に基づいて制御液圧を発生する手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のブレーキ制御装置の要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示す構成の詳細を示す回路図である。
【図3】実施の形態の油圧回路構成を油圧回路図である。
【図4】実施の形態の要部の作動説明図である。
【図5】実施の形態および従来技術の作動特性図である。
【図6】実施の形態の制御流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
MC マスタシリンダ(主液圧源)
WC ホイルシリンダ
BP ブレーキペダル
RES リザーバ
1 ブレーキ配管(主通路)
1a 分岐回路
1b 分岐回路
2 ブレーキ配管(主通路)
2a 分岐回路
2b 分岐回路
31 アウト側ゲート弁
32 アウト側ゲート弁
3a 一方弁
3b 迂回路
3c リリーフバルブ
4 ポンプ(副液圧源)
4a 吸入回路
4b 吸入回路
4c 吐出回路
4d 逆止弁
4p プランジャ
4r ポンプ室
5 増圧弁
6 減圧弁
7 リザーバ
8 モータ
9 イン側ゲート弁
10 リターン通路
11 コントロールユニット
11b PWM用駆動回路
11c コイル電流検出回路(モニタ手段)
11d ON/OFF用駆動回路
11e CPU
11f 抵抗
12 車輪速センサ
90 電磁弁
91 駆動コイル
Claims (3)
- 車両の車輪に供給するブレーキ液圧を調整する電磁弁と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
この走行状態検出手段からの入力に基づいて前記電磁弁の作動をデューティ比に基づくPWM制御により制御する制動制御手段と、
この制動制御手段に含まれ、前記電磁弁に向けて駆動電流を出力する駆動回路と、を備えたブレーキ制御装置において、
前記駆動回路として、電磁弁に対して全閉あるいは全開を維持する最大電流値の駆動電流を出力するON状態、および駆動電流を出力しないOFF状態を形成するON/OFF用駆動回路と、電磁弁に対して100%デューティ比を出力した際に前記最大電流値よりも低い電流値に設定された範囲でPWM制御用駆動電流を出力するPWM用駆動回路との2つの駆動回路が設けられ、
前記制動制御手段は、電磁弁を全閉または全開に維持するときにはON/OFF用駆動回路により最大電流値の駆動電流を出力し、電磁弁をPWM制御により所定の範囲で開度を制御するときにはPWM用駆動回路により駆動電流を出力するよう構成されていることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記電磁弁の駆動コイルとPWM用駆動回路との間には、駆動コイルに直列に抵抗が設けられ、
この抵抗の抵抗値は、PWM用駆動回路が0%〜100%のデューティ比に対応して駆動電流を出力したときの電流値の変化範囲が、電磁弁を全開から全閉の範囲で開度変化させることができる電流値と重なるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。 - 前記PWM用駆動回路の電流値をモニタするモニタ手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
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