JP5436298B2 - 液体吐出記録ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、液体を吐出して記録動作を行うインクジェット記録装置などの液体吐出記録装置に適用されるインクジェット記録ヘッドなどの液体吐出記録ヘッドに関する。
従来、インクジェット記録装置は、ランニングコストが比較的低く、装置の小型化も可能であり、さらに、複数色のインクを用いてカラー画像記録に対応することも容易であることから、コンピュータ関係の出力機器等に幅広く利用され、製品化されている。
近年では、より一層高速に高精細な画像の記録を実現するために、行記録での記録幅が大きい記録ヘッドの実現も望まれている。具体的には、記録ヘッドの長さが4インチ〜12インチ等の長さのものも要求されてきている。
記録幅の大きな記録ヘッドとしては、例えば特許文献1に開示されている。図10は特許文献1に開示された記録ヘッドの分解斜視図である。この記録ヘッドは、支持プレート1200上に複数の記録素子基板1001が千鳥状に配置されている。また、支持プレート1200上には電気配線基板1300が配置され、各記録素子基板1001と電気的に接続されている。さらに、支持プレート1200はインク供給部材1500と接合され、インクジェット記録ヘッドを形成している。
特開2007−296638号公報
しかしながら、このような構成の記録ヘッドでは、電気配線基板は通常ポリイイミド等の樹脂フィルムで形成されており、熱による線膨張すなわち伸縮量は、セラミック等で形成された支持プレートよりもかなり大きい。また電気配線基板上にSUS等の金属プレートを接着した構成も開示されているが、線膨張差はあまり改善されず、セラミック製の支持プレートに比べ3倍程度の伸縮が発生する。一般に温度差が発生した際の部材の伸び量は、部材の線膨張率×温度差×部材の長さに関係する。従って、記録幅の大きな記録ヘッドにおいては電気配線基板の大きさ(長手方向の長さ)が非常に大きくなるため、記録ヘッドの端部近傍の熱による伸縮差はかなり大きくなる。
よって、特に記録ヘッドの長手方向の端部に存在する記録素子基板と電気配線基板との間の、熱による寸法変化量が大きくなるため、記録素子基板と電気配線基板を接続している部材(例えばAuワイヤーなど)に大きな引っ張りや圧縮の応力がかかってしまう。そのため電気接続や電気接続信頼性を確保するうえで問題が生じる場合があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたものであり、記録幅の大きな記録ヘッドにおいて、電気的信頼性を高くすることを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明の液体吐出記録ヘッドは、
液体を吐出するための複数の記録素子と吐出口とを備える記録素子基板と、
前記記録素子基板を配置する開口部と、前記記録素子基板の端部に設けられた複数の電極と電気的に接続される、前記開口部の縁に設けられた複数の電極端子と、を備える電気配線基板と、
該記録素子基板および前記電気配線基板を支持し、該電気配線基板の線膨張係数よりも低い線膨張係数の材料から構成される支持プレートと、
前記電気配線基板の線膨張係数よりも低い線膨張係数の材料から構成され、前記支持プレートの上の前記電気配線基板に重ねられ、前記支持プレートおよび前記電気配線基板の双方に固定されたカバープレートと、を備えている。
本発明によれば、記録素子基板と電気配線基板との間の距離が、温度変化により変化することを抑制することができる。その結果、記録幅の大きな記録ヘッドの長手方向の端部における電気的信頼性を確保することが可能となる。
本発明の第1の実施形態を示す斜視図と、当該図のA−A断面図。 本発明に使用する記録素子基板の斜視図と、当該図のB−B断面図。 本発明の第1の実施形態を示す正面図と、当該図のA−A断面図。 第1の実施形態の記録ヘッドと比較する参照ヘッド(1)の正面図と、当該図のA−A断面図。 第1の実施形態の記録ヘッドと比較する参照ヘッド(2)の正面図と、当該図のA−A断面図。 第1の実施形態の記録ヘッドと比較する参照ヘッド(3)の正面図と、当該図のA−A断面図。 第1の実施形態の変形例を示す断面図。 本発明の第2の実施形態を示す斜視図と、当該図のA−A断面図。 本発明の第3の実施形態を示す斜視図と、当該図のA−A断面図。 特許文献1に記載の記録ヘッドの分解斜視図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)は、本実施形態を示すインクジェット記録ヘッドの外観斜視図、図1(b)は図1(a)に示す記録ヘッドのA−A断面図である。
図1において、本実施形態のインクジェット記録ヘッド(液体吐出記録ヘッド)は、複数の記録素子基板101と、記録素子基板101に外部からの電気的信号を付与するための電気配線基板119と、を有する。記録素子基板101には、記録液を吐出させるための吐出エネルギー発生素子111(図2(b)参照)が形成されている。
このインクジェット記録ヘッドは、記録素子基板101および電気配線基板119を保持固定するための支持プレート103と、各記録素子基板101に供給する記録液を収容するための記録液供給液室を有した液体供給部材105をさらに備える。支持プレート103の上の電気配線基板119の表面は、温度変化による電気配線基板119の変形を抑制するためのカバープレート117で覆われている。
また、液体供給部材105と支持プレート103、支持プレート103と各々の記録素子基板101はそれぞれ接着剤(不図示)によって固定されている。さらに、支持プレート103には電気配線基板119およびカバープレート117が接着剤106によって固定されており、電気配線基板119とカバープレート117も同様に接着剤106により固定されている。
図2(a)は、記録素子基板101の外観斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示すB−B断面図である。さらに詳しく説明すると、記録素子基板101は、例えば厚さ0.5〜1mmの薄膜で形成されたSi基板107を有する。Si基板107には、インク流路として長溝状の貫通口からなる記録液供給口109が形成され、記録液供給口109の両側に、吐出エネルギー発生素子であるヒーターなどの電気熱変換素子111およびAl等の電気配線が成膜技術により形成されている。また、Si基板107上には流路形成部材116が形成され、流路形成部材116には複数の液体吐出口115が各電気熱変換素子111に対応して形成され列状に配列されている。各液体吐出口115は、流路113を介して記録液供給口109と連通している。
次に、本実施形態のインクジェット記録ヘッドの構成を説明する。
本実施形態のインクジェット記録ヘッドは、記録素子ユニットとインク供給ユニットから構成される。
記録素子ユニットは、8個の記録素子基板101が支持プレート103の主面にあらかじめ定められた位置精度で配置固定されている。支持プレート103は、例えば厚さ0.5〜10mm程度のアルミナ(Al23)材料で構成されている。支持プレート103の素材は、アルミナに限られることなく、電気配線基板119より低線膨張率で、剛性が高いものであればよい。例えばシリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などであってもよい。
また、主としてシリコン(Si)材料で構成される複数の記録素子基板101は互いに、各記録素子基板101に設けられた列状の吐出口群のうちの、端の一部が吐出口配列方向で重複するように配置されている。従って、本実施形態における記録ヘッドの一列分に相当する吐出口群は、2列の記録素子基板101の吐出口列を千鳥状に配列することにより構成される。このように記録素子基板101の端の一部の吐出口部を重複させて配列することによって配列時の位置ずれによる画像上の不具合を補正できるようにしている。
さらに、記録素子基板101の電気熱変換素子111に外部から電気的な入力を与えるための電気配線基板119には、記録素子基板101の固定位置に対応した開口部が形成されている。記録素子基板101はその開口部に収まるように支持プレート103に接着固定されている。そして、図1(b)、図2(a)に示すように、記録素子基板101の表面端部に形成された電極120と、電気配線基板119の表面に形成された電極端子124とが互いにボンディングワイヤー121等の電気接続手段により接続されている。なお、この電気接続部は、記録液による腐食等を防止するため、封止剤122により封止される。
インク供給ユニットは図1に示すようにインク供給部材105とフィルター(不図示)、ジョイントゴム(不図示)、流路プレート(不図示)とで構成されている。さらに詳しく説明すると、インク供給部材105は、構造体のベース部材で樹脂材料を用い射出成型等により構成されている。
ここで本実施形態におけるカバープレート117は、電気配線基板119より長手寸法が大きく、厚さ0.1〜0.3mm程度で、その線膨張率が電気配線基板119よりも小さい(α=5ppm/℃)Ti材で形成した。そして、このようなカバープレート117を電気配線基板119の上部の全面を覆うように電気配線基板に接着固定した。このとき図1(a)に示すように、カバープレート117と支持プレート103は、記録ヘッドの長手方向の両端部において直接接着固定した。
この構成により、電気配線基板119は、電気配線基板119より線膨張係数の小さいアルミナの支持プレート103と、Tiのカバープレート117とに挟まれて接着固定されている。このため、電気配線基板119の、温度変化による伸縮は、線膨張係数の小さい材料程度に抑制される。特に本実施形態のように電気は配線部材を間に挟んで、記録ヘッドの長手方向の両端部でカバープレート117と支持プレート103とを接着固定することが好ましい。これにより電気配線基板の伸びの影響が大きい、記録ヘッドの長手方向の両端部近傍部分の電気配線基板の伸縮を抑制することができる。
本実施形態の記録ヘッドおよび比較例となる参照記録ヘッドを作製し、各記録ヘッド端部における電気接続部の長さを測定した。参照記録ヘッドは3種類作製された。すなわち、本実施形態の記録ヘッドに対して以下のように変更した3つが用意された。(1)カバープレート117を有しない記録ヘッド。 (2)カバープレート117がTiで、支持プレート103とは接着していない構成の記録ヘッド。 (3)カバープレート117がポリイミド(α=約20ppm/℃)であり、かつ電気配線基板119および支持プレート103の双方と接着している記録ヘッド。
図3(a)は本実施形態の記録ヘッドの正面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。また、参照記録ヘッド(1)から(3)の正面図およびそのA−A断面図を図4から図6に示した。
測定する各記録ヘッドは、支持プレート103としてアルミナ(長手寸法幅183mm)、電気配線基板119として可撓性を有するフレキシブルフィルム配線基板(長手寸法幅161mm)で構成されている。そして支持プレート103と電気配線基板119とが熱硬化性エポキシ樹脂106(厚み約50〜100μm)で接着固定されている。また、本実施形態のカバープレート117の長手寸法幅は171mmとし、さらに記録ヘッド(2)の長手寸法は161mm、記録ヘッド(3)の長手寸法は171mmとした。各記録ヘッドともに支持プレート103および電気配線基板119とは熱硬化性エポキシ樹脂106で接着固定した。
測定温度は室温(23℃)および高温環境(150℃)とし、両温度における記録ヘッド端部の電気配線部の長さLを測定した。電気配線部とは、記録素子基板101の表面端部に形成された電極と、電気配線基板119の表面に形成された電極端子との間の部分をさす(図3(b))。
表1に各種記録ヘッドの結果を示す。本実施形態での電気配線基板の伸縮が抑制されていることがわかる。従って、本実施形態においては記録素子基板101と電気配線基板119との間の距離の温度変化量を抑え込むことが可能であり、高い電気信頼性を有した記録ヘッドが得られる。
Figure 0005436298
本実施形態ではカバープレート117の素材は、Tiで説明を行ったがTiに限られることなく、低線膨張率の材料であれば適用可能である。例えばアルミナ(Al23)、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などのセラミックや金属材料であればよい。つまり、カバープレート117と支持プレート103の線膨張係数が電気配線基板119の線膨張係数より低いことが好ましい。また、カバープレート117と支持プレート103の線膨張係数に大きな差があると歪が発生し、電気接続部に影響が及ぶ可能性があるので、カバープレート117と支持プレート103の線膨張係数とはほぼ同じであることが好ましい。
また、記録ヘッドの長手方向の端部におけるカバープレート117と支持プレート103の接着固定に関しては、図7に示すようにカバープレート117と電気配線基板119の長手寸法は同じでもよい。この場合には電気配線基板119の記録ヘッドの長手方向の端部近傍部の一部に開口部を設け、その開口部を介して、カバープレート117と支持プレート103とを接着固定する。この構成によりカバープレート117の全域において、より平坦性がより維持される点で好ましい。
本発明の第2の実施形態について、図8を用いて説明する。
図8(a)は、本発明の第2の実施形態に関わるインクジェット記録ヘッドであり、図8(b)は、図8(a)のA−A断面に対応した図である。第1の実施形態と同様に構成できる部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態は、カバープレートを記録ヘッド長手方向の端部近傍にのみ配置したものである。
図8に示したとおり、本実施形態では、カバープレート118を第1の実施形態に比べて小さくして電気配線基板119の両端部近傍に配置した。さらにカバープレート118を電気配線基板119の上面と支持プレート103とに夫々接着固定させた。
一般的にインクジェット記録ヘッドにおいては記録品位の劣化がなく、安定的に記録を行うために記録素子基板101の表面(吐出口形成面)を含む面は定期的にゴムのブレード等でワイピングを行ないクリーニングされる。
本発明においては、カバープレートは電気配線基板119の線膨張係数よりも低い線膨張係数のセラミックや金属材料で形成される。このため、クリーニング時にゴム製のブレードがダメージを受けたり耐久性の劣化を引き起こしたりすることが懸念される。
その際には本実施形態のようにワイピング領域にカバープレートが存在しない構成をとることが効果的である。
従って、本実施形態においては記録ヘッドの長手方向の端部に局所的にカバープレート118を配置したため、記録素子基板表面のワイピングの際にカバープレート118上をワイピングしない構成をとることが可能となる。そして配線基板の伸縮もこれまでの実施形態と同様に抑制することができるため、記録素子基板と電気配線基板との電気接続信頼性を高めることが可能となる。
また本実施形態においては、記録ヘッドの短手方向の両端部においては、カバープレート118と支持プレート103とを接着固定していない。このような構成にすることで加熱時に電気配線基板に発生した応力を、記録ヘッドの短手方向に逃がすことができる点で好ましい。記録ヘッドの短手方向への伸びであればその伸び量が小さいため電気接続部への影響も小さい。
カバープレート118と支持プレート103とを、全周隙間無く接着固定した場合、加熱時に発生した応力の逃げ場がないために、接着固定部が剥がれたりする可能性があるが、本実施形態の構成により電気接続部への影響もなく応力を逃がすことができるので好ましい。
本発明の第3の実施形態について、図9を用いて説明する。
図9(a)は、本発明の第3の実施形態に関わるインクジェット記録ヘッドであり、図9(b)は、図9(a)のA−A断面に対応した図である。第1の実施形態と同様に構成できる部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態は、カバープレートと支持プレートの接着を、記録ヘッドの両端部だけではなく、記録素子基板配置用の開口部とは別に電気配線基板に設けられた開口部を通して接着させた構成である。
図9に示すように、第1の実施形態と同様にカバープレート117と電気配線基板119は互いに接着固定されると共に記録ヘッドの長手方向の両端部ではカバープレート117と支持プレート103は直接接着固定した。とりわけ本実施形態では、電気配線基板119の何箇所かに配線配置しない領域を形成し、その領域に開口部123を形成した。
開口部123の数や位置や大きさは、配線パタ−ンや電気配線基板の大きさ・長さにより適宜決められる。そして、開口部123においてカバープレート117と支持プレート103を直接接着固定した。このようにカバープレート118と支持プレート103とを記録ヘッドの短手方向の端部に沿って断続的に固定することで、先の実施形態で説明したように応力の逃げ場を設けることができ好ましい。
従って、本実施形態では、カバープレート117と支持プレート103との接着固定面積が第1の実施形態よりも大きくなる。そのため、電気配線基板119の伸縮がさらに抑制できる結果、記録素子基板101と電気配線基板119との電気接続信頼性を高めることが可能となる。
101 記録素子基板
103 支持プレート
117、118 カバープレート
119 電気配線基板
123 電気配線基板の開口部

Claims (3)

  1. 液体を吐出するための複数の記録素子と吐出口とを備える記録素子基板と、
    前記記録素子基板を配置する開口部と、前記記録素子基板の端部に設けられた複数の電極と電気的に接続される、前記開口部の縁に設けられた複数の電極端子と、を備える電気配線基板と、
    該記録素子基板および前記電気配線基板を支持し、該電気配線基板の線膨張係数よりも低い線膨張係数の材料から構成される支持プレートと、
    前記電気配線基板の線膨張係数よりも低い線膨張係数の材料から構成され、前記支持プレートの上の前記電気配線基板に重ねられ、前記支持プレートおよび前記電気配線基板の双方に固定されたカバープレートと、
    を備える液体吐出記録ヘッド。
  2. 液体吐出記録ヘッドの少なくとも長手方向の両端部において、前記カバープレートと前記支持プレートとが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出記録ヘッド。
  3. 前記電気配線基板において前記開口部とは別に設けられた複数の開口部を用いて、前記カバープレートと前記支持プレートとが固定されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出記録ヘッド。
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