JP4188324B2 - 流体噴射装置の流体噴射ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

流体噴射装置の流体噴射ヘッドおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体噴射装置の流体噴射ヘッドおよびその製造方法に関する。
流体噴射装置は、さまざまな異なる技術において用途を見出すことができる。例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ機等のプリント装置には、流体噴射機構のアレイからプリント媒体上に流体の小滴を噴射することによってプリントを行うものがある。流体噴射機構は通常、プリント装置本体に可動に連結されたキャリア(移動装置、carrier)に搭載された流体噴射ダイ上に形成される。個々の流体噴射機構、プリント媒体を横切るダイの移動、および装置を通る媒体の移動を綿密に制御することによって、媒体上に所望の画像を形成することができる。
流体噴射ダイとキャリアとを組み合わせたものを、「流体噴射ヘッド」と呼んでもよい。通常ワイドアレイの流体噴射装置と呼ばれるタイプの流体噴射装置は、単一のキャリア上に搭載された複数の流体噴射ダイを有する流体噴射ヘッドを含む。これによってワイドアレイの流体噴射装置は、ダイが単一の流体噴射ヘッドよりも単位時間当たりに噴射する流体滴を多くすることができ、したがってプリント速度を上げるのに役立つ。
多くの流体噴射装置は、整備ステーションを用いて流体噴射ヘッドからいかなる流体かす(residue)も定期的にワイピングする(またはその他の方法でクリーニングする)。整備ステーションは通常、柔軟なワイパーを含み、このワイパーが、オリフィスが配置されたプリントヘッド表面を横切ってワイピングし、それによっていかなる残留流体もオリフィスから押しのけられ、かすによるオリフィスの汚染の防止に役立つ。しかし、流体噴射ダイがキャリア表面から突出している(stand proud of the surface)流体噴射装置もあるかもしれない。ダイの上面とキャリアとが同じ高さではない場合には、キャリアとダイとが接する(meet)ところに近接するインクかすをワイパーが捕らえられない場合がある。さらに、ダイとキャリアとは半導体および/またはセラミックの材料でできていることが多いので、ワイパーを損傷し得る凸凹の縁および/または表面を有する場合がある。
上記課題を解決するため、本発明は、その一側面で、流体噴射装置の流体噴射ヘッドであって、基板と、該基板に連結する流体噴射ダイと、前記基板上に配置された、電磁放射で硬化可能な接着剤と、該電磁放射で硬化可能な接着剤を介して前記基板に連結するカバーとを備え、該カバーは、前記流体噴射ダイから噴射される流体を通すよう構成された開口部を含み、前記カバーは、少なくとも部分的に電磁放射を通す材料でできており、前記基板と前記カバーとの間に配置されたフィラー材料をさらに備え、前記カバーは外面を有し、該カバーは、前記基板と前記カバーとの間に前記フィラー材料が加えられるときにフィラー材料が流入する、前記カバーの前記外面へと開いた凹みを含むことを特徴とする。
前記接着剤は、紫外線放射で硬化可能な接着剤であり、前記カバーは、少なくとも部分的に紫外線放射を通す材料でできていることが好ましい。
本発明は、さらに別の側面で、流体噴射装置の流体噴射ヘッドを製造する方法であって、該流体噴射ヘッドは、基板と、該基板に連結する流体噴射ダイと、該流体噴射ダイの回りで前記基板に連結するカバーと、該カバーと前記基板との間に配置された、硬化可能な材料とを備え、前記カバーは、前記流体噴射ダイによって噴射される流体を通すよう構成された開口部を含み、前記カバーはまた、硬化可能な材料レベル検出ポケットも含み、該方法は、前記流体噴射ダイを前記基板上に配置すること、前記カバーが前記流体噴射ダイからある空間だけ隔てられるよう、前記カバーを前記基板上に配置すること、前記硬化可能な材料を、前記カバーと前記流体噴射ダイとの間の前記空間に加えること、前記硬化可能な材料レベル検出ポケットを通して、前記カバーと前記流体噴射ダイとの間の前記空間内の前記硬化可能な材料のレベルを監視することとを含む。
図1は、全体として10で、本発明の実施形態による流体装置を利用することができる例示的なプリントシステムのブロック図を示す。流体噴射装置10は、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、または2つ以上のこれらの装置の機能を組み合わせたハイブリッド装置等のプリント装置を含むがこれに限定するものではない、いかなる好適なタイプの流体噴射装置であってもよい。流体噴射装置10は、流体噴射ヘッド組立品に隣接して配置されたプリント媒体14上に流体を移動させるよう構成された、流体噴射ヘッド組立品12を含む。流体噴射ヘッド組立品12は通常、複数の流体噴射機構16を通してプリント媒体14上に流体を移動させるよう構成されている。流体噴射機構16は、いかなる好適な方法で流体を噴射するよう構成されていてもよい。例としては、熱流体噴射機構および圧電流体噴射機高が含まれるが、これに限定するものではない。
流体噴射ヘッド組立品12は、プリント媒体14に対して流体噴射ヘッド組立品を動かすように構成された搭載組立品18に搭載されていてもよい。同様にプリント媒体14は、流体噴射ヘッド組立品12に対してプリント媒体を動かすように構成された媒体搬送組立品20の上に配置されていてもよく、その他の方法で媒体搬送組立品20と相互に作用してもよい。通常、搭載組立品18は、媒体搬送組立品20がプリント媒体14を動かす方向と略直交する方向に流体噴射ヘッド組立品12を動かし、したがってプリント媒体14の広範囲にわたるプリントを可能にする。または、搭載組立品18は、1つまたは複数のタイプの流体噴射ヘッド組立品12を、媒体14を動かしている間に媒体搬送組立品20に対して固定場所に保持して、広範囲のカバー(coverage)を可能にしてもよい。
流体噴射装置10はまた、通常、プリントジョブを表すデータ24を受け取るよう構成された電子コントローラ22を含む。コントローラ22はまた、流体噴射ヘッド組立品12からの流体の噴射、搭載組立品18の動き、および媒体搬送組立品20の動きを制御してデータ24が表す画像のプリントを行うよう構成されていてもよい。
流体噴射装置10はまた、通常、流体槽内に保管されている流体を必要に応じて流体噴射ヘッド組立品12に供給するよう構成された、流体供給源すなわち槽26も含む。流体槽26は、コンジット(conduit)28を介して流体噴射ヘッド組立品12に流体連通している。コンジット28は、流体槽から流体噴射ヘッド組立品に流体を搬送するよう構成されている。流体噴射ヘッド組立品12、流体槽26、またはコンジット28のうちのいずれも、流体槽から流体噴射ヘッド組立品に流体を運ぶ好適なポンピング(pumping)機構(図示せず)を含んでもよい。好適なポンピング装置の例としては蠕動ポンピング装置が含まれるが、これに限定するものではない。
流体槽26は、プリント中に連続して流体噴射ヘッド組立品12に流体を供給するよう構成されていてもよく、または、定期的に所定量の流体を流体噴射ヘッド組立品に供給するよう構成されていてもよい。定期的に所定量の流体を流体噴射ヘッド組立品12に供給するよう流体槽26が構成されている場合には、流体噴射ヘッド組立品は、流体槽26から移動してきた流体を保持するよう構成されたより小型の槽29を含んでもよい。
図2は流体噴射ヘッド組立品12の例示的な実施形態を示し、図3は図2の流体噴射ヘッド組立品の一部の分解組立図を示す。図示の流体噴射ヘッド組立品12は、ワイドアレイの組立品である。流体噴射ヘッド組立品12は、複数の流体噴射ダイ32を支持するキャリア30と、キャリア30の上面と側面とを覆うカバー34とを含む。図3にはキャリア30のうちの比較的薄い部分のみが示されており、わかりやすくするために図3ではダイが省かれている。図示の流体噴射ヘッド組立品は、流体噴射ダイが4つのワイドアレイの組立品であるが、流体噴射ヘッド組立品はまた、ダイが単一の組立品であってもよく、ダイがいかなる個数のワイドアレイの組立品であってもよい、ということが理解されよう。
キャリア30は、搭載組立品18に接続され流体噴射ヘッド組立品12を搭載組立品に連結するよう、構成されている。キャリア30はまた、流体噴射ダイ32上の流体噴射機構16をコントローラ22に電気的に接続するよう構成されていてもよい。いかなる好適な構造を用いて流体噴射ダイ32をコントローラ22に電気的に接続してもよい。図示の実施形態(図5)において、キャリア30はキャリアの第1の面(side)38に沿って配置された複数の電気接点36を含む。電気接点36は、キャリアを搭載組立品に搭載するとコントローラ22と電気的に連絡する(in electrical communication)搭載組立品18上の複数の相補型接点に接触するよう構成されている。これによって、コントローラからそれぞれのダイ32に電力(power)、接地、およびデータの信号を伝達することができる。図示の電気接点36はキャリア30の1つの面上に配置されているが、電気接点はキャリア上のいかなるその他の好適な場所に配置してもよい、ということが理解されよう。
電気接点36は、電気接点とダイとの間に延びる回路を介してダイ32に電気的に接続されている。回路は、キャリア30の内部を貫いておよび/またはキャリア30の表面に沿って延びるバイア(図示せず)の形をとってもよい。キャリア30はまた通常、ダイをキャリア30上の回路に電気的に接続するバイアの末端をなす、図3において37で示す第2の組の電気接点も含む。回路と電気接点とは、プリント回路基板もしくはその他の層状回路装置およびその他の接続装置等の別個のサブコンポーネントまたは部品として存在し、あらかじめ組み立てられてキャリア30を作成してもよい、ということが理解されよう。
キャリア30はまた、プリント流体をダイ32に分配するマニホルドとして機能するよう構成されていてもよい。したがってキャリア30は、流体をそれぞれのダイに供給するよう構成されたチャネルを含んでもよい。これらのチャネルを、図3において39で示す。
ダイ32は、流体槽26から受け取った流体をプリント媒体14上に移動させるよう構成されている。ダイ32は、キャリア30の上面40に搭載され、1つまたは複数の行になるよう整列している。図示の実施形態において、ダイ32は2行になるよう搭載され、間隔を置いて一方の行のダイが少なくとも部分的に他方の行のダイに重なり合うように千鳥配置されている。このようにダイ32を配置することによって、流体噴射ヘッド組立品12はいかなる所望の幅、例えば公称のページ幅にも及ぶことができる。
カバー34は、キャリア30の面40にはまるよう構成されており、それぞれのダイ32についての、ダイによって噴射された流体がプリント媒体14に達することができるようにする開口部42を含む。カバー34はまた、キャリア30の側面を少なくとも部分的に覆う1つまたは複数の面44も含んでもよい。カバー34の面44に、キャリア30上の対応する1つまたは複数の突出部48にかみ合う、1つまたは複数の切欠き46を設けてもよい。以下により詳細に説明するように、切欠き46と突出部48とが相互作用して、流体噴射ヘッド組立品12の製造を支援することができる。
カバー34は、ワイピングステーションにおける流体噴射ヘッド組立品12のクリーニングを支援する、滑らかな同じ高さの表面を提供するよう構成されていてもよい。例えばカバー34は、丸いまたは面取りした角49および/または摩耗防止表面を有するよう構成されて、ワイピングステーションにおけるワイパーに生じる摩耗を最小にしてもよい。さらにカバー34は、カバー34の外面がダイ32の外面と略同一平面上になるように、キャリア30に搭載されるよう構成されていてもよい。この構成によって、カバーとダイとの境界に隣接したところにあるかすのクリーニングをし損なうリスクを低減させながら、ダイ32の表面とカバー34とを同時にクリーニングすることができる。
カバー34は、キャリア30の表面とは短い間隔だけ離れていてもよく、この間隔をフィラー材料で満たしてもよい。フィラー材料を図3において50で示す。フィラー層50は、ダイ32と電気接点36との間の電気的な相互接続部を、ワイパーによってまたは流体の汚染によって引き起こされる損傷から保護するのに役立てることができ、また、ダイ32をキャリア30上の所定位置に保持するのに役立てることができる。さらに、フィラー層50は、ダイ32とカバー34の開口部42の縁との間の空間を占め、流体噴射ヘッド組立品12の表面をワイピングのために同じ高さにするのに役立つ。フィラー層50は、流体噴射装置当たり1つの相互接続された体積(volume)として、またはいくつかのより小さい体積として、存在してもよい。フィラー層50は、いかなる好適な材料でできていてもよい。好適な材料としては、電気絶縁を行うものおよび/またはプリント流体による腐食に耐性のあるものが含まれる。
カバー34は、いかなる好適な方法でキャリア30に取り付けてもよい。図示の実施形態において、カバー34は、図3において52で示す接着剤のビードでキャリア30に取り付けられている。いかなる好適な接着剤を用いてもよい。実施形態によっては、電磁放射で硬化可能な接着剤を用いてカバー34をキャリア30に取り付けてもよい。これらの実施形態において、カバー34は、接着剤52を硬化するのに用いる放射線の波長を少なくとも部分的に通す材料(複数可)でできていてもよい。
電磁放射で硬化可能な接着剤によってカバー34をキャリア30に取り付ける例示的な一方法は、以下のとおりである。まず接着剤52をキャリア30の面40に加える。図示の実施形態において、接着剤52のビードはおおむねキャリア30の面40の周囲をたどるが、いかなるその他の好適なパターンで接着剤をキャリアに加えてもよい、ということが理解されよう。次に、カバー34をキャリア30の上に配置して、カバーが接着剤52に接触するようにする。カバーをキャリア30の上に配置した後、好適な波長の放射線をカバーに当てることによって接着剤52を硬化する。この放射線はカバーを透過して接着剤を活性化し、それによって接着剤を硬化させる。通常、接着剤52の硬化後にカバー34とキャリア30との間の空間にフィラー層50が加えられる。このプロセスを利用して流体噴射ヘッド組立品12を製造する例示的な一方法を、以下でより詳細に説明する。
接着剤52として、いかなる好適な電磁放射で硬化可能な接着剤を用いてもよい。例えば、可視スペクトルの放射線で硬化する接着剤を用いてもよい。しかしこれらの接着剤は、十分な量の可視光がない状態で塗布する必要があるかもしれない。紫外線(UV)スペクトルの放射線によって硬化する接着剤を用いてもよい。これらの接着剤を通常の可視光状態の下で塗布することができ、したがって可視光で活性化する接着剤よりも容易に扱うことができる。いかなる好適なUVで硬化可能な接着剤を用いてもよい。米国マサチューセッツ州キャントン市のエマーソン アンド カミング社(Emerson and Cuming, Inc.)によってAmiconUV−307という製品名で販売されているものは、好適な接着剤の一例である。
カバー34は、いかなる好適な材料でできていてもよい。好適な材料としては、適当な寸法安定性を有するもの、ならびに/または、プリント流体および整備ステーションにおいて用いる任意のクリーニング流体に耐性のあるものが含まれてもよい。好適な材料としてはまた、ワイピング中に粒子をほとんど落とさ(shed)ないもの、および/または、プリント流体によって引き起こされる短絡を防止するのに役立つよう電気絶縁されているものが含まれていてもよい。さらに、好適な材料は、接着剤52を硬化させるのに用いる放射線の波長を通すもの、および、熱膨張率が異なることによって生じる諸問題の防止に役立つよう熱膨張係数がキャリア30と同様であるものを含んでもよい。一例において、鉱物を満たした(mineral−filled)LCPが用いられる。また、UV放射で硬化可能な接着剤を用いてカバー34をキャリア30に接合する場合には、カバー34は、好適な顔料または染料で着色してカバーを不透明にすることができる材料でできていてもよい。ポリスルホンおよびポリブチレンテレフタレートは、これらの特性のうちの少なくともいくつかを有する好適な材料の例である。これらはUVを通し、顔料および/または染料で着色することができる。これらの材料はまた、射出成形されてもよく、したがって、所望の内部および外部構造をすべて有するカバーを、工程が単一の成形プロセスによって形成することができてもよい。
カバー34は、いかなる好適な厚さを有してもよい。実施形態によっては、カバー34の厚さはダイ、接着剤のビード52、およびフィラー層50の厚さの関数として選択し、カバーの外面がダイ32の外面と略同一平面上にあるようにしてもよい。例えば、ダイ32の厚さが約980ミクロンであり接着剤52の厚さが102ミクロンである場合には、カバー34は約980−102=878ミクロンであってもよい。さらに、カバー34はこの数値あたり、例えば約980ミクロンから約850ミクロンまでの範囲、の厚さを有してもよく、この範囲外の値を有してもよい。
カバー34は、カバーをキャリア30の表面から所望の距離だけ間隔を置いて配置するための1つまたは複数の隔離器(standoffs)を含んでもよい。隔離器を用いることによって、隔離器が用いられない場合よりもフィラー層50の厚さをより高い精度で設定することができる。好適な隔離器の一例を、図4において54で示す。隔離器54は、カバー34の、キャリア30の面40に隣接する表面内へと成形した突出部の形をとる。隔離器54は、キャリア30の表面に接触し、キャリアの表面から間隔を置いて配置されたカバー34の周囲の部分を保持する。通常、カバー34は、カバーの区域全体にわたって配置されてキャリアの上でカバーの略すべての部分を支持する複数の隔離器を含むが、単一の隔離器のみを含んでもよい。
製造中、ダイ32は通常、フィラー層50の形成前にダイの角が置かれることになっている場所に配置された少量の(small spots of)粘着性接着剤58を介して、キャリア30に搭載される。カバー34は、カバー34の粘着性接着剤への接触の防止に役立ち、したがってカバー34がキャリア30の面40に対して正確な高さに確実に配置されるのに役立つ、図4において56で示す1つまたは複数のカットアウト(cutouts)を含んでもよい。
カットアウト56は、いかなる所望の形状を有してもよい。図示の実施形態において、カットアウト56は丸みのある形状を有しているが、正方形、台形、三角形、およびその他の多角形形状を含むがこれに限定するものではないその他の形状もまた、好適であるかもしれない。図示のカットアウト56は、カバー34の全厚を通して延びているわけではなく、むしろカバーの、キャリア30の面40に面する表面に形成した薄い領域の形をとる。または、カットアウト56はカバー34の全厚を通して延びていてもよい。
上述のように、カバー34は、キャリア30の側面に形成された突出部48とかみ合うよう構成された切欠き46を含んでもよい。実施形態によっては、切欠き46は、接着剤52の硬化中に熱によってカバー34をキャリア30に接着するよう構成されていてもよい。図5は、例示的な切欠き46と突出部48とをより詳細に示す。カバー34をキャリア30上の所定位置に保持することが、硬化プロセス中にカバーがキャリアに対して動かないようにするために十分効果的かもしれない。
上述のように、接着剤52を硬化してカバー34をキャリア30に接合した後、カバー34とキャリア30との間にフィラー層50を形成してもよい。フィラー層50は、カバー34とキャリア30との間の空間に硬化可能なフィラー材料を流動可能な状態で加え、次にその硬化可能な材料を硬化させることによって形成してもよい。カバー34とキャリア30との間の空間を硬化可能なフィラー材料で過剰に充填するまたは充填不足になるのを防止するのに役立つよう、カバー34とキャリア30との間の空間に硬化可能なフィラー材料を加えるときの材料のレベルを監視する、硬化可能な材料検出ポケットを設けてもよい。
図6は、硬化可能な材料検出ポケット136の第1の例示的な配置を有するカバー134の平面図を示し、図7は硬化可能な材料検出ポケットをより詳細に示す。図7はまた、キャリアの上面から間隔を置いてカバーを配置するよう構成された隔離器154も示す。ポケット136は、カバーの外面に形成した凹みの形をとってもよい。カバーとキャリアとの間の空間をフィラー材料が満たすときに、フィラー材料は検出ポケットに流入する。これによって、製造中にフィラー材料のレベルをより容易に監視することができる。
カバー134は、所望数だけ硬化可能な材料検出ポケット136を有してもよい。例えばカバー134は、単一の硬化可能な材料検出ポケット136のみを有してもよく、カバー134のそれぞれの開口部138について1つまたは複数の硬化可能な材料検出ポケットを有してもよい(開口部138は、図2の実施形態の開口部42に対応する)。図6および図7の実施形態において、カバー134は、カバー134のそれぞれの開口部138について、硬化可能な材料検出ポケット136を2つ含む。この配置によって、それぞれのダイ140の回りの硬化可能なフィラー材料のレベルを監視して、それぞれのダイをキャリアに接続する導線をフィラー層50が確実に十分封入するようにして、導線を短絡等から保護することができる。
硬化可能な材料検出ポケット136は、いかなる好適な形状およびサイズを有していてもよい。例えば硬化可能な材料検出ポケット136は、136’で示す、カバー34の外面と略平行な向きの底面を有してもよく、136”で示す傾斜した底面を有してもよい。さらに、硬化可能な材料検出ポケット136の外周はいかなる所望の形状を有していてもよい。図6および図7に示す検出ポケットはそれぞれ、外周が長方形である。しかし、ポケットはまた、外周が丸いまたはその他の形状であってもよい、ということが理解されよう。検出ポケット136はまた、上述の接着剤の粘着性ドットに対応するのに用いるカットアウト156とある程度重なり合っていてもよい。
図8は、全体として200で、本発明の他の実施形態による流体噴射ヘッド組立品の製造方法を示す。方法200は、202において、まず流体噴射ヘッドカバーを搭載する基板すなわち搭載表面に接着剤を加えることを含む。例えば図1ないし図5の実施形態において、基板すなわち搭載表面はキャリア30の面40に対応するが、他の実施形態は、流体噴射ダイを支持するもの以外の異なる搭載表面を有してもよい、ということが理解されよう。通常ダイは、202でカバーを搭載表面に接合する接着剤を加える前に、粘着性接着剤のドットを介してキャリア上に既に搭載されているが、ダイはまた、カバーを搭載表面に接合した後に搭載してもよい。
次に、204において、流体噴射ヘッドカバーを搭載表面上に配置して、硬化していない接着剤に接触するようにしてもよい。次に206において、カバーに電磁放射を当てて接着剤を硬化させ、したがってカバーを搭載表面に接着する。カバー上の切欠きにかみ合う突出部をキャリアが含む場合には、隣接する表面を機械的に変形することによって、または留め金もしくはその他の好適なインターフェース特徴部(features)をかみ合わせることによって、カバーをキャリア上の所定位置に保持する。
206において接着剤を硬化後、208においてカバーと搭載表面との間の空間に硬化可能なフィラー材料を加えて、電気コネクタおよび導線を流体かすおよび水分から強力に保護し、ダイをよりしっかりと所定位置に保持する。カバーが硬化可能な材料検出ポケットを含む場合には、材料を加える間または加えた後にポケットを通してフィラー材料のレベルを監視することができる。フィラー材料を所望のレベルまで加えた後、210においてフィラー材料を硬化させることができる。フィラーとして用いる硬化可能な材料に応じて、フィラー材料を硬化させるのに用いる方法はさまざまであってもよい。好適な方法としては、熱硬化、化学硬化、および電磁硬化が含まれるが、これらに限定するものではない。
通常、電力、接地、およびデータのラインをダイに接続するそれぞれのダイ上の電気コネクタパッドは、整備ステーションにおいてワイピングされる流体噴射ヘッド組立品12の表面上に配置されている、または、そのわずかに下方にはめ込まれている。したがって、これらのパッドをキャリア上のコネクタ37に接続する相互接続部(図示せず)は、カバー34、フィラー層50、およびダイ32の外面のわずかに上方まで延びていてもよい。これらの相互接続部を、クリーニングプロセスによってもたらされる損傷からおよび流体での汚染によってもたらされる短絡から保護するために、212において、好適な封入材料で相互接続部とダイ上の接触パッドとを覆うことができる。次に214においてこの封入材料を硬化させて、相互接続部とダイ上の接触パッドとを保護することができる。
本開示は具体的な実施形態を含むが、具体的な実施形態は、限定する意味で考えてはならない。非常に多くの変形が可能だからである。本開示の主題は、本明細書において開示するさまざまな要素、特徴、機能、および/または特性の新規かつ非自明の組合せおよび下位組合せ(subcombinations)をすべて含む。添付の特許請求の範囲は、特に、新規かつ非自明であると考えられるいくつかの組合せおよび下位組合せを指し示している。これらの特許請求の範囲は、「1つの」要素または「第1の」要素またはその均等物を指すことができる。そのような特許請求の範囲は、2つ以上のそのような要素を必要とすることも除外することもなく、1つまたは複数のそのような要素を組み込むことを含むよう理解されるべきである。本特許請求の範囲の補正によって、または、本願または関連出願における新しい特許請求の範囲の提出によって、特徴、機能、要素、および/または特性のその他のコンビネーションおよびサブコンビネーションの特許請求を行ってもよい。そのような特許請求の範囲もまた、当初の特許請求の範囲よりも範囲が広いにせよ、狭いにせよ、等しいにせよ、異なっているにせよ、本開示の主題内に含まれているとみなされる。
本発明の実施形態による流体噴射装置を利用することができる例示的なプリントシステムのブロック図である。 本発明の一実施形態による流体噴射ヘッドの等角図である。 流体噴射ダイを省いた状態の図2の実施形態の一部の分解組立図である。 図2の実施形態の4−4線側断面図である。 カバー上の切欠き内に位置するキャリア上の突出部を示す、図2の実施形態の一部の側面図である。 本発明の他の実施形態による流体噴射ヘッドカバーの実施形態の平面図である。 図6の実施形態の一部の拡大平面図である。 本発明の一実施形態による流体噴射装置の流体噴射ヘッドの製造方法を示すフロー図である。
符号の説明
10 噴射装置
12 流体噴射ヘッド
30 基板
32 流体噴射ダイ
34 カバー
42 開口部
46 切欠き
48 相補型突出部
50 フィラー材料
52 電磁放射で硬化可能な接着剤
136 凹み

Claims (3)

  1. 流体噴射装置の流体噴射ヘッドであって、
    基板と、
    該基板に連結する流体噴射ダイと、
    前記基板上に配置された、電磁放射で硬化可能な接着剤と、
    該電磁放射で硬化可能な接着剤を介して前記基板に連結するカバーと
    を備え、
    該カバーは、前記流体噴射ダイから噴射される流体を通すよう構成された開口部を含み、
    前記カバーは、少なくとも部分的に電磁放射を通す材料でできており、
    前記基板と前記カバーとの間に配置されたフィラー材料をさらに備え、
    前記カバーは外面を有し、該カバーは、前記基板と前記カバーとの間に前記フィラー材料が加えられるときにフィラー材料が流入する、前記カバーの前記外面へと開いた凹みを含むことを特徴とする流体噴射装置の流体噴射ヘッド。
  2. 前記接着剤は、紫外線放射で硬化可能な接着剤であり、前記カバーは、少なくとも部分的に紫外線放射を通す材料でできている、請求項1に記載の流体噴射装置の流体噴射ヘッド。
  3. 流体噴射装置の流体噴射ヘッドを製造する方法であって、該流体噴射ヘッドは、
    基板と、
    該基板に連結する流体噴射ダイと、
    該流体噴射ダイの回りで前記基板に連結するカバーと、
    該カバーと前記基板との間に配置された、硬化可能な材料とを備え、
    前記カバーは、前記流体噴射ダイによって噴射される流体を通すよう構成された開口部を含み、
    前記カバーはまた、硬化可能な材料レベル検出ポケットも含み、
    該方法は、
    前記流体噴射ダイを前記基板上に配置すること、
    前記カバーが前記流体噴射ダイからある空間だけ隔てられるよう、前記カバーを前記基板上に配置すること、
    前記硬化可能な材料を、前記カバーと前記流体噴射ダイとの間の前記空間に加えること、
    前記硬化可能な材料レベル検出ポケットを通して、前記カバーと前記流体噴射ダイとの間の前記空間内の前記硬化可能な材料のレベルを監視すること
    とを含む、流体噴射装置の流体噴射ヘッドを製造する方法。
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